Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っており、全てのウォッチを集めた時見ソウゴ。
ドクター・トラウムがルールー・アムールの父親だと打ち明けられ、迷っていたルールー君だったが、我が魔王の言葉により親子の関係を作れた……
しかしここからが、我が魔王達の道を左右する瞬間となります……」


第55話 2018: エターナルタイム!迷えるえみるとゲイツの心

トラウムが自らをルールーの父親と言い、彼女へ会いに来た。

衝突し合ったものの、二人はお互いに気持ちを理解し合うことが出来、更に現れた猛オシマイダーとアナザーディケイドを退く事が出来た。

 

しかし、えみる達は重大な事を思い出してしまった。

いずれ来るであろう、未来から来たゲイツやルールーとの別れを…

 

 

 

その時、ソウゴ達の居るその場に強い震動が響いた。

 

「な、何……」

 

「あ、あれ!」

 

何かに気づいたさあやが空を指差すと、そこからタイムトンネルが出現した。

そこから現れたのはソウゴとゲイツの使うタイムマジーンとは違う、少し古いタイプのタイムマジーンの様だった。

 

「タイムマジーン……」

 

「2050年代の初期型だね」

 

青いカラーに単眼の様な頭部を持つタイムマジーンを見たウォズが、2050年の機体だと推測した。

するとそのタイムマジーンのハッチが開き、そこから全身が青色姿の仮面ライダーが現れた。

 

「仮面ライダー?」

 

ゲイツが警戒すると、青いライダーは変身を解除した。

変身前の姿は青い服装で、髪に青いメッシュがある年上の男性だった。

 

「君が明導ゲイツ……だよね?」

 

「そうだが……お前は?」

 

「俺は仮面ライダーアクア、湊ミハル。君を迎えに来たんだ」

 

「迎えにだと?」

 

「ゲイツ、君は未来へ帰るんだ」

 

「何……?」

 

ミハルはゲイツに未来へ帰るんだと忠告した。

そのままミハルを連れ込み、ビューティーハリーの店内が淀んだ空気の中にソウゴ達はいた。

 

「湊ミハル……仮面ライダーアクア。この本によれば確かに、君も未来から来たライダーのようだね」

 

「そうだよ」

 

ウォズがミハルの正体を話す。

しかしそんな事よりも、ソウゴ達は未来に帰るはぐたん達の事で頭が一杯だった。

 

「いつかは……未来に帰っちゃう……」

 

「はぐたんも……ハリーも……」

 

「ゲイツ……」

 

「ツクヨミお姉ちゃんも……ウォズさん……」

 

いずれ未来へ帰る事には気付いた事で、店内の空気は重かった。

 

「確かにはぐたんを……いや、トゥモローを未来には返さなければならない。それは私達が、未来へ戻るとも繋がる」

 

ウォズは唖然とするはな達に落ち着いた口調で、冷静に事を話す。

 

「で、でも!時々こちらに遊びに来れば良いのです!」

 

「それは……難しいやろな」

 

「にょへ⁉︎」

 

「こっちに来るには、ごっつい量のアスパワワが必要や。何度も出来る事やあらへん」

 

「…あっ⁉︎ タイムマジーン!あれがあれば……」

 

「それはダメだよ」

 

「えっ?」

 

ハリーにタイムトラベルは難しいと言われたえみるがタイムマジーンを使えば良いと言おうとするが、ソウゴ達の話を黙って聞いていたミハルがダメだと戒める。

 

「未来から来た人間が、理由もなく無闇に過去に介入しちゃいけないんだ……」

 

「そんな……」

 

「特に最初にそれ行ったゲイツ。きみのやっていることは、過去を変えようとしている」

 

ミハルにそう言われたゲイツは立ち上がり、彼に向かって怒りを含んだ叫び声を上げた。

 

「何も知らないくせに偉そうな。それをやっているのはクライアス社だ」

 

「クライアス社も君達も同じだよ。未来からやってきて、過去でやりたい放題してるんだから」

 

「何だと……」

 

ゲイツ達のしている事はクライアス社と同じと咎められ、ゲイツは否定しようにもミハルの言う事はあまりにも正論であるが為に、どう返せばいいかわからずつぐんでしまう。

 

「じゃ、じゃあ、未来へ帰らないと言うのはどうですか⁉︎」

 

ならばと、えみるは未来に帰らないと提案する。

 

「えみるちゃん……」

 

「ずっと、ここで皆さんと……」

 

