Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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黒ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
彼はアナザーキカイとなったルールー・アムールを助ける為、仮面ライダーキカイの力をゲイツに授け、ゲイツリバイブへの道のりを切り開くこととなる。
この判断が、魔王のための未来を生み出すのか。
それとも、破滅の道へと誘うのか……」


第24話 友情が奏でる音楽 2018

ルールーとの戦いを終えてしばらく経ち、時計の針は六時前となった為、ソウゴ達は歩きながら公園を後にする。

 

「しっかし、クライアス社のメンバーがこっちに就いたとは。

何か、アイツらの情報を教えてや」

 

クライアス社のメンバーの一人が仲間になった事に驚きながらも、ハリーは敵の情報について何か知っている事は無いかと問いかける。

 

「クライアス社の社長はプレジデント・クライと、会長であるオーマジオウ……

ある時彼らは強大な力を手に入れ、未来の時間を止め、人々から明日を奪いました」

 

「プレジデント・クライとオーマジオウ……」

 

「それは知っとる。他には?」

 

「思い出せません」

 

「何やと⁉︎」

 

ハリーはトップの名前以外のメンバー名などを知ろうとするが、ルールーはそれ以上の情報を思い出せず、はな達は柱時計のすぐ傍で足を止める。

 

「パップルの調整を受けた時、機密情報を全て消されてしまいました」

 

彼女曰く、調整を受けた際、クライアス社に関する機密情報は全て消去されてしまったのだと語る。

 

「マジか~……」

 

「まあまあ」

 

「それも大事だけど、敵のトップを知れたじゃん」

 

「それもそやな……」

 

「とにかく、帰って来てくれて良かった!」

 

「「うん!」」

 

ポジティブに捉えるソウゴ達はルールーが帰ってきた事を喜ぶのに対し、ルールーは表情を曇らせている。

 

「やはり私は……帰れません」

 

「何で?」

 

「私はあなたの母、野乃すみれの記憶を操作して家に潜入しました」

 

「はなのお母さんの記憶を……」

 

「勿論、記憶は元に戻します。

しかしその結果、私は100%野乃家を追い出されるでしょう」

 

「そんな事……!」

 

「はな!」

 

「ルールーちゃん!」

 

追い出されるだろうとルールーが表情を曇らせながら話していると、すみれとことりの声が聞こえ、はな達はその方向に顔を向ける。

そこには二人だけで無く、森太郎もいた。

 

「みんな!」

 

「無事だったのね……!良かった……!」

 

「……」

 

「ほぉら〜、呼んでるよ」

 

ルールーが目を逸らした直後、ソウゴが背中を押すと、はなが彼女の手首を掴む。

 

「行くよ」

 

「えっ?ちょっと、はな……」

 

そのまますみれ達の元へ駆け足で向かう。

 

「心配したのよ」

 

「あははは………ごめんなさい。ルールー」

 

はなに名前を呼ばれてから、ルールーはすみれに視線を向け、彼女への記憶操作を解除させた。

解除されたことで、すみれは全て思い出した。

あの日、ルールーが自分に何をしたのかどうかも。

 

「あれ…?私………そっか、全部思い出した」

 

「ごめんなさい………本当に、私……」

 

「ママ!ルールーは……!」

 

だがすみれは、何も言わずに二人を抱き締めた。

 

「怪我は無い?ルールー」

 

「はい……」

 

「そう。良かった」

 

偽りの記憶が消え、本来の記憶が戻っても、彼女はルールーを温かく迎えた。

 

「じゃ、帰りましょ。さあ、今夜はカレーよ!」

 

「やったぁ!」

 

「カレーだカレーだ!」

 

はなとことりは今日の夕食がカレーと言う事に喜んだ。

 

「帰る家、あって良かったね。ルールー」

 

ルールーの姿を見て、ソウゴが良かったと言う。

 

「………いいよな。心配してくれる家族がいて」

 

それと同時に、野乃家の家族とルールーを包んでいる温もりを見て、ソウゴは矢張り家族はいいもんだと呟く。

 

 

そのまま、はなとルールーは野乃家と共に帰って行き、ソウゴ達はクジゴジ堂へと向かった。

 

「ただいま〜」

 

「お帰り〜ソウゴ君。あっ、いっらしゃい、さあやちゃんにほまれちゃん、ハリー君も」

 

そこには何かを直している順一郎がいた。

 

「あれ?それって?」

 

「あっ!そのロボット」

 

「懐かしいからね。直して見たんだ」

 

順一郎がソウゴに、その修理を終えたブリキロボのおもちゃを渡した。

 

