Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
我が魔王は着実に力を付けているが、未だに魔王としての自覚がない……そこで、門矢士によって未来の自分を――
…おっと、先まで読んでしまうところでした」


第13話 未来の自分、その名を…オーマジオウ 2068

――とある荒地にて、黒と金の和服っぽい衣服を着た一人の白髪の男性と、半袖シャツを着た一人の茶髪の青年が対峙していた。

 

「……まったく、いきなりこんな所に拉致して、君は何を考えているんだ……」

 

「まあまあ、そんなこと言わないでよ。あんただって一回は彼らに会ってみたいでしょ?」

 

「余計なお世話だ。大体、私は……」

 

「それに、久しぶりに()()()の姿も拝んだ方が良いんじゃないの?特にあんたの場合、今のうちに……ね?」

 

「………」

 

少しイラついた様子を見せながら呟いていた高齢の男性は、青年のその言葉を聞くと途端に黙り込み、自身の胸辺りに手を当てる。

 

「それじゃあ、俺はあっちに行ってたこ焼きとか買ってくるよ。確かあっちじゃあ今、お祭りをやってたよね?……あっ、何か欲しいものあったら言って――」

 

「待て待て待て、お前あっちに行って大丈夫なのか?彼らに見つかったら色々面倒な事が―――」

 

「大丈夫、大丈夫!取り合えず帽子とサングラスかけておけばバレないって。それじゃあ!」

 

青年はそう言って黒のニット帽とサングラスを身に着けると、彼の姿が()()()()()()()()()()()()()

青年の姿が見えなくなったのを確認した男性は、頭痛のする頭を押さえながら溜息を漏らしていた。

 

「…………ハァ…、まあいい。おい、カッシーン」

 

「はい、()()()()

 

男性が何者かを呼ぶと、彼の傍らに一体の機械兵が跪いていた。

 

「よく来てくれた、カッシーンよ。

……よくここまで直ぐに駆けつけることができたな」

 

「はい、我が魔王があの青年に飛ばされたこの場所から、貴方様のお屋敷まで然程離れていませんでしたから」

 

「そうか……それはそうと、カッシーンよ。今からお前に命令を下す」

 

「はい、何なりとお申し付けください」

 

「――お前にはこれから、2018年に向って貰う。

そこで明導ゲイツとハリハム・ハリー、ツクヨミ、そしてプリキュアを、この世から抹殺せよ」

 

「御意」

 

機械兵はそう返すと、そのまま男性の前から消えていった。

そして、只一人荒地に残った男性は、自分と一緒に連れ飛ばされた御簾の中に入り、そこに設置されている椅子に座った。

 

「……やれやれ。あの男は一体、どういう考えを持っているというんだ…」

 

先程対峙していた、一人の青年の姿を思い浮かべながら―――

 

 

 

 

 

2018年の春中頃。

今日は、はぐくみフードフェスティバルと言うイベントの開催日で、ソウゴ達は開場前の会場に来ていた。

 

「チキン……カレー……ラーメン……焼きそば……パフェにアイス!あちらには未体験のスイーツが……!」

 

色んな食べ物に興味津々のはなが、よだれを垂らしながら興奮していた。

 

「私達、今日食べに来たんじゃ無いでしょ?」

 

「そう。キラッとお仕事しChao。記念すべき第一号は、ここのウェイトレスさんよ。しっかりね」

 

「「「はい!」」」

 

すみれがタウン誌の企画ページを見せる。

今日は訪れたのはタウン誌のコーナーの仕事の為で、はな達はウェイトレスとして手伝う事になっているのだ。

 

「大人っぽい、イケてる私になる為に、頑張るぞーっ!」

 

「流石、張り切ってるね」

 

早速ソウゴ達は森の中に移動し、ミライパッドを取り出す。

 

「それじゃあ衣装チェンジ、行くよ」

 

ほまれがミライクリスタル・オレンジをミライパッドの上部にセットする。

 

「ミライパッド、オープン!」

 

画面から光が放たれ、パッド内でドアが開く。

 

「お仕事スイッチ、オン!…えっ?」

 

「あら……!」

 

ミライクリスタルの力で、さあやとほまれは可愛らしいウェイトレス姿になったが、はなだけ服装が違っていた。

 

「何で私だけタコ……?」

 

何故か頭に鉢巻きを巻いた法被と腹巻姿…要するにタコ焼き屋風の格好になってしまっていたのだ。

 

「何で、はなだけタコ焼き屋?さあやとほまれはウェイトレスなのに」

 

「私が知りたい……」

 

私服にエプロン姿のソウゴが首を傾げて尋ねると、はなは泣きながらこっちが知りたいと嘆いた。

 

「その格好だと、タコ焼き屋に行くしか無いね」

 

それぞれの手伝う場所が決まり、フェスティバルが開かれた。

 

 

「おわー、盛況やな」

 

開催されたはぐくみフードフェスティバルに人々が沢山訪れる中、はぐたんを抱っこ紐で抱えたハリー、ゲイツとツクヨミが現れる。

 

「あの四人、きばっとるかいなー?」

 

ハリーは右手を額に当て、ソウゴ達を探す。

 

「七十八番のお客様、はぐくみソフトクリームのバニラとチョコ、お待たせしました」

 

ほまれがトレイに乗ったソフトクリームを、注文した人達のいるテーブルに置く。

 

「おおー」

 

「お待たせ致しました。ボロネーゼラーメンととろとろ卵のカレーライスです」

 

さあやも同様に、ラーメンとカレーライスをテーブルに置く。

 

「おおー!」

 

「焼きそばお待たせしました。また来てください」

 

ソウゴは『クジゴジ焼きそば』と書かれた屋台で、叔父の順一郎と焼きそばを作っていた。

 

「叔父さん。大盛況だね」

 

「そうだね……けど、時計の仕事がしたい……」

 

商売繁盛しているが、順一郎は相変わらず時計の仕事がしたいと拗ねる。

 

「ソウゴんとこ。繁盛してるな」

 

「……」

 

「ゲイツ?ソウゴがどうかしたの?あれ、そういえば、はなは……ん?」

 

ツクヨミがはなを探すと、タコ焼き屋の傍で立ち尽し、口をタコの様に形作ってたのを見つける。

 

「何でやねん!」

 

