Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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黒ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている……
彼を狙う過川飛流との繋がりがあった我が魔王。
新たにキュアマシェリ、キュアアムールが誕生するも、我が魔王とゲイツリバイブとなった明導ゲイツとの対決が始まった。
二人の戦いを止める為、いよいよ私も覚悟を決める時が来ました」


第27話 最強コンビ登場‼︎黒ウォズ、一か八かの賭け 2009

オシマイダーとアナザージオウを退いたジオウ達。

だが、ゲイツリバイブとなったゲイツとジオウⅡの対決が遂に始まってしまった。

 

 

ゲイツリバイブは剛烈と疾風の力で、ジオウⅡとなったジオウを翻弄させていた。

 

「強い……なら!」

『フィニッシュタイム!』

 

ジクウドライバーを操作し、ピンクと金色の『キック』のエフェクトがゲイツを囲むと、ジオウは高く飛び上がる。

 

『トゥワイズタイムブレーク!』

 

囲んでいたキックの文字がジオウの足へ集まり一つとなると、トゥワイズタイムブレークによるライダーキックが放たれた。

 

『のこ切斬!』

 

対するゲイツは丸鋸モードへと変化させたジカンジャクローで反撃に出た。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

「はぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

二人の技が衝突し、お互いに一歩も譲らない激闘が繰り広げられた。

 

「「うわぁぁぁぁぁーーー‼︎」」

 

だが決着が付かず相殺され、二人とも吹き飛ばされた。

 

「あっ………くぅ!」

 

「うっ……うぅぅ」

 

だが、ジオウとゲイツの衝撃はかなりのダメージを互いに与えた。

 

「「「「ソウゴ(時見先輩!)!ゲイツ(さん!)!」」」」

 

「まだだ……ジオウ……!」

 

飛ばされたゲイツはジカンジャクローを拾い、起き上がる。

 

「ゲイツ……」

 

「待つんだ!我が魔王、そしてゲイツ君」

 

そこに黒ウォズが現れ、仲裁に入った。

 

「こんなところで君達に決着をつけられては、もう1人の私が喜ぶだけなんでね。ハリー君達、我が魔王を頼む」

 

ソウゴをはな達に任せると、黒ウォズがマフラーをゲイツに向けて放ち、二人は何処かへ消えた。

 

「はぁ、はぁ……あ……」

 

二人が消えるとジオウが膝を折り、変身が解かれるとソウゴが倒れた。

 

「「「ソウゴ‼︎」」」

「時見先輩!?」

 

倒れたソウゴにはな達が急いで駆け寄る。

 

 

その頃、黒ウォズに場所を移動させられたゲイツは、とあるビルの屋上にいた。

 

「何のつもりだ⁉︎ 黒ウォズ」

 

「君のためさ」

 

「俺の為?誤魔化しを……」

 

「気づいてないのかい?」

 

「……ッ⁉︎」

 

すると、地面へと落ちる赤い水滴が見えた。

それはゲイツから流れる鼻血だった。

 

「確かに君のゲイツリバイブの力は最強だ。だが…その分リスクもある」

 

「リスクだと……?」

 

黒ウォズがゲイツリバイブにリスクがあると話し出す。

 

「剛烈のパワーも疾風のスピードも、君のウォッチが時間を圧縮したり引き延ばしたりすることで生み出されているようだ」

 

それを聞くゲイツはただ黙り込んで、ウォズの顔を睨みつける。

 

「そのことは君の身体に大きなダメージを与える。

君は自分の命を削って戦っているんだ。そこまでして我が魔王を倒したいとでも?」

 

黒ウォズから助言を受け、しばらく沈黙が続くとゲイツが口を開く。

 

「この時代に来た時から、俺にはジオウを倒す道しかない」

 

「そうかな……?私からすると、君は我が魔王に友情を感じているようだった……」

 

「……」

 

「そんな君が何故、唐突に我が魔王を倒そうという気になったんだい?」

 

「……俺は見た。ツクヨミが子供の頃のジオウを襲う瞬間をな」

 

ゲイツはあの事件当日のバスの中で、ツクヨミがソウゴに向けて発砲した姿を思い出す。

 

「俺がグズグズしていたばかりに、ツクヨミが自分の手を汚すことに……

そして……ツクヨミは……」

 

過去へ向かった時、トンネル内で彼女も乗っていたバスが爆発した事も思い出す。

 

「ジオウを倒すのは俺の使命だ!友情など感じるはずがない」

『ゲイツリバイブ剛烈!』

 

「変身!」

 

『パワードタイム!リ・バ・イ・ブ!剛烈!剛烈!』

 

再びゲイツリバイブ剛烈へと変身し、ジカンジャクローを黒ウォズに向ける。

 

「私がゲイツ君に負けたことがないのを忘れたのかい?」

 

「過去の話だ」

 

変身したゲイツに流石の黒ウォズも警戒し、『逢魔降臨暦』の本を開く。

 

「はぁ!」

 

黒ウォズが逢魔降臨暦を投げるとそれが巨大化し、ゲイツを閉じ込める。

 

「ふん」

 

ゲイツを閉じ込めたことで黒ウォズが笑みを浮かべた。しかし…

 

「はぁぁぁぁ‼︎」

 

「っ⁉︎ はぁ!」

 

ジカンジャクローで閉じ込められた本ごとぶち破られ、今度はマフラーで包み込もうとする。

しかしジカンジャクローでそれをもはじかれてしまい、そのまま彼は黒ウォズへと走る。

 

「はぁ!」

 

黒ウォズはゲイツリバイブの後方へうまく欺いて移動し、マントで今度こそ包み込む。

 

『スピードタイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風! 疾風!』

 

だが疾風にフォームチェンジしたゲイツにあっさり破られてしまう。

 

「なんと、ここまでか」

 

マフラーで自分を包み、黒ウォズはこの場から撤退する為に別の場所の屋上へと移動した。

 

「逃げ切ったつもりか」

 

しかし、ゲイツは既にそこへ現れていた。

 

「俺はジオウⅡの予知を上回れる。お前のスピードで逃げ切れると思うな!」

 

疾風のスピードから逃げるのは困難だと知らしめられ、黒ウォズが焦り始める。

 

「はぁ‼︎」

 

「うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

生身の黒ウォズにジカンジャクローに容赦なく攻撃を入れ、吹き飛ばされた黒ウォズは下の方へと墜落した。

 

「ふん」

 

飛び散った本のページの中に倒れる黒ウォズを見て、ゲイツは去っていった。

 

「もう1人の私め……恐ろしいものを生み出してくれたな。何とかしなければ……」

 

何とか助かったが、ゲイツリバイブの力を実感した黒ウォズは何か手がないかと探る。

 

 

その頃、ゲイツの前に白ウォズが姿を見せる。

 

「我が救世主」

 

「俺はお前の救世主になるつもりはない。黙って見てろ。

この力で、必ずジオウを倒す!」

 

そう言うと、ゲイツは白ウォズの元から去る。

 

「いや、君はまさに救世主だよ。ただし、私達にとっては、だけどね。

へへへ……ハハハ……ハハハ……!」

 

私達と言う白ウォズ……

彼の口調はまるでゲイツを使って、何かを企んでいる様だった。

 

 

はな達はゲイツとの戦いに倒れたソウゴを、クジゴジ堂へと連れて行っていた。

 

「……ごめん……迷惑かけて」

 

目を覚ましたソウゴは、クジゴジ堂の自分の部屋で寝ていた事に気付く。

 

「怪我も擦り傷だけやし、まぁ、大した事なくてよかったわ」

 

ハリーがクジゴジ堂にあった救急箱から取り出していた絆創膏や薬を仕舞う。

 

「ソウギョ!ゲンキ!ゲンキ!」

 

「うん!ありがとう。はぐたん!」

 

元気付けるはぐたんを見て、ソウゴが頭を撫でる。

 

「しかし、ゲイツリバイブ……あれはとんでもないな……」

 

「……うん。それに、ゲイツは本気で俺を倒そうとした」

 

あの時のゲイツの目、あれは完全にソウゴへ敵意を向け、倒す気持ちでいた。

 

「黒ウォズがいなかったら……俺は間違いなくやられてた……次は、俺も覚悟を決めないと……」

 

ソウゴも次は、本気でゲイツを倒さなければならないと感じていた。

 

「めちょっく!」

 

リビングの方から、はなの何か慌ただしい声が聞こえた。

 

「何⁉︎」

 

ベットから起き上がったソウゴとハリーがすぐにリビングへと走る。

 

「みんな!何やっての?」

 

リビングではなとえみる、ルールーが何か作っている様だが、何か大変なことなっていた。

 

「ど、ど、ど、どうしましょう!」

 

「えみる。落ち着いて下さい」

 

「あ、あ、あ、どうしよう!どうしよう!」

 

叔父の順一郎がいないから代わりに何か作っているようだが、ソウゴはなんだかヤバそうだなと不安そうに感じながら見ていた。

 

「大丈夫かな……」

 

 

翌日、ビューティーハリー。

さあやはオーディションに合格して、ほまれは予選会で一位となりやってきた。

 

「改めまして!キュアマシェリになりました愛崎えみるなのです!まだまだプリキュアとして至らない事もあるのですが、先輩の皆様、ご指導よろしくお願い致します!」

 

えみるが改めてはな達に自己紹介し、頭を下げる。

 

「やったね!」

「頑張ろうね!」

「よろしく」

 

はな達が笑顔で拍手を送る。

 

「ほら、ルールーも」

 

「あっ、はい」

 

えみるに自己紹介をする様に言われ、ルールーがソファーから立つ。

 

「キュアアムールのルールーです。よろしくお願い致します」

 

軽く頭を下げて改めて自己紹介する。

 

「…それだけ⁉︎」

 

「ダメですか?」

 

しかしえみるはルールーの自己紹介が気に入らなかった様で、これだけでは駄目なのかと不思議そうにする。

 

「第一印象が感心なのです!もっとこう、プリキュアとしての決意表明とか、私達二人の溢れるやる気とヒーロー魂が止まらないと言うアピールをしないと!」

 

えみるがルールーに詰め寄って強く説得。

 

「大丈夫だよ」

 

「十分熱意は伝わってるから」

 

「エエなぁ。ホンマ初々しいわ!」

 

「ういういー!」

 

「先輩!プリキュアとして大切なものは何なのでしょうか?」

 

えみるにそう問われたはな達は腕を組み考える。

 

「うーん……やっぱ……パシ!ビシ!ポワーン!って事かな」

 

「意味分からないのです」

「解析不能です」

 

「めちょっく……!」

 

ルールーとえみるには、はなの言ってる事が擬音ばっかりでさっぱりわからなかった。

 

「信頼関係かな?」

 

「そう!それが言いたかったの!」

 

「ホンマかいな?」

 

「なるほど……信頼関係ですか……」

 

さあやのフォローに便乗するはなとツッコミを入れるハリーを横目に、えみるがメモを取る。そこへほまれがお茶を持って来た。

 

「そういえばこの前、ソウゴが一人で戦ったのは?」

 

「私のオーディションやほまれの予選会の事、気遣ってくれたんだよね?」

 

「うん。みんな、二人の夢を本当に応援してるから」

 

「ありがとう。お陰で全力でやれたよ」

 

「私も。ありがとうはな」

 

「いやー、あの時私も戦おうと思ったんだけど……」

 

はなが苦笑してそう言い、後ろ頭を掻く。あの時は、治りかけだったからハリーに止められたが。

 

「ガシ……」

 

「ビシ……」

 

「「ポワーン……」」

 

「ガシ!ビシ!ポワー!」

 

「ホンマかいな……」

 

「素敵です!ルールー!私達もガシ!ビシ!ポワーン!になりましょうね!」

 

「はい」

 

えみるとルールーは、はなの言っていた言葉を頭ではなく心で理解した。

 

 

 

 

クライアス社の会議室。パップルはこれまでの失敗続きに、幹部らから呆られていた。

 

「今日から新たな幹部社員が配属される事となった」

 

「新しい幹部……?」

 

背後から靴音が聞こえて振り向くと、ジェロスが会議室へと歩いて現れる。

 

「ごきげんよう。ジェロスです」

 

「聞いて無いわよ」

 

「パップル先輩ね。ご活躍は聞いてますわ。ミライクリスタルの奪還。プリキュアと若き日のジオウとゲイツの攻略に日々挑戦されているとか」

 

