Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
彼らの夏休みが始まり、早速クライアス社の攻撃を受けるが、それも難なく乗り越える。
しかし、今回は彼の秘密を知ることとなる。それは……」


第30話 2068: ハリーの秘密⁉ 呪われし力

ナイトプールで起こったクライアス社の戦いから三日ほど経つと、パップルら三人がえみる、ルールー、ツクヨミに接触してきた。

 

「あなた達には才能がある!」

 

「五分で国民的アイドルになれる!」

 

「動画一千万再生だって夢じゃない!」

 

「「「是非!うちの事務所に!」」」

 

「お断りします」

 

「これから大事な用事があるので、それどころでは無いのです」

 

「じゃあ、そういう事で」

 

公園でチャラリートとパップルとダイガンが改めてスカウトする。

しかしルールーとえみる、ツクヨミは直ぐに断り、大事な用事があると言ってこの場を後にする。

 

「諦めないわよ……!」

 

だがパップル達は諦めては無かった。いずれ彼女達を雇ってやると、三人は意気込んだ。

 

 

 

日が少し沈んで空が橙色へとなった頃。クジゴジ堂では、ソウゴ達三人が出かける準備をしていた。

 

「行くぞ」

 

「うん」

 

ソウゴは靴紐を結び、既にドアの前にいるゲイツと共に出かけようとする。

 

「あっ!ちょっと待って!」

 

「我が魔王。忘れ物だ」

 

何かを思い出し引き返そうとすると、ウォズがソウゴのジクウドライバーを持って現れた。

 

「ごめん、ごめん」

 

「気をつけてくれたまえ、ドライバーの予備はもうそんなにないからねぇ」

 

「予備?まだあるの?」

 

ソウゴがまだあるのかと聞くと、ウォズは懐から二個のジクウドライバーを見せる。

 

「もしもの時のために二つ残してある。

だが、予備だけにもしもの時のために取っておきたい」

 

「ふ〜ん。まぁ、でも気をつけるよ。さぁ、行こう!」

 

「ああ!」

 

「承知しました。我が魔王」

 

ソウゴ達はクジゴジ堂を出て、約束の場所へと向かう。

 

 

その頃、輝木家では。ほまれが祖母に浴衣を合わせて貰っていた。

 

「はい、出来た」

 

「ありがとう、お祖母ちゃん」

 

祖母のちよが浴衣を着させ終える。

 

「昔を思い出すわ。この浴衣を着て、おじいさんとお祭り行ってたのよ」

 

「えっ?そうなの?」

 

ほまれの着てる浴衣は、昔ちよが着ていた物だったらしい。

 

「ふあぁ……おはよう……」

 

「お母さん」

 

そこへほまれの母親が、両腕を上に伸ばしながら入る。

 

「これからお仕事?」

 

「うん。駅前の建築現場。お母さん今日もクレーンで、ガンガンビル建てちゃうよー」

 

母親は建設会社でクレーンの操縦士をしているらしく、これから仕事だった。

 

「いい……!可愛いわほまれちゃん……!」

 

「そ、そうかな……」

 

浴衣姿のほまれを見て可愛いと褒めると、ほまれが照れる。

 

「あっ、ちょっと待って」

 

一度その場を離れてからしばらくして、母親がやってくるとほまれに星型の髪飾りを付ける。

 

「これでもっと可愛くなった!」

 

「ありがとう」

 

 

今日ははぐくみ神社の夏祭りの日。その日はみんなで行く事になっているのである。

 

「ほまれー!」

 

「ここだよー!」

 

ほまれが待ち合わせ場所の階段に来ると、先に来ていた浴衣姿のはなとさあやが呼び掛ける。

 

「あっ、いたいた」

 

「全員集合やな」

 

えみるとルールー、ツクヨミとはぐたんを抱っこ紐で抱えたハリーも浴衣姿で来ていた。

 

「はぐたん、浴衣きゃわたん……!」

 

「みんなもエエ感じやで!」

 

「ビューティーハリーが、浴衣レンタルを始めてくれたお陰です」

 

「こちらこそ、毎度ハリーやで」

 

「おまたせ!」

 

五人がビューティーハリーのレンタル浴衣を着て来たと話し合っていると、ソウゴ達三人も遅れて合流する。

 

「遅れた?」

 

「大丈夫。ほまれもさっき来たばかりだから」

 

さあやが大丈夫と話すと、ハリーがほまれの浴衣を見て気づく。

 

「何ふざけてんの?」

 

