Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っており、全てのウォッチを集めた時見ソウゴ。
彼は仲間達と共にクライアス社から送り込まれた刺客とダークライダー達を倒し続けたわけだが、前回は彼の言葉とキュアエール達の応援によって奇跡のプリキュア・キュアアンフィニが誕生した。
そして、今回はキュアエトワール・輝木ほまれにとって勝負の日となるでしょう…
……ところで、我が魔王はいつになったらルールー・アムールの返事を……
おっと失礼、全く関係ない話をしてしまいました」


第58話 2018: なりたい未来を掴み取る!

アンリがスケート界の引退を表明してから数日が経ち、次はほまれの大会が近づいて来た。

そしてソウゴ達は本番に向けて、ほまれの応援用の道具を作っていた。

 

「いよいよほまれ勝負の日だね」

 

「ほまれ!頑張ってね!」

 

「イケイケゴーゴーなのです!」

 

「ほまれさんなら優勝も確実です!」

 

「みんなで応援するよ!」

 

「ファイトです」

 

「応援は嬉しいんだけど……何で虎?」

 

ほまれを応援する為にはな達が作った応援旗には、何故か虎の姿が刺繍されてた。

 

「めちょっく!何か違った⁉︎」

 

「もしかして、ほまれ可愛いのが良かった?」

 

「そうじゃないけど……」

 

「エエやんエエやん。よぉ吠えるし、お前に似おうてる」

 

テーブルに座るハリーが花紙で花を作りながら言い、同じく花紙で花を作ってたツクヨミとことりもくすくす笑う。

 

「ネズミの癖に生意気」

 

「ネズミ言うな!ってか、ムニーってすんなムニーって!」

 

ムッとしたほまれがハリーの両頬を引っ張って生意気だと言い、ハリーが引っ張られながらも反論する。

 

「ねずみー!」

 

「はぐたんならひゃーない……」

 

今度ははぐたんに両頬を引っ張られるが、ハリーは抵抗せずに大人しく引っ張られる。

 

『目指せ優勝!』

 

「なのです!」

 

「頑張ってねほまれ」

 

「落ち着いてやれよ」

 

「教師立場の私も応援しているよほまれ君」

 

はな達に続いてソウゴとゲイツ、ウォズも続いて彼女を応援する。

 

「うん。ありがとねみんな―――」

 

ほまれがお礼を言ってた途中で、後ろから人間の姿になったハリーに両頬を引っ張られる。

これを見たはな達は笑うが、引っ張られた当のほまれは顔を赤くする。

 

「な、な、な、な……!」

 

「お返しや」

 

ほまれがすぐさま離れ、ハリーがイタズラじみた笑みを浮かべてそう伝える。

 

「頑張れよ。客席で応援するからな」

 

「ネズミの癖に、生意気……!」

 

「せやから、ネズミちゃうて」

 

ほまれはそっぽを向いてそう告げるが、ハリーが顔を近づけて反論する。

 

「ッ!?」

 

ハリーの顔が近い事に驚きと照れが混じり、彼女はそのまま外に出て行ってしまった。

 

「……何やアイツ?」

 

「はぎゅ……?」

 

何が何だか分からないハリーとはぐたんは何故と思い、首を傾ける。

 

 

しばらく経ってから公園のベンチで、はな・えみる・ルールー・ことり・ツクヨミ・はぐたんの六人がパップルと話す。

その近くの道路では、チャラリートが軽トラックに乗って焼き芋の宣伝をしてた。

 

「ふーん……それは、恋ね」

 

「「「「恋⁉︎」」」」

 

ハリーに対するほまれの気持ちをはな達から聞いたパップルは、恋と教える。

 

「そっ。お子ちゃまのアンタ達には分からないかもね」

 

「ほまれが恋……?」

 

「こい?」

 

「ネズミさんに恋……」

 

「ハリーに恋って……」

 

はな達はほまれがハリーに恋と言われても、誰一人あまりピンとは来なかった。えみるとツクヨミに至っては、ハリーのどこに恋しているのだという疑問が残っていた。

実際問題、ここに居る彼女達が突如に異性の恋と言われても、一人を除いては不慣れであるのだから、しょうがないと言えばしょうがないのではあるが……

 

「恋はするものじゃない、落ちてしまうものだから。自分じゃどうにも出来ないのよ……」

 

「それが恋……?」

 

「そうよ」

 