「ま、私なら五分で終わるがな」

 

ダイガンが余裕でそう答える一方、パップルがジェロスを強く睨む。

 

「そんなに睨まないで。こう見えて私、先輩の事とっても尊敬してますの」

 

「光栄ね」

 

「失敗続きでもまだここに座っていられる神経の太さ、称賛に値するわ」

 

「ブッ飛びでムカつくわね……!」

 

苛立ってそう言い終えてから、リストルが端末を操作すると、天井にクライが映し出される。

 

「私は結果を求めている!」

 

「社長!今度こそ私が……!」

 

リストルが再度端末を操作する。

 

「必ずプリキュアと若き日のジオウ、ゲイツを倒し、ミライクリスタルを手に入れるのだ!」

 

「は、はい……!」

 

クライが叫んでから雄叫びを上げ、パップルが頭を下げてはいと答える。

 

 

その頃。はぐくみ市のとある廃虚のビルに、オーラとウールがいた。

 

「何のつもり?よく私達の前に、のこのこ姿を見せられるわね」

 

「その節は、実に申し訳なかった」

 

二人の前に現れた黒ウォズは以前、手を貸したのに裏切った事を謝った。顔は一ミリも反省の色が見えないが。

 

「あんたが普通に謝るの気味悪いんだけど」

 

オーラに気に入らない、そう言われると黒ウォズが用件を話す。

 

「このままではゲイツ君が我が魔王を倒し、もう1人の私が望む通りになるだろう。

それだけじゃない。あの過川飛流と我が魔王が遭遇した過去の事故には、謎が秘められている」

 

彼は名簿にあった門矢士の名が気になり、過去の事件に何かあると考えていた。

 

「もはや私1人では手におえない。君達の協力が欲しい」

 

「どの口が言ってるの?あんたは何だかんだ私達を利用したいだけでしょう。魂胆見え見え。とっとと消えて」

 

オーラに拒否されると、仕方なく黒ウォズは二人のもとから去っていく。

だがウールは何か気になっているのか、彼の後姿を見つめていた。

 

 

 

 

歩いていたゲイツの前に、今度は飛流が立ちはだかる。

 

「過川飛流。貴様に用はない」

 

「お前になくても俺にはある。時見ソウゴを消すのは……俺だ!」

『ジオウ…!』

 

そう言って彼はアナザーウォッチを使い、アナザージオウへ変身した。それを見てゲイツはジクウドライバーを装備する。

 

『ゲイツ!』

『ゲイツリバイブ!疾風!』

 

ゲイツウォッチを差し込み、更にゲイツリバイブウォッチを装填した。

 

「変身」

 

後ろから砂時計のエフェクトが現れ、ドライバーを回す。

 

『ライダータイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風! 疾風!』

 

ゲイツリバイブ疾風へと変身し、ジカンジャクローを使い圧倒的なスピードでアナザージオウを押し込む。

 

「くぅ……」

 

さっきの戦いの焼き直しの如く追い込まれるアナザージオウが、頭部の針を回し未来を見る。

 

「はぁぁ‼︎」

 

「今だ!」

 

アナザージオウはゲイツが突っ込んでくるところをタイミングを合わせ攻撃する。

 

「うわぁぁぁぁ‼︎」

 

だがゲイツの攻撃の方が先に急所が決まり、衝撃で吹っ飛んだアナザージオウを変身解除させた。

それを見てゲイツは変身解除する。

 

「ジオウを倒すのは俺だ。お前は引っ込んでろ」

 

飛流にそう言うと去っていくと、ゲイツリバイブの反動で今度は耳から出血の滴が出ていた。

しかし、そんな事を気にせずゲイツは歩いていく。

 

「うわぁぁぁーっ!」

 

ゲイツに負けた悔しさで叫ぶ飛流だったが、そこへウールが現れた

 

「まだ、君の力じゃ足りないみたいだね」

 

「何だお前は?」

 

「スウォルツの仲間であるクライアス社の社員だ。と言っても、あいつが何を考えて、君にアナザージオウの力を与えたのかは知らないけど」

 

「俺は……俺は時見ソウゴを倒したいだけだ」

 

「でもこのままじゃ、君はジオウⅡにもゲイツリバイブにも敵わないだろうね」

 

「どうすればいい!教えてくれ」

 

飛流はどうすれば二人を倒せるのか問う。

 

「ゲイツの他に、もう1人未来のライダーがいる。そいつの力を奪えば……」

 

もう一人から来たライダー、白ウォズの仮面ライダーウォズの力を奪えば良いと話し、飛流にブランクウォッチを渡した。

 

 

ウールはしばらくすると、廃工場へとやってきた。

 

「これでいいの?」

 

「ああ」

 

そこには黒ウォズがおり、窓越しでウールは彼と会話を始める。

 

 

 

――それは、今から少し前の事。

黒ウォズがオーラに協力を断られた後、スウォルツに不信感を出し始めたウールは彼の頼みを受け入れていた。

 

『待てよ……いいよ、協力する。僕も知りたいんだ。僕らの過去や現在にほんとは何があるのか、この先の未来に何が待っているのか……』

 

『私に考えがある』

 

黒ウォズは自身の作戦の考えを伝え、ウールはそれに従い、飛流に会いに行った。

 

 

 

「でも上手くいくかな、こんな作戦」

 

「一か八かの掛けだ。だが……これしか道はない」

 

黒ウォズの作戦は、一か八かの作戦で成功するかどうかはわからないが、それが成功すればゲイツを止めることができるかもしれない。彼はそう考えていた。

 

 

そんな事を知らないはな達は、ビューティーハリーに客が訪れ、ハリーの仕事にさあや・ほまれ・ルールーも手伝っていた。

はなははぐたんの面倒を見ており、彼女の元へ歩くはぐたんに、はな達だけで無く客達もメロメロになって癒されていた。

そんな中、えみるは立ち尽して周囲を見渡す。

 

「ほーら、さっきから何ガン飛ばしてんねん?」

 

「わ、私は、何か異常は無いかと……」

 

「そーね。君の目が異常に怖いわ」

 

「すみません……」

 

ハリーに注意されて照れ、顔を手で崩し表情を変える。

 

「ん、可愛い可愛い」

 

「恐縮です……」

 

そんな中、代金を支払おうとした女性客が声を上げた。

 

