Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば普通の中学二年生 時見ソウゴ……彼には時の王者となる運命が待っている」

「そして今日が、我が魔王が誕生した始まりの日となる。
――それと、もう一人の少女も……」


第1話 誕生!元気な少女と最高最善の魔王のライダー!2018

四月上旬。ソウゴは白いワイシャツにグレーのズボンが特徴であるラヴェニール学園の制服に着替え、階段から降りてきた。

 

「おはよう〜」

 

ここは、ソウゴがお世話になっている時計店『クジゴジ堂』。

彼は幼い頃に両親を事故で失くして以来、ここの叔父にお世話になっている。

 

「おはよう!ソウゴ君!」

 

階段を降り、リビングのある部屋に入ると、朝食を用意してくれた叔父・時見順一郎 がいた。

椅子に座ったソウゴは「いただきます!」と手を合わせると、朝食に手をつける。

 

「ソウゴ君。今日から二年生だけど大丈夫?」

 

「何が?」

 

「何がって、成績だよ!いつも、自分の得意科目しか良くないから〜。最後の方は、さあやちゃんにいつも助けてもらってるし……」

 

この前だって、追試勉強の為にさあやちゃんに色々迷惑かけちゃったでしょ?と言いかけるが、それでもソウゴは笑みを浮かべながら大丈夫だと判断していた。

何故なら――

 

「大丈夫だよ。だって俺、王様になるから」

 

順一郎が自分の心配しているのに平然と問題ないように、王様になる事を目指しているのだから。

 

「そうだよね……王様になるんだよね……」

 

これが高校生とかだったら普通に難儀を示したいと思えるのだが、目の前の甥はまだ中学生なので、イマイチそういった事を抱いていいのかと言う思いが順一郎の中にあった。

 

「ソウゴ君〜!」

 

「あ、さあやちゃんがお迎えだよ」

 

「わかった!」

 

幼馴染が来た事を知ったソウゴは急いで朝食を済ませると、椅子に置いた鞄を持ち、玄関へと向かう。

 

「叔父さん、行ってくるね!」

 

「順一郎さん行ってきます!」

 

二人は順一郎と沢山の時計に見守られながら、クジゴジ堂を出てラヴェニール学園へと向かう。

 

「行ってらっしゃい!」

 

順一郎は二人を見送ると、色んな修理道具が置かれている仕事机に置いてある写真を見る。

 

「ソウゴ君、中学二年生になりましたよ。兄さん、義姉さん」

 

――それは、ソウゴの亡くなった両親の写真だった。

遺影の様に置かれた写真に手を合わせ、彼の成長を三人で噛み締めていた。

 

 

その頃、ソウゴとさあやは話をしながらラヴェニール学園へと登校していた。

 

「ソウゴ君、今日から二年生だけど大丈夫?」

 

「さあやまで、叔父さんと同じ事聞くの?」

 

二人は小さい頃の幼馴染。ソウゴが()()()()()で両親を亡くし、『はぐぐみ市』に来てからはほとんど一緒にいることが多い。

とはいえ、そんな幼馴染にも叔父である順一郎と同じ事を言われたソウゴは、耳が痛くなった様な錯覚に陥る。

 

「大丈夫だよ。勉強なら出来る限りやるって」

 

「そう言って、この間追試だったよね?」

 

「うへぇ⁉︎」

 

その事を思い出し、追試になるまで碌に勉強してこなかったソウゴは返す言葉がなかった。

追試の為に幼馴染に迷惑をかけてしまった事にも結構罪悪感を感じていた為、余計に口を継ぐめにくかった。

まったくもうと思いながらも、さあやはこの間先生が言っていた事を思い出し、その事を隣に居る幼馴染に話そうと思った。

 

「そういえば、今日から転校生が来るって」

 

「転校生か、どんな子だろ〜」

 

登校をしている道中で会話しながら歩いていると、そこへローブを被った男性が近づいてくる。

 

 

「明日は、君にとって特別な日となる日だ」

 

 

そしてソウゴに近づき、耳元で囁きかける。

 

「えっ?」

 

声が聞こえ、思わず足を止める。

さあやは突然足を止めた幼馴染に、どうしたのかと思いながら同じく足を止めた。

 

「どうしたの?」

 

「えっ? いや、なんでもないよ」

 

なんでもないと言いつつ、先程自分に囁きかけてきたローブの男性がいると思われる方を見るが、その男性はいなかった。

前にもこんな事があったなと言う思いが一瞬浮かんだが、直ぐに気のせいだと思い、そのまま二人はラヴェニール学園へと向かう。

 

 

 

一方、数日前にこの家に引っ越してきた少女の新学期が今、始まろうとしていた。

薄紫の髪の少女は、一纏めにしていた髪のゴムを外して髪をとく。

 

「フレフレ! わたし!がんばれがんばれ! わたし!」

 

テンション全開で呟いており、その机にはイケてるお姉さんのファッション雑誌や自分で描いた“なりたい自分”や、自分の思い描く“大人っぽい前髪”の絵が置かれている。

 

「フレフレ! わたし!がんばれがんばれ! オー!」

 

自分の部屋の鏡の前でハサミを手に持ち、何やら意気込んでいた。

 

「はな~転校初日から遅刻よぉ~!」

 

すると新学期の転校初日にいつまでたっても部屋から出てこない少女を、このままでは遅刻してしまうと心配した母親が名を呼んでいた。

 

「はな~~」

 

「この日のために伸ばしてきた前髪……バイバイ……“子どもっぽい”はな……」

 

だが名を呼ぶ声は少女には聞こえておらず、この日のために伸ばしてきた前髪を見て、子どもっぽい自分へと別れを告げる。

 

「大人っぽいイケてるお姉さんに……変身~♪」

 

憧れている大人っぽいイケてるお姉さんに変身しようと、キラキラとした笑顔を浮かべて、かねてからの自分の思い描いていた事を叶えようとしていた。

少女は鏡を見ながら前髪を抑えて、ハサミを片手に前髪を切っていく。

 

