Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
仮面ライダーアギトの力を継承し、残りの継承すべきウォッチはあと五つとなり、我が魔王は着実と覇道を歩んでいる。
今回の話は、我が魔王とその幼馴染の――いや、今ここで言うべき事ではありませんでしたね」


第33話 2018: 女優の覚悟

晴天の日の下。HUGMANの屋上に置かれたデジタルサイネージに、さあやの出演する炭酸飲料のCMが映り、はな達は近くのテーブルに集まってそれを見ていた。

 

「しゃあや!いっぱーい!」

 

「あっちもこっちも、さあやさあややな」

 

「人気絶頂中だね。さあや君は」

 

ハリーとウォズがそう言いながら辺りを見渡すと、柱の方には彼女のポスターも貼られていた。

 

「オーディション頑張った甲斐あったね」

 

「応援した私達も嬉しいね」

 

「さあやさん凄いのです」

 

「このまま行けばスターも夢じゃないかもね」

 

はな達が話していると、その炭酸飲料を買って来たルールーが戻ってきた。

 

「さあやと一緒にシュワシュワしようと思ったのですが、さあやはどこですか?」

 

「あそこだ」

 

さあやがどこなのかを尋ねると、ゲイツの向いた方向を向く。

 

「サイン下さい」

「握手お願いします」

 

「皆さん……順番に……」

 

そこには、さあやを囲んで写真などを頼み込む客達の姿があった。

 

「CM効果で大人気だね」

 

「我が魔王の幼馴染。流石だよ」

 

だが、肝心の幼馴染であるソウゴがここにはいなかった。何故なら…

 

 

「はぁ〜……」

 

「はい。時見。数学は合格だ」

 

「やった……っ」

 

「後は、英語だな」

 

「うっ!まだあるの〜!?」

 

現在、ソウゴは夏休み前に行われた期末テストの追試を受けていた。原因は解答欄の記入ミスと言う勿体ない話である。それを知った時、ゲイツとウォズにかなり絞られた。

 

 

そして午後になると、ビューティーハリーにみんなが集まった。

 

「はぁ〜…ようやく解放された」

 

「ソウゴ。お疲れ様です」

 

追試でぐったりしているソウゴに、ルールーがCMの炭酸飲料を渡す。

 

「ふう……」

 

「お疲れ様」

 

さあやもソファーに座って一息付き、ほまれに労いの言葉を掛けられる。

 

「さあやさん有名人なのです」

 

「来てくれた全員のお願い引き受けるなんて、サービス精神凄いね」

 

「いいなぁ……」

 

「えっ?」

 

えみる達からも労って貰っていると、突如はなが羨ましがる様な発言をし、一息ついていたさあやはどうしたのかと思った。

 

「既に女優へと大きな一歩を踏み出したさあや、ソウゴは王様、ほまれはスケート、ツクヨミは機械のセッティング、ゲイツとウォズはソウゴの家臣、えみるとルールーはギター」

 

「待て、俺は家臣じゃ……」

 

「私だけ何も決まって無い……」

 

ゲイツは突っ込もうとするが、はなが話を続けるので否定するのをやめた。

 

「登山家、パティシエ、バスガイド……

やりたい事はいっぱいあるけど……私まだまだ、ただの野乃はな!」

 

「早口言葉か」

 

「めちょっく……!」

 

「でも、私まだ、女優になるって決めた訳じゃないよ」

 

「ええっ?何で?」

 

女優になるとは決まってないとさあやの口から明かされ、ほまれは何故なのかと思い問いかける。

 

「何か悩む理由があるの?」

 

「うん……お母さん、どう思うかなって」

 

「どうって……」

 

「子供が自分と同じ道に進むのって、どうなんだろう……

今まで特に何も言われなかったけど……でももし、困らせてたら嫌だなって」

 

「優しいのだねさあや君は」

 

「そら、聞かんと分からへんのとちゃうか?」

 

「お母さん、いつも忙しくて、そんな話した事無かったから」

 

「では、直接聞きに行きましょう」

 

「良い考え!」

 

ならばと思ったルールーが直接聞きに行こうと提案し、はなはいい考えだと立ち上がる。

 

「不安なら私達もついて行くからさ。フレフレ!さあや!」

 

「うん」

 

 

ということではな達は、さあやの母親がいると言う撮影スタジオに訪れる。

 

「で、何故ドラマの撮影所に?」

 

「さあや君のお母さんはアシスタントが何か?」

 

「ああ、知らなかったっけ」

 

