Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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黒ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
我が魔王はジオウⅡの力で完全無欠だが、復活したアナザーライダーに翻弄し始める。
オーマの日は近い。我が魔王達の未来か、ゲイツ君と白い私の未来か、クライアス社の未来か。今、どちらかに揺れ動こうとしていた」


第25話 決意と意念 2018

ある日ビューティーハリーに、ほまれのスケート仲間である 若宮アンリ がやってきた。

 

「ファッションショーに出演して欲しい?」

 

「リタ・ヨシミンって知ってる?」

 

アンリが此処へ来たのは、“リタ・ヨシミン”と言うブランドのファッションショーに出演して欲しいと頼みをしに来たからだった。

 

「知ってる知ってる。キュアスタで、めっちゃイイね付いてるブランド」

 

「お母さんがよく、ドラマの撮影の時に着てる」

 

「スケートの衣装を頼んだ縁で、僕も今回特別にモデルとして出演するんだ」

 

「相変わらず嫌味な程の女神感やな」

 

「ハハッ、よく言われる。でも僕が出るだけじゃ当たり前過ぎるでしょ?もっと面白くする為に、ちょっとノイズを立てたいと思ってね」

 

「ノイズ?」

 

「新しい才能」

 

「才能?」

 

ソウゴはアンリの言うノイズと才能とはどういうモノなのか疑問に思った。その横では、話を聞いていたはなが体を振るわせていた。

 

「遂に来ちゃったか……!」

 

「何が来たの?」

 

「はなちゃんの時代!遂に来ちゃったーっ!謹んで、お受け―――!」

 

「君じゃないよ」

 

「めちょっく……!」

 

自分もファッションショーに参加できると思い込んだのもつかの間、アンリに君じゃないと即答で言われて凹んだ。

 

「君と君。えみるとルールーだっけ?」

 

えみるとルールーの方を向いて、ノイズ――新しい才能として参加して欲しい事を伝える。

 

「ええっ⁉︎」

 

「私達……ですか?」

 

「凄く良い歌だったし、君達の凸凹感、素敵だなって思ってね」

 

「確かに……」

 

「ランウェイを歩けるなんて、中々無い経験だよ」

 

「ら、ランウェイ……」

 

「やってみたら?」

 

「無理なのです!」

 

「えっ?」

 

みんなはファッションショーに出ることを勧めてくるが、えみるは無理だと叫ぶ。

 

「レッスンもして無いのに、ランウェイでウォーキングしたら……スッテンコロリン転んで、客席に落ちて、そのままファッションの都、パリまで転がって行く事になるのです!」

 

「ぱ、パリ?」

 

「えみる、パリまで転がって行く事は出来ません。海がありますから」

 

「それに行けるとしたら飛行機と船だけだよ?」

 

「け、けど、砂浜までは行く可能性はあるのです!砂まみれは嫌なのです!」

 

「えみる、その確率は……」

 

「やっぱり二人、面白い!」

 

アンリはえみるの明後日の方向にぶっ飛んだ心配思考を聞いて面白く感じ、やはり自分の目は間違ってなかったと思う。

 

「何とかなるって」

 

「やってみなきゃわからないよ」

 

「はな先輩と時見先輩まで……!」

 

「けーれどーハート、ハーグ重ねたらー、まーるくオッケーだよー。でしょ?」

 

「はい」

 

はながえみるとルールーの歌う写真を見せ、『キミとともだち』の一部分を歌い、ルールーが微笑んで“はい”と答える。

 

「友達か……」

 

その横でソウゴは友達と聞き、ここにいないゲイツの姿を思い出す。

 

 

その頃、とある神社。

 

「タイムジャッカーと契約した者たちが狙われる?」

 

「それだけじゃない。アナザービルドの姿も目撃されている」

 

「複数のアナザーライダーが出現したということか」

 

「それは分からない」

 

「これ以上、被害が拡大する前になんとかするしかないか」

 

ツクヨミからアナザーライダーだった者達が襲われるという事件を聞くと、それを解決しようと、ゲイツは出ようとする。

 

「ゲイツ!」

 

その時、ツクヨミはゲイツを呼び止める。

 

「事件を追えば、多分ソウゴが現れる。

信じていいんだよね。あなたがジオウを倒してくれるって……」

 

「………あぁ」

 

何か不満があるようにゲイツが応える。

 

 

――暗くなった夜の下で、ジオウⅡとゲイツが戦っていた。

 

「ゲイツ……」

 

――ジオウⅡが彼の名を呟くが、ゲイツはジオウの知らない姿と知らない武器を持って立ち向かってくる。

――互いの武器がぶつかり合い、火花を散らしながら、二人は交戦する。

――ジオウⅡとゲイツの戦いは、激しく行われていた。

――互いが互いの理想を求め、ぶつかり合う魔王と救世主の戦い。

――そんな二人が織り成す戦いを、強く輝く星座がまるで見守る様に照らしていた。

 

「はぁ⁉︎ ……夢か…」

 

ふと目が覚めたソウゴは、起き上がりながらビューティーハリーの中を見渡した。

 

「ソウギョ!ゲンキ〜?」

 

「はぐたん……うん、大丈夫」

 

夢を見ていたソウゴが、自身を心配するはぐたんを抱えて大丈夫と語り掛ける。

 

「無理せんでもええんで?」

 

「えっ?」

 

「気になるんやろ。ゲイツとツクヨミの事……」

 

ハリーに二人の事を指摘されたソウゴは黙り込み、はぐたんをソファに座らせる。

 

「俺、そろそろ帰るよ。またね、はぐたん」

 

さよならを言って誤魔化し、帰るためにビューティーハリーのドアを開いた。

 

「はぁ〜…無理しすぎやで」

 

ハリーの言葉を聞いて一度足が止まるが、そのまま一人クジゴジ堂へと帰っていった。

 

 

その頃、野乃家に戻ったルールーはえみるを自身の部屋に招待。

えみるがヘッドマウントディスプレイを使い、パソコンから送られたファッションショーの動画を見る。

 

「ストップなのです!」

 

えみるからストップと声が出て、ルールーが再生を止める。

 

「やっぱり無理です。あんな大勢の前に立つなんて……」

 

「えみる、本当にやりたくないのですか?」

 

「興味はあります。アンリさんが歌を褒めてくれたのは、心が飛び出る程嬉しかったのです」

 

「なら……」

 

