Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「普通の中学生にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っており、全てのウォッチを集めた時見ソウゴ。
いずれ訪れるであろう別れを思い出した彼らの心に迷いが生まれた事で、アナザーディケイドによって作られたアナザーワールドへゲイツ君とえみる君が捕われてしまう。しかし、もう一人の私の作戦によって彼らを救出。
再びプリキュアに変身したキュアマシェリとキュアアムール、さらにゲイツマジェスティの力を手にした仮面ライダーゲイツにより、彼らは別れを受け入れる為の覚悟を決めたのだった。
そしていよいよ、この本に残るページも、もう僅かとなりました」


第57話 2018: 響け、エールの応援!奇跡の誕生!

ゲイツとえみるをアナザーワールドから連れ戻したソウゴ達。

えみるとルールーは再びミライクリスタルを取り戻し、白ウォズのミライノートの力によりゲイツはゲイツマジェスティの力を手に入れたのだった。

 

 

その日、ソウゴがクジゴジ堂から出ていってからしばらくして帰って来ると、ウォズが出迎える。

 

「ただいま」

 

「こんな時間までどこに行っていたんだ。我が魔王」

 

「えっ?うん……ちょっとね」

 

「?」

 

どこかソウゴの様子が変ではないかとウォズは気にするが、本人はそれとなく誤魔化す。

 

「あ〜……俺、部屋いくね。課題まだ終わってなかったから……」

 

そう言うとソウゴは一人、階段を登って自分の部屋へ向かう。

そこへゲイツとツクヨミが現れ、ツクヨミはソウゴから感じた違和感についてウォズから聞き出そうとする。

 

「どうしたの、ソウゴ。帰ってきたんじゃ…?」

 

「何やら、考えておられるかもしれない?」

 

「考えって?」

 

「今後のことではないかな?クライアス社とか…」

 

ウォズとツクヨミがソウゴが何やら考え事をしているのかと睨み、何を考えているのかと議論し合う。

 

「……」

 

しかしゲイツはソウゴが気になっているのか、階段の方をチラッと見上げる。

 

 

部屋に入ったソウゴはベットに転がり、ずっと天井を見続けていた。

 

「……」

 

天井をぼうっと見ていると、彼の心からある言葉が聞こえて来た。

 

『ソウゴ。私は、私は……あなたが好きです』

 

「ッ⁉︎〜〜っっっ!」

 

ルールーに言われたその言葉が、ソウゴの額の頬を赤くさせる。

その時、部屋のドアから誰かが叩く音が響き渡る。

 

「は、はい!」

 

「どうした?」

 

ソウゴがビックリしながら返事をすると、ゲイツはいつになく挙動不審なソウゴの様子を疑問に思いながらドアから顔を出す。

 

「えっ?い、いや。別に……」

 

「そうか。ほら」

 

「おっと。ありがとう」

 

ゲイツが部屋に入ってくると、そのままゲイツは持っていた缶ジュースを一つ、ソウゴへと投げ渡した。

 

「お前、どうした。帰ってきてから変だぞ」

 

「あ〜いや、そんな……」

 

「聞いてやるよ。俺とお前は友達なんだろう」

 

「ゲイツ……その……」

 

ゲイツならいいと思い、ソウゴは先のことをゲイツに打ち明けた。

ルールーの告白の事を細かく説明すると、それを聞いたゲイツは口を大きく開けて唖然とした。

 

「っと、そんな感じで……」

 

「なにぃぃぃぃーーーーーッ‼︎」

 

「どうしたのゲイツ⁉︎」

 

「敵かい?」

 

いきなりの大声でびっくりしたツクヨミとウォズが駆け足で現れた。

 

「…あ、いや、すまん。こいつがまた試験を落としらしくてな」

 

「はぁ〜……そんな事で大きな声出さないでよ。迷惑だしビックリするから」

 

「ゲイツ君も我が魔王と仲良くするのは構わないが、声くらい落ち着きたまえ」

 

「貴様に言われなくてもわかってる!」

 

「我が魔王。そろそろ夕食だそうだ」

 

「わかった。ゲイツと後で行くよ」

 

「そうかい。じゃあ」

 

そう言うと、ウォズとツクヨミはソウゴの部屋を後にした。

二人が部屋からいなくなったところを見て、ソウゴとゲイツは近づき小声で話し始める。

 

「本当か、ルールーがお前に異性として好きと言ったのか?」

 

「うん。告白されました」

 

「っ⁉︎」

 

まさか、いつもいつも王様と言っており、計画性があまりないソウゴが告白されたと知り、ゲイツは驚いた。しかも、あのアンドロイドのルールーに。

 

「お前、それで答えは?ルールーに返事はしたのか……」

 

「その……何と言いますか……」

 

いつにもなく言いづらそうな雰囲気を出し、ルールーへの返事はどうしたのかと聞いたゲイツは小首を傾げながら耳を傾ける。

 

「待ってと……言いました」

 

「……待って?」

 

「はい……」

 

ソウゴは、その時の事を一時間前に遡って状況を語り出す

 

 

 

その時、木の下でルールーから告白を受けたソウゴは、直ぐに返事が出せなかった。

 

『それって……ルールーは俺の事が……』

 

『はい。私は、あなたに好意を抱いたのです。ダメでしょか……』

 

『いや、ダメというか……その、今はその……ルールーが俺のことが好きなの嬉しいよ……

ただ、その……待ってくれないかな……』

 

ソウゴは返事を出すのは待ってくれないかなと頼む。

 

『待つ?』

 

『今は、まだ答えが出せないんだ。それに……』

 

言葉に詰まるとソウゴはふと、幼い時に見かけた女の子が頭をよぎらせた。

 

『…わかりました』

 