えみるはルールー達に帰って欲しくなかった。だから彼女は、出来る限りの案を必死に出し続けた。

 

「えみる、私は未来へ帰ります」

 

「ルールー……」

 

だがルールーは、未来へ帰ると決めていた。

それを見ていたハリー、ツクヨミも、口には出さないが、いずれは戻らなければいけないのだとミハルの言葉を聞いて感じていた。

 

「……仕方ありませんね!」

 

「えみるちゃん……」

 

「私達はヒーローなのです!はぐたんを未来へ返さないといけないのです!ハッハッハッハッ!」

 

切り替えたかのように笑顔を見せると、えみるが笑いながらそう言う。

しかし、彼女の心の奥底には、『帰らないで』と言う想いが、深く根付いていた…

 

 

その夜、えみるは自分の部屋でずっとルールーとの事を思い返した。

 

(ルールーが未来へ帰る……居なくなってしまう……)

 

ベッドで眠るえみるが心の中で呟きながらミライクリスタル・レッドを見つめ、呟き終えてから握り締めた。

 

 

 

 

クライアス社本社の実験室。そこにビシンが訪れた。

 

「嘘つき。何でみんな、僕から離れて行くんだ……」

 

ビシンが培養液の中で眠るリストルを見て呟く。

 

「リストルも!ハリーも!何で!」

 

「だから時を止めるんだ」

 

ビシンが叫ぶと、そこへクライが現れた。

 

「プレジデント・クライ……」

 

「そうすれば、皆ずっと一緒にいられる」

 

現れたクライがそう告げ、ビシンを抱き締める。

 

「ずっと……一緒に……」

 

そんな姿を、後ろからスウォルツが様子を見ていた。

 

 

 

 

その翌日、野乃家では。

昨日の事でことりがあまり寝られず、不安な顔で部屋から出てきた。

 

「何、元気ない顏してんだよ?」

 

「ウール……あのさ、ウールは……いつか未来に帰るの?」

 

ウールが目の前に現れると、ことりは彼へ未来に帰るのかと尋ねる。

 

「……さぁね」

 

しばらく沈黙が続いて、分からないと呟く。

 

「別に僕は、未来で待っている人もいなければ、帰る場所もない……

だから……まだ、ここにいても良いかな……?」

 

「えっ?」

 

ウールの言葉を聞いてことりは何処か嬉しかったように感じた。ウールの方も、この家での生活が案外気に入っていたようだ。

 

「うん!いいよ」

 

「……なんだよ……ほら、早く朝ごはん食べよう」

 

「うん」

 

ことりが笑って言うと、ウールは照れ臭そうに言う。

そのまま支度が終わると、ことりは学校へ登校する。

しかし、まだえみるの方が不安で、彼女の表情からは未だに不安の色が浮かんでいた。

 

(えみるちゃん、大丈夫かな……)

 

心の中で呟いてからすぐに、えみるを乗せた車が停まり、彼女が降りる。

 

「おはよう、えみるちゃん」

 

「ゴキゲンヨウことりサン」

 

「………はい?」

 

だがことりはえみるの顔を見て、驚きの表情を浮かべる。

 

「早ク学校ニ行カナイト、遅レマスヨ」

 

「え、えみるちゃん⁉︎」

 

「ハイ?」

 

振り返ったえみるは、何故か猫目になってカタコトになってた。

しかも、いつも口癖である『…なのです〜』がなかった。

 

「何か……変……!」

 

今日のえみるはいつにもなく変だった。

 

 

そのまま昼休みとなり、中庭にいたはなとさあやにこの事を話す。

 

「えみるの様子がおかしい?」

 

「なのですって言わなくなっちゃったし、後飛んで来た買い物袋が顔に付いたまま学校に入っちゃったの!」

 

「「「ええっ⁉︎」」」

 

「昨日の事があったからなのは間違い無いけど……!変でしょ⁉︎」

 

「ことりちゃーん!」

 

「あっ、はーい!出来る限り様子は見るから、お姉ちゃん達もえみるちゃんの様子を見て!」

 

そう二人に伝えてから、ことりは自分を呼んだクラスメイトの元へ向かった。

 

「やっぱ、ルールーの事だよね」

 

「うん。考えて無かった訳じゃないけど、いざ向き合うと、私も……未来を救う……助ける。それは叶えたい事。けどそうすると……」

 

「ルールー、ゲイツ、ハリー、ツクヨミ、ウォズ、はぐたんとお別れ……」

 