「懐かしいな……ん?『WILL BE THE KING』? これ…」

 

ロボットを懐かしんでいると、あの時ツクヨミが言ったパスワードの文字が、このロボットの背中の部分に刻まれていた事に気付く。

それによく見てみると、ロボの顔には仮面ライダーキカイと同じく、レンチとマイナスドライバーを模した意匠があった。

 

「……叔父さん、ゲイツとツクヨミは……」

 

「少し前に、荷物を纏めて出ていったよ」

 

「そっか………みんな、じゃあ。明日学校で……」

 

ロボットについては取り敢えず頭の隅に置いといて、ゲイツとツクヨミがクジゴジ堂を出て行った事を確認したソウゴは渋々と階段を登っていく。

 

「ソウゴ君……」

 

「辛そうな感じだね。ソウゴ」

 

やはり、二人がいなくなった事はソウゴにとって辛いものなのだと、三人はハッキリと感じていた。

 

 

その頃、クジゴジ堂を出ていったゲイツらは神社にいた。

 

「何故奴のパスワードがわかったんだ」

 

「ソウゴが子供の頃遊んでたロボットに書いてあったのよ」

 

「ロボットだと?」

 

ツクヨミはロボと言い、ゲイツは順一郎の手伝いの際に聞いていた、ソウゴが昔遊んでいたというブリキロボを思い出した。

 

「あのアナザーキカイ、契約者もいなかったのにどこから来たと思う?」

 

「それは……」

 

「ソウゴの力は、未来を予知するなんて生易しいものじゃない……

もしかしたら……自分の思った未来を創り出してしまうという力…」

 

それを聞いたゲイツは、まさかそんなことがと否定しようと思ったが、あの時アナザーライダーに打ち込んだパスワードは、ソウゴが昔書いたと思われる言葉である『WILL BE THE KING』…

 

―――そして、その意味は「俺は王様になるんだ」。

 

結局は間違ってはいたが、最初にパスワードの存在に気付いたのもソウゴだった。

それはなぜか?それはきっと、彼が夢の中で仮面ライダーキカイに出会ったから。

最初に出会った仮面ライダーシノビも、元は彼が見たと言う夢の中が起点だった。

 

ツクヨミが導き出した仮説も、一言に違うとも言えなくもない。

 

「ジオウは予知夢を見ていたんじゃなくて、あいつが見た夢がそのまま未来となり、この時代にアナザーライダーを生み出したという事か……」

 

「ゲイツ……私、怖いの……」

 

日に日に力を増していくソウゴに怯えを感じ始めるツクヨミ。

そこへ白ウォズが、3つのミライドウォッチを手にし現れた。

 

「我が救世主。オーマの日が近づいている」

 

3つのミライドウォッチを近づけると、それらが宙に上がりピラミッドを形成。

その中心部に何かが生成されると、それはゲイツの手の中へ落ちていく。

 

「君のその手にゲイツリバイブの力を」

 

今ここに、三つのライドウォッチから砂時計のような形をした、ブランク状態のライドウォッチが誕生した。

 

 

一方、野乃家のリビングでは夕食が始まっていた。

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

夕食のカレーをはな達が食べる。

 

「これこれ!」

 

「ソーセージ、ブロッコリー、キャベツ、カブ……」

 

「ちょっと変わってるよね」

 

野乃家のカレーは、カレーには余り使わない具材ばかりだった。

 

「前にポトフを作ろうとして失敗しちゃって…

でも、とっさの思い付きでカレーに作り直したの」

 

すみれは失敗した事を苦笑しながら、以前ポトフを作ろうとした時に失敗し、カレールーを投入してカレーにした事で、このカレーが出来たのだと話す。

 

「名付けて!ママの復活カレー!なんてね」

 

ルールーがスプーンでカレーを掬い、口に入れる。

 

「……っ!美味しい…!」

 

「「「でしょー!」」」

 

「大抵の事はやり直せる。私はそう思うわ」

 

すみれはそう言い、ルールーに向けて優しく微笑んだ。

 

 

夕食後、はなとルールーがベランダに出て星空を見上げる。

 

「想定外です。どうして私を受け入れたのでしょう?」

 

「そんなの、ルールーが好きだからに決まってんじゃん。ホント、良かった」

 

「私には……まだ良く分かりません」

 

そう言った直後、彼女達の頭上に流れ星が流れた。

 

 

 

同じ頃、愛崎家のえみるの部屋では、ベッドで横になるえみるが――

 

「な…何と言う事でしょう……!