ゲイツとウォズはどうして母親に会うのに、撮影所に来るのかとみんなに問う。

あの時ゲイツは家出をしていていなかった為、彼がさあやの母親が女優だと知らなかった。

 

「あれ見て。あれがさあやのお母さんだよ」

 

ツクヨミが近くの建物を指差し、一同がその方向を向く。

そこには、さあやの母親である麗羅が主演のドラマ『女王のキッチン』の宣伝ポスターが貼られていた。

 

「ええっ⁉︎あの人が⁉︎」

 

「薬師寺麗羅。連続ドラマ、『女王のキッチン』の主人公」

 

「大鍋亮子を演じている方だね」

 

「詳しいね」

 

なるほど、彼女がさあやの母親なのか。と感心しているウォズに、ほまれは詳しいんだねと話しかける。

 

「料理のドラマと言う事で見始めたのです」

 

「物語や人物の描写も非常に興味深く、毎週欠かさず見ているのだよ」

 

そう言うルールーとウォズの口からは、よだれが出ていた。料理メインで見ている事間違いなしである。

 

「そ、そうなんだ……」

 

「ホームページにその時の料理のレシピが載ってるから、叔父さんに作ってもらうよ」

 

「では今度、ご馳走になってもよろしいですか?」

 

「いいよ」

 

ルールーがソウゴに顔を近づけて頼み、ソウゴは笑顔でいいよと伝えた。

 

「ありがとうございます」

 

「では、我が魔王今日にでも!」

 

「ウォズ。気が早いよ」

 

ソウゴ達が話していると一人の男性が近寄ってきた。

 

「やあ、お待たせ。さあやの父です」

 

「こんにちは」

 

「やぁ〜ソウゴ君。久しぶり。君達もよろしく」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

「ましゅ!」

 

さあやの父親の薬師寺修司が現れると声を掛け、はな達が挨拶する

 

「急にごめんね」

 

「いやいや、丁度麗羅さんのお弁当が出来た所だったから」

 

「えっ?パパさんがお弁当を?」

 

「うん。僕、料理が大好きなんだ。まぁ、順一郎さんには劣るけどね」

 

そう言うと、麗羅の弁当を見せる。

 

「それに今日はちょっと用事もあってね。それじゃ、行こうか」

 

はな達は修司の案内で、撮影スタジオに入る。

 

「おお~っ!本物だ!」

 

「落ち着いて下さい」

 

「僕、監督に挨拶して来るから、見学しててね」

 

「はーい!」

 

修司が監督に挨拶しに向かった。

すると、はながスタジオの中を見回す。

 

「ふふーん、撮影所なら有名人沢山いるよね。サインサイン」

 

そう言ってから彼女は懐から、有名人にサインしてもらう為の色紙を出す。

 

「ホンマはそれが目的なんちゃうか?」

 

「ち、違うよ!」

 

「有名人をお探しですの?とう!」

 

ハリーの言葉にはなが否定していると、どこからか声が聞こえ。セットの上から誰かの人影が見えると、その人影はそこから跳んで着地する。

 

「一条蘭世でございます!」

 

ネギのかんざしと鉢巻きを付けてドラマの衣装を着たその女性は、さあやと同い年の女優・一条蘭世だった。

 

「えっと……」

 

「誰だっけ……?」

 

「ほら、アナザー鎧武の事件の前に会った……」

 

ツクヨミが小声で伝えると、ソウゴ達は手を叩いて思い出した。

確かアナザー鎧武が現れる前、さあやへ向けてオーディンションに挑戦してきた子だった。

 

「この一条蘭世のサインが欲しい?いいですわ。特別ですわよ!」

 

はなの色紙全てを奪い取るようにして取り、サインを書く。

 

「めちょっく……」

 

当然、欲しいと言っていないのに全ての色紙にほぼ無理矢理サインを書かされたはなは地味にショックを受ける。善意で書いてくれたので余計にタチが悪い。

 

「蘭世ちゃん久しぶり!」

 

「薬師寺さあや、CMが評判のようですわね」

 

「蘭世ちゃんこそ、このドラマに出るんでしょ?凄いね!」

 

「そうですわ!ゲストだけど、存在感のある役よ!」

 

蘭世はこの回のゲストのネギ農家役での出演が決まっていた。

 

「更に成長した私を、存分に見せて差し上げますわ!おーっほっほっほ!」

 

そう言うと高笑いし出し、その高笑いに驚いたはぐたんが泣いてしまう。

 

「ああ、大丈夫やではぐたん!」

 

「ビックリしちゃったんだね」

 

さあや達は泣いてしまうはぐたんをあやそうとする。

 