ハリーがツッコむのと同時に、はぐたんもタコの口を作った。

 

「「はぐたん!」」

 

「おおい、イケメン店長もおるで」

 

ハリーがさあやとほまれの元に歩み寄る。

 

「何だ、ネズミも来てたの」

 

「誰がネズミや!ハリハム・ハリーさんや!」

 

「飲食店の周りでネズミ連呼したらダメだよ?」

 

「あっ、はい」

 

「ゲイツもツクヨミもいらっしゃっい♪」

 

さあやに注意されるハリーをスルーしながら、エプロンを着たままのソウゴも二人前の焼きそばを持って椅子に座ると、はなだけが違う格好になった事を話す。

 

「ほーん、はなだけが違う格好に……」

 

「そうなの……この格好じゃ、自動的にタコ焼き屋担当にされちゃって……」

 

はなはタコ焼きの担当になったことに落ち込む。

 

「でも、あの店のタコ焼き屋、めっちゃ美味いよ」

 

「毎年出店してるけど、他のお店の人気に押されて今一つなんだって」

 

ソウゴはそう言って、前にあそこの店で買ったタコ焼きの味を思い出し、さあやも補足するように口を開いた。

 

「あそこの親父さん、愛想無いもんな。タコ焼き一筋五十年!って感じや」

 

「他の店はそこそこ並んでるけど、あそこだけはさっぱりねぇ…」

 

ハリーとツクヨミがしかめっ面でタコ焼き器に向って淡々と作業を続ける、角刈りの店主を見ながら。確かにずっとああいう態度では、いくら美味しいタコ焼きが作れても買いに行きづらいだろうなと思った。

 

「はい、ピッツァすき焼き風とラムネ、のびのび麦茶」

 

「おおきに」

 

ほまれがハリーの注文したピザとラムネ、はぐたん用の麦茶を運んで来る。

ハリーがピザを食べ、はぐたんが麦茶を飲んでいる姿を見ながら、さあやは「どうしてはなだけ、違う制服になったのかな……」と気にした様子で呟いた。

 

「私のクリスタルでウェイトレスの制服になるって言ったのに」

 

「ハリー、何でなの……?」

 

「そら何か、ミライパッドはんの考えがあるんかもしれへんな」

 

「ミライパッドの考え?」

 

はなの疑問に、ハリーはミライパッドに何か考えがあるかもしれないと話す。

 

「そんなのある訳?」

 

「ああ見えてもミライパッドはんは深いんや。深過ぎて俺も……」

 

「分からないのね」

 

「けど、はなと二人の、何か違いみたいなモンを感じてるんかもな」

 

「私と二人の違う所?」

 

ハリーの話を聞いたはなだが、彼女にはさあやとほまれと自分の間にあるという違う所が何かのかわからなかった。

 

「ゲイツ。今日はやけに静かだね」

 

その頃ソウゴは、いつもは積極的に倒そうとしてくるゲイツがいつにもなく静かだなと思いながら話しかけると、ゲイツに割り箸を向けられる。

 

「やはり、今日ここで終わりにする」

 

箸をソウゴの首へと向けてそう言い出すゲイツだが、肝心の本人は落ち着いた様子で対応する。

 

「そんな、物騒だなぁ。この前、俺のこと助けようとしてくれたろ?」

 

ソウゴはこの間、アナザーゴーストに魂を抜かれた時、ゲイツは必死になって自身を助けようとしてくれた事を思い出す。

 

「俺はお前によってもたらされた、最低最悪の未来を防ぎにここに来た!だが状況は変わった」

 

それに対し、状況が変わったと話すゲイツ。

 

「門矢士というわけの分からん奴が現れた……奴にお前が倒される前に……俺がお前を……」

 

「どうするの?」

 

「……今からでも遅くはない。ベルトを捨てろ!そうすればお前がオーマジオウになることは無くなる」

 

どうやって止めるのだと聞かれたゲイツは、ジクウドライバーを捨てろと、まるで説得するように言う。

 

「それはできない相談だよ。俺は最高最善の魔王になるって決めたんだからさ」

 

「お前!」

 

それに対しソウゴは、魔王になる為にジクウドライバーを捨てることは出来ないと断る。

頑なに王になる事をやめようとしないソウゴに、ツクヨミは「どうして王様になるって決めたの?」と、単純だが核心に迫った質問を投げかける。

 

「ああ……いや、別に生まれた時から王様になる気がしてたからだけど…」

 

「だったら話してあげれば?あの夢の話」

 

「夢?」

 

はな達がさあやの言うソウゴの夢について聞こうとすると……

 

「わー、混んでる……」

「思ったより人が多い……」

 

「いかがなさいましたか?」

 

すぐ傍で二人の女子が困った表情を浮かべるていた事にさあやが気付き、声を掛ける。

 

「急いでるんだけど、時間掛かりますか?」

 

「アメリカンドッグ、焼きそばでしたら二分程でご用意出来ます」

 

ミライパッドで料理の出来上がる時間を確認し、アメリカンドックと焼きそばなら二分程で用意出来ると伝える。

 

「でも、せっかくだから人気メニュー食べたいよね?」

「うん」

 

「でしたら、はぐくみチャウダーはいかがでしょうか?人気店ですが、ご用意まで三分二十秒程です」

 

「いいねそれ!」

「それにします!」

 

「「ありがとう!」」

 

二人の女子は適切な対応をしてくれたさあやにお礼を言い、教えられた店へ向かった。

 

「さあや凄い……!」

 

「料理の調理時間を全部データにしておいたの」

 

「全部⁉︎」

 

前もって料理の調理時間を全部データしたと聞き、はなは驚く。

 

「あっ!俺、そろそろ戻らないと。ごめんまた後で!」

 

昼時になって人も増えて混み出したため、ソウゴは叔父の元へと戻る。

 

「………覚悟を決めなきゃいけないのは、俺のほうか」

 

「え…」

 

ゲイツは走っていくソウゴを見つめると、これまで共に戦ってきた仲間の一人にふと、自身の心の内を吐き出し始める。

 

「俺は戦士だ。この時代に来るまでは、どんな手を使ってでも最悪の未来を防ごうとしていた」

 

「今は違うの?」

 

「奴が最低最悪の魔王になるはずがない。そう考えだした自分がいた……だから、あんなに甘い態度をとってしまう」

 

