我が魔王は仲間と共に夏休みを過ごしていたが、そんなある日、彼らは小さな生命の誕生に立ち会うことになる……」
肝試しのあった日から数日が経ったソウゴ達は、今は楽しく夏休みを過ごしていた。
そんな時、HUGMANの植物コーナーで、ソウゴ達の学園の教師である内富士先生が来ており、そこで彼は何かを探していた。
「あれ……⁉︎」
彼はフラフラと歩きながら、何かを勘違いしてしまった様な挙動をしていた。
「何かお探しですか?」
「はい……!」
「あっ、内富士先生じゃないですか?」
「えっ?はい……」
声を掛けた森太郎が、娘の通っている学校の教師である内富士だと気付く。
「パパー!」
「やあ、はな。ルールー」
更に娘の声が聞こえた方を向くと、はなとルールーが現れる。
「あれ?先生!」
「こんにちは」
「パパ……?」
「はい。野乃はなの父です。いつも娘がお世話になっております」
「いえ……こちらこそ」
森太郎が自身の生徒の父親だと気付くと、内富士は返事を返す。
「そう言えば何かお探しだったのでは?」
「ああっ!あの……!えっと……紙オムツを……!」
どうやら内富士先生は紙オムツを探していたようだが、場所が分からず歩き続けていると、巡り巡って植物コーナーの方に彷徨っていたのだ。
「ベビー用品でしたらこの上のフロアになります」
「ありがとうございま―――す!」
上のフロアと教えて貰ってからすぐに向かうが、つまずいて転んでしまう。
「先生!」
「ごめんよ……よしよし…泣かない……」
「先生、それ肥料の袋です」
何故か肥料の袋をなだめる内富士に、ルールーが肥料の袋とツッコむ。
肥料の袋と気付いた直後に近くで赤ちゃんの泣き声が聞こえ、森太郎さんがその赤ちゃんの父親と母親である夫婦の元へ向かう。
「おやおや。これはミルクかな?」
「確かに、お腹が空いた時の声かも……ありがとうございます」
赤ちゃんの母親が森太郎にお礼を言い、夫婦でミルクをあげに向かった。
「パパ凄い!」
「はなが赤ちゃんの頃にもよくあったからね」
「立派に育って……」
「何すかいきなり……」
急に感傷に浸る様な顔でそう言う内富士に、はなは何なのだと戸惑う。
「私は、良い父親になれるでしょうか⁉︎」
森太郎に顔を近づけると、内富士先生が良い父親になれるかと相談する。
「実は!もうすぐ子供が産まれるんです」
奥の方に場所を変え、座った内富士がもうすぐ子供が産まれる事を話す。
「それは……!」
「おめでとうございます!」
「ありがとう」
喜んだのもつかの間、内富士がその事を聞かれ表情を曇らせる。
「何か心配事が?」
「はい……妻は、しっかりと母親になる心構えが感じられるんです。
しかし私は、父親として、何をしたらいいのか……
どうしたら!あなたのような父親になれるのでしょうか⁉︎」
「私は別に……」
内富士は森太郎の方に顔を近づけ、叫ぶようにして尋ねる。
「立派に野乃さんの父親をされているじゃないですか!」
「いやー、照れますなぁ」
「はなを立派と言っているのでは無いです」
「めちょっく……!」
ルールーに正論を指摘されて口癖を呟く。
「父親になる覚悟を教えて下さい!修行させて下さい!何でもしますから!」
「修行ですか……」
内富士が腹部を机に乗せ、森太郎の脇腹を抱えて頼み込むが、当の本人は困惑して考え込む。
「パパお願い!助けてあげて!」
目の前で泣き付いている教師を見て、居た堪れなくなったはなも一緒に頼み込む。
「分かりました。では明日、開店前にここへ来て下さい」
「はい!」
はなの頼みと内富士の本気の顔を見た森太郎は、明日『HUGMAN』で修行させる事を決めた。
翌日、ソウゴ達がビューティーハリーに集まり、はなから昨日の話を聞く。