「元気だけが取り柄の“オチャメな”はなとは、もう言わせないんだからぁ!」

 

そう言いながらチョキチョキと、自分の思い描く理想の髪形に近付こうと前髪を切っていく。

 

「…って、あれ? ここ、もうちょっとそろえる?」

 

しばらく前髪を切っている途中、少し前髪が可笑しくなっている事に気づいて鏡を見ながら慎重に切っていく。

 

「ウワッ!ズレた!!アァ~~」

 

だがうっかり切るところからずれてしまい、少女は悔しげな声をあげる。

そんな中、カーテンが風に靡き、その風に少女の思い描いた“イケてるお姉さん”の髪型のページが捲れる。

 

「はあぁぁ~~!!!!前髪切りすぎたぁ~~!!!?」

 

どうやら思うよりも前髪を切りすぎてしまったらしく、少女の驚きの悲鳴が部屋中に響き渡るのだった。

 

 

「あぁ……書類がない……どこ?」

 

「古い鞄は見た?」

 

「それだ!あぁ……今日歓迎会で遅くなるかも……夕御飯お願い!」

 

「オッケー! 大丈夫!」

 

そんな両親の会話を少女の妹が椅子に座りながら聞いていると、「ウゥゥ~……」と頭…正確には前髪部分を抑えて唸り声をあげていた少女の姿が目に入り、姉の様子が可笑しい事に気づく。

 

「んん?どうしたのお姉ちゃん。その前髪?」

 

「わたしのほうが聞きたいよぉ……」

 

妹にそう聞かれた少女は、しょんぼりとした様子でそう呟いて顔を上げる。

 

「大人っぽいイケてるお姉さん計画がぁ~……!」

 

――少女の名前は『野乃 はな』。13歳の中学二年生。

片眼が隠れる程伸びていた髪を斜めぱっつんにして、両サイドには緑色のヘアピンを付けて纏めている。

そして現在、彼女は新学期の登校初日の心機一転のデビューが失敗してしまい、額を晒しながら目をうるうると潤ませて落ち込んでいた。

 

「はい!お待たせ!」

 

落ち込んでいる娘に、母が作ったオムレツを出す。

 

「んん?…はわぁ~♪オムレツ~~♪」

 

大好物のたまご料理のオムレツを見ると、先程まで落ち込んでいたのがウソのようにキラキラとした笑顔でオムレツを見つめる。

 

「プクク! お姉ちゃんって本当にお子ちゃまね……」

 

「ムッ!!お子ちゃまって言うなぁ!」

 

「そろそろ身長抜いちゃいそうだけどぉ~」

 

「むぅ~~~~!!」

 

お子ちゃまと言われたはなは膨れて妹のことりを睨むが、ことりは気にした様子を見せず。立ち上がって姉の側によっていき、もうすぐ身長を抜いちゃいそうだとからかう。

 

「早く食べないと遅刻するよぉ」

 

更に頬を膨らませて睨みつけてくる姉を軽くあしらって、早く朝食を食べないと遅刻すると教える。

 

「はぁっ!!いただきます!ハム!モグモグ!」

 

ことりに言われて、転校初日から遅刻するわけにはいかないと急いでオムレツを手に取ってパクパクと食べ始める。

そして学校に行く準備を済ませ、鞄を背負うと靴を履く。

 

「はな、忘れ物ない?」

 

「だいじょうぶ!!」

 

「よし!それじゃぁ…」

 

「「ハグっ!!」」

 

はなとすみれはお互いにスリよって抱きつき、親子による愛のあるハグをする。

 

「はな。頑張ってね!」

 

「うん!フレフレ!ママもがんばれ♪」

 

頑張ってねと応援を貰ったはなも笑顔で頷いてフレフレと両手を上げて、笑顔で母親を応援しながら微笑む。

 

「さぁ!いってらっしゃい!」

 

「気をつけてね」

 

「行ってきまぁす!!」

 

家族三人に見守られながら、勢いよく家を飛び出して学校へと向かい走り出す。

 

「えっさ!ほいさ!転校初日から遅刻はいやだぁ~!」

 

転校初日から遅刻は嫌だと、公園の入口を通りすぎる。

公園に立つ金色の鳥の形の時計は現在、7時50分を指している。

 

「ばっちり自己紹介きめちゃうんだからぁ!」

 

転校初日の自己紹介をばっちり決めようと、決意して短くなった前髪を一撫でし…

 

「野乃はなです!よろしくお願いします!

ウフフゥ♪ みんな、はなちゃんの登場に話題騒然!! だいにんき~~♪フレフレわたし!! がんばれがんばれ!オー!!」

 

良い声でビシッと自己紹介して、しっかりした自己紹介を聞いてクラスの話題になり大人気になる…という自分の姿を想像して、嬉しさで頬を緩ませていた。

 

その時、ボールを打つ音が聞こえたかと思うと、横の公園の中にあるグラウンドの方から野球ボールが飛んでくる。

ボールの進行方向上にいるお婆ちゃんはゆっくりとそっちを向き、はなもボールがこちらに飛んできている事に気づく。

 

「あぶない!!」

 

彼女はお婆ちゃんを庇おうと走り出し、体を張って守る為に前へ出ようとする。

 

 

「はぎゅ~~~!!!!はぎゅ~~!!!」

 

 

お婆ちゃんに向かって飛んできた野球ボールの前で手を広げると突如、空にピンクの光が照らされ、赤ちゃんのような声が響き渡った。

時計の秒針が7時51分で止まろうとした時、周りから色が無くなり、時間が止まる。

その現象は、声と共に街中に広がっていく。

 

「止まって……?」

 

ボールがいつまでも来ない事に気がついたはなが目を開けると、ボールが宙で止まってる事に驚く。

次の瞬間。周りの色が戻り、時計の秒針が動き出すとボールも動きだし、はなの目と鼻の先に迫ってくる。

 

