Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼には魔王にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っている。
彼は全てのライダーウォッチを手に入れ、王への道をさらに励む。しかし、まだ彼には受け継がなければならない力があった」


第51話 2018: 最後に最悪のアナザーライダーの誕生!

アナザージオウⅡの事件からクライアス社を脱走したウールとオーラは、クライアス社の追手から逃れるために逃げ続けていた。

 

 

 

そんなあの日、はぐくみ市の階段をウールが駆け上がって登り切ろうとした時、彼の目に自身と同世代の子達が一緒に歩いているのが見えた。

 

「……僕には、関係ない」

 

その光景に嫉妬と孤独感が混ざった様な、複雑そうな心境を浮かべる彼はそう呟きながら、そのまま階段を登りきる。

 

〈プゥゥゥ……ン!〉

 

その途端、何やら衝撃波のようなものが放たれると、彼の時が止まり、動けなくなる。

――いや、動きが凄く遅くなった様に感じた。

 

「これは、重加速か⁉︎」

 

動けない原因を察すると、ウールはその中で動いている者に目に入る。

 

『ドライブ…!』

 

その者は全身のボディが赤く染まった、車のような姿。

しかし、その姿はまるで廃車の様で。腰には飛び出た赤いコードと泥や埃を被ったメーター、身体中にはスクラップ部品の様なものが露出しており。左腕に装備してある車のドアのような武器の表面には『KEEP OUT』のテープが貼られ、それぞれ左胸に『DRIVE』、左肩には『2018』という名前と年号が描かれていた。

 

「やっぱり……アナザードライブ……!」

 

そのアナザーライダーは、アナザードライブだった。

 

「カァ!」

 

体が思うように動かないウールはアナザードライブに殴られる。

 

「くぅ……」

 

「グゥゥ……」

 

「止まれ!」

 

ウールはなんとか時間停止能力を使い、アナザードライブの攻撃を止める。

 

「くそ……」

 

この隙にアナザードライブからウールは逃げる。

だがしばらくすると、アナザードライブはウールが去った後に自力で能力を解除した。

 

 

ウールがアナザードライブから逃げると、今一緒に隠れているオーラの元へと戻ってきた。

 

「どうしたのよ?」

 

息を切らしているウールにオーラが話しかける。

 

「アナザーライダーに……襲われた」

 

「アナザーライダーに……ジオウがグランドジオウになったんだから……すべてのライダーの力は、あいつの手にあるんでしょ? アナザーライダーがいるなんておかしいじゃない?」

 

「僕が知るかよ」

 

「まさか……スウォルツがあたしたちを消すために……!」

 

「冗談じゃない!このままやられてたまるか」

 

ウールが叫ぶと壁に向けて手で叩く。

 

「じゃあどうするのよ⁉︎ あたしは力を奪われたままだし。あんた何とかできんの?」

 

「……」

 

オーラの言う通り、自分は時を止める力を残しているが、いつまでも凌げるわけではない。このままだと、二人共やられるのは時間の問題だった。

 

 

 

その頃、ハロウィンイベントを終えた翌日。

ソウゴ達は学園の中庭で、ソウゴがあの時クライと戦っていた事を話していた。

 

「仮面ライダークライか……」

 

「クライアス社の社長も、仮面ライダーに……」

 

「あの人が……」

 

はなはクライが変身したと聞くと、何度も彼と会った事を彼女は振り返る。

 

「それで、ソウゴはクライアス社の社長と戦ってみてどうだったの?」

 

「……強かった」

 

ソウゴが戦って感じたのは、グランドジオウと仮面ライダークライとの実力はそんなには差はなかった。

だけどクライは、時間を止める力とダークライターのウォッチを使いこなしてしていた。

 

「勝つ見込みはあるか?」

 

「わからない……でも、クライと戦うと凄く変な感じがしたんだ」

 

「変な感じ?」

 

それを聞いたゲイツは、それはどう言う事だと思い出す。

 

「うん……クライの攻撃には、その何て言えばいいかな……気持ちがないように感じたんだ」

 

「気持ちがない?」

 

「今までの相手はこう……攻撃に感情が籠っているような感じがしたんだ。

でも、クライからは何も感じられなかったんだ。

まるであの人が、自分で感情を無くしているような感じだったんだ……」

 

(感情がない……)

 

それを聞くと、彼と数度会ったことあるはなもそんな感じの事を経験をした。

しかし同時に、クライから悲し過ぎる感情を感じた事もあった。

 

