Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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黒ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
彼の前に現れた ルールー・アムール……彼女がアンドロイドと知った我が魔王は、彼女を奪還しようと試みる。
彼女を救う言葉は…『WILL BE THE ―――おっと、先まで読みすぎてしまいました」


第23話 友情の言葉『WILL BE THE KING』2121

ルールーがアンドロイドだと知ったソウゴ達。

そして、そのルールーが連れ去られてから丸一日が経った頃。彼女は今、クライアス社の中にあるカプセルにいた。

 

「ルールーが裏切ったと?」

 

「そっ。キュアエールの所に潜入したまでは良かったんだけどね」

 

パップルが爪をヤスリで削りながら、ルールーについてリストルに報告する。

 

「ミイラ取りがミイラになっちゃったみたい」

 

「クライアス社の優秀な製品に、何故そのような不具合が……」

 

「知らないわよ。とりあえず今、いらないデータは削除してるわ」

 

そう報告しながらパップルが端末を出し、ルールーの記憶データを削除する。

 

「ふむ、失礼」

 

彼女の横からリストルが端末を取り、何やら別のプログラムを組み始めていた。

 

「プログラムを戦闘用に変えてみましょうか。それに、試作品のアンドロイド専用パワードスーツも」

 

「俺からも加えて置く点が」

 

そこへスウォルツまでも現れた。

 

「これも加えて置こう」

 

スウォルツが端末を操作し、何かをルールーの体内に移植した。

 

「えっ?いや、そこまでいじる気は無かったんだけど……」

 

「機械人形は機械人形らしく、役に立って貰った方がいいでしょう」

 

少し驚いているパップルに、リストルは端末を操作しながら言う。

 

「ですが……」

 

「貴様の意見など求めていない」

 

「はい……」

 

リストルは戦闘用にプログラムを書き換えながら試作品のパワードスーツを装着させ、スウォルツはルールーに何かを細工し始めた。

 

 

 

 

一日経ち。ビューティーハリーへとソウゴ達はやってきた。

 

「待ちぃや自分ら!」

 

ハリーとツクヨミがルールーを探しに行こうとするソウゴ達を止めるが、彼らの意志は二人の意志より強いのか、ハリーはおろかツクヨミですら引きずられている。

 

「待てったら……!」

 

「止めないでよハリー!ツクヨミ!」

 

「私達行かないと!」

 

「ちったぁ落ち着け!」

 

「落ち着ける訳無いじゃん!」

 

「早くしなきゃルールーが…!」

 

「アイツはスパイやで!」

 

『っ!?』

 

スパイと聞いてソウゴ達が言葉を失っていると、ようやく歩みを止めた彼らにハリー達はルールーについて今わかる事を推測も兼ねながら話し始める。

 

「あのタイプは初めて見たから、俺も気付けへんかったけど、間違い無い」

 

「ルールーは未来の技術で作られた、クライアス社のアンドロイドよ」

 

「あぁ、以前聞いたことがある。クライアス社には独自に開発できる技術者がいるとな」

 

ゲイツ達はルールーがクライアス社のアンドロイドだと話すと、ソウゴ達は「そんな筈はない!」という現実逃避の思いと、「まさか、彼女が…」という真実を受け入れられずにいる心が交差し、反論の言葉も出なかった。

 

「そんな奴が、偶然にはな家に潜り込んで来る訳ない。

きっと狙いは、俺達だったはずだ……」

 

「そうとも知らず、俺らはまんまと騙されたんや」

 

騙されていた。そう聞かれたソウゴとはなは、激情的な表情を浮かべながら口を開く。

 

「騙されて無い……!」

 

「騙されたろう!」

 

「騙されて無いって!」

 

「騙されたんや!」

 

「騙されて無いったら無い!」

 

「自分らムキになっとるだけやろ!」

 

「騙されて無いです……!」

 

「いい加減にして!」

 

ソウゴとゲイツ、はなとハリーが意地を張り続けてたその時、横からツクヨミが仲裁に入る。

 

「喧嘩しないで。はぐたんが泣いちゃうでしょ」

 

ハリーに抱っこ紐で抱えられたはぐたんが、三人の意地の張り合いを見て泣きそうになる。

 

「はぐたん、大丈夫やで……!」

 

「ただのスキンシップだよ……!」

 

「ごめんね。俺達が悪かったよ……!」

 

はぐたんの泣き顔を見て慌てた二人が、スキンシップと誤魔化す。

 

「なかよし。よちよち」

 

「「「はぐたん……!」」」

 

泣き止んだはぐたんがそう言い、取り敢えず安心する。

 

「とにかく、意地の張り合いはそこまでにして、これからどうするか……」

 

「俺はルールーに会いたい!会って話がしたいんだ!」

 

「私もルールーとお話したい!話して本当の気持ちを知りたい!」

 

「私もソウゴ君とはなの意見に賛成だよ」 

 

「私も最初は狙いがあったのかもしれないけど、あの子、ソウゴと私にドライバーとプリハートを返した時、『行きなさいプリキュア。ジオウ』って言ったんだ」

 

ツクヨミがこれからどうするかと話すと、ソウゴ達はルールーと話がしたいと語る。

 

「ハリーとツクヨミもその時、すぐ近くにいて聞いたよね?」

 

「確かにそうやな」

 

「うん……」

 

「最後まで騙す気なら、私達を庇ったりしないハズだよね?」

 

それを聞いたハリーが椅子に座り、頬杖を当てる。

 

「自分らお人好し過ぎるやろ……けど、万が一そうやとしても、クライアス社は裏切り者を許すような組織や無いで」

 

「ハリー、随分詳しいね?」

 

「「⁉︎」」

 

クライアス社について詳しいハリー。さあやが疑問に思うと、ゲイツとツクヨミまで驚き、動揺し始める。

 