「私にも分かります。好きになってしまったら、もう止める事は出来ません」

 

はながパップルの言葉に小首を傾げている横で、ルールーが胸元に両手を当て、目を閉じて言う。

そんないつもと違う彼女の様子にいち早く気付いたパップルは、疑念に満ちた表情でルールーの顔を見る。

 

「…えっ?分かるの?って言うかいるの?」

 

「はい。この間、私はソウゴに告白しました」

 

「へぇ〜…………ん?」

 

「時見先輩……時見先輩に⁉︎」

 

「ふーん、ソウゴ……ソウゴに⁉︎」

 

「ソウゴに!?」

「ソウゴさんに!?」

「ジオウに⁉︎」

 

ルールーが堂々とソウゴに告白したと暴露し、それを聞いた一同は一斉に驚いた。

 

「あんた、ジオウにいつ告白したの⁉︎」

 

「えみるとゲイツを取り返した後にです」

 

「それって……」

 

それを聞いたツクヨミが思い返して見れば、あの後出かけてから戻ってからソウゴは明らかに様子が変だった。恐らく、ルールーの言った事は本当なのだろう。

 

「でも、ソウゴに告白って……」

 

「そ、そ、それで、どうだったのですか⁉︎」

 

「ソウゴさんは、オーケーを出したんですか⁉︎」

 

「どうなの?ルールー!」

 

「言いなさい!ルールー!」

 

はな達はルールーに迫って、ソウゴからの返事はどうなったのだと尋ねる。

 

「……待って欲しいと言われました」

 

『………えっ?』

 

「はい。ソウゴは答えを出すのを待って欲しいと言われました」

 

「待って欲しい?」

 

はながそう反復すると、ルールーは頷く。

 

「はい。ですが、私はソウゴに思いを伝えられただけで十分です」

 

ルールーは胸に手を当てて十分だと呟く。

 

「あのさ、ソウゴさんのどこに惚れたの?」

 

「ソウゴって、いつも王様、王様言ってるから、どこに惚れたの?」

 

ことりとツクヨミはルールーに、ソウゴのどこに惚れたのかを疑念に満ちた顔で問う。

 

「全部です」

 

「全部?」

 

それに対し、ルールーはソウゴの全部に惚れたと語る。

 

「はい。ソウゴは私がクライアス社のスパイにあるにも関わらず、私を信じ手を差し伸べもらいました。

アナザーライダーへとされた時も、必死になって助けてくれた。危ない時は危険を顧みず助けてくれた。

そして、心が何なのか教えてくれた。

そんなソウゴに、私は恋をしたのです」

 

「ルールー……頑張って下さい!私はルールーを応援するのです!」

 

「ありがとう。えみる」

 

ルールーがソウゴに惚れた事を話すと、聞いていたはな達も納得できるような気がした。

そしてはなは、そのルールーの話を聞いていると、ほまれもそんな感じなのかと思いながら空を見上げる。

 

「ほまれもそんな感じなのかな?」

 

ほまれにもハリーに惚れて、今のルールーと同じ様な一面があったのかと思い呟くと、ルールーはハリーと一緒にいた時のほまれの状態を話す。

 

「ハリーといる時、ほまれは心拍数、体温共に上昇します」

 

「ほまれさん、大会に集中出来るのでしょうか……」

 

「さあ、そんな事より―――みんな、お芋売るの手伝って」

 

「「「「ええっ?」」」」

 

「事務所の為に!」

 

焼き芋を食べ終えたパップルが立ち上がり、はな達に焼き芋売るの手伝って欲しいと頼む。

 

「「「「お断りします」」」」

 

「「めちょっく!」」

 

だがあっさり断られ、チャラリートと共にめちょっくと叫んだ。

 

 

 

埠頭付近ではほまれが佇み、右手に持ったミライクリスタル・イエローを見つめる。

 

「ミライクリスタルは私達の心。ほまれの心は、キラキラ輝いてる」

 

すると突然、背後から現れたさあやがほまれに向かってそう言う。

 

「どうかな……普通にしようと思うのに、ハリーにはいつもキツくなっちゃう……イケてない……」

 

「好きな人の事を考えて、いつも心配してるほまれは可愛いよ」

 

そう言うと彼女は、ほまれの頭に優しく手を当てる。

 

「いや……好きとか……バレバレ……?」

 

「ごめんね。黙ってようと思ってたけど、最近ほまれ悩んでるから」

 

「ありがと……」

 