はな先輩が、プリ…プリ……プリキュアぁぁぁ~⁉︎」

 

ネズミのぬいぐるみを引っ張って叫んでいた。

 

 

 

次の日、ソウゴとさあやが学校に来た。

しかし教室を見ても、ゲイツとツクヨミの姿はなかった。

 

「来てないか……ん?」

 

やっぱりあの二人は来てなかったかと残念な思いを浮かべるソウゴは、はなの席に何か置いてあるのが見えた。

 

「おはよう!」

 

しばらくして、はなとルールーが学校に来ると、彼女達も机に名前が書かれた紙が置かれていたことに気付く。

 

「えっ⁉︎ 何…これ……!」

 

「果たし状?」

 

 

果たし状かと思ったソウゴ達。それからしばらくし、昼休みに彼らは中庭で内容を確認する。

 

「お昼休み……中庭にて待つのです……?」

 

「待つのです?まさか……」

 

その紙には『お昼休み 中庭で待つのです』と書かれてあり、さあやとほまれにも渡っていた。横から内容を見ていたソウゴは、見覚えのある口癖に察しが付きつつあった。

 

「うーん……」

 

「果たし状では?」

 

「ええっ⁉︎」

 

そこへ生徒達のざわめく声が聞こえ、その方向を向く。

 

「いらっしゃいましたね!」

 

「ええ~っ⁉︎」

 

上の方にキュアえみ~るの格好をしたえみるが、花の形をした杖の先端を向けていた。

 

「えみる……」

 

「なんで、その姿なの?」

 

「何、その恰好……?」

 

「私は見てしまったのです!お三方の秘密を!」

 

「秘密……⁉︎」

 

「それって……!」

 

「言っちゃダメ~っ!」

 

「あなた達は、プリ―――!」

 

「えみるちゃん!ストップ―――」

 

ソウゴ達が止めようとしたその直後、ルールーが跳び、すぐさまえみるの後ろを取って口を塞いだ。

 

「し、失礼しました~!」

「ごめんなさい!」

 

はな達はえみるを連れて、この場から走り去った。

 

 

ソウゴ達はビューティーハリーに避難してくる。

 

「えみるちゃん……とりあえず」

 

「分かりました」

 

ルールーがバッテン印のテープを剥がす。

 

「ホントに見ちゃったの?」

 

「見たのです!三人がプリキュアから戻る所を!後、このネズミがベラベラ喋れた事も!」

 

「誰がネズミやねん!俺は―――!ハム?」

 

「もう遅いよ」

 

「ぬあっ……!」

 

ハリーが目を輝かせて鳴き声を発するが、ほまれからもう手遅れと言われてショックを受ける。

 

「とにかく!絶対言うたらアカンで!正体を隠し、みんなの為に戦う!それが―――!」

 

「ヒーローなのです!」

 

「わ、分かっとるやないか」

 

「はい!みんなを守り!強くて!カッコ良くて!更に可愛くて、綺麗で、たおやかで……!

プリキュアと仮面ライダーはヒーローなのです!」

 

「可愛くて、綺麗で、たおやかは。俺には当てはまらないけど……」

 

色んなポーズを取る彼女を見ながら、前半の三つは兎も角、後半の三つは当てはまらないとソウゴが苦笑する。

 

「はっは~ん、照れるぜ……」

 

「まぁ、憧れのプリキュアがはな先輩だった事はショックですが……」

 

「めちょっく……!」

 

だがえみるは反対側を向き、頬を人差し指で掻きながらはながプリキュアだった事はショックだと言い、そう言われたはなはショックを受ける。

 

「皆さん!お願いがあるのです!」

 

すぐさまソウゴ達の方を向いて、頭を下げて頼み事をする。

 

「ごめん。俺、放課後に今日用事があって……」

 

「あっ……!」

 

ソウゴが用事があると言うと、さあやはそれがなんの用事なのか察した。

 

 

放課後、えみるがルールーと共に、スケート場でほまれの練習を見る。

 

「はぁ!」

 

ほまれがジャンプに挑戦し、飛び上がり着地に成功した。

 

「これがプリキュアに選ばれし者の華麗な日常……!凄いのです……!」

 

えみるはほまれの練習に目を輝かせて見入る。

 

 

今度は池の方で、さあやの演技の練習を見る。

 

「風が歌い、温かな愛を運んで来るの。私の、心に……!」

 

「さあやさんが女優だったなんて……!やっぱりヒーローになれる人は違うのです!」

 

「そんな……」

 