「わ、悪者ってのは、そう言うモンや」

 

「だったら余計に、ルールーを助けなきゃ!」

 

「「賛成!」」

 

「みんなでルールーを取り戻そう!」

 

「ホンマ、お人好しばっかやな」

 

「あーい!」

 

ハリーの誤魔化しにも聞こえる言葉を聞きながらも、ルールーを助けたいというソウゴ達の気持ちも決まり、彼女を探しに出かける。

とりあえず、ソウゴ達は別れて探しに行く事にした。

 

「待て。ジオウ」

 

そこへゲイツがソウゴに呼びかける。

 

「一つ聞く。もし、あのアンドロイドがお前らに牙を向けたらどうする?」

 

「それは……」

 

その質問は、ソウゴがルールーと戦えるのかどうか、そして最悪の場合は彼女を破壊(殺害)する覚悟があるのかどうかを意味していた。

 

「その時は、俺が奴を破壊する」

 

「ッ⁉︎ ダメだよ!」

 

もしルールーが自分達に敵対したら、ゲイツは彼女を破壊すると言うと、ダメだとソウゴが叫ぶ。

 

「ルールーは確かにアンドロイドだったかもしれない……でも、心は俺達と変わらない!人間と同じだ」

 

彼は知ってる。あのえみるの家であった言い争いでルールーがえみるを守った事を、保育園での体験の事を。

敵であるにも関わらず、ジクウドライバーを渡したあの時を知ってるからこそ、彼は彼女が人間だとはっきりと言える。

 

「ルールーは破壊させない。

もしゲイツが破壊するなら、俺がゲイツを止める」

 

「ッ⁉︎」

 

そう言って強く睨みつけるソウゴの威圧に、ゲイツが思わず後ずさる。

 

「ルールーとはトコトン話し合う。だから……お願い」

 

それだけ言ってゲイツを残して一人走り、ルールーを探す。

 

「なぜ……なぜ、奴が……」

 

「おいおい、我が救世主」

 

自身がソウゴに押されたという事実に動揺しているゲイツが振り返ると、そこにはいつの間にか白ウォズがいた。

 

「魔王にあしらわれるとは、君も困った人だね」

 

「白ウォズ……」

 

「まぁいい。あのアンドロイドよりも、君はあのアナザーライダーの力を手に入れる事が優先だ」

 

白ウォズがゲイツの方に手を置く。

 

「あのライダーの力を手に入れば。君は最強の力、ゲイツリバイブの力が手に入るのだから」

 

「ジオウを倒す力……」

 

 

 

 

クライアス社のカプセルの中で調整を受けるルールーが、未来の世界の事を思い出す。

記憶の中にある未来の姿は、世界がモノクロ写真の様に静止していたが、そこに映る人々の顔には幸せそうな表情が浮かんでいた。

 

(これは未来の世界。

私は未来を奪われた人間を管理する為に作られたアンドロイド。

人々は時間を忘れ、何も望まず静かに人生を終える。

そこには、痛みも苦しみも無い。

これが正しい世界。これが正しい世界……)

 

保育園での仕事体験を思い出して、目を開けると同時に、カプセルから出て来る。

 

「プリキュア……ジオウ……」

 

 

その時、クライアス社の会議室で警報が鳴る。

 

「何事?」

 

『RUR-9500、ルールーが出撃しました。』

 

「困った機械人形ですね。パップルさん、後はお願いしますよ」

 

「えっ?あたし?」

 

暗に様子を見に行ってこいというリストルの発言に驚いたパップルだが、それを見たスウォルツも口を開く。

 

「調整を始めたのは貴様だからな」

 

「ブッ飛び~!」

 

 

 

 

その頃、ツクヨミが一人、クジゴジ堂へと戻っていた。

 

「ツクヨミちゃん帰って来てくれてほんと嬉しいよ!もう、どっか行っちゃったと思って心配してたんだ」

 

「何も言わずすいません。実は私もゲイツも……ここを出て行かなくちゃ行けなっくて……」

 

「あ、そうなんだ。フフ………えっ…?出ていくの?」

 

二人が出て行くと聞き、順一郎はツクヨミの方を二度見しながら驚く。

 

「今まで、ありがとうございました」

 

「あ、いやいや……あは……いやいや、こっちがお礼を言いたいくらいだよ」

 

「お礼?」

 

「ソウゴ君、君達が来てくれてから、凄く楽しそうだったから」

 

「ソウゴが……?」

 

「子供の頃からねぇ、王様になりたいなんて言う子だったから。ちょっと変わってるっていうか、お友達もさあやちゃんくらいしかいなかった」

 

「そうだったんですか?」

 

あんなにコミュ力高いのに友達がさあやしかいなかったのかという思いがツクヨミの頭を過ったが、幼い頃から王様になりたいと言っていたとすれば、まあ妥当…むしろ彼女が友達で居たこと自体が奇跡なのかも、と結構酷いことを考えていると…

 

「こんなロボットも友達だったぐらいだから」

 

順一郎はそう言って、見つけたブリキロボを見せる。

 

「そんなソウゴ君が、同世代の仲間とこれだけ仲良く過ごせたんだ。絶対嬉しかったと思うよ」

 

ロボを手に取るツクヨミは、ロボの裏にマジックで書かれた文字を目にする。

 

「WILL BE THE KING……」

 

しばらくすると、ツクヨミのファイズフォンXが鳴り出す。

 

 

ソウゴと合流したはな達が土手沿いを走って移動する。

 

「どこ探す⁉︎」

 

「分からないけど、手あたり次第探そう!」

 

「るー!」

 

「っ⁉︎ あれ!」

 

はぐたんとソウゴが声を上げると、公園に見覚えのある誰かが立っていた。

 

「ルールーだ!」

 