「ルールーは大丈夫です。モデルさんみたいに綺麗ですから。

やっぱり、ほまれさんかさあやさんに代わって貰うのです」

 

そう言って小学生体型の自分とモデル体型のルールーを見比べ、女優をしているさあやかスケート選手のほまれに変わって貰おうかと考えていると…

 

「えみる、私はえみると一緒だから、チャレンジしようと思ったんです」

 

「えっ?」

 

「私はえみるを応援すると決めました。

私は信じています。えみるなら何でも出来る。何でもなれる」

 

「ルールー……」

 

「フレフレ、えみる」

 

ルールーはそう言って肘を曲げ、腕を上下に動かしてえみるを応援する。

 

「きっとあなたは、プリキュアにもなれます」

 

 

翌日、ラヴェニール学園の教室の廊下で、はながアンリと話していた。

 

「はい!きっと新しい経験をする事は、健全な青少年である我らにとってかけがえの無い財産になるのであります!」

 

「財産?」

 

「デザイナーさんとお話する事とか」

 

彼女は真剣な口調で、アンリに強い想いを語る。

 

「ふーん……」

 

「あと……お手伝いが上手く行ったらご褒美に、私達もファッションショーに出して貰えるかも! なんつってー……」

 

「……」

 

「お願いしますだ~……!お願いしますだ~……!」

 

どうしてもファッションショーのお手伝いに行きたいのか、頭を下げてアンリに頼み込む。

 

「いいんじゃない?」

 

「えっ⁉︎ あっさりオッケー⁉︎」

 

すると彼から、良いんじゃないかと意外な返事が返って来た。

 

「君のそう言う素直な所、嫌いじゃ無い」

 

「褒められると参る……」

 

「それに、君達がプリキュアだって事を話したら驚いて、更にいいアイデアが出るかもしれないし」

 

「ちょ……!それは内緒……!」

 

「何で?面白いのに」

 

「やっぱり……私達がプリキュアだって完全に思ってる……」

 

前の事件で、自分達がプリキュアだと思っているアンリに、はなはどうすればいいのか悩む。実際、はな達がプリキュアである事は当たっているので余計にタチが悪い。

 

「若宮君」

 

「何?」

 

そこへ通り掛かった正人がアンリに声を掛ける。

 

「いつも注意してるけど、制服、きちんとネクタイ結びなよ」

 

「そんな校則、あったっけ?」

 

「女子みたいだよ。君の格好。男子の中で浮いてるのが心配なんだ」

 

ムッとしたはなが割り込もうとするが、アンリが右腕を広げて止める。

 

「考えとくよ」

 

そう言ってこの場を後にし、はなも後を追った。

 

「あの人、嫌な感じ!何で言い返さないの⁉︎」

 

「話しても分からない人達を説得するのは、時間の無駄」

 

「でも……」

 

納得ができないはなはアンリの歩く後を見ていた。

 

 

一人寂しく、屋上で下を見つめていた。そんなソウゴの元にウォズが近づく。

 

「暗そうだね我が魔王」

 

「ウォズ……どうしたの?」

 

「ゲイツ君とツクヨミ君がいなくなるのも考え物だな。私が伝令役を担わなければならないのだから」

 

「また夢を見たんだ。ゲイツと俺が戦う……」

 

昨日、ジオウⅡとなった自分とゲイツが戦う夢を見たと話す。

 

「また予知夢だろう。やはり、君とゲイツ君は戦いを避けられないようだね」

 

「でも何だか妙に穏やかだった気がする。1つだけ強く輝いた星がとっても綺麗でさ……」

 

「獅子座のレグルスかな」

 

「……レグルス?」

 

黒ウォズがレグルスとその星座について説明する。

 

「『王の星』という意味だ。オーマの日には、その星が最も強く輝いた……本にはそう書かれてあるね」

 

「ふ~ん」

 

レグルスと言う星座の説明を聞いても、ソウゴにはあまりピンとはこなかったようだ。

 

「あっ、それよりさ、昨日のアナザービルドだけど。倒したらアナザーエグゼイドに変わったよね?あれって何?」

 

「残念だが、私もそこまでは何もわかっていない」

 

謎のアナザーライダーについて問いかけるも、黒ウォズにもそこまではわかなかった。

 

「もしかして、前の契約者の人を襲って力を吸収したとか?」

 

「まさか。彼らにライダーの力が残っている訳が……」

 

黒ウォズはソウゴの質問に初めは否定するも、少し黙り込み始める。

 

「いや、そうとも言い切れないか……

君だって、歴史が変わっても数々のライダーの力を奪ってきたしね」

 

「そういう言い方ないんじゃない?」

 

ウォズの言い方が気に入らず文句を言うが、彼は内心「君がどう思おうが、事実であることは変わりないんだけどね…」と心配そうに呟く。

しかし主君の気分を悪くしたままでは家臣としての沽券に関わるので、とりあえず自分のデリカシーの無い発言については謝罪することにした。

 

「気を悪くしたのなら謝るよ。

だが、どちらにせよ過去にタイムジャッカーと契約した者がまた狙われかもしれない」

 

「……ねぇ、ここから、近い場所にいる人わかる?」

 

 

天文台から、以前アナザーフォーゼ・ファイズになった佐久間が出てきて、電話中に謎の青年に襲われる。

 

「お前はアナザーフォーゼだった。そしてアナザーファイズでもあった。間違いないな?」

 

「何のことだ?」

 

「やっぱり記憶はないか。俺は構わないよ?俺が必要なのは、お前自身じゃないからさ」

『エグゼイド…!』

 

その言うと、青年はアナザーエグゼイドへと変身した。

 

「お前の力を貰う」

 

アナザーエグゼイドはブランクウォッチを佐久間に押し付け、アナザーファイズウォッチ、アナザーフォーゼウォッチを入手した。

 

「貴様!何をしている!」

 

そこへ、現場に駆けつけたゲイツが現れた。

 

『ゲイツ!』

 

ゲイツは腕のホルダーにあるゲイツウォッチを外すとウォッチを起動させ、ドライバーに装填する。

 

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

仮面ライダーゲイツへと変身し、アナザーエグゼイドと交戦を始める。

 

「一足遅かった……」

 

更にそこへ、黒ウォズから情報をもらったソウゴも現れた。

だが来た時にはゲイツが押されており、アナザーエグゼイドに蹴られて後退したゲイツだが、そこへソウゴがいることに気づいた。

 

「エグゼイドウォッチはあるか?」

 

「あるけど。でも、こいつは……」

 