「シーだよシー……!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

蘭世がはな達に謝罪をしつつ、オロオロしながらもはぐたんをあやしているとそこに、ドラマの衣装を着た麗羅がスタジオに入った。

 

「お母さん!」

「麗羅さん」

 

「大丈夫。大丈夫よ。怖くないわ。良い子ね」

 

麗羅ははぐたんと目を合わせて優しい声で大丈夫と伝えると、はぐたんが泣き止み、彼女ははぐたんに微笑んで褒める。

 

「凄い。優しく伝えただけで」

 

「完全に見惚れています」

 

「泣く子も黙る女優オーラなのです」

 

「偉いスンマヘン。邪魔したらアカンから、お散歩行って来ますわ」

 

「おしゃんぽ、おしゃんぽー!」

 

ツクヨミ達は麗羅の女優オーラに感激していると、ハリーがはぐたんを連れて散歩しに向かう。

 

「すみません、すみません……!」

 

「騒がしくしてごめんなさい……!」

 

「本当にごめんなさい……」

 

蘭世とソウゴ、さあやが謝るが、麗羅はあまり気にしている様子ではなかった。

 

「子供は泣いて当たり前。あなた達が謝る必要は無いわ」

 

そう言ってスタジオへと堂々と向かう。

 

「あ、はい。ありがとうございます……」

 

「カッコいい……!」

 

「流石の貫禄だね」

 

「大女優なだけあるなぁ」

 

 

「じゃ、軽くリハ行ってみますか」

 

『お願いしまーす』

 

まず最初にリハーサルの撮影が始まる。

 

『食材はまだか⁉︎』

 

『お待たせ!ネギ持ってきやした!』

 

『きたか。他の食材は?』

 

『あん!テヤンデイ!うちはネギオンリーだで!』

 

料理人と蘭世扮する農家の女性の会話――の演技を見ていたソウゴ達はふと、あのCMを思い出した。

 

「ネギだね」

 

「またネギなんだ」

 

「だからあの格好……」

 

「ネギ好きだね」

 

リハーサルを見ていたはな達が、蘭世の格好に納得する。

 

「どう言う事だ?」

 

「野菜少女のCMに一緒に出た事があるんだ」 

 

あの時のCMでもネギの着ぐるみを着ていた彼女の事をゲイツに話す。

 

「で、その時してたのがネギの着ぐるみなんだ」

 

「相当ネギに愛されてかもね彼女」

 

はな達が話していると、リハーサルの様子を見ている一同は次のシーンに心を惹かれ始めた。

 

〈バタッ!〉

 

『りょ、亮子……』

 

ドアが開く音と共に亮子役の麗羅が入ってくるシーンへ移ると、彼女はそのままネギを取り、なんと手に取ったネギを生で齧ったのだ。

それを見たソウゴ達は驚く。

 

『いいネギだ。これだけで十分』

 

『そんな、無茶な……』

 

『やれるさ。作ってやるさ。ネギのブルーコースを!』

 

その台詞を放ちながら演技を続ける麗羅に、ソウゴ達は感銘を受けていた。

 

「オーケー!そこまで!」

 

「―――辛~い!」

 

リハーサルが終わった直後、麗羅は表情を歪めて辛いと叫ぶ。リハーサル終わりまで表情を変えずに我慢しているあたり、正に本物の女優って感じである。

 

「いきなりネギを齧るとは、凄いアドリブだな麗羅」

 

「亮子なら、素材は生で味見すると思って……」

 

今彼女が生のネギを食べたのは、演じている亮子と言うキャラクターの性格を考えた上での行動で、アドリブでもあった。

 

「あれアドリブだったんだ」

 

「本番もその調子で頼むぞ」

 

「これが、一流の女優……」

 

「プロだ……」

 

「じゃ、本番行こっか」

 

今度は本番の撮影が行われる。

その演技には、まるで本当にその場で起こっているかのようなリアリティーのある台詞で、一つ一つの行動に魂が込められているかのようにソウゴ達は感じた。

 

「麗羅さん。本当に凄い……さあや?」

 

「凄い……」

 

母親の演技を見入るさあやに、ほまれが肘で小突く。

 

「見惚れてちゃ駄目じゃん。目的、忘れてるよ」

 

「あっ、そっか」

 

昼休憩に入り、麗羅が椅子に座って台本を見直している横から、目的を思い出したさあやが来ると、後ろでソウゴが二人を見つめる。

 

「麗羅さん。どうも」

 

「ソウゴ君。久しぶりね」

 