SFラノベ系ロボットアニメで見るようなメカニックぴっちりスーツを着ているが、それがまぎれもなくルールーであると気づき、ソウゴ達は彼女の下に駆け寄る。

 

「どこ行ってたの!?探したよ!良か―――!」

 

ソウゴがルールーの手を取ろうとするが、振り払われる。

 

「ルールー……どうしたの……」

 

「プリキュア……ジオウ―――倒す!」

 

ソウゴとはな達を敵意に満ちた目で見据えながら倒すと言うやいなや。ルールーの真上からこれまたSFラノベに出てくるような、何故かルールーの姿と結構似ている大きめのパワードスーツが降って来る。

ルールーが宙に浮かぶと同時にパワードスーツが分離され、彼女と合体する。

 

「だああああぁぁぁっ!」 

 

「危ない!」

 

人間態のハリーがソウゴ達を抱えて跳ぶと同時に、ルールーのパンチが地面に命中する。

 

「ハリー!」

 

遅れてやってきたゲイツ。彼女が放った攻撃は凄まじく、圧倒的風圧に吹き飛ばされるが、直撃は避けられた。

 

「ハリー!」

 

「大丈夫や!」

 

「ルールー!止めて!」

 

「プリキュア……倒す」

 

はながやめるように言うが、ルールーからソウゴ達に向ける目は明らかに敵として見てる。

 

「そんな……」

 

「変身するよ!」

 

「でも……」

 

「このままじゃ、話も出来ないでしょ!」

 

「ほまれの言う通りだ。覚悟を決めろ!」

 

「……うん」

「……分かった」

 

ソウゴとはなも決意し、五人は覚悟を決める。

 

『ジクウドライバー!』

『ジオウ!』

『ゲイツ!』

 

「「変身!」」

「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!は~ぎゅ~!」」」

 

五人はウォッチとミライクリスタルを手に持ち、ジクウドライバー、プリハートへと装填し、姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

五人が変身を完了し、ルールーの前へと現れる。

 

「プリキュア……ジオウ!」

 

ルールーのパワードスーツからミサイルが放たれた。

五人は一斉に避けると、ルールーがゲイツの前へと現れた。

 

「ゲイツ……対象問題なし!」

 

そのまま巨大なアームが、驚愕するゲイツに直撃。薙ぎ払われたゲイツはパワードスーツの性能を表すかの様に、遠くに飛ばされながら転がり倒れる。

 

「ゲイツ!」

 

「大丈夫か!」

 

ハリーが急いでゲイツを介保する。

 

「ルールー……」

 

「まず一人とは、いい感じね」

 

そこへパップルが木の上に現れる。

 

「パップル……!」

 

「あなたがルールーの記憶を消したの⁉︎」

 

「そっ。あたしはアンタ達と遊んでたルールーの記憶を消したの。今のルールーは、アンタらと出会う前の機械人形よ」

 

「なら戻してよ!」

 

「お願い返して!消したの返して!」

 

「無茶言わないでくれる?一度ゴミ箱にポイしたデータは戻りませ~ん。

でも消して無いのもあるわよ。アンタ達の戦闘データ」

 

これまでの生活のデータを消しても、戦闘データは消して無かったと話す。

ルールーが両脚のブースターを噴射して飛び、最初にアンジュとエトワールに体当たりを繰り出す。それに対して二人が跳び、体当たりを避けて着地する。

 

「エトワールはフィギュアスケートのスポーツ特待生。身のこなしが早く、ジャンプ能力に優れている」

 

ルールーは冷静にエトワールの戦闘データを分析しながら、もう一度体当たりを繰り出し、エトワールがそれを何とか避ける。

 

「けれど、その動きは正確なだけ。予測可能」

 

「きゃああああぁぁぁっ!」

 

だがそのつかの間、右肩のビームマシンガンから連射されたビームの直撃を受ける。

 

「エトワール!」

 

アンジュがエトワールの落下予測地点に向かって跳ぶ。

 

「アンジュは人を助けようとする余り―――」

 

ルールーが後ろからアンジュに不意打ちを仕掛ける。

 

「アンジュ!」

『鎧武!』

 

「隙が生まれる」

 

「ッ⁉︎」

 

アンジュが攻撃を受ける寸前、ジオウが鎧武アーマーとなって大橙丸Zの二刀流で受け止めた。

 

「「あぁぁぁッッ⁉︎」」

 

「ジオウは仲間を…特に幼馴染を助けようと、庇おうとする傾向が多くみられる」

 

しかし、背後からのラリアットを受け止め切れず、二人は地面に小さいクレーターを作りながら攻撃を受けてしまい、ジオウも鎧武アーマーが解けた。

そして、次にエールの方へと向かう。

 

「エール……特に取り柄は無い。スペックはこちらが圧倒している」

 

一撃一撃が重いラッシュを繰り出し、それを受けているエールは腕で防ぐだけで精一杯だった。

 

「「エール!」」

 

「はあっ!」

「やあっ!」

 

「はあっ!」

 

エールを助ける為に放ったアンジュとエトワール、二人のキックがルールーに命中し、後から繰り出したエールのキックも命中する。

だが反撃にパンチを叩き込まれ、エールは両腕でガードするも、余りに強力な衝撃で彼女は両腕の骨に僅かな痺れを生じさせながら後ずさる。

 

『ディディディ・ディケイド!』

 

ルールーが三人に気を取られているその隙に、ジオウはディケイドウォッチをドライバーへと装填し回す。

 

『アーマータイム! カメンライド!ワーオ! ディケイド!ディケイド!ディーケーイードー! 』

『ライドヘイセイバー!』

 

ディケイドアーマーを纏ったジオウがルールーの下に走り、ルールーも腕をドリルに変えてジオウのライドヘイセイバーとぶつかる。

 

 

