祝え!誕生日!普通の中学生 時見ソウゴ!彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
………だが、仮面ライダー響鬼…桐谷京介は響鬼を襲名していないと知り、我が魔王達はウォッチの継承をできないでいた……
それどころか私は………祝いとは…どんなものかを……忘れてしまった…………家臣失格です……」
上記のあらすじからお察しする通り、ウォズはツクヨミに自身の祝福を否定され、太鼓の訓練も投げ出し、地にうつ伏せてる状態だった。
ジオウとゲイツは二人かがりでアナザー響鬼と戦っていたが、そこへ彼らの妨害をするかのように桐谷京介が乱入して来た。
「響鬼じゃない……」
「ただの鬼……」
しかしアナザー響鬼の一撃により、京介は変身解除に追い込まれる。
変身解除された京介を助けようと、ジオウ達が彼の下に向かおうとする。
「待って欲しいっす」
「えっ?」
だがそんな中、トドロキが手を上げてジオウを止める。
しかし、アナザー響鬼は問答無用と言わんばかりに京介へ襲いかかる。
「奏太!いい加減にして!」
「っ⁉︎」
だがリズムが前に出て止めようとすると、アナザー響鬼は姉であるリズムの呼びかけに反応したのか、攻撃の手を止める。
「はぁぁ!」
その隙に、ゲイツが高速移動で繰り出したジカンジャクローの強烈な一撃を放ち、アナザー響鬼を京介から離す。
「響鬼ウォッチを手に入れようと思ったのに……響鬼じゃないならとんだ無駄骨だ。行くぞ」
「待って!奏太!」
「……」
ミューズの声に一度は止まるが、ウールはアナザー響鬼を連れてこの場を撤退して行ってしまった。
「ねぇ、奏太君って……」
「リズムの……奏の弟だよ」
「でも、どうしてその子がアナザーライダーになったの?」
何故リズムの弟がアナザーライダーになったのか、ソウゴ達にはその理由がわからなかった。
「ねぇ……」
「京介!」
変身解除したソウゴが京介に問かけようとすると、トドロキが代わりに京介の前に現れて語り掛ける。
「鬼の掟を忘れたのか?自分の弟子の不始末は師匠がつける。それが鬼の掟だ」
「お前に言われなくても分かってる」
「このままだと吉野から鬼払いが来るぞ。その甘さが、お前が響鬼を襲名できない理由なんじゃないか⁉︎」
「うるさいなっ!……ほっといてくれ」
「お前ができないなら、俺がやるだけだ……それじゃな」
無責任ともとれる京介の言葉に呆れたのか、トドロキがソウゴ達の前から去っていくと、入れ替わるように今度はソウゴが話しかける。
「ねぇ。あんたと奏太って子とは、どういう関係なのか教えてくれない?」
京介と奏太との間に何があったのかを知ろうとしたその頃、ウォズはというと……
「私は、私は……人を……祝うとは……わかってないのか………」
未だに太鼓の特訓場所からショックの影響から動けずにいた。
〈プウォ〜!タタラ〜!……♪〉
するとウォズの耳に、どこからか流れてくる音色が聴こえてきた。
「これは……」
何らかの楽器を使って奏でている演奏曲が聴こえたウォズは起き上がり、その音色に導かれるがままに歩く。
「この……音色どこから……」
歩き続けるとウォズは調べの館へと戻っていた。
「あの、オルガンから……」
ウォズが館から聞こえるパイプオルガンの前へとやってきた。
「なんて、美しい音色だ……」
「ほぅ……この音の良さがわかるのかい?」
近くでパイプオルガンの演奏を聞き、こんなに良い音色を奏でるオルガンがあるのかと感激しているウォズの耳に見知らぬ声が聞こえ、振り向くとそこには眼鏡をかけた老人がいた。
「あなたは?」
「私は音吉。君は?」
「私は、ウォズです」
名乗るとウォズはパイプオルガンを見つめる。
「このパイプオルガンは、私が調整をしてるのだよ」
「あなたが?」
「ある目的のために、これを作り上げたのだよ」
「…目的?」
「今はこの町を奏でる、この街の象徴とも言えるものかな」
「象徴……」
「お主、何やら迷っているようだな?」
「えっ?」
音吉はウォズの表情を見て、何か悩みがあると気づく。
「何を迷っているのだ?」
悩みがあるなら言ってみなさいと言われたウォズは、自分の悩みを音吉に打ち明けた。
「私は……人を祝うという事が……わからなくなったのです……」
「祝う?」
「私の……祝うは、自分が喜ぶためのものに過ぎない……そう言われ……私は祝うをわかっていないのか……」
「深く考えすぎでは無いか?」
「えっ?」
「自分が楽しむ為の祝いでは、確かに相手には伝わらないかもしれないが、祝うのには正解はない。
君なりの祝いを見つければ良いのでは無いか?」
「私なりの祝い……」
確かに、音吉の言う正解のない、自分なりの祝いを見つけることが出来れば…と、ウォズは考える。
「あれ?ウォズ、ここにいたの?」
そこにアナザー響鬼との戦いからソウゴ達が戻ってきた。