ソウゴと麗羅が軽く挨拶を済ませるとさあやが近寄る。

 

「…あの、お母さん」

 

「何?」

 

「CM、見た?」

 

「ええ、好評なようね。それがどうかしたの?」

 

それを聞いて、さあやはここですぐ傍のテーブルに弁当と自分が出演していたCMの炭酸飲料のボトルが置かれていた事に気付く。

 

「迷惑とか、掛かって無い?」

 

「迷惑って?」

 

「その……お母さんの、仕事の邪魔になってたりしてないかな……って」

 

「あなたはどうなの?」

 

「えっ?」

 

邪魔になっていないかと心配している娘に向け、麗羅はどう思っているのかと問い返す。

 

「例え実力で掴んだ仕事でも、薬師寺麗羅の娘だから。親の七光りだから。そう言う人は必ずいるわ。この先もずっとね」

 

「…っ!」

 

「その覚悟はある?」

 

「…分からない……」

 

「決して女優だけが、あなたの道じゃないわ」

 

立ち上がってからそう言い、この場を後にした。

 

「………ッ」

 

「さあや……」

 

ソウゴは外に出ていったさあやを追いかける。

 

 

外に出たソウゴが建物の周りを走っていると、悄然と空を見上げるさあやを見つけて駆け寄る。

 

「さあや……もしかして、自分が麗羅さんに迷惑かけているって思っているの?」

 

「うん……やっぱり、迷惑だったのかな……」

 

彼女は複雑そうな笑みを溢しながら太陽を見つめ、そう呟く。

 

「いいじゃないの。迷惑掛けたって」

 

「えっ?」

 

「さあやちゃ~ん」

 

すると監督が現れ、腕を広げてさあやに近付く。

 

「はぎゅ」

 

「ぎゃああああぁぁぁっ⁉︎」

 

「ちょ、ちょっと何してるんですか⁉︎」

 

いきなり抱き付かれ、さあやは思わず悲鳴を上げる。

急いでソウゴは彼女に抱きついた腕を解き、救出する。

 

「あだっ!」

 

「年頃の女子にいきなり抱き付くんじゃない!」

 

「ごめんね。ビックリさせちゃって」

 

年配の女性スタッフが“やめなさい!”とプリントされた緑のスリッパで監督の頭を叩き、別の女性スタッフがさあやに謝る。

 

「いきなり抱き付かれれば、そりゃあ驚くわよ」

 

「いやー、でもこんなに大きくなって」

 

「えっ?」

 

「元気そうで嬉しいねぇ。麗羅ちゃんそっくり」

 

「えっ??」

 

「もしかして俺の事、覚えて無い……?」

 

監督はさあやの反応を見て、自分の事を覚えていないのかと考える。

 

「当たり前でしょ」

 

「君はまだ、赤ちゃんだったからね」

 

今度は年配の男性スタッフが現れ、そう告げる。

 

「あなた、よくここに来てたのよ」

 

「えっ…」

 

「そうなんですか?」

 

「ミルクあげたり、オムツ替えたりしたんだから」

 

「昔の事だよ。懐かしい話さ」

 

詳しく聞きたい為室内に移動し、監督がさあやとソウゴだけで無くはな達にも昔の事を話す。

 

 

それは、麗羅が今よりも若かった頃まで遡る。

 

『私!どうしてもこの役をしたいんです!』

 

さあやが産まれてからしばらくして、麗羅が演じたい役があると言って監督に頼み込む。

最初は子持ちでは無理だと考えていたが…

 

『みんなで力を合わせれば何とかなるだろ』

 

スタッフと協力する事を麗羅と修司に伝え、その役を麗羅は演じたのだ。

 

 

「それから、アイツは凄く頑張ったよ。

女優の仕事も、お母さんも。勿論修司も、そして俺達も、みんなで頑張った。

だから、アイツは最大限輝けたし、君もこんなに大きくなった」

 

「そんな事が……」

 

「皆さんもさあや達にとって大切な家の家族なんですね」

 

監督を含んだここにいる人達は、昔から薬師寺家と家族同然に接しているのだと知った。

 

「何か、すみません……!」

 

「だからいいんだってば」

 

「子供はそうやって、大きくなって行く」

 

「それが当たり前なのさ。俺達は、君達親子を応援したいだけ」

 

「応援……」

 

「だってアイツは、今でも頑張り続けているからね」

 

「えっ?」

 

「修司、見せてやれよ。こっそりさ」

 

監督の案内で歩いている間にはな達と合流した一同は外から、給湯室でネギを切る麗羅を見る。

 