さあやは彼女がハリーの事を好きだと言うのを前から知ってたらしいが、気を使って黙ってくれていたようで、それを知ったほまれはさあやにお礼を言う。

 

「さあやはそう言うのどうなの?」

 

「えっ?」

 

「ソウゴの事……」

 

「っ⁉︎」

 

ほまれの口からソウゴの名前が出されると、彼女は一気に赤面した。

 

「えっ?あ、いや……ソウゴ君とは……その……」

 

「一緒に寝たんでしょ」

 

「えっ?何で知ってるの?」

 

「これ」

 

「ッ⁉︎」

 

ほまれの携帯の写真を見せると、そこにはアナザージオウの事件の時、桐ヶ谷晴夜に匿って貰った場所で、ソファでさあやの肩にすがり一緒に寝ていたソウゴとさあやの写真が写っていた。

 

「これ、晴夜が送ってくれたの」

 

 

実はあの時、ソリティアへと戻った晴夜が寝ている二人がとてもいい画だったので、写真を撮っていたらしく、その次の日・・・

 

『ねぇ、あの魔王とさあやはあの後どうなったの?』

 

『あぁ、二人共気持ち良さそうに寝てたよ』

 

晴夜がその時、撮った写真をほまれに見せると、それを見た彼女はとてもいい雰囲気に思えた。それでその後、ほまれの携帯にその写真を送ったらしい。

 

 

「せ、晴夜君……」

 

何て余計な事をしてくれたんだ、と言う表情で晴夜の顔を思い出す。

 

「それで、どうなのソウゴに?」

 

ほまれは気を取り直し、さあやにソウゴの事をどう思っているのかと聞く。

 

「……好きだよ。ソウゴ君の事」

 

さあやはソウゴが好きだとほまれに打ち明けると、ほまれはいつから好きなのかという疑問を投げ掛けた。

 

「……初めて、会った時からかな…」

 

そのままさあやは、ソウゴが初めてこの町に来た時のことを語り出す―――

 

 

 

彼との最初の出会いは。あの日彼女が偶然、父親と一緒にクジゴジ堂へ時計の修理の為に行った時の事だった。

 

『さあやちゃん。実は紹介したい子がいるんだ』

 

順一郎さんが紹介したい子がいると言い、その子を呼んだ。

その子は足に包帯を巻かれ、松葉杖を使っていた自身と同い年の子だった。

 

『僕の甥っ子のソウゴ君。挨拶』

 

『時見ソウゴ。よろしく』

 

『さあや……薬師寺さあやです。よろしくお願いします』

 

これが、ソウゴとさあやの出会いだった。

 

その後ソウゴは、さあやと同じ幼稚園へと入園した。

だが入園したばかりのソウゴは知らない他人と交流する事なく、まるで“自分は君達と遊ぶ様な者ではない”と言わんばかりに一人でいる事が多かった。

 

そんなある日の事だった…

その時、たまたまソウゴが外でさあやを見て、彼女が何かを歌っている様子を見かけた。

 

『何歌っているの?』

 

『……今度、テレビで歌うの、その練習…』

 

『凄いね。テレビに出て歌うなんて!』

 

さあやがテレビに出て歌うと聞いて凄いとソウゴが目を輝かせながら言うが、その時…

 

『テレビに出てもお前、歌えないだろ?』

『どうせ、恥かくだけだよ』

 

揶揄うように数人の男の子がさあやに言っていると、ソウゴがその男の子の前に立つ。

 

『なんで、そんな事言うの?必死に練習してるのに、それも知らないで失敗するって決めつけるな!』

 

さあやが必死に練習しているのに、それを冷やかすような言い方に怒ったソウゴが頭突きをして、その男の子を倒した。

 

『……ソウゴ君』

 

その後ソウゴは、このことを知った幼稚園の先生から「暴力はよくない」と怒られてしまった。(一応、子供同士の喧嘩だからと大事にはならずに済んだ。)

しかしその時のさあやは、自身を守ってくれたソウゴの姿に、いつしか心を惹かれていた。

 

 

―――そして、今は仮面ライダーとしてみんなを守るために戦う姿を見て、その想いはあの時より強くなった。

 

 

 

「……へぇ〜、それがソウゴとの出会いだっんだ」

 

「うん……ほまれは告白、しないの?」

 

さあやがほまれはハリーに告白しないのかと聞くと、ほまれの表情が暗くなった。

 