「あの内富士先生がそんなに悩んでいるなんて……」
「で、今日HUGMANで父親修行を?」
「うん!」
「一体何するんや?」
「そりゃあ……修行だから……滝行?」
はなが滝行に打たれながら耐える内富士先生を思い浮かべる。
「何でやねん!」
「HUGMANに滝なんて無いでしょ」
二人と叫ぶと、彼女はそうでしたと気づく。
「もっと実用的な事じゃない?」
「オムツの替え方とか、ミルクのあげ方とか」
「あやしかたとか?」
実用的な修行だとさあやとほまれ、ゲイツの三人が考えると、ソウゴ達もそうかもと思いはじめる。
「あっ、そっかそっか。滝行しながらあげるんだ」
またして滝行を受けながらさあや達の言ってたのをしているのだと想像する。
「だから滝から離れぃ!」
「はな君の修行のイメージは、滝に打たれるというテレビによくあるのかしか無いのかい?」
「えへへへ……」
「一応言うけど褒めて無いからね」
苦笑しながらはなが笑うと、彼女は大事な事を思い出す。
「それでね今日、内富士先生が一日HUGMANに行くから、奥さん大変かなと思って、先生の家に手伝いに行く事になったんだけど……」
「あっ、だったら私も行くよ」
「私も!」
「うん!」
内富士の家に行ってお手伝いをする事になったと話すと、さあやとほまれも一緒に行くと宣言する。
「じゃ、店番は俺達でやろう」
「まぁ、私も今日は特に無いし」
「任せろ」
「分かりました」
「ツクヨミさんもルールーがいますから、それ程でも無いでしょうけど、ネズミにコキ使われておくのです」
「ネズミちゃうわ!ハリハム・ハリーさんや!いつまでこのネタやらせんねーん!」
「飽きるまで……かな?」
「それいつや!」
はなとさあやとほまれは三人は内富士先生の奥さんの手伝い、ソウゴ達はビューティーハリーの店番をする事になった。
一方、開店前のHUGMANの方では。
森太郎のパパ修行をする事になった内富士が、重そうな荷物を軽々と持ち上げる森太郎と背後の大量の荷物に驚いていた。
「では!荷物運びから行きましょうか!」
「ええっ⁉︎」
運ぶと言われ目を大きくして驚く。
「さっ、産まれる赤ちゃんの為に」
「はい!」
「チーっす!」
内富士が返事をした直後、二人の元にチャラリートが現れる。
「今日入荷のチャラリンクスのキャップが欲しいんだけど」
そう言うとチャラリートはスマホで欲しい商品を森太郎に見せる。
「申し訳ありません。まだ開店前で」
「ええっ……⁉︎」
チャラリートの目的は今日入荷する帽子の購入だったが、森太郎からまだ開店前と言われて驚く。
「困るよ!急ぐよ!午前中にチャラリンクス被ってチョビOK!イケてる動画アップ!スピードアップ!何でもしちゃうよ!イェア!」
だがそれでも待ち切れず、ラップ調で頼み込む。
「そうですか。では、その商品これから運び込みますので、ご一緒に」
「ええっ……?」
「トゥギャザー……?」
ひょんな事から、チャラリートも手伝う事になった。
その頃はな達三人は、内富士先生と奥さんが暮らしているマンションに訪れる。
「はーい」
インターホンが鳴り、先生の奥さんである由香がドアを開ける。
「「「おはようございまーす!」」」
「おはよう。夏休みなのにごめんね」
「何でも手伝います!」
「ありがとう」
はな達三人が掃除や洗濯など手伝いを代わりに行い始める。
HUGMANではチャラリートと内富士が店内へ荷物を運んだり、掃除を行い、開店してからは陳列などを行っていた。
「な、何かお探しでしょうか⁉︎」
赤ちゃんを抱っこ紐で抱えた母親に内富士が声を掛けるが、その声に驚いたのか、赤ちゃんが泣いてしまう。
「ごめんなさい!うるさいですか?」
「そう言う訳では……!」
「うるせぇなぁ。これだから赤ん坊は嫌いだよ……」