「めちょっく!!」

 

そのまま顔面でボールをキャッチしてしまい、お婆ちゃんに心配されながら、特徴的な悲鳴を上げて倒れ込んでしまった。

 

 

 

山頂付近にある、規模の大きい男女共学の私立中学校。ソウゴとさあやの通う『ラヴェニール学園』の授業開始のチャイムが鳴り響く。

 

「皆さんに転校生を紹介します……と、言いたいんですが……肝心の転校生がいません……」

 

教室には既に生徒が(約一名を除いて)揃っており。教師が黒板に新学期の今日に転校してくる生徒の名前を書いて転校生を紹介しようとするも、転校生が来ていない為に言葉が詰まっていた。

 

「転校初日からちこくぅ~」

「なんでだよ!」

 

「フフ♪」

 

「面白そうな子みたいだね」

 

「楽しみ。ソウゴ君もでしょ」

 

「どうしたもんかなぁ~~」

 

生徒たちがツッコみを入れ、さあやは右隣りの席にいるソウゴに話しかける中、教師が困った様子で頭をかいていると……

 

「ごめんなさい!!遅れましたぁ、あたしはののはりゃりゃぶしゅ……!!」

 

はなが慌てた様子で教室のドアを勢いよく開けて、遅刻した事を謝りながら教室へと入って行く。

…が、早く自己紹介しようと慌てすぎたのか、足をもつらせて派手にすっ転ぶ。

その様子を見たソウゴとさあやは、思わず唖然とした表情で見つめる。

 

「ウゥ~~」

 

「野乃さん大丈夫?」

 

「ッツ!! 負けない!!」

 

呻き声をあげて倒れていると、教師から大丈夫かと訪ねられた彼女は目を見開いて、負けられないと呟いて勢いよく立ち上がる。

 

「野乃はな!13歳!将来の夢は、超イケてる大人っぽいお姉さんになることでぇ~す!!」

 

腰に両手を当てて自己紹介をし、右手を高く上げて左手を握りしめながら将来の夢を高らかに語る転校生は、堂々とした姿勢で、一切の迷いなく夢を語っている様子をさあやは呆然とした表情で見つめている。

ソウゴもまた、「ふん!!」と満足そうな表情で構えている姿に、少しポカーンとしていた。

 

『ハハハハハ!!!』

「すっげぇ元気だな!」

「お茶目だねぇ」

 

そんなはなの様子を見て、クラスのみんなは楽しげに笑っている。

 

「めちょっく……」

 

「野乃さん、自己紹介ありがとう。でも遅刻は駄目だよ?後で職員室ね」

 

だが、自分が思い描いていたちゃんとした自己紹介と違って失敗に終わってしまい。そして転校初日から遅刻してしまった為、後で職員室に来るように言われたはなは下を向いて落ち込むのだった。

 

 

職員室で教師に注意を受け、注意喚起を受け終えたはなが職員室から出てくる。

 

「転校初日から大失敗~~ウゥ~」

 

転校初日から大失敗してしまった事に落ち込みタメ息をついていると、向こう側から片手で鞄を持った黄色い短髪の少女が、太陽に照らされた窓を見つめながら歩いて来ているのが目に入る。

その姿を目に焼き付けた彼女は、じっとその少女を見つめている。

 

「あっ、背高い…足長い…きれい……」

 

少女は背が高くて足も長く綺麗なため、思わず見惚れていた。

 

「フフ♪」

 

「ウゥゥ~~アァ~~!!」

 

黄色の短髪少女は、そんな彼女に向けて微笑み掛け、はなは恥ずかしさで顔が赤くなる。

 

「おい!!輝木ほまれ!今来たのか?もうホームルーム終わったぞ!」

 

「……すいません」

 

「おい!! あっ…まったく……」

 

「美人に……笑われた……」

 

はなは短髪の少女――『輝木ほまれ』に笑われた事にショックを受けていた。

対するほまれと呼ばれた少女はジャージを着た教師に呼ばれ、外に出るとため息をついていた。

 

 

「前髪は失敗するし……自己紹介も失敗するし……大人デビュー大失敗……」

 

校舎の中にある噴水のある広場で、はなは水面に顔を写しながら、自分が思い描いた大人デビューが大失敗してしまった事を落ち込んでいた。

 

「でも負けない!!フレフレ!!わたし!!」

 

それでもめげずに、手を上げて自分を応援する。

 

「なにそれ、おまじない?」

 

「うわぁ⁉︎」

 

突然男の子の声が聞こえ、驚いて振り向くと、後ろにはソウゴがいた。

 

「え、えっ〜と、同じクラスの……」

 

「ソウゴ、時見ソウゴ!よろしく!」

 

「よろしく、時見君!」

 

 

『はぎゅ~!はぎゅ~』

 

 

ソウゴが自己紹介するとはなの耳へ、また赤ちゃんの声が聞こえた。

 

「はっ!また? これって……赤ちゃんの声?」

 

ピンクの光が昼間にも関わらず星の如く輝かせる中、赤ちゃんの声が聞こえた方へ走っていった。

 

「どうしたんだ?」

 

そして突然走り出したはなを見て疑問に思うソウゴを他所に、彼女は声がさらに大きく聞こえる所へと、その声へ導かれる様に屋上の扉を開ける。

 

 

「「「あっ……」」」

 

 

屋上に踏み入ると、現場にはさあやとほまれが立っていた。

 

『はぎゅ~~はぎゅ~!』

 

はなが二人に見惚れていると、彼女たちは赤ちゃんの声に気づいて、そちらを向く。

すると、空に浮かぶピンク色の十字の光が虹色のヴェールに包まれ、流星群のように空を流れ消えていった。

 

「野乃さん」

 

「あっ……う、うん……」

 

「探してたんだよ。学校、案内したかったんだ!」

 

「本当!?ありがとう!」

 

「わたし……薬師寺さあや。よろしくね」

 