「ネギ切ってるね」

 

「あれ、何してるんですか?」 

 

「包丁の練習だよ。麗羅さん、昔から料理はちょっと苦手でね。役作りの為に、休憩中はいつもああやって練習しているんだよ」

 

「キッチンの女王が……」 

 

「意外です。そんな一面があったなんて」

 

ウォズとルールーが大女優にそんな一面があったことに驚いていると、えみるはさあやの様子が変わったことに気付く。

 

「ん?」

 

「そうだった……何で、忘れてたんだろ……」

 

さあやが壁に背中をつけてある事を思い出した。

 

「お母さんは昔から、ちょっと不器用で、でもすっごく頑張り屋で――

一緒にいられる時間は少なかったかもしれないけど、その分いっぱい遊んで、笑って、抱き締めてくれた」

 

その時間は短ったけど、一生のものでさあやにとってかけがえのない時間だった。

 

「だから、私いつもテレビに出てるお母さんを見ながら、応援してたんだ。凄い。頑張れって。お母さんが、凄く素敵だったから!」

 

それは同時に、さあやがどうして女優になりたかったかを思い出させた。

 

「さあやのお母さんは、カッコいいんだね」

 

「うん!

(そっか。私、お母さんのいる向こう側に行ってみたくて、だから……)」

 

 

その頃、裏の流しに置かれたネギを休憩中の蘭世が見つめていた。

 

「これ……撮影後みんなで食べるんですわよね……?

(私、あれがトラウマで……実はネギが……苦手なのですわ……)」

 

流しの辺りに置かれたネギを見て、昔CMでの事を思い出し呟くと、心の中で呟いた蘭世から小さなトゲパワワが放出される。

するとそこに、ジンジンとタクミを連れたジェロスが現れた。

 

「リトルなトゲパワワでも、ビッグにしちゃえば、イケるわよね?」

 

「も、勿論!大小など関係ありません!」

 

「もうちょっと頑張ってよね」

 

「か、かしこまり!」

 

「明日への希望よ、消えろ!ネガティブウェーブ!」

 

ジェロスは手でハートマークを作り、ネガティブウェーブを放出させる。

蘭世からトゲパワワを取り出し、暗黒の雲のようなエネルギーに変える。

 

「発注!猛オシマイダー!」

 

暗黒の雲がビデオカメラに憑り付き、ビデオカメラ猛オシマイダーが生み出された。

 

「それじゃあ、そろそろ本番―――おい、特撮はここじゃなくて隣の――」

 

猛オシマイダーが特撮用の小道具と勘違いした監督達からトゲパワワが放出され、そのまま倒れて気絶する。

 

「な、何これ⁉︎」

 

練習から戻った麗羅が猛オシマイダーを見て驚く。

 

「あら、美人。しかも凄いアスパワワ。私の嫌いなタイプ」

 

ジェロスが指を鳴らすと同時に、麗羅からトゲパワワが放出され、倒れて気絶する。

 

「お母さん!」

 

異変に気付いたソウゴ達は、急いでジクウドライバーとプリハートを取り出す。

 

『『ジクウドライバー!』』

『ビヨンドライバー!』

『ジオウ!』

『ゲイツ!』

『ウォズ! アクション!』

『ハリー!』

 

四人はウォッチをドライバーに装填して構えると、はな達五人もプリハートを取り出す。

 

「「「「変身‼︎」」」」

「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」

 

四人がドライバーを操作し、アーマーとスーツが体に纏われ。五人が揃ってプリハートにミライクリスタルをセットし、いつもの手順を取り姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

ジオウ達が変身を完了すると、最初にゲイツとエールが突撃する。

 

「たああああぁぁぁっ!」

「はああああぁぁぁっ!」

 

エールとゲイツが猛オシマイダーに向かって跳び、パンチとジカンザックスからの突きを放って後ずさせる。

 

「お母さん!」

 

アンジュが麗羅の元へ駆け寄り、倒れている監督達にも気付く。

 

「「ぐわぁ!」」

 

ウォズとハリーが猛オシマイダーの攻撃を受けて吹き飛び、エトワールも吹き飛びながらも体勢を整えて着地するが、パワーが大きかったのか思わず地面を擦りながら後ずさる。

更に左右からマシェリとアムールが猛オシマイダーに向かって跳ぶ。

 

「「うあああっ!」」

 

すると、猛オシマイダーは上半身を勢いよく回転させ、二人を吹き飛ばした。

 

「みんな!」

 

「後はアンタ達だけ。さっさとやっちゃいな」

 

「勿論です。やれ!」

 

猛オシマイダーが両腕を振り下ろして、アンジュとジオウに叩き付ける。

 

「ふん!」

 

だがジカンギレードを支えに攻撃を受け止める。

 

「ソウゴ君!」

 

「絶対に……壊させない………!