ルールーはソウゴの要望を受け入れてくれると、ルールーはソウゴに抱きつく。

 

『えっ?』

 

『それに私は、あなたに思いを伝えられただけで十分です』

 

『ルールー……』

 

ルールーはソウゴに自分の想いを伝えられただけで十分だったと語る。

 

『ソウゴ。私は未来に帰ります。そこで、ドクター・トラウムと……』

 

『お父さんでしょ?』

 

『はい。一緒に暮らし、そこで私が未来の人達に音楽を伝えていきたいです』

 

未来に帰った後にやりたい事を話して貰い、それを聞いていたソウゴは、ルールーはトラウムの事を家族と思っている事が分かり、嬉しかった。

 

『そうか、応援するよ。それにルールーならいける気がする!』

 

ソウゴは抱きしめながらルールーにエールを送ったその後、彼女を野乃家まで送ってあげた。

 

 

 

――そして、今の状況に至る訳だが。

 

「…で、どうするんだ」

 

取り敢えず一通り聞いたゲイツは、結局ルールーの返事はどうするのだとソウゴに尋ねる。

 

「………今はまだ……でも、答えは出すよ」

 

「だが、何故待つ?お前、まだあのアナザーキバだったユウコという女の事をまだ気にしているのか……」

 

「……」

 

ユウコさん――彼女はソウゴの初恋の人で、心の傘になってあげられなかった人物。

ソウゴ的には、別にいつまでもというわけでもない。

……ただ、忘れられないというのは事実だった。

 

「……とりあえずは、お前が思っている事をルールーに伝えろ。いつものようにな」

 

ゲイツはそれだけ言うと、ソウゴの部屋の扉を開き出て行く。

 

「俺の思っている……」

 

思いを伝えろと言われたソウゴの心は、大きく揺れ動いていた。

幼い日の頃に見た女の子、初めて告白を受けたルールー。

この二人に浮かべたあの特別な感情は、あの時のユウコさん以上だった。

 

 

野乃家のはなの部屋。はながミライクリスタル・ローズをミライパッドの上部にセットする。

 

「ミライパッド、オープン!」

 

画面から光が放たれ、ドアが開く。

 

「お仕事スイッチ、オン!」

 

画家の姿になったはなが自分の部屋でスケッチブックを開くと、今度の大会でのアンリのステージ衣装を描く。

部屋にははぐたんが応援用の団扇を持って応援の練習をし、ベッドの上にはハリーが立ってた。

 

「次の大会は、アンリ君とほまれにとって大事な試合だから」

 

「二人共、優勝間違い無しって言われとるもんな」

 

実は数日後に『ワールドジュニアカップ』というスケートの大会が行われ、ほまれとアンリがそれに参加するのだ。

 

「まずはアンリの出番か」

 

「うん!アンリ君、頑張って!」

 

まずはアンリの出番からで、ほまれの出番はその次らしい。

 

 

翌日の昼休み、ラヴェニール学園の噴水広場でアンリにステージ衣装のデザイン画を見せる。

だが、あえなくアンリにはその衣装は却下される。

 

「めちょっく……!どうしてでありますか⁉︎何故このデザインが却下なのでありますか⁉︎」

 

「滑りにくそうだから」

 

「一言で切り捨てられた……!」

 

どうして採用してくれないのかと聞くが、滑りにくそうだからと言う一言で切り捨てられる。

 

「ま、悪く無いけどね」

 

「でしょ⁉︎…ってか、悪く無いの?なら、何で最初はノーから入るのでありますか⁉︎ アンリ君はいつも……!」

 

突如アンリが笑い、詰め寄って来たはなに額に人差し指を当てる。

 

「君も僕に詳しくなって来たね。これが若宮アンリなんだ。よろしく。

僕の事考えてくれたのは嬉しいよ。ワールドジュニアカップ、頑張らないとね

 

「うん!私、応援する!」

 

はながそう言った直後、女子達がアンリに駆け寄って花を差し出す。

 

「待って待って!押さないで!」

 

そこへ正人が割って入る。

 

「愛崎君、何でいつも邪魔するの?」

 

「アンリは今、試合前の大切な時期で―――」

 

「良いよ。みんないつもありがとう」

 

アンリは正人の肩に手を当ててから前に出て、花を受け取る。

 

「大会、頑張るよ」

 

彼は微笑んでそう告げると、女子達からの黄色い声援が湧いた。

 

「全く、アンリは優しいんだから」

 

「何か、暖かいな」

 

はなはアンリの姿を観て、何か暖かいに気持ちを感じた。

 

 

その頃。ゲイツ、ツクヨミ、ルールー、ウォズが屋上におり、この間の事件について話していた。

 

「どうしたのゲイツ?話って?」

 

「あぁ……これは、未来から来た俺達ならわかるかもしれない事なんだ」

 

「私達がですが?」

 

「あぁ。白ウォズが言おうとしたスウォルツの狙い」

 

ゲイツは自身がゲイツマジェスティの力を受け取る前に言った白ウォズのスウォルツの狙いが気になっていた。

 

「確かに不可解よね。私の力なんかいつでも奪えたのに……」

 

「それでしたら、私もリストルとスウォルツに不可解を感じました」

 

「それは?」

 

ツクヨミが何故だと疑問に思っていると、ウォズがルールーにどう不可解に思ったのかと聞く。

 

「ジオウのソウゴを倒すのが緩いように思えたのです」

 

「緩い?」

 

「はい。クライアス社がソウゴをオーマジオウにさせず、新たな王を擁立させるのなら、ソウゴがジオウになる前にゲイツの様に行動すべきだと……」

 

