そして今まさに、手に入れた仮面ライダー鎧武の力で……アナザー鎧武を倒そうとしていた」
2013年、時計の針が12時を回った。
ダンスステージの上で、ジオウはアナザー鎧武と剣を交えていた。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
アナザー鎧武の大剣を抑えつつ、そのまま攻撃を避け続けると、懐から鎧武ウォッチを取り出した。
「させるか!」
するとアナザー鎧武の攻撃によってウォッチを弾き飛ばされる。
「危ねぇ!」
ジオウは間一髪でウォッチを掴み、ドライバーにウォッチを差し込み回す。
『アーマータイム!』
「えっ?うわぁ!何これ?」
するといきなり頭上に鎧武の頭部を模した鎧武アーマーが現れ、動揺するジオウの顔へと落下してきた。
「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ「ウォズ!助けてよ!」
いつもの様に突然現れたウォズが祝辞を述べるが、アーマーを頭に被ったジオウは思わぬ重みに耐えられずひっくり返り、身動きが取れずにいた。
「…あ、戻った」
「………時空を超え」
とりあえず自力でなんとか起き上がれたのを見て、改めて祝辞を述べ続けるウォズ。
「開いた~!」
それに続いて、ジオウの顔を覆うように落下したアーマーが開きだし、姿を変える。
「過去と未来をしろしめす時の王者、その名も仮面ライダージオウ・鎧武アーマー」
複眼のリバーサルインジケーションアイにはカタカナで「ガイム」と描かれ、頭が武将・伊達政宗の兜とオレンジが合わさった様な形となり、両肩はオレンジの錠前の形、胸部の装甲は鎧武の仮面を模した形状の装甲――『スカッシュブレスター』になっていた。
「また一つ、ライダーの力を継承した瞬間である」
「花道、オンパレードだぁぁぁーっ!」
歌舞伎の人が取るようなポーズを取り、アナザー鎧武へと向かっていく。
アナザー鎧武の巨大な太刀を受け止めながら、二本のオレンジの剣『大橙丸Z』を握りしめながら攻撃を繰り出す。
「今助けてやる、ゲイツ!」
『フィニッシュタイム!鎧武!』
そう言ってアナザー鎧武を自身から斬り離し、ドライバーの二つのウォッチを押す。
「貴様ッ!」
『スカッシュタイムブレーク!』
アナザー鎧武が止めようと武器を構えて向かって来るが、既にドライバーを回し終えていたジオウはすれ違い様に切り裂き、やけに歪んだオレンジ型のエネルギーでアナザー鎧武を包み込みながら爆裂させ、撃破した。
「よしっ、これで――え? えぇぇぇぇぇぇ!?」
しかし突如、すぐ近くの空間が歪みだすと、直ぐ近くにいたジオウは歪みに飲み込まれて何処かへと流されていく。
「………えっ⁉︎ 何これーーー‼︎」
それから変身解除されたソウゴが目を開けると、いろんな物が合わさったような現実離れした場所へと移っていた。
「――確かに奴を倒せば、君の大事な仲間を救うことができる。
……でも、それでいいのか?」
一体此処は何処なんだという疑問が浮かぶ前に、声の聞こえた方を振り向くと白い服を着た男性が目の前に現れた。
「どうゆうこと?」
「君は王様になりたいんだろ。全部、独りで解決するのが、君の考える王様なのかい?」
「そんな……」
「それじゃあ、君の周りにいる人の、意味がなくなる」
男性が腕をあげると先までの風景が崩れ、暗い闇へと変わった。
「君が救おうとしているのは、そんなに弱い男なのか?」
ソウゴが助けようとしている彼――ゲイツはそんなに弱い男なのか?と聞く男の手に、一匹の青い蝶が留まる。
「信じてみるといい。その男の力を」
手に留まった青い蝶を向けると、その蝶が無数にも飛び散り、目の前が眩しく光り輝く。
『そして気がつくと、俺は元の場所にいた。
……その人は、俺にライドウォッチを渡してくれた人に似ていた。
でも違う、それだけははっきりと分かった。だから俺は―――』
それは、今から起こる事件の何日も前のことだった。
――事件が始まる5日前。
「にんじん兄さ〜ん!ネギ姉さ〜ん!野菜はわたしの家族なの〜!」
ソウゴ達四人は、ご機嫌なはなの歌声をBGMに、いつもの様に学園の通学路を歩いていた。
「懐かしいな、そのCMの歌」
「うん!さあやが出ていたCMよく覚えてるよ。まさか、あの野菜少女がこんな身近にいたなんて!」
「なんで教えてくれなかったの?」
「うっ……言うほどの事じゃないかなって思って……」
「えぇ〜!私だったら絶対自慢しまくちゃうよ!」
「じゃあ、最近もCMとかにも出るの……?」
「あ…ツクヨミ。それは……」
今もTVに出ているのかと言うツクヨミの質問に、さあやの代わりに応えようとするソウゴを遮る様に「おーっほっほっほ!」と、何処からともなく高笑いが聞こえ始めた。
「薬師寺さあや!ここで会ったが百年目!」
声の主がそう言うと共に、木の茂みの方から一人のカチューシャを着けた茶髪少女が現れた。
「一条蘭世でございます」
その少女は、自らを“一条蘭世”と名乗った。
「あのCMでさあやと共演してた?」
「でも、そんな子出てたっけ?」
「見せて貰ったけど、あなた出てなかったような……」
「出てますわよ!」
一条蘭世はパッドを取り出して操作すると、その時のCM映像を態々再生させて彼らに見せる。
「……ネギ」
ツクヨミが画面を凝視してみると、歌っているさあやの後ろには確かに、ニンジンの着ぐるみの子と一緒に蘭世がネギの被り物を着て出演していた。