「いいから貸せ!」

『エグゼイド!』

 

ソウゴが持ってきたエグゼイドウォッチを奪うとウォッチを起動させ、ドライバーに装填した。

 

『アーマータイム!レベルアップ!エ・グ・ゼ・イー・ド! 』

 

ゲイツもエグゼイドアーマーを装備し、再びアナザーエグゼイドへと走る。

 

「はぁぁ!」 

 

エグゼイドアーマーを纏ったゲイツはアナザーエグゼイドに優勢に立った。

 

『フィニッシュタイム!エグゼイド!』

『クリティカルタイムバースト!』

 

そしてドライバーを回し、必殺技をアナザーエグゼイドに放とうとする。

 

「何……⁉︎」

 

これで決まったと思うゲイツの前に“MISS”というエフェクト文字が現れ、攻撃が失敗に終わった。

 

「何故だ……?」

 

対応するウォッチで戦ったのに効果が無かった事に戸惑っている間にアナザーエグゼイドに捕まり、放り投げられたゲイツは変身解除してしまった。

 

「どう言う事だ!説明しろ!」

 

「あいつには、普通のライドウォッチは効かないって言おうとしたのに……」

 

「だったらそれを先に言え!」

 

「先に言えって……だってゲイツが勝手に……」

 

二人が言い争いをしていると、アナザーエグゼイドが迫ってきた。

 

「茶番は終わりだ」

 

アナザーエグゼイドが二人に攻撃をしようとしたその時、アナザーエグゼイドは攻撃を止めた。

 

「我が救世主に向かって茶番とは許せないな」

 

そこへ仮面ライダーウォズが現れ、二人のピンチを救ったのだ。

 

『キカイ!』

 

現れたウォズはキカイミライウォッチをビヨンドライバーに装填した。

 

『投影!フューチャータイム!デカイ!ハカイ!ゴーカイ!フューチャーリングキカイ!キカイ! 』

 

そのままビヨンドライバーを操作して、ウォズ・フューチャーリングキカイへとなった。

 

「行くぞ」

 

フューチャーリングキカイとなったウォズはアナザーエグゼイドを攻め込む。

 

『ビヨンド ザ タイム!フルメタルブレイク!』

 

ウォズが周りの機械を操作し、天文台屋上のパラボラを利用してアナザーエグゼイドに対し一斉ビーム攻撃し、アナザーエグゼイドを怯ませた。

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

今度はジカンデスピアを出現させる。

 

『フィニッシュタイム!爆裂DEランス!』

 

ジカンデスピア・ヤリモードで引き寄せられたアナザーエグゼイドを突き刺し、そのままアナザーエグゼイドは爆散した。

 

「ぐぅぅ……」

 

「バカな……」

 

爆発し炎に包まれたアナザーエグゼイド。

すると、アナザーエグゼイドの体がみるみる剥がれていく。

 

『ファイズ…!』

 

現れたのは以前、佐久間が契約したアナザーファイズの姿だった。

 

「アナザーファイズになっちゃった……」

 

「君は何者だ?」

 

するとアナザーファイズはあっさり変身を解き、姿を現した。

 

「――俺は過川飛流だ。時見ソウゴ、お前とは何度も交差する運命にある。またすぐ会うだろう」

 

死んだ目でありながら、ソウゴに対して深い憎しみを滲ませて睨みつけながらそう言うと、青年・加川飛流はその場から立ち去っていった。

 

「知り合いか?」

 

「えっ、いや……誰だっけ?」

 

ソウゴは自身にも知らない人だと言う。

 

「行こう、我が救世主」

 

「……」

 

「ゲイツ……」

 

ソウゴに何も言わず、ゲイツは白ウォズと去っていく。

その様子を、陰から黒ウォズが見ていた。

 

「過川飛流……我が魔王と繋がりがあるか、調べておく必要があるようだ」

 

黒ウォズも過川飛流が気になり、調べ始めるためにここから離れた。

 

 

ツクヨミの待つ神社へ戻ったゲイツと白ウォズが、過川飛流について話していた。

 

「ソウゴの知り合い?」

 

「ジオウの関係者と契約してくるとは。今までになかったタイプのアナザーライダーだ」

 

「同じライダーのウォッチは、魔王のディケイドウォッチがないと通用しないとは厄介だが、ゲイツリバイブの力を使えば問題ない」

 

ゲイツはブランク状態のゲイツリバイブライドウォッチを眺める。

 

「君がその力を持てば、どんなアナザーライダーも倒せる。

だが、本来それは魔王を倒すためのものだ。君にその気持ちがなければ発動しない」

 

ソウゴを倒す気持ちがない限り、このウォッチは使いないと白ウォズが伝えた。

 

「任せたよ?我が救世主」

 

白ウォズはそう言うと、この場から出ていく。

だが、ゲイツには気にしていることがあるのか表情が硬い。

 

「ゲイツ、何を気にしているの?」

 

「いや……」

 

「過川飛流のことが気になるの?なら調べようか?」

 

「あぁ……」

 

過川飛流のことはツクヨミに任せ、自分はソウゴをどうするかどうかを考える。

 

 

翌日。ソウゴ達はアンリの紹介で、ファション会場であるホールの準備室に訪れる。

 

「で、デザイナーさんはどこなのです?」

 

「みんな待ってたわよー!」  

 

「この人確か……そうだ。この前幼稚園に来た……」

 

見覚えがある顔だなと思っていたソウゴは、幼稚園へクレームを言ってた人だと思い出した。

 

「私が最高で最強のNo.1デザイナー!吉見リタよ!」

 

「す、凄いエネルギー……」

 

「どうしたの?こないだまでスランプだったのに」

 

「アイデアが湧いて止まらな~い!逆に間に合うか心配な位!」

 

「大丈夫。この子達が助けてくれるよ。だって、プリキュアだ―――」

 

「あぁぁぁぁぁ‼︎」

 

アンリの口を慌ててほまれが手で塞ぐ。

 

「プリキュア?」

 

「あああ、あの……ですね。その、なんというか……」

 

「あの……私達、プリキュアの大ファンなんです!」

 

さあやは自分達がプリキュアのファンだと言って誤魔化す。

 

「ファンって……」

 

「さあや……」

 

「しょうがないじゃない……!」

 

「大丈夫かな……」

 

「私もプリキュア好きよ!」 

 

あ、大丈夫そうだな。ソウゴは彼女の言葉を聞いてそう思った。

 

「プリキュアはアンビリーバボーなヒーローだもの!トゲトゲした気分が大暴れした後のようにスッキリ!」

 

「そうだったん」

 

「女の子だって、力いっぱい活躍出来るのよ!

