キーワードは“アンドロイド”……」
とある休日、クジゴジ堂でゲイツが順一郎を手伝うために物置の整理を行っていた。
「ごめんね、ゲイツ君。手伝ってくれて」
「いや、別に……」
「でも、ゲイツ君とツクヨミちゃんが来てくれて、感謝してるよ」
「えっ?」
順一郎が自分達に感謝していると聞き、どうしてだと疑問に思う。
「だって、ソウゴ君が家にいて、あんなに明るくなったからね」
「……そうですか」
「おお、こんなとこにあったんだ」
ゲイツは曖昧な返事で返すと、順一郎が物置の陰からブリキロボのおもちゃを見つけた。
「なんだそれは?」
「随分前から直そう直そうと思ってたんだ。
懐かしいな……これね、ソウゴ君がウチに来て初めて買ってあげたおもちゃなんだ」
ソウゴがクジゴジ堂へ来て最初に買ったおもちゃだと言うそのロボットの背中には、『WILL BE THE KING』と書かれていた。
その頃、ソウゴは自分の部屋で寝ていた。
「ん?あれ? ここどこ……?」
しかし、目を覚ましたソウゴが周りを見渡すと、何故か昔の馴染みの街へ移動していた。
少し歩いていると、懐かしい感じのする駄菓子屋の前へと到着した。
「これ子供の頃、見たことあるような気がする。
……すいません、これください」
「はいよ。
……あんた、機械かい?
それとも……人間かい?」
「え、人間……だと思うけど」
「人間は破壊する!」
人間かどうかを質問をしてきた駄菓子屋のおばさんは突如、目を赤く光らせソウゴに襲い掛かってきた。
おばさんはかなりの手練れで、キック、パンチをソウゴに繰り出してくる。
「何なの!」
おばさんから逃げると、逃げたソウゴの目の前におじさんが歩いてきた。
「おじさん。ここは危ない!逃げて!」
「君は……機械か?」
「え……嫌な予感」
「それとも……人間か?」
おじさんも目を赤く光らせ、ソウゴに襲い掛かってきた。
「どうなっての?」
先ほどのおばさんも加わり2人がかりで襲われるソウゴ。
「待ちな」
「「人間か?」」
「いや……機械さ」
するとソウゴの前に、一人の青年が現れた。
その青年は腰から真っ黒なジクウドライバーに似た形状のものを具現化させ、スパナを投げ、再度手にすると――
「変身!」
金のスパナ――スパナーダとドライバー『スクリューダー』を組み合わせ、キカイドライバーへ装填された。
『デカイ!ハカイ!ゴーカイ!仮面ライダーキカイ!』
すると青年の姿が全体的に赤と白のラインの装飾が成された金色のアーマーに覆われたものに変わり、赤い複眼を持つ頭部にはスパナをクロスした様なものが取り付けられていた。
「鋼のボディに熱いハート……仮面ライダーキカイ!」
おばさん、おじさんはそのライダー…仮面ライダーキカイへ猛攻を仕掛ける
しかし、おじさんとおばさんは機械の体の様で、キカイの攻撃でショートしはじめる。
『キカイデハカイダー!』
脚部にエネルギーをチャージし、回し蹴りを放つ。
「……なんだよ、これ?」
その光景を目にしたソウゴからすれば、何がどうなっているのかわからなかった。
しかしその時……
〈ピュュュュルルルルル‼︎〉
彼の耳へ向けて、何らかの音が聞こえてきた。
自身の頭にまで響く音はまるで、自分を呼んでいるかのようで―――
その音に気づき、ソウゴが目を覚ました。
「あっ……今の、夢か」
着信音の音で目を覚ましたソウゴが携帯を取る。
「はい…」
『いつまで寝てる‼︎アナザーライダーが現れた!すぐに来い‼︎』
「はい!」
ゲイツから連絡を受け、急いで外へと出向く。
ソウゴへの連絡を終えたゲイツは一人、木の枝と藁人形を組み合わせている様に見えるアナザーライダーと戦っていた。
「ゲイツ! あれ?あのアナザーライダー、夢で見た……」
そこへ駆けつけてきたソウゴだが、目の前にいるアナザーライダーを見ると変身する手を止め、夢で見たライダーと似ている事に気づく。
ソウゴがぼっと耄けていると、アナザーライダーが脚部にエネルギーを纏い、回し蹴りをゲイツに喰らわせる。
その光景が夢で見た仮面ライダーキカイが放った必殺技、“キカイデハカイダー”と同じだと気づいた。
「なにぼっと突っ立ってる⁉︎」
「…っ⁉︎ ごめん!」
気を取り直し、ソウゴはジオウⅡになる為にウォッチを起動させる。
『ジオウ!Ⅱ!』
ジオウウォッチⅡを分割してドライバーの左右に差し込むと、ソウゴの後ろから二つの時計のエフェクトが現れ、構える。
「変身!」