「あのCMで、あなたは野菜少女としてお茶の間に親しまれた……なのに私はネギ!ただのネギ!」
「私は好きだよネギ」
何処か見当違いな返しをするさあやに「そういうことじゃありません!」と突っ込みをしつつ、悔しそうな表情を浮かべながらこぶしを握り締める蘭世。
「悔しかった……惨めだった……だからあの時誓ったの!いつかあなたをギャフンと言わせてやると!」
「ギャフンって……出れるだけでも凄いよな……」
「それに、ただの逆恨みのような……」
ソウゴ達には蘭世の言ってることが、どこかさあやへの逆恨みのように聞こえた。
「あなたには分からないないでしょうね!大女優の母という後ろ盾を持つあなたには!」
「私はそんな……」
「ちょっと待って!さあやは別にお母さんが大女優だからって訳じゃ……」
ソウゴがさあやの前に出て仲裁に入ると、何処かで見た姿に気付いた蘭世は「ん?」と唸りながら、自身の記憶から該当する人物を挙げる。
「あなた確か…薬師寺さあやのデビューの時、松葉杖を付けていた子では?」
「えっ?何で知ってるの?」
「…って、うん?大女優?」
「あら、ご存知なかったですの?この子の母は、あの薬師寺れいらですわよ」
「えぇぇぇ!薬師寺れいら!知ってる!知ってる!あのCMの綺麗な人!」
確かにさあやがデビューした時見学させて貰ったけど、むしろ何で覚えてるの?と驚いていたソウゴの横で、彼女の話を聞いたはなは化粧品のCMに良く出ている女優を思い出す。
「本当……?」
「…そうだよ。れいらさんはさあやのお母さんだよ」
ソウゴがそうだと言うと、確かにさあやと面影が似ているところがあることに気付くほまれ。
「サイン!サイン頂戴!」
さあやにサインを求めるはなの姿を見ながら、蘭世はぽつぽつと自分の身の内を語り始める。
「一方、私は何のバックを持たないでどんな小さな役でも地道にやってきました……あなた今度、舞台のヒロイン役のオーディションを受けるのでしょう?」
「えっ?一応そういう話はあるけど……」
陶酔してるな~と呑気に思っていたツクヨミが、「あ、そうなんだ」とさあやの方を見ていると、「私も同じオーディションを受けることになっていますの」と語る蘭世。
「必ずやあなたを蹴落とし、役をゲットしてしてみせますわ!」
「えっ?私はそんな……」
「問答無用!叩き上げの上げの底力見せてあげますわ!オーホッホッホ!」
今度さあやも受けるというオーディションでヒロイン役の座を蹴落すと宣戦布告し、そのまま高々と声を上げて去っていった。
「なんじゃありゃ?」
「『オーホッホッホ』ってほんとに言う人いるんだ」
今時、少し前の少女漫画や乙女ゲームでしか見ないような蘭世の強烈な登場に、ソウゴ達は驚いていた。
「でも、オーディションなんて凄いね!フレフレ!さあや!」
「うん……」
はなに応援されるさあやであったが、事情の知っているソウゴの目には、非常に複雑な感情に混じって、強い不安を感じていた。
三人と別れた後、ソウゴとさあやはクジゴジ堂へ到着した。
「じゃあ、さあや。また明日」
「うん。今日は練習するからみんなごめんって……」
「うん……その、頑張って」
「……ありがとう」
何処か不安そうな雰囲気を出している彼女に向って、ソウゴはエールを送る。
だがあまり晴れない表情で礼を言いながら帰っていくさあやを見ながら、「やっぱり、まだ不安なのかな……」と呟きながらクジゴジ堂へと入る。
「じゃあこれで」
「出来次第、ご連絡入れますから」
中には接客をしていた順一郎と、彼に修理する品を渡し去っていくお客さんの姿があった。
「叔父さん、何これ?」
「おお、ソウゴくんはビデオデッキなんか知らないか。またお客さんから修理頼まれちゃった。うち時計屋なんだけどね」
ビデオデッキに目を向けるソウゴに、時計屋なのに時計じゃない修理に不満な声を上げる。
「近所の御婦人たちが、『クジゴジ堂さんなら何だって直してくれる』って宣伝しちゃってくれるからね、来るわ来るわ時計以外の依頼」
「TV、エアコン、冷蔵庫。叔父さんに直せないものはないからね」
「いやいやいやいや~。この間なんかさ、割れた花瓶を傷もなく元通りに直してほしいという依頼があったんだけど、さすがにそれは断った。
わたしゃね、ウィザード早瀬じゃないっつの!」
「ウィザード早瀬?」
知らない名前を出されてわからなかったソウゴの様子を見て、順一郎は知らなかったのかと思った。
「あれ、知らない?今話題のマジシャン。マジックショーがウケけてるんだって」
「へぇ〜」
こんどさあや達と見に行こうかな~と考えながら、制服から着替えようと部屋へ向かう。
「おっ、ソウゴ。さあやの話、はな達から聞いたで!」
しばらくして。ハリーのいるハウスへと向かったソウゴは、ハリーからさあやの話を聞きながら、ソファではぐたんと遊んでいるはなとほまれ、ツクヨミの姿を目にする。
しかしその光景に、ゲイツの姿だけがなかった。
「……ねぇハリー、ゲイツは戻ってきた?」
「いや、あの日荷物まとめて出ていったから、ここには顔すら出してぇへん」
この前のアナザーオーズの事件の後、姿を消したきり帰って来なかったらしい。
「しかし、さあやがオーディション受けるとは驚きやな」
「今もTVとか出てるの?」
ハリーの言葉に頷きながらツクヨミがはなに聞くが、彼女は首を捻りながら“そういえば”と最近テレビで見た記憶が無い事を思い出す。