「おっ?ほまれ、その浴衣……」

 

「言ったでしょ?私は家にあるの着て来るって」

 

「ごっつエエ感じやん。髪飾りもよぉ似おうとる。中々のコーディネートやで」

 

「な、何それ⁉︎みんな行くよ!」

 

「よーし!それじゃ夏祭り……!」

 

「思い切りに……」

 

「みんなで楽しみましょう」

 

「「おーっ!」」

 

ほまれが呼び掛けてから、ソウゴ達が階段を上がる。

 

「おいおい……」

 

ハリーがみんなが上がるのを見て呟く。

 

「はぐたん……」

 

はぐたんが笑いながら、ハリーのチェーン状のネックレスに触れる。

ハリーも自身のネックレスに触り、昔の事を思い出す。

 

「ハリー?」

 

「おお、すまん……!今行く……!」

 

ソウゴの呼びかけに反応し、二人も彼ら彼女らの後を追って階段を上がった。

 

 

 

 

クライアス社の通路にて、ドクター・トラウムが歩いていた。

 

「ドクター・トラウム」

 

「ビシン」

 

通路を歩くトラウムに、ビシンが呼び掛けて足を止めさせる。

 

「ちょっとお出かけしていいかな?」

 

ビシンはトラウムに現代に行ってもいいか尋ねる。

 

「彼に会いに行くのかな?」

 

「ッ……」

 

それに対して発したトラウムの言葉に、ビシンは悲しげな表情を浮かべた。

 

 

 

 

神社の階段を上がり終えたソウゴ達の目に、様々な屋台が映る。

 

「沢山あるな」

 

「はぐくみ神社の夏祭りは、花火が名物なんですよね?」

 

「うん。この祭りではそれがメインなんだ」

 

「日が暮れたら打ち上がるから、それまでに出店回っておこう」

 

さあやの提案で店を回ってから花火を見ようと予定を立てる一同。

 

「どれから行く?」

 

「お嬢ちゃん達~!くじ引きやってかな~い?」

 

「パップル……⁉︎」

 

すぐ傍のくじ引きの屋台から、パップルが呼び掛ける。

 

「何してるのですか?」

 

「事務所の資金稼ぎよ」

 

彼女から資金稼ぎの為に屋台を開いていると聞かされていると、はぐたんがある物を指差して声を上げる。

 

「はぐたん?」

 

はぐたんが指差してたのは、ピンクの熊のぬいぐるみだった。

 

「あのぬいぐるみが欲しいの?」

 

「はぎゅう〜♪」

 

「これかーっ!狙うは一等のクマさん人形!」

 

はなはぬいぐるみを狙うため、クジの箱に手を入れる。

 

「とりゃーっ!」

 

勢いよくはながクジ箱に手を突っ込む。

 

「来い来い来い来ーいっ!」

 

そう叫びながら、一等であるぬいぐるみを当てようとクジを引く。

 

「あ……」

 

だが、出したクジの結果はハズレだった。

 

「ハズレようだね」

 

「めちょっく……!」

 

「はい残念賞」

 

パップルは残念賞のティッシュをはなに渡す。

 

「もう一丁!」

 

しかしはなは諦められず、はぐたんの為に再びチャレンジするも…

 

「大丈夫?もう五回連続残念賞だよ?」

 

「お小遣い使い切る気?」

 

「いっ……!」

 

これまで五回行ったが、全部残念賞だった。

 

「えみるちゃんとルールー、ツクヨミちゃんがウチの事務所に所属してくれたら、いくらでもあげちゃうんだけどなー」

 

パップルがえみるとルールー、ツクヨミにそう伝え、彼女の言葉を聞いたその三人は複雑な表情を浮かべる。

 

「僕にやらせて下さい!」

 

「お前、それ全財産……!」

 

「ひなせ君……!ふみと君……!」

 

そこへひなせとふみとが現れ、ひなせが自分がやると言って五百円玉を出す。

 

「来い……!」

 

彼は己の全財産使ってクジを引く。取り出された五つのクジの中には、一つだけ一等が入ってた。

 

「い、一等大当たり~!」

 

「どうぞ…!」

 

「でもこれ、日生君の……」 

 

ひなせは当てた熊のぬいぐるみを、はなに差し出す。

 

「僕の気持ち……だから……」

 

「ありがとう。

ほら、お兄ちゃんがはぐたんの欲しかった人形、取ってくれたよ」

 

はなが微笑んでぬいぐるみを受け取り、ひなせが喜んだその直後、背後のはぐたんに熊のぬいぐるみを見せて渡した。

 

