日曜の午後に動画見てたら幼女になって配信する件について   作:二三一〇

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 前半と後半では場面が違います。


04 管理者たちの会話とあくる日の過ごし方

「どうしたの? なんか気分悪そうね?」

「そりゃ気分も悪くなるわよ。魔王に送らせた魔物の話あったじゃない?」

「ああ、リーセロットの件ね。こっちも大変だったよ。分離した魂がすごい早さで往生しようとして。慌てて捕まえて前世の記憶だけは消して、母親の子供に入れたけど」

 

 薄ぼんやりした事務所らしき部屋で私と彼女が話をしていた。機嫌がすこぶる悪そうだが、まあそれも分かる。

 

 私が愚痴ると、彼女はため息をつきながら椅子を回して正面を向いた。

 

「あいつ、送還されてなかったらしいの」

「えっ? それじゃ、まだ暴れてんの?」

「そうみたい。先輩たちからクレームがすごいきて……もう泣きたい」

 

 ぐすん。

 鼻を鳴らす彼女は、黒髪を少し揺らして涙ぐむ。こういう仕草は卑怯だよなぁ。

 

「あちゃ〜……召喚設定間違えてたの?」

「……どうもあたしへの当てこすりみたい。リーセロットを狙えって言ったから、確実にその家の奴を全滅させるよう命令したんだって」

 

 スピリットイーターが間違った目標、例えば使用人の子供を仕留めて帰ってしまわないように、そこにいる人間すべての抹殺、と命じたらしい。

 

「ふざけんなっての。遠く離れたアークステインまで態々送るのだから戦果を残したいとか言ってたけど、こっちはそんなん望んでねーから! 小競り合いで貯め込んだコストを減らそうって魂胆と、リーセロットたんのお披露目イベントの為なんだから。配慮しろっての!」

「言えたら苦労ないけどね」

 

 愚痴は留まるところを知らない。まぁまぁと頭を撫でると、少しは落ち着いたのかこちらを見やる。

 

「悪かったわね。リーセロット殺しちゃうとか面倒かけて」

「んー、まあそっちよりかは大分マシよ。それにあの子、不安定だったから。その内潰れちゃってたかもだし」

 

 これは本当だったりする。内包する素質とかは問題ないのだけど、いかんせん環境と本人のメンタルが弱すぎた。世界の救世主として立つにはまず心が強くないと話にならないと思う。

 

 そういう意味では、あの魂は変えて正解だったのだ。

 

「そんで、あの新しいリーセロット(ピンチヒッター)たんはどうなの?」

 

 涙を拭いてそう聞いてくる。私はそれにどう答えるか少し思案して、率直な感想を述べた。

 

「ちょっと、ヤバいわね」

「ヤバい? 適合してないの?」

「むしろ適合しすぎててヤバいのよ」

 

 現状の適合率はおよそ百。普通の人間はだいたい二十から三十。稀に出てくる英雄でも、だいたい四十くらいが普通だ。つまり、あの子はそんな奴らよりも馴染んでいる。

 

「うそ……魔王だって三十五なのに」

「魂と肉体の適合率は高くなればなるほど相乗していくわ。あの年齢であれ程の魔力を引き出したのも、それゆえね」

「よく言うチートって奴?」

「適合率はチート能力とは関係ないわ。後付だからね」

「そっか……」

 

 私たち管理者も、転生とか異世界からの転移者にチートを授ける事はある。でもそれは後から付与されたものであり、本来の性質を歪めてまで課せられるものでは無い。

 

「この魂とリーセロットの能力が噛み合わされた結果が、これよ」

 

 端末を動かして先ほどの戦闘の動画を見せる。黒髪の彼女は口をあんぐりと開けて呆然としていた。あんまり開けてるから、何か入れてあげようと思ったので飴玉を一つ放り込む。

 

「もがっ あら、美味しい♪」

「地球の管理者さんがお詫びに持ってきたのよ? いっぱいあるからね」

「うん、ありがと。でも、五歳でこの出力とかありえんでしょ?」

「自分のだけじゃなくてメイドさんの魔力も拝借したらしいけど、それにしてもこんな威力にはならないわ」

 

 1レベルにすらなっていない者が魔法を扱う段階でおかしいのだけど、それが60レベルのスピリットイーターをほぼ一撃で仕留めるとか明らかに摂理がおかしい。

 

「まあ、私としてはありがたいわね。スピリットイーターが無双して侯爵家の屋敷が全滅とか、コストボーナスやんなきゃならなくなっちゃうから」

「クスッ そうだね。減らすために送ったわけだし」

「結果的にお披露目も成功だし! 魔王管理者としては言うこと無しよっ」

「魔王くん、グレない?」

「元々グレてるようなモンでしょ? 魔王なんだから」

「それもそうかw」

 

 彼女の機嫌が良くなったのだから、まずは良かった。

 私はとりあえず、現状を確認するためにモニターを続ける。

 

 ほんと。

 世界の管理者(中間管理職)もツラいよね。 

 

 

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 目を覚ましたのは、翌々日だった。

 今回は夢の中で管理者に呼ばれなくて良かったけど、起きたらコメントがウザすぎてキツかったなぁ。

 

 ちょっと俺氏。ょぅι゛ょに無理させんなや

 体内の魔力全開放とか無茶させ過ぎて草

 場合によったらまた死ぬ案件やからねw

 ヴィッセルいなかったら墜落死だったよ?