「すみませーん、あれ見せて欲しいですけど」
「はい、喜んで!」
チャラリートは自身の耳に響く赤ちゃんの泣き声に不機嫌になっていると、別の母親に声を掛けられたので笑顔へ切り替えて返事する。
「へい!」
そのまま彼は梯子を使って登り、赤ちゃん用のおしり拭きを差し出す。
「俺ちゃん、芸域が広がって来て無い?」
「ありがとうございます」
その母親はお礼を言って受け取り、この場を後にする。
「野乃さん。こんにちは」
「儲かりまっか?」
「まっかー?」
HUGMANに買い物に来て様子を見に来たソウゴとゲイツ、ハリーとはぐたんが森太郎に声を掛ける。
「ソウゴ君。ゲイツ君。ハリー。はぐたん」
「パパさん、今日のオススメ弁当何でっか?」
「でっかー!」
「見て。イケメンなお父さんね」
「な、にー⁉︎」
地獄耳で聞き取ったチャラリートが、ハリーの傍に駆け寄り、彼の全身を見回す。
「お前より俺の方がモテるんだからな」
「なっ……!フッ、あらへんあらへん。俺の圧勝や」
チャラリートの言葉に腹を立てるが、すぐさま冷静に言い返す。
「ちょっと、ハリー!」
「お前らいい加減に……」
「「うるさい!」」
ゲイツが二人を仲裁していると…
「あの喧嘩を止めてる子、中々な子ね」
仲裁の真ん中にいたゲイツが周りの母親達に褒められており、その耳が二人に入る。
「「お前より俺の方がイケメンや!」」
「あ"ぁん!?」
二人がゲイツに向かって叫ぶと、三人の瞳から火花を散らした。
「「はぁ〜……」」
その様子を見ていたソウゴとはぐたんは、ため息を吐き呆れていた。
一方、ビューティーハリーにいるえみるがお腹を鳴らせる。
「遅い!」
「ハリーお昼買って来るって言って、全然帰って来ないのです」
「道草の可能性、100%」
「あぁ〜……遅い。これなら私が行った方が良かった〜」
ツクヨミは空腹のあまりに苛立ちがMAXになり掛け、ウォズの方もお腹が減り、既に限界の様子だった。
「その方が良かったのです……お腹空いた……」
ビューティーハリーの店番をしていた四人は空腹で限界だった。
その頃HUGMANでは、三人の暑苦しい戦いが続いていた。
「何でお前が先やねん!」
「テメーがチンタラしてっからだよ!」
「俺の方が早かったぞ!」
ゲイツとハリーとチャラリートが仕事で意地を張り合い、その様子をはぐたんを抱えたソウゴと森太郎と内富士が見る。
「仲悪いのに、息が合ってるな」
「仲良きことは美しかなって言いますしね」
「おっ!上手いことと言うね〜」
「店長、ちょっとお願いします」
「はい」
ソウゴと森太郎がたわいも無い話で盛り上がっていると、森太郎が店員に呼ばれ、店員と共に何処へ行ってしまった。
「先生どうですか?修行の方は?」
「さぁ〜…上手く行ってるのか……」
内富士は不安げな表情でソウゴに返すと、何かを思い付いたのか彼に提案をする。
「先生、はぐたんを抱いて見ません?」
「ええっ⁉︎ あの、私にはその……!」
はぐたんを渡されて困惑していると、それを見て不安になったはぐたんが泣き出しそうになる。
「え、えっと〜……」
「うっうっ……うわぁぁぁぁ〜〜ん‼︎」
何とか笑わせようとしたが、遂に泣いてしまった。
「何で~⁉︎」
「うるさいっての」
「そんな事言われても~!」
内富士がなんとかあやそうとするが、慣れて無いからあたふたする。
「お、お願いします!」
「俺は赤ん坊とか……!」
内富士から頼まれ、嫌がりながらもチャラリートがはぐたんを両腕に抱える。
「うるさく……無い?」
するとはぐたんはチャラリートを見て泣き止み、はぐたんが笑い出した。
「何で…⁉︎」
「抱っこは、腰で抱くと言われています」
戻った森太郎が抱っこは腰で抱くと伝える。
「腰?」