「えっ……?あ、そう言う事……」

 

「ドンマイ」

 

パップルが何気無くひなせを『ドンマイ』と慰めながら囁く。

 

「記念にみんなで撮るよーっ!お願いします」

 

カメラをチャラリートに渡し、さあや達の元に行く。

 

「はい、チャラリーズ」

 

チャラリートがこの場にいた全員の写真を撮る。

 

「次の出店行ってみよー!」

 

次は射的に向かい、さあやとルールー、ツクヨミがゲーム機に狙いを定める。

 

「景品を当てられるものなら当ててみろ!」

 

この店を出していたダイガンが笑いながら煽っていると、三人の眼光が鋭くなった。

 

「弾の威力と空気抵抗を踏まえて、最適な発射角度を算出…」

 

「三十五度ね」

 

「後は、狙いを定めて……」

 

「「「撃つ!」」」

 

三人が三十五度の角度に合わせて、同時に弾を放って、これまた同時に命中させてゲーム機を倒した。

 

「おおっ」

 

「何と……!」

 

『やったぁ!』

 

ここでも写真を撮ってから、次の店へ向かう。

今度はチャラリートの出してた型抜きに訪れる。

 

「型抜きどうっスかー!」

 

「みんなで競争するのです!」

 

みんなで型抜きをすることになり、爪楊枝を構えて挑戦する。

 

「割れちゃったのです……!」

 

「私もです……」

 

しかし、えみるとルールーの型が割れてしまい、失敗してしまう。

 

「「私(俺)もー……」」

 

その前にソウゴ達も失敗していた。

 

「後ちょっと……!」

 

「負けへんで……!」

 

「それは、こちらのセリフだ……!」

 

まだ失敗していないほまれとハリー、ウォズが続ける。

 

「三人とも頑張って!」

 

「フレー!フレー!」

 

横からハリーの顔を一瞬見たほまれが手を止める。

 

「よっしゃ!俺の勝ちや!」

 

「いや!私の方が早かった!」

 

ほまれが手を止めてた間に、ウォズとハリーが成功して先に終えた。

 

「今の無し!」

 

一方ゲイツはまだ型抜きを続けていた。

しかし彼の横には、何枚もの失敗した型の残骸が置かれていた。

 

「よし……あっ!」

 

いける気がしたのも束の間、またしても割れてしまった。

 

「ちょっと、ゲイツ。何回やる気だ……」

 

流石に困惑の汗を垂らし始めたチャラリートの言う通り、既に十回失敗しているのにも関わらずまだ続けていた。

 

「ゲイツ……まだ、やるの?」

 

「不器用なゲイツ君には無理だよ」

 

「だまれ〜っ!」

 

ゲイツはウォズに負けないと意地になって型を続ける。

 

「えみるも来てたのか」

 

そこへ、えみる達を見かけた正人が声を掛ける。

 

「お兄様……!」 

 

「アンリ……」

 

その傍には正人と同じ綿あめを手にしたアンリも一緒だった。

 

「楽しそうだな」

 

「はい」

 

「もう一回勝負するか?」

 

「勿論……!」

 

正人とえみるが話をしているのを横目に、ハリーともう一度勝負しようとするほまれを見たアンリがフフッと笑う。

 

「何?」

 

「いや、いいんじゃない?」

 

そう言うと、正人とこの場を後にした。

しばらくしてから日も傾き、暗くなり始める。

 

「大分日が落ちて来たね」

 

「そろそろ花火の場所取りする?」

 

「いい場所取るなら今が丁度良いね」

 

ソウゴ達は場所の確保へ向かおうとするが、ウォズとルールーが足を止める。

 

「困りました……」

 

「どうしたの?」

 

「私、私……まだまだ出店を堪能し切れていません……!」

 

「私も……これだけでは……」

 

「それでもまだ足りないの⁉︎」

 

「お前ら食いしん坊か!」

 

出店を堪能しきれてないと言うが、二人は綿あめの他に、タコ焼きやりんご飴、焼きそばなど食べ物の入った袋などを持っており、まだ食べるのかとみんなは驚いた。

 

「私も同感です、ルールー」

 

「私ももうちょっと何か食べたいし」

 

「私ももっと食べたいー!」

 

えみるとツクヨミ、はなももっと出店を楽しみたいと言う。

 

「んじゃ、俺とはぐたんが先場所取っとくわ。この上が見晴らしエエやろ」

 

ハリーが自分が場所を取っておくと言い、上を指差す。

 