「よろしく!」

 

さあやはよろしくと挨拶すると、はなもよろしくと笑顔で返す。

 

「あっ……あの!!」

 

そして彼女は、屋上から出ようとするほまれに話しかけた。

 

「ん……」

 

「うぅ……」

 

しかし何を話せば良いのか分からず、言い淀んでしまう。

 

「その前髪、イケてる!」

 

「えっ!」

 

「よく似合ってんじゃん」

 

「…ありがとう!!」

 

少し――いや、予想外にも切りすぎた前髪をイケてると誉め、自分では失敗したと思った前髪を誉められよく似合ってると言われたはなは嬉しくて少女にお礼を言う。

 

「ほまれさーん。学校案内、一緒にどうかな?」

 

「うんうん!!」

 

「………んっ」

 

さあやは学校案内にほまれを誘い、はなも賛成と頷く。

だがほまれはしばらくはな達を見つめた後、一つ高い所にあるベンチに座り、両腕を枕にして空を見上げる。その様子を見た二人はお互いに見つめ合う。

 

「えと……それじゃ、ほまれさんは行かないみたいだし……野乃さん、学校案内に行きましょう?」

 

「う、うん。ありがとう、薬師寺さん!!」

 

さあやがほまれの様子を見て誘ったが行かないのだと納得すると、彼女を不思議そうに見ていたはなに学校を案内する為に声をかけた。

声をかけられ慌てて返事をするはなは、さあやと共に屋上から出ようと扉を開ける。

 

 

 

 

巨大なビルが建ち並ぶ、薄暗い都市。

その奥にある、屋上に巨大なアンテナのような物が設置された、一際巨大なビル。ビルの中からは、怒号が響き渡る。

 

「まだ見つからんのか~~!!」

 

男性の怒鳴り声が円柱型の部屋の中で反響する中、壁から突き出る形で設置されたデスクに座った数人が上から下まで螺旋階段みたいに並び、集まって会議していた。

 

「未来を作る力……『アスパワワ』。その結晶……『ミライクリスタル』」

 

一人の男性がそう言いながら指をくるりと回すと、ハートの形をした宝石が浮かび上がる。

 

「見つからねば! 我々は本社に帰れんのだぞ!」

「あぁもう! あの時、あいつを逃さなければ!?」

 

ふくよかな男性がイラついた様子で怒鳴り、長髪の女性が何やら悔しがっていた。

 

「ボスと会長は……無事ノルマを達成した方に、昇進を約束すると……」

 

冷静な雰囲気の男がそう呟いたその時、一番上の光が差し込むところから邪悪な闇が現れ、目を赤くギラつかせる恐ろしい男の姿が浮かび上がる。

怒りに満ちた鬼の形相が現れた瞬間、その場にいた者達は怯えの感情を露にする。

 

「オレチャンがやってやるっす! かる~く奪ってやるっすよ♪」

「君一人だと心配だから、僕も手を貸すよ〜♪」

 

チャラい感じの男性と子供っぽい少年が立ち上がると、チャラい感じの男性の手に持っていた書類が消える。

 

「頼もしい………それでは……稟議、承認!!」

 

消えた書類は冷静な雰囲気の男が受けとり、中央にばっと投げてそう宣言すると書類が大きくなる。

すると天上の巨大な闇の男が唸り声を上げて、大きく口を開けるとそこから印鑑のような物が出てきて書類へと押印され、紫のオーラと共にマークが書類に刻まれた。

 

『未来をなくせぇ~!!必ず奪うのだ!!ミライクリスタル!!』

 

『クライアス社に栄光を!』

 

闇の組織の存在による計画が、始まろうとしていた――

 

 

 

 

その夜、はなは自身の部屋で自分のなりたい姿を絵に描いていた。

 

「なーんか色々あったけど、楽しかったな〜。…今日もいい日でした“大人っぽいはな”

大人っぽくて、優しくて、カッコよくて…」

 

そう言いながらスケッチブックを閉じると、今日出会った人達…薬師寺さん、ほまれさん、時見君の姿を思い浮かべた。

 

「私だって…!頭が良くて、運動も出来てイケてる。大人のお姉さんになりたい!」

 

彼女は部屋のカーテンを開けて、星の見える空を見上げる。

そして、外に出て自分のなりたい姿を想像していた。

 

「そのために頑張る!空からボールが降って来てこようと、何が降ってこようと。平気だもん!

何でもできる。何でも、なれる!」

 

そのまま手を合わせて、空に浮かぶ星に願いを唱える。

その時、不思議なことが起こった。

 

「は〜〜ぎゅ〜〜〜!!」

 

月からピンクの光が現れたかと思うと、学校で聞こえた赤ちゃんの声が再び木霊する。

 

「……えっ?」

 

何だろうと思いながら空を見上げると、何と月からピンクの光が降って来ていたのだ!

 

「は〜〜〜〜〜ぎゅ〜〜〜〜〜〜!!」

 

光がはなの家に向かって降って来ると、それに驚いたはなは思わず手を広げてしまう。

その光を無事にキャッチすると、光が弾き飛び、飛んできたものの正体が判明した。

 

「せ、せ、せ、セーフ!……って、あれ?」

 

自身の手に持ったものを見てみて、あまりの出来事に絶句してしまう。

 

「あ…あ…赤ちゃん!?」

 

「は〜ぎゅ!」

 

その光の正体は、赤ちゃんだった。

 

 

 

「ううっ……」

 

クジゴジ堂の自分の部屋で寝ていたソウゴが、鮮明に映る夢にうなされていた。

 

――その夢には、自分の銅像が建てられており、それを19人の同じ姿をした仮面の人物の銅像が囲っていた。

 

『――私は生まれながらの王だからだ』

 

――そして、そこに立っていた黄金の人物は、自分を襲ってきた全てを、たった一人で全てをなぎ払った。

 

「うわぁ! ……夢か」

 