「さぁ〜…最近は見ないから……
そういえば、ソウゴは知ってんだよね。さあやがCMにも出てたこと」
「うん…小さい頃にさあやのお父さんに連れて行ってもらったんだ」
「いいな〜!ソウゴが羨ましい〜!」
「その時のさあやの演技、なんか天使みたいですごかったんだ!」
「なら、まだやっぱりTVに出てるんか?」
「それは……」
TVに出るのかと聞かれ、何か訳ありなのかどうかは分からないが言葉に詰まっていると、はなはハートマークの付いたアクセサリー機で遊ぶはぐたんに目がいく。
「はぐたん上手!上手!」
「は〜ぎゅ〜!」
「これええやろ!可愛いハートのアクセが作れるんや!」
「…そうだ!これ!」
ハリーも絶賛するアクセサリーマシンで作られたハートアクセサリーを見て、はなが何かを閃く。
その頃、とあるビルの屋上。
「…何の用だ?」
「ジオウとプリキュア達のところを飛び出したみたいじゃない?オーマジオウの誕生を見過ごすことにしたのかしら?」
はぐくみ市を一望する為にそこにいたゲイツへ、タイムジャッカーのオーラが接触してきた。
「ふざけるな。奴を倒すのは俺だ」
「では、私達と目的が同じということだ」
そこへさらにタイムジャッカーチームのリーダー、スウォルツまでも現れた。
「誰だ?貴様は?」
「会えて嬉しいよ。仮面ライダーゲイツ」
「…クライアス社か?」
「俺はスウォルツ。クライアス社、タイムジャッカーチームのリーダーだ」
それを聞き、ゲイツはライドウォッチを構える。
「ジオウは着実に力をつけている。現にお前は彼に負けた」
確かに、この前の戦いでゲイツは手も足も出ずに負けた。
ジオウを倒しに来たはずなのに、そのジオウに完膚なきまでにやられた本人は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。
「目的を果たすために手を取り合う。断れば……ふぅん!」
手を開くとスウォルツは謎の力で、有無を言わせずゲイツを屋上から押し出そうとする。
「断れば、このまま落とす。意見は求めん!」
そして有無を言わせず、ゲイツが屋上から落とされた。
すると黒く長い布がゲイツを助け、非常階段へと移された。
「ウォズ!」
助けたのはソウゴの前によく現れる謎の男・ウォズだった。
「ほう、いつの間にか彼と手を組んでいたか。これは誤算だった。また次の機会にしよう」
ウォズの姿を見たスウォルツは去っていった。
スウォルツの姿が見えなくなると、ゲイツはウォズを仲間の仇と言わんばかりに睨みつけていた。
「何のつもりだ、ウォズ」
「昔のよしみで助けただけだよ。これを機に、私達も仲直りをしないかい?
我が魔王に君みたいな仲間がいると、とても助かるんだ」
「黙れ!それ以上、俺を愚弄するなら、ここでお前を倒すぞ!」
「へ~、私がゲイツ君に負けた事あったかな?」
「俺達が元いた世界ではな。だが、此処ではお前の思い通りにはさせない!」
ゲイツは怒りに燃えながら殴りかかるが、ウォズは簡単にあしらいながら浮遊して屋上へ移動した。
「俺をジオウの仲間にするなど、もってのほかだ!」
「それは残念だ」
不敵な笑みを浮かべ、その場を去っていくゲイツを見届けるウォズは、これから彼をどうするかを思案するのだった。
翌日の放課後。
学園のチャイムが鳴ると、さあやは深刻そうな顔で教室から出ていった。
それを見ていたはなが彼女の名を呟くと、ソウゴが勢いよく教室を出ていく。
「ソウゴ、どこ行くの?」
「ゲイツを連れ戻そうと思って!」
はなの問いに対して、ゲイツを連れ戻すと言う。
「そういや、あいつこの前勝手に荷物まとめて出ていったもんね」
「うん、だから見つけて戻ってきて欲しいんだ」
「放っておくんだな」
声が聞こえ振り向くと、そこに昨日ゲイツを助けた筈のウォズが現れた。
「誰?」
「初めまして、キュアエトワール……輝木ほまれ。私の名はウォズ。我が魔王の家臣の一人でございます。以後お見知りおきを」
「ウォズ!なんか久しぶり、元気?」
「おかげさまで」
初対面のほまれに自己紹介をしていると、そこへ続いてツクヨミが教室から出て来て、ソウゴと会話をしていたウォズを見た途端顔を険しくしながら警戒をする。
「ウォズ……!」
「久しぶりだね。ツクヨミ君」
「えっ?ツクヨミ、ウォズさんのことを知ってるの?」
「まぁ、ちょっとした腐れ縁って奴だよ」
ウォズはゲイツだけなく、ツクヨミとも何か関わりがあるようだ。
「我が魔王。あの男を連れ戻してどうするつもりだい?」
「どうするって…仲間がいなくなったんだ。探すのは当たり前でしょ」
ゲイツを連れ戻しに行こうとするソウゴを、ウォズが本のページを見せ付ける様に開いて進行を止める。
「この本によれば、明導ゲイツなる人物は、君の覇道に何ら関与することはない。放っておいても問題はない」
「それでも、俺にはアイツが必要だ!俺がいい魔王になるためにもね」
それ聞いたみんなからホッとした表情を見せる。
「大丈夫。ちゃんと良い魔王になるから…心配しないで!」
ソウゴはそのまま一人でゲイツを探しに行った。
「……実に心配だ」
そんな調子で自身が望む魔王になれるのか、不服と不安を織り交ぜながらウォズが小声でそう呟いていると…
「あれ?」
「どうしたの、忘れ物?」
先出て行ったばかりのソウゴが教室に戻ってきた。