はながミライパッドの画面に写る、いつかみんなで撮った写真を見て、そう呟いた。

 

 

ラヴェニール学園の廊下を、ほまれとアンリが歩いていたが、アンリは何か思い詰めた様子のほまれに違和感を感じていた。

 

「何かあった?」

 

「?」

 

「心ここに在らずって感じ。練習中も、今も」

 

「……別に。アンリこそどうしたの?ジャンプの踏み切り、何で変えたの?」

 

「僕に隠し事なんて無理だよ。いつから一緒にいると思ってるの?」

 

「相談しても、どうにもならない事なんだ」

 

アンリは全身を90度回転させてほまれの方を向いて尋ねるが、ほまれは暗い表情でそう告げる。

 

「………辛い」

 

「ほまれ……」

 

二人の間に重い空気が漂っていると、えみるが二人の前に現れた。

 

「ゴキゲンヨウ」

 

「え、えみる……?」

 

「キャラ変わってない……?」

 

カタコトで挨拶して来た猫目のえみるを見た二人が、驚きの余り距離を取る。

 

「ソンナ事アリマセン。ウッフフフフ……」

 

そう告げてから、不気味な笑い方をしてこの場を後にした。

 

 

同じ頃、ソウゴは教室の自分の席から一人外を見つめていた。

 

「未来に帰る……」

 

ゲイツ達はいずれ、元いた時代に、2068年という未来に帰る。

だがソウゴはなんとなく……いや、もしかしたら、ずっと前からわかっていたのかもしれない。

その上で、己はその事実を知らないふりをしていた。

いつかはゲイツ、はぐたん、ルールー、ツクヨミ、ハリー。みんなとお別れをしなければならない事を。

 

(わかってる……ゲイツ達には、帰らなけれならい場所がある……でも……)

 

心では、わかっている。

でも、彼らとはクジゴジ堂でこの一年近く一緒に暮らし、共に戦ってきた。

だからソウゴは、ゲイツ達にはここにずっと居て欲しいとも思っていた。

 

「時見!」

 

物思いに耽っていたソウゴの下に、クラスメイトの小和田がソウゴに声をかけた。

彼は以前、アナザーエグゼイドの時の被害者だった少年である。

当時彼はアナザーエグゼイドによって昏睡状態に陥っていたが、ソウゴがアナザーエグゼイドを倒したために歴史が変わって、アナザーエグゼイドに襲われたという事実が無かったことになり、今も無事にソウゴの前で元気に声をかけている。

 

「珍しいな。お前が委員長や野乃達と一緒じゃないなんて…」

 

「うん……ちょっとね」

 

「なぁ、久しぶりに付き合えよ。今日のゲームの大会にでるんだ。一緒に行こうぜ」

 

「あ……まぁ、いいか。行こう」

 

ソウゴはゲーム大会と聞き、気持ちを紛らすにいはいいかもと思い、彼の誘いを承諾した。

 

 

公園のコンクリートのベンチでは、ルールーがギターを弾いていた。

 

「未来に帰る……けれど……私の心……えみるの心は……そして……」

 

いずれ未来に帰らなければないという事実を思い浮かべ、えみるの事を心残りにしていたルールーは、もう一つ気になる心があった。

それは、いつも自身が危なくなると危険を顧みず、自分を、みんなを助けてくれる彼を……ソウゴの事を、ミライクリスタル・パープルを見つめ、彼の事を想いながらそう呟いた。

 

「えみると違う心……この私の心をより強くさせるこの感じ……ソウゴ」

 

ソウゴの事を考えると、胸が張り裂けそうな気持ちになる。

それがなんなのか、未だルールーにはわからなかった。

 

 

 

そんな一方で、はくぐみ市にある巨大企業、愛崎コンツェルン本社の会長室。

そこにいるのはえみるの祖父、愛崎獏発である。

 

「何度も言わせるな!」

 

「そうか。クライアス社とは業務提携を考えてないのかと」

 

スウォルツがソファーから立ち上がってそう言い、愛崎コンツェルン会長であり、えみると正人の祖父である獏発にビシンが近寄る。

 

「由緒ある愛崎コンツェルンが―――ん?」

 

「この子、あなたのお孫さんでしょ?」

 

「⁉︎」

 

ビシンは獏発にツインラブのポスターを見せ、そこに写っている二人組の片翼を指差しながらそう告げた。

 

 

 