「あ、ソウゴ君起きたの?」

 

そんな夢を見て、ソファで寝ていたソウゴが目を覚ますと、彼の下へ順一郎が現れた。

 

「……うん、なんか悪い夢見ちゃて」

 

「悪い夢?」

 

「うん、俺が王様になって、世界から時を止めたって夢……」

 

「へぇ〜、それはまた強烈な夢を見たね。

――でも、夢は夢でも……人生はそんな甘いもんじゃない」

 

「えっ?」

 

「時計の針は止まるし、巻き戻す事だってできる。でも、人生は違う――」

 

その後の順一郎の言葉に、ソウゴは心を打たれる。

 

 

 

一方、空から降ってきた赤ちゃんをキャッチしたはなはと言うと…

 

「は〜よかった〜」

 

空から降ってきた赤ちゃんに『はぐたん』と名付け、ミルクをはぐたんに飲ませ終えていた。

 

「お前、ちょっとは落ち着けや」

 

「落ち着けるか!…ってかお前じゃ無い!はなだもん!」

 

はなは自分のベットに立っている小さなネズミのような生き物――『ハリハム・ハリー』にツッコミを入れつつ“はなだもん”と答える。

 

「…じゃあ、はな。よぉく聞けや」

 

ハリーは改まってそう言うと、はなを指差した。

 

「はな!これはお前の未来の為やで!」

 

「…なんなの?」

 

正直、何言っているのか分かりませんね。そう言う気持ちが彼女の中に広がった。

 

「分かったな?ほな、おやすみ〜」

 

言いたいことだけ言うと、ハリーはベットで横になる。

 

「全然わかんない!」

 

ほら、はなもこう言ってるでしょ?ちゃんと説明しなさい(by.天の声)。

 

「てか、突然すぎるよ…いきなり赤ちゃん、なんで?」

 

どうなっているのか困惑していると、はぐたんが泣き出してしまった。

 

「っ!?また⁉︎ミルクあげたし、オムツじゃ無いし!えっと、えーと…そうだ!」

 

どうするか考えていると、とある考えがはなの頭に降りてきた。

 

「いないいない〜ばあぁ!」

 

そう、子供を持つ親御さんは一度はやったことがあるであろう子育ての基本、いないいないばぁである。

 

「? はぎゅ〜!」

 

「笑ってくれた…」

 

取り敢えず泣き止んでくれたことに安堵していると、はぐたんがはなに向かって手を伸ばしてきた。

彼女はそれに答えようとするが…

 

「っ!……うちに住むのは…」

 

上げていた手を下げ、まだ中学生である自分がこの子を育てるのは難しいと考えていると…

 

「……違ったか」

 

「えっ?」

 

ハリーの呟きになんなのかと思っていると、部屋の外から「ちょっと〜?」と言う声が聞こえてきた。

 

「お姉ちゃん何騒いているの〜?」

 

妹のことりが来るのを察したはなは咄嗟に、はぐたんとハリーをベットにクッションに隠し…

 

「うるさいんだけど?」

 

「ごめん!ダンスの練習をしてて…」

 

マイケル●ャクソンの真似をしながら「ふぉう!」と言って、さっき聞こえていた音を誤魔化す。

 

「……なんでもいいけど、ごはんだよ…」

 

「すぐ行く!」

 

ことりが行ったのを確認して、安心しつつベットを見るが…

 

「……あれ?居ない…」

 

いつのまにか、はぐたんとハリーは居なくなっていたのだった。

 

 

 

翌日ソウゴは、いつもならさあやと一緒に行くが、今日は珍しく一人で登校していた。

 

「それにしてもあの夢、あの人、何だったんだろう……」

 

昨日見た夢を思い出しながら、ポケットからこの間拾ったウォッチを取り出す。

 

「――おめでとう。今日は君にとっての、誕生の日となる」

 

「えっ?」

 

すると、またもやローブを被った謎の男がすれ違いざまに囁き、陽炎の様に姿を消した。

 

「なんだろ、誕生の日って……?」

 

その後、学園に着いても授業に集中出来ず、通りすがりの人が放った言葉の意味を考えていた。

 

 

 

「気に入らないなぁ~~」

 

学校の中の時計搭の上には謎の男が立っていて、謎のメーターのような物を持って何かを計測していた

 

「学校、青春、明日への希望に満ちている……アァ~~ヤダヤダ」

 

チャラい感じで浅黒い肌色と後ろ髪を伸ばした男は、メーターに計測された結果を見て、ヤダヤダとウンザリしていた。

 

「おっ!! 面白い子を見つけたよ」

 

すると、チャラい男の隣にいた少年『ウール』が一人の男子生徒を指す。

 

「内富士先生なんなんだよ……ちょっと提出遅れただけで、しめ切りしめ切りって!!」

 

チャラい男が下を見ると、そこにはラヴェニール学園の男子生徒が不機嫌そうな顔で、先生に対する不満を言いながら歩いていた。

その男子生徒にメーターを向けると、先程と違いメーターが一気に大きいイガイガのような形の怒り顔のマークの方に脹れ上がり、赤く大きくなっていた。

 

「トゲパワワ! 発見~~!!」

 

チャラい男はトゲパワワという物を見つけたらしく、喜びながら怪しい笑みを浮かべる。

 

「明日への希望よ消えろ!ネガティブウェーブ!」

 

チャラい男は両手を重ねた後に顔の前で構えた後、交差するように開いてそう叫ぶと男の両手から何やら黒い不気味な波動――『ネガティヴウェーブ』が放出されて、男子生徒を包むと黒い空間にイガイガのような物が浮かぶ。

男子生徒の前に巨大で怪しい闇が浮かび上がると、大量のイガイガが舞い上がる。

 

すると、突然の事態に驚いていたラヴェニール学園の生徒達が、次々に倒れて気を失い。倒れた生徒達から、紫のトゲトゲした何かが出てきて時計搭の方へ集まっていく。

 