 風魔法でクッション作ってくれたからね

 せめて飛行維持する魔力はのこそ?

 魔法少女だってそのくらい頭回るから

 前のめりすぎて草

 

 かなり言いたい放題だが、軽率だったのは認める……リーセロットにはすまんことした。

 

 今はベッドの上で横になっている。時刻は早朝……かな? 外が朝焼けのように見える。

 身体自体は傷一つないけど、すごくダルい。

 これが魔力の全開放の反動なのだろうか?

 

 そう言えばアンゼリカは無事なの?

 

 君に魔力搾り取られて向こうもダウンしてるよw

 メイドの何かを搾り取るょぅι゛ょハアハア

 高度な変態がいる草

 

 確かに変態だ。でも、無事でよかった。

 

 まあ、ヴィッセル氏だけだとあれは討伐ムリだったからしゃーなしだけどw

 リセたん殺したから還ったと思ってたら、まだ居たとか

 何人か使用人もやられてたらしい。

 魔王側の殺意の高さにワロタ

 

 やっぱ犠牲者はいたのか。俺のせいではないんだけど、助けられなかったのは悔しいなぁ。

 

 コンコンとノックをされたので、どーぞと返事をする。か細すぎて聞こえてないだろうけど、扉が開いてメイドさんが入ってきた。

 

「あのー、お水を頂けますかしら?」

「お嬢様っ お目覚めになられたのですね!」

 

 アンゼリカよりも年上の黒髪のメイドさんが、奥様と旦那様にお報せをとか別のメイドさんに指示していた。彼女自身は部屋に残って吸い飲みを取って水を飲ませてくれる。

 ちょっと照れるが、手が動かしづらいからありがたい。

 

「ありがとうですわ、えっと……」

 

 だれ?

 

 最近うちらをマニュアル代わりにしてる気がするw

 まあ、やむなし。

 その人はメイド長のイルセさんだよ

 もう二十五のいき遅れで仕事に生きる事に決めた才媛だよ

 

 二十五でいき遅れとか言うなよ、可哀想だろ!

 

 ここの女性の平均的な結婚時の年齢は十七。二十歳だとかなり焦った方がよくて、二十五になるとよほどでない限りムリ。

 どこの世界も文明レベルが低い頃は総じてサイクルも早い。生殖活動は若い方が好ましいからね

 ちな、リーセロットたんにもすでに婚約者が決まっているw

 

 はあっ?

 そんなん無理だろっ 俺男だぞ? 男に抱かれる趣味はねーわっ!

 

 ま、そうだよねw

 まあ、その辺はおいおいかな?

 

 そんな雑談をしていたら、部屋に二人の男女が入ってきた。どちらも仕立ての良い服を着て、美男美女ときたらなんとなく分かる。

 こちらを見て、喜んだかと思ったら厳しい顔に戻ってつかつかと近寄ってきた。何ぞ?

 

「目が覚めたようだな、リーセロット」

「……おはようございますですわ、お父様」

 

 とりま挨拶はしておく。初対面の人とは挨拶はきちんとしろってバイトの店長も言ってたし。

 

「ヴィッセルから聞いたが、無茶をしたものだ。そもそも魔法の基礎すら教えてないのに」

「……ごめんなさい。でも、放っておいたらみんなが」

「言いたい事は分かったが、お前の命とは替えられない。これ以降は勝手な魔法の使用は禁止する」

 

 ……あ”? 何言ってんのこのオッチャン? 俺が倒さなかったらみんな死んどったぞ?

 

 ようやく出来た娘だからね

 たとえ全滅してでも娘だけは守れと命じてるし、ヴィッセルさんもそれで叱責されてるから

 

 はあ? あのじーちゃんいなかったら、俺死んでたやん。褒めるトコだろ?

 

 そもそも戦わせちゃダメだからね

 五歳の幼児がスピリットイーターさんとタイマンとかありえんからw

 どうみても勝てんからな

 

「……ゆっくり休め」

 

 そう言って、父親は出ていった。

 代わりに母親らしき人が枕元に椅子を寄せて座る。

 

「……気分は悪くないかしら?」

「お外に出ても問題ありませんわ。身体はあまり動きませんけど」

「魔力の放出のし過ぎよ。あと一日はかかるから寝てなさいね」

 

 そう言って、額を撫でる。少し冷たい手が心地よいなぁ。ちなみに俺は母親にこんな事されたことなかったけど。

 

 寂しい幼少期に草

 そこ笑うのは人としてどうかと

 不謹慎だがわかりみw

 

「基礎も習ってないのに魔法とか、あなたは天才ね」

「そうなのですか? 普通に扱えましたが」

 

 そう答えた瞬間、母親が眉をひそめた。

 マズったかな?