「良さそう。私もお腹いっぱいだから、一緒に行くよ」

 

ほまれもハリーと場所取りに行くことになった。

 

「じゃあお店行こう。えみる。ルールー。ツクヨミ。ウォズ」

 

「「「はい!」」」

 

「助かるよ」

 

「俺も行く。お前らじゃあ心配だからな」

 

はな、ゲイツ、えみる、ルールー、ツクヨミ、ウォズが下へ降りて出店へ向かう。

 

「俺ももう少し回ろう」

 

「ソウゴ君…その……一緒に回らない?」

 

「いいよ。行こう♪」

 

「うん」

 

ソウゴはさあやと共に、もう少し回るために向かう。

 

「じゃあハリー、ほまれ、場所取り任せたよ」

 

「おう」

 

ソウゴとさあやは下に降り、出店へ向かった。

彼らを見届けたほまれとハリーが階段を上る。

 

「長い階段やなー。疲れたら言えよ」

 

「大丈夫。鍛えてるから」

 

二人が会話をしているとはぐたんがぐずり出し、ハリーが足を止める。

 

「お?虫刺されか?」

 

虫刺されだと確認し、塗り薬をはぐたんの腕に塗る。

 

「…前から思ってたけど、ハリーって結構、赤ちゃん慣れしてるよね」

 

「ん?まあ、昔沢山子供の面倒見とったからな」

 

「親の代わりに?」

 

「俺、両親の顔知らんねん」

 

「えっ?」

 

「ソウゴとは違うけど、物心ついた時には、一人やった。

いわゆる、孤児って奴やな」

 

ハリーはほまれに、両親の顔を知らない孤児だったという。

 

「しばらく未来の町の隅っこで、同じ境遇の仲間と暮らしとったんや。その日その日を生きてくだけで、精一杯やったな」

 

空を見上げて、その時の事を振り返るように思い出す。

 

「子供達は毎日元気でイタズラばっかりしおって、楽しかったな」

 

「そうなんだ……守ってくれる人がいるって、マジありがたいって思うよ」

 

「?」

 

「あまり言って無いんだけど。家、私が小さい頃に両親が離婚してて、ずっとお母さんの実家で暮らしてるんだ」

 

「そうなんか……」

 

ほまれの両親は彼女が小さい頃に離婚し、ほまれは母親に引き取られた後、祖母の実家で暮らしていることを語る。

 

「お父さんがいた時に好きになったスケートを、続けていいってお母さんが言ってくれたんだ。

練習を休んでいた時も、何も聞かずにいてくれた。

今はスポーツ特待生で、学校にリンクもあるけど……

だからこそ、早く試合で結果を出して、安心させてあげたい。

私は……私を支えてくれる人の為にも、私のなりたい私になるって決めてるんだ」

 

「大したモンや」

 

「そんな事無いよ…」

 

「そんな事ある。俺な……実は……」

 

「見ーつけた」

 

ハリーが真剣な表情で大事な事を話そうとしたその時、上から声が聞こえた。

ほまれとハリーが上を見ると、ビシンが階段に座ってそこにいた。

 

「お前は……!」

 

「久しぶり、ハリー……」

 

階段から立ち上がってハリーに久しぶりと言い、何か関係があるのかと思う様な口振りで話しかける。

 

「迎えに来たよ、ハリー」

 

「ビシン……」

 

「知り合い?」

 

「はぐたんを頼む」

 

「えっ……⁉︎」

 

ハリーは知り合いなのかと聞き出したほまれに、はぐたんを預ける。

 

「これは……俺の問題や」

 

そう言って、ほまれから急いで離れる。

 

「お前の目的は俺やろ!来い!」

 

「追いかけっこかい?ハリー」

 

ビシンに向かってそう叫び、妖精に戻って横の森に入ると、ビシンは笑って宙に浮かび上がり、木から木へ跳んでハリーを追う。

 

「ハリー!」

 

ほまれもハリーとビシンのあとを追った。

 

 

その時屋台を回っていたはな達だが、ルールーが異変に気づいた。

 

「トゲパワワです!」

 

「本当か⁉︎」

 

「急ぐのです!」

 

ルールーが山の上から発せられているトゲパワワに気付き、急いでと向かう。

 

「ちょっと持ってて!」

 

途中ではなが持ってたリンゴ飴をひなせに預け、三人が移動する最中にソウゴとさあやを見つけ、二人のすぐ傍で足を止める。

 

「どうしたの?」

 