ショーのタイトルも決めたわ!リタ・ヨシミン、オータムウインターコレクション!女の子もヒーローになれる!どやっ!」

 

リタは人差し指を立ててドヤ顔を作る。

 

「女の子も、ヒーローになれる……」

 

「さあ、働いて貰うわよ」

 

「わ、分かりました……!」

 

近付いて来たリタの迫力にたしろいだはなが、苦笑して答えた。

はなはミライクリスタル・ローズをミライパッドの上部にセットする。

 

「ミライパッド、オープン!」

 

画面から光が放たれ、ドアが開く。

 

「お仕事スイッチ、オン!」

 

三人は筆とパレットを持った芸術家となった。はな達が頼まれた仕事は、看板作りの製作だった。

作業中の最中、はぐたんが絵の具に手を漬け、手を看板のあちこちに付ける。

 

「はぐたん、ダメです」

 

「ダメダメ!ストーップ!」

 

「ダメじゃない。いいよ、はぐたん」

 

えみるとルールーが止めようとするが、はなは笑顔で良いと褒める。

 

「お花みたいだね!」

 

「カラフルで綺麗だ」

 

「カリャフル!」

 

「そうだね。何だかみんなの色を表してるみたいだ」

 

はぐたんの付けた手の跡は花のように見え、使った色からはな達を表しているようにも見えた。

 

「よーし、私達も!」

 

「やりますかー!

 

ソウゴ達もペンキを手に着け、看板に手の跡を付ける。

それを見て大丈夫なのかとえみるは思ったが、ほまれ曰く、元々口に入っても大丈夫な絵の具使ってるらしく、それを聞いて少し安心した。

 

「二人もやったら?」

 

「何でもダメと止めてはダメなのですね……っ!またダメと……!」

 

「難しいです……」

 

「えみりゅ」

 

「なぁに?はぐたん?」

 

えみるがはぐたんに呼ばれて顔を近づけると、はぐたんは彼女の頬に手を当てる。

 

「りゅー!」

 

今度はルールーにも手を当てる。

二人の頬に、赤と紫のはぐたんの手の跡が付いた。

 

「「はぐたん……」」

 

「イケてんじゃん」

 

「よーし!二人も一緒に、芸術は爆発だーっ!」

 

「「はい!」」

 

はな達が看板に手の跡を付け、看板を彩らせて行く。

 

「カリャフルー!」

 

「うん!」

 

看板は花々で彩られて完成し、後は当日を待つだけとなった。

 

 

クジゴジ堂にソウゴの留守中、ツクヨミが尋ねて来ていた。

 

「いや、こうやってたまに遊びに来てくれると嬉しいよ」

 

「急にお邪魔してすいません」

 

「いや、全然全然!うち、あんまりお客さん来ないし。

あっ、それでえっと……過川飛流くんだっけ?」

 

「はい。心当たりありませんか?」

 

ツクヨミはソウゴの叔父の順一郎なら何か知ってると思い、ここへ訪ねてきたのだ。

 

「う~ん、どうだろうなぁ。ソウゴ君、うちにあんまり友達連れてくるタイプじゃなかったから……」

 

どうやら彼はここには来たこともなく、順一郎も知らないのだと知った。

 

「まあ、うちに来る前はどうだったか知らないけど……」

 

「ここに来る前?ソウゴ、ずっとここに住んでたんじゃ?」

 

「ううん。9年前までソウゴ君、両親と暮らしてたんだ」

 

「そう言えば、ソウゴの両親のこと何も聞いたことなかった……今、どこにいるんです?」

 

「それが、もう……いないんだ」

 

「えっ?」

 

ソウゴの両親がいない事を初めて知り、順一郎からソウゴの両親が亡くなったある事故の話を始めた。

 

 

 

「アンリからレクチャーも受けましたし、何とかなりそうです」

 

その夜、ルールーが自分の部屋で、アンリから教えて貰ったことを早速試すべく、鏡を見てポージングする。

 

「私はえみるを応援する。プリキュアになって欲しいから。それが、私に出来る事」

 

そう呟きながら、明日の本番に向けて精を出していた。

 

 

「スマイル!えみるだよ!」

 

同じ頃、えみるは鏡の前で笑顔の練習をしていた。

 

「緊張するのです……!」

 

鏡向けて笑顔でニッコリと笑っていたが、恥ずかしさと緊張で顔を赤くする。

 

「けれど、ルールーと一緒に、頑張るのです!」

 

自分に言い聞かせ、笑顔の練習を続ける。

その様子を扉の間から正人が覗き見し、更にスマホの画面へ視線を落とす。

 

(女の子もヒーローになれる……)

 

画面には、リタのファッションショーの情報が映っていた。

 

 

 

そして日にちは、ファッションショー当日へとやってきた。

 

「アンリ、あなたがコレクションのラストルックよ!」

 

「光栄だね」

 

「全てを超越する女神のイメージ、きっとあなたに良く似合う」

 

リタがアンリに着て貰う白いドレスを見せ、満足そうな彼の姿を見届けながら説明が終わると部屋を後にした。

 

「リタさん!会場にお客さんが集まってきました」

 

そこへ、会場の準備をする為にメンズタイプの衣装を着たソウゴが、彼女へ会場の状態を報告した。

 

「そう。これで後は早瀬さんがくれば……」

 

「早瀬さん?もしかして、マジシャンの早瀬さんですか?」

 

ソウゴは早瀬と聞き。以前、アナザーウィザードとなった人だと思い、リタに尋ねる。

 

「そうよ。最初の演出にやってもらうつもりだったけど……まだ、来ていないの……予定ではもう来てもおかしくないのに」

 

そう言って腕時計で時間を確認した。

 

「早瀬さんは、アナザーウィザードだった……まさか…⁉︎」

 

「ちょっと、時見君!」

 

何か嫌な予感を感じ、ソウゴが走り出した。

 

 

神社へ戻ったツクヨミは順一郎から聞いた話をゲイツへ報告しつつ、タブレットで調べていた。

 

「順一郎さんの話だとね、9年前に大きなバス事故があって、ソウゴとソウゴの家族が巻き込まれたんだって」

 

「ジオウの親は、そのとき他界したんだな」

 

「あった、これだ!

