Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
だが、アナザーキバこと北島ユウコ。彼女の死は時見ソウゴの心を深く傷つけ……
あれから数日、しかしとして時見ソウゴの傷は……癒えなかった」


第44話 2018: 闇の勧誘?響く二人の歌に立ち上がる!

――あれから…アナザーキバとの戦いから数日が経った。

はな達は当たり前のように授業を受けているが、ソウゴはずっと辛そうな顔で窓を見つめていた。

 

「……」

 

「ソウゴ君……」

 

その様子を心配そうな顔をしながら、隣の席のさあやと後ろ席のルールーが見ていた。

 

 

放課後となり、ソウゴ達は帰り支度をする。

 

「ソウゴ!ハリーの所行こう!」

 

「今日はえみるとルールーがテレビ出るから一緒に見よ」

 

「うん……」

 

はなやツクヨミに誘われると、ソウゴはみんなの前ではなんとか笑顔を見せようとする。

 

「……まだ無理しているな」

 

「えぇ、見てて私も感じます」

 

それを見ていたゲイツとルールーは、笑顔で振る舞っていてもソウゴはまだ傷が癒えていないのだと感じる。だがそれは、みんなもわかっている。

故に気を遣って、それ以上は何も言えなかった。

 

 

そして、ソウゴ達がビューティーハリーの部屋にあるテレビに映る情報番組で、ツインラブの特集を見る。

 

「テレビで紹介なんて凄っご~い!」

 

「大分人気も出て来たね」

 

ツインラブはかなりの注目で取り上げられていた。

 

「二人の頑張りだね」

 

「ツクヨミも手伝ってくれているおかげです」

 

ツインラブの演出を考えているのはツクヨミなので、えみるはツクヨミにお礼を言う。

 

「大勢の人に歌を聞いて貰えるのは嬉しいですね」

 

「もっと頑張って、色々な人に曲を―――」

 

『ツインラブ?そんなに良いですかぁ?』

 

しかしTVの出演者の女性タレントの言葉に、テレビのすぐ傍にいたソウゴ達が固まる。

 

『彼女達の曲は、アイドルなのかロックなのか、何か中途半端ですよね』

 

更に中途半端と言われてえみるが凹む。

 

「そんな事無いと思うけど」

 

「うん」

 

「私の曲は……中途半端……」

 

「気にするな。他人がそうでも、俺達はそうは思っていない」

 

凹んでいるえみるをゲイツ達が慰める。

 

「ごめん、俺そろそろ……」

 

「ツインラブに、若宮アンリ密着取材のお仕事よ~!」

 

ソウゴが一人帰ろうとすると、突如パップルが入って来る。

パップルの手には、アンリの密着取材の企画書が握られていた。

 

「みんな、じゃあ……」

 

気を取り直し、ソウゴは一人で先に帰っていく。

 

「あら、ジオウどうしたの?いつもの明るさがないわね」

 

パップルは自身の近くを横切ったソウゴが、いつも通りじゃないと気づく。

 

 

町中で歩き続けるソウゴは、今もなおユウコの事を気にしていた。

 

「ユウコさん……」

 

彼女の名を呟きながら、その表情に影を落としながら自身の手を見る。

彼女を抱きかかえていた時、その身体が徐々に冷たくなっていくあの感触は、今でも振り返ってしまうくらいのトラウマとして刻まれていた。

 

『ソウゴ、私に傘は要らない。全人類の傘になれ……』

 

「無理だよ。俺は傘には……」

 

『全人類の傘になれ』と言う、彼女が最期に残した言葉。

だがソウゴは、目の前に居た女性の命も救う事が出来なかった自分では人々の傘にはなれないと、そう思っていた。

 

「俺……王様向いてないかもな……」

 

そして遂には、自分には王様は向いていないとさえ考え始めてしまう。

 

「ん?」

 

そんなネガティブな感情を出しながら歩いていると、公園の方のベンチに一人の青年がいたのが見えた。

だが奇妙な事に、その青年はベンチに座らずただ触っていた。

 

「何やってるんだろ?」

 

ソウゴが変だと思い、近づいて声をかける。

 

「あの〜……」

 

「えっ?うわぁぁ!」

 

いきなりソウゴが現れたのに驚いて、下の方に潜り込んでいた青年はベンチに頭をぶつけた。

 

「だ、大丈夫?」

 

慌ててソウゴはベンチに座らせ、持っていたハンカチを水で濡らし青年に渡した。

 

「ありがとう」

 

青年は礼を言いながらおでこに借りたハンカチを当てる。

 

「……何やってたの?先からずっと、ベンチに触ってたけど……」

 

何故ベンチをずっと触っていたのか気になっていたソウゴはそう尋ねると、青年はベンチを撫でながら口を開く。

 

「ああ、バイオリンの材料にならないかなって思って……」

 

「バイオリン?お兄さん、バイオリン作っているの?」

 

「まぁね。いつか父さんのようなバイオリンを作りたいんだ」

 

「父さんか……」

 

ソウゴは父さんと聞き、なんか羨ましいと感じていると…

 

「なんか辛そうな顔してるね」

 

「えっ?」

 

青年は目の前にいる少年が辛そう表情をしていると見抜く。

 

「何かあったの?」

 

「その……」

 

「……言い辛そうなら、明日教えてくれない?