「山の方でトゲパワワが出現した。我が魔王……!」

 

「っ⁉︎ 急ごう!ほまれとハリーが危ない!」

 

ソウゴ達は急いでハリーとほまれのいるトゲパワワの発生した場所へ向かう。

 

 

一方、ハリーとビシンの追いかけっこが続く。

 

「待ってよ、ハリー!」

 

腕に巻かれた包帯をなびかせ、笑って跳びながら腕を振ってエネルギー刃を飛ばす。

ハリーは走りながら避け続けるが、運悪く当たってしまい、吹き飛んで倒れる。

 

「ハリー!」

 

「ほまれ……!」

 

「いた!」

 

前の方にほまれが現れ、反対側からソウゴ達が現れる。

 

「何で来たんや!」

 

「ハリー!」

 

ソウゴが駆け寄ろうとするが、その前にすぐ傍にビシンが着地してハリーを掴み上げる。

 

「君!ハリーを離して!」

 

「へぇ〜、君が若い時のオーマジオウかぁ〜」

 

「クライアス社」

 

「せっかく僕を彼女達から引き離そうとしたのに、無駄だったねハリー」

 

ビシンはハリーを吊し上げて、引き離そうとして逃げたのは無駄だったと煽りを入れる。

 

「大体何で、プリキュアとオーマジオウやゲイツ達なんかと一緒にいるのさ。こんな奴ら早く倒しちゃえばいいのに」

 

「何を言ってるの……?」

 

「誰が、そないな事……!」

 

ハリーが叫んだ直後、ビシンがハリーを強く握る。

 

「そうしたら、クライアス社も、裏切ったハリーを許してくれるでしょ?」

 

「クライアス社……⁉︎」

 

「どう言う事……⁉︎」

 

「ハリーがクライアス社の………

どうゆう事なのゲイツ!ツクヨミ!」

 

ソウゴはどういうことなのか問いかけると、ゲイツとツクヨミは顔を逸らす。それを見て、二人は最初から知っていた事を察した。

 

「ハリーから何も聞いて無いの?

そりゃそうか。プリキュアとオーマジオウに言える訳無いよね。いいよ、教えてあげる」

 

「その前に、君は誰だい?」

 

「僕はビシン。僕とハリーは、未来で一緒に暮らしていた仲間なんだ」

 

ビシンが自身の名をソウゴ達に名乗り、ハリーとはかつて未来で一緒に暮らしてた仲だと言うことを告げる。

 

「まさかアンタ……!ハリーの言ってた……!」

 

「そして僕らは、プレジデント・クライにスカウトされた」

 

「それって、ハリーが……!」

 

「クライアス社の……!」

 

「そう。クライアス社の社員だったって事さ」

 

なんとハリーは、クライアス社の元社員だったのだ。

 

「う、嘘なのです!」

 

「嘘なんかついてどうするのさ?

それにしても、知らない内に随分腑抜けになったね。ハリー?

その首輪、未来じゃしてなかったよね」

 

ビシンはハリーの首に付いた鎖型の首輪に気付き、人差し指を向けてトゲパワワを放つ。

 

「やめろ!」

 

「えっ?」

 

やめろとゲイツが言うがすでに遅く。首輪が砕け、ハリーがビシンの手から離れて地面に落ちる。

 

「ハリー!」

 

ほまれが近寄ろうとしたその時、ハリーからトゲパワワが放たれる。

 

「トゲパワワ……⁉︎」

 

大量のトゲパワワが放出されると同時に、ハリーが巨大な姿へと変貌。薄い山引色の毛色はブルーグレーへとなり、鋭い牙の間からうなり声を漏らす彼から理性が見えることは無かった。

 

「これは……!」

 

「ハリーに何をしたの!」

 

「本当の姿に戻しただけさ」

 

「えっ……!?」

 

「あの首輪は、ハリーのトゲパワワを抑える為の物だったのか……!」

 

実はハリーはかつて、クライアス社に改造手術を受けられ、今現在の狂暴な怪物の姿にされていたのだ。

いつも身につけていた首輪は、それを抑えるために付けたものである。

 

「クライアス社は凄いんだ。一回手術を受けただけで、食べ物も寝る所も凄い力も全部くれたんだよ!」

 

「凄い力って……!」

 

「改造されたのですか……⁉︎」

 

「聞いたことはあったがまさか、本当だったのか……」

 

ハリーがクライアス社に改造手術を受けた存在だと、ある者から噂を聞いていたウォズも、初めて知ったソウゴ達も驚く。

 