さっきのように、ベルトを捨てろと言ってしまった事が甘い態度だったと反省する。

 

 

それからしばらくし、はながタコ焼き屋の方に戻るが、ここだけは行列が出来て無かった。少なくとも此処一時間は、先程タコ焼きを二つ程買っていったニット帽とグラサンを身に着けた青年以外に、誰かが買った様子は見当たらなかった。

 

「私も何かやんなきゃ!」

 

何かやらなきゃと思い立った彼女は、そう張り切りながら店の前に出る。

 

「さー、らっしゃいらっしゃい!タコ焼きいかがー!美味しいよー!熱いよ!丸くて熱いタコ焼き、一筋五十ねーん!」

 

「五十年だと⁉︎」

 

はなが呼び込みに精を出している最中、店長がタコ焼き屋歴を勘違いした事に怒鳴る。

 

「六十年でしたか……?」

 

「四十九年だ」

 

「すみません……」

 

四十九年と伝えられ、はなが震えて委縮しながら頭を下げて謝る。

 

「呼び込みなんざいらねぇ。こちとら、味で勝負の四十九年だ。静かにしてろ」

 

「は、はい……!」

 

その直後、サンドイッチ屋から料理が上がったのを聞き、少しでも名誉挽歌しようとトレイを受け取って運びに向かう。

だがすぐ近くの列から子供が出て来た事に驚き、サンドイッチと飲み物の乗ったトレイを誤って飛ばしてしまい、転んでしまう。

 

「めちょっく……!」

 

地面に落ちそうになった所へ、ローラースケートを履いたほまれが右手でキャッチし、はなの方を向いてピースサインを送る。

 

「ほまれ~……!ナイスキャッチ……!」

 

泣きながらそう言い、右手の親指を立てる。

 

「お待たせしました」

 

器用に滑り、注文したテーブルに運ぶと、周りの人達から拍手が湧いた。

 

「ほまれも凄いなぁ……」

 

「近くの観光ですね?タワーの後は、はぐくみ博物館がオススメです」

 

はなが表情を曇らせながら視線をずらすと、さあやがミライパッドを使って観光案内をしていていた。

 

「はぁ……さあやとほまれは同じ歳なのに、何でこう違うんだろ……

新しいミライクリスタルも、私だけ、無い……」

 

さあやとほまれは既に二つ目のミライクリスタルをゲットしたにも関わらず、自身だけゲット出来ていない事を思い出し、徐々に自信を無くしてしまう。

 

「元気だしなよ」

 

「ありがと……」

 

ソウゴがベンチに座るはなに紙パックのジュースを差し出す。

 

「どうしたの?元気無いね」

 

そこへさあやとほまれもやってきた。

 

「私……何も出来ない……」

 

「はな……」

 

「何言ってるの!人と自分を比べたってしょうがないじゃん!はなははなでしょ?」

 

「はなははなでも、何も出来ないはなだもん!」

 

そう叫ぶと走りだし、ソウゴ達の前から去っていった。

 

 

 

 

クライアス社の会議室では、社員全員が集められていた。

 

「新しいプリキュアが生まれてから、データに無いミライクリスタルが五つ出現。アスパワワを著しく増加されると予測されます」

 

ルールーが淡々と社員に報告を行う。

 

「その上、若き日の会長は力をどんどん上がっています。このままでは……」

 

「社長は非常にご立腹ですよ。プリキュアと若き日の会長の為に計画が一向に進まないとね」

 

リストルはパップルをチラッと見ながらそう話した。

 

「ちょっと!あたしのせいだっての?」

 

「ミライクリスタルの奪取は、プリキュアと若き日の会長のせいで失敗続きだ」

 

「しもしも……!じゃなかった。そもそも、チャラリートが最初に失敗した上に、ちゃんと報告しなかったのが原因なの!」

 

パップルは計画が進まないのはチャラリートのせいだと責任転換を行っていると、部長の椅子に座っていた、口髭と赤リボンで止めている三つ編みの顎鬚が特徴の男性…ダイガンが眼鏡を光らせる。

 

「どうやら、私が出張らねばないようだな」

 

「ちょっと部長!それって私も左遷部屋行きって事⁉︎」

 

「既に先に行ってるチャラリートと似た者同士、仲良くする事だ」

 

「チーフ!冗談じゃないわよ!あの無能チャラ男と一緒にしないで!

見てらっしゃい!あたしのブッ飛びな活躍を……」

 

スウォルツに反論するパップルは、ジオウとプリキュアを倒しに去っていく。

 

「大変だ!」

 

「どうしました。ウール君?」

 

すると彼女と入れ替わるように、ウールが会議室へと現れた。

リストルはウールの慌ただしい様子に眉を寄せながらも、落ち着いた様子で問いかける。

 

「ダ、ダ、ダイマジーンが……ッ⁉︎」

 

刹那、ダイマジーンという言葉を聞いた全員に、動揺の波が広がる。

 

「まさか、彼の方が動かれたのか……」

 

「………我々の狙いが読まれた……?」

 

「オーマジオウの奴。本気で世界を壊しちゃうつもりかな?」

 

「確かに本来の歴史よりまだ早過ぎる。私達の介入に気付き、あの日を早めるつもりか?」

 

「今のジオウはまだ若い……でもあいつがあれになったら……もう手がつけらんない!」

 

社員全員が言う“あの日”、その時が予定よりも早く来る事を何よりも恐れているのか、誰もが冷や汗を垂らした。

しかしその中でリストルは他の社員よりも冷静さを保ちながら、同じく冷静そうなスウォルツを一瞥しながら口を開いた。

 

「しかし、そのためにウォズが連れてきた男がいる」

 

 

 

「あれが全部魔王の仕業か」

 

同じ頃、特別室の窓からその様子を見ていた門矢士は、窓越しに巨大なロボットの様なものが動いている、外の様子を見ていた。

 

「全く……やばい奴だな。ほんとにあれがあっちで動き出したら、世界がぶっ壊れるのか?」

 

「いとも簡単に……あっけなくね」

 

ダイマジーン……それが動く時、世界はあっという間に消すと、そのマシーンについてオーラが説明する。

 

「俺が時見ソウゴを倒せばどうなる?」

 