「ミライクリスタルを持ってるのは知ってんだよぉ~!!早く現れろ……プリキュアぁ!」

 

トゲパワワが巨大な雲のように形成されて大きくなっていく光景を、チャラい男は怪しく笑いながら、目的の人物の出現に備えていた。

 

 

 

「どうしたの!!」

 

はなと一緒に居たさあやが突然倒れた生徒に駆け寄り、どうしたのと心配して声をかける。

 

「心がトゲトゲして……」

「なにもやる気がでない……」

 

二人の生徒はそう言って体をぐったりとさせ、力なく地に伏せてしまった。

 

「なにが起こってるの……」

 

はな達はお互いに顔を見合わせて、突如発生した謎の現象に何が起こってるのと不安になる。

 

 

同じ頃。他の場所にいたソウゴも、突然倒れこんだ他の生徒に駆け寄る。

 

「どうしたの?大丈夫?」

 

話しかけても誰も彼もがやる気がないような感じで、活力を失くしているように見えた。

 

「何がどうなってんだよ!」

 

『ああぁぁぁーーっ!』

 

その時、近くにいた生徒が粒子のようなものになって、抵抗することも出来ぬままなにかに吸い込まれているのが見えた。

 

「――テニス、柔道。ベストマッチじゃない!」

 

吸い込まれていく方を見ると、そこには暗めな赤と青カラーのトゲトゲとした突起を生やした複数の弾痕付きの身体と、透けた複眼から鋭い眼球を覗かせながら鼻や牙をむき出した顔から分かるように、いかにも化け物って感じの怪人が、白いボトルの様な物を持ちながらそこにいた。

 

「あれ、あれどこかで……はっ⁉︎」

 

怪人の姿を見たソウゴは何処かで見た様な感じでいると、体の赤い部分に書かれた『BUILD』の文字を見て、姿こそ違うがウォッチを拾った時に夢で見た『あれ』に似ている事を思い出す。――赤と青の戦士、『仮面ライダービルド』に。

だがビルドの事を思い出してる間に、ビルドそっくりの化け物が向かってくる。

 

「避けて!」

 

声を聞いたソウゴは急いで横へ転ぶように避けると、赤い光線がビルド?に向けて放たれる。

 

「君は……」

 

そこに現れたのは、以前ソウゴを赤いロボットから助けた、白い服を着た少女だった。

少女はビルドに向けて光線を放ち続けると、ビルド?の手からテニスラケットのようなエネルギー体が出現。テニスのサーブのように光弾を放つと、少女が持っていた銃に当たり、ビルド?は手から銃を落とした少女に近付いて彼女の首を絞める。

 

「やめろぉぉぉ‼︎」

 

ソウゴがビルド?に向かっていくが、軽く払いのけられてしまう。

思わず当てられたところを抑えるも、諦めずにビルド?へ掴みかかって行った。

 

 

 

『発注!!オシマイダ~~!!』

 

チャラい男は体を小刻みに揺らしながら独特のポーズを決めた後、チャラい男をライトが照らす。

空に広がって巨大な雲のようになったトゲパワワが下の時計搭に降り注ぎ、それが集まると、そこから赤く怪しい目が輝く何かが姿を現す。

 

「オシマイダ~~!!」

 

――それは時計搭に黒いボディが加わり、黄色の目に口の中にギザギザの歯と時計がある化物だった。

 

「さぁ、来い!プリキュア!ゲイツ!」

 

チャラい男はこれで準備万端と言った様子で怪しく笑う。

 

 

はなとさあやは、ぐったりとした生徒を支えながら走っていた。そこへ……

 

「オシマイダ~~‼︎」

 

謎の化物『オシマイダー』が、地面を踏み砕きながら現れる。

 

「あっ……!」

 

「逃げよう!!」

 

はなは化物に驚いて、恐怖のあまりに足を止めてしまう。

さあやは女子生徒の手を取って、逃げようと言って走り出し、はなも我に返って、続けて逃げようとしたその時…

 

「はぎゅ~~」

 

「あっ!!」

 

「はぁぎゅ!はぁぎゅ~!」

 

聞き覚えのある声が聞こえた為、立ち止まってそっちを向く。

そこには昨日の赤ちゃん――はぐたんが化物に向かって、何やら言いたそうな様子で立ち向かおうとしていた。

 

「はぁぎゅ~!!はぁぎゅ!!」

 

「危ないってぇ~!!」

 

はぐたんが化物に向かおうとするのを、ハリーは足を掴んで必死に止めていた。

 

「アァ? なんか文句あんのぉ⁉」

 

チャラい男は、はぐたんのその様子が気にさわったのか、オシマイダーに足を踏み鳴らして牽制させる。

その際に砕けた瓦礫が、はぐたんに向って飛んできた。

 

「危ない!!!」

 

その光景にはぐたんが危ないと察すると、慌ててはぐたんの元に走る。

 

「あっ、あぁ!!」

 

瓦礫がはなとはぐたんの間に落ちてその衝撃で土煙が舞い上がり、はなはしゃがみこむ。だが土煙が晴れた後、はぐたんは何やらぐったりしていた。

 

「はぁ…ぎゅ~~……」

 

「アカン!!アスパワワがどんどん無くなってる……」

 

「あ、あぁぁ……」

 

額のハートが水色から点滅させ始めたはぐたんの元気が無くなり、ハリーはアスパワワという何かが少なくなってると焦る。

そしてはなは、突然襲いかかった死の恐怖に汗を浮かべて、呆然としていた。

――無理もないだろう。あの岩がもしも自分に当たっていたら大怪我、運が悪ければ死んでいたかもしれないのだ。そんな始めての恐怖に、彼女の体は固まってしまった。

 

「………はぁぎゅ~…」

 

「はっ…はっは…うぅ……」

 

必死に立ち上がろうとするが、足がすくんでしまい立てずにいた。

 

「…ぎゅぅ~~うぅ~……ウゥ~~エゥゥ~!」

 