2009年4月24日に起きた事故。生存者は時見ソウゴ君5歳と……過川飛流君8歳⁉︎ 二人が繋がった!」

 

その時の記事をゲイツに見せ、この事件に小さい頃のソウゴと飛流の名前があった事を確認する。

 

「二人は同じ事故の生還者だった、って事か」

 

「詳しく調べなきゃ!」

 

「頼む」

 

ツクヨミに事件の記録を任せゲイツが出ると、そこには白ウォズが待っていた。

 

「白ウォズ……」

 

「我が救世主。例のアナザーライダーが現れたようだが、どうする?」

 

 

一方、ファション会場の廊下では、着替えを終えたえみるとルールーが、時間まで待っていた。

だがえみるはソワソワしてて、落ち着いて無かった。

 

「えみる、心拍数が上がっています」

 

「き、緊張なんかしてないのです!」

 

「大丈夫。一緒です」

 

ルールーが不安に包まれて緊張するえみるを抱き、大丈夫と伝える。

 

「うん。ルールーと一緒なら、きっと大丈夫。ガンバルンバなので―――」

 

気合を入れて言いかけると全速力で走るソウゴが見えた。

 

「ソウゴ?どうしたのです。そんなに慌てて」

 

ルールーに声をかけられたソウゴは足を止める。

 

「ルールー、えみるちゃん。実は……」

 

「えみる、何してるの?」

 

理由を話そうとした途中、三人の前に正人が現れた。

 

「えっ〜と、確かあんたはえみるちゃんの……」

 

「お、お兄様……」

 

この間えみるの家で会ったお兄さんだと思い出していると、兄の姿を見たえみるが動揺を見せる。

 

「ビックリしたよ。ファッションショーに出るなんて」

 

「えぇ……その、これは……」

 

「帰ろう。えみる」

 

「えっ?」

 

「何これ?女の子もヒーローになれる?おかしいよね」

 

えみるに今日のファッションショーの情報が載ったスマホの画面を見せる。

 

「ヒーローって、男の為の言葉だよ。女の子は守られる側だよ。言葉は正しく使わなきゃ」

 

「そ、それは……」

 

「女の子はヒーローにはなれない」

 

「……ちょっと待ってよ」

 

釘を刺した直後、ソウゴがえみるの手を掴もうとした正人の手首を掴む。

それを見て不快感を露にしながら、「それはこちらの台詞ですよ……!」と言い返して振り払おうをするも、強く握られた手は掴んで離さなかった。

 

「なんで、ヒーローになれないって決めつけるの?」

 

「女の子だからに決まってるだろ?」

 

女の子がヒーローになれるわけがない。そう言う正人にソウゴが反論した。

 

「そんなの関係ない。ヒーローに男女関係なんて無い」

 

「そうだよ!」

 

そこへ会話を聞いていたはなが慌ててやって来た。

 

「誰の心にだって、ヒーローはいるんだよ!人の心を縛るな!」

 

正人に向かって叫ぶ彼女に、正人は不満そうに顔を歪める。

 

「最悪だな、えみる……友達は選べって、おじい様からも言われてるだろ?」

 

「お兄様……」

 

「お兄ちゃん……?」

 

はなは正人がえみるの兄だと聞いて驚く。

 

「離せ……!僕は兄としてえみるの為を思って……!」

 

「何でそんなに、えみるちゃんから選ぶ権利を奪うの?」

 

自身の手首を掴む手を引っ張る正人に何故、えみるから選ぶ権利を奪うのかと問う。

 

「何かやりたいと思うことがあるなら、それに挑戦したい。

そう言うのは、誰かに縛られなきゃいけないのかな?」

 

「……」

 

「そうです!」

 

「ソウゴの言う通りだ。それに相変わらず君、つまらない事言うね」

 

着替えを終えたアンリが控え室から出て、正人に向かって言う。

アンリの姿を見た正人は思わず苦笑する。

 

「若宮君……?何、その恰好……?」

 

「ドレスだよ」

 

「それは分かるよ。何でそれを君が着ているのかって聞いてるんだよ」

 

「凄く素敵だって思ったからだ」

 

「君、男だろ?」

 

「だから何?僕は、自分のしたい格好をする」

 

「はぁ…⁉︎」

 

自分で自分を縛ることはしないし、それを他者に縛られるつもりもない。

彼の言うことは要するに、そういうことだった。

今まで家や学校のルールを規律良く守って来た、頑固に見える位に生真面目な性格を持つ正人からすれば、アンリのやっていることと今の恰好は、理解の範囲外にあった。

 

「自分で自分の心に制約を掛ける。それこそ違う。人生の無駄。さぁ、行くよ」

 

アンリはえみるとルールーに伝えると、ルールーと一緒にステージに向かう。

 

「はな。えみるちゃんとルールーをお願い!」

 

「えっ‼︎ ソウゴ!アシスタント!」

 

「その前に気になることを片付けてくる」

 

はなに二人を任せて、ソウゴは急いで会場の外へと走っていく。

 

「えみる……」

 

「ごめんなさいお兄様。私……」

 

えみるが二人の後を追って歩く。

それを正人は、悔しそうな顔で見る事しか出来なかった。

 

 

一方会場の外では、早瀬が過川飛流に迫られていた。

 

「お前はアナザーウィザードだった。間違いないな?」

 

「……何だよ、お前」

 

「貰うぞ。お前の力」

 

飛流が有無を言わせず、早瀬の体にブランクウォッチを当てた。

すると早瀬の体内からアナザーウィザードの残った力が集まっていき、ウォッチが姿を変える。

 

『ウィザード…!』

 

「やめろ!」

 

「来たか」

 

ソウゴが現れたのを見て、飛流は早瀬を解放したが、早瀬は力なく倒れてしまった。

 

「早瀬さん、しっかりして!」

 

駆け寄って声を掛けるも、気を失っているようで反応がなかった。

 

「なんでこんな事するんだ!一体、何の目的だ?どうしてあの人達を狙う⁉︎」

 

「あいつらの中に残るアナザーライダーの力が欲しいだけだ。お前を倒すためにな」

 

「俺を?」

 

何の為に彼らを狙うのだと問いただすと、飛流はアナザーライダーだった彼らを狙っていたのは自分を倒すためだと答える。

 

「それにしても、いい服を着てるな。ますます気に入らない」

 

今の服装を見て気に入らないと呟き、飛流はソウゴに敵意を向けた。

 

