日曜の午後に動画見てたら幼女になって配信する件について   作:二三一〇

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 途中で視点が変わります。
 最初はリーセロット、※からは前回捕まった彼の視点となります。


18 スパイな大作戦 その1

 次の日。イザークと伯爵が帰っていった。

 

「次に会うときは……負けない」

「それでこそ騎士ですわよ、イザーク様。では、わたくしも研鑽に励むと致しますねっ?」

「いや、出来れば、テキトーにしててくれた方が……」

 

 つい本音が出てしまうほど気安くなった彼は、それでも別れ際には寂しそうな顔をしていた。

 俺だって、寂しくないと言えば嘘だったりする。

 

「イザーク様。お手を借りてもよろしいですか?」

「え? ああ」

 

 彼の手を小指だけ立てるようにして、俺も同じようにする。その指を絡めれば、『指切りげんまん』の完成だ。

 

「♪ゆーびきーりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます♪」

 

 日本のみんながよく知るリズムで唄う。なんかぽやや……とした光がイザークを包むが、周りは誰も気付かなかったみたいだ。なんだ?

 

「うおっ……なんか怖いこと言われたっ」

「失礼ですね。おまじないですよ、ただの。約束守らないと拳で一万回殴って針を千本飲ましますからね♪」

「具体的で怖っ!」

 

 

 あの、俺氏。今、何したん?

 イザークのパラがやたらと伸びたし、お嬢の魔力が少しだけ減ったけど。

 

 特に何も。おう、強くなれよってカンジで約束かましただけなんで。

 

 明らかに恒常バフかかってるで? フィジカルの伸びが+2とか、スキル習熟率+25%とか。

 チートだな(笑)

 管理者以外がチート授けるなw

 リーセロットたんならエエか

 ……ま、俺らの世界じゃないしw

 席外してたらまたしても草

 お、草の人。久々やん

 

 えー……。そんなのやった覚えはないんだが……ま、いいか。イザークが強くなるんならそれはそれで。

 

「次に会うのは年越しの儀辺りになりますか。ご息災をお祈りしております、ハーゼルツァット侯爵令嬢(レディ・ハーゼルツァット)

「肩書より名前で呼ばれる方が素敵だと思うのです。そう思いませんか? ヘルブランディ伯爵閣下(ロード・ヘルブランディ)

「左様でございますな。それではご元気で。リーセロット様」

 

 こまっしゃくれた子供にも優しく応対している伯爵は、まあ人間が出来てるなぁと思った。

 社交辞令だというのに手の甲にキスの真似をするだけでイライラしているどこかのバカ親父も見習ってほしい(笑)

 

 あー、リーセロットたんにキスを?

 伯爵絶許

 おめぇ、ライン超えたな?

 

 お前らもなっ! m9(^Д^)

 

 

 

 彼らを見送った時に、入れ違いで馬車が入ってくるのが見えた。アデルベルトがすぐに近くに寄るところを見るに知り合いだろう。とことこと歩いて近寄ると、馬車から降りてきたのは街で会ったあの兜の人だった……ヤベッ(慌)

 急いでアデルの後ろに隠れると、アデルの奴わざわざ前に出して紹介しやがった。

 

「紹介しよう。私の娘のリーセロットだ。直接会うのは初めてだろう」

「は。ディーデリック=ラーエマーケルスと申します。ご拝謁の栄誉を賜り、心よりの感謝を」

 

 片膝を付いたままそう述べる男は、どうも俺と分かっていない様子だ。そういや、一応男の子の恰好してたしな。挨拶されたら返すのが礼儀、しゃあないな。

 

「リーセロットで御座います、ラーエマーケルス卿。今日(こんにち)の出会いを心より喜び申し上げます」

 

 両手を胸の辺りに添えてのお辞儀は、淑女としての礼の作法では初歩である。きっちり覚えるまでに三日掛かったけど、今となっては素で出てしまうよなぁ。

 

 パシャ

 →350

 →500

 やっぱこういうのキマるよなリセたんw

 うむ、見惚れた →800

 

 

 どうも急用があったために来たようで、本邸に着くと早々にアデルと一緒にどこかに行ってしまった。

 

「ふふん。そうは問屋がおろしませんことよ? ( ̄ー ̄)」

 

 お、悪いこと考えてそうな顔w

 なんかすんの?

 

 実は街のマップ、もらったじゃん? アレってファイルみたいなもので新規で白地図とかも書けるんだよな。で、昨日夜中に試しに書いてみたのがこちら。

 

 ちょ……これ、屋敷のマップじゃないスか!

 抜けてる所もあるけど、だいたい合ってる……のか?