「アイツ、未来に帰っちゃうじゃん……」

 

「……そうだね」

 

ハリーはいつか、未来へ帰らなければならない。

仮に告白して付き合ったとしても、別れる時が来れば辛くなるだけだ。

それを知っていたさあやは、そんなジレンマに悩まされる彼女の気持ちが、わかるような気がした。

 

「それに……」

 

「ほまれ……」

 

ほまれはあの時、ビシンの作った猛オシマイダーの“人魚姫の物語の世界”での事を思い出すと、ハリーが心から思っているあの女の子を思い浮かべ、更に表情を曇らせる。

 

「何話しとんのや?」

 

「「⁉︎」」

 

横からハリーの声が聞こえ、二人が慌てて距離を取る。

 

「いや、驚き過ぎやろ自分ら」

 

「あああああの……!大変……っ!用事を思い出した!またね!ごゆっくり!」

 

さあやが焦りながら、この場から駆け足で離れる。

 

「ちょ!ちょっとさあや……!」

 

慌ててさあやを追おうとするが、ハリーに手を掴まれる。

 

「何か最近、顔暗いな」

 

「そんな……」

 

「俺が体験した事の無い緊張なんやろなー、大会前って。けど、リラックスも必要やで?

……せや、アイスでも買うてくか」

 

「優しくしないで……!」

 

ハリーは彼女の頭に手を当ててそう言うが、ほまれはハリーの手を振り払う。

 

「大会が終わるまで、ハリーには会いたく無い……!」

 

「……そうか」

 

「……ごめん…」

 

悪気が無いのは分かっていたが、ほまれはハリーに一言謝ってから、その場から走り去った。

 

 

 

 

そクライアス社の何もない部屋に、ビシンとリストルがいた。

 

「ねえリストル……これで僕達は、ずっと一緒にいられるんだよね?」

 

クライアス社の床に座るビシンが傍に立つリストルにそう尋ねるが、当のリストルは振り返る事もせず、何も答えない。

 

「悲しいのも寂しいのも嫌……!僕を大切して、永遠に傍にいてくれたら……!ハリーの心なんて、どうでもいい……!」

 

それでもビシンは、己の寂しさを紛らわせんと言わんばかりに爪を噛みながらリストルに話しかけ続ける。

 

 

 

 

はくぐみ市の商店街に、ソウゴが順一郎に頼まれ買い出しをしていた。

 

「はぁ〜…どうしよう……」

 

歩きながらソウゴはルールーの告白の答えをどう言えばいいか悩んでいるとその時、上を見上げると鉄橋の上にはなとことりがいるを確認した。

 

 

その一方で、ソウゴに気付いていない二人は鉄橋の下を眺めていた。

 

「恋かー……どう応援したら良いんだろ……ことりは、どうすればいいと思う?」

 

「私も体験した事無いから分かんないよ……でも……」

 

ことりがほまれの恋の道筋をどう導けば良いのかと悩むはなにそう言ったその時、彼女の脳裏にはウールの顔が浮かんだ。

以前にアーラの力で助けた彼を必死に抱きしめていた事を思い出し、今思うと結構恥ずかしい事をしていたと思い返した。

 

「ことり?」

 

「えっ⁉︎ ううん!何でもない!」

 

急に黙った妹の心配をするはなにことりはなんでもないと誤魔化すとその時、彼女達の下に一筋の風が吹いた。

 

「また会えたね」

 

直後、二人の背後にクライが突如現れる。

 

「ジョージ・クライ……っ!」

 

はなが振り返ってからすぐにポケットからプリハートを出すが、クライに手首を掴まれる。

 

「ミライクリスタルは渡さない……!」

 

「君に会いに来たんだよ」

 

「は…⁉︎」

 

「……?」

 

「はな!ことりちゃん!」

 

そこへ、二人を見かけたのでその場に来たソウゴがクライを見て、ジクウドライバーを装着するとジオウウォッチⅡを起動させる。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー! ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

ソウゴがジオウⅡへと変身し、クライへと走る。

はながジオウに気を取られたクライの手を振り払ってことりの両肩を掴み、後ろに下がって距離を取る。

 

「……仕方ないね」

『ジクウドライバー!』

 

クライはジクウドライバーを装着すると、そのままライドウォッチを起動させる。

 

『クライ!』

 

ウォッチを起動させるとドライバーのスロットに装填。背後から金色の懐中時計のエフェクトが出現すると、左手に本を持ったまま右手を上げる。

 