それを聞いた一同は、ルールーの言う事は最もな意見であると思った。

確かに本気でジオウを排除するならもっと早く……いや、ジオウの力を得る前に、ソウゴを消すべきのはずだった。

 

「…もしかしたら、クライアス社は最初から我が魔王を倒す気などなかった」

 

「「「えっ?」」」

 

ウォズの口から最初からジオウを倒す気などなかったと言う。

 

「そういえば、ソウゴがグランドジオウになってから、クライアス社はソウゴに積極的に攻めてきた」

 

ツクヨミの言う通り、ソウゴがグランドジオウの力を得てからクライアス社は、アナザージオウⅡによる改変、仮面ライダークライの接触、アナザーディケイド、仲間のタイムジャッカーを襲わせ、更に未来のはくぐみ市を見せた。

 

「そして、俺とえみるをアナザーワールドに捕縛」

 

これらのことからバラバラではあるが、そこには共通点となる人物がいる。

そうなれば、クライアス社の狙いははぐたんだけではなく、もう一つある様に思えた。

 

「まさか、クライアス社はソウゴがグランドジオウとなるのを待っていた……」

 

「全ての力が集まるのを待っていたってこと……」

 

「となると、クライアス社は……ソウゴも狙っていた」

 

そうなれば、クライアス社はソウゴがここまで来るのを見越し、計画していたことになる。

だが、彼らにはそれが本当なのかはまだわからない。

 

 

その肝心なソウゴはと言うと…彼は中庭のベンチで座りながら、この間未来へ戻る際にキュアトゥモローから託されたウォッチを見ていた。

 

(……どうして、まだブランクなんだろ?)

 

だが肝心のウォッチは、受け取ってからというものの何も反応を見せず、一向にブランクのままだった。

 

(はぐたん……)

 

「ソウゴ君?」

 

そこへ一人でいるソウゴが気になって、さあやが彼のもとへ駆け寄った。

 

「さあや。何?」

 

「その、ウォッチをずっと見ていたから、何かなって…?」

 

「うん。ちょっとね……」

 

ソウゴはウォッチを見つめる。

 

「このウォッチ。トゥモロー……ううん、はぐたんから貰ったんだ」

 

「はぐたんから⁉︎」

 

「うん。このウォッチを渡す時に俺に言ったんだ、『お願い。未来をみんなを助けて』って」

 

ソウゴはその時の事を語り、ウォッチを見ながら思った。

このウォッチには、未来を救える力があると。それを信じている。

 

「けど、俺がもし間違えたら……」

 

しかし同時に、不安もあった。

もしもこの力を間違えて使ったらどうなるのかと、一度オーマジオウの力を見て、その不安で少し手が震える。

 

「ソウゴ君……ん!」

 

そんな彼の不安そうな顔を見たさあやは、ウォッチを持って震えているソウゴの手を掴む。

 

「大丈夫。ソウゴ君は間違えない」

 

「さあや…」

 

「ソウゴ君は、みんなの為に守る為に戦う、最高最善の魔王になるんでしょ。それに間違えたら、私達がソウゴ君を正しい道に戻す」

 

彼女にそう言われると、ソウゴから震えが無くなった。

 

「うん。ありがとう」

 

笑顔でお礼を言われたさあやは顔を赤くして手を離した。

 

「さぁ、教室に戻ろう」

 

「あのさ……」

 

「?」

 

するとソウゴが、教室に戻ろうとするさあやを呼び止めた。

 

「さあや……その……ごめん、やっぱりいいや!」

 

だか彼は言うのをやめて教室へと走って行く。さあやはどうしたのかと思いながらも、ソウゴの後を追う。

 

 

そのまま学校は放課後へとなり、ほまれとアンリがスケート場で練習を始めていた。

 

「……」

 

スケート場で滑るほまれが、ハリーの事を思い浮かべる。

 

「やっぱり、心ここに在らずって感じ?」

 

「アンリ……」

 

アンリが滑りながらほまれにそう尋ねる。

 

「いつものほまれと違うスケートだけれど、悪いとは言い切れない。不思議だね」

 

彼はそう言ってからスピンを行い、リンクの上に着地する。

 

「アンリ……」

 

「ん?」

 

「スケート変わったの、アンリの方だよ」

 

ほまれはアンリの滑りを見て、何か違いがあるのを気づいた事を話す。

 

「ねえ、どこか痛めてるの?」

 

「大丈夫だよ」

 

「駄目!もし故障してるなら、大会に出るのは―――!」

 

「止めないでくれ!僕には時間が無い……」

 

「アンリ……」

 

ほまれはいつもの自信と笑顔に満ちた姿で無く、顔を歪ませて何処か陰のある様子を見せるアンリに唖然としてしまう。

するとアンリは何を思ったのか、ほまれに向かってぽつぽつと口を開き始める。

 

「これが、僕の最後の大会になると思う」

 

「えっ……⁉︎」

 

「…何度か手術もしてる。けど、選手としてスケートを続ける事は難しいと言われてる」

 

実はアンリは左足を何度も手術を受け、選手としてスケートを続ける事は難しいと医者に言われていたのだ。

 

「この大会だけは出たいんだ」

 

アンリはほまれを振り向き、彼女の肩を掴む。

 

「頼むよほまれ。僕を最後まで、若宮アンリでいさせてくれ……!」

 

そして強い眼差しをほまれに向け、叫んだ。次の大会を、最後までやりたいと。

 

 

 

 

クライアス社の中にあるカプセルが開き、そこで眠ってたリストルが身体を起こす。

 

「おはよう、リストル」

 

クライが現れると、リストルにジクウドライバーと彼の使うライドウォッチを渡す。

 

「世界には絶望しか無い。君は知っているハズだ」

 

「はい。プレジデント・クライ」

 

傍に居たクライが挨拶し、持っていた本のページを見せる。

 