ドライバーを回し、二つの時計が左右対象に止まるとソウゴの体を纏う。
『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』
ジオウⅡへと変身したソウゴは、ゲイツに加勢する。
「「はぁ!」」
二人が同時にキックを繰り出し、お互いに攻撃する。
するとアナザーライダーは、上半身全体にチャージしたエネルギーで足先に氷柱を生成し、ライダーキックを二人に向かって放ってきた。
「危ない!」
ジオウが前に出てサイキョーギレードを出した。
『ライダー斬り!』
ジオウⅡに返り討ちに合い、アナザーライダーは爆発し跡形も無くなった。
二人は変身解除し、爆炎が弱まりアナザーライダーが爆発した場所を確認する
「どういう事だ。アナザーライダーを倒したのに誰もいない。契約者はどこだ?」
「ま、倒したんだからいいんじゃない?」
とりあえず、アナザーライダーは倒したので、二人はクジゴジ堂へ帰ろうとする。
その光景を屋上から、クライアス社のタイムジャッカーのウールとオーラが見ていた
「あんな得体の知れないの出すなんて、ウール、アンタ何企んでるの?」
「知らないよ。アイツは僕の擁立したアナザーライダーじゃない。どういうこと?僕達以外に誰がアナザーライダーを生み出すっていうの?」
自分達が作った覚えないアナザーライダーにクライアス社も困惑していた。
その数分後、誰もいなくなったアナザーライダーの跡地にスウォルツが現れた。
「ほぅ〜、面白いことになった」
スウォルツは笑みを浮かべながら、アナザーライダーの残骸のような角を拾い上げる。
そして翌日。
「「おはよー!ほまれ!」」
「うわっ!」
登校中、ソウゴとはなとさあやがほまれに挨拶し、はなが後ろからほまれに抱き付く。
「今日もイケてるのぅ……!」
「ちょっと……!」
「ツクヨミとゲイツ君は?」
「今日は日直だから先に行くって」
四人で学園へと向かっていると、「誰か~!止、め、て~!」という叫び声と一緒に、ローラースケートで走る百井あきが階段から跳ぶ。
そこから何とか着地するも、足のローラーの回転は止められず、更に先へ進む。
「どいてどいて~!」
そこへ前にいた十倉じゅんながホイッスルを吹き、あきを両腕で支えるようにして止めた。
だが勢いが強過ぎて、そのまま転んでしまった。
「「いてててて……」」
「きょ、教育的指導よ……」
「流石風紀委員……ありがとうじゅんな……」
「二人とも、大丈夫?」
はな達が二人に近寄り、ほまれが二人に手を差し伸べる。
「不良―――!」
「輝木……ほまれさん……」
じゅんなが自身の口を塞ぎ、あきが恐る恐るほまれの手を掴んで立ち上がる。
「いえ……師匠!」
「「「「ええええぇぇぇっ⁉︎」」」」
あきがもう片方の手をほまれの手に当てて、師匠と叫ぶ。
「私を、弟子にして下さい!」
「はぁ……?」
そして目を輝かせ、ほまれに弟子入りを申し込んだ。
その後一同は中庭のテーブル席で、ほまれの記事が載った雑誌のページを見る。
「あ、これ⁉︎」
「今月のはぐくむウーマン、輝木ほまれさん。氷上の流れ星」
「ママの記事だ」
「こんな子がクラスにいたなんて、灯台下クラス!」
「下暗しね」
あきの言葉にはなが頷くが、じゅんなが指摘した事で間違ってた事に気付く。
「それでね、私もスケート始めたの!」
「素敵!」
「あたし、アイススケートなんだけど……」
あきはローラースケートで滑りながら伝えるが、ほまれがやっているのはアイススケートである事を本人が呟く。
「って言うか広い所で滑りなさいよ!また転ぶよ!」
「大丈夫。大丈―――うわっ!」
「危ない!」
言った側からあきが体勢を崩して倒れそうになるが、ほまれが手を掴み、左腕で支える。
「弟子に……して下さい……」
若干無理な体勢で再び弟子にして欲しいと志願するが、不機嫌そうな表情を浮かべたじゅんながあきの制服の襟元を掴んで移動し、ほまれから距離を取る。
「ちょっと純奈!何なのよ!」
「なーにが弟子にして下さい、よ!泣く子も黙る輝木ほまれだよ?」
「聞こえてるんだけど……」
ほまれが彼女達の後ろでそう呟いているのを余所に、じゅんなは人差し指を立てて両手を頭に当て、鬼の表情を作る。
「純奈にアレコレ言われるの、筋子違いでしょ!」
「それを言うなら筋違い!亜希も不良になっちゃうよ!」
「師匠の事、何も知らないクセに!」
「そりゃアンタも同じでしょーが!この……唐変木!」
「唐変……?」