ここは、アンジュの……さあやの思い出が詰まった、大切な場所だからッ!」

 

ジカンギレードを振り上げて猛オシマイダーを跳ね返すと、ジオウライドウォッチⅡを起動させる。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

ウォッチを分割してドライバーの左右に差し込み、二つの時計のエフェクトが現れるとジオウはドライバーを回し、二つの時計が左右対象に止まる。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウⅡへと変身を完了させると、サイキョーギレードを出現させる。

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

更にジカンギレード・ケンモードとサイキョーギレードを合体させ、『ジオウサイキョウ』の文字が浮かび上がらせる。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

「オリャャャャャャャ‼︎」

 

ジオウが放ったキングギリギリスラッシュは直撃し、そのまま猛オシマイダーは倒れ伏した。

 

「ソウゴ君……ここは、お母さん達の大切な場所!帰って!」

 

ジオウが自身の思い出の場所を守る為に猛オシマイダーをぶっ飛ばしたのを見て、アンジュも帰ってくれと言う。

 

「ドラマなんて所詮は作り話。それが何だって言うの?……ウザッ。そのイキった口、塞いでやんな!」

 

ジェロスの指示で起き上がった猛オシマイダーが足のローラーで、二人に向かって体当たりを繰り出そうとした。

 

「「⁉︎」」

 

「マシェリ!ポップ!」

 

だが危ない所にマシェリが技を放ち、ジオウとアンジュを守った。

 

「マシェリ!ありがとう!」

 

「ちっ!猛オシマイダー!」

 

体勢を立て直した猛オシマイダーがもう一度体当たりをしようとする。

しかし、アンジュがメロディーソードからエネルギーのロープを放って足に巻き付ける。

 

「ここには、沢山の人達の想いが詰まってる!私もそれを、応援したい!

そして……!いつか私も、ここに来たい!」

 

そう叫んでメロディーソードを勢いよく振り下ろし、猛オシマイダーを地面に叩き付けた。

 

「アンジュ!俺も続かなきゃ……」

 

ジオウが加勢しようとしたその時、彼の腕にあるブランクウォッチが光り出した。

 

「えっ?」

 

ブランクウォッチは姿を変え、ライドウォッチへとなろうした。

 

「これ…⁉︎」

 

そのブランクウォッチは、かつてアナザークウガ鬼火との戦いの後に消えた筈のジオウミステリーウォッチの元のウォッチだった。

 

「……どうして……よし!」

『ジオウ!ジオウミステリー!』

 

ジオウⅡのウォッチを外し、ジオウとジオウミステリーのウォッチを両側に差し込む。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

元のジオウへ戻ると前の方から後ろに羽があり、その手には二本剣を持ったアーマーが現れ、ドライバーを回転させる。

 

『アーマータイム!歴史の全てを知る王〜!仮面ライダージオウミステリ〜〜!フ・レ・ア〜!』

 

「ソウゴ、そのアーマーは……」

 

「あん時の……」

 

エール達はアナザークウガ鬼火との最終決戦で使ったジオウミステリーフレアフォームになったことに、驚きを隠せなかった。

 

「これは……祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知らしめる時の王者!その名も仮面ライダージオウ・ミステリーフレアフォーム!まさに復活の瞬間である!」

 

「なんか……いける気がする!」

 

「何なのあれ?猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーがジオウに突撃を仕掛ける。だが、ジオウは翼を広げ宙へと飛び躱した。

 

「オシマイダ〜!」

 

再度、猛オシマイダーはジオウのいる宙へと飛んで攻撃を仕掛ける。

 

「ふぅん!」

 

だが、ジオウの攻撃はすり抜けたかのように躱された。

 

「何ですって⁉︎」

 

「はぁぁ‼︎」

 

そのままジオウのフレアドラゴンバスターの斬撃が繰り出され、背中から攻撃を食らった猛オシマイダーは地面へと叩きつけられた。

 

「これで終わりだ!」

『フィニッシュタイム!』

 

そういうと、両方のウォッチを同時に起動。

ドライバーを回すと、両肩に装備してある特殊大型デバイス装甲・ギアクロニクルショルダーの機能で特殊エネルギー『エピタフレア』を高速生成し、ジオウが両方の剣を向けてエピタフレアのエネルギーを蓄積させ、猛オシマイダーへと構える。