「彼はダンスをやっているようですから、腰が安定していて、はぐたんも安心するんでしょう」
「安心……」
「さっすが俺ちゃん!俺のステップに惚れるなよ!YO!YO!YO!」
「よーよーよー!」
それを聞いたチャラリートは嬉しくなり、はぐたんを両手で抱えたまま、ステップしたりする。
「悪く無いじゃんよ……!」
はぐたんの笑顔に、チャラリートも内富士もメロメロになった。
一方、はな達も由香の手伝いを続けていた。
「何だか悪いわね」
「いえいえ」
洗濯物を持ったはなが納戸を開ける。
「えっ⁉︎」
すると納戸の中には大量の紙オムツが入っていた。
「何すかこれ……!?」
目の前の紙オムツを出すと、奥にもあった。
「奥まで全部……!」
「紙オムツで埋まってる……っ!」
「そうなのよ。足りないんじゃないかって……」
「「あははは……」」
「この前なんて、離乳食買おうとして―――」
由香が話をしていると途中で、突如お腹を抑えて苦しみ出す。
「由香さん!」
苦しみ出したのは、赤ちゃんが産まれる時に始まる陣痛が始まったからだった。
「じゃ、お願いね」
HUGMANでは内富士の修行は続いていたがそんな時、ソウゴは誰かに電話していた。
電話を切ると内富士の元へと戻る。
「先生」
「で、でも……!私では……!」
ハリーが両手で抱えたはぐたんを内富士に近付ける。
「怖がってたら、ずーっと抱っこ出来ませんよ」
「先生!頑張って下さい!」
二人にそう言われて抱っこさせるが、泣き出しそうになってしまう。
「ああ……!やっぱり……!」
「踊ってみ!踊ってみ!」
チャラリートに言われて足元を躍らせるが、体勢を崩してしまう。
「危ない!」
背後の商品棚にぶつかって尻餅を付き、その衝撃で商品が落ちて頭に当たった。
「大丈夫ですか⁉︎」
「はぐたん!」
「マイベイビー!」
「良かった……」
無事だったはぐたんを見て安堵すると、はぐたんが笑う。
「笑った……笑ってくれた……っ!」
「抱き締めて、まっすぐ向き合ってあげる。まずはそこからですよ。
何をすればいいのか、全部赤ちゃんが教えてくれます。
先生、今日は何でもやったでしょう?力仕事、掃除も、接客も、産まれて来る赤ちゃんの為にと」
「っ!それを教える為に、今日色々と私に仕事を……」
今日行っていた仕事は、これを教えるためだったと内富士が気付くと、森太郎が微笑んで話を続ける。
「不安があってもいい。それは赤ちゃんもお母さんも一緒です。みんなで、始めるんです」
「はい!」
するとここで、内富士先生のスマホに着信が入る。
「もしもし?……由香が⁉︎」
電話に出ると、ほまれから由香の陣痛が始まった事を伝えられる。
一方その頃。さあやが由香に付き添い、タクシーに乗って病院へ向かっていた。
「私達も、後から病院に向かいます。それと、正面の出入り口へ向かって下さい」
「フレフレ!由香さん!フレフレ!赤ちゃん!」
「大丈夫ですか……⁉︎」
タクシーの中でさあやが由香さんの手を両手で握って声を掛ける。
「辛いけど……嬉しい……赤ちゃんが、頑張ってる。
私達に、会いに来る……」
それを聞いて内富士先生がソウゴ達と一緒に正面出入り口へ出る。
「待ていたよ。諸君」
そこへウォズがライドストライカーに乗って駆けつけた。
「ウォズ!」
「君は確か、ナイトプールでいた……」
内富士はソウゴ達とずっと一緒にいた男性であるウォズを思い出す。
「事情は聞いてます、乗って下さい。病院まで私が送ります!」
そう言い、ヘルメットを持って前に出す。
「急いで下さい!」
「は、はい……!」
「行きますよ!」
内富士はヘルメットを被ってからライドストライカーの後部座席に乗り、ウォズの運転であさぱぶ総合病院の産婦人科へ向かった。
「頼んだよー!」