「とにかく、あの人達はもうタイムジャッカーともアナザーライダーとも関係ない!お前の好きにさせるか」

 

「そっちから来てくれるなら、それに越したことはないな」

『鎧武…!』

 

アナザー鎧武ウォッチを見たソウゴはジクウドライバーを装着した。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウライドウォッチⅡを取り出すと分割し、ドライバーの左右に差し込み、後ろから二つの時計のエフェクトが現れると構える。

 

「変身!」

 

ドライバーを回すと、二つの時計は左右対象に止まりソウゴの体を纏う。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

ソウゴがジオウⅡへ、飛流がアナザー鎧武へと変身し、両者の剣がぶつかりあった。

 

 

遂にファション会場が開場され、はぐたんを抱っこ紐で抱えたハリーが最前列で待つ。

 

「トップバッター、よろしくね」

 

「はい……」

「はい」

 

ステージ裏でアンリがえみるの肩にギターを掛ける。えみるとルールーはトップバッターだった。

はな達は廊下の方に待機し、「ルールー、えみる、頑張れ!」と応援していた。

 

「でも、ソウゴどうしたんだろ?」

 

「気になることがあるからって?」

 

「そういえば、今日の演出してくれる早瀬さんって人来てないね?もしかして……」

 

「ソウゴ、一人で戦ってるんじゃ!」

 

ソウゴがここに居ない事に違和感を抱いた三人は、彼が一人で誰かと戦っているのだと睨む。

 

 

「何なんだよえみる……!何であんな楽しそうに……っ!」

 

一方、正人は会場を後にしながら悔しげに呟いていた。

 

「若宮アンリ……!それにあのソウゴって奴も……!」

 

「はぁ~い、君」

 

アンリとソウゴの顔を思い浮かべ苛立ちを覚えていると、路地裏から現れた一人の女性から声を掛けられる。

 

「とってもナイスな顔してるわね。I get your トゲパワワ!

明日への希望よ、消えろ!ネガティブウェーブ!」

 

ボブカットに赤いメッシュを入れた女性は手でハートマークを作り、ネガティブウェーブを放出させる。

正人から取り出されたトゲパワワが、暗黒の雲のようなエネルギーに変える。

 

「発注。オシマイダー」

 

女性は黄色のロングコートをはためかせながら、暗黒の雲から眼鏡をかけたサラリーマンの様なオシマイダーを作り出した。

 

 

時間となり、トップバッターのえみるとルールーがステージに現れる。

 

「ルールー・アムール!」

 

「愛崎えみる!」

「私達の歌を、聞くのです!」

 

えみるが叫んだ直後、オシマイダーが現れ、会場から悲鳴が聞こえた。

ソウゴが気になる三人にもその声が聞こえた。

 

「この声……!」

 

「オシマイダー!」

 

「行こう!」

 

オシマイダーを見て、三人がプリハートとミライクリスタルを取り出した。

 

「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!は~ぎゅ~!」」」

 

プリハートが反応し、三人の身体に光が纏われる。

 

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

三人がプリキュアになりオシマイダーを応戦していた頃、会場の騒ぎに気づいたジオウが戻ろうと試みる

 

「まさか!オシマイダー!」

 

「逃げるな!」

 

アナザー鎧武が必要にジオウに攻撃し、逃そうとしない。

 

「あそこには大事な友達がいるんだ!」

 

「ほぅ……なら、そいつらも始末する!」

 

「えっ?なんで⁉ 目的は俺だろ!みんなは関係ない筈だ!」

 

「俺はお前に関わる者全てを消す!俺の苦しみをお前に与える!」

 

「そんなこと……」

 

押し返そうとするが、アナザー鎧武も負けじと力を入れて邪魔をするため、ジオウは会場へと助けに行けなかった。

そこへ、アナザー鎧武が現れた事を知ったゲイツと白ウォズが現れた。

 

「ジオウ……何をしている」

 

戦っているジオウを見て、ゲイツと白ウォズがウォッチを起動させる。

 

『ゲイツ!』

『ウォズ!』

 

二人はドライバーにウォッチを装填した。

 

『アクション!投影!』

 

「「変身!」」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

『フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

 

ゲイツとウォズが変身を完了した。

二人は同時にアナザー鎧武へと不意打ちをかけ、ジオウから離した。

 

「邪魔だ!」

 

「ゲイツ……白ウォズ」

 

「またお前らか……」

 

「ジオウを倒すのはお前じゃない……この俺だ」

 

「ゲイツ……」

 

「今回は見逃してやる。早くオシマイダーを倒せ!」

 

「わかった。ありがとう!ゲイツ!」

 

「ふん!」

 

ゲイツとウォズの介入により、隙ができたジオウは会場へと戻った。

 

「君と並び立て戦えるなんて、嬉しいよ我が救世主」

 

「どうでもいい。奴を倒すぞ!はぁぁ!」

 

「ふぅ!」

 

ゲイツとウォズが同時にアナザー鎧武へ走り攻め込む。

 

 

オシマイダーが出現した会場内ではエール達三人が奮闘しているが、会場は既にめちゃくちゃだった。

 

「危ない!」

 

天井から崩れた破片がえみるとルールーの方へ落ちるも、アンリが跳びかかって二人を助ける。

そこへオシマイダーがアンリを掴み、持ち上げた直後にエール達が現れる。

 

「アンリ!」

 

「遅いよヒーロー。これ僕、お姫様ポジションになっちゃってない……?」

 

「いいんだよ!男の子だって、お姫様になれる!」

 

女の子がヒーローになる事だってできるならば、男の子がお姫様になる事だって出来る。

例え真実が一つしかなかったとしても、答えは一つじゃない。

エールがそう叫びながらオシマイダーの眼前に跳ぶ。

 

「メロディソード!フラワーシュート!」

 

そしてメロディソードを出現させるとフラワーシュートを放ち、それに対してオシマイダーが左腕で防ぐ。

 

「凄いトゲパワワの量や!」

 

ハリーは今までにないくらい高いトゲパワワを感じた。

 

「はぁぁ!」

 

そこへ、ゲイツとウォズによって戻ってきたジオウがサイキョーギレードを振りかかり、オシマイダーの腕を切ってアンリを救った。

 

「ソウゴ…!」

 

「大丈夫?」

 

「あぁ、ありがとう」

 

ジオウはアンリが無事かどうか駆け寄る。

 

「あれは……」

 

「えみるちゃんの……」

 