じゅんなが唐変木と叫ぶが、あきの方は唐変木がどう言う意味か分からずに首を傾け、はな達も首を傾げる。
「えっと……気が利かなくて捻くれてるって意味よ」
「あぁ……何よソレ!」
「うがーっ!」
意味を納得してからあきはすぐ怒鳴る。
『まあまあ……』
「「フン!」」
ソウゴ達が二人を宥めるが、そっぽを向いたのを見て、ため息を吐いた。
「あ!そういえば時見、あんた先生が呼んでたよ。
中間テストことでらしいよ……」
じゅんなが思い出したのよう先生の伝言を伝えると、中間テストと聞いたソウゴがシリアスな表情になって顔を下に向ける。
「来てしまったか……」
「ソウゴ君。まさか、また……」
「大丈夫!俺には見えていた」
「何が見えてたの?」
「それは……数学の追試試験!」
追試試験と堂々と言い、四人がガクッと膝を折った。
そのまま学園へと到着したソウゴは職員室へと向かい、今日の放課後に補習授業を受ける事になった。
「――ていう事があってさ…」
「そんな事があったのね……あぁ、それで……」
体育の時間。体育館でバスケットボールの授業を行っていたほまれは緑のビブスを着て、登校時に起こった話を同じチームのツクヨミに語っていた。(ちなみにソウゴやゲイツは、他の男子生徒たちと外の方でサッカーをしている)
それを聞いたツクヨミは、合点がいったという感じで視線をずらした。
「「ふんっ!」」
そこには同じチームのじゅんなとあきが、互いにそっぽを向いて唇を尖らせていた。
「同じチームなんだからさ……」
「まだ、ケンカ中なの?」
まだ彼女達が喧嘩していた事に呆れ顔を浮かべる二人。
二人の間にあるわだかまりが解消されぬまま、バスケの試合が始まった。
「どりゃーっ!ゴール頂きー!」
赤いビブスを着たはながボールを脇に持って、ゴールに向かって走る。
だがほまれにあっさり取られてしまう。
「めちょっく……」
「ドリブルしようよ……あとあれハンドだよ?」
落ち込むはなにツクヨミがフォローしていると、ほまれは左右別々に走るあきとじゅんなに気付き、一瞬考えてから口元に笑みを浮かべる。
「あき!」
そう言ってあきに向けてパスし、ボールをキャッチさせる。
「私にパスしてくれるなんて……!」
ウットリとした顔で嬉しがってた直後、ルールーを含んだ女子相手チーム三人が彼女の前に立ちはだかる。
「あき!ほらじゅんなが空いてる!」
ほまれはじゅんなを指さし、パスするよう促す。
「仕方ない……じゅんな!受ーけー取ーれーっ!」
そう叫んで彼女に向けて勢いよくボールを投げる。
だがそのボールは、取れないと判断してしゃがんだじゅんなの頭を掠り。受け手を失ったボールはそのままの威力でボール入れに命中した事で、中に入っていた複数のボールが散らばってしまった。
「ちゃんと取ってよ!」
「取れるか!」
また喧嘩が始まり、試合どころではなくなった。
(ドリブルで抜けられたのに、亜希にパスしたのは何故?理解不能。
輝木ほまれ。薬師寺さあや。彼女達のデータとプリキュアのデータを照合すると、二人がプリキュアである確率は、100%)
ルールーが心の中で呟き、散らばったボールを見た。
昼休み、ほまれは屋上にあるベンチに座り、空を見上げる。
「ここにいたんですね、師匠!」
「近くない……?」
「そうですか?」
あきの声が聞こえて向きを戻すと、すぐ目の前にいた。
「その師匠っての止めてよ……」
「じゃあ………輝木、殿?」
「ほまれでいいよ……」
着物を着て丁髷のかつらを被った自身の姿を思い浮かべられたのを感じたのか、名前呼びをお願いする。
「ほまれ……」
「…何で私に?スケート教えろって訳じゃ無さそうだし」
必死に弟子入りを希望する彼女に、ほまれはどうして弟子入りしたいのか尋ねる。
「私、中々物事決められなくて、柔道二段って言われるし」
「優柔不断ね……」
「ほまれは、憧れなんだ。自分の考え持ってて、大人っぽくて」
「……そんな事無いから」
「えっ?」
大人っぽいと褒められたほまれだったが、かつて自身がジャンプの失敗で怪我をした事によるトラウマで一度スケートを離れた時のことを思い出しながら、彼女の言葉を否定する。
事情を知らないあきはどう言う事なのかと思ったが、それについて聞く前にほまれが口を開いた。
「じゅんなの方がよっぽどしっかりしてるよ。仲直りしないの?」
「…じゅんなとは、幼稚園からずっと一緒なんだよね。
腐れ縁って奴?そのせいかあの子、いっつもお節介でさー。
だから、つい甘えちゃうんだ」