「俺達も行くぞ!」
ゲイツ達の下にゲイツ機の赤いタイムマジーンが現れ、ソウゴ達もあさぱぶ総合病院へ向かう。
あさぱぶ総合病院に、さあやと由香を乗せたタクシーが産婦人科に到着。さあやに支えられながら由香が通路を進む。
「由香さん……!」
「内富士さん!こちらへ!」
「先生……赤ちゃん……」
現れた産婦人科医の先生が、二人の元へ駆け寄る。
「大丈夫大丈夫。焦らずに行こう」
「でも……!こんなに苦しそうです……!」
「そうね。苦しいよ。でも、私も助産師さんも、一緒に戦うからね!赤ちゃんも、ママに会う為に頑張ってるよ!」
「由香!由香!大丈夫か⁉︎」
産婦人科医の先生が由香を勇気づけていると、そこへ内富士が駆け付ける。
「騒がない。どっしりする」
「は、はい」
「ゆっくりで大丈夫だよ」
さあやに代わって内富士と産婦人科の先生が由香を支え、分娩室に入る。
「間に合ったみたいだね」
「ウォズさん。ありがとうございます」
「いや、我が魔王の頼みを聞いただけだよ」
「ソウゴ君の?」
「我が魔王やゲイツ君が、ライドストライカーを使うのは流石に不味いからね」
「あっ……」
ソウゴ達がタイムマジーンやライドストライカーを操縦すると、空飛ぶ未知な乗り物や無免許運転など何かと問題になる恐れがある。それを考えソウゴがウォズに迎えを頼んだのだ。
「さあや!ウォズ!」
少ししてから、はな達も到着する。ソウゴを通じて事情を聞いたツクヨミとルールーとえみるも途中で合流し、一緒に来た。
「二人は?」
「分娩室に入った所だよ」
由香の出産が始まり、はな達は通路の方で待つ。
「どうしたの?」
「由香さん……凄い力だった」
自分の手を見つめるさあやにソウゴが尋ねると、凄い力で握っていたと答える。
「相当辛いのですね……」
「ううん。感じたのは辛さじゃなくて、お母さんの強さ……!」
「母さんの強さ……」
母さんと聞いたソウゴは、自分は顔をあまり覚えていない母親の事を考えていた。母さんも俺を産んだとき、そうだったのかな、と。
その間も出産は続き、はな達も場所を変えて待つ。
その間、誰も喋る事は無く。赤ちゃんが産まれるのをじっと待っていた。
「うわぁぁぁぁ〜ん!うわぁぁぁぁ〜ん!」
しばらく待ってから、赤ちゃんの産声が聞こえ、ソウゴ達が立ち上がる。
「やったぁ……!」
「良かった……!」
内富士と由香の赤ちゃんは、無事に産まれた。
「ふーっ」
分娩室から出た真木先生が一息付き、通路で待ってたソウゴ達の元へ歩く。
「命が産まれるって、凄いでしょ」
「はい!」
「真木先生!603号室の服部さん!」
「あいよ!そろそろだね」
真木先生は休む間も無く、次の患者の分娩に向かう。
「大変ですね」
「大変だよ。でも、この仕事最高だよ!」
笑ってそう言うと、次の病室へと向かう。それを見たさあやは真木先生を見つめる。
ソウゴ達がマスクして由香の分娩室に入り、内富士が赤ちゃんを抱きかかえる。
「凄い……じっと見ていると分かる。ちゃんと息してる……
俺が……父さんか……!」
内富士はポロポロと涙を流し、父親になった事を実感する。
「ずっと守ってやるから、安心しろ……」
すると三人から、暖かく優しいアスパワワが溢れ出す。
「頑張って下さいね。新人パパさん」
その大量のアスパワワが溢れる病院の屋上に、トラウムが立つ。
「何とまあ、アスパワワに満ちている場所だ」
すると、下にいる宅配員の女性からトゲパワワが出ている事に気付き、口元に笑みを浮かべる。
「今週の、ビックリドンドンメ~カ~!」
自分の顔を模したメカに『猛』と書かれたチップを注入し、女性からトゲパワワを取り出す。
「発注!猛オシマイダー!」
小型のオシマイダーと社交ダンスを踊り、メカにカラーコーンに挿入させる。