「変…身」

 

そしてそう言うと、彼は右手でジクウドライバーを回転させる。

 

『ライダータイム!仮面ライダークライ!』

『ジカンショットセイバー!』

 

クライも仮面ライダークライへと変身し、ジカンショットセイバーでジオウに迎え撃つ。

 

「くぅ!」

 

ジオウのサイキョーギレードとクライのジカンショットセイバーがぶつかり合い、一閃すると彼らは一度離れ、ジオウははなとことりの前に出る。

 

「クライ!何でここに来た!」

 

「今日は、君と話に来たんじゃない」

 

クライはジオウに向かってそう言うと、はなの方を見つめる。

 

「野乃はなの周りには、奇跡が満ちている」

 

「それは、みんなが頑張ってるから……もう分かったでしょ?時間を止めるなんて止めて!」

 

「希望とはすぐに絶望に変わるものだ。君達は気付いていない」

 

「それは……」

 

はながクライの言葉に思わず言い淀んでしまうが、ジオウが彼女の代わりに反論をした。

 

「絶望かどうかなんては、わからないよ。

絶望からだって、新しい希望は作れる!」

 

「ソウゴ……うん!」

 

はながジオウと共にクライを見据えると、クライは仮面の下でため息を吐きながらはなとジオウを見つめる。

 

「君は本当に素敵な女の子だ。

それと、時見ソウゴ君。君は本当に、絶望を希望に変えれるのかい?」

 

「……」

 

クライがそう言うと同時に突風が吹き、三人は思わず目を瞑る。

突風が収まって目を開けると、そこにはもうクライの姿は無かった。

それを見たジオウは変身を解除し、どこに行ったのだと辺りを見渡す。

 

「あれ……?いない……」

 

「お姉ちゃん、ソウゴさん。今の人誰……?」

 

「……クライアス社の社長だよ」

 

「あの人が……!?」

 

 

ことりが先程までいた男性がクライアス社の社長と初めて知って驚いていたその頃、誰もいないリンクの上で、ほまれが一人練習を行う。

彼女は懸命にスピンを行うが、その時にハリーの事が頭に浮かび、それの影響で体勢を崩して転びそうになるも、何とか立て直す。

 

「やっぱり悩んでるね」

 

もう一度滑ろうとすると、車椅子に乗ったアンリが現れてそう告げる。

 

「全然集中出来て無い。自分の心から目を逸らしてる」

 

自身の心を見透かされたほまれは、アンリに自分がハリーに恋をしている事を話した。

 

「そうか、でも恋をしてるほまれ、僕は好きだけどな」

 

「今はスケートに集中したいの……!お母さんを安心させたいし、アンリの為にも頑張りたいの……!恋は、スケートの邪魔だもん……!」

 

「スケートを言い訳にしないでくれ」

 

練習に戻ろうとしたほまれにアンリがそう告げると、彼はほまれに近づいて微笑みながら今彼女に必要だと思われる言葉を捧げる。

 

「誰の為でも無く、ほまれの為に滑れば良い。100%の輝木ほまれを見せてくれ。それが、僕達の笑顔になる」

 

 

 

その日の夜、はなは自宅のベランダで、かつてクライから貰ったハンカチをじっと見つめていた。

 

「はな」

 

「…っ!ルールー……!」

 

「風邪を引きますよ」

 

「だよね!いけないけない……!明日はほまれの応援!頑張ろうね!」

 

「はい」

 

彼女はハンカチを仕舞い、二人は部屋の中へ入って行く。

 

 

愛崎家のえみるも、部屋で寝ぼけながらほまれの顔を思い浮かべる。

 

「フレ……フレ……ほまれさん……

例え相手はネズミでも、愛が勝つのです……」

 

寝ぼけたえみるがそう呟きながら、左腕を上に掲げる。

 

 

同じ頃、店内のソファーにハリーが座り、首を後ろに傾けて窓の外の星空を見つめる。

 

「星……か。

……そや」

 

そう言うと立ち上がり、ある物を作り始める。

 

「何をしている?」

 

「門矢士……明日、大会のあるほまれの為にな」

 

「ほぉ…」

 

そんなやり取りをしてから、士は寝室に戻り、ハリーは必死に作業を続けた。

 

 

ほまれはハリーの事で寝付けず、自宅の縁側に座り込む。

すると、母親のちとせがほまれの肩に半纏を掛ける。

 