「この苦しみから我々が救われるには、未来を消すしか無い」

 

「運命からは……逃れられない」

 

リストルはそう呟くが、そこに居る彼の様子には、何処か違いがあった。

だがそれを指摘する者は、どこにも居なかった。

 

 

 

 

その頃、埠頭付近のベンチにはなが座る。

 

「フレ、フレ、アンリ君。私は、どんな応援が出来るのかな?」

 

自身の描いたアンリにエールを送り、そう尋ねる。

 

「あれ?チャンはなじゃん!」

 

「チャンはな⁉︎」

 

「イケてる呼び方っしょ?んでどしたの?何かお悩み?」

 

偶々彼女の近くを通り掛かったチャラリートが声を掛け、悩みでもあるのか尋ねる。

 

「いや、もうすっごく頑張ってる人、その人にどんな応援が出来るのかなって……」

 

「何でも良いんじゃない?」

 

「…えっ?」

 

はなはアンリにどうやって応援すればいのかと思い悩んでいることを告白すると、チャラリートはなんでも良いと言い、それを聞いた彼女は思わず目を丸くする。

 

「ファンレターも嬉しいし、プレゼントもそりゃ嬉しいし!

けど、小っちゃいコメントでも頑張れって言われると、俺ちゃんは嬉しいの」

 

「本当⁉︎」

 

「どんなに頑張ってる人も、頑張れない時はあるからさー。そんな時に、今まで貰った頑張れが効くのよ!」

 

チャラリートが空を指差してそう言い、はなに向けて口元に笑みを浮かべた表情を見せる。

 

「チャンはなに貰った頑張れも、俺ちゃんのハートに残ってっから」

 

「えっ?」

 

今度ははなの胸元を親指で指差して、笑顔で言う。

 

「その節は、センキューで~す!あ、ジオウにもセンキューかな!」

 

それは、自身がオシマイダーへと変貌した時、エールとジオウの言葉がチャラリートの心に触れて、彼の本当の心を呼び覚ました時のお礼だった。

 

「あの時は、私もソウゴも無我夢中で……」

 

「チャンはなイケてる応援出来んだから、自信持てって!なっ?」

 

「うん!」

 

「あ、魔王―――いや……ソウゴッちに会ったら、あん時はサンキューと言っといて〜!」

 

「わかった。伝えとくよ!」

 

チャラリートに励まされはなは、明日のアンリの応援に向けて自信を取り戻した。

 

 

 

ジュニアワールドカップ当日を迎え、会場のHUGMANアリーナに人々が集まる。

 

(やっぱ……放っとけない……)

 

外ではアンリの事が気になったほまれが彼に向けて電話を掛けるが、どういうわけか本人は一向に出なかった。

 

 

そして車に乗ったアンリは、ほまれからの連絡に出ようとしなかった。

 

「ごめん、ほまれ。でも、僕はもう決めたんだ」

 

彼はここに居ない彼女に向かってそう呟き、着信を切る。

 

「最後にもう一度だけ、氷上の王子、若宮アンリとして勝つ!」

 

最期まで全力で滑り、若宮アンリとして優勝する。そう誓ったその時、反対側からトラックがアンリの乗る車に向かって来た。

 

「!?」

 

トラックがぶつかろうとしたその直前、アンリ以外の時が止まった。

 

「……っ⁉︎ これは、一体……!」

 

「こんにちは。若宮アンリ」

 

驚愕するアンリの隣の席に、この間ウールから力を奪って去っていったオーラが突然現れ、座ったまま挨拶する。

 

「誰だ……⁉︎」

 

「私はタイムジャッカーチームのオーラよ」

 

「まさか君も……クライアス社の……⁉︎」

 

「ええ」

 

オーラが肯定すると、彼女は席に座るアンリに詰め寄る。

 

「まさかこれも、君が……?」

 

「そう、私の力。若宮アンリ、あなたには悪い知らせと、とてもいい知らせがあるわ……」

 

「えっ?」

 

「悪い方は、あなたはこのまま事故に遭って大会で滑れなくなるわ。そして、選手生命も終わる」

 

「っ⁉︎」

 

選手生命が終わると知られたアンリは深く動揺した。

それは、自分の大事なスケートが二度と出来なくなると言う宣告でもあった。

 

「でも、あなたが私と契約を交わせば……あなたは助かる」

 

「……」

 

オーラが持ち出した二つの選択肢に、アンリは答えを言わず黙り込む。

 

「それで、どうするの?出来る事なら、今すぐ言って」

 

「……分かった。大会で滑れるなら……」

 

「ありがとう。でもそれが出来るのは、まずはジオウ達が倒してスウォルツに仕返しをしてからよ」

 

「……!」

 

「明日への希望なんて消えなさい!ネガティブウェーブ!」

 

なんとオーラは、アンリに向けてネガティブウェーブを放出させる。

 

「発注!猛オシマイダー!」

 

放出したトゲパワワで、百合の花を纏って両手に棒を持った猛オシマイダーを生み出した。

 

 

一方でジュニアワールドカップは進み、後はアンリを残すのみだったが、当の本人が来てなかった。

 

「そろそろラスト……アンリ君の出番のハズなのに……」

「まだ会場入りして無いって……」

 

「おかしいのです」

 

「何か……あったのでは」

 

「あの人、遅刻するような人じゃないし……」

 

会場に入ってたはな達も不思議がる。

 

「渋滞か……事故に遭ったとか?」

 

「でも、そう言う記事は見当たらないです」

 

ゲイツが事故に遭ったのではないかと口にするが、ミライパッドを操作するさあやがそう伝える。

 

「俺がタイムマジーンで迎えに行くよ」

 