「もちろん、最悪の事態は免れるわ」

 

「そうか……じゃあ、答えは簡単だ」

 

士はマゼンタ色のドライバーを取り出しながら、答えは簡単だと話す。

 

 

 

 

フェスティバルのイベント会場で、ラヴェニール学園吹奏楽部のコンサートが行われていた。

気分転換にコンサートの視聴をしに来たはなは、吹奏楽部所属でクラスメイトのひなせに猛烈な拍手を送っていた。

 

「凄~い!もうガーン!と来たよ!」

 

「ありがとう」

 

「みんなで一つの音楽を―――」

 

彼女はそう称えかけるも、ひなせの後ろをほまれが通り過ぎるのを目にして、更にはさあやも視界に知れてしまった事で、言葉が出なくなってしまった。

 

「野乃さん?」

 

「…みんな輝く才能を持ってるのに、私には何も無い……」

 

何もないとションボリする姿に、ひなせは何かあったのかと思いながら言葉を繋いでいく。

 

「野乃さんにだってあるよ。輝く個性が」

 

「えっ?」

 

「――吹奏楽はね、色んな楽器でハーモニーを作るんだよ。

一つの楽器だけじゃ無くて、色んな楽器の音がある。楽器一つ一つの個性が合わさって、想像を超えた素敵な音が奏でられるんだ。

…野乃さんは、野乃さんしか出せない音を、思い切り奏でればいいんじゃないかな?」

 

 

「そんな難しい事言われても……」

 

はなはタコ焼き屋に戻ってからそう呟き、店長の方を向くと険しい顔でたこ焼きを焼く光景が映る。

 

「でも、何かやらなきゃ……」

 

一瞬ビクッとなって視線を逸らすも、ひなせの言葉を思い出しながら呼び込みを行う。

 

「らっしゃいらっしゃい!美味しいタコ焼き、いかがですかー⁉︎」

 

「おーい!」

 

「ッ! また……すみません……」

 

「…食ってみろ。食いもしないで、何故美味しいと思う?」

 

怒鳴られてまた怯んだはなに、店長がタコ焼きの刺さった爪楊枝を差し出す。

 

「あ……私……」

 

「ほれ、冷めちまうだろ?」

 

「は、はい…」

 

爪楊枝を受け取ってタコ焼きに息を吹きかけて冷まし、口に入れる。

 

「美味ひ~い!」

 

その瞬間。彼女はあまりの美味しさにテンションが上がり、毎踊りながらその美味しさを表現し始めた。

その時の行動を見た人達が、はなのオーバーリアクションを見て笑っていた。

 

「ごめんなさい……!」

 

「あん?」

 

笑い声を聞いたはなは恥ずかしさで頬を赤くし、ごめんなさいと謝る。

しかし店長は彼女が突然謝りだした理由を一瞬理解することが出来ず、素っ頓狂な反応をしてしまう。

 

「笑われちゃい…ました?本当に……何も出来なくて……!」

 

謝罪しているうちに自分が情けなくなり、はなの目には涙が溜まる。

 

「つっ……!」

 

「お、おい!待て!」

 

そのまま泣きながら走っていくのを店長が止めるが、はなは止まらず去っていく。

 

 

空が赤みがかるまで走り続け、少し疲れたのか悲しげな表情で埠頭付近のベンチに座ったはな。

そんな彼女の元に、はぐたんを抱っこ紐で抱えたハリーと、タコ焼き屋からいなくなった彼女が心配で探しに向かっていたソウゴが現れる。

 

「はなー?大丈夫?」

 

「はぐたん……ソウゴ……」

 

「ちょぉ!ワイはスルーか⁉︎ どないしてん?おっかしな顔しよってからに」

 

「顔?」

 

「こないな顔しとるやんか」

 

自分だけスルーされた事にいつものツッコミをいれつつ、ハリーは手を頬に当てて変顔を作る。

 

「いつもはこないな顔やけどな」

 

今度はテンションの高い表情を作り、両腕を上下に動かす。

 

「私なんて……変顔しか出来ない……ダメダメなんだ……!」

 

それを見たはなは、いきなり自分をダメダメだと呟く。

重々しい雰囲気にハリーはふざけるのを辞めてソウゴと目を合わせ、何かあったのかと問いかける。

 

「………私ね、大きくなったら、何でも出来る、何にでもなれるって思ってたの……」

 

「はな、まだお前は、大人の階段上る途中や。それはどう言う事かっちゅうと―――」

 

「なのに何も……何も出来ないよ……!」

 

自己嫌悪に陥って聞く耳を持つことの出来ない彼女を見兼ねたソウゴは、今自分がかけることのできる言葉を話そうとする。

 

「そうかな……? 何も出来ないなら、何でも頑張って挑戦することが大事じゃないかな?」

 

「挑戦……」

 

これで少しは元気になればと願いながら励ますが、まだいつもの明るさが戻らない彼女の様子に、これは重症だなと困り顔になる。

 

 

打倒プリキュアとジオウの為、会場へ現れたパップル。

中に入ると、はなのリアクション効果もあって、昼間とは打って変わってタコ焼き屋には大行列が出来ていた。しかし彼女の視線は、タコ焼き屋の店長に行く。

 

「何も出来ねぇって事は、これから何でも出来る可能性があるってこった。

何故、そう言ってやれねぇんだ……俺って奴は……」

 

「超ラッキー!トゲパワワ見ーっけ」

 

女の子一人を慰めることさえ出来ない、自分の不器用さを恨んでいたタコ焼き屋の店長からトゲパワワを発見した。

 

「煽って、煽って、フウッフウッ!明日への希望よ、消えろ!ネガティブウェーブ!」

 

パップルが扇を振りながらバブリーダンスを踊り、ネガティブウェーブを放出させる。

タコ焼き屋の店長からトゲパワワを取り出されていく。

 

「しもしも~?発注。オシマイダー!」

 

暗黒の雲がタコ焼きに憑り付き、タコ焼き型オシマイダーが作り出された。

そこへオシマイダーの出現に気付いたソウゴ達が駆け付けた。

 

「クライアス社や!はな!ソウゴ!」

 

「うん!」

『ジクウドライバー!』

 

「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」

 

ソウゴがドライバーを腰に装着した横で、はなはミライクリスタルをセットする。

…しかし、どういうわけか何も反応がなかった。

 