 

『ジオウミステリ〜〜タイムブレーク!』

「はぁ〜……はぁぁぁぁぁーー‼︎」

 

ジオウの持つ両方の剣が砲撃となって、放たれたエネルギーは猛オシマイダーに直撃した。

 

「ふぅ〜」

 

攻撃を受け、浄化されたのを見てジオウが地面へと降りる。

 

「やられちゃいました……」

 

「あのジオウの活躍、もう少し見たかったんですけどね」

 

「アンタら……帰ったら反省会よ」

 

ジェロス達が瞬間移動して姿を消した。

その時、ドライバーに装填されたジオウミステリーウォッチが再び元のブランクウォッチへと戻った。

 

「あれ?また、ブランクウォッチに?」

 

ブランクウォッチになった為、ジオウミステリーから元のジオウへと戻った。

 

「凄かったのです!時見先輩!」

 

「そのアーマーは相手の攻撃をすり抜けたかのように見えたのですが?」

 

「ジオウミステリーフレアフォームは、相手の攻撃を未来へ飛ばす事ができるからね」

 

ジオウミステリーフレアフォームは相手の攻撃を未来へと飛ばし、無効にする事が出来るのである。

 

「そんな事もできるのですか⁉︎」

 

「でもなんで、そのウォッチがまた使えるようになったの?」

 

「それって、クローバーの時のアナザーライダーを倒してから使えなくなったんじゃ?」

 

「そうなんだよね……」

 

アナザークウガ鬼火を倒した後、このウォッチはただのブランクウォッチに戻った。

だけど、今回またブランクウォッチから一回だけ復活した。

 

「ライドウォッチがお前の心に反応したから、今回復活したのかもな?」

 

「俺の心に?」

 

するとゲイツが、ライドウォッチがソウゴの心に反応したからではないかと推測する。

 

「クライアス社の話やっと、時より強い想いにウォッチが応えるって聞いたことがあるんや」

 

「強い思い……」

 

あの時思ったのは、さあやとさあやの家族達の思い出が詰まったこの場所を守りたいそう願った。丁度その時、ウォッチに光が宿り出した。

 

「ソウゴ君。ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

あの時のジオウの言葉にお礼を言うアンジュに、ジオウも優しく答えた。

 

 

それからしばらく経った後に撮影が再開され、無事に収録を終えることが出来た。

 

「ホントカッコいい」

 

「これぞ、大鍋亮子」

 

「ところでこの料理は一体誰が……撮影用にしては本格的過ぎるのでは?」

 

「確かに。誰が作ったんだろ?」

 

ルールー達が感激していると、ウォズとツクヨミは撮影に使ったネギ料理に疑問を浮かべる。

 

「僕だよ。どうせなら、ちゃんと美味しく食べられる物をね」

 

どうやらこのネギ料理は、修司が作った物だったらしい。

 

「まさか、用事ってこれだったのですか?」

 

「あはは」

 

えみるが尋ねると、微笑んでピースサインを作る。

 

「ウチの夫、凄いでしょ♪」

 

「では、これまでの回に出た料理も、レシピの監修もあなたが?」

 

「そうだよ」

 

テーブルに置かれたネギ料理を見てソウゴ達は席に着く。

 

『いただきまーす!』

 

しばらくしてから、修司の作ったネギ料理を堪能する。

 

「うん!美味しい!」

 

「「美味しい……!」」

 

「ネギしか無いのにこのバリエーション……!」

 

「ネギだけとは思えない旨さだ」

 

「うん!この味いける!」

 

「これが……ネギ⁉︎」

 

少し離れた場所で食べる麗羅と修司の元に、さあやが来る。

 

「ねえ、お母さん」

 

「どうしたの?」

 

「うん。あのね……私、本当に女優になりたいのかはまだ分からない。でも、一つ目標が出来たの。

――いつか、お母さんと共演したい。

それが今の私の夢。どうかな?」

 

「私の居るこの高みまで、登って来られるかしら?」

 

「登ってみせるよ!絶対!」

 

女優として母親と共演したい。さあやのその夢を麗羅は微笑んで応援し、さあやも笑顔で返事したのだった。

 

「ところでさあやちゃん。一つ聞いていい?」

 

「?…何ですか?」

 

すると、年配の女性スタッフ二人がさあやの傍に寄る。

 

「今あそこにいるソウゴ君はさあやちゃんの彼氏?」

 

「ふえっ⁉︎」

 

奥の席ではな達とネギ料理を食べ続けてるソウゴを指差して尋ねると、さあやが顔を赤くして驚く。

 