その気があったら、僕の家に来てくれる?これ、場所だから」

 

青年はそう言って名刺らしきものをソウゴに渡す。

 

「紅バイオリン工房……紅渡」

 

「そう、僕の名前。君は?」

 

「俺は時見ソウゴ」

 

「ソウゴ君。じゃあね」

 

ソウゴはされるがままに、バイオリンを作っている青年――紅渡に明日会う約束をしてしまった。

 

「俺が辛そう……」

 

自分が辛そうな気持ちを隠していたはずなのに、それが表に出ていたのを紅渡によって自覚したソウゴは、顔を触りながら仲間にも悟られていたのでは無いかと思い始める。

 

 

 

翌日、ソウゴ一人を除いたメンバーがスケート場に集まると、スケート場の裏ではえみるがミライクリスタル・ルージュをミライパッドにセットしていた。

 

「ミライパッド、オープン!」

 

画面から光が放たれ、ドアが開く。

 

「お仕事スイッチ、オン!」

 

えみるとルールーはレポーターになった。

しかし、昨日のテレビの発言の事が気になっているのか、えみるは昨日からずっと凹んだままだった。

 

「めちょっく……!このテンションでアナウンサー出来る……⁉︎」

 

「笑って~……!スマイルよ~……!」

 

「アイドルは……スマイルなのです……!」

 

パップルのアドバイスでえみるは無理して笑顔を作るが、矢張りぎこちなかった。

それを見ていたはなは少しだけしゃがんででえみるの目線に合わせると、彼女の肩に手を置く。

 

「無理して笑わないでいいよ」

 

「えっ?」

 

「そう言う時、私もあるもん」

 

えみるとはなが話していると、パップルがゲイツに近づく。

 

「ねぇ、ジオウはどうしたの?昨日から変だったけど……」

 

「あいつなら、今日は約束した人に会う為に紅バイオリン工房と言う場所にいたぞ」

 

「バイオリン⁉︎」

 

何故かジオウがバイオリン工房に行っていると知り、何故バイオリンに?とパップルは驚く。

 

 

 

 

クライアス社の会議室で、ビシンが荒れていた。

 

「どうして……!ハリーに……僕の気持ちは届かないの……ッ!」

 

ビシンはクッションに八つ当たりしながら叫ぶ。

 

「ビシン、少し休んだ方がいい」

 

「リストルに僕の気持ちは分からない!一番に故郷を、ハリハリ地区を捨てたアンタにはね!」

 

現れたリストルが少し休んだ方が良いと提案するが、ビシンに自分の気持ちは分からないと言われてしまう。

 

 

 

 

一方のソウゴとは言うと、渡から貰った名刺を頼りに紅バイオリン工房へと向かっていた。

電車から乗り換えた後に歩いて数時間、ようやく見えてきた。

 

「あそこか……」

 

名刺の住所の方に目を向けていたソウゴが顔を上げると、そこには二階建ての洋館が広がっていた。

鉄製の扉を潜って工房の前に到着すると、扉の横にあるインターホンを鳴らす。

 

「は〜い」

 

『ピンポーン』と言う音が鳴ると、工房から女性の方が現れた。

 

「あの……」

 

「もしかして、時見ソウゴ君?」

 

「えっ?」

 

「渡から聞いてるからさぁ、入って」

 

「はい」

 

現れた女性・静香に案内され、ソウゴはバイオリン工房の中へと入っていく。

 

「わぁ〜……」

 

作業場にある道具や既に出来たバイオリンなどを見て、ソウゴはその光景に惹かれていく。

 

「ん?」

 

その際ソウゴは偶然、記念のように立てかけられたバイオリンに目を惹かれる。

 

「綺麗……あれ?この人……」

 

そのバイオリンを見ていると、下に置かれた写真に見覚えのある人物が映っている事に気付く。

 

「いらっしゃい」

 

確かあの時湖で出会った男性に似ている、とソウゴが思考していると、別の部屋から渡が出てきた。

 

「あ、お邪魔しています……」

 

挨拶をするソウゴに駆け寄ると、渡はソウゴと共にガラスの向こうに飾られたバイオリンに顔を向ける。

 

「へぇ〜、これ渡が作ったの?」

 

「このバイオリンは『ブラッティローズ』。父さんが作った、世界最高のバイオリンなんだ」

 

「これを、渡のお父さんが……」

 

「このバイオリンを超えるのが、今の僕の目標なんだ」

 

ソウゴは渡から目の前にあるバイオリンの説明を聞きながら、二人でブラッティローズを見つめる。

 

「そうだ!一緒にバイオリン作ってみない?」

 

「えっ?俺が?」

 

すると突如、渡がソウゴに向けて一緒にバイオリンを作ろうと持ちかける。

 

 

一方スケート場では…

練習を行うほまれが、先日のハリーとの出来事を思い出して笑顔を見せると、滑るのを一旦止め、客席の方を向く。

奥の客席では、ウォズとハリーが座ってはぐたんを笑わせていた。

そんなハリーを見つめ続けるほまれを、一緒に練習していたアンリが見ていた。

 

「本日は期待のスケート選手、若宮アンリさんの練習風景に密着します!」

 

「輝木ほまれ選手との合同練習―――」

 

「「楽しみですね!」」

 

えみるとルールーの代わりに、はなとさあやがリポーターを担当する。

 

「中々はな君もさあや君も出来てるようだね」

 

「パップルちゃん!良いタレント揃ってるじゃない!」

 

「おーっほっほっほっ!(二人ともイケるじゃない……!)」

 

アフロのディレクターがパップルの方を向いてそう言う。

 

「はな……さあや……ごめんなさい」

 

「本当は私達のお仕事なのに……」

 

パップルが内心で彼女達を褒めていると、ルールーとえみるは自分たちの代わりにやってくれている二人に不甲斐なさを感じながら謝っていた。

 

「いいのよ。こう言う時は助け合い」

 

「そうそう。それに、やってみたかったんだよね。アナウンサーって、知的なわたくしにピッタリと思いません事?」

 

「はいはい。似合ってる似合ってる」

 

「かぁいいね!」

 

「よーし!ノリノリで行っくぞーっ!」

 

はぐたんに可愛いと言われ、はなのテンションが上がった。

引き続き、客席でアンリの練習光景を見る。

 

「おおっ!」

 

「今のは、トリプルトゥループ」

 

「詳しいんですね」

 

さあやの横から荷物を持った正人が現れ、先程アンリがしたのはトリプルトゥループと説明する。

 

「力に……なりたいと思うから」

 

「だからアンリのマネージャーを始めたって訳か」

 