「ピコっとね~」
小型オシマイダーの持つスイッチを押し、カラーコーン猛オシマイダーを作り出した。
「これ……」
ソウゴ達が外を見ると、雰囲気が変わったことに気づいた。
「クライアス社……!」
「ツクヨミ!はぐたんと先生達をお願い!」
「わかった!」
ツクヨミとはぐたんを残して急いで病院の外へ走り、ソウゴ達が変身アイテムを構える。
『『『ジクウドライバー!』』』
『ビヨンドライバー!』
『ジオウ!Ⅱ!』
『ゲイツリバイブ!疾風!』
『ウォズ!』
『ハリー!』
四人はウォッチをドライバーに装填し構えると、はな達五人はプリハートを取り出す。
『アクション!』
「「「「変身‼︎」」」」
「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」
ドライバーを操作した事でアーマーが体に纏われ。プリハートにミライクリスタルをセットした五人が揃って手順を取り、姿を変える。
『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』
『ライダータイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風!疾風!』!
『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』
『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!』
「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」
「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」
「キュアマシェリ!」
「キュアアムール!」
「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」
九人が変身を完了し、猛オシマイダーに構える。
「来たねプリキュア。オーマジオウにその家臣共。ああ、年甲斐も無く気分が高揚しているよ!」
「オシマイダ〜‼︎」
トラウムの命令で猛オシマイダーがジオウ達に攻め込む。
「静かにして…ッ!」
するとアンジュが静かにしてと、トラウムとオシマイダーに言う。
「赤ちゃん達がいるの!」
「赤ちゃん達の人生は、始まったばっかりなの!」
「「邪魔はさせません!」」
「だから……!」
「みんなも静かに……!」
『はい……』
またもアンジュに注意され、ジオウ達は大人しく黙る。
「行ってらっしゃ~い!」
「「「「はああああぁぁぁっ!」」」」
猛オシマイダーが跳び、ジオウ達ライダー組は避けるとエール達も跳ぶ。
「静かに……っ!」
『はい……』
そのまま四人がキックを繰り出して吹き飛ばすが威力が低く、体勢を整えて着地される。
「ははは~!その程度のキック~!」
「静かに!」
「調子狂っちゃうなもう……」
調子が狂うもトラウムは指を鳴らす。同時に猛オシマイダーの目が光り、巨大ドリルミサイルを構える。
『静かに……ッ!』
「……ちなみにそのドリル、ホントは回転すんのね。でも音が大きくなるから、今日は回転無し。発射!」
ミサイルに付いているドリルについて説明すると、ミサイルをエール達に向けて放つ。
「お気遣いどーも……!はっ!」
エトワールが跳んでカカト落としを繰り出し、ミサイルを落とす。
「回っていれば簡単に落とされないのに……!」
「はああああぁぁぁっ……!」
エールが前に跳んでパンチを繰り出し、猛オシマイダーを吹き飛ばす。
それを見てジオウがある事に気づく。
「ゲイツ、ハリー、ウォズ、静かに倒せる方法があるんだ」