「どうしまし―――」

 

「早く逃げてー!」

 

えみるが駆け足でその客の方へ向かい、持ってたバッグを手で払って宙に上げる。

 

「ルールー!」

 

「は、はい!」

 

ルールーが宙を浮かぶバッグを確保して着地。

 

「さあ来なさい!怪しいカバン!」

 

「ちょっと……!」 

 

プリハートを構えて叫ぶと、ほまれが手でプリハートを隠す。

 

「どうされました?」

 

「カバンの中に入れたハズの財布が無くって……」

 

「財布……?」

 

ルールーが熱感知システムを起動し、ポケットの中に財布らしき物があると確認。

 

「スカートのポケットにあるのでは?」

 

「えっ?」

 

女性客がルールーに言われてポケットを確認すると、財布が入ってた。

 

「あらやだ私ったら。ごめんなさいね」

 

女性客は照れ笑いを浮かべるが、えみるは勘違いした恥ずかしさの余り、その女性客よりも頬を赤くする。

 

「ドンマイ、えみる」

「ドンマイ」

 

「買い出し頼むわ。はぐたんのミルク、オムツ、エトセトラ」

 

「やはり私が騒ぎを起こしたから、お邪魔なのですね……」

 

ハリーが買い出しメモを励ましの言葉を掛けられていたえみるに差し出すと、彼女は自分がお邪魔だと思い落ち込む。

 

「ああ、ちゃうがな」

 

それを見たハリーはそう言い、手招きする。

 

「これは町中のパトロールも兼ねてるんや」

 

「パトロール……ッ⁉︎」

 

耳元でパトロールも兼ねてると伝え、これを聞いたえみるの表情が明るくなる。

 

「頼むで。プリキュア」

 

「了解でーす!行って来まーす!」

 

ハリーのフォローのおかげで上機嫌にビューティーハリーを出て、買い物へ向かった。

 

「あの、私も……」

 

「うん。ここは任せて」

 

ルールーがえみるの後を追ってビューティーハリーから出る。

そこへ彼女と入れ代わるように、ソウゴが玄関前まで入ってきた。

 

「おっ!ソウゴ!」

 

「うん……」

 

ハリーに手を振り返しながら賑やかな店内を見ていると、ケータイから着信音が鳴り、ゲイツからのメールが入った事を確信した。

 

『決着を付けよう。はぐくみパーキングで待つ』

 

それを見て、ここに来る前にあったクジゴジ堂での出来事を思い出した。

 

 

 

「ソウゴ君、どこ行くの?」

 

――その時、ビューティーハリーへ行く為にクジゴジ堂を出発しようとした際、叔父である順一郎に呼び止められていた。

 

「ああ……うん、ちょっと行かなきゃいけない所があって」

 

彼は順一郎にそう言って、場所も言わず出かけようとする。

 

「あぁ……そうなんだ……

いや、言うべきか言わないべきか分かんないけど。言うよ?」

 

「?……うん」

 

だけど何か言いたいことがあるのかと思い、歩もうとしていた足を止める。

 

「叔父さんね、ソウゴ君と一緒に暮らしてて、1つだけ後悔してることがあるんだ」

 

「後悔……? 何?」

 

「叔父さん、ソウゴ君を叱ったこと一度もなかったよね」

 

「そういえば……」

 

…確かに叔父さんは、自分がここに来てから一度も叱ってくれたことはなかった。

しかしそのことを、叔父さんはずっと後悔していたらしい。

 

「ちゃんと叱っておくべきだったんだよ。自分の勇気の無さが情けない……!」

 

「……」

 

「正直ね、ずっとどうすればいいか分からなかったんだ。

両親を亡くして一人残されたソウゴ君に、どう接していいのか。どこまで踏み込んでいいのか……」

 

「……そうだったんだ」

 

ソウゴはこの時、順一郎がずっと、両親が死んで一人残ってしまった自分の事を気遣ってくれていたんだと知る。

 

――だが順一郎は順一郎で、彼の親じゃない。ただの親戚でしかない自分では、ソウゴを見守る事しか出来ないと思っていた。

 

だから、彼はずっと逃げていた。

優しく見守っているだけで、本当の意味で彼に寄り添って無かった。

 

下手に彼の心の領域に踏み込んで、親を失ったトラウマをぶり返させないだろうかという心配が。

お節介だと言われて、距離を取られないだろうかという不安が。

兄と義姉が精一杯に育てた子供が、自分のせいでグレたりして他人に迷惑をかけたりしないだろうかというありもしない妄想が、順一郎の頭に何度も過った。

 

始めて家に来た時も、両親を失って寂しそうに泣いていたソウゴに、知り合いの子を合わせたり、自分も優しく寄り添ったりしたから大丈夫だと。

それから彼が王様になりたいといって、それが原因で友達が出来なくて寂しそうにしていた時も、さあやちゃんがいるから大丈夫だと。

最近は沢山友達が出来たから、もう心配することないだろうと。

そう楽観視して、自分に言い聞かせていた節があった。

 

その為に、此処最近のソウゴが何処か間違った方向へ歩んでいく姿を目にしても、今日までずっと黙って見ていることしかできなかった。

 

「だけど……二人がいなくなった今こそ、勇気を出すチャンスかもしれない。

だから……叱らせてもらうよ?」

 

――だが同居人であったゲイツとツクヨミが居なくなった今、誰にも頼らずに何かを一人で抱え込んでいる甥に向け、順一郎が初めてソウゴを叱ろうとする。

 

「寂しいんだろう?ゲイツ君とツクヨミちゃんがいなくなって……

寂しい時くらい、大丈夫なんて言わないで、ちゃんと寂しいって言いなさいっ!」

 

「……叔父さん」

 

「寂しい時に寂しいって言えない人間なんて、人の痛みの分からない王様になっちゃうぞ!」

 

それを聞いたソウゴは、思った。

ようやく、本当の意味で叔父との間にあった壁が消えて、真の意味で順一郎と家族になれたのだと――

そしてあの日、ゲイツとツクヨミがクジゴジ堂から出て行った時から狂っていた自分の歯車が、ようやく噛み合った様に感じた。

 

「フフ……ありがとう。行ってくる」

 

 

 

(みんな……これで最後かも……)

 