ゲイツの言う通り、正人は夏休み中にアンリのマネージャーを始めていた。

 

「次は頑張らなきゃ行けないのです。私はアイドル……ツインラブ……!」

 

(力に……なりたい……)

 

えみるは頑張らなきゃと気合いを入れるが、ルールーは表情を曇らせ、力になりたいと心の中で呟いた。

ほまれとアンリのインタビューが再開される。

 

「アンリと滑っていると、いつも刺激を受けます」

 

「性別が違っても、僕達はライバルだから」

 

「それでは、今後の目標は?」

 

はながアンリにマイクを近づけて尋ねる。

 

「まずは、フィギュアスケートワールドジュニアカップ。

そして、その後も―――僕は、勝ち続けたい」

 

「勝ち……続ける……」

 

その時、アンリの言った『勝ち続けたい』と言う台詞が、えみるの心に響いた。

 

「自分を貫く為には、勝ち続けなくてはならない」

 

「アンタの気持ちは分かるわ。けどね、人気者になるって事は、こう言う事なのよ」

 

「私は……ツインラブとしてもっと歌を届けたい。自分を貫く為に」

 

アンリとパップルの言葉を聞いたえみるがそう言うと、自分の頬を叩く。

 

「決めたのです!愛崎えみるは、強くなるのです!」

 

ドレス姿のアンリが撮影されている所に、レポーターになったえみるとルールーがひょこっと現れる。

 

「続いては、リタ・ヨシリンのモデルとしても活躍される若宮選手の撮影現場に―――!お邪魔しちゃいまーす!」

 

えみるとルールーが跳びはねてポーズを取る。

 

「元気になった……?」

 

「でも何か……」

 

「空元気と言うか何と言うか……」

 

「いつものえみる君じゃないね」

 

 

はな達が今のえみるに違和感を感じて首を傾げていた頃、ソウゴは渡と一緒にバイオリンを作っていた。

 

「えっ〜と……」

 

「力を入れずに優しくするの」

 

今ソウゴが行っている作業は、バイオリンの音程・音質を決定付ける重要な工程である『表板と裏板を削る』作業だった。

彼らはバイオリンの本体を構成する板を大鉋で大雑把に削った後、表板と裏板にそれぞれ専用のノミで細かい所を削り、全体的にアーチを作りながら厚さを調整しているのだ。

 

初めて作るバイオリン作りに戸惑いながらも、渡にサポートして貰いながら作業していた。

だが一緒に作業していると、何故かソウゴの顔からは笑顔が戻っていた。

 

「それで……」

 

「えっ?」

 

「何を悩んでいたの?」

 

突然、渡に何を悩んでいたのかを言われ、ソウゴはノミを持っていた手を止める。

 

「……俺にとっての、初恋の人が……死んだんだ……」

 

「初恋……」

 

「その人は、本当は優しい人だった筈なんだ。

でも、その人の心から支える人がいなかった。

だから、あの人の傘になろうとしたんだ……」

 

その時の事を思い出したソウゴは、あの時ユウコの傘になれなかった事を無力だったと感じていた。

 

「それで、俺には人を支えられないんだって思った……」

 

「そんな事はないと思うよ」

 

「えっ?」

 

「その人はきっと、ソウゴがしてくれた事を感謝してるんだよ」

 

「ユウコさんが……」

 

「…僕にも、似た経験があるんだ」

 

「渡にも……?」

 

「うん。今でも彼女の事は思い浮かべるよ」

 

「その人は?」

 

「死んだ。僕のせいでね」

 

当時、自身が()()()()として変身していた時の事を思い出しながら、渡が顔を見上げる。

 

「だから、僕は自分を消そうとした……

でも、そんな僕に生きて良いって言ってくれた人がいるんだ」

 

そう言って、渡は父が作ったバイオリンである、ブラッティローズの方を見つめる。

 

「だから、その人分まで必死に生きるって決めたんだ」

 

「その人分まで生きる……」

 

それを聞いてソウゴは、最期にユウコが言った『全人類の傘になれ』と言う言葉の意味がわかったような気がした。

 

(――ユウコさん……俺、やってみるよ)

 

ソウゴは何かを誓い、渡に頭を下げる。

 

「ありがとう。なんか、前に向ける気がする!」

 

「少しは相談になれたかな」

 

ソウゴの吹っ切れた顔を見た渡は、ポケットに手を入れる。

 

「ソウゴ君。これ」

 

渡が出したものがソウゴの手に置かれた。

 

「ライドウォッチ⁉︎」

 

それはウェイクベゼル部が黄色で、アウトリガー部が黒のライドウォッチだった。

そして、そのウォッチにはコウモリのような紋章が絵描かれたライダーズクレストと、『KIVA』と言う文字が記されていた。

 

「一週間くらい前に僕の手元にあったんだ」

 

一週間となると、ユウコが死んだ日と同じ日だったはず。

 

(そうか……渡がキバなんだ。

あの人が言ってた本物のって……この事なんだ)

 

あの時、サングラスをかけた男性から言われた『本物に会え』。ソウゴはようやく、その言葉の意味がわかった気がした。

 

「さぁ、もう少し頑張ろ」

 

「うん!」

 

二人でバイオリンの完成に取り掛かろうとする。

それからしばらく一緒に作業をすると、バイオリンの型が出来てきた。

 

 

スケート場ではアンリは休憩に入り、ハリーに抱っこ紐で抱えられたはぐたんに抱っこをせがまれたアンリが抱っこさせる。

 

「アンリー!おつかれー!だっこしてー!」

 

「可愛いね、はぐたん」

 

アンリは笑顔でそう言うと、はぐたんを優しく抱き締める。

 

「若宮選手の魅力は―――」

 

「それは私が説明しましょう!」

 

ルールーが言いかけると、カメラの視線が、スポットライトに当たるリタに向けられる。

 

「「吉見リタさん!」」

 

「アンリの魅力はね……!男、女、そんな事は関係無い!彼の美しさは全てを凌駕するの!ボーダーレス!アンビリーバボー!ファンタスティック!」

 

アンリが着替えてから客席に座ると、横からルールーが現れる。

 

「人は、強くならなければならないのですか?多くの人に、歌を届けたい。その為には、柔らかい心にアーマーを着けて隠す」

 

「それは、必要な事でしょうか?」

 

「結局、人は分かり合えないのさ」

 

「痛っ……。髪が引っ掛かって……」

 

「じっとして」

 

それに対してルールーは何かを言おうとするが、髪がチョーカーに引っ掛かり、アンリが直す。

 

そこへ、出入り口の辺りでディレクターとカメラマンがその様子を撮影していた。

 

「スクープ……!こう言う刺激的なのを待ってたんだ……!