「それは、本当に行けるのかい?我が魔王」
「うん。凄く行ける気がする」
それを聞いた三人はジオウを信じて行動を行おうとする。
「お前がそれを言う時は、大体大丈夫だ」
「付き合おう我が魔王」
「俺もいいで!」
「じゃあ、よろしく!」
ジオウの考えた作戦を開始し、四人はそれぞれに分かれる。
「みんな。下がって!ここからは俺達が…」
「ソウゴ君。静かに…っ!」
「ごめん……」
アンジュの注意を受けると、ジオウがライダー達の作戦を伝える。
「わかった。お願いね」
作戦の内容を知り、エール達が離れる。
「よし…!じゃあ、赤ちゃん達がうるさく無いように…!」
「行くぞ…!」
ジオウとゲイツがジオウⅡとゲイツリバイブのウォッチを外す。
『ジオウ!フォーゼ!』
『ビルド!』
ジオウはジオウとフォーゼのウォッチを、ゲイツはビルドウォッチを使用する。ウォッチを起動させドライバーに装填し、ロックを解除すると、ドライバーを回す。
『アーマータイム! 3・2・1!フォーゼ!』
『アーマータイム!ベストマッチ!ビ・ル・ド〜!』
ジオウがフォーゼアーマーに、ゲイツがビルドアーマーへフォームチェンジした。
「はぁ!」
最初にハリーがジカンチェーンを出現させ、猛オシマイダーの動きを止めた。
「ウォズ!」
「あぁ!」
ハリーが動きを止めると、今度はウォズがジカンデスピアを持って出現させる。
「はぁ!」
『カマシスギ!フィニッシュタイム!』
ジカンデスピアのパネル全体をスワイプし、ジカンデスピアを振るってそのまま猛オシマイダーを宙へ上げる。
「行くよゲイツ!」
「ああ!」
ゲイツがジオウに捕まると、ジオウがロケットの火を燃やし猛オシマイダーを追う。
「今だ!」
ジオウを踏み台としゲイツが助走を掛け飛び上がるとドライバーを回す。
『フィニッシュタイム!ビルド!』
放物線が猛オシマイダーを捕らえる。
『ボルテックタイムバースト!』
「うぉぉぉぉ‼︎」
放物線に乗り、ゲイツが一直線で猛オシマイダーにドリルを向ける。そのままオシマイダーの胸に直撃し、そのまま回転をかけ貫いた。
「ゲイツ!」
落下するゲイツを掴み、ジオウと共に地上へと降りる。宙に残るオシマイダーはそのまま浄化され、宙で花火となった。
「オシマイダーが……花火に……」
「俺とゲイツから、生まれてきて赤ちゃん達のプレゼントだよ」
「子供……」
トラウムが子供と聞くと、一人の少女の顔を思い出した。
「ッ⁉︎…オーマジオウ。次はこうはいかないよ〜!」
トラウムはオシマイダーが消えたのを確認すると、すぐに去っていった。
その後、変身解除したソウゴ達が新生児室の窓の外から、新生児達を見つめる。
「ほれはぐたーん。友達いっぱいやなー」
「お待たせ」
「先生……その腕どうしたの……?」
内富士が戻るが、両腕が赤ちゃんを抱っこさせる状態となってた。
「いや、息子を抱っこしてたら、緊張してたのかな……ガチガチになって戻らないんだよ」
それを聞き、ソウゴ達は笑い合う。
ソウゴ達は新たな命の誕生を守ることと、その産まれた瞬間を目撃した日となった。
次回!Re.HUGっとジオウ!
第36話 2018: 希望を運ぶ和菓子
おまけ
さあや『あっ、お帰りソウゴ!』
ソウゴ『うん、ただいまさあや』
ソウゴJr『パパただいま〜』
さあやJr『ぱ〜ぱ〜』
ルールー『お帰りなさいソウゴ、お務めお疲れ様です』
さあや『あぁ〜〜、疲れた〜〜』
リトル・ルールー『お帰りお父さん♪』
『オギャ〜オギャ〜!!』
ウォズ『祝え!!我が魔王の血を引く、新たなる王者の誕生を!!』
さ・ル・ウ『・・・ふふっ』
はな「三人ともどうしたの?なんかすごいニヤついているけど・・・」
ソウゴ「へくしッ!!」
未来では、こうなる事を願います。
完