「ルールーは何か知らない?クライについて?」

 

クライアス社にいたルールーならプレジデント・クライにどう思っていたか分かると思い、尋ねる。

 

「その……私は社長にはあまり会ったことが無いため……」

 

「そっか……ごめんね」

 

「そういえば、ツクヨミは?」

 

ほまれがそう言うと、いつもならいるはずのツクヨミが、教室を出てからツクヨミの姿がなかった事に気付く。

 

 

ラヴェニール学園初等部の入り口から、えみるとことりが出てきた。

 

「日直の仕事に時間が掛かってしまったのです〜!」

 

「早くお姉ちゃん達のところに行こう!」

 

二人はいつもの中庭にいるソウゴ達に会いに行こうとしていた。

 

「ん?」

 

「どうしたのですか?」

 

いきなりことりが足を止めると、えみるが振り返る。

ことりが見ていたところを見るとそこには、校門前で話をしているツクヨミがいた。

 

「ツクヨミお姉ちゃん?」

 

「話しているのは、門矢さんでは?」

 

話をしている相手は門矢士だった。

 

 

そして、校門にいるツクヨミと士はスウォルツの事を話していた。

 

「あなたと晴夜は知ってたのね?スウォルツが……私の兄だって」

 

ツクヨミは士と一緒に行動していた桐ヶ谷晴夜は、ツクヨミとスウォルツの関係を知っていた。

 

「………俺も晴夜も、気づいたのはちょっと前だけどな」

 

「教えて。スウォルツは……兄は何を企んでるの?私は一体何者……?」

 

ツクヨミは士にスウォルツの計画と自分は何者だと尋ねる。

 

「お前は……俺と同じだ……」

 

「えっ?」

 

士から返った言葉は『同じ』という台詞だった。

 

「俺は本来、この世界の人間じゃない。

俺が来たのは、時空の歪みが生じている原因を探るためだ」

 

「それがスウォルツのせい?」

 

「どうかな?」

 

「えっ?どうゆう事…?」

 

「俺はやはり、魔王のせいだと踏んでいるがな。

そして、スウォルツが――いや、クライアス社はそれを利用しているんじゃないか、とな」

 

以前のバス事故の後、スウォルツがソウゴの額に手をあて、何かしたことを士は思い浮かべる。

 

「クライアス社が、ソウゴを?」

 

「どうあれ、結論はじきに出る。この世界を破壊すべきかどうか……」

 

「破壊するって。あなたディケイドの力、奪われたじゃない」

 

「そんなことは大した問題じゃない。一番はお前の方と、あの赤ん坊が問題だ」

 

「私とはぐたん?」

 

「お前にだけ教えてやる。あのはぐたんという赤ん坊は、時間が止められても動けていた」

 

「えっ?はぐたんが⁉︎」

 

士はそう告げて、学園から去ろうとする。

 

「お前がここにいること自体が、時空の歪みそのものだからな。お前はこの世界にいちゃいけないんだ。俺と同じく……な」

 

最後にそう言って、士は歩いて去っていく。

 

「私の……」

 

「ツクヨミお姉ちゃん!」

 

そこへ、ツクヨミが気になって駆け寄ってきたことりとえみるが現れた。

 

「ことりちゃん、えみる……」

 

「門矢さんと何を話していのですか?」

 

「その……」

 

えみるに聞かれるとツクヨミはどう答えればいいかわからず、言い淀んでしまう。

 

「おい」

 

その時、何者かに声をかけられた三人は、その方向に振り向いた。

 

「あ、あなた方は……」

 

「どうして……」

 

現れた人物を見たツクヨミ、ことり、えみるの三人は、何故だという感じで驚く。

 

 

 

「はぎゅ〜!」

 

「……」

 

ビューティハリーへと戻ってきた士がソファの方を見ると、はぐたんが元気よくタンバンリンを鳴らしていた。

 

「はぎゅ?」

 

自分を見つめている士に、はぐたんは何故と思うような表情を浮かべた。

 

「門矢はん?はぐたんがどうかしたんか?」

 

そこへ、人の姿のハリーが現れた。

 

「おいネズミ」

 

「ネズミちゃうわ!俺はハリハム・ハリーや!」

 

ネズミと士にも言われ、ハリーが同じ台詞を叫ぶ。

 

「この赤ん坊の本当の姿を知ってるんだろ?」

 