そのうち来るかもしれないと考えていたゲイツとの決着の前に、どうしてもみんなの顔が見たくてここへやって来ていたソウゴは、微笑みながら彼女達を見守っていた。

 

(さあや……オーディションおめでとう)

 

そして幼馴染に向け、静かに祝福の言葉を述べた。

 

 

ソウゴがビューティーハリーへ訪れていた頃、ルールーがえみるの後を追いかける。

 

「えみる」

 

「ルールー……!」

 

えみるを見つけたルールーが声を掛け、傍で足を止める。

 

「私も一緒に行きます」

 

「プリキュアとして、二人の初任務なのです!頑張りましょう!」

 

「はい」

 

「ああっ!」

 

道路沿いに出ると、老婆が車が近付いているのに歩道を渡ろうとしていたのを気付く。

 

「おばあちゃん!危なーい!」

 

「えみる!」

 

プリハートを構えて走るえみるを、ルールーが肩を掴んで止める。

 

「ルールー?」

 

「赤です」

 

車の信号機は赤で、歩道の方は青だった。そのことを証明するように、近づいてきていた車は道路交通法を守って停止していた。

 

「ゆっくりでいいですよ」

 

「すみませんねぇ」

 

ルールーが手を上げて並んで歩き、えみるはガックシと崩れ落ちた。

 

二人はハリーに頼まれたHUGMANに到着し、買い物をする。

 

「えーっと、オムツとミルクと……」

 

「おしまいだー!」

 

「オシマイダーですルールー!」

 

「はい!」

 

店員の言葉にえみるとルールーが反応する。

 

「えみる」

 

「ルールー、変身です!」 

 

声のした所まで近付き、えみるがプリハートを取り出す。

そこでは、サラダ油が安売りされていた。

 

「ええっ⁉︎」

 

先程の店員の「おしまいだ」と言うのは、サラダ油の安売りの宣伝だった。

えみるは突進して来る主婦達に巻き込まれそうになるが、間一髪でルールーが助けた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい……オシマイダーより強そうです……!」

 

サラダ油を取り合う主婦達を見て、彼女は全身を恐怖でガクガク震わせた。

二人が買い物を終えて公園に移ると、屋根のあるコンクリートベンチに座りギターを弾き始める。

 

「今日のギター、随分と暗いですね」

 

「ギターの音色は、心を表すのです……」

 

「心……」

 

えみるの弾くギター音が暗い事に気付いて、それを伝えると彼女はギターの音は今の自分の心と同じだと答える。

 

「どうして、心が暗いのです?」

 

「私の夢は……プリキュアになる事でした。

だから……夢を叶えた私は、夢に向かって頑張ってる先輩達の分まで、プリキュアとして頑張ろうって思ったのです」

 

「素敵です」

 

ルールーは素敵だと褒めるが、えみるはギターをベンチに置き、この場から走り去ってしまう。

 

「えみる!」

 

「来ないで下さ~い!」

 

小さな背中を更に小さくして立ち去るえみるを、ただ立ち尽して見るしか出来なかった。

 

 

「ただいま戻りました」

 

「お帰り」

 

えみるのギターが入ったバッグを背負い、頼まれてた物を持ったルールーがビューティーハリーに戻る。

 

「あれ?えみるちゃんは?」

 

「それが……」

 

店内にいたはなとさあやとソウゴから姿が見えないえみると何があったのかと聞かれ、事情を話す。

 

「俺、えみるちゃんのとこ見てくるよ」

 

ビューティーハリーを出てえみるの元へと向かったソウゴを見届け、レジ近くのソファに座りなおしてルールーの話を思い出しながら会話を続けようとする。

 

「そっか、えみるが……」

 

「張り切ってた分、自分が不甲斐無く思えちゃったのね」

 

「私は、えみると一緒にプリキュアになった事が嬉しかった。なのに……」

 

「大丈夫。えみるもすぐに頭冷えるって」

 

「私は、混乱して、悲しくて、えみるに少し、怒りを覚えました」

 

「ルールー……」

 

「何故でしょう?えみるは敵では無い。私の親友のハズなのに……

えみるの事を考えると、悲しいのに怒りが……」

 

わからない感情に悩まされるルールーを、二人は薄く微笑みながらも真剣な顔で耳を傾ける。

 

「でも戦いたいとか、そう言う事では無いんです。

私は、えみるの敵になってしまったのでしょうか?」

 

「逆だよ」

 

「えっ?」

 

はなの一言に、ルールーは思わず聞き返してしまった。

 

「ルールーはね、えみるの事だーい好きなんだよ」

 

「だからこそ、腹も立ってるんだよ」

 

「分かりません」

 

「だって、えみるの事考えてたでしょ?ずっと」

 

「その怒りはルールーの、えみるちゃんへの心が溢れ出ている証拠だよ」

 

「えみるへの……心が……」

 

それを聞いた彼女は胸元に手を当てて握り締める。

 

 

一方えみるは、公園の遊具の中で体育座りしていた。

 

「お~い」

 

そこへえみるを探しに向かったソウゴが遊具の中を覗き見し、誰が来たのかと顔を上げる彼女を発見した。

 

「あー、やっと見つけた。ねぇえみるちゃん、言いたくないなら言わなくてもいいんだけど……ルールーとなにかあったの?」

 

ソウゴは一息つきながら声を掛けると、えみるは近くの手すりに腰を置く。

 

「ルールーに……八つ当たりしてしまいました。

私には……プリキュアの資格が無いのです」

 

ルールーに八つ当たりした事を話し、やっぱり自分にはプリキュアは向いていないのだと、罪悪感で顔を深くうずめる。

 

「資格か……」

 

「やっぱり……やっぱり、プリキュアには、ルールーひとりがなるべきだったのです。

私は……ルールーのお陰でプリキュアになったようなものなのです……」

 

八つ当たりした事、ルールーを傷つけた事を酷く後悔していたえみるに、ソウゴは彼女の近くに腰を下ろして、少し考えながら話し掛ける。

 

「嬉しかった?」

 

「えっ……?」

 

「自分がプリキュアになれた事と、ルールーと二人一緒にプリキュアになれた事」

 

「それは……」

 

自分がプリキュアになれた事と、ルールーとプリキュアになれた事のどっちが嬉しかったかを尋ねる。

 