探すと言っておいて直ぐに戻ってくるなんてどうしたんだ?と疑問に思うはな達をそこに置いておき、そのまま彼は教室に置かれた社会雑誌を広げる。
「“ダンスユニットの連続失踪事件”。これって、タイムジャッカーの仕業と思わない?」
『えっ?』
皆は何故そう思うのかと、再び疑問に思った。
「このメンバーのところに、ゲイツがいる。そんな気がするんだよね……行ってみよう。ツクヨミ」
「行ってみようって、何言ってんの?」
「大丈夫。今日の俺、すんごい感が冴えてる。そんな気がする!」
ソウゴはまだ納得してないツクヨミを連れて何処かへ行ってしまった。
「どういう事…めちょっくなんだけど……」
「ソウゴ…さっきゲイツ探しに行ったよね……」
残されたはな達には、何がどうなってるんだかわからなかった。
その頃、とあるステージで本番前に準備に入っているダンスチーム『Baron』がいた。
しかし、そこの曲がり角で赤と黒を基準とした衣装を着たメンバーの二人が何か深刻な話をしていた。
「何かな本番前に、話なら後にしてくれないかな。もうすぐ収録の時間だ。集中したい」
「俺、見たんです。あなたが化け物になるところ……」
「…俺が?化け物に?何寝ぼけたこと言ってんだ?」
「ひょっとして、今までいなくなったメンバーや他のチームのメンバーはあなたに……!」
そう言いかけると、化け物と疑われたメンバーは逆ギレしたのか、目の前にいる仲間の顔を鷲掴みにする。
「だったら…どうだって言うんだよッ!」
『ガイム…!』
チームバロンのメンバーの一人である青年・アスラは身体を変貌させ、刀が突き刺さったかのような形状の頭部と枯木の様な鎧装甲を持つ落ち武者の様な姿の怪人――アナザー鎧武へと変わった。
そして腕を上げると空間に少し錆びたチャックのようなものが開き、不思議な森へと繋いだ。
アナザー鎧武は仲間である筈のメンバーの一人をそこへ放り込むと、そのままチャックを閉めてしまった。
連続失踪事件の犯行現場では、タイムジャッカーのスウォルツと共にゲイツの姿もあった。
「己の野望を成し遂げるために、何の迷いもない。彼は仮面ライダー鎧武の力を使っていずれ王になる。君と一緒にジオウを倒してもらう……!」
そのままアナザー鎧武は見境なくスタッフやメンバーを襲おうとした。そこへゲイツは飛びこみ、彼らを助ける。
「何の真似だ?」
「やはり、お前らとは合わないようだ」
こいつらといればジオウを倒せるかもと少しでも思った俺がバカだったと思いながら、アナザー鎧武を止めようとウォッチを取り出そうとする。
「あ……!ほんとにいた」
そこへゲイツの後を追う様に、ソウゴとツクヨミが駆けつけてきた。
「ジオウ……」
ゲイツはソウゴの姿を見て、アナザー鎧武から視界を外した。その隙にアナザー鎧武はさっきと同様にチャックを開き、頭上から被さる様にゲイツを森の中へ送った。
「ゲイツ!」
ツクヨミが叫んだ頃にはチャックは消失し、ゲイツは既にこの世界から居なくなってしまった。
「明導ゲイツ。もう少し見どころのある男だと思ったが……残念だ」
スウォルツが心にもない事を言い残し、ゲイツを探すツクヨミ達の前から去っていく。
「ゲイツを助けないと…!『祝福しよう』」
ツクヨミがゲイツを助けようと思っていると、突如そこにウォズが現れた。
「君の魔王への道を妨げる明導ゲイツが消えたことを」
「ウォズ!」
ウォズはゲイツが消えた事を祝福しようと言う。
「とにかくアナザー鎧武を追わないとね」
「ソウゴ………ん?ちょっと待って…アナザー鎧武?どうして奴の名前を?」
ツクヨミはアナザー鎧武と聞き。何故、あのアナザーライダーの名前を知ってるかとソウゴに聞く。
「…あっ、は…あ~……えと、勘かな。奴の生まれた時間も分かったし、倒すのに必要なライドウォッチも手に入れた」
そう言って懐から、2013年の文字が刻まれた鎧武のライドウォッチを取り出し見せる。
「いつの間に……?」
ウォズはいつに間にか鎧武ウォッチを持っていたことに驚く。
「嫌だな。この前祝ってくれたろ!」
「この前祝った……?」
すぐに本を開き確認するが、そんな事はどこに書かれていない。
「記録が…ない……」
戸惑ったウォズはジオウを祝った記録がないと叫びながら、困惑を隠せずにいた。
「全然話が噛みあわない!」
「とにかく話を進めていいかな?アナザー鎧武のことで、俺の知ってることを説明したいんだ」
「分かった。分かった。とにかく聞くわ」
ツクヨミにはどうなってるのかわからないが、とにかく今は話を聞くことにした。
「事件の発端は5年前、2013年…
当時人気が出る直前のダンスグループ、チームバロンを追い出されたアスラって男にタイムジャッカーが接触したのが事件の発端だ…
それ以来、アスラって男は邪魔者を『ヘルヘイム』っていう不思議な空間へ放り込んで自分がチームバロンのリーダーになった」
よく調べられたな、と思うような事をすらすらと語っていく。
「ねぇ。何でそんなに詳しいの?まるで見てきたみたい」
「え、そりゃさ……いろいろ調べたからさ…」
だが調べたにしては知りすぎてる、まるで実際に見てきたかのような感じだった。これは何かあるのではないかと睨み、ツクヨミは彼の顔をジッと見つめる。
「絶対おかしい!何か隠してる?」
「あっ……俺、今日の買い出し行かなきゃ!先に戻ってて。俺、この人病院連れていくからちょっと行ってくる!