町ではルールーとの戦いが遠くで煙が生じ、えみるが愛崎家で双眼鏡を使って確認する。

 

「あれは……プリキュアと時見先輩!何だか凄いのと戦ってるのです!」

 

エール達が戦っている事に気付き、そこへ向かう。

 

 

ルールーが左肩のミサイルポッドからミサイルを飛ばし、ジオウ達は避ける。

 

「イイ感じじゃない。後でルールーからプリキュアの正体を聞くつもりだったけど、その必要も無さそうね。まずはプリキュア達から終わらせちゃいな!」

 

ルールーが両手を重ねて振り下ろし、四人で止める。

 

「本当にこれでいいの⁉︎」

「思い出して!」

「ルールー!」

「本当の思いを取り戻して!ルールーーーーーー‼︎」

 

「出力アップ……!」

 

だがルールーは無慈悲にも出力を上げ、四人の両膝を曲げさせる。

 

「何してんのルールー!しっかりしなさい!」

 

パップルが叫んでから一旦距離を取る。

 

「十分ダメージは与えたハズ。まだこんなに力が残っているのは想定外。

もっと分析する必要あり。もっとデータを……データを……!」

 

そう言うとルールーはエトワールを掴み、彼女の分析を行う。

 

「輝木ほまれ。4月8日生まれ。身長163cm……!」

 

――その時、公園での出来事を思い出し、掴む手が緩む。

その隙に彼女は抜け出して、エールとアンジュの方へ戻る。

 

「薬師寺さあや。6月10日生まれ。頭脳明晰」

 

アンジュに狙いを変え、パンチを繰り出す。

――今度は保育園での出来事を思い出して直撃する寸前で止まり、アンジュは分かっていたかのような表情を浮かべた。

 

「何してんの!」

 

「ルールー……?」

 

「野乃はな。1月20日生まれ。家族構成は―――」

 

エールの顔を見ながら言ってた途中で、初めて野乃家に来た時の夜に、はなと話した事を思い出す。

 

「時見ソウゴ。9月29日生まれ。オーマ―――」

 

次にジオウを見ながらオーマジオウと言いかけると、彼女は今までソウゴを見てきた事を思い出す。

自身が今まで見てきたソウゴの優しさを、未来で聞いたオーマジオウとは違う事を――

 

そして突如、彼女は胸を抑えて苦しみ出した。

 

「ルールー?」

 

「声が届いているの?」

 

「ルールー、はなだよ!」

 

「さあやだよ!」

 

「ほまれだよ!」

 

「ソウゴだよ!思い出して!」

 

苦しむルールーの頭部から電流が流れ、あちこちからも流れ始める。

 

「ううう……ッ!うああああぁぁぁっ!」

 

ルールーは更に苦しみ出し、両膝をつく。

 

「どうしたの⁉︎」

 

「これは……」

 

見ていたパップルとゲイツは驚いていた。

 

「さあや……!ほまれ……!はな……っ!ソウゴ……っ!」

 

「思い出したの⁉︎」

 

「そんな訳無い!」

 

ルールーの記憶はちゃんと消した筈だ、今更思い出すはずが無いと考えるパップル。

ならば今のルールーの不具合は一体なんなのか、彼女にはその原因が分からなかった。

 

「考えられるとしたら、ルールーが消す事を拒否したとか……!」

 

それに対してアンジュは、ルールーは記憶を消す事を拒否した為に、自分たちの思い出を思い出し、苦しんでいるのだと推測する。

 

「行くよ!」

 

「えぇ!」

 

アンジュとエトワールがメロディソードを出現させる。

 

「フェザーブラスト!」

「スタースラッシュ!」

 

向かって来るルールーに、アンジュとエトワールがフェザーブラストとスタースラッシュを放ち、命中させる。

 

「よし、今なら!」

 

最後にジオウは、ライドヘイセイバーにディケイドライドウォッチを装着した。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ライドヘイセイバーの時計の針を三周回し、回し終わるとジオウは構える。

 

『ヘイ、カメーンライダーズ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘヘヘイ!セイ!』

『ディディディディケイド!平成ライダーズアルティメットタイムブレーク!』

 

「おりゃぁぁぁぁー‼︎」

 

カード型エネルギーを出現させながら、彼女の装甲を斬り裂く様な一撃を放つと、パワードスーツにヒビが生じて砕け散り、ルールーが中から出て来た。

 

「みんな!ルールー……やったの?」

 

「そうらしい……」

 

遅れてツクヨミが現れ、ルールーがパワードスーツから解放された。

それを見て安堵を浮かべたジオウがウォッチを外した。

 

「ルールー……?」

 

「元に戻ったの……?」

 

「はい……」

 

「そんな……!」

 

ルールーの記憶が戻った事にエール達は喜び、パップルは驚く。

 

「皆さん…私は……うああああぁぁぁっ!」

 

「ルールー?」

 

しかしルールーは、言ってた途中で、胸を抑えて苦しみ出す。

 

「どうしたの⁉︎」

 

「痛い……!胸が……痛い……ッ!」

 

「これは…!」

 

「何…⁉︎」

 

突然の事にハリーとツクヨミにも、何が起こっているのかわからなかった。

 

「苦しい…っ!苦しい……ッ!」

 

「「「「ルールー!」」」」

 

「何、これ…!本体の破損個所は無いのに……胸が張り裂けそう……ッ!」

 

すると突如、ルールーの胸から植物の根、或いは枯れた木の枝の様なものが飛び出してきた。

そのままルールーの体が、まるで彼女を束縛するかのように植物に纏われ、姿を変えていく。

 

『キカイ…!』

 

「「「「ルールー!」」」」

 

ソウゴ達が苦しみ続けるルールーに駆け寄ると、ルールーの胸から植物の根と一緒に木で出来た蟲の様なものが出て来ると、寄生しようとしているかの如く彼女の顔に張り付き、先日ソウゴとゲイツの前に現れたアナザーライダー…アナザーキカイとなった。