こちらも目を輝かせて見入り、さあやが照れる。

 

「心……」

 

ルールーが胸元に手を当てて呟く。

 

「しっかし驚いたのです。ルールーが先にプリキュア修行を始めていたとは」 

 

「何の事です……?」

 

「ルールーの事は全てお見通しなのです。隠しても無駄なのですよ。

な・ぜ・な・ら……私はルールーの親友なのです!」

 

「そうなんですか……?」

 

「そこを真顔で返されると……」

 

ルールーが真顔で子首を傾げるのを見て、えみるは地味にショックを受ける。

 

「ああ~っ!どうしよう~っ!」

 

そこへ焦りを浮かべるはなが駆け足で現れるが、足を引っかけて転んでしまう。

 

「めちょっく……!」

 

「はな……」

 

「何ですか急に……?」

 

「みんな手伝って~……!

……ん?ソウゴ?」

 

顔を起こしたはなが手伝って欲しいと頼んでいると、花を持ったソウゴが一人歩いてるのが見えた。

 

「ソウゴ……」

 

「ひょっとして、時見先輩が王様なるための必要な事でしょうか〜!」

 

えみるが目を輝かせて、歩くソウゴを見る。

 

「………そうじゃないの」

 

「ん?さあや、何か知ってるの?」

 

さあやが何か知ってるのかと思い、どういう事かとはなが聞く。

 

 

花の購入を終えたソウゴは一人、墓標へとやってきた。

そのまま歩み続けると、そこにある一つのお墓の石の前へと止まる。

 

「ただいま。お父さん。お母さん」

 

そこには『時見家』と書かれていて、ソウゴは墓石の左右に花を添えた。

 

「父さん、母さん。俺……今、叔父さんに隠している事があるんだ」

 

自身がライダーであることを天に居るであろう両親に報告するかのように、ソウゴはジオウウォッチを取り出した。

すると、背後から石を蹴る音が聞こえた。

 

「…みんな」

 

振り返るとそこにはな、さあや、えみる、ルールーがいた。

 

「あはは……」

 

はなが苦笑して誤魔化す。

 

「時見先輩……ここって」

 

「ごめん、なんかストーカーみたいな事して……今日は大事な日なのに……」

 

「ううん。別にいいよ」

 

さあやは気まずそうに謝るが、ソウゴは気にしていなかった。

 

「ソウゴ、ここは……?」

 

「俺の両親のお墓」

 

ここは、事故で亡くなったソウゴの両親の墓だった。

 

「確か、ソウゴのお父さんとお母さんって……」

 

以前に両親の話を、彼の口から聞いたことがあるはなはすぐに察した。

 

「うん、俺が五歳の時に事故で二人共死んじゃたんだ」

 

ソウゴが話すと、はな達がお墓の前へと出る。

 

「初めてまして!私!野乃はなです!」

 

「私、愛崎えみるなのです〜!」

 

二人が自己紹介を始める。

 

「ソウゴの両親とは、どんな方々でしたか?」

 

「俺は小さかったからあまり覚えてないけど、毎日笑顔で事故の日も何もなく当たり前の日常だったんだ」

 

「ソウゴ君……」

 

「ごめんね。しんみりするような話をしちゃって」

 

ソウゴはそう笑いながら言う。

だが、ソウゴの話を聞いて普段たまにソウゴが他人の家族の事を呟くと、はなとえみるは家族の大事さをよく知っているのかがわかった。

 

「そういえば、はな。何か手伝って欲しいことがあったのでは?」

 

「…あっ、あぁぁぁぁ‼︎ めちょっく!そうだぁぁぁ!」

 

そんな中、ルールーの言葉ではながみんなに手伝って欲しいことを思い出した。

 

 

ラヴェニール学園へと戻ったはな達は、音楽室へやってきた。

 

「おかこえいこうよ〜……」

 

えみるの弾くピアノの音に合わせ、はなが歌う。

 

「ああ、来週歌のテストか」

 

「うん」

 

練習を終えたほまれが現れ、来週歌のテストがあったことを思い出す。

 

「歌……」

 

「音が外れてます」

 

「えぇ⁉︎」

 

えみるから音が外れてると言われ、はなは驚きの表情を浮かべる。

 

「そこはミですミ」

 

「共に~!」

 

「外れてます!」

 

「えぇーっ!?」

 

「…どうやらえみるは、絶対音感があるようですね」

 

「えっ?」

 

えみるは絶対音感の持ち主だったらしく、はな達は驚きを隠せなかった。

 

「じゃ、じゃあこれは?」

 

