我が魔王はビルドの力を手に入れ、覇道の歩み出す。
そして今回、我が魔王は、新たな力を手にするべく次の試練に挑む。
それは、ゲームと天使の誕生……おっと、読みすぎてしまいました。では、どうぞ」
――とある場所で、一人の少年と一人の少女が対峙していた。
「だめだったみたいじゃない?ウールが擁立しようとした、仮面ライダービルド」
「オーラ、なんで本部の君がここに?」
ウールの前には今、水色の服を着てホワイトピンクな羽飾りを黒い髪に着けた少女――オーラが腕を組みながら立っていた。
「社長に頼まれたのよ。この時代に行けってね」
「ちょっと、邪魔が入ってね」
「邪魔?誰に?」
「ジオウだ」
「わざわざ来たの?ほんと、めんどくさいジジイ!」
「そっちじゃない、若いジオウ。まだ化け物じみた強さじゃないけど気をつけるんだね、オーラも新しい時の王者の候補を探してるんだろ?」
「ご心配なく。私は私で、とっておきを仕込み済みだから」
時は2016年。
そこには、一人の少年が担架で救急車へ運ばれ、それを心配そうな表情で付き添う父親の姿があった。
救急車へ少年が詰め込まれたとき、突如父親以外の時が止まる。
唐突な超常現象に困惑を極める父親の前に、オーラが姿を見せる。
「誰だあんた。何が起こってるんだ!」
「私はクライアス社タイムジャッカーチームのオーラ。あなたに、ちょっとだけ悪い知らせと、めちゃくちゃいい知らせがあるの!」
二人で何か取引のようなことを話すと、オーラは黒いウォッチを取り出しボタンを押す。
『エグゼイド…!』
彼女はそのまま、そのウォッチを父親の体に入れる。
すると父親の姿を心電図のような線が入ったゴーグルと、ピンク色の頭部を持った怪人へと変貌させられ、胸部には"EX-AID"と刻まれた。
「おめでとう。今日から貴方が仮面ライダーエグゼイドよ」
現代、2018年。
ラヴェニール学園ではこの間の事件――プリキュアが怪物を倒した話が周りで騒がれていた。
「言いたくても…あぁ〜ヒーローは辛いぜ!」
はなはハリーとの約束でプリキュアのことは言ってはいけないと止められていたが、自慢したいという思いがいっぱいだった。
「元気だな、野乃さんは……」
「時見君、大丈夫……?」
声のした方を向くと、席でぐったりしているソウゴがいた。
「大丈夫というより……視線が痛い」
「視線……? あっ」
チラッと見た方に目を向けると、教室のドアから彼をジッと見つめるゲイツとツクヨミの二人の姿があった。というより、今日一日、二人に行動を全て監視されソウゴはかなり疲れていた。
「あ〜……あっ、そうだ。薬師寺さん、図書室ってどこにあるの?」
はなはソウゴの隣の席に座る、薬師寺さあやに話しかける。
「案内しようか?」
「えっ、いいの?」
「もちろん」
「委員長。このプリント」
するとさあやの前にクラスメイトのひなせが現れた。
「先生に提出するのね。後でクラス日誌を渡す時に一緒に渡しておくね」
「サンキュー、委員長!」
「どういたしまして」
プリントをさあやに渡して去っていく。
「薬師寺さんって本当優しいね」
「委員長には誰にも優しくて!」
「学園の天使と呼ばれているんです」
今度はクラスメイトの女子二人が現れ、さあやの良さを話す。
「「そのうえ、かわいい〜♪」」
二人に煽てられたさあやは顔を赤くする。
「ソ、ソウゴ君も一緒に行く?」
「あ……ごめん。俺今日はちょっと用があるから、先帰るよ」
さあやを誘いを断り、ソウゴは鞄を持って教室を出て帰宅した。
その後、さあやははなに図書室の場所へと案内した。
「はぁ〜」
道中、はながさあやの顔をジッと眺める。
「えっ?何?」
「確かに、かわいい」
「褒めないで……わたしそんな……」
彼女にも褒められ、さあやはまた顔を赤くする。
「後、薬師寺さんと時見君って仲いいんだね」
「えっ⁉︎ あの……ソウゴ君とは幼馴染だから……」
「へぇ〜」
図書室へと着くとはなも中に入るのは遠慮し、帰宅していった。
その頃、どこかへ向かおうとしていたソウゴの後を、ツクヨミとゲイツが着いていきていた。
矢張りずっと尾行されるのは気分が優れないので、話しかけて一緒に歩いてくれるようにする。
「……まさか、おれと同じ学校に編入するとは思わなかったよ」
「本当に授業するわけないだろ、おめでたい奴だ」
「違うの?」
授業するわけでもないのに、どうして編入したのだと思っていると、ツクヨミがその理由を語る。