その頃、ゲイツは学校の屋上で一人で考え事をしていた。

 

「……」

 

「何を考えているんだい。ゲイツ君?」

 

そこへウォズが現れて、何か思い悩んでいる様子のゲイツに話しかけると、本人は目を下に向けながら口をぽつぽつと開き始める。

 

「俺のやっていた事は、間違っていたのか……」

 

「ゲイツ君……」

 

昨日、ミハルが言ってた事がゲイツは心に強く響いていた。

クライアス社を倒し、過去でオーマジオウになる前のソウゴを倒して未来を救う。そのためにこの時代に来た。

――だが、その行動は根本的に間違っていると言われた。

 

「俺は、この時代に来るべきじゃなかったのか……」

 

「さぁね。まぁ、私は君と違いこの本の通りに歴史を歩んでいるけどね」

 

そう告げてウォズはゲイツの前から去っていく。

 

(それに俺は……トゥモローを……)

 

あの時俺は、クライアス社に捕まった彼女を助けに行った。

なのに、彼女の消息は途絶え、その後ずっと死んだとばかり思っていた。

 

しかし、彼女は生きていた。

それも直ぐ近くの身近な所で、何故かハリーと一緒にいた不思議な赤ん坊だと思っていたはぐたんこそが、トゥモローである事にも気づかないで。

俺は、その事を信じることが出来なかった。

昨日の戦闘でも、その事が脳裏へ振り返りずっと後悔していた。

 

 

同じ頃、ツクヨミがミハルと学園の裏で話をしていた。

 

「私を迎えに来た?」

 

「うん。そうだよアルピナ」

 

「アル…ピナ?」

 

ミハルはツクヨミの事をアルピナと呼ぶと、ツクヨミは何故その名で呼ぶのだと思う。

 

「ああ、えっと…君の本当の名前。自分が時を司る一族の末裔で後継者だってことは覚えてる?」

 

ミハルがその事を話すとツクヨミはあの改変事件で、スウォルツが語ったことを思い返す。

 

『その力は、我が一族で認められたものが与えられた特別な力だ』

 

認められたものが与えられる力だと、スウォルツはツクヨミに打ち明けていた。

 

「過去に介入しようなんて、君がもっともやっちゃいけない事だ。今すぐ帰ろう。俺と一緒に。君もゲイツも」

 

ツクヨミは以前、ソウゴに誓ったことを思い返す。

 

『魔王にならないよう導きたい、そう思ってる』

『奴は魔王になどならん。俺達がさせない』

 

自分とゲイツは、今までずっと彼がオーマジオウにならない様に監視し、交流し、そして対立した。

今ではソウゴと自分の間には、大切な関係が築かれていた。

だが、今ここで戻ったらソウゴは……

 

「私達が帰ったら、ソウゴがオーマジオウになってしまう。そうしたら……みんなと……」

 

ここで戻れば、もしソウゴがオーマジオウとなった時、ソウゴがはな達プリキュアと戦う事になってしまう。それだけは、絶対に避けなければならない。

 

「ううん。逆なんだ」

 

「――え?」

 

だがそれを聞いていたミハルに逆だと言われ、ツクヨミは思わず自分の耳を疑う。

 

「君達はオーマジオウのいる未来からやってきた。

そんな君達がここにいたら、時見ソウゴがオーマジオウになる未来が決定ってことになっちゃうんだ。

分かるかな?それに、ほら、君は世界が違うから」

 

ツクヨミはこの時、スウォルツと士が言っていた言葉を思い出す。

 

『俺達はこの世界とは別の世界。平行世界からやってきた』

『お前がここにいること自体が、時空の歪みそのものだからな』

 

「だから帰ろうって言ってるんだ。君のその力と一緒に」

 

自分達兄妹がこの時代にいること自体が問題だと、改めて自覚して心揺れるツクヨミに、ミハルは今すぐにも未来に帰らなければならないと語るが…

 

「それは無理……私の力はスウォルツに……兄に奪われてしまったから」

 

「はあ……そうなんだ…………えぇぇーーー⁉︎」

 

ツクヨミが既にスウォルツに力が奪われていた事に驚き、ミハルは絶叫した。

 

 

いつにもなく様子のおかしいえみるが、ビューティーハリーへと一人でソファに座りはぐたんを抱いていた。

 

「ゴキゲンヨウはぐたん」

 

「えみりゅ……へん……」

 

えみるに抱き抱えられたはぐたんが不安そうに呟く。

 