 視覚での構築とか、適応力高いなw

 

 間取りとかは適当だけど、意外といいよね? 後これ、3Dにして見れるらしいよ。 ほら。

 

 うへぇ……VR内見みたい(笑)

 なんぞ、ソレ?

 いや、ウチの世界で不動産物件見るときにやる方法でな

 ハイテク過ぎて草

 ハイテクって今日びあんまり聞かねぇなぁ……

 

 さらになんだけど。これ、登録した人間とかの動向も見えるわけ。親父をマークすると、ほら。

 

 居るとこが分かるのかっ?

 すげぇ、どうやってんのか、さっぱり分からんw

 GPS機能まであるとか草過ぎるw

 ちょ、ここ、魔法障壁が三重にかかってるんだよな? ホントどうやって無効化してんの?

 

 そこらへんは俺も皆目。このマップを扱うアプリになんかされてるかもしれないかな?

 ともかく、これで居場所は分かった。後は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間諜か。よく来るものだが、僕のところに来たということは……」

「は。魔王の手のものかと」

 

 そんな声が聞こえてきた。どうにかうまくいったらしい。蜘蛛型使い魔スパくんが部屋に侵入したおかげで、中の音声も視界もクリアになった。

 

 一般的に使い魔というのは蝙蝠とか烏とか、蛙とか鼠、猫などの小型の鳥や哺乳類、両生類などが使われる。虫を使う人はあまりいない、というのは感覚を繋げづらいという点が挙げられる。あ、蜘蛛は節足動物だっけ。

 

 まあこの辺りも魔力ゴリ押しなんだけど、使ってみると意外と便利だったりする。壁だろうと天井だろうと歩く走破力とか、糸を使ったワイヤーアクションとかかなりスリリングなのだ。

 聴覚もよく空気の振動とかもよく分かる。ただ、視界だけはちょっと酔うかな?

 なので、なるべく音を頼りに使うつもりだ。

 移動する盗聴器とでも言うべきスパくんが調度類の影に隠して耳を澄ます。

 

「当人は黙秘を続けています。読心術の許可を頂きたく参上いたしました」

「それは構わんが、執行者は?」

「自分が執り行うつもりです」

「……ふむ。何なら私がやろうか?」

「それには及びません。御身をご自愛下さいますよう存じます」

 

 ふむ。魔王の手の者が街に潜入してたのを捕まえた。で、調べるのに非協力的なので心を読む術の許可を貰いに来た、ということでおk?

 

 おk

 読心術は相手との同調とか必要だから、精神が弱いと引っ張られてしまう事もあるんだよね

 レベルとかパラとかは分かるから、他の人には任せられないと判断したのか

 

「ふむ……それほどの者をよく捕縛出来たものだ。素晴らしい手腕だ、ラーエマーケルス卿」

「いえ……あの時は勘働きが優れてました。それにあの……」

「……どうかしたかね?」

「いえ、なんでもございません。不明瞭な発言、お許し下さい」

「情報が入ったら教えてくれ」

「御意」

 

 会話は終わったとアデルが席を立つ音。ていうか、ディーデリックさん、俺だって気付かなかったのかな? それとも敢えて言わなかった?

 

「そうだ、イルセを呼ぶから会っていくといい」

「! それは、有難き事なれば……」

「姉妹なんだから会いたいのは分かるさ。茶でも飲んで寛いで行きたまえ」

「は……勿体なきお言葉、ありがとうございます」

 

 扉を開けてメイドにメイド長を呼ばせる父親(アデルベルト)。なんとも世界って狭いものだな。

 

 いやいや、俺氏。姉妹って所に驚かんの?

 ディーデリック……女やったんか……

 

 なんとなく、そんな気はしたんだ。

 今の感じだと、俺だって気付いてたみたい。

 でも見逃してくれたんだから、いい人なのは間違いない(笑)

 

 えっ? そうなん?

 そらそうやろ、手垢無しの金貨なんて出す子供なんてめったにおらんだろうし。

 あと、男の子の恰好してても、分かる人には分かるだろうな。

 

 そういうこと。

 さて、せっかくの魔王の手先なら会ってみたいな。

 きのう露店で買った良さそうな古着を出して着替える。当然、カメラはoff!

 

 あー、また……

 最近ガード固いよなあ……

 そんなリセたんもかわいい →800

 お、着替え終わったかな?