「そうだよ。さあハリー、手土産にプリキュアとオーマジオウにゲイツ達を倒して帰ろう!」

 

ハリーが赤く染まった眼光を光らせながらソウゴ達に向かって跳びかかり、右の前足に生え揃った鋭い爪を振り下ろす。

 

「これが、ハリー……」

 

「我が魔王……これはこちらも、本気でいく必要がある」

 

「わかった……」

 

「ハリー……待ってろ」

 

ソウゴはジオウウォッチⅡを取り出し。ゲイツもゲイツリバイブウォッチを取り出し、ウォズはシノビウォッチを取り出す。

 

「ツクヨミ、はぐたんをお願い」

 

「任せて」

 

ほまれははぐたんをツクヨミに預け、はな達も覚悟を決める。

 

『『ジクウドライバー!』』

『ビヨンドライバー!』

『ジオウ!Ⅱ!』

『ゲイツリバイブ!剛烈!』

『シノビ! アクション!』

 

三人はウォッチをドライバーに装填し構えると、はな達五人がプリハートを取り出す。

 

「「「変身‼︎」」」

「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」

 

ソウゴ達三人がドライバーを操作し、アーマーが体に纏われ。はな達五人が揃ってプリハートにミライクリスタルをセットし、いつもの変身手順を取り、姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

『ライダータイム!リ・バ・イ・ブ剛烈! 剛烈!』

『投影!フューチャータイム!誰じゃ?俺じゃ?忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

「ガァァァァァーー‼︎」

 

八人が変身を完了し構えると、いきなりハリーが爪で攻撃してくる。

 

「ハリー!」

 

ジオウはハリーに声を掛けるが、叫びを上げるだけで聞こえない。

 

「アッハッハッハッ!いいよ!ハリー!もっとやって〜!」

 

「ソウゴ!お前らでハリーを止めろ!俺とウォズで奴を……」

 

「わかった!」

 

ジオウとエール達は暴走するハリーを止めようと試みる。

 

「行くぞ。ウォズ」

 

「体に負担をかけ過ぎて、足を引っ張らないでねゲイツ君」

 

「70%位まで抑えているから大丈夫だ。お前も足を引っ張るなよ」

 

ゲイツとウォズはお互いに走り出し、ビシンに攻撃を仕掛ける。

 

「ふん!はぁぁぁぁ!」

 

先にゲイツがジカンジャクローで攻撃するが、ビシンは上に飛び上がり躱した。

 

「当たらないよ」

 

「どうかな?」

 

シノビのスピードで先回りしたウォズが、ジカンデスピアを繰り出す。

それに対してビシンは舌打ちを漏らしながらエネルギー刃を作り、ジカンデスピアの攻撃を防御した。

 

「やるね。じゃあ、少し本気でやろうかな〜」

 

ビシンもゲイツとウォズに反撃に転じようと仕掛ける一方、ジオウとHuGっとプリキュアは巨大化したハリーを止めようと奮闘する。

 

「ウガァァァァァ‼︎」

 

「ぐぅ……ハリー、ちょっと我慢して!」

 

ハリーの鋭い爪をサイキョーギレードを盾とし防御しつつ、サイキョーギレードのフェイスのモードを変える。

 

『覇王切り!』

 

覇王切りを放ち、とりあえずハリーを離す。

 

「どうすれば……」

 

「どうやれば、ハリーを助けられる」

 

今みたいに離す程度の攻撃では無理だ。かといって、必殺技を使えばハリーを傷つけてしまう。

それを見たビシンがジオウに目を向ける。

 

「耳障りなんだよ!オーマジオウ!」

 

殺意の込められた声で怒鳴って右腕を振り下ろし、ジオウに向けてエネルギー刃を飛ばす。

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

ジオウの前に出たアンジュがハート・フェザーを発動し、エネルギー刃を防ぐ。

 

「ハリー!」

 

「正気に戻って下さい!」

 

「だったら……!」

 

エール達がハリーに呼び掛けているのを見たビシンはゲイツとウォズを振り抜くと、頭を抑えながら跳び、今度は上からエール達に向けてエネルギー刃を飛ばす。

 

「ッ⁉︎」

『キングギリギリスラッシュ!』

 

咄嗟にサイキョージカンギレードでギリギリスラッシュを放ち、今度はジオウがみんなを守った。

 

「やるね。流石はオーマジオウ!」

 

『スピードクロー!』

 

ジオウを感心しながら見ていると、リバイブ疾風となったゲイツがビシンの前に現れた。

 