「ド。正確では無いですが」

 

「凄い……!」

 

はながペンでコップを叩き、えみるが音程を答える。

 

「えみる小さい時から音楽やってたの……?」

 

「はい!音楽は心を、自由に羽ばたかせる事が出来るのです!」

 

「心を……自由に……」

 

ルールーの表情を見てソウゴが話しかける。

 

「ねえ、ルールーも一緒に練習しよっ」

 

「私がですか?」

 

「ねぇ、いいじゃん!やってみよ!」

 

「やってみるのです!」

 

みんなに言われるまま、今度はルールーが歌う。

 

「おかを・こえ・いこうよ・くち……」

 

ルールーの歌を聞いているが、どこも間違いはなかった。

けど、ソウゴ達は難しい顔で首を傾げる。

 

「ルールー……音程はとても正確です。

ですが、その……心に響かないと言うか……」

 

えみるは困った顔で、ルールーの歌は音程こそ正確だが、心には響かないと告げる。

 

「ごめんなさい……。やっぱり私には無理です……」

 

そう言った直後、身体に異変が生じる。

 

「私には……分からない……」

 

「ルールー?」

 

「心………分からない、分からない……!」

 

「どうしたの?」

 

「システムエラー」

 

『ルールー!』

 

システムエラーが生じたルールーは、機能停止してその場に倒れた。

 

 

 

 

「何をやっているのだ!」

 

その頃、プレジデント・クライの叱責が響き渡るクライアス社の会議室に、役員が集まっていた。

 

「RUR-9500、通称ルールーは我が社の大切な製品。それをプリキュアと若き日のジオウに奪われるとは……」

 

「とんだ時間の無駄だ!私なら五分で終わるぞ!五分で!」

 

「どう責任を取るつもりだ」

 

ルールーを取り返せなかったパップルがプレジデント・クライだけで無く、リストルとダイカン、スウォルツから叱りを受ける。

 

「ルールーは私の部下……!この始末は、必ず私が……!」

 

「大丈夫なのあんた一人で?」

 

「やってみせるわよ!」

 

そんなやり取りを、奥の方で一人の女性が見ていた。

 

「いよいよ。こいつの出番か?」

 

一方で、そう呟くスウォルツは、懐から一つのアナザーライドウォッチを取り出した。

――そこには、歯茎を剝き出しにした人体模型の様な顔の上に、『2019』と『ZI-O』という白い文字が書かれていた。

 

 

 

 

ラヴェニール学園の保健室では、ベッドで眠るルールーの傍に座るえみるがいた。

 

「アンドロイド……」

 

先程ソウゴ達からルールーは未来から来たアンドロイドと聞いた時の事を思い出した直後、ルールーが目を覚ます。

 

「ルールー……!良かったのです……!大丈夫ですか?」

 

「はい」

 

えみるが大丈夫かと尋ねるとルールーははいと答え、上半身を起こす。

 

「はな先輩に聞いたのです。ルールーが……アンドロイドだって……!」 

 

「はい」

 

「証拠を見せて下さい!」

 

「はい」  

 

ルールーはえみるに自分の正体を晒した。

 

「うええええぇぇぇ~っ⁉︎」

 

ギアが軋むような機械音や凄まじい駆動音を響き渡らせながら、ルールーが自分がアンドロイドと言う証拠を見せると、えみるは驚きの余りに声を上げた。

 

「驚かせてごめんなさい」

 

「大丈夫なのです……」

 

大丈夫と言うえみるの頭からは煙が出ていた。

 

「でも……今度から秘密は無しなのです!

私達は親友です。隠し事は無しなのです!」

 

「親……友……?」

 

「です」

 

えみるは頷き、ルールーの手を両手で包みこむように握る。

 

「ルールー!私と一緒にプリキュア目指しましょう!」

 

ルールーに自分とプリキュアを目指そうと持ち掛ける。

 

「ルールーは綺麗でカッコよくて、強い心を持っているのです。

きっとルールーは、プリキュアになれるのです!一緒に頑張りましょう!」

 

「無理です!」

 

「えっ……?」

 

「私は……アンドロイドです。

きっと……プリキュアになれるのは、あなたのような人です」

 

悲しい表情でルールーがえみるの方がなれると言う。

 

「私は……一生懸命な可愛らしい心を持っているあなたが―――とても、羨ましい」

 

二人の会話を、保健室の外でソウゴ達が聞き耳を立てていた。

 

「はぁ〜……」

 

「どうする?」

 

「うーん……」

 

 