「珍しいね。大会前は早く寝るのに。何か気になる事あるの?」

 

「もしかして男の子の事だったりして」

 

「⁉︎」

 

「……あれ?図星?ゴメンゴメン…」

 

冗談で言ったがほまれの様子を見て、本当の事と察して謝る。

 

「多分……上手く行かないんだ。でも……」

 

そう言ってほまれが兎のぬいぐるみを抱き締めると、ちとせは少し困った表情を顔に出しながらほまれの横に移動する。

 

「恋は難しいよね。告白しても、絶対付き合える訳じゃないし。一度くっついても、別れちゃう事もある」

 

「お母さん……」

 

「けどお母さんは、お父さんの事好きになって良かった」

 

「えっ……?」

 

「一緒にいて傷付く事もあったけど、沢山の宝物もくれた。勿論一番の宝物は、可愛いほまれちゃん!」

 

そう言いながら彼女は、自分の肩を娘のほまれの肩に当てる。

 

「ほまれちゃん、良く笑うようになった」

 

「うん」

 

「もし傷付いても、その笑顔をくれた友達が涙を吹き飛ばしてくれる。ほまれちゃん頑張れ!」

 

「いたたたっ……!ちょ、お母さん……!」

 

そう言うとほまれを抱き締め、激しいスキンシップを行ったのだった。

 

 

 

 

クライアス社本社の社長室にビシンが訪れると、そこには既に社長のクライとスウォルツがいた。

 

「社長、話って一体……」

 

「ビシン。君に仮面ライダーの力は、宝の持ち腐れだと思うんだ」

 

目の前の社長に呼び出されたビシンがそう尋ねると、突如クライが彼に向けてそう告げる。

 

「っ⁉︎……いきなり何を……!」

 

「お前はゲイツとハリーに執着する余り、せっかく得た力を活かせず、一人も倒せない」

 

ビシンが目を見開いて驚いていると、スウォルツが今の彼の戦況を伝える。

 

「突然呼び出しといて……そんな嫌味を聞かせたいだけ?」

 

「君が拘っているのは分かるが、すぐにでも排除すべきだ」

 

「け、けど……!」

 

「お前の意見は求めん!」

 

スウォルツが弁論をしようとするビシンに一喝すると、クライは机に両肘を立てて寄りかかりながら彼を睨みつける。

 

「二度と彼を連れ戻そうと考えるんじゃない。

それではいつまで経っても、君は以前のままだ。

君は僕の言った事をすればいいだけで、それ以外は何もしなくていい。分かったかい?」

 

「……分かりました」

 

「奴を倒すには、他にも何かの迷いを抱かせればいいんじゃないかと思うんだ。何か、心当たりは無いかい?」

 

「心当たり……それなら…!」

 

スウォルツの質問を聞き、あの時見たハリーの夢の世界でのほまれを思いだすと、ビシンはさっきまでの苦々しい表情から一変して、口元に笑みを浮かべた。

 

「ねぇ、今回は僕の指示に従ってよ」

 

ビシンはクライとスウォルツに今回は自身の指示に従ってと言い出し、それを聞いた二人は眉を寄せる。

 

 

 

大会当日、会場では既に多くの人たちが集まっていた。

 

「いよいよです」

 

「心から応援するのです!」

 

「ほまれさんのために!」

 

応援旗を取り付けながら、応援準備完了の態勢でえみる、ルールー、ことりが待機していた。

 

「ほぇ……」

 

「どうした?ハリー君寝不足かい?」

 

「あぁ……ちょっとな……」

 

ハリーの目元には隈が出来ており、それを指摘したウォズは寝不足なのだと思った。

 

 

控え室では、ほまれが出番が来るまで柔軟しており、本番に向けて準備していた。

 

「あ〜緊張する〜!」

 

「はぎゅ〜!」

 

同じく控え室にはなと抱かれたはぐたん、さあやとツクヨミが、ほまれにエールを送りに来ていた。

 

「はな。落ち着いて」

 

「はなが焦ったら」

 

焦っているはなを落ち着かせようとすると、ほまれは立ち上がった。

 

「はな!フレフレして!さあやもツクヨミもはぐたんも!」

 

ほまれが三人にフレフレして欲しいとと頼む。

 

「今から私のハート、100%マジあげするから!」

 

ほまれの頼みを聞き、三人は頷いた。

 