「あたしたちが未来から来たって言っても、ここでは説得力に欠けるでしょう。中学生ってことにしといたほうが、活動しやすいと思ってね」
「忘れるな。俺はお前を消しに来たんだ。
今はお前がオーマジオウとなる確信を掴むまで、見張ってるに過ぎない」
「そのために制服まで用意して……大変だね」
苦笑しながら言うと、ゲイツがソウゴの顔を掴む。
「今すぐ倒してやってもいいんだぞ?」
ソウゴに対するゲイツの敵視はまだ強いようだ。
そのままソウゴ達は、ハリーのいる大きな木樹の下へと到着した。
「はぐたん〜〜‼︎」
既にはなが来ており、はぐたんを抱きしめていた。
「お待たせ」
「はぐたん、今日も元気だね〜」
「きゃあ!」
ソウゴもはぐたんの顔をこちょこちょことする。
はぐたんは笑顔が溢れており、それを見たはな達は思わず笑みを浮かべる。
「それで、ここで何するの?」
「フッフ〜ここはな、俺らの家や〜!」
「えっ?」
「ここが家……」
ここが家と言われても、木の大樹しかないここに? …と、二人は困惑した顔を出す。
「はな、ミライクリスタル出しや」
ハリーが持ってきたトランクを漁ると、はなにクリスタルを出してと言う。
しばらくして、ハリーのトランクからミニチュアのハウスが出てきた。それを放り投げるとクリスタルが光り、ミニチュアが綺麗な一軒家と変わった。
「ミライクリスタルが、あればこんな事も出来るんや〜!」
ミニチュアのハウスがこんな立派なものになるなんて、とソウゴとはなは驚きのあまり声を出せずにいた。
「それだけいやないで、ハリーイケメンチェン〜ジ!」
ハリーが叫ぶと、ルックスもかなりイケてるイケメン男性へと変わった。
「おぉ……」
「どうや」
「はぁ〜、なんか驚き疲れたよ」
「ハリーって本当凄いね」
ハリーのチェンジに驚くがそれはさて置き、ソウゴ達はハウスの中へと入る。
「うぉぉぉ〜!広〜い‼︎」
二人はハウスが見た目だけでなくて中も広く、家具も綺麗な事に驚く。
「中々のもんやろ、ツクヨミとゲイツの部屋も用意してあるで」
「ありがとうハリー」
ハウスの中には、ゲイツとツクヨミの部屋も用意してあるようだ。すると、急にはぐたんがぐずりだした。
「よかった」
「やっぱり、おむつやったな」
「野乃さん、上手だね」
その後、はぐたんのぐずりも収まり静かに眠りについた。
「ねぇ〜、ハリー質問。あの怪物は何なの?」
一息ついていると、この間の怪物がなんなのか気になったはなが質問を投げ掛ける。
「あれは、オシマイダー。クライアス社が生み出した化けもんや」
「クライアス社……?」
「それとハリー達が戦ってるの?」
「そうや。奴らが世界をめっちゃくちゃにした悪者や」
ハリーがそう答えると、ツクヨミがクライアス社の事について補足するように語る。
「奴らの狙いはミライクリスタル。それが奪われると世界から時が止まる」
「時が止まる……」
「それって、どういう事?」
時間が止まると聞いてもわからんって顔をする二人に、ハリーとツクヨミが呆れた表情になる。
「誕生日やクリスマス、お正月すら来ないんや」
「えっ!めちょっく!?」
「そんなの俺やだよ!?」
それを聞いて、時間が止まると楽しみが無くなるのだとようやく気づく。
「それに、はぐたんも大きくならへん」
時間が止まると言うことは、人の成長も止まる事と同じ。それだけは絶対ダメだとハリーは強く思い出す。
「あ、俺も質問があるんだけど。あのアナザービルドって何なの?」
この間ソウゴの前に現れた、アナザービルド。
何故、あのライダーが現れると、戦兎と龍我が力を失ったのか気になっていた。
「それはな……」
「あれもクライアス社が作ったライダーだ」
離れた所で座っていたゲイツが、ソウゴの疑問に対して口を開き、立ち上がる。
「ゲイツ……」
「この世界には、プリキュアと違う存在、18人の仮面ライダーがいた。お前が会ったあの仮面ライダービルドも、その一人だ」
18人の仮面ライダー。
そんなにいるのだと知り、更に桐ヶ谷晴夜もその一人だと知って少し驚く。
「晴夜が……」
「でも、桐ヶ谷晴夜と桐生戦兎ではビルドの力の部分が違うから。多分、あなたは桐生戦兎の力を受け取ったんだと思う」
「そうなんだ……(だから、晴夜はビルドとしての記憶が失われなかったんだ)」
だがこの時代に戻った時、桐生戦兎がビルドの記憶を失ってたにもかかわらず、桐ヶ谷晴夜はビルドの記憶を失われなかったのは、その為だったからだと気づく。