調べの館に戻ってきたソウゴ達は京介に事情を聞こうとするが、京介は響鬼のことに関しては何も話さなかった。
「いつまで黙ってんだ。俺達にあんな修行までさせておいて響鬼じゃないってどうゆうことだ?」
「答える義理はないな。プライベートの詮索はよしてもらおうか」
「彼の師匠のヒビキって、あんたのことだよね」
「ノーコメントだ」
「埒があかないな」
何を聞いても黙秘を続ける京介に、ゲイツは呆れた表情を見せていた。
「そうだ。トドロキさんなら何か知ってるかも」
その様子を見ていたさあやは、トドロキなら何か知っているのではないかと提案する。
「みんな、この人のこと、任せてもいい?」
「あ……分かった」
「ねぇ、ウォズも一緒に行かない?」
「私は、今は……」
「いいから〜いいから〜!ほらぁ!行くよ!」
ソウゴとツクヨミ、ハリー、はな、さあや、ほまれ、ウォズはトドロキにもう一度会う為にトドロキの居るあの滝へと向かった。
しかし、ウォズの表情は未だ暗いままで、ずっと音吉の言っていた“正解のない祝い”について考えていた。
「どうしたの?ウォズ。今日普通じゃないじゃん」
「なんか相談のれることあったら聞くよ」
「………相談できるわけないわよね……」
「どうゆうこと?」
「ほおっておいてくれないか、我が魔王。
これは己との戦い。私はこの戦いに打ち勝たなければならない。それを!今日中に!」
「うん!わかった……」
「何かあったの?」
「まぁ、色々とね……」
はな達がソウゴに誕生日の事を伏せながらそう誤魔化していると、ソウゴ達はトドロキのいる滝のあるテントへとやってきた。そこにいるトドロキに、響鬼について教えて貰う事になった。
「あの、響鬼について教えてくれませんか?」
「……響鬼ってのは、襲名制なんすよ」
「襲名制?」
「京介はヒビキさんの弟子で、ヒビキの襲名を目的で修行を積んでいたんすよ」
「じゃあ、京介さんの言っていた自分はヒビキだって、あながち嘘じゃないんですね」
さあやはそう言うが、トドロキは直ぐに首を横に振った。
「それはダメっすよ。襲名もしてないのにヒビキを名乗るなんて、あまつさえ弟子をとるなんて……ありえないっすよ」
「トドロキさんには弟子はいないんまっか?」
「俺には、そこまでの覚悟はないから……」
弟子は取らないのかというハリーの質問に対し、トドロキは昔の事を思い出しながら弟子は取らないと答えた。
「そうゆうもんなんだ……」
「鬼って言うのは生き方なんすよ。己を鍛え、己に打ち勝つ。それが鬼ってもんなんすよ」
「己に打ち勝つ……?そうだ!」
己に打ち勝つと言うトドロキの言葉に、ソウゴは何かを閃いた。
「ウォズ。1日だけトドロキさんの弟子にしてもらったら?」
「我が魔王、何を言いだすんだい?」
「いやいや、俺は弟子をとるつもりはないっすよ」
トドロキに弟子入りしてもらおう様にウォズへ話すソウゴに当の本人はそう言うが、ソウゴはそれをスルーしてハリーにも目を向けた。
「あっ!ハリーもやったら?」
「はぁ?何で俺が?」
「(ウォズ一人じゃかわいそうでしょ。お願い)」
「ソウゴ……」
「大丈夫。はぐたんは任せて」
「ちょ……」
『よろしくお願いします!』
ひょんな事に、ウォズとハリーはソウゴの図らいによってトドロキの弟子とされ、ソウゴ達は颯爽と去っていった。
「「……」」
そんなわけでウォズとハリーは、トドロキの一日弟子となった。
その頃、調べの館にいるゲイツ達は…
「……」
「中々話してくれないね」
「あの、奏太とはいつから……?」
奏は弟とはいつから知り合ったのか聞くが、京介はそれを無視して立ち上がり、何処かへ向かおうとする。
「何処へ行くのです?」
「お前達の知ったことじゃない」
「ちょっと!」
アコの制止も無視した京介は、何も告げぬまま調べの館から出ていった。
「俺が行く!何かあったら連絡する」
放って置けないと考えたゲイツは一人、京介を追いかけた。
ソウゴ達はウォズとハリーをトドロキの所に置いて、京介の修行場所である太鼓の所へとやってきた。
「いいの?ウォズさんを置いて来ちゃって……」
「ウォズの悩みも晴れるといいな~」
「はぁ~……そんな大した悩みじゃないけどね~」
ウォズについて考えているソウゴにツクヨミがそう言いかけると、彼女の持つファイズフォンXから着信が入った。
「ゲイツから……」
電話の相手はゲイツからだった。
「みんな!ゲイツ達が……!」
その頃、京介が気になって追いかけたゲイツはアナザー響鬼を見つけ、すぐさまアナザー響鬼に応戦していた。
「やめろ!手を出すな!」
だが鬼に変身した京介は、再度アナザー響鬼と交戦するゲイツの邪魔をする。
「目を覚ませ奏太。鬼としての誇りを思い出すんだ!」
「俺に任せろ!」
ゲイツと京介変身態が揉めていていたその隙に、アナザー響鬼の二つの棍に炎を纏わせた一撃を受けたゲイツと京介変身態は階段から転げ落ちる。