熱愛…!若宮アンリと人気アイドルのルールー……!」

 

ディレクターはアンリとルールーとの関係をデタラメな内容で考えると、思わず笑みを浮かべる。

 

「う~ん……!これは上も喜ぶぞ~っ!」

 

「うぇ⁉︎ 何をやっているのですか!」

 

「二人はただの友人です!でっち上げは止めて下さい!」

 

「何だ君達は……!」

 

見かけたえみると正人がディレクターに抗議する。

 

「君、アンリ君のお友達?だったら詳しく話聞きたいなぁ。彼って、色々噂あるから……」

 

ディレクターは二人からもアンリの事を聞こうとする。

 

「止めて下さい」

 

「アンリ……」

 

正人が眼鏡を掛け直した所で、アンリが二人の前に出る。

 

「プライベートまで覗き見される趣味は、僕には無い」

 

アンリはディレクターにそう言うと、この場を後にする。

 

「みんなアンリ君の普段の様子を知りたがってるんだよ!」

 

「あなた達が望むストーリーを、僕は生きられない」

 

「アンリ……!」

 

「ごめん、一人にさせて」

 

正人にそう言って、アンリは一人スケート場から去っていく。

 

「アンリさん……」

 

今の彼の不安定な状態から心配になり、えみるはアンリを見つめる。

アンリは外に出ると、赤と群青の二色に染まる空を見て呟く。

 

「どっち付かずだな……夕焼けの赤なのか、夜が迫る群青か。それとも……」

 

すると突然、突風が生じた。 

 

「若宮アンリ君だね」

 

アンリが声の聞こえた方を見ると、背後にリストルがいつの間にか現れていた。

 

「あなたは……?」

 

「クライアス社の者です。君を、スカウトしに来ました」

 

リストルはアンリをクライアス社に勧誘する為、トゲパワワの出る名刺を渡す。

 

「クライアス社?」

 

「明日を消し去り、時を止め、皆を安らぎに導く会社です」

 

「…何で僕を?」

 

「君の心の奥に隠している気持ち、時間を止めたい。その想いを……」

 

「やめてほしいな。リストル」

 

そこへ、偶然に彼らの話を聞いていたウォズが二人に近づく。

 

「彼は私の勤める学園の生徒。教師の立場としては見過ごせない。それでもと言うのなら……」

 

ウォズはビヨンドライバーを見せる。

 

「ウォズ。まぁいい……いつでもご連絡を」

 

再度突風が生じると、いつの間にかリストルの姿は無かった。

 

「ウォズさん!アンリさん!」

 

二人に今度はえみるが駆け寄る。

 

「どうやら、逃げたようだね」

 

「誘われるなら、プリキュアだと思ってたな」

 

「アンリさんがプリキュアに⁉︎」

 

驚いてるえみるがそう叫び、困惑して足を引っかけて転んだ。

 

「立ち聞き、良く無いよ」

 

アンリはそう言って、えみるに手を差し伸べた。

 

 

一方、中にいるはな達はというと……

 

「ルールー?」   

 

「どうかしたのか?」

 

客席に座るルールーに、はなとゲイツが声を掛ける。

 

「私は、えみるのように曲を作れない。才能ある彼女の悩みに寄り添うのは、どうすれば……」

 

声をかけられたルールーは、えみると寄り添うにはどうすればいいのかわからないと二人に打ち明ける。

 

「…みんなだって、凄く高い所目指してるんだ。悩みを理解出来るって言ったら、嘘になっちゃう。

でもね、私は手を離さない。みんなが苦しい時は、傍にいたいんだ」

 

それに対し、はなは腕を伸ばしてルールーにそう伝える。

するとルールーの隣にツクヨミが座った。

 

「傍にいてくれるだけでも、十分安心出来ると思うよ」

 

「傍に……いる……」

 

ツクヨミの言葉を聞いたルールーはそう呟き、自身のプリハートを握り締める。

 

 

「クライアス社の言葉に耳を傾けては駄目なのです!」

 

その頃えみるは『え』の字を表現するポーズを取り、アンリに自分に相談するよう伝える。

 

「悩みがあるならこの、愛崎えみるに相談するのです!」

 

「じゃあ相談。僕って何者?」

 

「えっ……?」

 

アンリは何者なのか。想像の斜め上の方向を行った質問に、えみるは言葉を失った。

 

「色々な噂、カテゴライズ。そこに真実があればいいのに……全てを超越した存在……でも、声も低くなったし、背もどんどん伸びてる。

生き辛い時代だね。みんな、他人の事を気にしてる」

 

辛そうな表情で、アンリがえみるとウォズに自分の苦悩を話す。

 

「一人になれば、何も気にしないで済むのかな・……?」

 

「…私は、お兄様を抱き締めてくれたアンリさんに、とても感謝しています」

 

「正人……?」

 

「みんなに期待されると、心がギューっとなる時があります。けど、私は……」

 

えみるは言葉を止め、自身のプリハートを取り出す。

 

「誰かと一緒にいたいのです。誰かの為に、歌を……フレフレ!みんな!フレフレ!私ーっ!」

 

両腕を上に上げ、アンリにエールを送る。

 