「――えっ?」

 

「はな!」

 

「ハート、キラっと!」

 

もう一度試すも、やはりプリハートが反応しない。

 

「どうして⁉︎」

 

「しっかりしぃや!集中や!」

 

「「はな!」」

 

「さあや……ほまれ……」

 

プリハートの異変に困惑してい居ると、そこへ騒ぎを聞きつけたゲイツとさあやとほまれ、ツクヨミが駆け付ける。

 

「オシマイダーか……なら」

 

ゲイツがホルダーからゲイツウォッチを外そうとした。その時…

 

〈ドーーーン!〉

 

突如、何かが落下した様な爆音を響かせながらソウゴ達の前に、銀色の機体で各所を血のように赤く光らせる巨大なロボットが現れた。

 

「ッ⁉︎ あれは……!」

 

そのロボットはいきなりオシマイダーに向かって強烈な光線を放ち、一瞬のうちにオシマイダーを塵にして倒してしまった。

 

「オシマイダーを、一撃で……」

 

「凄いパワー……」

 

そのロボットのパワーにはな達が驚いてると、ゲイツやハリー、ツクヨミは警戒心を強めていた。

 

「ダイマジーン…!」

 

「なんで……ここに来たのよ!」

 

いきなりダイマジーンが現れたのを見て、パップルは急いで去っていった。

 

「同じだ……夢で見たのと……」

 

何故ダイマジーンが出現したのかと驚いていると、ソウゴの口から夢で見た物と同じ奴だと言う発言を耳にした一同。

 

「おい!夢で見たと言ったな。どうゆうことだ?」

 

「……子供の頃、不思議な夢を見たんだ」

 

何故、この光景を夢で見たのかとゲイツが問い。ソウゴがさっき言っていた、夢の話をみんなに話す。

 

「あいつが世界を破壊してた。みんながどんどん死んでいく……」

 

夢の中では、ダイマジーンが世界を破壊していき、建物も人も、まるでゴミを掃除するかのように人を襲っていた。

 

「俺はただそれを……見てるだけしかできなかった……

そこに……不思議な男が現れて、俺に言ったんだ……

『少年よ。お前は生まれながらの王。お前には王となり、世界を破滅から救う使命がある』、って……」

 

「ソウゴ君……」

 

「それから、繰り返し何度も何度も同じ夢を見た。

だから俺は、いつか王様になるんだって……」

 

その夢は、子供が見るにしては、余りにも非現実的で非道的なモノ。

それがソウゴが見た、正に悪夢の様な夢……

 

しかしダイマジーンは今にも、はな達の前で猛威を振るおうとしている。

ソウゴにとっては夢の中の絵空事であるはずの破壊兵器は、

ゲイツ達にとっては最低最悪の象徴である殺戮の巨人は、

今ここにいる人々に大災害を齎そうとしていた。

すると、目の前で時空の穴が開き始める。

 

「みんな!」

 

そして時空の穴から、マントを羽織った人型のロボットのようなものが三又槍を持って現れた。

 

「あかん!奴は⁉︎」

 

「何なのあいつ……?」

 

「こいつは……」

 

ゲイツとハリー、ツクヨミがそのロボットを見て警戒する。

 

「クライアス社……?」

 

「我はオーマジオウ様の忠実な僕、カッシーン」

 

カッシーンと名乗る謎のロボットは、自らをオーマジオウの僕と名乗る。

 

「我が魔王の命により。ゲイツ、ハリー、ツクヨミ、そしてプリキュアを抹殺する」

 

淡々と告げながら、カッシーンはゲイツ、ハリー、ツクヨミを殴り飛ばそうと襲いかかる。

 

「やめろ!」

 

襲い掛かってきたカッシーンを止めようとソウゴが前に出る。

 

「お下がりください、我が魔王。貴方の命令にございます」

 

「えっ?」

 

「ソウゴの命令……」

 

だがカッシーンは、ソウゴの命令だからゲイツ達を倒すと答える。

その様子を離れた所からウォズが見ていた。

 

「時は来た。時計はもう元には戻せない。もう後戻りはできないよ、我が魔王」

 

カッシーンの攻撃をゲイツは避けながらジクウドライバーを装着した。

 

『ゲイツ!』

 

腕のゲイツウォッチを外してウォッチを起動させ、ドライバーに装填する。

 

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

仮面ライダーゲイツへと変身し、カッシーンを応戦する。

 

「あかん!ゲイツ一人じゃ危険や!」

 

「ほまれ!私達も!」

 

「うん!」

 

二人はプリハートとミライクリスタルを取り出した。

 

「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」

 

クリスタルをセットし、二人の体が光に包まれた。

 

「輝く未来を抱きしめて!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「輝く未来を抱きしめて!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

アンジュとエトワールも加わり三人でカッシーンと戦う。

 

「やめろ!ゲイツやアンジュ達は敵じゃない!」

 

「聞くことはできません。これはすべてあなたのため……」

 

ソウゴの制止の言葉を聞かず、カッシーンはゲイツ達の攻撃を止めようとはしない。

それを見てソウゴはジオウウォッチを起動させる。

 

『ジオウ!』

「このわからず屋!変身!」

 

ウォッチを装填し、走り出すとドライバーを回す。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

カッシーンを止めようとジオウへ変身すると、ゲイツ達を助けようと駆け寄る。

だが、ジオウの前に門矢士が現れた。

 

「あんた……俺の飯を食った人か」

 

「俺がお前の相手をしてやる」

 

マゼンタカラーのドライバー…『ネオディケイドライバー』を腰へ装着し、一枚のカードを見せる。

 

「変身!」

 

カードを腰に装着したドライバーに差し込み、真ん中の左右にあるレバーを操作した。

 

『KAMEN RIDE!DECADE!』

 

十九つの影がひとつになると上の方に数枚のプレートが現れ、その頭部を縦に貫きはめ込まれ、黒とマゼンタの仮面ライダーとなった。

ディケイドとなった仮面ライダーはジオウへと襲いかかり、ジオウもそれに応戦する。

 

「やめてくれ!俺はみんなを助けないと!」

 

「そうは行かないな」

 

「どうして邪魔をするんだ⁉︎」

 