「ッ!はぐたん!!…ぐっ!!」

 

しかし、はぐたんの泣き声にハッとなり。今にも泣き出しそうな顔で怯えるはぐたんの姿に、はなは拳をぎゅっと強く握りこむ。

 

「ハァ……フレフレ、わたし……!」

 

フレフレと自分を応援して、恐怖で震える足に鞭を打って立ち上がる。

 

「オレちゃん、赤ん坊の鳴き声って苦手なんだよねぇ……いけぇ!」

 

「オシマイダ~~!!!」

 

チャラい男はそう指示し、オシマイダーがはぐたんに襲いかかる。

 

「ヤァァァァ~~~~!!!!」

 

「だめぇぇ~~!!!!」

 

はぐたんは迫りくる攻撃に目を瞑るが、はながはぐたんを守ろうと走りだし、体をはって前へ出る。

突然出てきた少女にオシマイダーは動きを止めて、チャラい男は怪訝そうな表情で見つめる。

 

「おまえ!」

 

「ぎゅぅ……」

 

ハリーは強いまなざしでオシマイダーを睨みつけるはなを見つめ、攻撃が来なかった事に疑問を抱いたはぐたんは恐る恐る目を開ける。

 

「……どいてぇ~!」

 

「どかない!!」

 

チャラい男が退くように言うが、はなは退こうとしない。

 

「ドケェ!!」

 

「ぜったいにどかない!!!!」

 

今度はさっきより強い口調で言うが、怯えずに退こうとする意志を見せなかった。

 

「うっぜぇ…!!潰せぇ!オシマイダー!!!」

 

「オシマイダ~~~」

 

生意気な態度に気の触ったチャラい男はうぜぇと呟き、潰すように指示されたオシマイダーがはな達に襲いかかる。

 

「なにしてんねん!!おまえ潰されるぞ!!」

 

「おまえじゃないもん!はなだもん!!」

 

「はぁぎゅ~…」

 

「ここで逃げたら、かっこ悪い…」

 

はぐたんはハリーの言う事に啖呵を切り、自分を守ってくれているはなに嬉しくて手を伸ばす。

そしてはなは向き直ると、ここで逃げたらかっこ悪いと言って笑顔ではぐたんを抱き抱える。

 

「そう……ッツ!わたしがなりたい…野乃はな、じゃない!!!」

 

抱いて一度瞳を閉じ、強く見開くと、自分の想いを言い放つ。

すると彼女の心から、強い想いに反応して、体がピンク色に強く輝き出す。

 

「アスパワワが!!……ッツ!グッ!ッグッ!?」

 

「オシマイダ~~~⁉」

 

はなはその事実に驚き、チャラい男はその溢れ出す『アスパワワ』という力の強さに後退り、襲いかかろうとしたオシマイダーは吹っ飛んだ後に着地する。

 

「心があふれる……!!!」

 

「ばぁ~~ばぅ~~!!!!」

 

彼女は自身の力が高まり、心が溢れるのを感じていた。

そしてはぐたんの叫びに連動して、額のハートのアクセサリーがより一際強く輝き、はなの胸から出て来たハートマークが更に強い輝きをほとばせる。

その光からハート型の金色の宝石のような形で中央部に星のような形、そこに延びる三条のラインのある何かが出てくる。

 

「ミライクリスタルが生まれた…」

 

ハート型の宝石のような物は、はなの手に落ちてくるとそれを掴む。

そしてハリーがはぐたんを乗せていたかばんが開いて、そこから何か出てくる。

 

「プリハートが反応した!!」

 

角に丸みを帯びたピンク色のスマートフォンのような形をして、ハートや色んな形の飾りがついている物が出てきて、はなはそれを掴んだ。

 

「はな!!おまえの気持ち!かましたれぇ~!!」

 

「いっくよぉ~~!!!」

 

ハリーがそう叫ぶと、はなは強い眼差しで出てきたピンクの色のスマートフォンのような物を前に構えて叫ぶ。

 

『ミライクリスタル!ハートキラっと!』

 

一番上の金色に赤い宝石のような物が消え。そこに『ミライクリスタル』と言っていた宝石をセットすると画面に白い二重のハートが刻まれて、そして下の部分をスライドさせてハートの形にするとピンク色に輝く。

そのピンク色の光に体を包まれて、はなの髪が大きくなびいていく。

 

「はぁぎゅ~~!」

 

ハートの下の角の部分の赤いハートをタッチして、胸元に寄せる。

そして手を広げると二重の白いハートが赤色に変わり、そこから光が溢れ出して、はなの回りを囲む。

光が晴れると、衣装が濃いピンク色のチアリーダーのような、おなかの部分が出たワンピースになり、腰に桜色の大きなリボンが付いたシースルーのピンク色のスカートにその上に緑色のフリルが出てくる。

更には両手首に小さな黄色のボンボンが出てきて、両足に白いニーソックスに両足首に黄色のボンボン、ピンク色のブーツが現れた。二の腕にもシースルーの袖カバーが着いている。

 

「ぎゅぅ~~!!」

 

またぎゅうとミライクリスタルを掴むと、今度は二重のハートが黄色になり。そこから光が溢れて、はなの髪をウェーブのかかった薄いピンク色のロングヘアーへと変え、サイドをまとめたシニヨンに赤いリボンに白い花が現れる。

 

「ぎゅぅ~~!」

 

再度ミライクリスタルをタッチすると、今度はハートが水色になって光が溢れ出すと、顔にメイクが施され。両耳に緑のクローバーイヤリングが、頭にピンクのハートのアクセサリーが、後ろの腰に大きい薄いピンクのリボンが装着される。

そしてミライクリスタルを腰に付いたポーチへと入れるとカバーが閉じる。

 

「輝く未来を~抱きしめて!!みんなを応援♪元気のプリキュア!キュアエール!」

 