「ゲイツ!」
二人が衝撃で肺から息を漏らしている所へソウゴ達が現れ、ジオウウォッチⅡを起動させる。
『ジオウⅡ!』
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』
ソウゴがジオウⅡへと変身すると戦闘に加入し、ゲイツ達と共にアナザー響鬼を止めようと試みる。
「やめろ!俺の弟子に手を出すな!」
「この子は苦しんでる!だからすぐに助けないと!」
『ジオウサイキョウ!』
手を出すなと命ずる京介変身態にジオウはそう答えると、サイキョーギレードのプレートを回転させエネルギーを蓄積させた。
『覇王斬り!』
そのままアナザー響鬼に覇王斬りを放とうしたが、その時…
「ぐわぁぁぁぁ‼︎」
突如京介変身態が前に出て、ジオウが放った覇王斬りからアナザー響鬼を庇った。
「あっ……」
「…っ⁉︎」
ジオウが動揺しているその隙に、アナザー響鬼はその場から逃走した。
しばらくして、ソウゴ達は再び調べの館へと戻った。
「皆さん!どうしたのですか⁉︎」
「心配するな。大した問題はない」
ゲイツは問題ないと言う。
「大丈夫ですか?」
ジオウの攻撃をモロに受けて、怪我はないかと思ったツクヨミが京介に声をかける。
「大丈夫なわけねーだろ」
怪我こそはなかったが大丈夫ではないと怒鳴る。
「……ごめん」
「謝る必要はない。悪いのはコイツだ」
「もう、放っておいてくれ」
ソウゴ達にそう言うと京介は背を向け、歩き出す。
「君は、自分だけの力で解決しようとしてないか……?」
すると音吉が現れ、京介に自身だけで問題を解決するつもりなのかと告げると足を止めた。
「君の事情はともかく、私の孫にとってあの子は、大切な存在なんだ。教えてくれないか?」
「おじいちゃん……」
音吉とアコの様子を見たソウゴがもう一度京介に話しかける。
「奏太君を助けたいんだよね?俺達も手伝うよ」
「……」
「教えて下さい!私は姉なんです!」
奏からソウゴ達に奏太の事について話して欲しいと言われ、京介はようやく口を開く。
「俺が……初めて、この町に来た時だ……」
――それは、一年くらい前のことになる。
師匠であるヒビキに響鬼を襲名してもらう為、京介は修行を続けていた。そして、この町を修行の場所として拵えていた。
『はぁ!』
京介は真剣に太鼓を叩き、響鬼に近づく為に修行をしていた。
そんなある日……
『凄え……』
『…?』
いつも通り太鼓を叩いていた時。偶然、自身の奏でる太鼓の音を聞きつけた子供が彼の下にやってきた。
『ねぇ!それ俺にも教えて!』
そう、その太鼓の音を聞きつけてやって来た子供。それが奏太だった。
その時の彼は、京介に憧れを抱いていた。
『こうか!』
京介は奏太に棒を渡し、太鼓を叩かせた。
そんな太鼓を叩く奏太を見て、京介はかつてヒビキの弟子として必死に修行に取り組んでいたかつての自分と重なった。
『お兄さん!名前なんて言うの?』
『俺は……桐谷京介……響鬼だ』
京介は自分は響鬼だと嘘を付き、奏太を弟子にした。
しかしある時、自分が響鬼を襲名していないと知った奏太は、京介の前から出ていった。
「それが、奏太との出会いだっんだ」
「ですが何故、嘘をまで言い自分を響鬼と言ったのですか?」
確かに京介に憧れていたのなら、自分が響鬼だと嘘を言う必要なかった。
しかし京介は、奏太に嘘をついて弟子入りを認めてしまった。
「俺は……ただの鬼。弟子なんて本当は取ってはいけないんだ…」
ただの鬼だから弟子は取ってはいけない。だから、自分を響鬼だと嘘を言ったのだと京介は自白した。
「ねぇ。どうして響鬼を襲名できなかったの?」
「聞きにくい事をズケズケと……」
「…ごめん」
「…俺は師匠のヒビキさんのようにはなれなかった……それだけだ」
「どんな人なの?」
ソウゴに自身の師匠について教えて欲しいと言われた京介は、自身ともう一人の弟子と共に師匠と修行をしていた時、そして色んな魔化魍と戦っていた師匠の姿を思い浮かべた。
「ヒビキさんは、何があっても諦めない人だった。男らしくて、強くて。俺の憧れだった」
京介の言うヒビキさん。話を聞いているだけでも、ソウゴ達は京介がその人をどれだけ慕っているのかが伝わって来た。
「だけど、俺は襲名も出来ず奏太に自分が響鬼だと……」
京介は奏太に、自分が響鬼だと嘘を言った事を機に病むが、ソウゴは「そんな事ないと思うよ」と励ます。
「何?」
「奏太にとってはあんたは響鬼なんだよ。本物とか偽物なんて関係ない、あんたに憧れたからきっと奏太も鬼になりたいと思ったんだよ」
「奏太……」
「助けよ。みんなと一緒に!」
ソウゴがみんなへと振り向くと全員頷き、京介も立ち上がって頷く。
そこへ、ツクヨミからアナザーライダーの情報を教えられた。