「さっきもさあやちゃんがピンチの時すぐに助けてくれたし、何より小さい頃から一緒にいる事多いし」

 

「さあやちゃんとソウゴ君、お似合いだわ」

 

お似合いだと言われると、頭からオーバーヒートした機械みたいに『ボンっ』と湯気が出て、彼女の顔が赤くなった。

 

「そ、ソウゴ君とはその……お、幼馴染…いや、その……!」

 

赤面塗れのさあやは必死になって彼との関係を言おうとする。

 

「僕もソウゴ君なら、安心してさあやを任せられそうだよ」 

 

「お、お父さんまで……!」

 

「ソウゴ君と交際したいなら、彼の夢の王様の隣に立てる女優として、キャリアを確保しなさい」

 

「お母さんも……!」

 

お父さんとお母さんにも、彼との外堀を埋めるかのような発言を言われて恥ずかしくなっていると…

 

「俺がどうかしたの?」

 

「ッ⁉︎」

 

料理を食べていていたソウゴが自分の事を話していると知り、さあやに尋ねる。

 

「え……っ、その……えっと……!」

 

「顔を赤いけど?大丈夫?」

 

顔が赤いと指摘されたさあやがあたふたする。

 

「し、失礼しました!」

 

「ちょ、ちょっとさあや?」

 

遂に羞恥心に限界が来た彼女は、この場から逃げるようにして出て行く。

 

「どうしたんだろ?」

 

ソウゴがみんなに聞くと、はなやゲイツ達は何故かわからなかったが、大人達は直ぐに察した。

 

「いいね〜、さあやちゃん青春してるね〜」

 

二人の姿を見た監督は、笑いながら両手の人差し指と親指で四角の枠を作り、その枠に二人を入れて呟く。

 

 

その夜、さあやが自分の部屋でずっとベッドに籠っていた。

 

「あ〜〜、どうしよう……」

 

彼女はソウゴの事を思い出し、ずっと赤面したままだった。

ベットの中で悶えていると、玄関の方からインターホンが鳴った。

 

「あっ!お父さんまだ帰っていないんだった」

 

父がいないことに気づき、すぐにさあやは部屋を出てすぐに玄関を開ける。

 

「あっ、さあや。いた」

 

「そ、そ、ソウゴ君!」

 

しかし、現れたのは父親でなくソウゴだった。その為に彼女の顔がまた赤くなった。

 

「うわぁ⁉︎」

 

「危ない!」

 

「あっ……」

 

突然ソウゴが現れて驚いたさあやは足を躓き、倒れかけると咄嗟にソウゴが彼女を支えた。

 

「ご、ごめんなさい‼︎」

 

すぐに我に帰り彼から離れる。

 

「ど、どうしたの?」

 

「これ、忘れ物」

 

ソウゴの手にはさあやのミライクリスタルがあった。どうやら、走った時に落としたようで、彼がそれを拾ってくれたようだ。

 

「……ありがとう」

 

「じゃあね♪」

 

「あっ!待って!」

 

さあやが咄嗟にソウゴの服を掴む。

 

「ん?何?」

 

「その……あの……そ、ソウゴ君は……わ…」

 

「わ?」

 

「わ、わ、私達の前からいなくならない!?……あれ?」

 

思っている事とは違うことを言ってしまったさあや。

けれど、それを聞いたソウゴは笑って答えた。

 

「何言ってんだよ。いなくならないわけないでしょ。

みんなでクライアス社を止めてオーマジオウを止める。そして、俺は最高最善の魔王になるって、約束したじゃん」

 

「…うん♪」

 

笑ってそう言う彼を見て、さあやは笑みを浮かべる。

 

「じゃあね♪」

 

「うん。また明日!

(――いつか、伝えてみる。ソウゴ君に……)」

 

さあやが手を振って見送る。

そしていつか、自身の気持ちをソウゴに伝えようと心に決めた。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第34話 2018: ビビりタイム!ビビりを克服せよ!

 

 




おまけ

二年Z組!オーマ先生〜!

オーマ先生「ここの文章にある『リント』と言う言葉の意味は―――」

大人さあや「ソウゴ君!!」

オーマ先生「さあや!?何故ここに…!」

大人さあや「ずっと探してた…!寂しかった……ッ!」

オーマ先生「!!・・・すまない、さあや……ッ!」

平成アンチ「お前達の昼メロって、醜くないか?」

オーマ先生「なっ!?何故貴様がここに居る!!」

はぐたん「授業してよ・・・」

元気ハツラツ!オロナミンC!

完
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