「私は、はな先輩のこの言葉が大好きなのです」

 

「みんな頑張れ……僕も頑張れば……」

 

「アンリさんにも、教えて貰った事があります。それは、自分を愛する事です」

 

「僕のじゃなくて、自分の悩み解決してない?」

 

「あっ……!そうとも言えなく無いのです……」

 

アンリよりも先に、自分の悩みが解決してしまったえみるを見たアンリが声を上げて笑うと、ルールーと正人が現れる。

 

「アンリ!えみる!」

 

「迎えに来てくれたのですね!――ぬわっ!」

 

突如、えみるはルールーに抱き締められて驚く。

 

「もうルールー!驚きましたよ!」

 

「表情が柔らかくなりました」

 

「…私、大切な事を忘れていました」

 

えみるがそう言い、ルールーを抱き締める。

 

「ルールーが好きと言ってくれれば、それだけで無敵なのですね」

 

えみるとルールーは、互いの顔を見て微笑んだ。

 

 

 

そして翌日、アンリのアイスショー当日を迎え、観客席には既にゲイツ達が来ていた。

 

「いいよね」

 

「アンリの状態も万全のようだし楽しみだね」

 

ツクヨミとウォズが話していると、ルールーが一つ空席を見つめる。

 

「時見先輩……今日も来ないです」

 

えみるの言う通り、ソウゴは今日も来ていなかった。心配するはな達にゲイツは今のソウゴについて教える。

 

「あいつなら、昨日は帰れないと連絡を貰って、用が済んだらすぐ来ると言っていたぞ」

 

「用って、あいつまだ立ち直れてないんや……」

 

「ソウゴ……」

 

ルールーは心配している目でソウゴの席を見つめる。

すると、えみるがルールーの手を握る。

 

「えみる……」

 

「先輩は来ますよ。いつもの先輩が」

 

「はい」

 

ルールー達がソウゴは来ると信じていると、会場にてスケートの演技が始まろうとしていた。

 

 

その頃、リンクの通路にアンリと正人がいた。

 

「何があっても、たった一人の友達が分かってくれるなら、それでいい。か」

 

通路でアンリがそう言うと、正人が手を繋ぐ。

 

「君は出来る」

 

そしてアンリの方を向き、君は出来ると伝える。

 

「……ああ。僕は氷上の王子。今日もパーフェクトに勝つ!」

 

勝つと心に決めたアンリはリンクに向かう。

そして遂に演技がスタートし、アンリは音楽に合わせ、リンクを滑る。

 

「綺麗……」

 

「はい。すごいのです……」

 

一方で、はなとさあやはアナウンサー、ほまれは解説として解説席の方に座ってた。

アンリの演技は順調な出たしで、次々と演技を決める。

 

(……っ!足が……!)

 

アンリは滑ってる最中、足に違和感を感じた。

だが、それを見ていた昨日のディレクターが嬉しくない様子だった。

 

「刺激が無いなら……作ればいいだけだ……!」

 

ディレクターがそう言うと、通路のスイッチを操作する。

すると、突然音楽が止まった。

 

「えっ?」

 

「何?どうして……」

 

「音楽が止まった……?」

 

「もしかして音響トラブル……⁉︎」

 

「このままやとショーが……!」

 

「アンリ……!」

 

アンリだけで無く観客達も困惑した所に、歌声が聞こえた。

アンリが歌声が聞こえた方を向くと、えみるが立って歌いだしていた。

 

「奇跡を信じる♪君のそばで応援できる!自分が嬉しくって!」

 

そしてルールーも立ち上がって、彼女と一緒に歌い出した。

 

「ふたりでだから生まれるパワー!HUGっと!抱きしめて!強くなれるの大丈夫!」

 

二人の歌を聞いたアンリが手拍子を促して、観客達も手拍子を始めた。

 

「ツインラブとアンリ君のコラボ!」

 

「成功のようね」

 

ツインラブとアンリのコラボは成功だとみんなが思う。

 

「良い画、撮れましたよディレクター!……あれ?」

 

そんな彼女達の様子を撮っていたカメラマンは、良い画が撮れたとディレクターに見せようと振り返り伝えるが、この場にはいなかった。

 

「これじゃ駄目だ……!これじゃあ上に……!」

 

遠く離れた場所でそう言うディレクターから、トゲパワワが放出される。

 

「……アンタは俺が最も嫌うタイプなんだが……そのトゲパワワは頂くぞ」

 

すると背後からリストルが現れ、ディレクターのトゲパワワから猛オシマイダーを作り出した。

 

そして、二人が歌い終わってアンリが滑り終えた直後、スケート場の壁が破壊され、そこから猛オシマイダーが現れる。

 

「!?…ハリー!観客を逃せ!」

 

「おぉ!ツクヨミ!はぐたんを!」

 

「わかったわ!」

 

「みんな!オシマイダーは頼む!」

 

『うん!』

 

ゲイツやハリーは会場の観客を逃がそうとみんなを誘導する。

すると猛オシマイダーはアンリを掴み、この場から飛び去った。

 

「アンリ……!」

 

「みんな!」

 

『ハートキラッと!』

 

五人が揃ってプリハートにミライクリスタルをセットし、五人が揃っていつもの手順を取り姿を変える。

 

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

五人は変身を完了させると、囚われたアンリを救出するために猛オシマイダーの下へ向かう。

 

「はああああぁぁぁっ!」

 

エールのドロップキックが猛オシマイダーに直撃し、地面に向かって急降下する。

 

「アンリ!」

 

「僕、またこのポジションなんだけど……」

 

エトワールがスタースラッシュで猛オシマイダーに向かう。

だが、全身を回転させて繰り出した攻撃を受けて吹き飛ぶ。

 

「はああああぁぁぁっ!うあっ!」

 

アンジュが両手を重ねて叩き付けようとするが、捕まってしまう。

 

「「はああああぁぁぁっ!」」

 