じゅんなへの想いを伝えた直後、チャイムが鳴る。
「やあっ、お昼休み終わり!ほまれも急がないと、授業遅れるぞー!」
ほまれに急がないと授業遅れると誤魔化す様に伝え、先に下へ降りていった。
その少し前、ソウゴが教室で眠ていた。
「こいつ……追試なのに……」
その姿をゲイツが呆れて見ていた。
「まぁ、ソウゴ君はやれば出来る方だから……」
さあやがフォローしているのを横目に、気持ち良さそうに寝ているソウゴを、ゲイツ達はじっと見ていた。
「――あれ……ここ昨日の?」
夢の中で目を覚ましたソウゴは、昨日見た夢の街にいた事に気付いた。
「よお!また会えたな時見ソウゴ」
そこへ昨日助けてくれた仮面ライダーキカイの男性が現れた。
「俺のこと知ってるの?」
「俺の名前は真紀那レント。仮面ライダーキカイだ!」
「よろしく!………これって、俺の夢だよね?」
「夢っちゃあ、夢だな」
「そうなんだ……」
そこへ子供たちがレントの元へ駆け寄ってきた。
「レント、またヒューマノイズが出たの?」
「ああ、もう心配すんな。みんなは大丈夫か?」
「大丈夫。大丈夫。レントこそエネルギー使ったんじゃない?」
「充電やってよ!」
「「「やってやって!充電!充電!充電!充電!」」」
充電とみんながレントにおねだりをする。
「仕方ないなぁ!」
天に向け、両手を挙げて広げる。
すると、宇宙の衛星からエネルギーがレントへ照射される。
「えっ、えっ⁉︎ 空から⁉︎」
「太陽光発電衛星からのレーザー光で充電している」
「君、ほんとに機械だったんだ…」
「今は2121年。ソウゴは夢で未来を見ているからな」
「それじゃ、100年近い未来に来ちゃったってこと、俺?
その割にはなんか……懐かしい雰囲気だね」
ソウゴが辺りを見渡すが、100年経ったというのに町並みは今と然程変わった様子はなかった。
「…ていうか、さっき襲ってきたの、あれ何?」
「ヒューマノイズ。人間の形をした機械生命体だ」
「ヒューマノイズ?」
「世界はすでに機械に支配されている。ここは人間保護区。絶滅寸前の人間が暮らしやすいよう作られた安息地だったのだが、ヒューマノイズはそれすら許さない」
「それで君が、この子たちを守って旅してるんだね」
そこへ、人間達へ向けたラジオ放送が流れる。
「人間が集まって反撃しようとしている場所がある。俺はこいつらをそこへ連れていく」
『しかし諦めてはいけません!生き残ってる人間の皆さん、力を合わせましょう!集合ポイントはVS○95』
ラジオから集合場所のポイントが発表された。
「この道をまっすぐ行けばそう遠くはないはずだ」
「偉いな。君だって機械なのに」
「それは……」
そこへ3人のヒューマノイズが出現した。
「「「機械が人間か?機械か人間か?」」」
襲ってきたヒューマノイズと交戦するレント。
レントは仮面ライダーキカイへと変身し立ち向かう。
『アルティメタルフィニッシュ!』
腕部にエネルギーをチャージし、パンチでヒューマノイズを凍結・爆散させる。さらにキカイは、上半身全体にチャージしたエネルギーを放出した。
「あれって……」
その技を見たソウゴは、昨日のアナザーライダーが使った技だと気づく。
「もしかして……あの、アナザーライダー……」
『フルメタル・ジ・エンド!』
ソウゴが考えている間にキカイは、キックでヒューマノイズを撃破した。
「ぼーっとするな!」
「え―――?」
ソウゴはまだ残っていた女のヒューマノイズに襲われ、攻撃を喰らった。
「――あいたた…」
気づくとソウゴは椅子から床へ転げ落ちており、目を覚ました。
「……夢か」
また夢かと気づき、ソウゴが体を伸ばす。
「うん?ルールー…?」
ふと横を見ると、休み時間も終わるのにルールーがどこかへ行こうとするのが見えた。
「もう。休み時間終わるのに」
その頃ルールーは、誰もいない階段へとやった来た。
「姿を見せないと思ったら、こんな所にいたなんて」
「パップル様……」
ルールーが影のある階段を上ると、この学校の制服姿のパップルがその上の階段に座っていた。
「どう?この格好?」
「明らかに不審者。通報される確率、82%」
「いやにリアルな数字ね……でもまぁ、あたしの色気は制服じゃ隠せないかもねん。
プリキュアとジオウにゲイツは、この学校にいるの?」
「詳しい報告は、調査が終了してから―――」
「正体が分かったなら、倒しちゃえば?」
「あくまでデータ収集が目的です」
「データなら先に集める物があるでしょ?