「ソウゴ!アナザー響鬼の目撃情報が入った!」
「行こう」
ソウゴ達はアナザー響鬼が現れた現場へと急ぐ。
その頃、ウォズとハリーはトドロキの1日弟子入りをしていた。
「お、重い……」
ハリーは重い薪を担ついでおり。
「何故私が洗濯を……」
そしてウォズは愚痴を呟きながら川で洗濯をしていたが、途中で手にあったふんどしに驚いて背中から川へ転がり落ちる場面があった。
「あぁ。竈作るから石集めて来てください」
しばらくし、ウォズはトドロキに言われた通りに石を重たそうに運んで来た。
「ウォズ。大丈夫か……」
「はぁ、はぁ……こんな事をしている場合ではないのに……」
「じゃあ何がしたいんすか?」
「私は……祝福がしたい」
トドロキに何がしたいのかと言われたウォズは、今自分が一番したいことを打ち明けた。
「……でも、どうやったらいいか分からなくなってしまった」
「簡単なことじゃないすか」
「簡単って……」
「我が魔王の生誕にふさわしい祝福が、簡単であるはずがない」
「俺の師匠は、死んでまで俺のそばにいてくれようとしたんすよ」
トドロキの師匠……それは、斬鬼と言う男だった。
彼はトドロキのために死を覚悟で、弟子であるトドロキのために、最期まで必死に師匠として弟子に自分の意思を貫いた。
「今でも思うんすよ、師匠がいてくれたら、なんて言うかって。力になってほしいって」
「それと何の関係が……」
「そばにいるって、それだけで凄いことじゃないすか」
「そばにいる?」
「君の存在が、祝福そのものっすよ」
それを聞いて、ウォズはいつも楽しく日々を過ごしていたソウゴ達の笑顔を思い出す。
「そうか。ありがとう。鬼よ、大切な事を学ばせてもらった」
ウォズはそう言うと立ち上がって、「おい!ウォズ!どなんしたんや!」と声を掛けるハリーを置き去りにして立ち去る。
「あれ?喰わないんすか飯!」
そのままウォズは悩んでいたのが噓のように、全速力で走っていった。
「お、おい!ウォズ!」
ハリーは直ぐに出ていったウォズを追いかけようとする。
「待って欲しいっす!これ!」
トドロキがハリーを止め、何かを渡そうとする。
アナザー響鬼が工場で作業員を襲っていたところに、ソウゴ達が駆けつけてきた。
ソウゴ達はドライバーを構え、変身しようと試みる。
「ちょっと待ってくれ!」
だが京介は、変身しようとするソウゴ達を止める。
「奏太!いるんだろう!」
京介が近くにいるはずのアナザー響鬼に向けて叫ぶ。
「俺は渋々、お前を弟子にしたんだ」
「!?……ふざけるなっ!」
隠れているアナザー響鬼が京介の言葉に叫ぶ。
「だけど……お前の存在が俺を支えてくれた。お前が俺を…一人前の鬼にしてくれたんだ!」
「っ⁉︎」
アナザー響鬼は京介の言葉を、黙って倉庫の入り口で、それを聞いている。
「だから絶対に、お前を救って見せる!」
そう叫ぶとアナザー響鬼がソウゴ達の前に現れた。
すると、小さな鳥のような形をしたディスクが現れてアナザー響鬼に衝突し、アナザー響鬼を混乱させた。
「何あれ?」
「あの、ディスクは……」
「ようやく。答えが出たな京介」
すると後ろから、優しい顔のかなり鍛えられた体付きをしたおじさんが現れた。
「誰?」
「ヒビキさん…」
「ヒビキ……この男が仮面ライダー響鬼か……」
ゲイツの言う通り、この男性が仮面ライダー響鬼であり、京介の師匠のヒビキだった。
「ヒビキさん、何故ここに?」
「ずっと、見てたんだけどな。お前とお前の弟子の修行も」
「えっ?」
「鬼としての覚悟が見えたいま、これをお前に渡す」
そう話すとヒビキは京介の腕を掴み、その手に何かを渡す。
「今日から、お前が響鬼だ」
それは京介の使う、音叉の部分だけ違う色をしていた音角を託した。
「ヒビキさん。ありがとうございます!」
京介は響鬼の音叉を受け取り、アナザー響鬼の前に出た。
「行くぞ!奏太!」
京介は響鬼の音叉を展開し、指に当て音叉を鳴らす。
〈ピィィーーーン!〉
響き渡る音叉の音が京介の額に鬼の紋章らしきものを浮かび上がらせ、紫の炎をその体を纏う。
「ふぅ〜〜〜……はぁッ!」
腕でその身体に纏った紫の炎を力強く払い、現れたその姿は、紫色と鬼のようなシルエットのライダー。
間違いなく、今度こそ本当の仮面ライダー響鬼となった。
「じゃあな、京介。シュッ!」
薬指と小指を若干曲げた状態で、手首をスナップを利かせて一回まわした後に前に軽く振るとヒビキは去っていった。
「ヒビキさん。あなたの意思……引き継ぎます!行くぞ奏太!」
響鬼がアナザー響鬼へと戦いに挑む。
「祝え!……新たなる響鬼の誕生を!」
「ウォズ……」
そこへタイミングよくウォズが現れ、響鬼に祝えと叫ぶ。
「我が魔王。私らしくない姿を見せてすまない」
「もう悩みはいいの?」
「悩み?そんなものはもう捨てた」
どうやらトドロキの特訓でウォズの悩みは晴れたようだと、ソウゴは安心の笑みを浮かべた。