 

「もしかして……!」

 

「私に近付かないで!」

 

「ぐぶぅ!?」

 

頭部にある隙間の様な窪みからソウゴの姿を見たアナザーキカイの攻撃が、彼に直撃した。

 

「ソウゴ!」

 

「ソウゴしっかりするんや!」

 

アナザーキカイの攻撃を生身で受けた事で、倒れ込んだソウゴが気絶してしまった。

 

「これは好奇だ」

 

ツクヨミとハリーに心配されるソウゴの姿を見て、好奇だと言いながら白ウォズが現れた。

 

「白ウォズ……」

 

「魔王が倒れ、あのアナザーライダーも現れた。全てに置いて、我が救世主の都合がいい!」

 

『ビヨンドライバー!』

『ウォズ!』

 

ビヨンドライバーを装着した白ウォズが仮面ライダーウォズのウォッチを起動させ、ドライバーに装填した。

 

『アクション!』

 

「変身!」

 

『フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

 

仮面ライダーウォズへと変身した白ウォズはアナザーキカイに向かって行こうとする。

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

「やめて!」

 

エールとアンジュが立ちはだかるが、白ウォズはなんの迷いもなくジカンデスピアを振る。

 

〈パシッ!〉

 

「ゲイツ君!」

 

だがゲイツが前に出て、エール達の代わりにジカンデスピアを受け止めた。

 

「なんのつもりだい。我が救世主?」

 

「お前らはルールーをなんとかしろ。俺はこいつを止める」

 

「ゲイツ……うん!」

 

エール達は急いでアナザーキカイにされたルールーへ向かう。

 

「お前はあのアンドロイドを破壊して、アナザーライダーの力を手に入れる気だろ?」

 

「そうだと言えば?」

 

「そんな事は俺がさせない」

 

ゲイツがルールーを破壊しようとするウォズを止める。

 

 

 

その頃、気絶したソウゴはまた夢を見ていた。

 

「ソウゴ。ソウゴ。ソウゴ。ソウゴソウゴ!」

 

「おおお……」

 

レントから名前を連続で呼ばれ、夢の中で目を覚ます。

 

「よかった……無事だったか……」

 

ソウゴが無事と安心すると、レントはふらつき膝をつく。

 

「大丈夫?」

 

「エネルギーが切れただけだ」

 

心配するソウゴへエネルギー切れと教え、衛星からエネルギーを照射してもらうため天へ手を広げる。

すると衛星から警告音のようなサイレンが鳴り、赤い光線がレントへ降り注がれる。

その時、レントが苦しみ出す。

 

「「「「「レント!?」」」」」

 

レントの様子を見て、心配する子供達。

 

「レント!」

 

「うああああああーっ!」

 

苦しむレントは変身動作をしてないのに、仮面ライダーキカイへと変身してしまう。

 

「レントォォォォーッ!」

 

「お前、機械か……?それとも…人間かぁぁー!」

 

暴走する仮面ライダーキカイはソウゴに襲い掛かり、殴り付ける。

 

「どうしたんだよ!レント!」

 

ソウゴはキカイの攻撃を紙一重で躱した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

キカイは身体中に電流を流しながら何処かへ行ってしまった。

 

「レント……」

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

攻撃を避け地面をついていたソウゴに呼びかける少年。

 

「ありがとう。え〜っと、君は……」

 

「俺はマルコ」

 

マルコの手を握り、ソウゴが起き上がった。

 

「レントを探しに行かなくちゃ!」

 

「ダメだっ!」

 

マルコ達を行かせるのをソウゴが止める。

 

「今のレントに近づいちゃいけない。多分、敵が衛星からレントの頭脳を書き換えるか何かしたんだ、レントが機械だから」

 

「機械じゃないよ」

 

「え……?」

 

「レントは機械じゃない!友達だ!」

「元々レントはヒューマノイズだった。

俺達は人間、レントは機械。狙われる側と狙う側でさ。

でも……友達になった」

 

「友達……」

 

友達だと言うマルコ達の言葉を聞いた時、ソウゴの脳裏にルールーとツクヨミとゲイツがよぎる。

 

「…レントを探そう」

 

ソウゴは子供達と一緒にレントを探しに行く事を決めた。

 

 

 

現実の方では、エール達がアナザーキカイへと変身したルールーを止めようと必死に応戦していた。

 

「来ないで!」

 

苦しみながらアナザーキカイはエールに攻撃する。

 

「そんなの、無理!」

 

「くどい!」

 

アナザーキカイが手からビームを連射して近づけなくさせるが、その一発が倒れているソウゴ、ツクヨミ、ハリーとはぐたんに向かう。

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

三人を守るために前に出たアンジュがハート・フェザーを発動し、ビームを防ぐ。

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

そこへエトワールがハート・スターを放ち、ビームに命中させて掻き消す。その直後、はぐたんが泣き出す。

 

「どう言う事⁉︎」

 

「分からない……!」

 

 

 

その頃、夢の中。レントを探すソウゴとマルコら子供達は、生き残っている人間達が流しているラジオを流してる場所へ向かう。

 

『生き残っている人間の皆さん、力を合わせましょう。集合ポイントは、VX095』

 

「ここか……誰かいますか?」

 

するとテントから3人のお兄さん達が出迎える。

 

「生き残った人間の皆さんですか?」

 

「うん。レント来てない?」

 

「それとも……機械の皆さんですか?」

 

「っ⁉︎ みんな逃げて!」

 

すると三人が目を赤く光らせる。ソウゴはそれを見て、三人――いや、三体がヒューマノイズだと気づいた。

 

「ヒューマノイズ!みんな逃げろ!」

『ジクウドライバー!』

 