プリキュア、ジオウとゲイツは、変身するのにアイテムを使う。まずはその力の正体を調べないとね」
「ルールー!授業遅れるよ!」
ルールーは下からのソウゴの声に反応して、その方を一瞬向き、階段の方に向きを戻すと、パップルの姿はもう無かった。
「今行きます……」
だがソウゴはまだその時は知らなかった、ルールーの懐には既にソウゴのジクウドライバーがある事を…
そして放課後となり、誰もが帰宅準備をし終えた。
「じゃあ、俺補習に行くよ」
「ソウゴ!頑張って!」
ソウゴが補習の教室へと向かうと、入れ替わるようにあきがはな達に声を掛ける。
「一緒に帰ろっ!」
「あなたは毎日、十倉じゅんなと帰宅するのでは?」
ルールーははな達と一緒に帰ろうとするあきに、じゅんなと帰るのではないのかと尋ねた。
「詳しいね」
「クラスメイトのデータは全て頭の中にあります」
「凄っ……!」
それを聞いたはなは驚きを隠せずにいた。
「一緒に帰ろう?」
「えっ…?でも……」
じゅんなの机の方へ足を進めたほまれが、一緒に帰ろうと誘う。
「気にしなくていいよほまれ」
あきの言葉に苛立ったじゅんなが踏み付けるようにして歩き、ドアを勢いよく開けて走って行った。
「あっ、ちょっと……!」
「じゅんなさん……!」
「行こう、ほまれ」
「………用事、思いだした」
「えっ?」
「ほまれ?」
「今日は先に帰るよ」
ほまれは二人にそう言い、教室を後にした。
そのまま彼女は、ビューティーハリーへ一人やってきた。
「は~ぐ~た~ん。今日もきゃわた~ん」
「何かあったんか?」
はぐたんに頬ずりして甘えるほまれの隣にハリーが現れ、何かあったのかどうか尋ねる。
「えっ?別に……」
「嘘つけ!いつもだったら一緒に来るのに、今日は一人でおるから分かるわ。何があったんや?」
いつも一緒にいる筈のはなとさあやがいないのを見て、何があったのか聞いたようだ。
「何も無いって言ってんじゃん」
「ホンマ頑固やな。ま、エエけど。
その様子じゃ、学校辺りで何かあったみたいやな。
まぁ、話したく無いなら、無理して言わなくええわ」
そういいながら彼は、冷蔵庫からアイスが入った容器を取り出した。
「スッキリせん時は、コイツに限る。チョコミントアイスや!」
ハリーがチョコミントアイスの蓋を開けてスプーンで掬い、ほまれの方に滑走させてからポーズを取る。
だが店内には、はぐたんしかいなかった。
「おらんやん……」
「いや~、降って来ちゃった。ちょっと雨宿りさせて…」
「…何をしてる……?」
雨宿りに来たゲイツとすみれがハリーを見て、何をしているのだと尋ねた。
その頃、傘を忘れたはなとさあや、ツクヨミが、カバンを傘代わりにして外を走る。
「ほまれどこ行ったんだろ……ルールーまでいなくなっちゃうし……」
「とりあえず雨宿り出来る所、探そう」
「賛成……」
「もう!タイムマジーンが修理中じゃなかったから!」
走り続ける最中、はなはツツジ畑で傘も差さずに立ち尽す人影が見かけ、気になって走って向かう。
「ちょっと!どこ行くの!」
ツクヨミがそう言うが、はなは聞かずその男性に近づく。
「風邪、引いちゃいますよ?」
すると男性は彼女に気が付き、振り返る。
「今日も元気だね」
「ツツジが……ですか?」
「雨は美しい花を咲かせて恵みとなる。
だが時には凍えるような寒さも与える。
不意に変わるあの空、どこかに似ていると思わないかい?心に…」
「心……あ、あれ?」
その人物はいつの間にかいなくなってた。
――その頃、ソウゴは補習授業で追試試験を受けていた。
「見えてた……確かに見えてた……」
ジオウⅡの未来を予知する能力でテストの問題と答えを見ようとした事を思い出し、そう呟きながら答案用紙を眺める。
「でも……でも、答えが見えないーー‼︎」
だが彼は追試の未来はわかっていても、答案用紙の答えは見えなかった。
じゅんなが、屋根のあるバス停のベンチに座って雨宿りする。
「いやー、参った」
そこへあきが雨宿りに来る。
「「あっ……」」
目が合ってしまった二人の間に、気まずい空気が漂い始める。
「座れば?」
「うん……」
じゅんなに促され、あきはベンチに座る。
ベンチに座る二人の間には、大きな距離があった。
「ねえ、どうして輝木さんなの?」
ふとじゅんなは、何故ほまれに弟子入りしようとするのか問いかける。
「ほまれみたいに、カッコよくなりたいから」
「ほまれほまれって……!」