「ッッ⁉︎………なんであんさがその事を……」

 

はぐたんの本当の姿と士が問いかけると、ハリーの表情から焦りが見え始める。

 

「クライアス社やツクヨミの事を調べていた中で、何よりこの赤ん坊の事が気になってな」

 

士はクライアス社とスウォルツとツクヨミの事を調べている中で、はぐたんの事も調べていた事を話す。

 

「まさか、晴夜も……」

 

調べていたとなると、行動を共にしていたという晴夜も知っていることになる。

この子の正体を、晴夜経由でソウゴ達はもう知っているのではとはぐたんを見ながら思っていると、士はそれを察したのか、それは無いと伝える。

 

「奴も知っているが、その事は絶対に伝えるなとは言ってある。魔王達にはバレていない」

 

「それよかった……」

 

まだ、ソウゴ達には本当の事は伝わって無くてホッとした。

 

「クライアス社に、はぐたんの正体を知られてはあかんのや」

 

そう言い、ハリーがはぐたんを抱っこする。

 

「おそらくだが、その赤ん坊が持つものこそ…この世界を救う鍵かもな」

 

はぐたんの持つもの。それがなんなのかは、士とハリーにしかわからない。

そして、それがどんな奇跡を呼ぶかは、まだ誰もわからない。

 

 

 

「みんな……」

 

まだ学校にいたソウゴ達の下へ、ツクヨミ達三人が集まった。

 

「三人共遅かったね?」

 

「何かあったの?」

 

来るのが以外と遅かったので、はな達は気になってそう尋ねた。

 

「その、私達に会いたいって人達が……」

 

「俺達に?」

 

「このお二方なのです……」

 

三人が後ろにいる二人をみんなに紹介した。

それを見てみると、その二人はソウゴ達のよく知る人物だった。

 

「ウール、オーラ・……」

 

「何故あなた方が?」

 

「久しぶりだね。ルールー……」

 

クライアス社のタイムジャッカーチームであるウールとオーラだった事に驚いていると、ゲイツとウォズがみんなの前に出て警戒を始める。

 

「一体何の用だ⁉︎」

 

「君達から訪ねてくるなんて、珍しいこともあるもんだね」

 

「単刀直入に言う。僕達を匿ってほしい」

 

「匿う?」

 

「まさか、クライアス社を裏切ったのですか?」

 

「ウール。こいつらなんかに頼るの?」

 

オーラはソウゴ達に頼るのは乗り気ではなかったのか、ウールに大丈夫なのかと問い詰める。

 

「待って」

 

ウールがオーラを止めると、ソウゴの方を見ながら口を開き始める。

 

「約束したろ?彼らがスウォルツを倒す。それまでの間だ」

 

「随分、虫がいいな。スウォルツに見放されたから手のひら返しか?俺達がどれだけ敵対してきたと思ってる。今すぐ帰れ」

 

スウォルツを倒すまで協力するというウールに、ゲイツは反対の意見を述べる。

 

「帰るわよ」

 

そんな彼らの様子から、これ以上は時間の無駄だと感じたオーラが帰ろうとする。

 

「ちょっと待って」

 

はながオーラを呼び止めると、ソウゴは二人に近づく。

 

「ゲイツ。今の言い方は、少しキツイんじゃない?」

 

「何?」

 

「彼らだって、ゲイツやハリー、ルールー、ツクヨミと同じなんだから」

 

「同じだと……?」

 

ソウゴは今のウールとオーラはゲイツ達と同じだと話す。

 

 

しばらくしてソウゴ達は学園を出ると、クジゴジ堂へとウールとオーラを連れてきた。

 

「ソウゴ君。今日は知らない友達が来てるね?」

 

「叔父さん?この二人をちょっと間、泊めて貰っていいかな?」

 

「うん。じゃあ、今日はお好み焼きにしようか?みんなもどう?」

 

「お好み焼き!私も食べます!」

 

「私も頂いてよろしいでしょうか?」

 

「よし!じゃあ手伝って!」

 

「はい!」

 

「私もお好み焼きを作るのは初めてなので一緒にやるのです!」

 

「はい!みんなも早く!」

 

ソウゴ、はな、さあや、えみる、ルールーは順一郎と共に夕飯のお好み焼きの準備を始める。

 

「もう、お姉ちゃん……」

 

「……いつもこんな感じなの?」

 

呆れた様子のことりを見たウールは、ほまれにソウゴ達の日常がこんなに賑やかなのかと尋ねる。

 