そこにマシェリとアムールのダブルパンチが命中し、地面に叩き付けられた。

そして、ここではウォズとリストルがお互いに構える。

 

「ウォズ。君の相手は私だ」

 

リストルはジクウドライバーを装着した。

 

「いいだろう」

 

ウォズもビヨンドライバーを装着し、ギンガミライドウォッチを取り出す。

 

『リストル!』

『ギンガ!』

 

ギンガミライドウォッチを起動し、ウォズはドライバーに装填した。

 

『アクション!投影!』

 

「「変身!」」

 

『ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー! 』

『ライダータイム!仮面ライダーリストル!』

 

ウォズはギンガファイナリーへ、リストルは仮面ライダーリストルへと変身した。

 

 

その頃、観客達を逃したゲイツとハリーは…

 

「これで全員だな」

 

「じゃあ、俺らも……」

 

エール達に加勢しようと、二人が彼女達の下へ向かおうとする。

 

「ハリ〜」

 

「ビシン!」

 

だが邪魔をするかの様に、既に変身していたビシンがゲイツとハリーの前に現れた。

 

「さぁ、僕のもとに来てよ!」

 

ゲイツとハリーはジクウドライバーを装着し、二つウォッチを取り出す。

 

「負け犬のライダーは邪魔するなよ」

 

「貴様が邪魔をするな!」

 

二人はウォッチを起動させる。

 

『ゲイツ!ファイズ!』

『ハリー!カリス!』

 

それぞれのウォッチをドライバーに装填し、構える。

 

「「変身‼︎」」

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!アーマータイム!コンプリート!ファイズ!』

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!アーマータイム!チェンジ!カ・リ・ス〜!』

 

ゲイツはファイズアーマー、ハリーはカリスアーマーへと変身した。

ビシンは二人が変身したを見て、トンファーガンを構える。

 

 

そして外でオシマイダーと戦っているエール達の近くで、ウォズとリストルは互いに肉弾戦での攻撃を繰り出し続ける。

 

「……」

 

「流石は副社長……そう簡単には行かないね」

 

スペックならギンガファイナリーの方が優っている筈のウォズだが、仮面ライダーリストルの装甲に埋め込まれている二つの特殊デバイス『ツインアイズブレイン』の効果で、今までの戦闘データと前回のトリニティとの戦いでウォズの戦い方をラーニングしていた上に、高い実力を持つリストルに手を焼いていた為、五人の助けに行けなかった。

そこへ解放されたアンリに向けて、無数の棒が飛ばされる。

 

「アンリさん!」

 

アンジュが叫ぶが、棒は何とかアンリには当たらなかった。

 

「アンリ君。スカウトの件、考えて頂けましたか?」

 

するとリストルがウォズギンガと戦いながら、スカウトの件についての答えを聞こうとする。

 

「スカウト……⁉︎」

 

「なぜアンリ君なんだい……⁉︎」

 

「我々には時間が無い。君と同じようにね。返事は……?」

 

ウォズの言葉をスルーしながら、リストルからの返事にアンリは答えを出した。

 

「断る」

 

アンリは、リストルのスカウトを蹴った。

 

「確かに、生きる事が辛い時はある……

僕は捻くれてるし、誰かの為に頑張るなんて出来ない。

でも……フレフレ!プリキュア!輝く未来を、僕達に!」

 

「そうですか……なら、オシマイダー!」

 

アンリの答えを聞いたリストルの命令で猛オシマイダーは動き出し、攻撃を再開する。

 

「まずは、裏切り者から」

 

猛オシマイダーはアムールへと攻撃を繰り出した。

アムールがオシマイダーの攻撃を避けれなかったその時、何者かがアムールに飛び込んで体を掴み、攻撃から躱した。

 

「「「「ソウゴ(君・時見先輩)!」」」」

「我が魔王!」

 

間一髪、ソウゴが飛び込んでアムールを助けた。

 

「アムール。大丈夫?」

 

「……はい」

 

掴まれたといっても抱きしめられていた為、アムールは驚きの表情だった。

 

「時見先輩!アムール!大丈夫ですか?」

 

「よかった、間に合って」

 

ソウゴのいつもの優しい表情を見て、アムールは顔を少し赤くなった。

 

「二人は離れてて」

 

アムールをマシェリが連れ、ソウゴから離れる。

 

『ジクウドライバー!』

『ジオウ!』

 

ジクウドライバーを腰に装着し、ジオウウォッチを起動させるとドライバーに装填。

そしてドライバーのロックを解除すると、後ろから時計が出現した。

 

「変身!」

 

初恋の死と後悔を乗り越えたソウゴは、その掛け声でドライバーを回す。

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

時計バンド状のエフェクトに覆われながら、ソウゴはジオウへと変身した。

 

『ジカンギレード!ケン!』

 

ジカンギレードを持ち、猛オシマイダーへと走る。

 

「はぁぁ!」

 

ジカンギレードを繰り出し、ジオウの攻撃で猛オシマイダーが怯んだ。

 

「ソウゴ君!」

 

「ごめん!遅れちゃった!」

 

「……ジオウか。オシマイダー!ジオウを先です!」

 

ジオウがアンジュに謝罪している近くで、オシマイダーはプリキュアからジオウへと対象を変えてジオウに攻撃を繰り出した。

 

「あぶっな!」

 

ジオウはオシマイダーの攻撃を地面を回って避けると、ソウゴはキバのウォッチを使う。

 

「渡。使わして貰うよ!」

『キバ!』

 

キバのウォッチを起動させ、ドライバーに装填し、回転させた。

 

『アーマータイム!ガブッ!キバ!』

 

前方に現れた、複眼にはカタカナで「キバ」と描かれた黄色のアーマーがジオウの体に纏われ、両肩の装甲は蝙蝠の羽のようなものが左右に分割されており、そこにはカテナが巻かれていた。

 

「我が魔王!どきたまえッ!」

 