二人が天井に開いた穴を見上げると、トゲパワワを出し続ける正人が浮いてたのを気付く。

 

「隠れてて」

 

「任せるよ、ヒーロー。いや、王様」

 

アンリが戦いから離れると、ジオウ達はオシマイダーを迎撃する。

 

「はあっ!」

 

エトワールが壁を使って跳び、パンチを繰り出す。

 

「やあっ!」

 

後ろからアンジュが両足蹴りを肩に叩き込む。

 

「だあああっ!」

 

更にエールが跳び、パンチを叩き込む。

 

「よし!」

『ジカンギレード!』

 

ジオウがジカンギレードを出現させ、サイキョーギレードと共に手に持つ。

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

そして、ジカンギレードのケンモードとサイキョーギレードを合体させると、剣から『ジオウサイキョウ』の文字が浮かび上がる。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

「オリャャャャャ‼︎」

 

サイキョージカンギレードを振り下し、そのままオシマイダーを仰向けに倒れさせた。

 

「オシマイダ〜!」

 

「まだ……アンリ?」

 

だがすぐに立ち上がったのを見て、ジオウがトドメを刺すためにドライバーを回そうすると、アンリが近づく。

 

「そうか……君も、苦しいのか」

 

オシマイダーが苦しんでいる事に気付いたアンリがオシマイダーの方へ向かい、足元に抱きついた。

 

「えっ?」

 

「オシマイダーを……ハグ……」

 

「ごめんね。けど……僕は君の為に、僕を変える事は出来ない」

 

オシマイダーはそれが気に食わないのか、アンリをもう一度掴み上げる。

 

「アンリさん!」

 

エールがアンリの名を叫ぶが、本人は自身の体から嫌な音が鳴ったとしても、その眼は決して萎えることは無い。

今の彼は、そのくらいに強い意志を持っていた。

 

「誰に何を言われたって構わない。僕の人生は僕の物だ!

僕は僕の心を大切にする。

だって、これが僕、若宮アンリだから!

君も君の心をもっと、愛して」

 

「自分を……愛する?」

 

動揺したオシマイダーが手から離した事でアンリが落下するが、エールに助けられる。

 

「後は頼むよ……ヒーローと王様」

 

彼はエールとジオウにそう言い終えると、極度の緊張から解放されたからなのか、安らかな顔で気を失った。

 

「みんな、行くよ!」

『フィニッシュタイム!』

 

ジオウが叫び、ドライバーを回すとそのまま高く飛び上がった。

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

「アンジュハープ!」

「エトワールフルート!」

 

三人がメロディーソードのボタンを押して演奏し、虹色のエネルギーを作り出し、更にジオウからキックの文字がオシマイダーへと集まっていく。

 

「「「心のトゲトゲ、飛んで行けー!プリキュア!トリニティ・コンサート!」」」

 

トリニティ・コンサートを放って命中させ、ジオウがキックの構えに入った。

 

『トゥワイズタイムブレーク!』

「オリャャャャャ!」

 

囲んでいたキックの文字がジオウの足へ集まり一つとなると、ジオウのトゥワイズタイムブレークによるライダーキックも命中した。

 

「「「HUGっとプリキュア&ジオウ!エール・フォー・ユー!」」」

 

巨大な木が作り出されてピンク・水色・黄色の花が咲き誇り、最後に巨大なキックの文字が浮かぶとジオウが三人の前に着地し、オシマイダーが浄化された。

その直後ドアが開き、オシマイダーを作り出した女性が現れた。

 

「オーケー。ナイスファイトよ」

 

「あなたは……?」

 

「誰だ?」

 

「マイネームイズ、ジェロス。通り掛かりよ。友情とか愛情とかそう言うの、吐き気がする程嫌いなね」

 

その女性はジェロスと名乗り、友情や愛情が嫌いだと話す。

 

「次はお前が相手か?」

 

「おっと、今はノーセンキュー。オーマジオウとやるには、本番はまだまだこれから」

 

ジオウがサイキョージカンギレードを構えるが、ジェロスに戦う気は無かった。

 

「グッバイ。素敵な悪夢を見てね。キスキス」

 

別れの挨拶をして姿を消した直後、ドアが閉まった。

 

「ジェロス……?クライアス社にそんな社員は……」

 

「ここお願い!俺はアナザーライダーを止めてくる!」

 

「ソウゴ君!」

 

 

急いで戦っているゲイツの元へ走る中。会場の外では、ゲイツとウォズがアナザー鎧武と戦闘を繰り広げられていた。

 

「我が救世主。ここは私が」

『クイズ!』

 

ウォズはクイズミライドウォッチを使用し、ビヨンドライバーへと装填した。

 

『ファッション!パッション!クエスチョン!フューチャーリングクイズ!クイズ!』

 

フューチャーリングクイズとなると、ゲイツがアナザー鎧武の斬撃で吹っ飛ばされた所で入れ替わる様に交戦へ入った。

 

『ジカンデスピア!ツエスギ!』

 

ジカンデスピア・ツエモードでの突き攻撃をアナザー鎧武に次々と決めていく。

 

「問題。トマトは野菜だが、フルーツトマトはフルーツである。○か×か?」

『フィニッシュタイム!不可思議マジック!』

 

更にジカンデスピアから出した多量のクエスチョンマークで、アナザー鎧武を縛り、後は〇か×か答えを待つのみ。

 

『ゴースト…!』

「ぐぅぅ……!」

 

だが、アナザー鎧武がアナザーゴーストに変身。

ウォズが放ったクエスチョンマークの拘束を打ち破り、パーカーゴーストにより吹っ飛ばされる。

 

「しまった……○でも×でもない、永遠に論争が続く問題を出してしまった」

 

「仕方ない……行くぞ」

 

出した問題がダメだったとウォズが反省する。

起き上がったゲイツはゲイツリバイブウォッチを使おうと、起動スイッチを押した。

 

「?……何故だッ⁉︎」

 

だが、ウォッチはブランクのままで起動しなかった。アナザーゴーストはゲイツとウォズに迫ってきた。

 

「くそ!」

 

「はぁぁ!」

 

ゲイツはウォッチを起動できなかった事に動揺しながらも、ウォズと二人がかりでアナザーゴーストへとパンチを繰り出す。

 

「ふ、どうした?」

 

だがウォズとゲイツ、二人ががりの攻撃も受け止められた。

 

「うるさい奴らだ……!」

『ジオウ…!』

 