「何故だろうな?今、俺はその理由を探している」

 

ジオウを払いのけ、ディケイドは違うカードを見せる。

 

「それは……」

 

そのカードは仮面ライダービルドだった。ディケイドはそのカードをドライバーの真ん中へと差し込む。

 

『KAMEN RIDE!BUILD!鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

ドライバーから出現したチューブから形成されたアーマーが、ディケイドの体に重なった。

 

「ビルド……それなら!」

 

ビルドになったのを見て、ジオウはこの前手に入れたウォッチを取り出した。

 

『ディディディ・ディケイド!』

 

ディケイドウォッチを起動させ、ドライバーへと装填すると、襲いかかるビルドをベルトから出るカード型エネルギーで遠ざける。

 

『アーマータイム! カメンライド!ワーオ! ディケイド!ディケイド!ディーケーイードー! 』

 

「俺が渡したウォッチか」

 

ジオウがディケイドアーマーを装着し、さらにビルドウォッチを起動させる。

 

『ビルド!』

 

ディケイドウォッチにビルドウォッチを装填した。

 

『ファイナルフォームタイム!ビ・ビ・ビ・ビルド!』

 

ビルドスパークリングへとフォームチェンジしたジオウはその後、自身の握るライドヘイセイバーとビルドディケイドの武器がお互いにぶつかり合う。

火花を散らし続ける攻防に、ジオウがパンチを繰り出し、ビルドを後ずさる。

するとビルドディケイドはまたカードを取り出してドライバーに差し込み、それを見てジオウもドライバーを回す。

 

『FINAL ATTACKRIDE!BU BU BU BUILD‼︎』

『ビ ビ ビ ビルド!ファイナルアタックタイムブレーク!』

 

ビルドディケイドから現れた放物線とジオウから現れたワームホール。二人は跳躍し、お互いにライダーキックがぶつかる。

 

「オリャャャャャ‼︎」

 

ライダーキックの衝突はジオウが軍配があった。

 

「なるほど……」

 

起き上がったビルドディケイドはドライバーを引き、ビルドのカードが消えた。

 

「だったら、こっちの姿の方がいいかな」

『KAMEN RIDE!DECADE!』

 

もう一度ディケイドのカードを見せると、再びディケイドとなり、ジオウとの戦闘を再開する。

さっきまで優先だったジオウだが、今度はディケイドの方がジオウを押していた。

 

「こいつ……強い」

 

「我が魔王よ!」

 

ジオウの苦戦を目の当たりにしたカッシーンは、ゲイツ達を振り払い、ジオウの援護へ向かう。

そのまま、ディケイドの攻撃からジオウを守った。

 

「何だ?そいつもお前の仲間か?」

 

「違うっ!」

 

「何が違うんだ?」

 

一度は否定するが、否定する言葉が出なかった。

 

「力を貸せ、門矢士。ここでジオウを終わりにする」

 

そこへカッシーンがジオウを庇ったのを見たゲイツが、ディケイドに共闘を持ちかける。

 

「ゲイツ!そいつはクライアス社の仲間よ!」

 

「ジオウを倒すためなら、敵の力だって借りてやる。はぁぁぁぁぁーー‼︎」

 

ジカンザックスでジオウに振りかかる。

 

「やめてくれ!俺はゲイツを助けたいだけだ!」

 

「お前に助けられる筋合いはない!」

 

ジカンザックスをジオウに押し込もうするも、またカッシーンが守った。

 

「邪魔をするな!」

 

「ゲイツ!」

 

ゲイツを助けようとするが、またしてもディケイドがジオウの前に立ちはだかる。

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

「フレフレ!ハート・スター!」

 

アンジュがハート・フェザーを発動し、カッシーンの攻撃を防ぐ。その隙にエトワールがハート・スターを放ち、カッシーンを吹き飛ばした。

それを見て少し安心していると、ジオウを抑えていたディケイドは時の魔王の姿を見据えながら言葉を発する。

 

「動揺してるみたいだな」

 

「動揺……?」

 

「分からないのか?お前の仲間はゲイツって奴でも、あのプリキュア達じゃない。魔王、あいつがお前の手下だ」

 

「⁉︎……あんな奴、俺の手下なんかじゃない!」

 

ジオウは否定するが、ディケイドの言葉に一瞬言葉が詰まる。そこにウォズも現れた。

 

「我が魔王。そろそろ認めてくれないかな?

自分が進む覇道を邪魔する者は誰一人許さない!それが私の知っている君だ」

 

「違う!俺がゲイツ達を抹殺したり、世界を無茶苦茶にしようなんて思うはずがないっ!」

 

「…そうか。じゃあ見てくるか?」

 

ディケイドが腕をあげると、ジオウの背後に灰色のオーロラカーテンが現れた。

 

「会ってみるんだな。未来の自分を!ハァ!」

 

そう言うや否やジオウを銃撃し、オーロラカーテンの向こうへ追いやる。

 

『ソウゴ!』

 

はな達も後を追い、カーテンの中へと入る。

 

「素晴らしい!我が魔王が我が魔王に出会う。歴史にどんな影響を与えるのか……!」

 

「ジオウが消えた……」

 

「奴なら2068年だ」

 

「ジオウが2068年に⁉︎」

 

2068年――つまり、オーマジオウがいる時代に送ったと聞き、ゲイツは驚きを隠せなかった。

 

「無実の罪と思いながら死んでいくのは不憫だからな。現実を教えてやろうと思ったまでだ」

 

「君の配慮に感謝するよ。いつまで経っても、魔王たる自覚がなくてね」

 

「貴様の目的は何だ?ウォズ」

 

「私は私の望むままに行動しているだけだよ」

 

 

 

その頃、2068年へと送られたソウゴ達。

 

「う、うっ……ここは……」

 

皆が目を開けると、モノクロ写真の様に灰色へ染まった景色が、辺り一面を染めていた。

そして灰色に色あせた空に浮かぶ雲も、人も鳥も、石像のように止まっていた。

更に後ろを振り向くと、ソウゴ達はあるものに目を大きくして驚いた。

 

「これって……」

 

「ソウゴ君…?」

 

「……俺?」

 

そこには、ビルドやエグゼイド……それぞれ18人の仮面ライダーの像に囲まれた、自分の変身するポーズの像が立っていた。

 