「俺もさ……一度資格がないと思ったんだ。王様になる資格が、ね……」

 

それは、2068年で見た未来の自分――オーマジオウの事だった。

 

「それは、オーマジオウの事ですか?」

 

「聞いたんだ」

 

「はな先輩達から教えて貰いたました」

 

えみるは既に、はな達からソウゴが未来で最低最悪の魔王・オーマジオウになると聞かされていた。

 

「オーマジオウを見た時は、本当にもう王様になるのをやめようと思ったさ。でも……」

 

始めてオーマジオウの話を聞いたソウゴは、自分はそんなものにはならないと、根拠のない自信に満ち溢れていた。

しかし、いざオーマジオウ本人に会った瞬間、そんな根拠のない自信は余りにも呆気なく砕け散った。

 

ずっと信じ続けていた夢が、最高最善の王になるという夢が霧の様に消え去り、流石にあの時は王になる事を挫折しかけた。

 

だがソウゴは、今も最高最善の魔王を目指している。

 

それはなぜかと言う疑問に答えるために、その時の事を思い出す。

さあやとゲイツの言葉がもう一度、自分を信じる力をくれた事を――もう一度自分の未来の可能性を信じる事を選ばせてくれた時の事を。

 

「……それでも、なりたいですか?」

 

「うん。でも、なるのは最低最悪じゃない。最高最善の魔王になる。

その上でもう一度聞かせて。自分がプリキュアになれた事と、ルールーとプリキュアになれた事、どっちが嬉しかった?」

 

「……一緒に……なれた事です」

 

話を聞いたえみるは自分の気持ちを素直に話し、それを聞いてソウゴは口角を上げて安堵の表情となる。

 

「きっとルールーも、そう思ってるよ」

 

「時見先輩……」

 

その話をしていると、買い物に出かけていたハリーとはぐたんを抱えたほまれが現れた。

 

「ハリー……ほまれ」

 

「ごめんね、盗み聞きしてるみたいになっちゃって。でも…」

 

「あの時あんさん、プリハートをルールーに渡そうとしたやろ?

あの心は、プリキュアそのものや」

 

ハリーがルールーに渡そうした行動は、プリキュアそのものだと話す。

 

「あんさんには十分プリキュアの資格がある。俺はそう思うで」

 

「ネズミさん……!」

 

「誰がネズミや!ハリハム・ハリーさんや!」

 

えみるからネズミと呼ばれた事にハリーが怒鳴る。

 

「ま、おきばりやっしゃ。キュアマシェリ」

 

そう言って手を差し伸べられたえみるは手を掴み、ハリーが遊具の外へと引っ張って立ち上がらせる。

 

「えみるー!きゅあましぇー!」

 

「はぐたん、ありがとうなのです」

 

「はぐたん、最近凄いね。よく喋るし、歩くようになったね」

 

「日に日に成長してるって感じ」

 

「せやな」

 

成長を感じる二人だが、ハリーは何か暗い表情に変わった。

 

(けど、ミライクリスタルが八個集まったのに、元の姿に……)

 

はぐたんを見ながら表情を変え、心の中で呟いた。

 

 

 

今から遡る事、2009年4月24日…

ソウゴ一家、飛流一家の乗るバスにツクヨミが乗り込んでいた。

 

「このバスで何か起こるはず……一体何が…?」

 

「出発します」

 

一見、何が起こるのか様子が見られない。

その間、運転手が出発すると乗客へ伝え、バスは発進した。

 

「……何も起きない」

 

ソウゴと飛流を監視しながらツクヨミは見ていたが、事故が起こる様子はなく。それどころか、みんな到着を楽しみにしていた。

そこへ帽子を被った黒ずくめの男が走るバスの前に現れ、バスは停止しようとする。

 

すると、急には止まらない筈のバスが、男が時間を止めた為か、急停止したように止まった。

そしてその男は、一瞬の間にバスに乗り込んできた。

 

「私の招待に応じて、よくぞ来てくれた。王の候補者達」

 

それは、黒い服を着ていたクライアス社のスウォルツだった。

 

「スウォルツ……!何で?」

 

何故、ここにスウォルツが現れたのかとツクヨミが戸惑う。

スウォルツはそのまま後ろの席へと座る。

 

「時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者。

お前達2000年代の生まれの子供達の中に、その資格を持つ物がいる」

 

スウォルツの力により再びバスが動き出す。只ならぬ雰囲気を感じた運転手はブレーキを踏むが、まったく効かない。

 

「死を賭けた試練を受けてもらおう」

 

蛇行するバスを運転手はハンドルを握り、まっすぐ走らせようとしてブレーキを踏むが、制御不能でエンジンを更に吹かせる。

 

「何なんだ、あんたは!」

「うちの子に何を――」

 

子供達の保護者、中にはソウゴと飛流の父親も、スウォルツを止めようとする。

 

「お前達の意見は求めん」

 

だが彼は手をかざすと力を放ってソウゴの父親らを吹っ飛ばすと、子供達以外、保護者全員が動けなくなる。

 

「っ⁉︎」

 

「お前何をしたんだよ‼︎ おい‼︎」

 

ソウゴが逞しく歯向かう。しかし、スウォルツはソウゴの胸倉をつかみ立ち上がる。

 

「離しなさい!」

 

ツクヨミが椅子から立ち、ファイズフォンXを構え。ソウゴを助けようとスウォルツに発砲した。

 

「ふん」

 

スウォルスはそれを帽子ではじいて、その流れ弾が飛流の近くで被弾し爆発した。

 

「この時代で何をしようとしているの⁉︎」

 

「お前、時間を移動してきた介入者だな?だが邪魔はさせん!」

 

スウォルツはさっき放った同じ力で彼女に手を向けると、ツクヨミが吹っ飛ばされる。

 

「ふん」

 

今度は子供達だけ光の球の中へ攫い、バス後部を破壊してそこから飛び出て子供達と共に消えていった。

 

一方、ツクヨミはバスを止めようと運転手の元へと走る。

 

「危ないっ!」

 

トンネル内に入りぶつかりそうになったその時、運転手とツクヨミはバスが爆破する直前にオーロラカーテンを通り、姿が消えた。

 

 

 

一方。目覚めたソウゴ達が顔を上げると、フェンスのある道路上にいた。

その時ソウゴらが見たのは、ダイマジーンが街を破壊する光景だった。

 