アナザーゴーストは取り出した別のアナザーウォッチを腰へと向け、その体をメタルバンド型のサークルに包まれながら変化させていく。

――変化を終えた姿は、彼らにとって見覚えのある姿だった。

 

「……ジオウ⁉︎」

 

「何……⁉︎」

 

そのアナザーライダーは白目を向き、歯茎が剥き出しとなっていて、時計の針を模したアンテナ部は途中で折れ曲がっているという独特な特徴を持ち。両目の下部には“Zi-O”と“2019”の文字が刻まれていた。

遅れて会場から出てきたジオウも、その姿に驚いた。

 

「そんな……」

 

心なしかマッシブな体つきをしているが、まさに仮面ライダージオウ…いや、アナザージオウと言った方が正しいだろう。

 

「邪魔をする奴らは消す!」

 

アナザージオウは時計の針を模した二本の剣での一撃で、ゲイツとウォズを同時に変身解除へ追い込む。

 

「終わりだ…」

 

「待て!」

 

トドメを刺そうとするアナザージオウの前に、サイキョーギレードとアナザージオウの剣が重なった事によって生じた甲高い金属音を響かせながら、ジオウが立ちふさがり二人を守った。

 

「お前……」

 

「戻ってきたか……この時を待っていた!」

 

「あんたの相手は俺だろ。ゲイツは関係ない」

 

「俺はどっちでもいい。はぁぁ!」

 

アナザージオウがジオウに向かって走り双剣を向ける。ジオウもサイキョージカンギレードで迎え撃つ。

 

「ジオウ……」

 

「我が救世主。ここは一度撤退しよう」

 

「……わかった」

 

アナザージオウはジオウに任せ、白ウォズの提案でゲイツは撤退していった。

残された両者の戦いは、一歩も譲らない戦いを繰り広げる。

 

「くぅ!はぁ!」

 

ドライバーのD'9スロット側にある金色のジオウライドウォッチⅡが光り、両目にかかる長針、バリオンプレセデンスのアンテナ2本が回転した。

 

「見えた、お前の未来!」

 

アナザージオウの次の攻撃の未来を見た。するとアナザージオウの方も、額にある時間の針が回った。

 

「フン……お前の未来も見える」

 

なんとアナザージオウも未来予知を行い、二本の剣を合体させて槍にして技を繰り出そうした。

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

ジオウもジカンギレード・ケンモードとサイキョーギレードを再び合体させ、『ジオウサイキョウ』の文字を浮かび上がらせる。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

お互いに走り出し、同時に攻撃がぶつかった。

 

「「うわぁぁぁぁ‼︎」」

 

必殺技は両者決まらず互角の勝負を繰り広げていたが、両者変身解除となった。

 

「ソウゴ!」

 

「ソウゴ君!」

 

そこへジオウが気になっていたが為に、追い掛けていたエール達がやってきた。

 

「大丈夫…」

 

アンジュに支えられ、ソウゴがなんとか起き上がった。

 

「時見ソウゴ!次は必ず倒す!」

 

起き上がった過川飛流もそう叫んで去っていった。

 

「あいつ誰?」

 

「わかんないけど、少なくとも俺が狙いみたい」

 

「ソウゴ君を……」

 

自分が狙いだとみんなに教えるソウゴ。

だが彼は、何故そこまで自分を狙うのか、その理由を理解する事はなかった。

 

 

その後、無事にショーは始まり、二人は完璧にモデルをこなした。

 

「夢を見たんだ」

 

「エエ夢だったみたいやな」

 

「最悪だよ。けど、綺麗だったな」

 

目を覚ました正人に、ハリーが隣に座って語りかけ、彼は何処かすっきりとした顔でそう返した。

 

「女の子だってヒーローになれる。私はやっぱり、プリキュアになりたい。ルールーと一緒に。二人なら、出来ます!」

 

「はい」

 

そんな中、ルールーとえみるは手を繋ぎ合いながら、プリキュアになる決意を固めた。

 

 

ショーが終わると、みんなはビューティーハリーへと戻った。

 

「ファッションショー!だーい成功ー!お洋服、いっぱい貰えたし!」

 

「ビューティハリーにだけどね」

 

はなの後ろには、リタから貰った洋服が掛かっていた。

 

「こんなに安く仕入れさせて貰えて、毎度おおきに!大繁盛や!」

 

「良かったね。ハリー」

 

大盛況のファションショーはビューティーハリーにも更に盛況を促すようだ。

 

「はな先輩!時見先輩!私達決めました!」

 

後ろからえみるとルールーが現れた。

 

「私達、二人でプリキュアになれるように頑張ります!」

 

「二人で?」

 

「はい!」

 

「「ふたりはプリキュア!」」

 

背中を向け合いながらポーズを取るえみるとルールーに、さあやとほまれは思わず笑みを浮かべる。

 

「まあ素敵!」

 

「イイじゃんイイじゃん!きっと二人ならなれるよ!

勿論、私達先輩を蔑ろにせず、もっと敬って―――」

 

「どうしたの?」

 

先輩風を吹かせるはなを横目に、ハリーの表情が曇ってる事にソウゴが気付く。

 

「…そう言えば。確か、プリハートって後一個だったハズじゃ……」

 

「えっ?」

 

「ソウゴの言う通りや……プリハート、残り一個しかあらへん……」

 

ハリーが残り一つのプリハートを出す。

残ったプリハートは後一個。つまり、一人しかプリキュアになれないのだ。

 

「ええ~っ!?」

 

「いっしょー!えみりゅー!りゅー!」

 

 

 

「かくして、えみる君とルールー君はプリキュアになる決意を固めた。

しかしプリハートは、残り一個しか無かったのだった。

そして、我が魔王とアナザージオウの関係は一体…」

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第26話 二人の誕生が叶うか?運命の対決 2018

 

 




おまけ

アナザージオウ「時見ソウゴ!お前を……」

〈ガッ!〉

アナザージオウ「ん?」

さあや「ねぇ、何その格好。ソウゴ君のことバカにしてるの?ジオウはそんな白目で歯茎丸見えな顔じゃ無いよね?そんな人体模型みたいな気持ち悪い顔じゃ無いよね?どこの誰だか分からないけど、ソウゴ君の前から消えてくれる?じゃないと私…………ふふっ」

アナザージオウ「ギャァァァァァァァァァァァ!!!!俺のそばに近寄るなァァァァァァ!!」

飛流ゥォオ!ニゲルォ!!

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