「ちょっと待ちなさい!」
ソウゴは何かを誤魔化すかの様に倒れていたスタッフを病院に連れて行き、去っていった。
その頃、謎の空間の森『ヘルヘイム』へと送られたゲイツは辺りを見回す。
「ここは…」
「うわぁぁぁぁぁ!」
声が聞こえると、そこにはここに送られた人達、先程メンバー…いや、そうじゃない人までもが、ずんぐりむっくりした灰色で二頭身の怪物『インベス』に襲われていた。
『ゲイツ!』
すぐさまゲイツライドウォッチを起動し、ドライバーに装填した。
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
『ジカンザックス!Oh!No!』
ドライバーを回すと仮面ライダーゲイツへと変身し、出現させたジカンザックスを振り回してインベスたちを切り裂き続け、人々を助ける。
一通り倒したのを感じて、武器を下ろし一息ついたその時…
「後ろだよ」
「⁉︎」
その声の知らせの通り後ろを振り向くと、後方にインベスがいて、咄嗟に攻撃を放ちインベスを倒した。
「あんたは……」
声が聞こえた森の奥から、あのダンスチームと同じ服を着た男性が現れた。
「駆紋戒斗」
ゲイツがヘルヘイムの森で駆紋戒斗と名乗る男と出会ったその頃。
はぐくみ市にある木々に囲まれた池の前でさあやは一人、台本を見ていた。
「さあや……」
「ソウゴ君?どうしてここに?」
「ゲイツを探してるんだ。でも、闇雲に探して中々見つからないんだ」
そこへ偶然、近くを通りかかったソウゴが彼女の姿を見つけてそう話しかけると、さあやの手に握られていた台本に気づく。
「もしかして…練習の邪魔だった……?」
申し訳なさそうに言うと、彼女は靴と靴下を脱ぎ、池の中を歩く。
「――私は誰?」
さあやはそう言うと、胸に手を置く。
「わからない……暗くて何も見えません…
それでも、私の道は私が開かなければ――」
自分がオーディションで喋る台詞を言いながら演技を行う。
その姿は、まるで背中に羽が生えた天使のようだった。
「やっぱり、凄いよ……」
「天使様……」
「あっ、はな!ほまれ!」
ソウゴが彼女の演技の姿に目を奪われていると、誰かの声が聞こえる。
振り向くとはなとほまれが其処にいた。
「ごめん、覗き見するつもりは……」
「今の何⁉ 天使がほんとにいるかと思ったらさあやだったの!天使がさあやでさあやが天使で…ああ!なんていうか!」
「背中に羽見えたっていうか!」
「ありがとう!今度オーディション!地上に降りた天使の役なの」
「マジで!それ凄い!」
同じようにさあやの演技を見て、自分のスケートの演技に参考出来るとほまれは褒め続ける。
「ねぇ、もう一回やって!ワンモア!ワンモア!」
はなにせがまれ、さあやはもう一度やろうとする。
「ココハドコ!ワタシハダレ!暗クテ何モ見エマセン……!」
「……やっぱり、まだダメか…」
ソウゴと彼女だけだった先までと違い、急にカタコトのような、演技というには余りにもワザとらしい、違和感のある喋りになった。
「………ソウゴ君ならまだ大丈夫だけど、他の人に見られてるとこうなるの……オーディションは特にダメ」
「緊張するって事?」
「色々考え過ぎちゃうの……この人は私に何を求めてるんだろ……何が正解なんだろって……」
「でも、あのCMのさあやはそんな風に見えなかったけど……」
ほまれの記憶では、CMに出ていたさあやは楽しくやっていた。
「確かに昔は何も考えず役になりきる事が出来たの。でも……」
周りの人達による期待、そして“薬師寺れいらの娘”と言う言葉がさあやにプレッシャーを与え、それ以降オーディションが上手くいかなくなってしまった。
「私は母のようになりたいのかそれとも……段々色んな事が分からなくなっていて……」
――その内、女優になりたいという気持ちもわからなくなった。
「で〜い!」
苦悩するさあやに、はなが水をかける。
「わぁっ!つめたっ、何?」
「さあやがこ〜んな顔してたからさ」
はなは顔を目と口をいじり、変な顔を見せる。
「してません!」
「ほまれも!」
ほまれもやる気満々に池へやってきて、さあやに水をかける。
「…ねぇ、さあやはどうしてオーディション受け続けてるの?」
「……きっと、自分の気持ちが分かりたいからだと思う。
答えが分からないまま諦めたくない!落ちてばっかだからカッコ悪いけどね…」
「なんで。それめちゃカッコいい!」
「そんな、カッコ良くないよ……ずっと悩んでるだもん」
「悩めばいいじゃん」
岸に立っていたソウゴが、さあやにトコトン悩んで良いと喋りかける。
「自分がなりたいものを見つけるまで悩めば?」
「ソウゴ君…」
悩む事は別に悪い事じゃ無い。だから今すぐ答えは出なくてもいいから考えに考えて、その上で自分で決断出来れば全て良しと言い、くよくよ悩んでいるさあやを力づける。
「俺は前にさあやに元気を貰ったから。悩んでるなら、いくらでも付き合うよ」
「そうだよ。私達も側にいるから!」
「はな……ほまれ……」
さあやが呟くと、さっきまでの思いつめた表情から一変して二人に水をかけ返す。水を掛け合っている内に、さあやの顔から笑顔が戻った。それを見たソウゴもつられて、安心に満ちた笑顔になった。
「…うん?そういえば、なんでソウゴがここに居るの?」
水を滴らせまがらはなはふと、ゲイツを探しにダンスチームの所に行っていたはずのソウゴが、何故ここにいるのか気になった。
「えっ?それはゲイツを探してたら、たまたまさあやに会って……」
「ダンスチームの所にゲイツが居るって、自分で言ってたじゃん!」
「ゲイツが?それ本当?」
自分がそんな事を言ったのかと不思議そうな顔をする。
「あれ?病院に行ってたんじゃないの?」