「ソウゴ……ダイマジーン!」

 

カーテンを潜り、運転手と共に来たツクヨミがダイマジーンを見て、ツクヨミはここが未来だと察した。

街を破壊するダイマジーンの姿を幼いソウゴは、その光景を目に焼き付けられていた。

 

 

 

現代、2018年。

 

「「うぅぅぅ……‼︎」」

 

白ウォズの背後から、アナザー鎧武とアナザーゴーストが襲い掛かってきた

 

「何のようだ!」

 

問いに答えず、アナザーライダー達は白ウォズに攻撃する。

 

『ウォズ!アクション!』

 

ビヨンドライバーを装着した白ウォズがウォズのウォッチを起動させ、ドライバーに装填した。

 

「変身!」

『フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

仮面ライダーウォズへと変身した白ウォズはアナザーライダーに向かって応戦。ジカンデスピアを駆使し、二体を圧倒していく。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

攻め込もうとするウォズに一瞬の隙を突いて、背後から飛流が現れた。

 

「もらうぞ。貴様の力」

 

「何だと……?」

 

飛流の持つブランクウォッチへウォズの力が吸収されていく。

 

「な……ッ⁉︎」

 

ウォッチに仮面ライダーウォズの力が吸収され、力を奪われた白ウォズが変身解除してしまう。

 

「何故だ……」

 

「仮面ライダーウォズの力は……もらったよ!」

 

「少年……!」

 

そこへウールも現れ、彼を見た白ウォズは彼の所為だと睨む。

 

「いいザマだ。力を失った君をいたぶってあげる」

 

アナザーライダーも起き上がり、白ウォズもここまでと思われる。

 

「させるか!

――仮面ライダーウォズの力、ウォズの元へ戻った」

 

だが白ウォズはすぐさま自身の持つ未来ノートを開き、その内容を書き込む。

その時、飛流も持つウォッチから仮面ライダーウォズの力が飛び出して、白ウォズの方へ向かう。

 

「はぁ!!」

 

「ッ!?」

 

白ウォズが手にしようとした瞬間、黒ウォズが現れ、白ウォズに戻る筈のウォッチを奪い取る。

 

「仮面ライダーウォズの力、確かにウォズの元に来た」

 

「何故、君が……!」

 

「ウォズが君一人だと思うな」

 

そう、これが黒ウォズの作戦だった。力を奪われたなら、必ず未来ノートで力を取り戻すと踏んで。しかし『白ウォズの元へと』と書かれるかが賭けだった。

だが、その賭けは見事成功した。

 

「うわぁぁぁぁぁーっ!」

 

悔しさで叫ぶ白ウォズ。顔を上げると既に黒ウォズやウールらは撤退していた。

 

 

さっきまでえみると一緒に居た公園へ戻ったルールーが、コンクリートのベンチの上でえみるのギターを弾いて歌う。

慣れない演奏に苦戦していると、左から足音が聞こえ、首を横へ動かすとえみるが立っていた。

 

「えみる……」

 

「下手ですね」

 

「ギターは心を表すんです」

 

言葉を交わしながら二人でベンチに座り、『キミとともだち』を歌い、互いの顔を見て微笑んだ。

その直後、清掃員オシマイダーが現れ、ホウキを振るって公園を荒らし始めた。

 

「あれは……!」

 

「ルールー!」 

 

「はい!」

 

オシマイダーを見た二人はプリハートを構えた。

 

「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!は~ぎゅ~!」」

 

ミライクリスタルとプリハートをセットし、手順を取ると二人の姿が変わる。

 

「「輝く未来を、抱き締めて!みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

 

オシマイダーがマシェリとアムールに気付き、二人が跳ぶ。

 

「「ふんっ!」」

 

ダブルパンチを繰り出し、オシマイダーを吹き飛ばす。

 

「はあっ!」

 

オシマイダーが地面を跳ねてからマシェリが跳び、カカト落としを叩き込む。

その時生じた土煙の中をアムールが走り、土煙に映った影に気付いたオシマイダーがホウキを振り下ろす。

 

「えいっ!」

 

それに対してマシェリがホウキを抑え、アムールがパンチを繰り出して吹き飛ばす。

 

「やられてんじゃないわよ……!」

 

「早くもピンチ?」

 

劣勢に陥るオシマイダーに不満げなパップルの元にジェロスが現れる。

 

「アンタ……!」

 

「先輩の仕事ぶり見学に来ました。でも苦戦中かしら?」

 

「まだ……これからよ!」

 

煽られたパップルが扇子を振ると同時にトゲパワワが放たれ、オシマイダーがそれを吸収してパワーアップする。

 

「「うわあっ!」」

 

左手を振って平手打ちを繰り出し、マシェリとアムールを吹き飛ばす。

その時、アムールがえみるのギターに気付いて安全な所へ移動させようと手を伸ばすも、オシマイダーが彼女向けてホウキを振り下ろす。

 

「アムール!」

 

マシェリがアムールを抱えて跳び、ホウキからの攻撃を何とか避ける。

だが代わりにギターに命中し、ネック部分を真っ二つにして壊れてしまった。

 

「「ああっ……!」」

 

「いいわよ!終わりにしちゃって!」

 

そう言ってからジェロスの方を向くが、無反応だった。

ここで、二人から連絡を受けていたソウゴ達が駆け付ける。

 

「おおっ!」

 

「あれがキュアマシェリとキュアアムール……!」

 

「私達も負けてられないね!」

 

「行くよ!」

 

「ええ!」

「うん!」

 

マシェリとアムールが戦っているのを見て、ソウゴがジクウドライバーを、はなとさあや、ほまれはプリハートを構える。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

「変身!」

「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」

 

ジオウライドウォッチⅡをジクウドライバーに差し込み。三人はミライクリスタルをプリハートにセットし、姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

「輝く未来を~抱きしめて!!みんなを応援♪元気のプリキュア!キュアエール!」

「輝く未来を抱きしめて!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「「やあっ!」」」

 

変身を完了させたエール・アンジュ・エトワールのトリプルキックが命中する。

 

「「たあっ!」」

 

そこへマシェリとアムールがダブルキックを叩き込み、上空へ吹き飛ばす。

 

「はっ!」

 