 

 何度も言うけど、呪文なしとか杖無しで魔法とか本当は無理だからw

 

 そのコメントが証明するように、母親は立ち上がって部屋を出ていった。さっきまで優しかったのに……なんだろう。このやるせなさは。

 

 リーサンネ様は努力の人だからね

 天才とかガチ嫌いだし

 そういう意味では旦那とかリーセロットとかは嫌いなんだよ

 

 嫌いなのに結婚とかすんの、おかしくない?

 

 貴族社会はそんなモン

 自分、政略結婚とか知らんの?

 

 あーいわゆるマトモな結婚の末に出来た子供でないから、結婚の事自体よく分からん(笑)

 

 あ……(冊子)

 空気読んで字間違うとか草

 ちゃうねん、笑かそうとかじゃなくて……

 

 気ぃ使わんでいいよ。どうせ、家出てからオカンとも会ってなかったし。

 しかし、産んだ子供を嫌うとかは流石に理解できん。

 

 別にリーセロットを嫌ってはいないよ?

 才能があって妬ましいってところじゃない? どちらかというと旦那の方に不満があるみたい。

 あれも天才肌の人間だしな。

 愛してはいるんだけど、リーサンネには伝わってないよね

 あっちもマトモな愛情受けてないし、歪んでて当然だよな

 貴族にマトモな人はあんまりいない草

 

 んん……なんか複雑そうだね。

 親父さんの方も何だか煮え切らんし。

 子供の心配するなら無事で良かったとか抱きしめるとかすんのが普通じゃねえの?

 

 リーセロットたんが抱きしめるとかっ!

 これは録画だなぁ(REC)

 草。私にも頂戴

 

 草の人はマトモだと思ってたんだが同類か……そもそもたとえで言っただけで感情とか乗ってないのに単語だけでいいとか……折角なので感情込めて言ってみようか。

 

「抱きしめて、ですわ♡」

 

 ヨオオッシッ

 でかしたっ!

 ちゃんと取ったか? 切り抜き班!

 ∠(`・ω・´)(`・ω・´)ゞビシッ

 俺氏、GJ○!

 

「お嬢様……」

 

 すると、メイド長が何故か抱きしめてくれました。お、ありがとう♪ でも、気軽に野郎に抱きつくとか危険がアブないぜっ?(動転中)

 

 動画班っ

 ∠(`・ω・´)(`・ω・´)ゞビシッ

 G○部っ

 その件、ずっとやるの草

 

「イルセ……さん? あの……」

「す、すみませんっ あの……抱きしめてと仰られたので、つい……」

「いえ、良いのですが。暖かくて、気持ちいいですので」

 

 これは本心。下心は無し。柔らかな膨らみが顔に当たるとかは関係ない。いいね?

 しばらく抱いていると、気が済んだのか離して布団を整えてくれた。

 

「今日のお嬢様は、とても大人しいですね」

「……動けませんので致し方なしですわ」

 

 そういや、リーセロットってどんな子だったの? ワガママって言ってたような気がしたけど。

 

 どっちかというと構ってほしいって感じかな?

 ご飯を一緒に食べたいとか、ご本読んでとか両親に言うけど、忙しいって断られていじけてるなんてあったな。

 承認欲求って言うとあれだけど、愛情を感じられてないのが不安だったのかもね

 

 ははあ……こっちも厄介だったんだな。

 ちと、イルセに聞いてみよう。

 

「イルセさん。わたくしはお父様とお母様に愛されておりますか?」

「!……そ、それは、私にはお答えできません」

 

 周りから見ても、愛されてるようには見えなかったということか。

 

「で、ですが……そうであると信じたい……と思っております」

「もってまわった言い方ですわよ」

 

 くすり。

 イルセのその様子を見て、少し笑ってしまった。両親の愛情は届いていなくても、周りの人からはちゃんと愛されていたらしい。

 さらに言えば、歯がゆく感じていたんじゃないかな? 自分は使用人だから進言するのも憚られるし。

 

 さて、どうするかね。

 まあ身体も動かんし……なんか見れるアニメとか無い?

 

 あるぜっ(^o^)b

 地球の管理者、速すぎw

 私らを便利に使いすぎて草

 

 夕方くらいには身体が起こせるようになったけど、どうせだからその日はそのまま過ごしたのだった……

 

 




 世界を管理しているとは言っても、どこも変わらなかった(悲報)
 それはともかく、ご両親登場です。
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