そこに、ツクヨミが四人を見つけ近寄ってくる。
「え?いや~……ってか、ツクヨミこそ何処行ってたの?ゲイツ見つかった?」
「えっ?」
「そうだよな。俺も見つからなくてさ…
やっぱ闇雲に探しても駄目だよね。なんか作戦立てよう」
「………一体何なのよ。もうーっ!」
ツクヨミはさっきまであった事をありのままに話した。ダンスチームにゲイツがいた事、アナザー鎧武と戦った事も。
「俺がゲイツの居場所を知ってる……?しかもアナザー鎧武と戦った?」
「アナザー鎧武を倒すためのライドウォッチも持ってるって言ってたでしょ?」
「持ってないし、知らないよ」
「だってさっき……」
彼は持っていないと言うが、さっきまでは間違いなく鎧武ウォッチを持っていた。
「夢でも見てたんじゃないの?」
ソウゴの言葉を聞いて、ツクヨミは本当に夢を見ていたかのように思い始めて来た。
「……? ………あっ!」
「どうしたの?」
すると彼女がある違和感に気付く。
「ソウゴの服!」
「服? ……あっ!ソウゴの服…変わってる!」
みんなはさっき学校で戻ってきたソウゴと、今此処にいるソウゴとは服が違う事に気付いた。
「ひょっとして…まさか……」
「な、何……」
ツクヨミは何かに気づき、ソウゴを押し倒す。
「アンタ‼︎ ……アンタじゃないけど、何てことしてんのよっ!」
「俺、何もしてないよ…」
「とにかく明日あそこに行くわよ!」
「だから……何?」
何がどうなっているのか、何故押し倒されているのか、ソウゴにはわからなかった。
クライアス社では誰もいない中、ルールーが一人机で何かを調べていた。
「ルールーちゃ〜ん? 今日って暇だったりする?」
そこにパップルがルールーに近づく。
「何ですか?」
「実はジーカレに誘われちゃってさ〜今日の仕事代わってくれない?やっぱラブも大切じゃない?」
「……?」
「その辺、おなじ女子なら分かるでしょ?彼氏よ彼氏」
「理解不能……」
「あーら、あんたにはまだ早かったかしら? まっ、そう言う事だからよろしくちょんまげ〜」
そう煽りを混ぜながら言うと、ビルの中のタクシーへと乗りこみ去っていった。
「プリキュアとジオウ・ゲイツの分析は完了ずみ、排除成功確率99%」
何かの分析が完了されると、ルールーは99%の成功率を呟きながら、画面を明かりを消したのだった。
翌日、さあやは『地上に降りた天使たち(仮)』のオーディションへと挑む。
「ここからは一人で大丈夫!」
「応援しとるで!」
「これ、はぐたんとみんなで作ったの」
はな達はそう言って、みんなで作ったハート型アクセサリーのブレスレットを、腕に着けた同じブレスレットを見せながらさあやに渡した。
「ありがとう」
「それと、これ…ソウゴから」
ほまれがソウゴからのメモを渡す。
「じゃあ、行ってくる!」
さあやは仲間達に見送られながら、オーディションを受ける部屋へと入る。
「…来ましたわね、薬師寺さあや」
「蘭世ちゃん」
「薬師寺れいらの娘だからって、遠慮はしませんわ!」
蘭世が“薬師寺れいらの娘だ”と言うと、他の受ける女の子達もさあやに注目する。
スタッフまでもが「どんな演技をしてくれるのか」と期待に満ちた目で注目し、それを受けたさあやは委縮してしまう。
はな達の居るドア越しからも、会場のざわつきが聞こえる。
「ここのままじゃ…」
はなは心配になり、ミライパッドを出す。
「待って!」
しかし、それをほまれが止める。
「ほまれ?」
「ソウゴに言われたの。ここはさあやが乗り越えなきゃならないって……」
さあやがオーディションへと挑む一方その頃。ソウゴはツクヨミに連れられ、あるダンスステージへと連れ来られた。
そこでは大勢のファンの中で踊っているチームバロンがいた。
「あの真ん中で踊ってるのがアナザー鎧武。アイツを倒して!」
ツクヨミは真ん中で踊っているアスラに指し、あいつがアナザーライダーだと言う。
「でもこの時代に倒しても無駄じゃんか。それに俺、アイツを倒せるライドウォッチ持ってないよ!」
「いいの!騒ぎが起こればアイツがきっと来る!」
「アイツって⁉︎」
「いいからっ!」
ツクヨミがソウゴを押し出すと、実況席からマイクを取り出す。
「そこまでだ!」
鼻をつまんた声でマイクに向かって叫ぶと、周りの注目は前に出たソウゴに行く。
「なんかデジャブー……」
「貴様は、昨日の……」
「初めましてなんだけど……アンタを倒させてもらう!」
『ジクウドライバー!』
『ジオウ!』
ジクウドライバーを装着し、取り出したジオウウォッチを回してD'9スロット側の差し込み口に入れる。ドライバーの真ん中のロックを押し、背後に時計が現れるとソウゴが構える。
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
ドライバーのジクウサーキュラーを反時計周りに回すと、音声が流れてジオウへと変身した。
「……邪魔ものはすべて排除する」
アスラも人目をはばからずアナザー鎧武へと変身。それを見たメンバー、観衆とも怪物の出現に慌てて逃げていく。
そのままジオウはアナザー鎧武と交戦に入った。
場面は戻り、オーディション会場では蘭世の審査が終わり、さあやへと回ろうとした。
(どうしよう……今になって……)
自分の出番に回ると緊張し、また失敗すると思い始める。
すると、手に握られたソウゴの紙のメモに気づく。
「これ……」
さあやは彼からのメッセージが込められたメモを広げる。
『さあや。いつも通りやればいいよ。
あの時、俺が事故で両親が居なくなって暗くなった時、さあやの演技が俺を助けてくれたんだ。
だから、失敗してもいいから楽しんでやってみて!