その次にジオウがオシマイダーの真下に移動し、ジカンギレードとサイキョーギレードで足を攻撃しバランスを崩した。

 

「マシェリ!アムール!」

 

「「はい!」」

 

「アーユーレディ!」

「行きます!」

 

「フレフレ!ハート・ソング!」

「フレフレ!ハート・ダンス!」

 

マシェリとアムールがプリハートのハート部分をタッチして手を画面にかざし、 プリハートから赤と紫のハート型エネルギーを敵にぶつけて浄化するハート・ソングとハート・ダンスを放ち、オシマイダーの動きを封じる。

 

「皆さん!」

 

「うん!」

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

「アンジュハープ!」

「エトワールフルート!」

 

三人がメロディーソードのボタンを押して演奏し、虹色のエネルギーを作り出す。

 

「「「心のトゲトゲ、飛んで行けー!プリキュア!トリニティ・コンサート!」」」

 

対象に向かって虹色のエネルギーを飛ばすトリニティ・コンサートを放ち、命中した。

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

巨大な木が作り出されてピンク・水色・黄色の花が咲き誇り、オシマイダーが浄化された。

 

「参考になりましたわ、先輩。シーユー」

 

ジェロスが歩きながら手を振ってこの場を後にし、パップルは悔しさを噛み締めて扇子を握り潰した。

 

「私の……私のせいで、えみるの大切なギターが……」

 

アムールが壊れたえみるのギターを持って、申し訳無い表情を浮かべる。

 

「いいのです。アムールを守れたのですから、気にしないのです」

 

「エエ話や……!」

 

「茶化さない」

「ちゃーさない」

 

ハリーが感動してそう言うと、エトワールとはぐたんから茶化さないと注意される。

 

「先輩!」

 

「はい?」

 

「もうギターはありません。でも、私達にメロディソードがあれば、またピンチの時にアムールを守れます!

えいえいっ!やあっ!とにかくください!」

 

メロディソードを求めるマシェリが、エールに向けて両腕を伸ばす。

 

「いや、でもあれ私達のだし……」

 

「ハリー……」

 

「急に言われても困るがな!」

 

「は~ぎゅ~!」

 

困ったハリーを見たはぐたんが、両腕を伸ばして叫ぶ。

するとはぐたんの全身が光り、ピンク色の光が上空に向けて放たれる。

はぐたんの力でギターが直るのかと思いきや、上空から光のゲートが現れ、そこから二人の人影が落下する。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

二人が悲鳴を上げて落ちるが、着地すると同時に土煙が起こる。

 

「ここは……どこ?」

 

土煙が晴れてから、黒い服装の少女と白い服装の少女の二人が膝を伸ばした。

それは、初代プリキュアのキュアブラック、キュアホワイトだった。

ブラックがここはどこかと言って首を傾げる。

 

「あなたは……誰?」

 

エールもブラックを見て首を傾げる。

 

「どこ~⁉︎」

 

「誰~⁉︎」

 

「もしや……メロディソードを授けに来てくれた、天の使いですね⁉︎」

 

ブラックとホワイトを天の使いと勘違いしたマシェリが目を輝かせ、二人に顔を近づける。

 

「ください」

 

そう言い、両腕を伸ばして両手を広げる。

 

「てゆーか……ここどこなの~⁉︎」

 

「まあまあ。落ち着いて」

 

「「「これが落ち着いてられますか!」」」

 

ホワイトが宥めるが、エール・マシェリ・ブラックがホワイトに顔を近づけて叫ぶ。

 

「あれ⁉︎」

 

「どうしたの?」

 

「「ソウゴ(君)がいない!」」

 

エール達がブラックとホワイトに気を取られている間に、ジオウに変身していたソウゴがいなくなっていた事に気付き、エールとアンジュが叫ぶ。

 

 

「ゲイツ……待ってろ!」

 

黙って離れたソウゴは一人、ライドストライカーを走らせ、ゲイツと交わした約束の場所へと向かう。

 

 

一方のゲイツも約束の場所へと向かう。ソウゴを呼び出した、あの場所へと――

 

「またお前か………黒ウォズ」

 

そこへ、黒ウォズが現れた。

 

「言ったはずだよ。君と我が魔王を戦わせるわけにはいかないとね」

 

「俺も言ったはずだ。俺がお前に勝てなかったのは、過去の話だとな」

 

ゲイツリバイブウォッチを取り出し、起動スイッチを押す。

 

『ゲイツリバイブ!疾風!』

 

既に装着されたジクウドライバーにゲイツリバイブウォッチを装填する。

 

「変身」

『ライダータイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風! 疾風!』

 

ドライバーを回し、ゲイツリバイブ疾風となりジカンジャクローを構える。

だがウォズは慌てた様子を見せず、ドライバーを腰に装着する。

 

『ビヨンドライバー!』

 

「何⁉︎」

 

ゲイツは白ウォズが持っている筈のビヨンドライバーを見て、一瞬だけ驚く。

 

『ウォズ!』

 

ビヨンドライバーを装着した黒ウォズがミライドウォッチを起動させ、ドライバーに装填した。

 

『アクション!』

 

腕を掲げる黒ウォズの後ろから逢魔降臨暦が映し出されたスマートウォッチのエフェクトが現れ、右腕を大きく一周させると右手でビヨンドライバーのハンドルを前に向け、構える。

 

「変身!」

『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

 

そして黒ウォズは、白ウォズが変身する仮面ライダーウォズとなり、腕のホルダーには三つのミライドウォッチを付けていた。

 

「祝え!過去と未来を読み解き、正しき歴史を導く預言者!

その名も仮面ライダーウォズ!新たなる歴史の1ページである!」

 

自身がライダーになっても尚、相変わらず祝いの言葉を放った。

 

「行くぞ!ゲイツ君!」

 

そのまま、仮面ライダーウォズとなった黒ウォズがゲイツリバイブを止める為、戦闘に入る。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第28話 みんなで目指すゴール‼︎ 2018

 

 




おまけ

黒ウォズ「祝え!過去と未来を読み解き正しき歴史を導く預言者!その名も仮面ライダーウォズ!新たなる歴史の1ページである!」

白ウォズ「返してくれよ!私のビヨンドライバー返してくれよォォォオォオォ!!」

二番煎じのネタである(い つ も の)。

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