「まぁね。でも、こんな風だから私達は友達になれたんだと思うの」

 

「……」

 

「ほぉら、一緒に行こう!」

 

「ちょ、ちょっと……」

 

ことりがウールの手首を掴んで一緒に調理場へと向かうと、ほまれとツクヨミもその後ろをついていく。

 

「お前達はスウォルツ達を倒したらどうする?」

 

ずっとソウゴやはな達を見ていたオーラにゲイツが話しかける。

 

「別に……今はスウォルツに仕返しする事しか考えていないわ」

 

「クライアス社には戻らないなのか?」

 

「……力のない私は、クライアス社じゃ……もう用済みよ」

 

「そうか……」

 

オーラは今の所、クライアス社に戻る気は今はないようだ。

 

「二人共!早く一緒に手伝ってよ!」

 

ソウゴがゲイツとオーラにも呼びかける。

それからしばらくして、彼らはリビングでお好み焼きの調理を開始した。

 

「ほぉ!」

 

「えぃ!」

 

ウォズとえみるがお好み焼きをひっくり返した。

 

「よし! そういう事ー‼︎ 二人共センスあるね!いいね!」

 

「ありがとうなのです!」

 

順一郎がウォズとえみるを褒めると、オーラのやり方を見て口を開く。

 

「あ、お嬢さん。あ、触らない。チクチクしない、チクチク」

 

順一郎はオーラの作り方の指導を始めた。

 

「はぁ〜、もう〜……」

 

だがオーラは普段慣れない事で疲れていた。

 

「美味しい〜!」

 

「はい!自分で作るとより美味しさが感じられます!」

 

近くのテーブルでは、はなとルールーが満足そうにお好み焼きを食べている。

 

「ねぇ、それ本当に美味しいの?」

 

ほまれはさあやとツクヨミのお好み焼きにかけているソースに驚く。

 

「中々いけるわよ!」

 

「ほまれもかける?この唐辛子風味ソース!」

 

「えっ、え、遠慮しとくよ……」

 

さあやとツクヨミはかなり辛いソースをお好み焼きにかけて満足そうに食べていた。

 

「なんで私がこんな事しないといけないの⁉︎ もー!ウールはどこ行ったのよー!」

 

「?」

 

オーラが叫ぶと、それを聞いたことりはクジゴジ堂にソウゴとウールの姿がなかった事に気付いた。

 

 

その二人は、クジゴジ堂の近くにある川沿いの道で話をしていた。

 

「滑稽だろ?」

 

「滑稽?なんで?」

 

ウールがいきなり滑稽と言い出し、ソウゴは何故と思い尋ねる。

 

「僕達は未来の時間を支配してる気がしてた。君達の事も見下してた……でも、今ではこうやって助けを求めてる」

 

「いいじゃん。にぎやかで楽しいよ」

 

ウール達がしてきた事をソウゴは気にしていない様子で、それを感じ取ったウールは怪訝そうな顔をする。

 

「は?お前ただのバカか。それとも、王の器があるって事か」

 

「何それ?」

 

「僕達は敵だろ?何で君達はすんなり受け入れてんだよ?ルールーやパップル、チャラリートの時もそうだ……どうして?」

 

ウールはどうして、ソウゴ達はそんなにも敵だった奴らを受け入れるんだと尋ねると、ソウゴは苦笑いをしながら口を開く。

 

「確かに、クライアス社だった君達が散々俺の民をいじめてくれた事は許してないよ……

でも君達は君達なりに、未来を創ろうとしてたのは分かる」

 

「それも、クライアス社に踊らされてただけだった……

僕もオーラも、そのためだけにクライアス社に連れてこられたんだ、スウォルツにね」

 

二人共もクライアス社に利用されていただけだったと知ると、ソウゴはウールからゲイツ達とは違う何かを感じた。

 

「君達とゲイツ達は同じと思ってたけど、やっぱり違うかな……ゲイツ達には帰る所がある。君達には……ない」

 

「……」

 

「この町を居場所だと思って、クジゴジ堂を家だと思っていいんだよ?」

 

「はっ?」

 

「よし!じゃあ、俺達が今やるべき事は、お好み焼きを食べる事だ!ゴー‼︎」

 

「ちょっと……!」

 

ソウゴは気を取り直す様に、ウールを無理やりクジゴジ堂へ向けて連れて走っていく。

そんな2人のやりとりを、ゲイツはこっそりとクジゴジ堂の柱の陰から聞いていた。

 