by.最高最善の魔王より!』
「ソウゴ君……うん!」
ソウゴからのメモを読み、彼女から緊張が解けた。
そして遂に自分の出番となり、はな達から貰ったブレスレットを着けながら審査員達の前に立つ。
「――分からない!暗くて何も見えません!私は私!私だけの道は、私が開く!」
すると彼女は、練習の時以上に完成度の高い、感動的な演技と台詞を放つ。
それを見ていた審査員も他の受験者も圧倒され、蘭世は「また彼女に負けるのか」と不満そうな顔をする。
そこへ、UFOに乗り込んだルールーがオーディション会場の上空現れた。
「トゲパワワ発見」
彼女は画面の方を見ながら、蘭世から漏れ出るトゲパワワを発見した。
「明日への希望よ!消えろ!ネガティブウェーブ!」
ルールーから放たれたネガティブウェーブが蘭世へと放たれた。
「あっ、蘭世ちゃんどうしたの?」
「もしかして……」
禍々しいオーラを放ちながら倒れ込んだ蘭世をみたさあやはオシマイダーが現れたと気づき、彼女は外で待っていたはなとほまれと一緒に外の方へと向かう。
そこには蘭世から現れた、パソコンの様なキーボードと画面が腹部に着けられ、マウスを模した腕を持ったオシマイダーがいた。
「みんな、行くよ!」
「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」
はなとさあや、ほまれはミライクリスタルをセットし、姿を変える。
「輝く未来を~抱きしめて!!みんなを応援♪元気のプリキュア!キュアエール!」
「輝く未来を抱きしめて!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
「輝く未来を抱きしめて!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「現れましたね。プリキュア」
「ええ!?UFO!」
変身したエール達の前に、ルールーが乗るUFOが現れた。
それと同時に、彼女達の姿を見ながら現れた人物が、黒いオーラに包まれる。
三人が変身した頃、ジオウはアナザー鎧武と鍔迫り合いとなっていた。
「5年だ。俺は5年をかけて頂点に立った!誰にも邪魔はさせない!」
アナザー鎧武がジオウを押し込もうとする。
「よく、わかないけど……あんたを止める!」
ジオウは振り払い、腕にあるオーズライドウォッチを掴む。
『オーズ!』
ウォッチを装填し、前からオーズのアーマーが出現すると、ドライバーを回す。
『アーマータイム!タカ!トラ!バッタ!オーズ!』
オーズアーマーを装着し、アナザー鎧武へと向かっていく。
ジオウはオーズアーマーの腕に装着されているトラクローZで攻撃しながら攻める。
じわじわとアナザー鎧武を追い詰めていくジオウ。
だが突如爆風が起こり、ジオウの前にエール達三人が飛ばされて現れた。
「みんな!……ッ⁉︎」
みんなが現れた突如、ジオウの前から炎のような攻撃が飛んできた。
『ウィザード…!』
そこに現れたのは、顔が粉々に割れてしまった赤い宝石の様なものになっており、其処から見える目の部分はドクロのように落ち窪んでいるものの、その奥には瞳が見え。肩や胸にはドクロを意識した造形があり、赤色のローブを身につけたアナザーライダーだった。
「えっ?うそ……」
「アナザーライダーが、もう一人……」
アナザーライダーがもう一人いる事にジオウとエール達は驚いた。
「対象、ジオウを確認……」
「何のこれしき!」
エール達と戦っていたオシマイダーも現れ、エールが反撃に出る。
「あなた達のデータは全て分析済みです」
エールがオシマイダーに突撃しようと何度も仕掛けるが、全て避けられた上にカウンターを受ける。
「キュアエール。あなたの動きは直線的で読みやすい」
「攻撃が読まれてる……」
それを見てエトワールが加勢に向かう。すると、オシマイダーがエトワールの前で足踏みをしみ埃を撒き散らす。
「キュアエトワール。あなたの身体能力は群も抜いている、だけど……」
エトワールは見えない隙を突かれ、オシマイダーに飛ばされた。
「思いがけない出来事に対して非常に脆い」
「エトワール!」
「そして、キュアアンジュ。あなたは戦闘能力はもっとも低く……」
「フレ!フレ!ハート・フェザー!」
ハートフェザーを展開しエトワールを守ろうとするが、オシマイダーの攻撃に簡単に砕けた。
「得意のバリアも、私のオシマイダーで破壊可能」
「みんな!くぅ…退いて!」
アナザーライダー二体を払いのけ、ジオウはエグゼイドライドウォッチを起動させる。
『エグゼイド!』
「とどめです。オシマイダー」
とどめを刺すように指示を出し、オシマイダーは三人向かって攻撃を繰り出す。
「プリキュア排除完了……あっ…」
「させない……」
プリキュアを倒したと思ったルールーであったが、エグゼイドアーマーと変わったジオウがみんなを守った。だがそこにアナザーウィザードがジオウに攻撃して吹き飛ばす。
「理解不能……これが、あのジオウ……」