ソウゴがタイムマジーンを呼び出し迎えに行くと言うと、彼は会場の外へ出向く。

だがその前に、『ドカァァァァァ!!』と言う轟音が、辺り一面に響き渡り、猛オシマイダーが会場へと現れた。

 

「オシマイダー!」

 

「こんな所に……」

 

「みんな!」

 

オシマイダーが現れた事を察知したほまれが合流すると、ソウゴ達はジクウドライバーを装着してウォッチを取り出し、はな達はプリハートとミライクリスタルを取り出した。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

『ゲイツリバイブ!疾風!』

『ギンガ!』

『ギアジェット!』

「「「変身‼︎」」」

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!はぎゅ〜!」」」」」

 

ソウゴ達はドライバーを操作して仮面ライダーへと変身。

はな達はプリハートにミライクリスタルをセットし、揃っていつもの手順を取り姿を変える。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

『ライダータイム!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイ!リバイブ疾風!疾風!』

『投影!ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー!』

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!ジェットタイム!導け!切り開く世界!ハリー!ギア!ジェット〜!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

全員が変身完了し、猛オシマイダーに構える。

 

「来たわね。やりなさい猛オシマイダー!」

 

オーラの指示により猛オシマイダーはジオウ達に攻撃を繰り出し、ジオウ達はすぐさま飛んで躱した。

 

「この大事な時に、なんで!」

 

「早くアンリ君を探しに行かないと!」

 

ジオウとエールは早く猛オシマイダーを倒して、アンリを探しに行こうとした。

すると、オーラが不適に笑いだした。

 

「あんた達にすごく悪い知らせがあるわ」

 

彼女はそう言うと、隣に氷のような結晶に捕らえられたアンリの姿があった事に気付いたジオウ達が驚愕する。

 

「アンリ……」

 

「もしかして、この猛オシマイダーは……」

 

「アンリ君……」

 

このユリの姿をした猛オシマイダーは、アンリから生まれたものだとエール達が知ると、ジオウはオーラを睨みつけながら叫ぶ。

 

「どうして……今日はアンリにとって大事な日なのに!」

 

「大事な日……そうね。でも、私がいなかったから彼は大怪我をしていたのよ?」

 

「大怪我?」

 

「本来なら、彼はここに来る途中で交通事故に遭い、大会に出れなかった。そしてそのまま、滑れずに終わった」

 

「そんな……」

 

アンリはこの大会に全力で臨んでいた。

だがそれが、交通事故によって阻まれたと知った時のアンリの心情は、一緒にスケートをやって来たエトワールにとってはわからなくもない気がした。

 

「これはこれは、オーラ君にしては珍しいですね」

 

そこへリストル、ビシン、スウォルツの三人が現れた。

 

「リストル!」

 

「ビシン」

 

現れたリストル達を見て、ゲイツ達はより一層警戒する。

すると、オーラが冷たい眼差しをスウォルツに向けて見ると、スウォルツもオーラを見る。

 

「オーラ。どうやら、ウールの力を奪ったようだな」

 

彼は今のオーラの力を見て、ウールから力を取り戻したとすぐに推測した。

 

「スウォルツ……ねぇ、私をクライアス社に戻してくれない?」

 

オーラはスウォルツへの憎悪を心の奥へ押し込むと、クライアス社に戻してくれないと頼む。

それを聞いたスウォルツがリストルの方を向くと、それにリストルが頷きスウォルツは了承した。

 

「いいだろう。お前が戻るのを受け入れよう」

 

「ふん。猛オシマイダー!」

 

オーラはクライアス社に戻る契約を交わし、猛オシマイダーによる攻撃を再開させる。

すると、リストルとビシンはジクウドライバーを装着し、スウォルツがアナザーディケイド ウォッチを起動させる。

 

『リストル!クラレット!』

『ビシン!ギアファング!』

 

「「変身!」」

 

ジクウドライバーを回転させ、スウォルツはアナザーディケイドウォッチを体内へ埋め込む。

 

『クラレットタイム!唯我独尊!絶対の力を!リストル…クラレット!」

『ファングタイム!導け!完全なる力を我が手に!ビシン!ギアファング〜!』

『ディケイド…!』

 

「さって、今日はこいつらだ」

 

アナザーディケイドは灰色のカーテンを出現させると、そこから三人の影が見えた。

一人は、白い仮面ライダーに後ろの背中にはバックパック『フライングアタッカー』を備えた仮面ライダーサイガ。

金のリンゴをモチーフとした姿で、その手に剣『ソードブリンガー』と盾『アップルリフレクター』の2つのウェポンを装備している仮面ライダーマルス。

カブトと同じ形状だが、その姿は胸部装甲に金色っぽい基盤の紋様が刻まれた黒いカブト…仮面ライダーダークカブトが現れた。

 

「行け」

 

アナザーディケイドに呼ばれたダークライダー達が、ジオウ達に向かってきた。

 

「エール達でオシマイダーを、アンリお願い!」

 

「うん!」

 

エール達は猛オシマイダーからダークライダーを離すために応戦する。

しかしダークライダー達の猛攻に、ジオウ達仮面ライダー達はクライアス社のライダー達に足止めされ、エール達の援護も出来ない。

ジオウはアナザーディケイドとアナザーディケイドが呼んだ仮面ライダーマルスとの戦闘を繰り広げていた。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウのサイキョーギレードとマルスのソードプリンガーがぶつかり、火花を散らす。

 

「ふぅん!」

 

「うわぁぁ!」

 

背後からアナザーディケイドが光弾のようなものを放ち、ジオウが態勢を崩した。

 

「はぁ!」

 

その隙にマルスのソードプリンガーに攻撃し、ジオウを吹き飛ばした。

 