「じゅんなは何も分かって無い!凄い良い子なのに!」
「そう言う事じゃない!あきはそのままでいいの!」
「あたしは……変わりたいんだもん……!」
ほまれの様にカッコよくなりたいあき。
そのまま変わらずいつものあきでいて欲しいと願うじゅんな。
――そんな二人の会話を、傘を差したパップルが見ていた。
「イイ感じのトゲパワワ、発見」
彼女は二人のやり取りを見て、口元に笑みを浮かべる。
ほまれが公園の遊具で、仰向けになって雨宿りする。
「おい、何考えとるんや?」
「うわぁっ⁉︎ ど、どうして……⁉︎」
目を一度閉じてから開けると、目の前にハリーの顔が見え驚く。
「ったく、探したやないか」
「えっ?な、何?何なの!」
ハリーにジッと見つめられ、段々と動揺する。
「アイス、溶けるやろ」
「アイス……?」
「ずーっと、楽しみにとっといたんや!溶けるやろが!」
「はぁ⁉︎ 冷凍庫入れておけばいいでしょ!」
「お前が傘も差さんと出て行くから」
そう言ってから自分の持ってた傘を投げ、ほまれがキャッチする。
ハリーの肩も足も濡れていたのに気付き、自分を探していた事を察する。
「ったく、先に帰るぞ。はなのママさんとゲイツに、はぐたんを見て貰ってるんや」
そう言い残し、ビューティーハリーへ一人で戻って行く。
「でも!傘、一本しか……!」
傘を広げて伝えると、ハリーの姿は見えなくなっていた。
そこでふと上の方を見上げると、ビニール傘越しに雨が止んで晴れた青空が見えた。
「雨………上がった……」
「発汗。瞳孔が開いている」
いつの間にか背後にいたルールーの声に驚き、滑り台から滑り落ちる。
「冷たっ……!い、いつから⁉︎」
「心拍数上昇。150、151、152、15…3」
「何でも無いから~っ!」
頬を赤くしたほまれが走り去る。
「…輝木ほまれ、集中力67%ダウン。
お陰で、プリハートを奪えた。そして、ジクウドライバーも――」
ルールーの左手には、いつの間にか奪ったほまれのプリハートがあり。そして右手にはジクウドライバーがあった。
「この計画は理にかなっている。正しい……選択」
だがクライアス社の社員として当然のことをした筈なのに、彼女の顔は優れていなかった。
夕方、ルールーは橋の上でパップルにジクウドライバーとプリハートを見せ、奪った事を報告する。
「やるじゃない」
パップルがジクウドライバーとプリハートを取ろうとするが、ルールーが遠ざける。
「解析出来次第、社に報告します」
「まあいいわ。それでジオウとプリキュアの一人は変身出来ない。
あたしはその間に……残りプリキュアとゲイツを倒すから!」
そう叫ぶと、トゲパワワを放出しているあきとじゅんなが宙に浮かぶ。
「これは……」
「足りなきゃこっちのモンでしょ!ネガティブウェーブ!」
パップルは制服を脱ぎ捨てて普段着に変わり、ネガティブウェーブを放出させて、二つの三つ編みが特徴的な女子学生型オシマイダーを作り出した。
その頃、ぐったりとした姿で追試の結果を待つソウゴ。
「はぁ〜……ん?…ッ⁉︎」
その時、外の様子が変わっているのに気づいた。
「あっ!先生すいません!ちょっと!」
ソウゴはカバンを持って急いで教室を出る。
現場では既に、ゲイツとエールとアンジュがオシマイダーと交戦していた。
『フィニッシュタイム!タイムバースト!』
「「はああああぁぁぁっ!」」
ゲイツとエールとアンジュのトリプルキックが頭部に命中し、川に落ちる。
「来たわねプリキュア!ゲイツ!オシマイダー!やっちゃって!」
パップルの指示を聞いたオシマイダーが片足で回転し、おさげ状の髪を伸ばす。
「速っ―――うわっ!」
アンジュは跳んで避けるが、エールは直撃を受ける。
「エール!ああっ!」
エールに気を取られたアンジュも直撃を受ける。
『ファイズ!』
それを見たゲイツはファイズウォッチを装填し、ドライバーを回す。
『アーマータイム!コンプリート!ファイズ!』
『レディー!ショットオン!』
ファイズアーマーを装備すると、ファイズフォンXを操作し、右手にショット555を召喚させて装備する。
「はぁぁぁぁぁ!」
ファイズショットを放つが、オシマイダーには効いてなかった。
「バカな⁉︎――ぐぅ!」
驚いている隙に攻撃され、ゲイツまでも吹っ飛ばされた。
「エール!アンジュ!」
「みんな!」
そこへほまれとソウゴにツクヨミ、両手に抱えたハリーが駆け付ける。