ルールーは三人を守ったジオウを見て理解不能と呟く。
「私も……」
ジオウが三人を守ったのを見てアンジュが起き上がる。
「もう諦めたらどうです」
「私も諦めない。なぜなら……みんなを守りたい気持ちは誰にも負けない!」
アンジュが自身の想いを言うと、彼女から青い光が放たれた。
すると、羽を二つ重ねたような形で、中心部には八芒星の文様を持つミライクリスタル『ミライクリスタル・ネイビー』が誕生した。
「あっ……」
「アンジュが……あっ!?」
「っ⁉︎ ソウゴ君!」
アンジュに気を取られている間にジオウがアナザー鎧武に捕まってしまう。
「貴様も、あの世界に送ってやる!」
アナザー鎧武が腐った果汁の様なオーラで拘束しながら、クラックを開いてジオウをヘルヘイムに追放しようとする。
『スレスレシューティング!』
すると、ジカンギレードと同じ攻撃が放たれ、ジオウからアナザー鎧武を離した。
「えっ?」
「今の……」
砲撃が放たれた方を向くと、そこから現れたものに全員が酷く驚く。
「えっ?えぇ!」
「マジ……?」
「こんなことが……理解不能……」
「お、俺……!」
なんと、そこに現れたのは
「やっぱり来た」
「我が魔王?まさか……」
予想通りだと思ったツクヨミと、戦いの場に現れたウォズはこの光景を見て、二人に何が起こったかある程度検討が付いた。
「こんにちは~」
現れたもう一人のジオウが、今助けたジオウに挨拶する。
「えーっ⁉︎ …まあいいか」
もう一人ジオウが現れた事は一先ず置いて、アナザーライダー達の方に集中する。
「アンジュ!よくわからないけど、早くオシマイダーを!」
「う、うん!」
アンジュもオシマイダーに気持ちを切り替え、プリハートに新しく生まれたクリスタルをセットする。
「フレ!フレ!ハート・フェザー!」
さらに強くなったハートフェザーがオシマイダーに向けて投げられ、それを受けたオシマイダーはバランスを崩し倒れる。それを見たエールもプリハートにクリスタルをセットする。
「フレフレ!ハート!フォ~ユ~!!」
倒れている隙にハートフォーユーを放ち、消滅させた。
オシマイダーが消滅したのを確認したルールーが逃げていく。
そして二人のジオウによる連携で、二体のアナザーライダーを追い詰める。
「よし、一気に決めよう!」
『フィニッシュタイム!エグゼイド!』
フィニッシュタイムで一気に決めようとする。
「今はまだダメなんだ」
「え⁉︎」
だが、もう一人のジオウが咄嗟にフィニッシュタイムを放とうとしたジオウを止める。
それを見てアナザーライダーが手からエネルギー弾を二人のジオウに放ち、それぞれ散っていく。
「逃げられた!」
爆炎が晴れた時にはアナザーライダーは見えなくなっていた。
ソウゴは変身解除し、もう一人のジオウへと近寄る。
「あんた……一体、誰?」
一体誰なのか聞くと、もう一人ジオウを変身を解除する。
「えぇ!ソウゴが二人⁉︎」
「何がどうなっての?」
「もしかして、ドッペルゲンガー……」
目の前で変身解除し、現れたのは、ラーヴェル学園の制服を着たソウゴだった。
「俺?俺は……俺だよ」
「やっぱり!」
「何という事だ……」
二人のソウゴが対面。この状況にツクヨミは案の定とばかりに声を上げ、ウォズは頭を抱えそうになっていた。
その頃、ヘルヘイムの森。
ゲイツと偶然出会った駆紋戒斗と共に入り口を探す。
「何とかここを抜け出す方法は無いのか?」
「無いな。ここに来て5年ずっと探してる」
「何か手掛かりは……」
「…何故そんなに帰りたい?」
「俺にはやらなきゃならないことがある」
「ほ~う……何だ?」
「ジオウを……魔王をこの手で倒す」
ゲイツは拳を握りしめ、ジオウを…ソウゴを倒すと言う。
「フ……魔王?」
「何がおかしい?」
ジオウを倒す。そう言うゲイツに戒斗が微笑する。
「お前に迷いが見えるのは気のせいか?」
「俺が迷ってるだと?」
「運命を覆す強さなど、お前からは感じない!」
戒斗がゲイツには迷いがあるから何も感じないと強く叫ぶ。そう言われたゲイツが一人去ろうとする。
「待て……」
「なんだ……」
「出てこい」
物陰に誰かいるのを感じ出てこいと言うと、男性の一人が現れた。
「誰だ?」
「俺は操真晴人……ただの国安ゼロ課の人間だよ」
そこには黒いスーツを着た、警察手帳を見せる青年、操真晴人が二人の前に現れた。
「それと、偶然一緒にここに放り込まれた……」
「東せつな……」
そして、晴人の後ろから一人のゲイツと同じくらいの歳の子が現れた。
次回!Re.HUGっとジオウ!
第10話 武者と魔法と夢 2012
おまけ
おじさん「今話題のマジシャン。マジックショーが受けてるんだって」
ソウゴ「マジシャン?」
おじさん「うん、ソウゴくん知ってる?」
ソウゴ「うーん、でもマジシャンって善良な市民から大金を徴収する詐欺師集団の極悪人でしょ?」
おじさん「……うん、ソウゴくん多分なんかと勘違いしているし、意外と口が悪いね」
〈警告!マジシャンはそんな職業じゃありません。〉
完