「うぅぅ……」

 

アナザーディケイドとマルスにジオウはかなりのダメージを受け、不利な状況であると感じ始めた。

 

「だったら、これで!」

『グランドジオウ!』

 

グランドジオウウォッチを起動すると、ジオウウォッチIIを外し、ジオウウォッチとグランドジオウウォッチを装填した。

 

『〈ポォォーン!パァァァァ!〉アドベント!COMPLETE!ターンアップ……グランドタイム!祝え!仮面ライダー‼︎グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!』

 

ジオウはドライバーを回し、グランドジオウへ変身を完了した。

 

『鎧武!』

 

鎧武のレリーフを触り、そこから仮面ライダー鎧武・カチドキフォームを召喚。ジオウはアナザーディケイドへ、鎧武はマルスへと走って行く。

 

対するゲイツは、ビシンとダークカブトに苦戦していた。

疾風のスピードでビシンに決めにかかるも、ダークカブトがクロックアップにて対応されるのだ。

 

「アッハッハ…」

 

「こいつ……」

 

疾風のスピードの攻撃は防がれ、止められるとビシンから攻撃を受ける。ゲイツの攻撃はダークカブトによって防がれていた。

 

「おらおら!負け犬!」

 

「チッ!」

 

ゲイツはビシン、さらにアナザーディケイドによって召喚されたダークカブトに翻弄されていた。

 

「ならば!」

『ゲイツマジェスティ!』

 

これ以上は不利と察したゲイツはゲイツマジェスティを起動させ、ドライバーに装填してドライバーを回す。

 

『マジェスティタイム!仮ー面ーラーイダーー!Ah~!ゲイツ!マジェーースーティー!』

『カイザ!ガタック!』

 

ゲイツマジェスティへと変身し、カイザとガタックのウォッチに触り、カイザの武器・カイザブレイガンと仮面ライダーガタックを召喚した。

 

一方のウォズとハリーはリストル、サイガに手を焼いていた。

ハリーとサイガは空中でお互いに一歩も譲らない戦いを繰り広げ、地上にいるウォズがリストルのジカンロッドを攻撃を避け続け、その隙にカウンターで攻撃を繰り出した。

 

「どうしたのかな?この間みたいに、気持ちが全開ではないね?リストル」

 

「なんのことだ?そもそも貴様と話すのは初めのはずだ」

 

「……何?」

 

『フィニッシュタイム!ジェットタイムフィニッシュ!』

 

ウォズがリストルの言語に違和感を抱いていると、ハリーがライダーパンチを繰り出し、サイガを地面へと叩きつけた。サイガがそのまま消滅すると、ハリーはリストルの元へ向かう。

 

「リストル!」

 

「貴様も何者だ」

 

「っ⁉︎ お前、まさか記憶が……」

 

「記憶を消されたのか……」

 

リストルの言動から見て、ハリーは彼がクライアス社から今までのソウゴ達との記憶を消されたのだと感じた。

そしてアンリは、氷の中で悲しい表情を浮かべていた。

 

(僕にはもう……未来なんて必要無い……!

僕は……僕自身の未来を壊す……!)

 

そんなアンリの想いを察したジオウがアナザーディケイドと応戦しながら、彼に向かって語りかける。

 

「アンリ……確かに未来は何があるかわからないし、不安だよね。

でも、そこから受け入れて進まないといけないんだ」

 

アンリの気持ちは、ジオウにもわかる気がする。

彼が自身の生き甲斐とも言えるスケートを出来なくなった様に、ジオウ――いや、ソウゴは自身の成長を見届けてくれる両親を事故で亡くしている。

そして今のアンリのようになった時期が、未来に不安を抱いた時期が、ソウゴにもあった。しかし――

 

「でも、アンリの未来もこれからだよ。

もし、この先滑れなくてもアンリには、えみるお兄さんや俺達が、アンリといる!」

 

「っ⁉︎」

 

その時、アンリの心に届いたのかオシマイダーの動きが鈍り出した。

 

「アンリ君は最初、否定から入るよね……!

でも私、知ってるよ!きちんと向き合えば、アンリ君は色んな思いを抱き締めてくれる!」

 

ジオウとの対話を聞いていたエールも、必死にアンリに語りかける。

 

「ちょっと、何やってんのよ!猛オシマイダー!」

 

離れた猛オシマイダーがオーラの指示でエールに向けて棒を振り下ろし、エールとアナザーディケイドと応戦しているジオウに攻撃するが、二人はバックステップして避ける。

 

「あなたを愛し!」

 

「私を愛する!」

 

次にマシェリとアムールがプリキュアミライブレスを呼び出し、猛オシマイダーにダブルパンチを繰り出す。

 

「凄く今、辛いと思う!けど……!けど!」

 

プリキュアミライブレスを呼び出したエトワールが連続パンチを繰り出し、猛オシマイダーが棒で防ぐも体勢を崩し、リンクの上に倒れる。

 

「自分の未来を壊したいなんて、言わないで!」

 

「未来は、一つじゃ無いんです!」

 

プリキュアミライブレスを呼び出したアンジュとアーラが、急降下しながらダブルパンチを叩き込む。

 

「うっうっ……」

 

するとその時、猛オシマイダーが苦しみ始める。

それを見た彼女達はプリキュアミライブレスを召喚し、腕につける。

 

「プリキュアの絆!」

 

「「「「ミライブレス!私達に、力を!」」」」

 

四人はプリキュアミライブレスからエネルギーを飛ばす。

 

「はあああっ!」

 

エトワールもエネルギーを飛ばす。

 

「やああああぁぁぁっ!」

 

エールのプリキュアミライブレスに五つのエネルギーが集まり、自身のも含んだエネルギーを飛ばす。

 