「話を続けるね……私達の未来、クライアス社の会長でもあるオーマジオウ………彼の持つウォッチを研究し、作り上げたウォッチ。それを使って生まれたのが、アナザーライダー」
「クライアス社は、オーマジオウが持つ18のライドウォッチからアナザーウォッチを作り出した」
「そしてアナザーウォッチを使って、あんな悍ましいもん……アナザーライダーにしてしまうんや」
「しかも、それだけじゃない。アナザーライダーが誕生すると、本来のライダー達はライダーの力も奪われ、次第にライダーとしての記憶も失くしていく」
「記憶が……」
「酷い……人の力を盗むなんて……」
アナザーライダーの誕生は、そのライダー達の力までもなく、彼らが生きてきた歴史すらも変えるものだと知らされる。
「ねぇ、ツクヨミさんが言う、そのオーマジオウって……」
「そいつだ」
三人の会話から出てきたオーマジオウが誰なのかと聞くはなに対してゲイツは、そいつが“そう”だと示すように、ソウゴへ指を差す。
「えっ?時見君が」
「俺……」
「こいつはいずれ、最低最悪の魔王……オーマジオウになる。
だから、俺はお前がオーマジオウへとなろうと思った瞬間……倒す」
いずれ最低最悪の魔王になると話し、ゲイツが怖い眼差しでソウゴを睨む。だが一方のソウゴは涼しい顔をしている。
「でも、やる事は決まってる」
「やる事だと?」
「そう。俺、どっちにしろ王様になるし♪」
「何……?」
彼は魔王になると言われても、王から離れる気はないようだ。
「でも、俺が目指す魔王は三人が言うのじゃない。最高最善の魔王になる!」
「王様……めちょっくかっこいい!」
「でしょ!王様ってやっぱりかっこいいよね♪」
王様になると宣言するソウゴに、はなも目を輝かしてカッコいいと言い、お互いに意気投合するような仲になる。
「そのためにも、ミライクリスタルとライドウォッチを集めるって事!」
「待て」
ミライクリスタルも、残りのライドウォッチも集める気ではいるようだが、それを聞いていたゲイツが声をあげて制止する。
「貴様のやるべき事がわかったが、俺はお前がジオウである限り、いずれオーマジオウへとなるのかもしれない」
「だから、三人は俺を監視するんでしょ。わかってるよ」
「……ふん、忘れるな。俺達はお前もクライアス社と同じ、標的としか思っていない」
「ちょっと、ゲイツ!」
そう言ってソウゴに近づいたゲイツがど突く様に彼を軽く押すと、ツクヨミの声も聞かずに何処かへ行ってしまった。
「すまんな、ゲイツはちょっと気の短いところがあるんや」
「気にしてないよ」
「……ねぇ、ゲイツ君はなんでそんなに、ジオウとクライアス社を?」
ハウスから出ていってしまったゲイツを見ていたはなは、どうしてそこまでクライアス社やオーマジオウを恨んでいるのかと聞く。
「私達の時代、あなた達から言えば50年くらい先の未来……私達はクライアス社の暴走を止めるために戦っていた」
ツクヨミは自分達の時代で起こった事を語り始める。
「私とゲイツに未来のプリキュア達は、レジスタンスのみんなと一緒に奴らと戦ってた。
けど、クライアス社の罠に掛かって……私とゲイツ、ハリー以外は、みんなオーマジオウにやられた」
その時の事を語りながら彼女は、唇を噛み締めながら思い出す。クライアス社から逃げて、三人だけ生き残ってしまったことを……
「そこで、ゲイツはクライアス社から奪ったタイムマジーンを使って、ジオウの誕生を防ごうとこの時代に来たの」
それを聞いたソウゴは、あの時ゲイツがタイムマジーンで襲ったのは、その為だと考える。
「そうなんだ……じゃあ、俺は恨まれてしょうがないよね」
「でも、今のソウゴを見て私は、ソウゴは私達が知るオーマジオウになるのかわからなくなったの……」
「せやな、今のソウゴがオーマジオウになるとはあんまり思わへんな」
「ありがとう」
しかし、この間の戦いでツクヨミとハリーは、オーマジオウとは何か重ならない所があったことを思い出し、今の所はオーマジオウにならないと判断していると語る。
「けど、ジオウのことはともかく……プリキュアならみんなの未来を守れる」
「うん、クライアス社に対抗するためにもライドウォッチとクリスタルを集める必要があるわ」
「こっちはプリハートは三つ。まずは一緒に戦う仲間探しやな」
ハリーはそう言うと、テーブルにはプリハートが三つ置かれていた。
すると、はながはぐたんを抱いて立ち上がる。
「クリスタルとウォッチを集めるのは頑張るけど、プリキュアは私一人だけでいい。はぐたんは私が守る」