「イケイケでしょ?何たって、ブッ飛びなトゲパワワが手に入ったからね」
「あきちゃん!」
「じゅんなさん!」
「どうやら、あいつらから作ったオシマイダーのようだな!」
ソウゴ達は宙に浮かぶ二人を見て、彼女達がオシマイダーの素体になったのだと知った。
「早く、助けないと……!」
「急ごう!」
ソウゴがジクウドライバーを、ほまれもプリハートを取り出そうとする。
「嘘…っ⁉︎」
「ないッ⁉︎」
だがジクウドライバーとプリハートは、ルールーの手にあった為、取り出すことは無かった。
「ないない?」
「何やと⁉︎」
「まさか、落とした?」
「そんなハズ無い!絶対ここにあったのに!」
「鞄の中にずっと……そんなはず」
その様子を橋の下で見ていたルールーが、ジクウドライバーとプリハートを握り締める。
オシマイダーの髪による攻撃を三人が弾いて近づくが、回し蹴りを受けて吹き飛ばされる。
「近づけない……!」
オシマイダーが髪をソウゴ達三人に向けて飛ばす。
「アンジュ!ゲイツ!」
「ええ!」
「わかった!」
なんとかエール達が髪を止めた。だがその直後にオシマイダーが跳び、三人にパンチを叩き込んだ。
「エール!アンジュ!」
「ゲイツ!」
「ざまぁプリキュア!ゲイツ!」
パップルが高々と笑い、勝利を確信する。
「みんな!」
「そのままじゃ無茶や!」
オシマイダーに向かおうとするソウゴとほまれをハリーが止める。
「どうしよう……!」
変身もできない、どうしようもないと思いながら前を見ると、そこにはルールーがいた。
「ルールー……?何でここに……?」
「私には助けられない……」
ソウゴはルールーの手を見てみると、ほまれのプリハートと自身のジクウドライバーがある事に気付いた。
「俺のドライバーにプリハート?何で……?」
「だから……行きなさい!プリキュア!ジオウ!」
ソウゴとほまれはお互いの顔を見て頷き、ルールーに向かって走り、彼女の持ってたジクウドライバーとプリハートを取る。
「ありがとう。ルールー」
「あっ……」
『ジオウ!Ⅱ!』
ソウゴは取り出したジオウライドウォッチⅡを分割し、ドライバーの左右に差し込み、ほまれがプリハートにミライクリスタルをセットした。
「変身!」
「ミライクリスタル!ハート、キラっと!は~ぎゅ~!」
『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』
「輝く未来を、抱き締めて!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「「はああああぁぁぁっ!」」
ジオウとエトワールのダブルキックが、オシマイダーの腹部に命中させて吹き飛ばす。
二人はゲイツとエールとアンジュの前に着地する。
「お待たせ」
「もう、二人して遅いよ!」
「ごめんごめん」
ジクウ達は遅れてきたことを謝る。
「何で……っ⁉︎ アイツまさか……何してくれてんのよ!」
パップルがルールーに愚痴を吐くと、起き上がったオシマイダーが二人に向けて髪を伸ばす。そこへジオウがサイキョーギレードを出した。
「メロディソード!スタースラッシュ!」
更にエトワールがスタースラッシュを放つ。その時にジオウがサイキョーギレードのフェイスを回す。
「逃さないよ!」
『ジオウサイキョウ!』
サイキョーギレードのジオウのフェイスの文字が“ジオウサイキョウー”へ変わった。
『覇王斬り!』
さらにジオウが繰り出した斬撃がオシマイダーを後退させた。
「何よ何よ!こんなの反則よ!」
「エトワール!二人を!」
「うん!」
ジオウからあきとじゅんなを助ける様に言われ、エトワールが走る。
「今度……こそ!一緒に帰ろう!」
その隙にエトワールが、二人に向かって手を伸ばした。
「――この人……どこかで……」
「――何か、必死……」
あきとじゅんなが屋根付きバス停の下で、手を伸ばすエトワールを見て呟く。
「あのさ……ごめん……
私、輝木さんに嫉妬してたかも……」
「私こそ、ごめんね……
じゅんなに迷惑掛けてばっかだから、しっかりしようと思って、ほまれに弟子入りしたんだけど……」
「私さ、あきはそのままで良いと思ってた。おっちょこちょいで楽しいし」
「何よそれ」
「でも、それがあきの挑戦を邪魔してたのかも……
だから私、応援するよ!あきがなりたい自分になれるように!」
じゅんなはなりたい自分になれるように応援するとあきに伝え、笑顔を作る。