ソウゴは子供達を背後へ逃がしつつジクウドライバーを装着し、ジオウウォッチⅡを取り出した。

 

『ジオウⅡ!』

「変身!」

 

ウォッチを装填し、ドライバーを回転させた。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー!ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウⅡへと変身し、子供達を守る。

ジオウⅡの力の差は歴然で、ヒューマノイズ3体を瞬殺した。

 

「「「「うわぁぁぁぁぁ!」」」」

 

すると後ろから仮面ライダーキカイが現れ、マルコ達に襲いかかる。

 

「レント!やめろ!」

 

ジオウが助けに入り、マルコ達からキカイを引き離す。

キカイはジオウへと標的を変え攻撃を仕掛けるが、ジオウの方がキカイを押していた。

 

『ライダーフィニッシュタイム!』

 

ジオウがウォッチを起動させると、キカイも必殺技を仕掛けようとする。

 

「レント!目を覚ませ!」

『トゥワイズタイムブレーク!』

 

キカイのパンチを交わし、ジオウの左腕にエネルギーを集めたライダーパンチが炸裂。胸部へ直撃したジオウのパンチにより、キカイは機能停止した。

 

「レント……」

 

キカイを止めたソウゴは変身を解除し、マルコ達の元へと戻った。

 

「大丈夫?」

 

「やっぱりレントはただの機械だったのかな?」

 

レントは敵だったと子供達が落胆する。それを聞いたソウゴは彼らに話しかける。

 

「俺もさ、ずっと一緒にいた友達と……今、対立してるんだよね。

だけど、まだ仲間になれるって信じてる。

マルコもみんなも、レントを信じなきゃだめだ」

 

それを聞いて、マルコ達から笑顔を見せた。

 

「WILL BE THE BFFだね?」

 

「BFF……?何それ」

 

「レントが言ってたおまじない。BEST FRIEND FOREVERになろうって意味!」

 

その言葉を聞いていると、ソウゴは誰かの戦っている声が聞こえた。

 

「……そうかぁ!」

 

 

 

声が溢れたソウゴが、現実で目を覚ました。

 

「ソウゴ……!」

 

「気がついたか!」

 

アナザーキカイへ攻撃を受け、気絶していたソウゴが起き上がった。

 

「ツクヨミ。機械に、パスワードってあるよね?」

 

「そうね、起動する時とかシャットダウンする時とか」

 

「アナザーキカイだって機械だ。必ずパスワードがある。

『WILL BE THE BFF』、これがそれだと思う‼︎」

 

そう言うとソウゴはアナザーキカイへ走って行く。

 

「WILL BE THE?」

 

ツクヨミが疑問に思っているのを他所に、ソウゴは再びアナザーキカイの前へと現れた。

 

「うっ……」

 

「ルールー……待ってて、今解放する!」

『ジクウドライバー!』

 

「そ、ソウゴ……」

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウライドウォッチⅡを分割し、ドライバーの左右に差し込んだソウゴの後ろから二つの時計のエフェクトが現れ構える。

 

「変身!」

 

ドライバーを回し、二つの時計は左右対象に止まるとソウゴの体を纏う。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

「ゲイツ」

 

ジオウⅡに変身したソウゴは、ゲイツに近付いて自身が考えた作戦を伝えようとする。

 

「何だ……」

 

「俺がルールーの動きを止める。その時にルールーの…アナザーキカイのパスワードを入力して、『WILL BE THE BFF』って」

 

「何…?」

 

ゲイツは何故ソウゴがパスワードを知っているのか驚く。

 

「白ウォズも、あのライダーの力が手に入るなら、ルールーを破壊しないって約束して!」

 

「……いいだろう、その取引に乗ろう。ウォッチが手に入れば私は十分。ルールー君にも手を出さない」

 

「よし、行こう!」

 

ウォズが戦闘から離れ、ジオウとゲイツが走りながらアナザーキカイと戦っているエールの元へ向かう。

 

「来るなと言っている!」

 

「そんなの無理だよ!」

 

「来るなーっ!」

 

アナザーキカイは発狂する様に来るなと叫び、竜巻を作り出す。

 

「フェザーブラスト!」

「スタースラッシュ!」

 

それを見たアンジュとエトワールがフェザーブラストとスタースラッシュを放って、光の鳥を作る。

 

「エール!ソウゴ君!」

「任せた!」

 

「うん!」

「任せて!」

 

ジオウとエールが鳥の上に乗り、竜巻の中に突っ込む。

竜巻の中に入って着地した二人が、アナザーキカイであるルールーと対面する。

彼女は歯を噛み締めてから、ジオウとエールにラッシュを繰り出す。

 

「もう分かっているのでしょう!?

私はクライアス社製のアンドロイドRUR-9500、ルールー・アムール!

あなた達の未来を奪いに来た!

邪魔なプリキュアとジオウの力を調べる為に、キュアエール…あなたの母に偽物の記憶を植え付けて潜入した!

嘘をついて、あなた達に近付いた!