「なっ、何やて!」
「ちょっと!あなた一人でって……」
いきなり自分一人でいいと言う彼女の言葉を聞いたハリーが驚き、またネズミへと戻ってしまった。
「それに、一人の方がかっこいいじゃん!」
能転気な顔でグッジョブとしながらかっこいいからと宣い、二人はガクッとなる。
「大丈夫だよ。俺も居るしゲイツも居る。何とかなるよ!」
こっちもこっちもで能天気にグッジョブとサインを出す。
「なんとかって……不安しかないんだけど……」
「ホンマにこいつあの、オーマジオウになるんか……」
二人は今のソウゴを見て、本当にオーマジオウになるのかと想像ができないでいた。
一方、ゲイツもハウスのベランダで自分のゲイツウォッチを見つめていた。
「トゥモロー……みんな」
そしてウォッチを見ながら思い出す。自分が、みんなを助けられなかった事を……
「必ず、クライアス社を……オーマジオウを倒してみせる!」
改めてオーマジオウを倒すと決意し、ウォッチを強く握る。
そして翌日。図書室でさあやが、メガネをかけながら何かを書いていた。
「う〜ん」
「さあや」
そこにソウゴが現れ、さあやの書いているものを横から覗き込む。
「ソウゴ君、どうしたの?」
「ちょっと、寄り道」
「また、先生に呼ばれたんでしょう」
また先生に呼ばれたのかと言われて、そこは否定した。
「学校新聞か、今度はどんなネタを掴んだの?」
書いていたのは、学園に載せる学校新聞だった。
「…うん? 何これ?」
ソウゴが新聞を読んでいると、部活の紹介や学校の連絡の他に、違った記事が書かれていた事に気付いた。
「あぁ、これ。最近噂にある『クリア出来ないゲーム』って話題なの」
「クリア出来ないゲーム?」
「うん。凄腕の人が何度も挑戦しても、中々クリア出来ないだって」
「へぇ〜……ん?この“天才ゲーマーM”って誰?」
「学園のみんなの話によるとね、世界的に凄いゲームの達人らしいの。でも、最近は姿が見えないんだって」
「何やってるの〜?」
そこへはなも図書室へと現れ、さあやが学校新聞を書いている事に気づく。
「うん。プリキュアのことでも書こうかな?」
「いいねそれ!どんどん書こう!プリキュア!」
はなは自分の事を書いてくれると思い、テンションが上がるが…
「野乃さん。ここあんまり騒ぐと」
「こらそこ!静かにしなさい!」
「すみません」
「だから言ったのに」
図書室の先生に怒られたはなは顔を机に置き、口をひし形にして落ち込み始める。
その様子を見たさあやは、彼女の姿がある生き物に見えた。
「野乃さん、マウテンブルーに似てる…」
「マウンテンブルー?」
「マウテンブルーはスズメ目ツグミ科の鳥で……」
どんな色なんだそれ?ブルーっていうから青かな?という疑問が浮かんだソウゴの横で、そう思ったら吉日と言わんばかりに、さあやは手持ちのノートパソコンを操作し、マウテンブルーを検索する。
「あった!」
目当てのものを見つけたさあやは、青い鳥であるマウテンブルーバードの画像を見せる。
「……似てる?」
「うん!すごくかわいいでしょ♪」
「パソコン得意なんだね」
「得意ってわけじゃないよ。さあやの場合は」
「うん。私は知らないことを探してわかるのが楽しいから」
「そういうの新聞で書いてみたら?」
「えっ?ダメだよ。みんな興味無いと思うし……」
はなの提案にさあやは、皆はこういった話に興味ないだろうから、と言うが…
「え〜?私は読みたいけどな」
「えっ、そう…?」
「いいんじゃない? さあやの良いところを、みんなに知ってもらうのも」
「そうかな……」
「ねぇ、もしプリキュアの事を書くならイラストで書いていい?」
はなが頼むとさあやも了承し、イラストを書いてさあやに見せる。
「できた〜♪」
「わぁ〜上手!」
「野乃さん、絵が得意なんだ」
はなの書いたイラストを載せ、学校新聞は完成した。
場所が変わって巨大なビル、クライアス社では。
「早くミライクリスタルを手に入れろ!」
「はい。次こそ俺ちゃんやっちゃいますから」
そこにはこの間、学園でオシマイダーを生み出したチャラ男――チャラリートがおり、更にその上には上司らしき人がいた。
「それは頼もしいですね」
「ご心配なら、私がつきましょう」
「オーラ……」
チャラリートの後ろから、タイムジャッカーチームのオーラがあらわれた。
「頼もしい助っ人ですね。オーラ君頼みますよ」
「わかりました」
「…チッ。見てろ、プリキュアにジオウ」
クライアス社が再び動き出そうとしていた。