「「「フレフレほまれ!フレフレほまれ!」」」

「ふぇふぇほまえ!ふぇふぇほまえ!」

 

「サンキュー」

 

はな達からのエールを貰いお礼を言うと、ほまれはある決意をした。

 

 

しばらくして、応援席にいるルールーに連絡が入った。

 

「了解しました」

 

「さぁ、行くのです!」

 

「どこへ?」

 

連絡を受け取てルールーとえみる、ことりがはなに言われた場所へハリーを強引に連れて行く。

 

 

その頃、ソウゴとゲイツが会場へと到着した。

 

「もう〜なんで置いていたの⁉︎」

 

「お前が寝坊したからだろ!」

 

「ゲイツもでしょ!」

 

ソウゴとゲイツは寝坊して会場入りするのに遅れてしまった事を言い争いしながら、ほまれのスケートの応援に向かっていく。

 

 

ほまれが会場の通路立っていると、そこに強引に連れて来られたハリーが現れ、二人が向かい合って立つ。

 

「ドキドキなのです!」

 

「ほまれ心拍数が上昇中」

 

「ほまれさん頑張って!」

 

三人が後ろの柱に隠れると、ほまれを応援していた。

 

「はいはい」

 

「邪魔しな〜い」

 

「二人だけにしてあげよう」

 

「私達は部外者だ。離れていよう」

 

邪魔しないようにその後ろにいるはな達に言われ、えみるとルールー、ことりは見るのをやめた。

一方で、遅れてきたソウゴとゲイツがハリーの後ろの方に現れた。

 

「どうしたんだろ?」

 

「……よせ。俺達は邪魔だ」

 

ほまれとハリーの様子を見て何かを察したゲイツにそう言われたソウゴは、二人を見守るためにゲイツと後ろの方で隠れた。

その後、しばらく二人はお互いに黙り込む。

 

「あっ……」

 

「俺……お前に謝らんといかんよな」

 

「えっ?」

 

ほまれが何かを言おうとすると、その前にハリーがほまれに謝らないといけないと言い、不意を突かれた彼女は驚いた。

 

「真剣に頑張っとるときに茶化すような事を言って、悪かった。ごめんな」

 

「…ほんとに鈍感」

 

「はぁ?」

 

「ギャグつまんないし、すぐふけるし、大事な事隠すし、ネズミだし」

 

下を向きながら言いほまれは顔を上げると、頬が赤くなっていた。

 

「アンタといると、全然上手く喋れないし、ケンカしちゃったり、そんなのばっか……なのに……」

 

この場の空気を変えるように、ほまれが口を開ける。

 

「―――アンタが……好き。

輝木ほまれは、ハリーの事が大好きです!」

 

彼女は目に涙を溜め、ハリーに好きと自分の思いを改めて告げる。

それからすぐに涙を零し、ハリーが右手で涙を拭おうとするも、腕を下げる。

 

「……俺も、気持ちを伝えたいと思ってる奴がおる。

それを有耶無耶にしたまま、お前の気持ちに応えられへん」

 

「ごめんな……」

 

ほまれが拳をハリーの胸元に叩き付けるが、その力は弱かった。

 

「ありがと。スッキリした」

 

ほまれはそう言って微笑み、涙を流す。

 

「……(俺も有耶無耶じゃダメなのかもしれない……)」

 

ハリーの言った事を影で聞いていたソウゴも、自分もルールーに対しての返事を答えを出す事を有耶無耶にしてしまっている事に責任を感じていた。

 

「……俺も答え出さないと」

 

「未来とは、やはり思い通りにならないね」

 

「「⁉︎」」

 

この聞き慣れた声が耳に入り、まさかと思い二人は振り返る。

だがその時、ソウゴとゲイツに灰色のカーテンが現れ、そのまま彼らを包み込んだ。

二人が消えると、同時にそこからスウォルツとビシンが現れた。

 

「これで、いいのか?」

 

「ありがとう。スウォルツ。これで……後は」

 

ビシンが会場を方を見て、不適な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

オーロラカーテンに飲み込まれたソウゴとゲイツは、スウォルツによって何処かへ送り込まれた。

 

「ここは……」

 

「この場所……」

 

「君は、ここに来るのは二度目だね」

 

「ッ⁉︎……プレジデント・クライ……」

 

「貴様……」

 

「君と話すのは初めてだね。明導ゲイツ君」

 