「時見ソウゴ初変身の像……じゃあ、ここは……⁉︎」

 

「ここは、2068年……

ソウゴ達の世界から50年後……あなたが魔王として君臨した世界よ」

 

ツクヨミ曰く。ここは、ゲイツやツクヨミ、ハリー達のいた未来だと語る。

 

「ここの人達は……」

 

「クライアス社がみんなからアスパワワを奪って、オーマジオウが時間を止めたんや……」

 

「じゃあ今、動いている人間は……」

 

「私やゲイツ、ハリーだけ……」

 

「そんな……」

 

「本当に俺が……」

 

それを聞いたソウゴは、未来の自分が時間を止めたという事実を、未だに信じられずにいた。すると…

 

『ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‼︎』

 

鳴き声が聞こえ振り向くと、灰色の空から赤い龍が現れ、ソウゴ達を包囲するように囲む。

 

「なんだこれ……」

 

赤い龍はソウゴ達を何処かへ移動させて、役目を終えたのか彼らから離れて何処かへ去っていく。

辺りを見ると、さっきまでとは違う、荒れ地のような場所へと変わった。

 

「誰か……いる」

 

その時ソウゴの目に映った光景には、ポツンと置かれた御簾があった。

 

「――夢の話をしよう。私が若き日に見た夢の話だ」

 

すると、御簾の中で椅子に座っている影が動き出し、静かに語り始めた。

 

「えっ?」

 

「――異形の機械が、世界を破壊する」

 

「⁉︎」

 

ソウゴは聞き覚えがある話に驚く。

 

「――皆が死んでいく……

私は……立ち尽くすだけ……

そこに1人の男が現れた。そのものが幼き私に言った…

『お前は生まれながらの王。お前には王となり、世界を破滅から救う使命がある』、とな」

 

「ソウゴ君が見た夢と同じ……?」

 

「ってことは……」

 

「今目の前にいる、この人……」

 

「俺?」

 

「そう、オーマジオウ……」

 

あの話を知っているのは自分と、先程その話を聞いたツクヨミ達だけのはず。

それを一寸の違いも無く知っている上で、はな達に語った話を全く同じ様に語ることが出来るのは、己自身だけという事になる。

それ故に、未来の自身について酷く楽観視して来たソウゴは御簾の先にいるのが、未来の自分なのだと驚く。

 

「フフフフフ……何を驚いている。若き日の私」

 

「…じゃあ、やっぱり俺がオーマジオウ?」

 

「まさか、今の今まで信じてた訳ではあるまいな。自分はオーマジオウにならないと」

 

「――嘘だ、嘘だ。嘘だぁっ!」

 

どうやらソウゴは、未来の自分がオーマジオウになるとは本気で思ってなかった様で、今目の前にいる男の言葉を大声で否定し続ける。

 

「嘘ではない。私は王になりたいと願い、世界を救った。未来のお前だ」

 

「俺はあんなことするわけはない!俺は……最高最善の魔王になるんだ!」

 

最高最善の魔王になる。

それを聞いた未来のソウゴは、口を大きく歪ませて笑い声を高々と上げる。

 

「ウハハハハハ!……その通り。

―――私こそ、()()()()()()()

 

空が灰色になり、人も鳥が石像のように止まっていた。

希望も夢も、未来も無い。最低最悪同然の世界を見たソウゴに向かって、未来のソウゴは、自分こそが最高最善の魔王だと答える。

 

「だったらここで……お前を倒す!」

『ジクウドライバー!』

 

「ソウゴ!」

 

「どけっ!」

 

冷静を失ったソウゴを制止させようとしたツクヨミを払いのけると、彼は怒り心頭のままジオウウォッチを取り出す。

 

『ジオウ!』

 

ジクウドライバーを装着してウォッチのウェイクベゼルを回し、D'9スロット側の差し込み口に入れる。ドライバーのライドオンリューザーを押してロックを外し、時計が背後に現れた。

 

「変身‼︎‼︎」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

『ジカンギレード!ジュウ!』

 

ジオウに変身し、ジカンギレードをジュウモードにすると、更にフォーゼライドウォッチを装填した。

 

『フィニッシュタイム!フォーゼ!』

 

ジカンギレードを未来の自分へと向ける。

 

「お前を倒して、俺は未来を救う!」

 

「…………」

 

『フォーゼ!スレスレシューティング!』

 

未来のソウゴが過去の自分を静視しながら()()()()()()()()()と同時に、ロケットモジュール型のエネルギー弾が御簾へと撃ちこまれた。

 

「やったの……?」

 

確かに直撃したはず、少なくとも只では済まないと考えていた。

しかし、爆煙の中から人影が見えた。

 

「……どうして?」

 

爆煙から何事も無かったかのように現れたその姿は、肩から黄金のベルトをかけ、背中には時計の針二本がマントの様になっていて、黄金に輝く豪華な時計の針の付いた顔には3つのクロノグラフがついたGショック時計風に、複眼には赤い字でジオウと同じく『ライダー』と書かれていた。

 

「あれが、オーマジオウ……」

 

「――懐かしい。かつての私はそんなものだったか。ふぅん!」

 

「うわぁ⁉︎」

 

その黄金のライダー…オーマジオウは手をかざしただけで、ジオウを圧倒的な衝撃波で後方へ吹っ飛ばす。

 

「そ、そんな……」

 

「安心するがいい。遠くない未来、お前もさらなる力を手に入れる。魔王にふさわしい力をな……」

 

「黙れぇぇぇーっ!」

『ディディディ・ディケイド!』

 

喚き散らすかのように、ディケイドウォッチをドライバーへと装填し、ドライバーを回す。

 

『アーマータイム! カメンライド!ワーオ! ディケイド!ディケイド!ディーケーイードー! 』

『ライドヘイセイバー!』

 

ディケイドアーマーを装着したジオウは、ライドヘイセイバーを待ち構え、ライドヘイセイバーの時計の針を回す。

 

『ヘイ!クウガ!』

 

ライドヘイセイバーからクウガと音声が鳴ると、オーマジオウはウォッチを取り出した。

 

『クウガ!』

『クウガ!デュアルタイムブレーク!』

 

ジオウはライドヘイセイバーから紋章を放つ。

しかし、オーマジオウはそれをあっさり受け止めた。

 