「どうしたんや……えみる」

 

「いつもと違うね」

 

「いつの間に……!?」

 

「えみる……!」

 

「えみる兄までおるんかーい……!」

 

いつの間にかアンリと正人も来てて、正人に至っては涙を流してた。

 

「やっぱ、ショックだったんだやな……

ルールーの事……どうなんしたら……」

 

ルールーの事がやはりショックだったと思うのだが、どう今のえみるに声をかけるべきかハリーは悩む。

すると、突然河童の格好をしたはなとことりが現れ、三人が驚く。

 

「えみるちゃん!笑顔になってカッパ~!」

 

「ハイ?」

 

「えみるちゃんは河童が好きでしょ?河童~!」

 

「別ニ好キジャ無イデス」

 

「めちょカッパ……」

 

「だから止めようって言ったのに……」

 

はなの河童作戦は大失敗に終わった。

 

「「次は私達が!」」

 

今度はさあやとほまれが挑戦する。

 

「さあ!この熱々のおでんを食べますよ!」

 

今度はさあやとほまれが二人場織を行う。

 

「さあやの女優魂見せて!」

 

「よくってよ!」

 

さあやが女優魂を見せながらおでんの大根を食べる。

 

「……」

 

しかし、これにも反応を見せなかった。

 

「「ええええっ……⁉︎」」

 

「普通に食べた方が良いですよ」

 

「正論ですわ……!」

 

「ハリーの嘘つき!二人場織は絶対ウケるって言ってたじゃん!」

 

「ルールーの歓迎会でスベリ倒した所、お前らも見てたやろ!」

 

結局、誰もえみるから笑顔が戻らず、いつも違う変な様子の表情だった。

 

「これは、お兄ちゃんの出番でしょ」

 

「僕……⁉︎」

 

ピンチヒッターに今度はえみるの兄の正人がえみるに挑む。

 

「えっと……えと……布団が、吹っ飛んだ!」

 

面白いと思いギャグを言ってみたが、正人のギャグに周囲の空気が冷え、えみるも反応を見せなかった。

 

「そっか。正人の中では、それが面白いんだね」

 

「止めろ……!一番傷付くよ……っ!」

 

アンリが微笑み、正人の肩に手を当ててそう声をかけた。

 

「皆サンドウシタンデスカ?オカシナ―――」

 

「おかしいのは君でしょ。どうして心の扉を閉じているの?」

 

「ソンナ……」

 

アンリの言葉に反応したえみるは、そんな事はないと言いかけるが…

 

「えみる」

 

そこへ、えみるの事が心配になったルールーが現れた。

 

「ルールー……」

 

「えみるの心を、見せて下さい」

 

ルールーが自分のミライクリスタル・パープルを見せる。

 

「私の……心〜…」

 

同じ様にミライクリスタル・レッドを取り出したえみるの目が戻る。

 

「私達は親友。隠し事は無しと約束したじゃないですか」

 

「私……私は……ッ!」

 

えみるが思いを告げようとしたその時、二人の手に持っていたミライクリスタルが突如として消えてしまった。

 

「何だ……⁉︎」

 

「ミライクリスタルが……!」

 

「消えちゃった……!」

 

「……」

 

ハリー達が驚いたのもつかの間、クリスタルが消えると同時にえみるが気を失って倒れてしまった。

 

「えみる……!」

 

「大丈夫か⁉︎」 

 

「っ!……――――」

 

正人が駆け寄ってからすぐ、幸いにも薄っすらと意識の残っていたえみるが口をパクパクと開きながら何かを話すも、はな達の耳には彼女の声が聞こえなかった。

 

「えみる……?声が……!」

 

「出ないの……?」

 

「えみる……ッ!」

 

ルールー達が未来に帰る事とミライクリスタルが消えた事にショックでえみるは、声も出なくなってしまった。

 

 

 

「えみるの声が出なくなった?うん。分かったわ」

 

その連絡を受けたパップルが事情を聞く。

 

「今はゆっくり休ませてあげて。お大事に…

(あの二人の心は、いつも一緒なのね。二人で愛のプリキュアなんだもの)」

 

電話を切ったパップルがツインラブのポスターを見つめ、心の中でそう呟いた。

 

 

 

ソウゴはそんな事を知らず、クラスメイトと共にはくぐみ市にあるゲームセンターで開かれている、格闘ゲームの大会を観戦していた。

 

「くそぉ!」

 