リストルを払い退けると、ウォズのいつものスイッチが入る。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え、過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウキバアーマー!まさに王としての風格を継承した瞬間である!」

 

祝えとウォズが叫びいつも通りの口上を言う。

 

「ウォズ!ありがとう!なんか行ける気がする!」

 

仮面ライダージオウ・キバアーマーが猛オシマイダーへ挑む。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウは身軽くになったかのように、小回りのある戦いを見せる。

 

「凄え、体が思った以上に軽い……」

 

使ってる本人もかなり驚いている。

ジオウはキバアーマーで猛オシマイダーを撹乱し続けると、ジオウウォッチIIを起動させる。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウウォッチⅡを分割させると、ドライバーの左右に差し込み、ジオウの後ろから二つの時計のエフェクトが現れる。

ドライバーを回し、二つの時計が左右対象に止まると、アーマーがジオウを纏う。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

ジオウⅡへとなったのを見て、反撃に出ようと猛オシマイダーが攻撃にでる。

その瞬間、金色のジオウウォッチⅡが光り、両目にかかる時間の針のアンテナ2本が回転した。

 

「見えた!お前の未来!」

 

未来の攻撃を読み、ジオウはオシマイダーの攻撃を躱す。

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

サイキョーギレードをジカンギレードに合体させると、剣から『ジオウサイキョウ』の文字が浮かび上がる。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

「オリャャャャャ‼︎」

 

ジオウはサイキョージカンギレードを振り下ろし、オシマイダーを吹き飛ばした。

 

「これで決める!」

 

サイキョージカンギレードを投げ捨て、ジオウがドライバーのロックを解除する。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ジクウドライバーを操作し、ピンクと金色の『キック』のエフェクトがオシマイダーを囲むとジオウは高く飛び上がり、そのままオシマイダーへとキックの態勢になる。

 

『トゥワイズタイムブレーク!』

 

囲んでいたキックの文字がジオウの足へ集まり一つとなると、ジオウのトゥワイズタイムブレークによるライダーキックが決まった。

 

「オシマイダ〜〜!」

 

タイムブレークを受け、猛オシマイダーが消滅した。

 

「……今回はこれで退きます。またいずれ」

 

リストルはウォズを振り払い一瞬に去る。

 

 

一方、ビシンと戦うゲイツとハリーも……

 

「はぁぁ!」

 

ビシンのトンファーの攻撃を掴み。ゲイツがそのまま背中へと回りビシンを捕まえた。

 

「ハリー!」

 

「おぉ!」

 

ドライバーを回し、ハリーの体を竜巻が纏う。

 

『フィニッシュタイム!カリス!スピニングタイムフィニッシュ!』

 

ハリーが宙へと浮かぶ。それを見たゲイツはファイズフォンXを使い、ショット555を出現させる。

 

『ショットオン!』

 

「はぁぁ!」

 

ショット555でビシンを宙へと上げると、ハリーのフィニッシュタイムのキックがビシンへと直撃した。

 

「ハリー……ゲイツ……くっ!」

 

変身解除されたビシンは痛みを抑え、去っていった。

 

 

その後、ソウゴの前にみんながやってきた。

 

「ごめん!」

 

「「「「えっ?」」」」

 

突然、ソウゴがみんなの前で謝った。

 

「俺……ユウコさんの事で頭が一杯だった。そのせいで、みんなに迷惑かけてごめん!」

 

「そんな謝らなくても」

 

「そうだよ。それよりもソウゴが、みんなの前でいつも姿に戻れたのが嬉しいよ」

 

「みんな……」

 

はな達がソウゴを励ますと、ゲイツがソウゴの肩に手を置く。

 

「少しは俺達を頼れよ……俺達は友達だろ……」

 

「ゲイツ……」

 

最後の方は恥ずかしくて声が小さかったけど、ゲイツの言葉は嬉しかった。

 

(ユウコさん。俺一人じゃ、みんなの傘になれないけど、みんなとなら多くの人に傘になれるように頑張るよ。ありがとう。ユウコさん、渡!)

 

「ソウゴ君……よかった」

 

「ソウギョ!ソウギョ!」

 

「はぐたん。ただいま!」

 

さあやはソウゴがはぐたんを抱っこするのを見て、ソウゴからいつもの笑顔が戻っていた事に安堵するのだった。

 

 

その後ショーは再開され、アンリは最後のインタビューを迎える。

 

「若宮選手、最後に一言お願いします」

 

「僕が伝えたいのは、誰もが思う通りに、自由に生きられる時代が来て欲しいと言う事。その為には応援が必要です」

 

アンリははぐたんを抱きかかえてインタビューを受ける。

 

「よろしく頼むよ、プリキュ―――」

 

「わーーーーっ!」

 

途中ではなが遮るかのように叫び声を上げる。

 

「えっ?」

 

「今のカットカット!」

 

「絶対わざとでしょ……」

 

狼狽えるはな達を見て、アンリは声を上げて笑った。それを客として見ていたソウゴ達も、同じ様に笑ってみていた。

 

 

その後、ソウゴ達は家へと帰路を歩く。

 

「あのソウゴ。それは?」

 

ルールーはソウゴが持っていた手提げケースに気づく。

 

「あ……これ?」

 

ソウゴはケースを開く。中に入っていたのはバイオリンだった。

 

「バイオリンなのです!」

 

「どうしたのそれ?」

 

「へへっ……作ったんだ」

 

『作った!』

 

ソウゴが作ったと知るとみんな驚く。

 

「まさか、お前が言っていたバイオリン工房でか……」

 

「まあね、でも、完成にするに時間が掛かったんだ」

 

「でも弾けるの?」

 

ほまれの言う通り、確かにバイオリンがあっても、弾けなければ意味がない。

 

「ちょっと見てね……」

 

ソウゴはバイオリンを肩に乗せると、弦を弾く。

 

〈プゥ〜〜ン♪トゥゥ〜〜ン♪〉

 

『あっ……』

 