そして片足で着地すると右腕を天高く伸ばして、左腕を腰にすえて右足を左膝につけてポーズを決めてキュアエールと高らかに叫ぶ。

 

「プリキュア……ほんまになりおった……」

 

「はぎゅ~~……」

 

ハリーとはぐたんはプリキュアに変身したはなに呆然とした表情で見つめる。

 

「めっちゃイケてる!!」

 

 

 

――その頃、ビルドのような怪物に遭遇していたソウゴ。

その時、彼のポケットから落ちたウォッチを拾う。

 

「そのウォッチは捨てなさい!」

 

少女はソウゴの持つウォッチを捨てろと叫ぶ。

 

「いえ、その力を使って王になって頂かねば」

 

すると今度はローブを被った男性が現れた。

 

「君、この間の……」

 

「はじめまして、我が魔王。私の名はウォズ」

 

ローブの男性は自らを『ウォズ』と名乗る。

 

「ジオウの力は史上最強、過去も未来も全て思うがままに」

 

「過去も未来も思うがままに……」

 

ウォズの言葉を聞いたソウゴは、ウォッチを見つめて胸に当てる。

その時、彼の脳裏にあの夢の光景を思い出させた。

 

その夢の中で出てきた人物は、人々を苦しめ、希望のない世界を創り出していた。

あの夢はきっと、俺と関係があるんだ。

もしかしたら、あの人が彼の言う、魔王の姿なのかもしれない。

ひょっとしたら、あれは俺なのかもしれない。

其処には根拠はないが、心でそうなのかもしれないと感じた。

 

しかし、目の前にいるビルドの様な怪物の姿を見た。

あの怪物は、人を襲っていた。

もし俺が止めなければ、あの怪物はこれからも人を襲い続けるだろう。

 

…やっぱり、王様になりたい。

世界を全部よくしたい、みんな幸せでいてほしい。

そう思ったら、王様にでもなるしかないじゃないか!

 

「―――決めた!俺……魔王になる!」

 

「え⁉︎」

 

それを聞いた少女は驚愕しており、ウォズは嬉しそうな表情になる。

 

「けど、俺が目指すのは普通の魔王じゃない!」

 

だが、次にその発言を聞いたウォズは、今度は怪訝そうな表情になった。

 

「は?何を言ってるんだい?」

 

「俺が目指すのは、最高最善の魔王だ!」

 

『ジオウ!』

 

そう宣言したソウゴが持っていたウォッチが白色の形となり、そこから“ジオウ”と響きわたる。

 

「―――我が魔王」

 

ウォッチから音が鳴ったことに驚いていると、ウォズが紅いクッションに載せられたベルトのアンクルの様な物を差し出した。

 

「使い方はご存知のはずです」

 

ウォズに言われ、ソウゴは渡されたそれを腰にはめる。

 

『ジクウドライバー!』

 

そして、手に持っていたウォッチのリング部分『ウェイクベゼル』を回転させ、スイッチを押す。

 

『ジオウ!』

 

『ジオウライドウォッチ』をドライバーの左側にあるD'9スロットに差し込み。ドライバーのライドオンリューザーを押してロックを外すと、後ろから時計のようなものが現れ、それに合わせてソウゴが構える。

 

「変身!」

 

ジクウドライバーを反時計回りに回すと、鐘の音と共に、世界が回った――

 

『ライダータイム!』

 

音声が鳴ると後ろの時計の文字盤に「ライダー」の文字が出現し、周りに無数の金属製腕時計のバンドの輪の様なエフェクトが現れ、それが回転。

更に文字盤の「ライダー」という文字が飛び出し、姿を変えたソウゴの顔にセットされた。

 

『仮面ライダージオウ!』

 

その姿は金属製の腕時計の様で、鎧部分は黒で銀色の縁と時計のバンドの様な物――生体強化装置『ミッドバンドライナーM』が装飾されており。スーツは黒で、額には「カメン」の文字のライダーズクレストがあり。時計の針の形をしたデータ収集装置――『バリオンハンドM』と『メソンハンドH』の下には、先程装着された複眼にあたる部分――『インジケーションアイ』はマゼンタの「ライダー」の文字になっている。

 

その姿を確認したウォズは自身の持っていた本を掲げ、高々と叫んだ。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者!

その名も仮面ライダージオウ!まさに生誕の瞬間である!」

 

「なんか、いける気がする!」

 

今この時を持って、未来を守るために戦う時の王者と元気な女子達の戦いが始まろうとしていた。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第2話 未来から来たライダー!継承せよビルドの力!2017

 

 




――ひとりの少女は、『超イケてる大人っぽいお姉さん』を目指す。
――ひとりの少年は、『最高最善の魔王』を目指す。
――全く違う場所で、全く違う夢を持った彼らが、最後に辿り着く未来とは……
――そして、そんな彼らがどの様に交差し、どの様に歩んでいき、その瞳に何を写すのか。
「だがそれは私達にとっては、未来の出来事、でしたね?」



おまけ

レジスタンス『うぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』〈ババババババババ!〉

オーマおじさん「……なんなんだぁ、今のはぁ……?」

野菜人のオージ「ヤメルォ!勝てるわけがない!!奴は伝説の超魔王人なんだぞ!?」

オーマおじさん「有象無象共……まずお前らから血祭りに上げてやる……」

パンツ「これ以上、奴の好きには――虫ケラ「ジュゥゥウェェェンンンン!!!」――ハァッ☆」

オーマおじさん「フン!!」

虫ケラ「クソマァ!!?」

オーマおじさん「とっておきだ……」〈ポーン!〉

虫ケラ「グァぁぁ!!」〈ポピーー〉

〈ドカン!〉デデーン!

野菜人のオージ「クソったれぇぇぇ!!俺は……俺は……!サイヤ人のォォ……!オージはぁぁぁ……この――ふおぉっ!?」

キーーーン…………ドカーン!



ソウゴ「………なんか、違う気がする」

これが……伝説の超魔王人(スーパーオーマジン)……!!

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