「くっ……!」

 

「そこだ!」

 

ゲイツリバイブ疾風がジカンジャクローでビシンの背後へと回り、攻撃を決めた。

攻撃を受けたビシンは態勢を崩しながらも地面へと降りると、ゲイツも着地した。

 

「浅かったか……」

 

僅かながらのダメージを与えたが、直撃は避けられた。

 

「やるね〜、クライアス社に乗り込んだ時のデータじゃ参考にならないね」

 

「ふん。ハリーは絶対に渡さない!あいつは俺達の仲間だ!」

 

ゲイツがハリーは仲間だと叫ぶと、ビシンがハリーを見つめる。

 

「ハリー……!君がクライアス社を裏切ったのは、一時の気の迷いのハズでしょ……!

だって君は、僕と一緒にいた方がいいに決まってるもの……!」

 

そう語ってる間にエトワールがハリーに向かって歩き、すぐ傍で立ち止まる。

 

「何してんの……?これがアンタが、今まで隠して来た事……?

クライアス社の社員だったから⁉︎ 改造されたからっ⁉︎

その程度で、私達が離れると思ったのッ⁉︎

そんな訳……!無いでしょ!」

 

「黙れよ……!お前!」

 

ハリーが苦しみながらも、エトワールに向けて口から光線を放ち命中させるが、エトワールから放出されるアスパワワが防いだ。

ハリーは光線を止められた事に驚愕すると、彼女はハリーに歩み寄る。

 

「何が俺の問題なの……?私達の問題でしょ!

約束したじゃん……一緒に、やってこうよ」

 

いつもの姿から大きく変わり果ててしまったハリーに手を差し伸べる。

そんなエトワールの姿を見たハリーは、未来での事を思い出し、エトワールに手を差し伸べて触れる。

その時、二人の指先からアスパワワが放出され、ハリーからトゲパワワも放出される。

 

「どうしたの、ハリー……!」

 

「ハリーの中で、アスパワワとトゲパワワがぶつかり合っています!」

 

「不味いな。このままだとハリー君とエトワールの身が危険だ」

 

「そんな……」

 

二人が危ないと知り、どうすればと悩むとジオウが咄嗟にあることを閃いた。

 

「そうだ。ライドウォッチなら……」

 

腕にあるブランクウォッチを外し、ハリーの顔を見る。

 

「(これなら、ハリーの力を……)エトワール!これをかざして!」

 

そう言ってエトワールに向けてブランクウォッチを投げ渡した。

 

「わかった!」

 

ウォッチを掴んだエトワールがブランクウォッチを自身とハリーの間に重ねる。

すると、アスパワワとトゲパワワがウォッチに吸収されていき、そのままハリーの姿が小さくなっていく。

 

「ハリー!」

 

吸収が終わるとハリーが元の姿に戻って落下するが、エトワールが両手に乗せるようにしてキャッチする。

 

「戻ったか……」

 

みんなが駆け寄るとハリーが目を覚まし、安堵の表情を浮かべる。

 

「ハリー!大丈夫!」

 

「うぅぅぅ……ソウゴ……みんな……すまん……」

 

「ハリーから離れろよ!」

 

ビシンがエトワールに向けてエネルギー刃を飛ばす。

ハリーが立ち上がり、自分のアスパワワを放出させて防ぐ。

 

「どうしてハリー⁉︎ 僕と一緒にクライアス社に帰ろうよ!

君がクライアス社を裏切ったのは、一時の気の迷いのハズでしょ!

だって君は、僕と一緒にいた方がいいに決まってるもの……!」

 

「帰らへん!」

 

「えっ……?」

 

ビシンは懸命に帰ってくるように言うが、ハリーは帰らないと拒絶の意思を見せる。

 

「ビシン。俺な、プリキュアとソウゴにゲイツ達と一緒に、クライアス社と戦うって決めたんや!」

 

ハリーは自身の決意を叫ぶと。それと同時に放出されたアスパワワが首輪が作り、更にハリーの力を吸収したブランクウォッチが光り出す。

 

『ハリー!』

 

そして、エトワールの手に吸収されたブランクウォッチがライドウォッチへ姿を変えた。

 

「これ……」

 

「もしかして、ハリーの……ウォズ!」

 

「なるほど、これの出番か」

 

ウォズがジクウドライバーを取り出す。

 

「ハリー君!使いたまえ!」

 

ハリーに向けてジクウドライバーを投げ。ハリーはエトワールから離れて人間の姿となり、ドライバーを掴む。

 