一方の響鬼は、音撃棒でアナザー響鬼を圧倒。しかしアナザー響鬼も、二つの棍に炎を纏わせて反撃に出ようとする。
「奏太……」
「俺達も……」
「お待ちを」
ソウゴ達も参戦しようとする中、突如として仮面ライダーリストルが現れ、アナザー響鬼を捕まえると後ろから既に用意した前回と同じ太鼓型の猛オシマイダーが出現した。
「さぁ、融合するのだ!」
そのままリストルはアナザー響鬼を放り投げると、アナザー響鬼が猛オシマイダーに取り込まれた。
すると猛オシマイダーの顔が響鬼のような赤い隈取りと闘牛の様に巨大な角が付いたものに変わり、背中には羽衣、腹部には直径2m程の大太鼓が設置され、全体的にアナザー響鬼が巨大化したかの様な姿へと変わった。
「『猛オシマイ響鬼』の誕生!」
リストルが作り出した猛オシマイダーとアナザー響鬼が融合した事で、猛オシマイ響鬼が誕生した。
「オシマイダ響鬼〜!」
オシマイダーは両手に金棒の様なバチを持つとそこに炎を纏って、火炎玉のようなものを響鬼へと放つ。
「奏太!」
響鬼はオシマイ響鬼の変身者である奏太の名を叫ぶと、その攻撃を転がりながら躱していく。
「何あれ?」
「オシマイダーとアナザーライダーが融合したんだ!」
アナザー響鬼が猛オシマイライダーとなり、リストルまでも現れた為ソウゴ達は直ぐに動き出す。
「みんな!行こう!」
「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!はぎゅ〜!」」」」」
「「「「レッツプレイ!プリキュア・モジューレション!」 」」」
プリハートとモジューレにミライクリスタルとフェアリートーンをセットし、九人が揃っていつもの手順を取り姿を変える。
九人は光に包まれ、やがて光が消えると彼女達はプリキュアへとなった。
「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」
「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」
「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」
「キュアマシェリ!」
「キュアアムール!」
「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」
「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ!」
「爪弾くはたおやかな調べ!キュアリズム!」
「爪弾くは魂の調べ!キュアビート!」
「爪弾くは女神の調べ!キュアミューズ!」
彼女達が変身完了すると、ソウゴとゲイツはジクウドライバーを装着し、ウォズはビヨンドライバーを取り出す。
「では、我々も行こう」
「うん!三人で行くよ!」
『ジオウトリニティ!』
「「えっ?また!?」」
ソウゴはジオウトリニティウォッチを起動し、ドライバーへと装填してウォッチを回す。
『ジオウ!ゲイツ!ウォズ!』
三人が光が包まれ、包まれていたゲイツとウォズの体が腕時計のように変わってジオウの体にはめ込まれ、ジオウの身体も変化を始めて仮面が中央へと移動する。
『トリニティタイム!三つの力、仮面ライダージオウ!ゲイツ!ウォズ!トーリーニーティー!トリニティ‼︎』
ジオウトリニティへと変身を完了した。
「ひれ伏せ!我こそは仮面ライダージオウ・トリニティ!大魔王たるジオウとその家臣、ゲイツ、ウォズ、三位一体となって未来を創出する時の王者である」
ウォズがいつもの口上を済ませると、響鬼とプリキュアのみんなと並び立つ。
「それやらないと駄目なのか?」
「もちろん『違う!』」
所有権がジオウに戻り、違うと叫ぶ。
「もう!駄目って訳じゃないけど……」
「どうでもいいだろ‼︎」
それを見ていたスイートプリキュアは、ジオウトリニティのこの光景にデジャヴを感じた。
「なんか、同じような……」
「おなじ?」
「この光景、晴夜と龍牙に似ている」
「晴夜さん?」
「龍牙とは、誰ですか?」
「そうか、二人はまだ会ってなかったよね」
「晴夜と龍牙は、ソウゴ達と同じ仮面ライダーなんだよ」
マシェリとアムールにビルドとクローズである晴夜と龍牙のことを話す。
「そういえば、あの二人も一緒に変身すると、よく喧嘩するよね」
リズム達が何度か見た二人が変身した姿、クローズビルド。あれになると二人はよく喧嘩しているのを思い出し、ジオウトリニティもそれによく似ていた事を思い浮かべた。
「ライダーって、一緒に変身するのやな癖に結局一緒に変身するって、オネなの?」
『⁉︎』
「「「違う‼︎」」」
ソウゴ達が痴話喧嘩していると猛オシマイダーが口や棒から火の玉を放つ。ジオウ達は一斉にその攻撃を避けた。