クラスメイトの友人は決勝まで進んだが結局最後は負けてしまった。

 

「あぁ〜……」

 

見ていたソウゴも少し残念だった。

そのままクラスメイトの小和田とゲームセンターから出て行く。

 

「元気出せよ。次勝てば……」

 

「うるせー!」

 

負けたことで機嫌が悪く、ソウゴに少し八つ当たり気味の様子だった。

小和田はそのままソウゴを置いて一人で帰ろうとする。

 

「おい」

 

なんとその時、そこにスウォルツが現れた。

 

「スウォルツ!」

 

「俺がお前の世界を作ってやろう」

 

スウォルツが腕を振り上げる。すると彼の前に小さな灰色のカーテンが現れ、そのままクラスメイトの小和田を包み込んだ。

 

「小和田⁉︎ スウォルツ!何をしたっ!」

 

「お前には、お前に相応しいゲームがある」

 

スウォルツが不適な笑みを浮かべる。

すると、先までいた小和田の場所へ灰色のカーテンが出現すると、そこから黒いジャケットを着た青いメッシュの男性が現れた。

 

「またか……いい加減、きちんと死ねたと思ったんだがな……」

 

「誰?」

 

「フッ……死神の名前か。地獄に言ったらこの名を告げろ」

 

その男性は、何かのスロットが一つだけ付いた赤いドライバーのようなものを見せた。

ソウゴはそのドライバーを見て、見覚えがあった事を思い出す。確か、以前のアナザークウガ鬼火の事件で出会った左翔太郎が仮面ライダージョーカーになる為に巻いていた『ロストドライバー』だった筈。

 

『エターナル!』

 

そして彼がその手に持っていたのは、翔太郎とフィリップと同じタイプのガイアメモリだった。

 

「変身!」

 

『E』のアルファベットが刻まれた白っぽいガイアメモリを差し込み、ドライバーのスロットを展開させる。

 

『エターナル!』

 

すると、一瞬の内に白いライダースーツが覆われる。

そして背中に黒いマントを纏い、両手には青い炎のグラデーションが入った純白のボディと、頭部にはEを横倒しにした三つ角を持ったライダーがそこに立って、黄色の複眼でソウゴを見つめていた。

 

「仮面ライダー……」

 

『ジクウドライバー!』

『ジオウ!』

 

ソウゴはジクウドライバーを装着し、ジオウウォッチを起動するとドライバーに装填、ドライバーのロックを解除すると後ろから時計が出現した。

 

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

ソウゴもジオウへと変身を完了し、目の前のライダー…仮面ライダーエターナルとの戦闘を開始する。

 

 

その頃、まだ話を続けていたツクヨミとミハルは…

 

「お願いミハル。もう少し時間をくれない……?

あなたが言ってることは正しいと思う。

でも私達は、ソウゴを絶対にオーマジオウにさせたくないの……!だから……」

 

ツクヨミはまだこの時代、この世界に残りソウゴの運命を変えたいと頼む。

 

「でも、その未来は時見ソウゴ達のものなんだよ!」

 

「……それでも、今ここで帰るわけにいかないわ……」

 

「……アルピナ」

 

まだ帰るわけには行かないと言うツクヨミの強い意志に、ミハルはすぐに答えを言えず、言い淀んでしまう。しかしそこへ…

 

「ジオウ……」

 

「ソウゴ!」

 

偶然、二人は仮面ライダーエターナルと戦闘していたジオウを見かけた。

 

(あれが……ジオウ。俺の知ってるジオウと、何かが違う?)

 

ミハルはジオウの戦い方を見て、自分の知るオーマジオウのジオウとは違うのかと疑問に持ち始める。

 

「俺の力を使うと、そんな芸当も出来るのか?」

 

そして、その戦いを見守り不適な笑み出し続けるスウォルツの前に士が現れ、柱からジオウの戦いを観戦していた。

 

「門矢士。お前の力は俺が奪った。手出しは出来んぞ」

 

「そうか?」

 

スウォルツは余裕の表情でそう話すが、対する士は顔色一つ変えず落ち着いた表情だった。

 

「あいにく俺の力ってのは、俺の存在そのものなんだけどな?」

 

士が手を額の方へと持ってくる。

すると、ジオウの前にオーロラカーテンが出現し、そのまま自身とジオウを伴い消えた。

 

「何……」

 

「チッ……」

 

エターナルはジオウがいなくなったことに驚き、スウォルツは舌打ちをして機嫌を悪くした。

 