えみるが自宅に戻ってから、ベッドの上で横になって考える。

すると、ソウゴとルールーに歌を聞かせた事を思い出し、クローゼットを開けて中に隠していたギターを取ろうとする。

 

「えみる?」

 

「はい!お兄様!」

 

兄の正人の声が聞こえ、慌ててクローゼットを閉じる。

 

「?」

 

「な、何でも無いのです!」

 

「ケーキがあるんだ。お茶淹れて」 

 

「はい……」

 

苦い表情を浮かべながらも、えみるは兄の為に紅茶を作ろうとする。

 

 

 

翌日、えみるがビューティーハリーでギターを弾き、はな達に聞かせる。

 

「センキュウ!」

 

「イケてるえみる!」

 

「そ、それ程でも……」

 

弾き終えるとはなに褒められ、照れながら後ろ頭を掻く。

 

「確かにむっちゃ上手いけど、家でやれ。家で」

 

「家でギターはダメなのです。お兄様が嫌がるので……」

 

「?」

 

ハリーはえみるの兄がギターを嫌がる事に疑問を抱いた。

 

「ギターは、女の子が弾くには相応しく無いと言われて……」

 

「ふーん……随分と遅れとるな」

 

「ギター、好きなんだね」

 

「はい。ギターは自由でカッコいいのです」

 

「にしても、反対されてるのに、何でまたギター弾きたくなったんや?」

 

「ルールーに、元気を出して貰いたくて」

 

「そっか」

 

横に座るほまれがえみるの頭に手を乗せる。

 

「でも……上手く行くか分からないのです……

だから、皆さんの意見を聞かせて欲しいのです!

私……私……っ!」

 

懇願するえみるの目には涙が溜まる。それを見たはなは口を開く。

 

「大事なのはえみるの気持ちでしょ?」

 

「えっ……?」

 

「ダメなら、その時また考えればいいじゃん。

私はその気持ちを応援するよ。

フレー!フレー!えみる!おーっ!」

 

「ふぇー!ふぇー!えみるー!」

 

そう言ってえみるを応援し、はぐたんもはなの動きを真似て応援する。

 

「もう…適当なのです……でも、頑張ってみるのです!」

 

はなとはぐたんに応援してもらったえみるは涙を拭い、笑顔を見せた。

 

 

一方外の池では、さあやとソウゴがルールーを歌を聞いていた。

 

「…どうしたの?」

 

しかし途中で止めた事に気付いたさあやが、彼女へどうしたのかと尋ねる。

 

「ダメです……心が篭らない……」

 

「……私も、考え過ぎて、良いお芝居が出来なくなるの。

でも上手く出来た時は、何も考えなくても、胸の奥から想いが湧き出して来る」

 

思い通りに歌う事ができないと呟くルールーを見たさあやはその場にしゃがみ、水を掬ってそう語ると、ルールーもしゃがんで水を掬う。

 

「無理しなくていい。止めようとしても、溢れて来るのが心だから」

 

「心……わからない」

 

「難しく考えることないと思うよ」

 

人の心が分からないと話すルールーに、ソウゴが難しく考える必要ないと答える。

 

「難しく考えるなら、まずは心のままに動いてみたら、いいんじゃないかな?」

 

「心のままに?」

 

「うん。自分が思った事があるならそれを信じて動く。それでいいと思う」

 

「自分が思った事?……っ!あれは…」

 

自分が思ったこととは……

そんなことを考えていると、ルールーが何かを察知し、繁華街の方から出て来たトゲパワワに気付く。

 

 

繁華街の時計のある広場に到着すると、ビルの屋上に立つパップルと赤いドレスを纏ったモデルオシマイダーに気付く。

 

「オシマイダー!」

 

「みんな!」

 

「止めるよ!」

 

四人がジクウドライバー、プリハートを構える。

 

『ジオウ!』

 

ソウゴがウォッチを、はな、さあや、ほまれはクリスタルをセットした。

 

「変身!」

「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」

 

ソウゴがジオウウォッチで、はなとさあやとほまれはミライクリスタルをセットし、姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

「輝く未来を~抱きしめて!!みんなを応援♪元気のプリキュア!キュアエール!」

「輝く未来を抱きしめて!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「輝く未来を抱きしめて!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

四人が変身を完了すると、オシマイダーへと向かっていく。その様子をルールーとえみるが離れて見ていた。

 

「あーら、すっかりヒーローぶっちゃって。ルールーちゃん」

 

「パップル……」

 

「さあ行け!オシマイダー!」

 

オシマイダーがビルから飛び降り、エール達が上に跳ぶ。

 