ハリーのハウスでは、はぐたんを抱いてはなが寝ていた。
だがその時、彼女は夢を見ていた。
みんなを守るために戦い。
そして、みんなが消えていく夢を――
「あっ……何、今の夢……?」
「はぎゅ!はぎゅ!」
「あぁ〜、ごめんねはぐたんねちゃってた〜」
泣き出したはぐたんに慌てると、ドアが開く音が聞こえた。
「うん?野乃さん?」
ドアから現れたのはさあやだった。
それから事情を聞いたさあやは、はぐたんのお世話を一緒に手伝う。
「おぉ〜すっごいいニコニコだ」
「は〜ぐたん。フフフ……」
さあやに抱きしめられ、はぐたんも機嫌を取り戻した。
「は〜ぎゅ〜!」
今度ははなが抱くと、また泣き始めた。
「なんで?」
自分が抱くと泣き始めることに戸惑う。その様子をネズミの姿のハリーが見ていた。
「あかん!なんとかせっと……よっと!」
ハリーはトランクから哺乳瓶とミルクの粉を取り出した。
「誰?ミルク?」
「ネズミ。グッジョブ!」
「ネズミ⁉︎」
哺乳瓶とミルクの粉が置かれていることに気づき、さらにネズミと聞きさあやが驚く。
「あぁ〜…いやいや、なんでもないよ。だけど作り方がわからないね」
「わからない時は調べよう」
さあやがパッドを取り出し、ミルクの作り方を検索する。
「まずは哺乳瓶を熱湯で消毒して」
パッドで見たことを始め、ミルクを作り始める。
「はぐたんの事驚かないの?」
「信じてもらえないかもしれないけど」
実はさあやも1ヶ月くらい前。はながこの学校に転校してくると聞かされて先生に任された時、赤ちゃんの声が聞こえた瞬間、時間が止まった事があったらしい。
(同じだ…)
「よくわからないけど、声が聞こえたほうに行くと、いつも野乃さんに会うの」
さあやはよく声が聞こえていた方に行くとはなと会っていたと、彼女にその事を打ち明かす。
「はぁ〜、やっと終わった。早くハリーの所に行かないと……」
同じ頃、ソウゴは日直の仕事の為に帰るが遅くなり。先生に日誌を渡した後、鞄を取りに行こうと教室へと向かっていた。
「青い鳥……プリキュア……イけてるじゃん」
その道中、さあやが作った学校新聞に、一人の女子生徒…輝木ほまれがそう呟きながら目に留めていたのを見て、思わず笑みを浮かべていた
「…あれ、小和田?まだいたの」
「時見か」
教室に入ると、そこには同じクラスメイトの小和田がおり、机に足をのっけながらゲームをやっていた。
「お前、もう下校時間過ぎてるけど」
「これやってんだよ、まだ誰もクリアしたことのない無理ゲー!もう少しでクリアできるんだけど……」
「小和田、ゲーム得意なんだ。王室のコンピュータルームは、君に任せた!」
「お前まだそんな事言ってのんかよ」
小和田もソウゴの夢の事を知ってる為に、呆れた顔を浮かべながらそう言うと、ゲーム画面へと再び顔を向けた。
そのままソウゴは帰る支度をすると、小和田のゲーム機から強烈な光が発生した。
「小和田……ッ!」
いきなりの閃光に、目を守ろうと瞼を閉じてしまう。
光が収まったのを感じて目を開けると、小和田が刺々しい装甲と皮膚の様な部位に発疹のような模様をまばらに持つピンクの怪人に抑えられているのが見え、小和田はそのまま倒れる。
「小和田に何をした⁉︎」
ソウゴが怪人に殴り掛かるも、簡単に避けられる。
しかし怪人の姿を見て、アナザービルドと似ている事に気づく。
「アナザービルドの仲間か!」
『ジクウドライバー!』
ジクウドライバーを取り出し装着しようとするが、またゲーム機が光り出すと怪人の姿が消えていった。
「小和田!しっかりして!」
ソウゴは倒れていたクラスメイトの小和田を介抱する。
すると、ツクヨミとゲイツが教室のドアを開け入ってくる。
「ここにいたか!」
「どうしたの?」
「アナザーライダーだ……」
アナザーライダーに襲われた事を二人に話す。
その頃ハウスでは、ミルクを与えられたはぐたんが機嫌を取り戻していた。
「私にできないことがあなたにはできます。力を合わせれば素晴らしいことができるでしょう。
尊敬している、マザー・テレサの言葉なの」
さあやははぐたんを抱きながら、はなにマザー・テレサの言葉を語る。
「野乃さんや……ソウゴ君は自由な発想があって、なりたい未来があって……私には何もない」
「みんなに優しくできるじゃない」
「それくらいしかないの。野乃さんやソウゴ君みたいに、勇気が持てないの」
「薬師寺さん、いや……う〜ん」
「委員長でいいよ」
「委員長と話してるんじゃないよ」