 子供用のディアンドルみたいだな →1500

 いつものドレスも良いけどなんか新鮮♪

 

 子供の女の子の仕事着としては上等なモノらしいけど、2500セルダだった。本当なら一万セルダくらいすると言ってたけど。まあ、着てみるとなんとなく分かった。裏地とか継ぎが当たり過ぎてるし、表も生地がかなり薄くなってる。それをカバーするために裾にフリル付けたりとかエプロンや頭巾は新しくしてあったりとかしてあるけど。

 

 まあ、いいんでない?(クルリン)

 

 似合ってるよー パシャ

 パシャ →3000

 おう、かわいいなぁ

 →1000

 こんな町娘いたら買うわw

 セクハラ発言NG 乂(>◇< )

 アッ ハイ サーセン(_ _)

 

 来たな、ゲスい人(笑)

 それはともかく、ありがと♪

 

 さて、どこだろか? 従士団の施設は……

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 ヤキが回るというのはこういう事なんだろうな。

 まだ潜入初めて五年くらいの、ようやく卵の殻から出られた経歴なのだが。まあ、ドジッたのには変わりない。

 

 牢獄に入れられて、魔法封じの首輪を嵌められて。今のところ、身体を痛めつける尋問等はされていないが……いつまでもこのままとは思えない。

 

 晩飯や朝の飯もキチンと出すし、しかも意外にも豪勢だった。絆そうという気なのだろうが、そんなもので魔王様を売るつもりはない。

 

 しかしながら、じめじめとした牢屋というのは些か心を萎えさせるようで、わずかに気が滅入ってはいた。

 

 そんなとき、扉から鍵を開ける音が聞こえてきた。ああ、また尋問か。次こそは指の一つでも落とされるかな。そんな覚悟を持って開くのを眺めていると、そこには意外な人物がいた。

 

「あら。思った以上に虐められていないようですのね?」

「……なんだぁ?」

 

 そこには、仕事着姿の子供がいたのだ。

 しかも。

 

『あのときの……!』

 

 見間違えようもない。

 あの時、虹の輪に入って消えていった幻のような少女だった。

 

「魔王軍の手先だと伺ったのですが、お間違いありません?」

「なんでそんなこと言わなきゃならんのだい? おチビちゃん」

「このわたくしが用があるからに決まってますわ」

 

 なんだぁ……この娘。尊大な態度がやけに板についている。まるで貴族みたいな……まさか!?

 

「ハーゼルツァット侯爵が嫡子、リーセロットと申します。密使様のお名前を伺っても宜しいかしら?」

 

 スカートの裾を持ち上げ、優雅にカーテシーをこなすその少女は……不敵に微笑んでいた。

 

「密使、だと? 俺はそんな事は言い付かっていない」

「あら、そうなのですか。先だっての襲撃に関しての申し開きや、賠償などのお話かと思ってましたのに」

「……襲撃? 賠償だと? そんな事はしていない!」

 

 俺がこの任務につく時には、そんな話は無かった。秘密裏に行われていたのかもしれないが、今の俺には分からない事だ。だから俺は否定した。

 すると、少女は口元を手の甲で隠しながら微笑む。十にも届かぬ幼女でありながらも、なんと蠱惑的な笑みであろうか。

 

「まあ、二年も前の話ですし、証拠の魔物も討伐されてます。だんまりを決め込めば追及されないとお思いになられても仕方ありませんわね」

 

 二年前? そんな事があったのかは分からない。俺は末端の人間であり、魔王様の行う事全てを熟知出来る立場には無い。

 

「それにしても、魔王というお方は随分とセコいやり方がお好きなようですわね」

 

 くすり。

 その笑い声が、妙に癇に触った。

 

「このっ!」

 

 元より手足の拘束はされていない。

 こんな子供を仕留めるのに魔術など必要ない。

 右手で胸ぐらを掴み、ぐいっと引き上げる。

 

「く……手の早い殿方は嫌われますよ?」

「減らず口を叩くな、小娘っ! 自分の立場を分かってないのかっ?」

 

 素手で子供を殺めた事は無いが、必要ならば行うのが我らの仕事である。

 

「立場ですの? よく弁えておりますわ」

 

 彼女の翠の瞳が煌めくと、俺は力が抜けるのを自覚した。そうだ、この娘は……無詠唱で……

 

「立場をご存知なかったのは貴方の方ですわ。恫喝などせずに首でも締めればよろしかったのに」

「く……」

 

 体勢を維持出来なくなり、牢の床に倒れ伏す俺。彼女は俺を仰向けにすると、俺の頭を両脇を掴み、ゆっくりと顔を近づけてきた。

 

「な……なにを……」

「別に取って食べたりはしませんわ。うまく事が回れば、開放して差し上げられます」

 

 彼女が額をくっつける。そこで、俺は気を失った。

 

 




 悪いリーセロットが出てきました(笑)
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