「うりゃあっ!」

 

『ジカンギレード!』

「はぁ!」

 

エールがオシマイダーの指を掴んで投げ飛ばし、ジオウがジカンギレードを振るって宙を飛ぶ敵に攻撃を行った。

 

「フェザーブラスト!」

「スタースラッシュ!」

 

「お着替えよ!」

 

アンジュとエトワールが追い打ちにと、フェザーブラストとスタースラッシュを放つ。だがパップルの命令と同時に、ビルから出て来たオシマイダーが全身を回転し、丸い姿に変える。

その直後、フェザーブラストとスタースラッシュが命中する。

 

「凄いのです!」

 

「目標、温度上昇中」

 

ルールーがオシマイダーの温度が上がっている事に気付く。

 

「マズい!避けて!」

 

そう叫んだ直後、オシマイダーの腹部からフェザーブラストとスタースラッシュのエネルギーを吸収した光線が放たれる。

 

「フレ!フレ!ハート・フェザー!」

 

アンジュがハート・フェザーで防ぐが、打ち破られて直撃してしまい、二人は地面に落下する。

 

「アンジュ!エトワール!うわぁ!」

 

ジオウはアンジュとエトワールを助けに向かおうとするが、いきなり何者かに不意打ちを受けてしまった。

 

「誰⁉︎ ……お前は…アナザービルド!」

 

「ぐうぅ!」

 

不意打ちをしたのは、以前倒した筈のアナザービルドだった。

 

「そんな……どうして……」

 

一度倒した相手であるアナザービルドが現れて困惑すると、アナザービルドは集中的にジオウを攻撃してきた。

 

「くぅ!」

 

「ソウゴ!……いや、アンジュとエトワールを!」

 

アナザービルドに阻まれアンジュとエトワールの助けに行けないジオウを助けようとしたエールだったが、彼よりもアンジュとエトワールの方が心配になったので二人の元へ向かう。しかしオシマイダーが三人を潰さんとして落下する。

 

「っ!しまった!」

 

「はっ⁉︎ させない!」

『ディディディ・ディケイド!』

 

アナザービルドを払うとディケイドウォッチを起動させ、エール達の元へと走る。

そのままジオウは、エール達と共に潰されてしまった。

 

「そんな……!」

 

えみるはジオウ達が潰されてしまったと思い、決して軽くない絶望を味わった。

 

「残念ねぇ、仲間を守れなくて。

てか、仲間って何?笑わせないで。本気でヒーローになれるとでも?

所詮アンタはこっち側の人間。夢見てんじゃないわよ!心の無い、機械人形のクセに」

 

パップルの言葉に、ルールーが拳を握り締めて悔しがる。

 

「あるのです!」

 

「はぁ?」

 

そんな俯き黙って耐えることしかできなかった彼女の苦悩を打ち破る様に、えみるが反論の声を上げた。

 

「ルールーには、心があるのです!

心があるから、悩んでいるのです!

心があるから、音楽は素敵だと言って下さいました!

心があるから……!私達は親友なのです!」

 

「えみる……」

 

そう叫び、ルールーの手を握るえみるに、ルールーが嬉し涙を流す。

 

「オシマイダー!コイツらも潰しちゃって!」

 

「ルールーをちゃんと見て無いお前に、分かる訳が無い!」

 

「⁉︎」

 

オシマイダーの足からジオウの声が聞こえると、九つの影が現れオシマイダーを跳ね返した。

 

『アーマータイム! カメンライド!ワーオ! ディケイド!ディケイド!ディーケーイードー! 』

 

オシマイダーが居た所にはディケイドアーマーを纏ったジオウと、咄嗟に踏みつぶしを踏ん張って耐えたおかげで五体満足だったエール達三人が立っていた。

 

「ブッ飛び~⁉︎」

 

「これくらい問題ないよ!」

 

「友情の邪魔……するなーっ!」

 

エールのアッパーパンチと共に、落下してきたオシマイダーが更に上へ吹き飛ぶ。

 

「みんな、オシマイダーをお願い!俺はアナザービルドを倒す!」

 

「うん!」

「任せて!」

「そっちを頼むよ!」

 

「うん!行くぞ」

『ビルド!』

 

ジオウがアナザービルドの下へと走り、再び対峙する。そしてディケイドウォッチにビルドウォッチを重ねて装填した。

 

『ファイナルフォームタイム!ビ・ビ・ビ・ビルド!』

 