 

 

 

クライアス社の本社ビルで、スウォルツの前にリストルが現れた。

 

「スウォルツ。いかがですか?」

 

「準備は出来た。いつでもいい?」

 

スウォルツは不適な笑みを浮かべ、ウォッチを掴み続ける。

 

「ウールとオーラの処分はいかがなさるおつもりで?」

 

「それに関しては、既に手を打ってある」

 

リストルは同じメンバーだった彼らはどうするのだと聞くと、スウォルツはウールとオーラすら、もはや用済みだと答える。

 

 

 

 

その翌日、朝早くからウールが一人クジゴジ堂から現れると、ウールはそのまま一人町を歩いていた。

 

「……」

 

まだ朝は早いのに、はくぐみ市にいる人達はみんな、朝から生き生きとしていた。

そんな町の人々の姿は、ウールにとっては眩しく見えた。

 

(みんな……凄く生き生きしている……僕は……)

 

「あれ?何やってるの?」

 

そこへジャージを着たことりが、自虐的な表情を浮かべていたウールの前に現れた。

 

「キュアアーラ……君こそ、こんな早く何やってるの?」

 

「鍛えてるんだ。お姉ちゃんに負けないために」

 

「お姉ちゃん?……あぁ、キュアエールか」

 

理由を知るとウールはことりに背中を向けた。

 

「……なんで、プリキュアになったんだお前?」

 

「お前じゃなくて、野乃ことりだってば」

 

歩きながらそう言うと、ことりはウールの隣に並ぶ。

 

「お姉ちゃん達を助けたいと思ったからかな?」

 

「助けたい?」

 

「うん。実はね、お姉ちゃん……」

 

「――ダークフォルテウェーブ」

 

「ッ⁉︎ 避けろ!」

 

いきなり黒く纏われたエネルギー体がことりに向けて放たれ、咄嗟に気付いたウールが彼女と一緒に体を低くして躱した。

 

「ウール君!」

 

「なんだ、今の?」

 

ウールとことりが放たれた方を見ると、そこに黒いコスチュームに髪が緑に片目を塞いでるような女性が二人の前に現れた。

――だが、二人はその姿は見覚えのあった。

 

「プリキュア?」

 

そう、プリキュアだった。

だがことりが会った先輩プリキュア達と違う様に感じられるのは、とてつも無いくらいの恐ろしさが体の奥底まで伝わっていた事だった。

 

「我が名はダークプリキュア。全てのプリキュアを消すものだ」

 

「ダークプリキュア?」

 

「ウール君は、危ないから下がって!」

 

「……」

 

ことりに下がってと言われ、ウールはすぐに後ろへ下がる。

それを見て、ことりはプリハートとミライクリスタル・エメラルドを取り出した。

 

「貴様が、スウォルツとやらが言っていた。六人目のプリキュアか?」

 

「スウォルツ⁉︎お前、スウォルツとどう言う関係……」

 

「とにかく、クライアス社ならあなたを止める!」

 

ウールはダークプリキュアを名乗る女性とスウォルツの関係が気になるも、ことりはクライアス社に対抗するためにミライクリスタル・エメラルドをセットした。

 

「ミライクリスタル!ハート!キラッと!」

 

すると掛け声と共にことりの体が光り、服が変わった。

 

「はぎゅ〜!」

 

髪の色が明るいピンクで髪型はツインテールへと変わり、緑のリボン付きのカチューシャが付けられた。最後に緑と白のアイドル風のコスチュームを纏い、背中に白いマントのような布を羽織る。

 

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

「……プリキュア……」

 

アーラへと変身したことりに、ウールが一瞬目が惹かれた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

「ふぅん!」

 

アーラが飛び込んでパンチを繰り出すと、ダークプリキュアはそれを難なく受け止めた。

 

「ヤァァァ!」

 

「ッ……」

 

そこへ、アーラがキックを放ちダークプリキュアに辛うじて決まる。そのまま、ダークプリキュアから離れた。

 

 

クジゴジ堂では、ゲイツが窓の向こうを流れる川を見ながら、昨日のソウゴとウールの会話を振り返る。

確かにゲイツ達には未来に帰る場所がある。

だがその言葉はいずれ、ゲイツ達は未来へ帰らなければならないという事実もあった。

 

(帰る場所……)

 