「エール……頼む……!僕に、応援を!」

 

アンリは結晶の中から右手を伸ばし、エールに応援を頼む。

 

「フレ!フレ!アンリ君!」

 

「「「「「フレ!フレ!アンリ(君)(さん)!」」」」」

 

エールが手を掴んで応援し、アンジュ達も応援する。

 

「目を覚ませアンリ!」

 

「頑張りたまえアンリ君!」

 

「気張れや!」

 

「アンリ!」

 

そしてゲイツも、ウォズも、ハリーも、ジオウも、続けて彼の応援を行う。

そして―――

 

「うおああああぁぁぁっ!」

 

彼は遂に、自身を閉じ込めていた氷の監獄を突き破り、エールの手を力強く掴んだ。

 

「「うおぁっ!」」

 

すると彼らの周囲から光の衝撃波の様なものが放たれ、アナザーディケイドとビシンが吹き飛び、リンクの上に倒れる。

更に、アンリの全身が光に包まれ出した。

 

「なんなの……!」

 

離れたところでオーラがそれを見ていたが、その光がなんなのかわからなかった。

 

「何でも出来る!」

 

「「何でもなれる!」」

 

「悲しい時も……!迷う時も……!みんなを励まし、未来へ輝く!

そうだ…!それが……!プリキュアだッ!」

 

そしてアンリから放たれた輝きが収まり始めると、アンリの姿がはなの描いたステージ衣装と同じ姿になった。

 

「キュアアンフィニ!それが、僕の名前かな」

 

アンリは自らをキュアアンフィニと名乗り、そう呟いた。

 

「キュアアンフィニ……!」

 

そう、まさかのアンリがプリキュアへと変身したのだった。

 

「嘘でしょ……こんなこと……」

 

オーラはオシマイダーの呪縛から打ち払い、アンリがプリキュアとなったことに足を折って驚いた。

 

「バカな……」

 

「これが本当のアンリだよ」

 

アナザーディケイドが驚いている姿を見ながらジオウが呟くと、その後ろでジオウが召喚した鎧武が仮面ライダーマルスを倒していた。それを見て、ジオウはドライバーを回す。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ジオウが飛び上がると、ジオウの背後から次々と仮面ライダーが召喚されていき、ライダーキックの態勢に入る。

 

『オールトゥエンティタイムブレーク!』

「はぁ〜だぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「ッ!ぐぅぅ〜……」

 

ライダーキックを放ち、アナザーディケイドが腕を構えて防ぐ。

そのままジオウの攻撃を受け流し、直撃は躱された。

 

「くぅ……」

 

だがアナザーディケイドは、ジオウのライダーキックを耐えて受けた腕を抑える。

そして、ビシンもキュアアンフィニに気を取られていた。

 

「どうして……」

 

「はぁ!」

 

キュアアンフィニに気を取られていると、ゲイツがガタックと共にダークカブトを既に倒しており、ガタックは役目は終わったかのようにその場から消えた。

 

「ビシン。お前の相手は俺のはずだ」

『フィニッシュタイム!』

 

ドライバーを回すと、ゲイツが右腕に力を溜める。

 

『エル・サルバトーレタイムバースト!』

「はぁぁぁぁぁ!」

 

ゲイツのライダーパンチを繰り出し、ビシンを吹き飛ばした。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

ゲイツのライダーパンチを受けたビシンは腹部を抑え、変身解除となった。

 

「くぅ……くそ」

 

「ここまでですね。退きましょう」

 

リストルとビシン、アナザーディケイドはそのまま瞬間移動で撤退して行く。

 

 

一方のアンフィニは、自分の負の気持ちから生まれた猛オシマイダーを止めようと戦っていた。

 

「奇跡……そんなのもの、凄く……ありえない!」

 

「まぁ、僕も奇跡とか信じるのは柄じゃ無いけど……!」

 

狼狽えるオーラに向かってそう言うと、アンフィニはリンクの上を滑り始め、スピンを行う。

 

「この夢を、みんなで楽しもう!」

 

「止めなさい!猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーがアンフィニに襲い掛かるが、アンフィニは猛オシマイダーを翻弄して転倒させる。

 

「そんな簡単に止められないよ!」

 

そう告げてから投げキッスを送り、これを受けた猛オシマイダーが頬を赤らめる。

 

「だって僕は、若宮アンリだから!」

 

滑り続けるアンフィニに観客達からアスパワワが沸き上がり、応援を始める。

 

『フレ!フレ!アンリ君!』

 

「ありがとう!これは僕からの、エールのお返し!」

「はあっ!」

 

アンフィニは羽を広げて飛び、会場に無数のユリの花びらを舞い散らせた。

 

「さあ!みんなで未来へ!」

 

「みんな!」

 

「「「「「メモリアルクロック!マザーハート!」」」」」

 

メモリアルキュアクロックに変化させ、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」」

 

右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がマザーハートスタイルに変身し、右手首にプリキュアミライブレスが着けられる。

 

「「「「「 HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィー・アー!」

 

「プリー、キュアー!」

 

「明日に!」

 

「エールを!」

 

マザーを召喚してメモリアルキュアクロックを囲む形で手を翳し、エネルギーを集める。

 

「「「「「ゴー、ファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

腕を掲げた六人がマザーの力を解放して光線を放つ“みんなでトゥモロー”が放たれ、命中した猛オシマイダーがハートに包み込まれた。

 

「モウ〜ヤメササテモライマス〜!」

 

オシマイダーが浄化され、周囲のアスパワワが消えると同時に、アンフィニの姿がアンリへ元に戻って重力に引っ張られるがままに落下する。

 

「っ!」

 

「アンリ!」

 