ディケイドアーマー・ビルドスパークリングフォームへと変わり、アナザービルドと戦闘を開始した頃、焦ったパップルがこの場から離れた直後、オシマイダーが時計の上に落下した。

 

「行くよ!」

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

「アンジュハープ!」

「エトワールフルート!」

 

三人がメロディソードのボタンを押して演奏し、虹色のエネルギーを作り出す。

 

「「「心のトゲトゲ、飛んで行けー!プリキュア!トリニティ・コンサート!」」」

 

オシマイダーに向かって虹色のエネルギーを飛ばすトリニティ・コンサートを放ち、そのままトリニティ・コンサートが命中。巨大な木が作り出されてピンク・水色・黄色の花が咲き誇り、オシマイダーが浄化された。

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

オシマイダーを片付けていると、ジオウはアナザービルドを押していた。やはり、アナザービルドはビルドの力が効いている。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウはライドヘイセイバーを振るい、どんどん優先に立つ。

 

「これでどうだ!」

『フィニッシュタイム!』

 

ドライバーのロックを解除し、ドライバーを回す。

 

『ビ ビ ビ ビルド!ファイナルアタックタイムブレーク!』

 

ジオウからワームホールが作られ、アナザービルドを拘束すると、そのままライダーキックの放とうとする。

 

「オリャャ‼︎」

 

ジオウのキックが決まり、アナザービルドは壁へと吹き飛ばされた。

 

「ウゥゥ……」

 

だがジオウの攻撃を受けても尚、アナザービルドは起き上がった。

すると、アナザービルドの体が剥がれ出した。

 

「アナザーエグゼイド……」

 

アナザービルドの体が全て剥がれると、今度は別のアナザーライダーが現れた。

そこに立っていたのは、アナザービルドと同じくジオウが倒した筈のアナザーエグゼイドだったのだ。

 

「時見……ソウゴ」

 

「えっ?」

 

「次こそは……ふぅ!」

 

ジオウの名前を呟くと、アナザーエグゼイドはジオウから逃走していった。

 

「待って!」

 

アナザーエグゼイドを追おうとするが、既に遅かった。

 

「なんで、俺の事を……」

 

何故、ジオウは自身の事を知ってるのかと疑問が残った。

 

「やっぱり……プリキュアもジオウもカッコいいのです」

 

「えみるも」

 

「えっ?」

 

「何でもありません」

 

自分の事を友達だとパップルに言ったあの一言は、ルールーにとってはジオウやプリキュアにも負けない程かっこよかった。少なくとも、ここにいるみんなはそう感じていた。

 

 

次の日、ビューティーハリーの真上にある建物の外にえみるとルールーが座り、彼女はえみるの作った曲『キミとともだち』の歌詞を見る。

 

「これは……」

 

「前に聞かせた曲に、歌詞を付けてみたのです。一緒に歌いませんか?」

 

「私と……?でも……」

 

「ルールーと歌いたいのです」

 

ルールーに微笑んでからそう言い、目を閉じてギターを弾き、歌い出す。

えみるの歌がルールーの心に染み入り、ルールーが涙を流す。

 

「えみる……」

 

「さあ、一緒に」

 

ルールーが歌い出し、えみるも歌い、二人で音を合わせる。

ソウゴ達は下の方で、ルールーとえみるの歌を聞く。

 

「優しい歌声」

 

「良い歌だ。癒される」

 

「二人の心が、溢れ出す……!」

 

二人の奏でる歌声はソウゴ達の心に響き渡り、癒されるような感覚に浸っていたのだった。

 

 

 

そして、そんな二人の姿を見ていた人がいた。

 

「悪く無いね」

 

かつてビューティーハリーに訪れた少年、アンリがスマホで二人の歌う姿を写真に撮り、そう呟く。

えみるとルールーの歌声は、みんなの心に染み入っていた。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第25話 決意と意念 2018

 

 




おまけ

ソウゴ「行くよみんな!変身!」

『ジオウ!』
『ポイズン…!』

は・さ・ほ『ミライクリスタル!ハートキ・・・ん?』

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
『フォースライズ!スティングスコーピオン!Break down…』

ハリー「いや待てやァァァァァァッッ!!誰や今変身した奴!」

滅(cv.ゆかりん)「では、行きましょうソウゴ」

ハリー「お前かいルールー!?」

滅(cv.ゆかりん)「歴史に刻まれるのは、私達『逢魔迅雷.net』の勝利です…」

ハリー「オイジオウゥゥゥゥォォォォォオオ!!何前回のネタ引っ張ってきとるんやァァァ!!」

全てはオーマの意思のままに…!

完
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