「ソウゴ!」

 

ツクヨミとミハルがいなくなったジオウの場所へと現れた。

 

「妹よ……何しにきた」

 

「スウォルツ……」

 

スウォルツが迫ってくると、ミハルがツクヨミの前に出る。

 

「僕に任せて」

 

「ミハル……?」

 

「それと、スウォルツから隙が出来たら、スウォルツから力を取り戻すんだ」

 

「えっ?」

 

「いいね」

 

ミハルは仮面ライダーアクアと変身する為にアクアドライバーを取り出し、腰に据えるベルトとなって巻かれた。

 

「……ああ、ちょっと待って。今、勇気出すから」

 

だが彼は変身する前に、ポケットから何かを取り出す。

――それはなんと……パンツだった。

 

「パンツ……」

 

「あ、ああ、明日のパンツだよ」

 

そのカラフルなパンツはミハルにとって、かけがえのないもので、とても尊敬する人から貰ったもの。

…なのだが、何も知らない人から見れば意味不明なものでしかなかった。

 

「よし」

 

パンツを仕舞うとミハルはベルトを起動させ構えた。

 

「変……身」

 

そのままミハルの体を水しぶきのように覆い、姿を変える。

そして、仮面ライダーアクアへと変身した。

 

「はぁぁ!」

 

アクアとなったミハルはジオウの代わりにエターナルへ戦いを挑む。

 

 

士によりオーロラカーテンへ取り込まれたジオウだったが、気づくと変身が解除されていた。

 

「何だここ?」

 

「スウォルツが創った世界らしいな」

 

「スウォルツの……でも、これ……」

 

スウォルツが創った世界だと聞かれるが、ソウゴはこの世界の風景にはすごく見覚えがあるように思った。

 

「やったー!」

 

「……小和田?」

 

その光景は、先の大会中のものだ。しかし、おかしな点が見えた。

 

「時見!見ててくれたか?ほら俺勝ったぞ!これで次の大会に行ける!」

 

クラスメイトがゲーム大会で勝っている世界へとなっていたのだ。

 

「何言ってんだよ。小和田、お前負けたんだよ」

 

「あ?何言ってんだよ。俺は勝ったんだよ!王者になるんだぁ!」

 

「違う、違うよ小和田。これは!」

 

違うと言おうとしたその時……

 

「――やったー!時見!見ててくれたか?ほら俺勝ったぞ!これで次の大会に行ける!」

 

「…えっ?」

 

さっきまでの出来事をビデオで巻き戻したかのように、またしても同じ事を繰り返し言う。一体に何が起きているのかソウゴにはわからなかったが、士は察しが付いていた。

 

「そうゆうことか」

 

「どうゆうこと?」

 

「ここはありえなかった世界。失われた可能性の世界と言ってもいい。さしずめ……アナザーワールドと言ったところか」

 

「アナザーワールド……」

 

士はこの世界はアナザーワールドと答えた。

 

「お前の友人には勝つ可能性があった。スウォルツはそれを利用し、この世界を創った」

 

「何のために?」

 

「ダークライダーを蘇らせるために……かもな」

 

そうなると、今まで現れたダークライダーも、こんな風にスウォルツが色んな人達をこの世界に取り込んだことになる。

 

「お前がさっき戦った仮面ライダーエターナル。

あいつは昔、Wによって倒された……

いや、このアナザーワールドでは勝ったことになってるらしい」

 

仮面ライダーエターナル。彼はかつて、翔太郎とフィリップの変身する仮面ライダーWによって倒された仮面ライダーだと士は語る。

 

「帰るぞ。カラクリは分かった。ここがゴールのはずはない。この先に何かあるはず」

 

「ちょっと待って。小和田を助けないと」

 

「それは無理だな。ここはあいつの世界。この世界を破壊しない限り、あいつは救えない」

 

「そんな……」

 

「そんな事よりも……お前はまずキュアマシェリの元へ行かなくていいのか?」

 

「えみるちゃんが?何かあったの……」

 

「ネズミから聞いたが、キュアマシェリが倒れたそうだ。ついでにアムールと一緒にクリスタルの方も消えたとさ」

 

「えっ?」

 

それを聞いたソウゴは、最初は自分の耳を疑った。

 

 

現実の世界では、エターナルにアクアが応戦していた。

 

「くっ……」

 

戦闘はエターナルがアクアを押していた。

 

「踊りな。死神のパーティータイムだ!」

 