――私は、あなたの家族を!学校のみんなを!町の人々を騙した!」

 

アナザーキカイ――いや、ルールーは自分を責め続けながら攻撃を続ける。

 

「まさか、自分を責めとるんか⁉︎」

 

「そんな事って……」

 

「騙されてなんか、無い!」

 

エールのパンチとアナザーキカイのパンチがぶつかり、ジオウがジカンギレードを振りアナザーキカイの攻撃を受け止めた。

 

「俺達がそう思って無いから!そうなんだ!」

 

その時、アナザーキカイの全身から電流が走り、胸を抑えて苦しみ出す。

 

「止めて……ッ。本当に…痛いの……」

 

「その痛みから解放する!」

 

ジオウがジカンギレードを離し、その隙に周りを取りアナザーキカイを抑えた。

 

「ゲイツ!今だ!」

 

「よし!」

『フィニッシュタイム!』

 

アナザーキカイを止めてるうちに、ゲイツにパスワードを打つよう叫んだ。

 

『タイムバースト!』

「はぁァァァァッ!!」

 

タイムバーストで台風を突っ切ったゲイツが、アナザーキカイに駆け寄って腹部を触り、そこからパスワードの入力キーボードと映像を出現させた。

ゲイツはジオウが言ったように、キーボードを操作して“WILL BE THE BFF”と入力した。

 

『ERROR!』

 

「何⁉︎ ぐっ!」

 

パスワードが誤っていた事にゲイツが戸惑っている間にアナザーキカイは、足を使ってゲイツを遠くへ蹴り飛ばす。

 

「そんな!」

 

「パスワードが違う!」

 

「じゃあ、他のパスワードって事……!?」

 

パスワードが違い、ダメかと思われたその時、ツクヨミがソウゴの昔持っていたロボットを思い出した。

 

「もしかして!」

 

もしかしてと思いながら、ツクヨミがゲイツの元へと走る。

 

「ツクヨミ!何する気や!」

 

ハリーが止めようとするが、ツクヨミは急いで彼の元へと行く。

 

「ゲイツ!こう入れてみて。WILL BE THE ……KING!」

 

ツクヨミが暴風を超える様に叫び伝えた新たな解除パスワードを聞き、それを入力しようと再び向かう。

 

「……俺は、このウォッチを」

 

行くのかと思い、ゲイツが走り出した途端に躊躇して足を止める。

自分は本当に、あのアナザーライダーのライドウォッチを手に入れるべきなのかどうかを迷いながら……

 

「何をしている我が救世主!」

 

「ゲイツ!」

 

痺れを切らせたツクヨミは、自らパスワードを打ち込もうと駆け出す。

 

「うわぁぁぁぁッ!」

 

その時、アナザーキカイがジオウを振り切り、ミサイルを周囲に放った。

 

「きゃあぁぁぁーっ!」

 

悲鳴の上げ、動けぬツクヨミにミサイルが襲いかかる。

 

「ツクヨミーーーー‼︎」

 

そして、アナザーキカイから放たれたミサイルが爆発し、ツクヨミはそれに巻き込まれてしまった、その時…

 

〈ドォォーーーン!〉

 

空間が割れるような音が響き渡った。

 

「――っ⁉︎」

 

「ゲイツ!こう入れてみて。WILL BE THE ……KING!」

 

「これは……」

 

先と同じ会話を聞いたゲイツは、時間が逆転していた事に気づく。

 

「ゲイツ!俺が戻したんだ!

分かったでしょ。ゲイツが躊躇したら、あの未来に辿り着いてしまう!」

 

ジオウⅡの力で時を逆転させたことに気づき、あの未来を回避する方法を知った。

 

「……分かった」

 

ゲイツは再び、パスワードを打ちこみに向かう。

 

「これでいいんだ……」

 

現れたキーボードに今度は『WILL BE THE KING』と入力すると、アナザーキカイの攻撃が四人を囲っていた暴風と共に止まった。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

『キカイ!』

 

すると、ウォズの持つブランクウォッチからミライドウォッチが生成され、同時にアナザーキカイとルールーが分断された。

 

「ルールー!」

 

倒れたかけたルールーをジオウが支える。

 

「素晴らしい、我が救世主。これぞ私達が求めていたものだ」

『キカイ!アクション!』

 

仮面ライダーウォズが歓喜しながら、キカイミライドウォッチをドライバーに装填した。

 

『投影!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴーカイ!フューチャーリングキカイ!キカイ! 』

 

キカイウォッチを使った事により、頭部にスパナ型のアンテナ『クロックブレードSキカイ』、額にはマイナスドライバー型の『ウォーシグナル・キカイ』があり。胸部の『キカイアーマライナー』にはロボットを連想させる意匠が、両肩には交差したスパナとドライバーが描かれた『キカイショルダー』を装着した仮面ライダーウォズ・フューチャーリングキカイへとなった。

 

「行くぞ」

 

フューチャーリングキカイとなったウォズは、まずはアナザーキカイを格闘戦で攻め込む。既に仮面ライダーキカイの力を手に入れたウォズは、宿主を失って弱体化したアナザーキカイを押していた。

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

次にジカンデスピアの一突きで、アナザーキカイを数十メートル先へ吹っ飛ばす。

 

「終わらせよう」

『ビヨンド ザ タイム!フルメタルブレイク!』

 

両肩からカギ付チェーンを出し、アナザーキカイの肩に引っかけ引き寄せる。

 

『爆裂DEランス!』

 

ジカンデスピア・ヤリモードで引き寄せられたアナザーキカイを突き刺し、そのままアナザーキカイは爆散。アナザーキカイの本体である蟲の様な角部分も消滅した。

 

「凄い……」

 

「―――ソウゴ……」

 

「ルールー!気がついた⁉︎」

 

エールも彼女とジオウの前に現れ、ルールーが力なく座り込んだまま起き上がった。

 

「何故許そうとするのです…?もう優しくしないで……!