委員長と呼んでいいと言うが、はなは委員長としてのさあやではなく、一人の少女であるさあやと話していると返す。
「だって、誰かに優しするなんて、すごく勇気がいることだもん。褒めらたら『ありがとう』だよ」
「あっ……」
「未来は無限大だよ」
はなの言葉を聞いて、さあやは何かを感じる。
その時、外ではチャラリートとオーラがトゲパワワの計測機で何かを探していると、道路で車がぶつかって揉めてる会社員二人を見つけた
「フフン、トゲパワワ発見。
さぁ、プリキュアあらわれろ。ネガティブウェーブ!」
チャラリートが変なポーズを取り、二人に向けてイガイガなオーラが放たれる。
「発注‼︎オシマイダー‼︎」
そこから会社員が付けるような社員証を首にぶら下げ、腕がクレーンの様になったオシマイダーが現れた。
――その数時間前。倒れた小和田を病院へと運んだソウゴは、病気の原因を医師から聞かされ、病室から出てきた。
「どうだった?」
病室の外ではゲイツとツクヨミの姿があった。
「……ここ最近でも小和田のような患者が増え続けるし、原因もわからないって……」
小和田のようなケースの患者が後を断たないらしく、治療法もないらしい。
「あれは病気なんじゃない……小和田も、他の患者さん達もあのアナザーライダーにやられたんだ!早く探さないと次の被害者が出る!」
「探さないとって……どうやって?」
「手当たり次第、走り回ってでもやるしかない!」
「待て!」
アナザーライダーを探そうと足を動かすが、ゲイツに止められる。
「お前はこれ以上、この事件に関わるな。
アナザーライダーを追えば、お前がジオウの力を使い、また過去のライダーから力を奪う可能性が出てくる」
「奪うなんて……そんなつもりは……」
「お前がビルドの力を得て、桐生戦兎のビルドが消え、オーマジオウへの道を歩み始めた。それが事実。とにかく関わるな」
「そういうわけにはいかないよ。眼の前の困っている人や友達を放っておけるわけないだろう?
そういう気持ち、ゲイツにはないの?」
ゲイツはその言葉に、ソウゴの襟をつかみ、怒り交じりの震える声で答える。
「あるさ……感情を枯らす程にな……!」
その時、辛い記憶が脳裏をよぎった。
クライアス社の攻撃により、一緒に戦っているプリキュアが一人、また一人と倒れ、自分の額に押し当て泣く姿を――
すると空が怪しいピンク色へと染まり、不穏な空気が漂い始める。
「これって……」
「オシマイダーが現れた!」
辺りの様子が変わっていくのを感じた三人は、オシマイダーが現れた事を察し。急いで病院を出て、オシマイダーが現れたと思われる所へ向かった。
異変に気付いたはなとさあやは既に到着し、オシマイダーが暴れているのを目撃した。
「野乃さん!」
タイミングよくソウゴ達三人も到着した。
「時見君!ゲイツ君!」
「さあや⁉︎ なんでここに!」
「ソウゴ君こそ、なんでここに!」
ソウゴは、はなと一緒にさあやがいる事に気づく。
「やはり、オシマイダー……」
「あっ!あれって……」
更にはオシマイダーの足元に、さっきソウゴの前に現れたアナザーライダーの姿もあった。
「アナザーライダー……探す手間が省けた」
ゲイツが腕のホルダーにつけてあるゲイツウォッチを外した。
「……ツクヨミ、さあやを守ってあげて」
「わかった。こっちに……」
ツクヨミがさあやをここから離そうと誘導する。
「ソウゴ君は……」
「大丈夫、あいつは俺が止める。絶対に守るよ」
「あっ……」
「行くよ!」
『ジクウドライバー!』
ソウゴとゲイツがジクウドライバーを装着すると、はなも前へと出る。
「さあやちゃん。私、プリキュアなの!」
自分がプリキュアだと明かし、プリハートを取り出す。
「ミライクリスタル!ハートキラッと!」
ミライクリスタルをセットし、白い二重のハートが刻まれた画面の下の部分をスライドさせてハートの形にすると、ピンク色に輝き光が体を包んでいく。
「ぎゅぅ~~!」
髪を大きくなびかせながらミライクリスタルを掴むと、今度は二重のハートが黄色になり。そこから光が溢れてウェーブのかかった薄いピンク色のロングヘアーへと変わり、サイドをまとめたシニヨンに赤いリボンに白い花が現れる。
「ぎゅぅ~~!」
ミライクリスタルをタッチすると、今度はハートが水色になり光が溢れ出し、メイクされ両耳に緑のクローバーのイヤリングが現れる。そして頭にピンクのハートのアクセサリー、後ろの腰に大きい薄いピンクのリボンが装着され、ミライクリスタルが装填されたプリハートを腰に付いたポーチへと入れるとカバーが閉じられる。