「じゅんな……」
「さっ、早く帰ろっ。明日も学校なんだから」
「流石風紀委員」
じゅんなの差し伸べた手を、あきが掴む。
二人の間には、もう既にわだかまりは存在してなかった。
――二人からトゲパワワが消え、アスパワワが溢れ出て来る。
手を伸ばしたエトワールの隣に、ジオウが現れる。
「仲直りできたみたい?」
「そうみたい。エール!アンジュ!」
「うん!」
「ええ!」
「決めるよ!」
「なら、俺に任せて!」
『ジカンギレード!』
ジオウがジカンギレードをドライバーから召喚し、それとサイキョーギレードを手に持つ。
『サイキョーフィニッシュタイム!』
ジカンギレードのケンモードとサイキョーギレードを合体させると、剣から『ジオウサイキョウ』の文字が浮かび上がる。
『キングギリギリスラッシュ!』
「オリャャャャャ‼︎」
ジオウはサイキョージカンギレードを振り下ろし、オシマイダーを三つ編みの髪の毛諸共斬り裂き、動きを止めた。
「今だ!」
「「「ミライクリスタル!」」」
「エールタクト!」
「アンジュハープ!」
「エトワールフルート!」
三人がメロディーソードのボタンを押して演奏し、虹色のエネルギーを作り出す。
「「「心のトゲトゲ、飛んで行けー!プリキュア!トリニティ・コンサート!」」」
対象に向かって虹色のエネルギーを飛ばすトリニティ・コンサートを放ち、オシマイダーに命中した。
「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」
巨大な木が作り出されてピンク・水色・黄色の花が咲き誇り、オシマイダーが浄化された。
じゅんなとあきは元に戻り、とりあえず一安心した。
だが気になることがあり、ジオウ達はルールーの方を見る。
「で、どう言うこっちゃ?」
「どうして……あなたが?」
「ルールー……」
ここにいるみんなが、ルールーが何故プリハートとジクウドライバーを持っていたのか問い詰める。ただ一人を除いて。
「見つけてくれたんでしょ!」
『えっ⁉︎』
そのただ一人であるジオウが、ドライバーとプリハートを見つけてくれたと聞く。
「俺とエトワールが落としたから、ルールーが拾ってくれたんでしょ?」
「私は……」
自身を庇っている様に聞こえるジオウの言葉に、思わず戸惑うルールー。
「ッ⁉︎」
その時、ジオウⅡの仮面の二本の針が回り始める。
そして見てしまった、エールが謎の光に当たる瞬間を――
「はっ⁉︎ エール危ない!避けて!」
「えっ?」
ジオウが叫ぶと、突如ルールーの目が見開き、エールを突き飛ばす。
エールが尻餅を付いた直後、上から赤黒い光線が放たれ、ルールーに直撃した。
「何だ⁉︎」
「何なの、今の光……」
「いやー!」
光線を受けたルールーが両膝を付くと、『ガシャン!』という金属機械音が響く。
「この音……っ!まさか、アンドロイド……⁉︎」
「「「!?」」」
「アンドロイドって……」
「人に似せて作られたロボットって事……?」
「あの音からして間違い無い……!」
ツクヨミとゲイツ曰く、ルールーは人間では無く、アンドロイドだったことがわかり、皆はあまりのことに驚愕を隠せずにいた。
ルールーが機能停止した直後、上からパップルが現れて着地する。
「出来損ないの機械人形が、あたしの邪魔をするなんて。調整し直しね」
そう言ってから指で押すと、ルールーが事切れた死体の様に抵抗できないまま横に倒れる。
「ルールー!」
エールがルールーの元へ走るが、パップルが扇子を振って竜巻を起こす。
「ぶっちゃけ、切羽詰まってんのよ」
「待って……!」
竜巻が消えると、ルールーとパップルはいなくなった。
「そんな……!」
「ルールー…!」
「ルールー……!」
「ルールー!」
「ルールーーーーーーー‼︎」
ルールーがクライアス社の一員でアンドロイドだった事を知ったのもつかの間、パップルに機能停止させされ、クライアス社に連れ戻された。
――その現実を、ソウゴ達は受け入れられなかった。
次回!Re.HUGっとジオウ!
第23話 友情の言葉『WILL BE THE KING』2121
おまけ
はな「わたし、野乃はな!
大変!ルールーがわたし達の敵になって襲いかかってきちゃった!このままじゃわたし達、離れ離れになっちゃう!?」
HUGっとジオウ!第23話!『突然の――
4号「――別ればかりを〜繰り返す〜♪」
ドゥーーン…
次回も、ハグって行くジオ〜。
完