これ以上あなたと、あなた達と触れ合うと……この痛みが、私の中の正しい世界を、壊して行く……」

 

「ルールー……」

 

「分かっているのです……あなた達の力の源は心……

それが私の回路にバグを作った……

こんな痛みに苦しむ位なら、記憶は消されたままが良かった……!」

 

「苦しいのは、私も一緒だよ!」

 

苦しいと叫ぶルールーに、エールも同じくらい苦しいと話す。

 

「えっ…?」

 

「もう、ルールーと戦いたく無い!さっきから……身体よりも、胸の奥の方がずっと痛いんだよ……ッ!」

 

「何故……?」

 

伸ばしたルールーの手を、涙目のエールが両手で包み込むようにして掴む。

 

「ルールーの事が、好きだもん……!今更、嫌いになんてなれない……!」

 

アンジュとエトワールも、ジオウとエールに駆け寄る。

 

「あっ……はぐたん」

 

ジオウが駆け寄って来た二人の方へ顔を向けると、いつの間にか泣き止んでたはぐたんも、ルールーのすぐ傍に寄って来ていた。

 

「よちよち」

 

そしてルールーの頭を、ポンポン触れるようにして撫でる。

はぐたんを見たルールーの目に光が宿ると同時に、涙が溜まる。

 

「うああああぁぁぁぁん……っ!」

 

彼女は声を上げて、子供のように泣きじゃくった。

その姿は、自身がしてきた罪を懺悔している様にも、この世で産声を上げている様にも見えていた。

 

「な、何泣いてんのよ!さっさと命令を果たしな―――!」

 

パップルが叫んでた途中で、ルールーが腕を変換させビームを放った。

 

「去りなさい……!私のプログラムは上書きされました。

もう従順な機械人形ではありませんッ!」

 

「ルールー……あんた……」

 

パップルが仕掛けようとすると、そこへジオウが前に出る。

 

「ルールーは渡さない」

 

「時見……ソウゴ」

 

「ルールーは俺達の友達、もうクライアス社の手先じゃない!

それでも、ルールーを連れて行くなら……俺が彼女を守る!

例え、相手がオーマジオウでも……!」

 

ジオウの強い意志にエールとアンジュ、エトワールも感化され、ルールーの前に出る。

 

「ソウゴだけじゃない!ルールーは家族だから、私が守る!」

 

「私も!ルールーを守る!」

 

「私も!」

 

パップルは、四人のルールーを守る決意に押される。

 

「っ⁉︎……帰るわよ!」

 

パップルが悔しげに叫んでから、瞬間移動して姿を消した。それを見てジオウが変身を解いた。

 

「あっ…⁉︎」

 

「ソウゴ君!」

 

「大丈夫……」

 

アンジュはフラついたソウゴを支える。やはり、起き上がった時のダメージがまだ体に残っていたらしい。

そんな傷ついたソウゴを、ゲイツとツクヨミは見ている事しか出来なかった。

 

「行こう。我が救世主。ツクヨミ君」

 

「……えぇ。ゲイツ、行こう」

 

「……」

 

白ウォズの後をツクヨミとゲイツは付いていき、ソウゴ達から離れて行く。

 

「ゲイツ……ツクヨミ……」

 

「ソウゴ……」

 

それを見届けたソウゴは、二人の選んだ道――自分を倒す事を選んだのだと悟った。

 

 

しばらく経った後、ソウゴとはなとルールーが公園の椅子に座り、さあや達はすぐ傍で立ってルールーを見る。

 

「まだ痛いか?」

 

「いいえ……むしろ温かいです」

 

「そっか」

 

それを聞いたハリーは、はぐたんと安心した様子で笑みを浮かべた。

 

「ですが、バグを抱えたままでは支障があります。どこか、修理出来る所はありませんか?」

 

「その必要は無いと思うよ」

 

「それは、きっとバグじゃ無いから」

 

「えっ?」

 

「それは、私達と同じ心だよ」

 

「心……これが……」

 

「俺達と同じで泣いたり、笑ったり、食べたり、悲しんだり、俺達も持ってるそんな感じ。

つまりは、俺達と同じだったって事!」

 

「同じ……私が……」

 

「それに、ルールーは俺達の大事な友達!WILL BE THE FRIENDだよ!」

 

笑みを浮かべたソウゴがそう言って、はな達も笑顔を浮かべる。

 

「ありがとう……みんな……」

 

ルールーが涙を流し、ハンカチを受け取って涙を拭く。

 

(何故でしょうか……?

先程から時見ソウゴ………いえ、ソウゴを思うと不思議な感情が……

これも、バグなのでしょうか……?でも、嫌ではありません)

 

立ち上がったはなが両腕を広げて抱擁の体勢を取ると、泣き止んで涙を拭い終わったルールーが彼女に抱き付く。

 

「「お帰り、ルールー」」

 

「ただいま」

 

ルールーが夕日で照らされた顔を更に赤らめた笑顔を見せ、ソウゴとはなも笑顔を見せた。

 

「……そういえば、なんでソウゴが言ったパスワードが違って、ツクヨミが言ったのは当てたんだろ?」

 

最初にソウゴが言った『WILL BE THE FRIEND』は違い、ツクヨミが言った『WILL BE THE KING』が当ているのは何故かと思う。

 

「WILL BE THE KING……あれ?なんか聞いた覚えがあるような……?」

 

『WILL BE THE KING』。自分が小さい頃に書いていたブリキロボのことだという事は、すっかり忘れていた。

 

 

 

「はな先輩達が……プリキュア……⁉︎」

 

そんな中、ここへ駆け付けたえみるが一部始終を見ていて、はな達がプリキュアという事を知ってしまったのだった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第24話 友情が奏でる音楽 2018

 

 




おまけ

ルールー「プリキュア・・・ジオウ・・・倒す!」

はな「そんな・・・ルールーが・・・!」

ソウゴ「ここは俺に任せて!」

ルールー「時見ソウゴ・・・!貴方を――」

ソウゴ「よっと」〈ガション!〉

ツクヨミ「ちょっ、何そのドライバー!?」

ルールー「な、何を・・・!?やめなさい!わたしの仕事はプリキュアとジオウを倒すことだから・・・」

ソウゴ「違うよ?ルールーの仕事は俺たちの友達になることだよ」

ルールー「ッ!―――逢魔迅雷.net・・・接続…」

ソウゴ「ヨシ!解☆決!!」

ジオウゥゥゥゥォォォォォォォォォォオオオ!!!?

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