「とにかく、リストルは任せて!みんなで鬼退治をお願い!」
「あぁ!待ってろ奏太!」
「「行こう‼︎」」
響鬼とエールとメロディ達は猛オシマイ響鬼を止めようと向かう。
「じゃあ、こっちも」
ジオウトリニティもリストルに体を向ける。
「見せてもらう。ジオウトリニティの力を!」
リストルがジカンロッドを構える。
「時間が惜しい。最速で片付けよう」
「うん!」
「あぁ!」
対するジオウトリニティはジカンデスピアを構える。
「はぁぁ!」
ジオウトリニティのジカンデスピアとリストルのジカンロッドが何度もぶつかり合い、お互いに一歩も引かない戦いが始まった。
「ウォズ!変われ!」
するとゲイツに主導権が移り、一度リストルから離れる。
『ジカンザックス!You!Me!』
ジカンザックスにゲイツウォッチを装填し、ジカンザックスの弦を弾く。
「はぁ!」
ジカンザックスから放つ攻撃はリストルに避けられてしまった。しかし…
「はぁぁ!」
『ライダー斬り!』
リストルが射撃に気を取られた隙にジオウによるサイキョーギレードの攻撃が決まった。
「…ッ!」
「行くよ!ゲイツ!ウォズ!」
「おぉ!」
「あぁ!」
ウォッチを起動させ、ドライバーを回転させるとジオウトリニティは高く飛び上がる。
『フィニッシュタイム!』
「⁉︎ なっ……」
『トリニティタイムブレークバーストエクスプロージョン!』
「ぐわぁぁぁ!」
キックの文字が重なり、ジオウトリニティのライダーキックがリストルの胸に決まるとリストルが倒れる。
「ふぅ……」
ジオウトリニティが着地すると、リストルが攻撃を受けた部位を抑えながら起き上がる。
「これが……ジオウトリニティ。これが今の君の力というわけか?」
「俺だけの力じゃない。俺達みんなが望んだ未来に向かう為の力だ」
「……(どうやら、我々の計画に少し修正が必要なようですね…)」
リストルは小声で呟くと、ジオウトリニティの前から瞬間移動ですぐに去っていった。
一方、プリキュアと響鬼は猛オシマイダ響鬼に苦戦していた。
「「ヤァァァ!」」
エールとメロディがパンチを繰り出し、そのまま連続でラッシュを繰り出し続ける。
「はぁぁ!」
今度はスイッチでアムールとリズムがラッシュを繰り出す。猛オシマイ響鬼は反撃の為に火の玉を彼女達に放った。
「ビートバリア!」
「フレフレ!ハート!フェザー!」
アンジュとビートがバリアを展開し、二人が同時に作り出したバリアは火の玉を弾く。
「スター!スラッシュ!」
そこへスタースラッシュを受け、猛オシマイ響鬼が怯んだ。
「「はぁぁぁーー‼︎」」
最後にマシェリとミューズにダブルキックを繰り出し、猛オシマイ響鬼のバランスを崩す。
「ッ……オシマイ……ダ〜!」
怒りに満ちた様な咆哮を上げると、腹部に設置していた大太鼓を二つの棍に炎を纏わせながら連続で叩き始めた。
すると今度は、腹の太鼓を叩いて力を溜めていたのか、口元で溜め込んだ巨大な火の玉を一気に放ち、再び反撃に出る。
「はぁ〜〜……はぁ!」
すると響鬼は音撃棒・烈火の炎を放ち、猛オシマイ響鬼の放った火の玉を相殺させた。
「よし!」
響鬼は高く飛び上がり、巨大な火の玉発射で体力を使って動きを鈍らせていた猛オシマイ響鬼の頭に乗る。
「はぁ!」
――音撃打・猛火怒濤――
響鬼はそのままベルトのバックル部分に装着されている音撃鼓・火炎鼓を頭部に埋め込むと、音撃棒で清めの音を頭上から叩き、清めの音をオシマイ響鬼に直接流しこんで行く。
「奏太。待ってろ!もう少しだ!」
するとエール達は、猛オシマイダ響鬼からトゲパワワが急激に落ちていくのを感じた。
「「みんな!」」
響鬼くれたチャンスを彼女達は無駄にしない為に、直ぐにトドメを刺すための準備を行う。
「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」
「「「「出でよ、全ての音の源よ!」」」」
ミライパッドがメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出し。メロディ達はフェアリートーン達の力を注ぎ、クレッシェンドトーンを召喚する。
「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」
エール達が右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。
「「「「届けましょう、奇跡のシンフォニー!」」」」
メロディ達四人は両腕をクロスし、クレッシェンドトーンの金色の光の炎と一体化する。
「「「「「プリキュア!チアフルスタイル!」」」」」
メモリアルクロックの扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がチアフルスタイルに変身する。