「輝く未来を~抱きしめて!!みんなを応援♪元気のプリキュア!キュアエール!」
最後に彼女はポーズを決めて、キュアエールと高らかに叫ぶ。
「野乃さん……」
さあやがキュアエールと変身した事に驚く。
そして、ソウゴとゲイツはウォッチを回し起動させる。
『ジオウ!』
『ゲイツ!』
ウォッチをドライバーに装填してロックを解除すると、ソウゴの後ろからは時計が、ゲイツからデジタルタイマーが出現した。
「「変身!」」
その叫びと同時にドライバーを回転させる。
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
仮面ライダーへと変身した二人はジカンギレードとジカンザックスを持ち、エールと共に向かっていく。
「ソウゴ君が……仮面、ライダー……」
エールがオシマイダーへと立ち向かう。
「あなた達に、未来は渡さない!」
そう言って攻撃しようとすると、オシマイダーの腕がクレーンのように伸び縮みをし、エールの攻撃が躱された。
そのまま両手で彼女を潰そうとするが、エールは手に力を溜め攻撃を止める。しかし、いつまで持つかは時間の問題だった。
「絶対、未来は守る!」
それでもエールは必死に抑える。
一方、ジオウとゲイツがアナザーライダーに向かうが、アナザーライダーには二人の攻撃が効いていなかった。
「効かない……」
「やはり、アナザーライダーか……」
どのライダーの力なのかわからないため、二人はアナザーライダーに苦戦を強いられる。
そしてさあやは、その光景を見ている事しか出来なかった。
『なんでもできる!なんでもなれる!未来は無限大だよ!フレー!フレー!さあやちゃん!』
「……なんでもできる、なんでもやれる」
だが彼女は、はなの言ったことを思い出す。
その時、抱いていたはぐたんから青い光が放たれ、さあやの手に置かれた。
「ミライクリスタルが生まれた!?」
「今や、プリキュアになるんや!」
「ッ!?…私に、そんな事が出来るのかな……?」
ハリーからプリハートを渡されたさあやは、目の前で繰り広げられる戦いと、コレを手にした場合に体験であろう未知の世界に躊躇してしまう。しかし…
「――ううん、できるよね……わたしの中にもきっと、勇気が…!」
巨大な怪物にも、不気味な怪人相手にも勇敢に立ち向かうはなやソウゴ達の姿。そして『未来は無限大だよ』という言葉により、彼女の決意は揺るぎないものへと変身した。
「ミライクリスタル!ハートキラっと!」
さあやがプリハートへミライクリスタルをセットすると、彼女の体が光り、服が変わり始める。
徐々に変化していく彼女の今の姿は、エールと同じくらいシースルーの袖があるが、エールのそれより丈が長く肘くらいまである。
「ぎゅぅ〜」
ミライクリスタルを再度タッチすると、髪のボリュームが増え、薄い水色のアップ髪に変わる。
「ぎゅぅ〜」
更にもう一度ミライクリスタルをタッチ。顔にメイクが施されると、ミライクリスタルの付いたプリハートを腰に付いたポーチへと入れるとカバーが閉じる。
「輝く未来を抱きしめて!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」
白と水色の服に、頭部や肩に羽の飾りがあしらわれる等、その名の通り天使を思わせるコスチュームへとなったさあや…キュアアンジュが誕生した。
「変身できた……」
「キュアアンジュ⁉︎」
「さあや、なんかよくわかないけどすごい事だよ!」
「あの委員長……なったのか」
みんなはさあやが変身出来た事に驚く。
「フレ!フレ!ハート・フェザー!」
プリハートを操作したアンジュは唱えながら手を胸の前で組み、大きなハートを描いて青いバリアを放り、クレーン型のオシマイダーの攻撃からエールを守った。
その時、アナザーライダーがアンジュへと襲いかかるが、ジオウが前に現れてアンジュを守った。
「さあや、大丈夫!」
「ソウゴ君……ありがとう」
「ここは、俺に任せてあっちをお願い!」
「うん!」
アンジュはエールの方へと向かう。
「クレーンは重心が高いから、足元を狙えばバランスを崩すわ」
「へぇ〜」
「なるほど、なら……」
ゲイツは腕につけてるホルダーからウォッチを取り出し、黒いウェイクベゼルと赤いアウトリガーグリップを持つウォッチを回転させる。
『ドライブ!』
ボタンを押して起動させた『ドライブライドウォッチ』を装填し、ドライバーを回転させる。