アンリが目を閉じた直後、正人が落下地点に駆け寄り、両腕でアンリを抱えた。

 

「正人……」

 

「素敵だったよ、アンリ」

 

それを見てアンジュとエトワールがエールの肩に手を当て、頬をエールの頬に付けた。

 

 

それから翌日、アンリは足のことが原因で病院へ入院することが決まり、手術を受けることになった。今日ソウゴ達は、そのお見舞いに来ていた。

 

「僕の足は、もう限界なんだ。何度か手術もして、医者からも選手としてスケートを続ける事は難しいって言われてる」

 

アンリは左足に触れながらそう告げると、正人がベッドの手すりに掴んで声を張って怒り出す。

 

「どうしてそれを黙ってたんだ!何で……!」

 

「話したりしたら、正人も止めるでしょ?」

 

「当たり前だ!」

 

「ごめん。心配をかけたくなかったんだ」

 

足のことを黙っていたことを謝罪した。

 

「……でも、昨日の君は最高だった。若宮アンリの最高の勇姿だったよ」

 

「ありがとう。有終の美も飾れて、僕は本当に満足だ。

これで氷上の王子、若宮アンリとはさよならだ」

 

アンリは名残惜しそうな気持ちを見せるが、満足はしている様子だった。

 

「そう言えばさ、アンフィニってどう言う意味なの?」

 

「アンフィニは、フランス語で無限って意味なんだ」

 

ソウゴの疑問にそう答えると、それを一緒に聞いていたほまれは感心をする。

 

「さっすが。アンリのお父さんってパリジャンだもんね」

 

「その名前に負けないように、僕はもう一度、自分のなりたい自分を探すよ。時間は掛かるかもしれないけど……

例え、若宮アンリの身体でも、若宮アンリの心を縛る事は出来ないんだ」

 

「無限の未来……新しい世界でなりたい自分を探す……」

 

「でもまずは、また歩けるようになる事からかな。

……けど面白いね」

 

「「「?」」」

 

アンリははな達プリキュアを見ながらそう言い、はな達はどういう事だと思ったが、次の彼の言葉でそれは解消した。

 

「君達は、翼のプリキュアなんだね。

空を舞うキュアエトワール。天使のキュアアンジュ。翼を持つキュアアーラ」

 

「いやー……私だけは違うって言うか……」

 

はなが自身だけ違うと、自分を指差して苦笑する。

 

「何言ってるの。エールって、フランス語で翼だよ」

 

「えっ⁉︎」

 

「応援はみんなの心に翼を生やす事。新しい世界へ飛び立つ事への出来る翼を。違うの?」

 

「…ううん!違わない!私、そう言う応援がしたい!みんなの心をフレフレしたい!」

 

「頑張れ。野乃はな」

 

「うん!」

 

はなとアンリが握手を交わす。

 

「それと、ソウゴ」

 

「ん?」

 

「昨日の君が言ってくれた言葉、響いたよ」

 

オシマイダーに変えられた時、ソウゴがアンリにかけた言葉は心に響き、あの一言から自分を救ってくれた。

 

「王様になってみせてよ」

 

「うん。頑張るよ」

 

アンリはソウゴとも握手を交わした。

 

「私のなりたい……輝木ほまれ……」

 

それを見ていたほまれは、今の自分がなりたいものが何なのかわからなかった。

ただ、彼女が悩むといつも、ハリーのことを思い浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「――矢張り、直ぐには現実を受け入れる事は出来なかったか……」

 

とあるビルの屋上にて、クライがアンリが入院している病院を静かに見ていた。

今クライの心情を占めているのは、アンリへの落胆の思いだった。

 

あの時オーラが時を止めてこれから起こる未来を教えなければ、彼は交通事故に遭って左足の感覚を完全に失い。一切動かすことができなくなると言う事実に絶望し、クライアス社の社員としてスカウト出来る筈だった。

それを彼女は、「スウォルツを見返してやる」という安直な理由でアンリが永遠なる幸福を得る機会を奪い、彼は辛い現実に目を背けて未来へと歩み出そうとしている。

…しかしまあ、オーラに関してはまたクライアス社に戻って来たから不問としよう。

 

「……だが、君達も直ぐにわかるよ。

現実と言うモノが、どれ程理不尽で悪意に満ちているのか……」

 

現実から目を背け、逃避し続ける者達を見てそう言いながら、彼は懐からブランクウォッチを取り出す。

すると、何処からともなく飛んできた紫色に怪しく光り輝く三つの光の球がウォッチに入っていった。

そのウォッチは一瞬だけ形を変えるも、直ぐに元のブランクウォッチに戻ってしまった。

 

「……まだ足りない様だね。彼にはこれからも頑張って貰わねば……

しかし、未来は既に私の手の中……

誰もが笑顔でいられる、幸福の理想郷の誕生まで、後もう少し……」

 

それでもウォッチは今も尚、新たなる力を抱いて産声をあげようと、理想郷を司る牙を研ぎ続けている。

金と黒のオーラを忌々しく纏うウォッチを見ながら、クライはその場から去っていった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第58話 2068: なりたい未来を掴み取る!

 

 




おまけ

カッシーン「我が魔王、2018年で新しいプリキュアが生まれたそうです。名前はキュアアンフィニというらしく・・・」

オーマおじさん「いや、それよりもオーラの奴がオシマイダーを発注できたことの方が驚きなんだが。というかあの小娘、スウォルツに仕返しをするって言っておきながらまたあいつらの下に付いたが、いつ仕返しをするんだ?」

カッシーン「オシマイダーに関しては、あの娘も一応はクライアス社の社員なのですから、オシマイダーの発注くらい可能なのでは?」

オーマおじさん「・・・それもそうか」

2068年は、今日も平和であった。

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