その時、ゲイツはフッと未来で過ごした時間を思い浮かべる。

 

『ゲイツ!早く行こう!』

『今日の試合は負けないから!』

『ゲイツ!』

 

それは同じ学校で笑う、一人の女の子と一緒に戦ったプリキュア達との思い出。

自分の中で生き続ける思い出、その全てを振り返る。

 

(みんな……)

 

確かに、未来から来たゲイツにとっては、ここは過去の世界だ。けど…

 

 

『最低最悪の魔王になったら、俺が倒してやる!必ずな。

俺を信じろ。ジオウ……ソウゴ!』

『ジオウが……ソウゴが魔王になるだと?そんな訳があるかっ‼︎こいつは誰より優しく、誰より頼りになる男だっ‼︎

そして……ソウゴは俺の友達だ……!』

『クジゴジ堂に帰って来てくれない?』

 

 

この世界で、ソウゴに出会い、ゲイツは初めて人の友情を感じた。

この世界では、あいつから教わった事が多かった。

――だからかもしれない。ここも、俺の帰る場所だと感じるようになったのも。

 

(俺は……帰りたくないのかもしれない……)

 

「ゲイツ!」

 

そこへ、ゲイツを探しにソウゴが現れた。

 

「こんな所で何してるの!」

 

「いや……」

 

ゲイツはさっきまで考えていた事を話さないようにしていた。

 

「……なぁ。もし、ウールとオーラがこれからも居場所がなかったら。お前はどうする?」

 

ゲイツはソウゴに、これから二人をどうするのかと聞く。

 

「もちろん。クジゴジ堂をウール達の居場所にする!」

 

「敵だった奴らをか?」

 

「そうだね。敵だったけど、俺は敵でも分かり合えたいな!」

 

ソウゴはウールとオーラと分かり合いたいと言い出した。

 

「俺の目指す王は、誰とでもわかり合いたい。

それが俺の目指す、最高最善の魔王の一つだと思うんだ!」

 

「……そうか」

 

ゲイツが少しだけ笑みを浮かべながら言うと、橋から声が聞こえた。

 

「ソウゴ〜!ゲイツ〜!」

 

そこには、はなとルールーがいた。

 

「どうしたの?」

 

「ことり知らない?」

 

「ことりがどうした?」

 

「朝から居られないのです。何処に行くか聞いてませんか?」

 

「さあ〜?」

 

ことりの行き先がわからないと悩んでいるとその時、ソウゴ達の先から爆発音が聞こえた。

 

「今のは……」

 

ソウゴ達は聞こえた方へ向かう。

 

 

広場の方ではアーラが一人、ダークプリキュアと戦闘を繰り広げていた。

 

「ヤァァァ!」

 

アーラがダークプリキュアにラッシュのようにパンチを繰り出し続ける。しかし、ダークプリキュアは落ち着いて攻撃を受け流していた。

 

「はぁぁ!」

 

「あぁ……⁉︎」

 

ダークプリキュアがアーラの攻撃の隙を見てパンチを繰り出し、アーラを吹き飛ばした。

 

「あ……⁉︎」

 

「うっ……」

 

パンチを受けた部分を押さえるアーラにダークプリキュアが近づくと、彼女はため息を吐きながらアーラを見下ろす。

 

「この程度か?弱いな貴様」

 

「っ⁉︎」

 

「チッ……!」

 

ダークプリキュアの一言を受けたアーラ。それを見てウールが時間を止めようとする。

 

〈プゥゥゥ……ン!〉

 

「これは……」

 

その時、重加速が発生した。

 

「アナザードライブ……」

 

ウールの背後から、重加速を発生させたアナザードライブが現れた。

 

「これって……ウール⁉︎」

 

プリキュアになっていたアーラにはミライクリスタルの効果で重加速は問題無いが、ウールは何も出来ず無防備な状態だった。

 

「く、くそ……」

 

「ふぅん!」

 

アナザードライブは動けないウールに攻撃しようとした。

だがその時。一台の車が現れ、そのままアナザードライブに突撃してウールから離した。

 

「「えっ?」」

 

「何?」

 

いきなり現れた車により三人が驚き、アナザードライブが倒れると重加速が解除された。

 

「君達、大丈夫かい?」

 

車からスーツ姿の男性が現れ、アーラに駆け寄る。

 

「あなたは?」

 

「俺は泊進之介。警察官だ」

 

「警察?」

 

「警察官がなんで?」

 