「……俺が…」

 

「ハリー!なれるよ!」

 

「今のハリーならいける!」

 

エールとエトワールの言葉でハリーは決意し、ジクウドライバーを腰へと装着する。

 

『ジクウドライバー!』

『ハリー!』

 

ハリーライドウォッチの赤味がかったオレンジのウェイクベゼルを回し、ライドウォッチをジクウドライバーのD'9スロットに装填し、ロックを解除する。

すると後ろから小さな歯車が多く付いた時計のエフェクトが現れ、右腕を上に上げて構える。

 

「変身!」

 

ドライバーを下に押すように回すと、時計の針がそれぞれ2時と50分を指し、紫の時計バンドの様なエフェクトがハリーの体に纏われる。

 

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!」

 

バンドが彼の下から離れると、紫色のボディを持って左右のショルダーには赤い歯車、胸に愛用の金色の鎖が付けられ、複眼に赤味がかったオレンジでライダーと刻まれた。

 

「ハリー……仮面ライダーに……」

 

「凄いのです!ハリー!」

 

「ハリーから強いアスパワワを感じます!」

 

「ライダャ〜!ライダャ〜!」

 

新たな仮面ライダーとなったハリーに、全員が口元を緩めながら見つめる。

 

「これが……仮面ライダー……」

 

「なったんだ。ならやる事は一つだろ」

 

「ゲイツ……あぁ!せやな!」

 

ハリーはゲイツと並ぶと、ウォズが隣へ現れた。

 

「これは……私のプライドを揺さぶる……祝え!」

 

お決まりのウォズの“祝福の儀”が叫びわたる。

 

「呪われし力を解き放ち!新たな力へと変えた戦士の誕生!

その名も仮面ライダーハリー!まさに、奇跡のライダーの誕生の聖誕である!」

 

「ウォズ……」

 

「どうかね。ハリー君?」

 

「う〜ん。まあまあやな〜」

 

さっきの自身に対する祝いにまあまあやなと答える。

 

「じゃあ、行こう!ハリー!」

 

「あぁ!行くで!ソウゴ!」

 

二人がビシンに挑もうと試みる。すると、ビシンが顔を抑え下を向く。

 

「あはははははっ!またまたまた……!

………僕は君を諦めないよ。また来るからね、ハリー」

 

ビシンは声を上げて笑い、諦めないと伝えてから森の方へと向かい、姿を消した。

姿を消したのを確認した直後、仮面ライダーへと変身したハリーとジオウへ、エール達が駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?ハリー?」

 

「大丈夫や……ごめんな、みんな……」

 

「何で謝るの?」

 

「そうだよハリー」

 

「まぁ、色々聞いた時は驚いたけどね」

 

ジオウがそう言った直後、花火が上がる。

 

「もうこんな時間か……行こう」

 

上の本殿に移動してから変身を解き、そこでみんなで綺麗な花火を見たのだった。

 

 

それからしばらくして、ソウゴとハリーは二人で話をしていた。

 

「じゃあ、ハリーの話は本当だったんだ」

 

「あぁ……俺はクライアス社の社員だったんや。後はビシンが話していた通りな」

 

ハリーから事情を聞き、ビシンが言っていたのは事実だと言う。

 

「でも、クライアス社は間違ってるって気づいたからゲイツ達の仲間になったんでしょ」

 

「そう気づかせてくれた奴が……教えてくれたんだ」

 

「そうか………ありがとう話してくれて」

 

辛そうなハリーを見て、それ以上は詮索しなかった。

 

「それより、これから頼むよ。仮面ライダーハリー!」

 

そう言って、ソウゴが手を差し出す。

 

「……おぉ!こっちこそ頼むで!」

 

ハリーもソウゴの手を掴み、握手する。

 

「せやけど、仮面ライダーハリーって名前は……」

 

「いいじゃん!仮面ライダーハリーで!」

 

「そ、そうか……」

 

本人は名前に不安があるようだが、とりあえず仮面ライダーハリーが誕生し、四人目の仮面ライダーとなった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第31話 2001: ツクヨミの力!黄金の戦士の帰還

 

 




おまけ

ソウゴ「そんなに名前に不満があるなら改名してあげようか?」

ハリー「ホンマかいなソウゴ⁉︎ほなやってくれへんか!」

ソウゴ「候補としては『仮面ライダーカズマ』と『仮面ライダーリトル・フィード』があるけど、どっちが良い?」

ハリー「・・・仮面ライダーハリーのままでお願いします」

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