ソウゴはバイオリンを弾き始める。所々はまだ荒いが、それでも彼が何とか弾けている。

だがそれでも、それを聞いていたはな達は思わず聞き惚れてしまう。

 

〈タララ〜〜〜♪〜トゥン!〉

 

「どうかな?」

 

「す、凄い!」

 

「本当にソウゴ……?」

 

「もしかして……また未来のソウゴ?」

 

「我が魔王。本当に我が魔王なのですか?」

 

「先輩すごいのです!」

 

まさかのバイオリンを弾けた事に、みんなは驚く。

 

「いやいや、弾けるのこれだけだから!それに……!」

 

「あっ!」

 

すると、ゲイツが突然声を上げる。

 

「どうしたの?」

 

「そういえば、俺とウォズが今日の買い出しを……」

 

「っ⁉︎ しまった!」

 

「急ぐぞ!」

 

「あっ!今日はお得意さんに仕事が……!」

 

「は、ハリー……ちょっと……」

 

ゲイツとウォズは買い出しを、ハリーとほまれは仕事を、それぞれソウゴの音楽で思い出した。

まるで、ソウゴのバイオリンには忘れた事を思い出す性質があるかのように。

 

「みんな大変だな……」

 

ソウゴがみんなの忙しそうな姿を見ていると、えみるがある決意を固める。

 

「私、分かりました!私は私の未来を信じ、愛するのです!」

 

「うんうん。アイドルでもロックでも無い。それがツインラブでしょ!」

 

「応援するよ。二人なら最高の歌を届けられるよ」

 

「はい!ツインラブの音楽で、世界を目指すのです!ルールー!」

 

「?」

 

名前を呼ばれたルールーがえみるの方を向くと、えみるがルールーの手を繋ぐ。

 

「いつまでも一緒ですよ」

 

「はい。ずっとえみるの傍にいます」

 

二人はお互いの顔を見て笑い合う。

えみるもまた、改めて夢に向かって進む事を心に誓ったのだった。

 

 

しばらくすると、ソウゴはクジゴジ堂へ帰宅した。

 

「ただいま!」

 

ただいまと言うが、中に入ると誰もいなかったので、仕方なくソウゴはバイオリンケースを階段に置き、部屋の電気を付ける。

すると、ドアの方から『ガラ〜〜ン!』という音が響いて来た。

 

「あっ、いらっ……ルールー!」

 

ドアの開いた音が聞こえ、ソウゴがそっちに向かうと、そこには珍しくルールーが一人でやって来ていた。

 

「申し訳ありません。こんな時間に……」

 

「ううん。誰もいないし大丈夫だよ」

 

「あの、ソウゴ……まだ、お礼を言ってなかったので……」

 

「お礼? あぁ……あの時?」

 

お礼と言われたソウゴはあの時、咄嗟にルールーを助けた事のお礼だと気づく。

 

「そんな、お礼なんて……俺の方がみんなに迷惑かけてたし」

 

「いいえ……私はソウゴに助けれてばかりなので……」

 

「大丈夫だよ」

 

「でしたら、せめて……」

 

ルールーはゆらりとソウゴの胸に体を寄せる。

 

「えっ……ルールー?」

 

ソウゴが突然の事に困惑していると、ルールーはソウゴの胸に抱きつき、顔を赤くして呟く。

 

「ソウゴ……今回のような事がまたあったなら、私がソウゴの傘になります……」

 

「えっ?」

 

その時ルールーは、ソウゴの胸から流れる、アンドロイドである筈の自分でも温かいと感じられる鼓動を感じる。

しばらくすると、ルールーはソウゴから離れた。

 

「では、また学校で……」

 

そう言って、ルールーはクジゴジ堂を去っていく。

 

「ルールー……」

 

ルールーに当てられた胸をソウゴは手を当てる。

彼女がクジゴジ堂を出ると、丁度同じ頃にクジゴジ堂の前にさあやが来ていた。

 

「ルールー?」

 

さあやはクジゴジ堂を出るルールーを見かけられながら、そのままルールーは走って帰っていた。

 

 

 

その頃、ショーが終わったアンリが違和感を持つ足を見る。

 

「くっ……!もう少しだけもってくれ……」

 

通路で苦しげな表情を浮かべていた。

するとアンリの目の前に、リストルの名刺が浮かぶ。

 

「アンリ」

 

「……!」

 

しかし正人に呼ばれ、アンリは正気に戻る。

 

「打ち上げの準備出来たよ。アンリ……?」

 

「すぐ行くよ。楽しみだ」

 

――そう言ったアンリの足元には、僅かながらもトゲパワワが飛んでいた。

 

 

 

「こうして、我が魔王は心の傷から立ち上がり、キバのウォッチを継承した。

これで残るウォッチはあと三つ……」

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第45話 2018: 秘密の調査開始!クライアス社超アップ⁉︎

 

 




おまけ

ルールー「幼馴染の癖に、ソウゴが傷ついている時にも関わらず、碌に慰めてやろうともしないなんて、とんだジコチューですねさあや……
まあ、貴女の性格上仕方ないですね……
所詮、幼馴染属性は恋愛モノの“敗北者”です……!」

さあや「ハァハァ……“敗北者”…?
取り消してよ…ハァ……今の言葉……!!」

ルールー「何年もの間、彼と恋人にはなれず、何も得ず、終いにはには関係を守るために他の人に彼を取られる、実に空虚じゃありゃせんか? 人生空虚じゃありゃせんか?」

さあや「やめやめろ、ソウゴは私に愛する心くれた、私にソウゴの偉大さくれた!」

ルールー「人間アタックしなきゃ価値なし、貴女達幼馴染属性生きる価値なし、幼馴染幼馴染敗北者! まどマギニセコイ敗北者!」

さあや「最高最善最大最強王!」


オーマおじさん『どうだウォズ、彼女達の今の状況は』

ウォズ「修羅場になってます」

これがキバの昼ドラクオリティなのか…!

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