『アーマータイム!』
するとゲイツの後ろからアーマーが腰を落としたポーズを取りながら半透明のタイヤと共に現れ、それが分解してゲイツに装着されると、複眼部分に黄色い文字がセットされた。
『ドライブ!ドラーイブ!』
頭部にある複眼にはひらがなで「どらいぶ」と描かれてあり、両肩の装甲にはタイヤ――スピードタイヤショルダー、両腕には赤い車――シフトスピードスピードの装填されたドライブアーマーが装着された。
「行くぞ」
ゲイツは三つのタイヤのエネルギー体を出現させ、オシマイダーの足元へと放つ。タイヤの攻撃を受けたオシマイダーはバランスを崩した。
そして、ゲイツウォッチとドライブライドウォッチのスイッチを押し、ドライバーのロックを解除して回転させる。
『フィニッシュタイム!ヒッサツタイムバースト!』
ゲイツは回転しながら高速移動し、連続攻撃の後にトドメの体当たりを炸裂させる。
「今や!エール!」
「フレフレ!ハート!フォ~ユ~!!」
最後にエールの放ったハート型の光線が、オシマイダーに直撃する。
「ヤメサセテモライマァ~~ス~~」
オシマイダーは消滅し、残るはアナザーライダーだけとなった。
「よぉ〜し、俺も行くよ!」
ジオウはビルドウォッチを取り出し、起動させる。
『ビルド!』
ドライバーに装填して回すと、前方にビルドのアーマーが出現してジオウの体へと装着される。
『アーマータイム!ベストマッチ!ビ・ル・ドー!』
複眼には「ビルド」と描かれ、両肩は赤と青のフルボトルのような大型デバイス、右腕には大型のドリルを装備したビルドアーマーへとなる。
「凄い…」
ビルドアーマーへと変わった事にアンジュは驚いていると、そのままジオウ・ビルトアーマーはドリルクラッシャークラッシャーでアナザーライダーを圧倒する。
「決めるよ!」
二つのウォッチを起動させ、ドライバーを回転させる。
『フィニッシュタイム!ビルド!』
グラフの放物線が現れてアナザーライダーを拘束すると、放物線へと乗り込み加速する。
『ボルテックタイムブレーク!』
「オリャャャャャャ!」
そのままドリルクラッシャークラッシャーがアナザーライダーに直撃。アナザーライダーが倒れると姿が消え去り、周りも元の風景に戻った。
「――驚いたな。まさか、あのライダーを倒すなんて」
だがアナザーライダーがいなくなると其処へ、白衣を纏った男性が現れた。
「そうか、ゲームの正体に気づいたんだ」
「ゲームの正体?」
「あの、あなた誰?」
「宝生永夢……悪いけど、これ以上はやらせない」
宝生永夢を名乗るその男性は、蛍光グリーンと蛍光ピンクを併せ持ったドライバーのようなものを取り出し腰へと装着すると、再び何かを取り出した。
『マイティアクションX!』
そのゲームのカセットの様にも見える何か――『マイティアクションXガシャット』を起動させると、背後にゲームの画面の様なものが現れ、そこからチョコのブロックのようなものが次々と現れる。
「大変身!」
宝生永夢はモーションを取り、腰に付けたベルト『ゲーマドライバー』へと差し込む。
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!』
ドライバーのレバーを操作すると、周りからいくつものパネルが出現し、真ん中に現れたものを触る。
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX! 』
その時。彼の姿は、マゼンタ色で逆立った髪の毛のような頭部とゲームコントロールの様な胸部アーマーが特徴な姿のライダーへと変わった。
「あれって……」
「仮面ライダー……エグゼイド」
「あれも18人の一人の、仮面ライダー……」
現れたのはゲイツ達が言う18人の仮面ライダーの一人、仮面ライダーエグゼイドだった。
「エグゼイド……」
『ガシャコンブレイカー!』
ガシャコンブレイカーを持ったエグゼイドは、ジオウ達へ向かって走り出した。
次回!Re.HUGっとジオウ!
第4話 クリア出来ないゲームをクリア!2016
――少女は、人々を癒やす、天使となる。
おまけ
はな「わたし、野乃はな!
わたしがプリキュアだって事は、クラスのみんなには内緒なの!
なんだかんだあって仮面ライダーエグゼイドに襲われ全滅の危機!?
助けてさあやちゃん!!」
HUGっとジオウ!第4話!『レベルアップ!現れたハイパー無慈悲!!』
次回も、ハグって行くジオ〜!
完