「そんな……⁉︎」

 

そのまま、オーマジオウの足元に巨大な紋章が浮かび出し、そのエネルギーを右足に乗せて蹴りだしてジオウへぶつける。

 

「うわぁぁ!」

 

直撃したジオウは吹き飛ばされるも、すぐに起き上がった。

 

「まだだ!」

 

「己の思いを曲げぬか。それこそ、王の証だ」

 

「うるさい!」

 

もう一度ライドヘイセイバーの時計を回す。

 

『ヘイ!キバ!』

 

「愚かな」

『キバ!』

 

ライドヘイセイバーにキバのライダーズクレストが浮かぶと、それを見たオーマジオウは今度はキバのライドウォッチを起動させる。

 

『キバ!デュアルタイムブレーク!』

 

ジオウはライドヘイセイバーから無数のコウモリ状の攻撃波を放つ。

だが、オーマジオウはそれをかき消し、逆に黒い大量のコウモリで攻撃される。

 

「強すぎる……」

 

「もうヤメェ!今のお前じゃあ!かなわへん!」

 

「ヤダ!」

『ヘイ!龍騎!』

 

ハリーの忠告を無視し、ジオウは再び起き上がる。そしてライドヘイセイバーの針を、また回した。

 

『龍騎!デュアルタイムブレーク!』

 

ライドヘイセイバーの刃に炎を纏わせ、オーマジオウに突進する。

 

「ソウゴ!」

 

『龍騎!』

 

オーマジオウが落ち着いた様子で龍騎ウォッチを起動させると、ジオウの前に巨大な赤い龍が現れた。

 

「さっきのドラゴン⁉︎」

 

そのドラゴン――ドラグレッダーは巨大な尻尾を振り、ジオウを吹き飛ばした。

吹き飛ばされたジオウはそのまま変身解除してしまう。

 

「そんな……」

 

「ソウゴ!大丈夫!?」

 

はな達がソウゴに駆け寄ると、オーマジオウへと振り向く。

 

「だったら……」

 

ソウゴのピンチだと感じたはなが、現代で起こった事を受け入れられないまま、プリハートとミライクリスタルを取り出した。

 

「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」

 

だがやはり、プリハートは反応はしない。

 

「ハート、キラっと!!」

 

何度も試すが、プリハートは変わらず反応しない。

まるで、未来を夢見ることの出来ない貧弱な奴に貸す力など無い、と言っているかのように。

 

「なれない……!私……プリキュアに……なれなくなっちゃったよ……!」

 

その事実で涙を流し、プリキュアになれなくなった事に、はなは膝をついた。

そんな絶望的な光景を、オーマジオウは「その程度の事で絶望するのか?」とでも言わんばかりに、ただ冷たく、目の前で醜く涙を流して生き恥をさらす小娘を、哀れに思いながら見つめていた。

 

「…プリキュアになれないのなら邪魔だな。消えろ」

 

はなを邪魔に思ったオーマジオウは、氷よりも冷たい声で呟くと、呼び出したドラグレッターの炎の球をソウゴ達に向けて放った。

 

「アカン!逃げろ!」

 

「「ソウゴ(君)!はな!」」

 

炎の玉は徐々に近づき、アンジュとエトワールが盾になろうと前に出る。

そして紅い破壊の塊が四人に当たりそうになった、その時…

 

「はぎゅ〜!」

 

「!?」

 

ソウゴとはなの前にハート型のバリアが作られ、オーマジオウの攻撃がぶつかって止まった。

 

「「はぐたん!」」

 

二人がバリアを創造した光の元を辿ってハリーの方を向くと、身体を輝かせるはぐたんが両腕を前に出していた。

 

「アカン!はぐたん止めぇ!はぐたんアカン!それ以上はもう……!」

 

ハリーの制止をも聞かないままはぐたんは力を振り絞り、額の飾りから光線を放ってオーマジオウの攻撃を相殺した。

 

「オーマジオウの攻撃を……」

 

「はぐたん凄い⁉︎」

 

ツクヨミとはなの二人がはぐたん凄いと驚きの声を上げ、はぐたんの方を振り向く。

 

「はぐたん!はぐたん!」

 

だがそこには、只ならぬ雰囲気を出しながら、ハリーがはぐたんに呼び掛ける光景が目に映っていた。

 

「どうしたの?」

 

「はぐたんが……目覚まさへん!」

 

「えっ?はぐたん?」

 

なんとはぐたんは、さっきので力を使い果たしてしまったのか、水色に輝いていた額の飾りをピンク色に点滅させ、目を覚まさなくなってしまったのだ。

 

「そんな……はぐたん……俺のせいだ……」

 

オーマジオウに手も足も出ず、挙げ句の果てにはぐたんに守ってもらい、皆に迷惑を掛けてしまった事に責任を感じ始める。

そんなソウゴを、必死に呼びかけるはなには目もくれずにハリーの腕中で眠るはぐたんを瞥見していたオーマジオウは、彼へ視線を移しながら口を開く。

 

「………それほど魔王になるのが嫌だと言うなら、良い方法を教えよう。そのベルトを捨てろ!」

 

「ッ⁉︎」

 

オーマジオウにジクウドライバーを捨てろと言われたソウゴは、自責で顔を歪ませる顔を上げる。

 

「そうすれば、お前が私になることはない」

 

「このベルトを……捨てる……?」

 

 

ジクウドライバーを捨てる。そうすればオーマジオウとなる未来は回避出来るという。

――果たしてソウゴは、どちらを選ぶか…

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第14話 目指す未来!新たな可能性への挑戦!2018

 

 




おまけ

オーマおじさん「そろそろ彼らが来る頃か………
なぁカッシーン、若き日の私に会ったらどんな台詞言った方が良いかな?『もし私の味方になれば世界の半分をやろう』とか言ってみたいんだけどどうかな?あと、『知らなかったのか?大魔王からは逃げられない』って言う台詞も言ってみたかったんだよね〜……あーでも、若き日の私ってオーマジオウになりたくないって言ってるから、『それほど魔王になるのが嫌だと言うなら、良い方法を教えよう。そのベルトを捨てろ!』って言うのはどうかな!」

カッシーン(今日も我が魔王は元気である……)

エンジョイしなきゃ勿体無い!

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