「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」
そのままエール達はパワーをメモリアルキュアクロックに集める。
「「「「プリキュア!スイートセッション・アンサンブル!クレッシェンド!」」」」
スイートプリキュアは猛オシマイ響鬼に向かってスイートセッション・アンサンブル・クレッシェンドを放つ。
「「「「「プリキュア!チアフルアターック!」」」」」
さらに六色のクローバー型エネルギーのチアフル・アタックを放った。
二つの大技を見た猛オシマイ響鬼は、最後の力を振り絞って腹太鼓を我武者羅に叩き音波を出して技を相殺しようとしたが、彼女たちの放った技は全くと言っていいほど威力を殺せてなかった。
「「「「フィナーレ!」」」」
紫、赤、黄色、水色、ピンクのハートの順に猛オシマイ響鬼にぶつかり、最後にはぐたんがハグするポーズをして虹色のハートに包み込み、猛オシマイ響鬼を浄化した。
それと同時に奏太も解放され、罅の入ったアナザー響鬼ウォッチも摘出された。
「ん……師匠」
「奏太……すまなかったな」
「いや……心配かけてごめんなさい」
奏太も自分がやっていた事を反省しているようだ。
「「奏太!」」
「姉ちゃん、アコ……」
「ばか……」
ミューズが奏太に泣きながら抱きつき、それを見て良かったと全員感じる。
それからソウゴ以外のみんなはこの後大事な用があるといい、さっき帰っていった。
「ほら」
京介は響鬼ライドウォッチをソウゴへ渡す。
「いいの?だって、せっかく響鬼になれたのに」
「かまわない。俺は俺の道を行く。そして、ヒビキさんみたいな鬼になる。だからお前も、魔王とやらになってみせろ」
「もちろん。頑張ればできないこともない。もちろん奏太もね!」
「京介さん!もう一度俺を弟子にして下さい!」
奏太は京介にもう一度弟子にして欲しいと頭を下げた。
「あぁ、一緒に頑張ろ奏太」
京介は優しく奏太の肩に手を置く。
「はい!俺、絶対にもう諦めない。今度こそ本当の鬼になって見せる!京介さん!俺、絶対にあんたから響鬼を襲名して見せます!」
「ふっ。響鬼を襲名するのは辛いぞ!」
「臨むところだ!」
師弟愛が戻り、それを見たソウゴは嬉しいそうに見つめる。
「よかったね。じゃあ、俺は……」
「ソウゴ兄ちゃん!」
奏太が帰ろうとしていたソウゴに話しかける。
「俺が響鬼を襲名出来たら、今度は一緒に戦ってくれるか!」
もし同じ仮面ライダーになれたら共に戦おうと言う意味でソウゴに言う。
「うん。立派な鬼なってよ!俺も最高の王様になるから!」
「俺も立派な鬼なるぜ!」
二人は己の夢を語り合うと、ソウゴは奏太は互いに熱い握手した。
しばらくし、ソウゴはビューティーハリーへとやってきた。
「あれ?誰もいないのか?」
いつもならビューティーハリーにはみんながいるはず。だが部屋の中は真っ暗で、人のいる気配すら感じない。
「みんな!どこ!」
ソウゴが中を歩き続けリビングへと入る。
すると、突如してリビングの電気が付いて、ソウゴの前から皆んながクラッカーを持って現れた。
「うおぉ!」
「「「「ハッピーバースデー!!!」」」」
クラッカーの破裂音と共に響く「いえーい!」というはな達の歓声をBGMに、いきなり事でソウゴが驚いていると、壁に『HAPPY BIRTHDAY!ソウゴ!』と描かれた幕が貼られていた事に気付く。
「そっかー、忘れてた~。俺、今日誕生日か!」
「お前に知られないように朝からみんなで、用意してたんだ」
「みんな……ありがとう♪」
「おめでとう!ソウゴ!」
「いや〜めでたいな!ソウゴ!」
「ソウゴが今日から14歳!」
14歳の誕生日をみんな祝ってくれる。ソウゴにとって、こんなに祝ってくれたのは初めての経験だった。
「そうや!これ貰ったで!」
するとハリーが何かを取り出した。
「どうや!」
「それ……」
なんと、ハリーが持っていたのは轟鬼のライドウォッチだった。
「トドロキはんから貰ったんや」
あの後、トドロキの特訓を続けていたハリーはトドロキからウォッチを託された様だ。
「そうか、響鬼ウォッチが出来たから……」
「いや〜今日はいい事が多いな〜」
初めてのウォッチゲットにハリーはご機嫌だ。
そして、リビングから台車に乗った大きな誕生日ケーキが出てきた。
「凄え〜!このケーキ!」
ケーキには、ライドウォッチの形をしたクッキーが置かれ、てっぺんにはジオウのチョコがあった。
「そのケーキ。奏さんの家でさあやが一生懸命作ったんだよ」
戦いの後、みんなは急いでケーキ作りの準備をし、ソウゴが帰ってくる前になんとか作り上げたのだ。
「ありがとう!さあや!」
「うん……」
ソウゴが笑顔でお礼を言うと、顔を赤くしてさあやが照れる。
「時見先輩!聞いてください!」
「私達からの誕生日ソングです!」