「重加速について調べていたんだ」

 

その男性…泊進之介は重加速が発生していると上からの指示を受け、重加速が頻繁に起こっているこの町へとやってきたと語る。

 

「話は終わったか?」

 

「グゥゥ……」

 

自己紹介すると、そこへダークプリキュアとアナザードライブが迫ってきた。

 

「させるか!」

 

進之介は青いドライバー『マッハドライバー炎』を装着し、鍵のような形をしたものを取り出した。

 

『シグナルバイク!シフトカー!』

 

ドライバーにそのキー…『トライドロンキー』を差し込み、ドライバーを操作した。

 

「変身‼︎」

『ライダー!超!デッドヒート!』

 

進之介の姿がメカメカしいボディを基調としつつ、右側が赤いのに対し、左半分が黒く機械パーツが露出している頭部という、まるでジャンク品を寄せ集めた様な外見をしているライダーに変身した。

 

「はぁぁ!」

 

そのライダー・仮面ライダー超デットヒートドライブはアナザードライブとダークプリキュアに立ち向かう。

 

「仮面ライダー……」

 

「アーラ!ウール!」

 

そこへ、ことりを探していたソウゴ、ゲイツ、はな、ルールーが駆け寄ってきた。

 

「大丈夫だった?」

 

「うん……」

 

「アナザーライダーと……あれは?」

 

ルールーがアナザーライダーを確認すると、そこには黒いプリキュアとそれを同時に相手にしている仮面ライダーがいた。

 

「黒いプリキュアはともかく、あのアナザーライダーはアナザードライブか……?何故だ、すべてのウォッチは手に入れたはずじゃ……!」

 

「でもない。ドライブウォッチは……」

 

『お前がすべてのライダーの力を集めたわけではないからだ』

 

あの時のオーマジオウが言っていた通り、まだ全てのライダーの力を集めた訳ではない。

 

「そうか。まだ本当の意味では手に入れてない。行くぞ!」

 

ソウゴとゲイツはジクウドライバーを装着し、はなとルールーはプリハートにミライクリスタルをセットした。

 

『ジオウ!グランドジオウ!』

『ゲイツ!ゲイツリバイブ!疾風!』

 

「「変身!」」

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」」」

 

『グランドタイム!祝え!仮面ライダー!グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!』

『ライダータイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風!疾風!』

 

四人が変身を完了し、アナザードライブとダークプリキュアへと向かって走る。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウが介入し、ダークプリキュアとアナザードライブを離した。

 

「仮面ライダー?」

 

「あいつらは俺達に任せて!」

 

ジオウがサイキョーギレードでアナザードライブに応戦する。

一方のエールとアムールは同時に攻撃を仕掛ける。

 

「プリキュアを二人……排除する!」

 

しかし、ダークプリキュアの方が早く、エールとアムールに攻撃を仕掛ける。

 

「この武器、ブロサッムとマリンと同じ……」

 

エールはダークプリキュアを持つ武器が、ブロサッムとマリンと同じタクトと同じだと気づく。

 

「はぁぁ!」

 

「「うわぁぁぁぁ!」」

 

「エール!アムール!」

 

「終わりだ。ダークフォルテウェーブ!」

 

ダークプリキュアはエール達三人に向けて、技を放とうした。

 

「フェザーブラスト!」

「スタースラッシュ!」

 

「っ⁉︎」

 

だがダークフォルテウェーブを放とうしたその時、フェザーブラストとスタースラッシュが放たれ、ダークフォルテウェーブを相殺した。

 

「はぁぁ!」

 

「ッ……」

 

そこへマシェリが飛び込んで、ダークプリキュアにパンチを繰り出した。

 

「大丈夫!」

 

「遅れてごめん!」

 

「アンジュ!エトワール!」

 

「マシェリ!」

 

「ちっ……」

 

そこへ、アナザードライブが舌打ちをしながらタイヤのエネルギー体を作り、プリキュア達に放とうする。

だが、ウールが時間を止めてアナザードライブの動きを止めた。

 

「ウール?」

 

「助けられっぱなしも癪だからさ」

 

『ドライブ!』

 

それを見たジオウはドライブのレリーフを触り、ドライブの武器『ハンドル剣』を召喚させた。

 

「ハンドル剣⁉︎」

 

近くで戦っていたドライブは、かつて自分が使っていたその武器を見て驚いた。

 

「みんな!行くよ!」

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

ミライパッドがメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」

 