「俺が君を相手にしてると思ってた⁉︎」

 

アクアはそう言って水圧でエターナルを突き放す。

するとアクアは振り向き、スウォルツを水の力で捕縛する。

 

「何⁉︎」

 

「ツクヨミ!今だ!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 

潜んでいたツクヨミが背後に現れ、スウォルツから力を取り返し始めた。

 

「スウォルツ!」

 

「これを……狙っていたのか!」

 

「ここで終止符を打つ!」

 

ツクヨミは更にスウォルツから奪われた力を取り戻そうとする。

 

「パーティーに水を差してくれたな!」

 

アクアはエターナルを掴んだまま、海へ落ちた。いや、引き込んだと言うべきか。

そのまま水中戦へ移ったが、水の中はアクアの持ち場、水中を早い動きでエターナルを攻撃し、形成逆転へとなった。

 

「俺は未来から来た!君なんか過去の亡霊だ!」

 

「だが結局、未来も過去になるんだ」

 

エターナルはそう反論すると水中で竜巻を作り出し、渦潮を発生させた。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

それにより、アクアを地上へ放り出した。

 

「ミハル!」

 

『ディケイド…!』

 

ツクヨミは力を取り戻したようだが、アクアが押され出した事で気を取られてしまった。

その僅かの隙をつかれ、スウォルツがアナザーディケイドへ変身し、そのオーラで吹っ飛ばされる。

 

「フフフハハハ……」

 

「しまった……」

 

立場が逆転し、スウォルツはアナザーディケイドとなって倒れているツクヨミに迫る。

 

「残念だったな……少々、取り戻されたがお前を葬るのなんの問題もない」

 

アナザーディケイドは右腕にエネルギーを蓄積させ、ツクヨミにトドメを刺そうとする。

 

「さらばだ。妹よ!」

 

「ッ⁉︎」

 

「ツクヨミ!」

 

アナザーディケイドの腕がツクヨミに振り掛かろうとした。

 

「はぁぁ!」

 

その時、ツクヨミの前に鋭い爪の攻撃が現れ、ツクヨミを守った。

 

「させるか!」

 

「ゲイツ……」

 

ゲイツリバイブ疾風へと変身したゲイツがツクヨミの前へと現れ、彼女を守った。

 

「どうして…」

 

「えみるが倒れた。その連絡を受けて、お前とソウゴを探していたんだ」

 

はなから連絡を受けたゲイツがツクヨミを探していた最中に、ここで戦っている音が聞こえた為、二人の場所がわかった。

 

「ツクヨミ君、大丈夫かい?」

 

「お待たせ!」

 

ウォズとアーラも現れ、三人はアナザーディケイドとエターナルに構える。

 

「やはり来たな。ゲイツ。思った通りだ」

 

「なんだと」

 

スウォルツはゲイツが現れるのを待っていたかのような口調だった。

 

「俺がお前の世界を創ろう」

 

「何?」

 

そう言ってアナザーディケイドが腕を上げる。すると、ゲイツの周囲からモザイクが掛かったかみたいに現れ、ゲイツを拘束した。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

拘束されたゲイツはそのままオーロラカーテンに包まれ、アナザーワールドに飲み込まられてしまった。

 

「ゲイツ!」

 

「ハッハッハッハッハッハッ!」

 

その時、ゲイツが消えたオーロラカーテンの向こうから聞き慣れた笑い声が聞こえた。

 

「ハハハハハ……」

 

そしてオーロラカーテンが消えると、白い服と白いベレー帽を被ったウォズがツクヨミ達の目に映った。

 

「そんな……」

 

「白いウォズさん……」

 

「白ウォズ」

 

「いや〜久しぶりだね。ツクヨミ君、黒い私……そして、はじめましてキュアアーラ……」

 

そこに現れたのは、あのオーマの日、ソウゴにジオウトリニティウォッチを渡し、自ら消滅した筈の白ウォズだった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第56話 2018: 決めたマシェリとアムールの覚悟!運命を覆す救世主の爆誕!

 

 




おまけ

オーマおじさん「だからな?最終回目前に主人公の闇堕ちは子供と大きいお友達の心にダイレクトアタックを与えるから、控えるべきだったんだが…」

カッシーン「・・・」

オーマおじさん「・・・おい、またエターナル克己のこと考えているのか?」

カッシーン「・・・(マグマクローズ万丈……)」

makerukiga sinai

作:ドラゴンマグマフルボトル


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