えみるとルールーの二人がギターを部屋中に響かせ、ソウゴへ送る誕生日ソングを歌う。
曲は『HAPPY BERTHDAY!』。
「内緒のまま好きな〜あなたの誕生日……♪」
「空は青く晴れて〜涙がこぼれたの〜♪プレゼントを抱え〜友達が集まる……♪」
「「ハッピーバースデ〜!マイフレンド〜!」」
「えみる!ルールー!ありがとう!」
二人の誕生日ソングが終わり、最後を飾るのは……
「祝え!まさに14年前の今日、我が魔王はこの世に生まれ落ちた!」
ウォズの祝福が始まった。
この日の為にウォズは、数日前から祝福のイメージトレーニングを続けてきていた。
「花よ!咲き乱れよ――」
しかし、いくらウォズが祝福の鬼を自称しようと、絶え間なく祝儀の言葉を言い続けるのは不可能。何故なら人は言葉を言い放つ際に、必ず呼吸を行うからだ。
特にウォズの場合、この祝福に全身全霊をかけている状態でもある。今の彼には息継ぎをする暇など無いのだ。
「鳥よ!歌え――」
だからウォズは、その不可能を可能にすべく、特殊な『呼吸法』を生み出した。
この呼吸法は、実はアナザー響鬼の事件の間に行った太鼓演奏からその片鱗を見せていた。
この時のウォズは祝福の亡霊に取りつかれたのではないか?と思うくらいに熱中していた。とはいえ、彼にも体力に限りがある。体力があり限り、いつかはその熱量も終わりの時を迎える。
だがそうはならなかった。実際にツクヨミが止めなければ、ウォズはあのまま太鼓を叩き続けただろう。
何故なら彼はこの時すでに、その特殊な呼吸法をある程度にまで確立していたからだ。
この呼吸法は一度に大量の空気を吸うことで、肺に空気が残ってる限り祝儀の言葉を息継ぎなして言い放つことが出来。体中に大量の酸素を送り込むことで、どんなにも激しい動きにも対応できるようにするのだ。
これはソウゴ達は勿論、ウォズも詳しくは知らなかった事だが、オーマジオウのドライバーには無尽蔵かつ膨大なエネルギーを生体エネルギーに変換し、己の身体能力を遥かに超える戦闘でも半永久的に続行可能とする機能がある。(68歳という高齢でも激しく動くことが出来るのもこれのおかげなのだ)
要するにこの呼吸法は、ほんの短分間限定にだが、その力を疑似的に再現できるのだ。
「生きとし生ける全ての者達よ―――!」
そして、音吉とトドロキのアドバイスを聞き、なんで自分がソウゴを祝いたいと思ったのかという
祝いの意味を悟り、祝福を極めた、ウォズが送る
「その全身全霊をもって祝福するがいい!我が魔王の生誕の日を!」
―――祝の呼吸~オーマジオウ神楽~―――
「え?魔王?王様でしょ?」
「そう!王様!間違いです」
圧倒的熱量の篭った祝儀の言葉を言い放って充実感に満ちた顔でいるウォズの近くで、彼の言葉の中から魔王と聞いた順一郎に、ハリーがうまくごまかしていた。
「ウォズ!ありがとう」
「ウォズ面白かったわよ!どうやって祝ったらいいか、ずーっと悩んでたんだから!」
「ウォズ~!それで暗かったの?もう!」
ソウゴは笑いながらウォズを見ると、本人は額から流れる汗を拭いながら、清々しい笑みを浮かべながら口を開く。
「初めから悩む必要などなかった。私が我が魔王の側にいる事が、何よりの祝福なのだから」
音吉やトドロキの助言により、自分がやりたい祝福を改めて感じることが出来た事を。
「はぁ……何かよく分からないけど……みんなありがとう!」
取り敢えず、ウォズの悩みが晴れた事でソウゴはケーキに刺されたろうそくの灯を消す。
『おめでとう!』
一同、ソウゴへ拍手する。拍手が終わると、順一郎がみんなにお皿を配った。
「さ、みんな食べて食べて!今日は腕によりをかけて作ったんだから!」
『いただきますーーーー‼︎』
みんながお皿を取り、ケーキや料理を取ってご馳走にありつく。
今日は修行や襲名や継承。色々とあった一日だったが、ソウゴは14歳最高の誕生日をみんなと祝えて満足だった。
「かくして、また一つのウォッチが我が魔王の元へ。
残るウォッチはあと4つ。
次に力を受け継ぐべき仮面ライダーは―――」
次回!Re.HUGっとジオウ!
第41話 2068: 真意!切り開く新たなフォーム!
おまけ
カッシーン「我が魔王、ウォズから誕生日ケーキが届きました」
オーマおじさん「おお、来たか。相変わらずでかいケーキだな」
カッシーン「我が魔王、若かりし日の我が魔王に向けてチャラリートとパップル、ダイガンから誕生日プレゼントが送られたそうです」
オーマおじさん「おお、来たか。急ごしらえで準備した感があるが、まあいいだろう」
カッシーン「我が魔王、プレジデント・クライから誕生日プレゼントが送られてきました」
オーマおじさん「おお………あいつ、私の嫌いな色のプレゼントよこしやがったな・・・
取り敢えず『鬼滅の刃の世界』から縁壱呼んで来るか・・・」
今日も2068年は、平和であった。
完