彼女達が右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

 

「「「「「プリキュア!チアフルスタイル!」」」」」

 

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がチアフルスタイルに変身する。

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

そして、パワーをメモリアルキュアクロックに集める。

 

「「「「「プリキュア!チアフルアターック!」」」」」

 

六色の五つ葉のクローバー型エネルギー弾を発射するチアフル・アタックを放った。

 

「くっ……」

 

チアフル・アタックを受けたダークプリキュアは、その力に思わず膝を折る。

 

「出直すとしよう」

 

これ以上は危険だと察したダークプリキュアは、一瞬にして去っていった。

さらに、ジオウとゲイツはドライバーを回そうとする。

 

「行くぞ、ゲイツ!」

 

「あぁ……」

 

『『フィニッシュタイム!』』

 

ドライバーのロックを解除し、二人はドライバーを回す。

 

『オールトゥエンティタイムブレーク!』

『百烈タイムバースト!』

 

グランドジオウが持つハンドル剣の一撃とゲイツリバイブ疾風の百裂タイムバーストによる同時攻撃で、アナザードライブは爆発した。

これで終わりと思ったジオウ達だったが、その爆炎の中から現れた人影に再び警戒をし始める。

だが爆煙が晴れたその時、ウールは目を大きく開かせながら驚愕する。

 

「オーラ……」

 

「何?」

 

アナザードライブに変身していたのは、オーラだった。

 

「オーラ!」

 

ウールは動揺しながらも、変身解除しているオーラに近づこうとする。

 

「よぅ。随分と仲良くなったウール」

 

しかしそこへ、スウォルツが立ち塞がった。

 

「スウォルツ……」

 

「だめじゃないか、ウール。いたずらをしては。はぁ!」

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

スウォルツが暗いオーラをウールに放ち、それを受けたウールが吹き飛ばされ、地面を勢いよく倒れる。

 

「ウール!」

 

アーラが倒れたウールに急いで駆け寄る。

 

「ねぇ!大丈夫!ねぇ!ねぇたら!」

 

アーラは必死にウールを揺すって起こそうとする。

 

「スウォルツ!」

 

スウォルツの行動に怒りを覚えたジオウが睨みつけるが、本人はジオウを何事も無いかのように見ると、鼻で笑いだす。

 

「オーマジオウもどきが、俺に何かできると思うか?」

 

「えっ?」

 

「見せてやろう、俺の手に入れた力を……」

 

そう語るスウォルツは、懐からアナザーライドウォッチを取り出した。

 

『ディケイド…!』

 

そして、起動させたウォッチをそのまま自らの体内に埋め込んだ。

 

『ディケイド…!』

 

スウォルツが変身したアナザーライダーの姿は、正しく『悪魔』を連想させるものだった。

頭部はディケイドのライダーズクレストのごとく、横に張り出す形で大きなツノのような突起が伸びており、バーコード状にプレートが突き刺さっている。

さらに、腰のベルト部分は白色でカメラを連想させる様でもあるが、血走った眼球にも見える生物的な意匠も見られた。

 

「アナザー……ディケイド……」

 

胸部右側に『DECADE』『2018』と刻まれ、醜悪な人面と化した顔から見える黒い目でジオウ達を見据えながら、そのアナザーライダー…いや、アナザーディケイドが今ここに誕生した。

 

「見るがいい……ふぅん!」

 

アナザーディケイドが手を挙げると、背後から灰色のカーテンが現れた。

そのカーテンからは、四人の影が見えた。

 

「俺が手を下すまでもない」

 

オーロラカーテンを通して仮面ライダーG4 、仮面ライダーレイ 、仮面ライダーダークゴースト 、仮面ライダー風魔、4体のダークライダーが召喚された。

 

「仮面ライダーが四人も!」

 

「ダークライダーか……」

 

「やれ」

 

アナザーディケイドの指示で、ダークライダー達は一斉に攻撃を仕掛けてきたのだった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第52話 2014: 力を持つ意味!Start Your Engine!

 

 




おまけ

ソウゴ「どうしてダークプリキュアを召喚したんだ!まさか、彼女であんなことやこんな事を・・・」

スウォルツ「してねぇわ!何勝手に想像してんだ!?」

は・こ・ル「うわぁ……」

スウォルツ「オイィィィィィ!?なんで引いてるんだ!違うって言ってるだろ!!」

その後、ス氏はダークライダーを中心に召喚する様になりました。

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