ソウゴとゲイツが振り返ると、クライが本を開きながら二人の後ろに立っていた。

どうやらここは、以前にソウゴも来た事のあるクライアス社の社長室だった。

 

「貴様………よくも…よくも……未来のみんなを!」

 

クライを見てゲイツが殴りかかる。だが、あっけなく避けられた。

 

「くぅ……」

 

「ゲイツ!」

 

「君は中々野蛮だね……ゲイツ君」

 

「なんだと……」

 

「どうして、ここに呼んだの……」

 

ソウゴがゲイツの横に並びながら、何故ここに呼んだのかとクライに問う。しかし、クライは何も言わず上を見上げる。

 

「未来とは思い通りにならないものとは、思ったことはないかい?」

 

「それは……」

 

「……何が言いたい」

 

ゲイツが質問に答えずに問い掛けると、クライは本を閉じて話を続ける。

 

「未来は思うようにはならない。

ならばこそ、苦しまないようずっと永遠にいるのがいいのではないか?」

 

誰も苦しまない――ソウゴは彼の考えを聞くと、さっきのほまれも苦しかったのではないかと思った。

でも…

 

「それは、未来から逃げてるだけじゃないのか」

 

ゲイツが口を開くと、逃げてるだけだとクライに告げた。

 

「俺も初めは、ソウゴがいつオーマジオウに目覚めるのかと怖かった……」

 

いつかソウゴが魔王として目覚め、その力でいつ世界を支配し、時を奪う力……

ゲイツはずっと、彼がその力をいつに手にするのかと不安だった。

 

「だが、今はこいつが俺達の知る未来からどんどん変わっていく。だから、明日はどんな違ったソウゴになれるのかと楽しみでもある」

 

「ゲイツ……クライ。確かに未来は怖いさ。

でも、決められた未来は一つもない。勇気を持って前に進む!それだけで未来はいいものにだってなれる!」

 

ゲイツの想いを聞いたソウゴが迷いを振り切ると、クライに向けてそう言ったその時…

 

「何故、そんな不要なものを……」

 

「えっ?」

 

クライの目つきが変わり、悲しみと怒りの混じった表情へと変わった。

 

「教えてあげるよ。そんなものは幻想だと!」

 

クライはジクウドライバーを見せた。それを見てソウゴとゲイツもジクウドライバーを取り出す。

 

「ゲイツ!」

 

「ああ!」

 

二人はジクウドライバーを装着し、二人はウォッチを取り出すと、クライに向けて起動させる。

 

『ジオウ!グランドジオウ!』

『ゲイツ!ゲイツマジェスティ!』

 

起動させたウォッチを二人はジクウドライバーの左右のスロットへ装填した。

そのまま二人はドライバーのロックを解除し、構える。

 

『〈ポォォーン!パァァァァ!〉アドベント!COMPLETE!ターンアップ!〈ピィィン!〉CHANGE BEETLE!ソードフォーム!ウェイクアップ!カメンライド!サイクロン!ジョーカー!タカ・トラ・バッタ!3・2・1!シャバドゥビタッチヘンシーン!ソイヤッ!ドライブ!カイガン!レベルアップ!ベストマッチ!ライダータイム……! 』

 

「変身!」

 

同時に叫び、二人がドライバーを回した。

 

『グランドタイム!クウガ・アギト・龍騎・ファイズ・ブレイード!響鬼・カブト・電王!キバ・ディケイード!ダブル!オーズ!フォーゼ!ウィザード!鎧武・ドラーイーブ!ゴースト!エグゼイド!ビ・ル・ドー!

祝え!仮面ライダー‼︎グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!』

『マジェスティタイム!G3・ナイト・カイザ・ギャレン・威吹鬼・ガ・タ・ッ・ク!ゼロノス・イクサ・ディエンド・ア・ク・セ・ル! バース・メーテーオ・ビースト・バロン! マッハ・スーペクター・ブレイーブ! クーローズ!

仮ー面ーラーイダーー!Ah~!ゲイツ!マジェーースーティー! 』

 

グランドジオウ、ゲイツマジェスティへ二人が変身を完了した。

 

「それが、ゲイツマジェスティ……だが……」

『ジクウドライバー!』

 

クライもジクウドライバーを装着して、そのままライドウォッチを起動させる。

 

「僕には勝てない」

『クライ!』

 

ウォッチを起動させるとドライバーのスロットに装填。背後から金色の懐中時計のエフェクトが出現すると、左手に本を持ちながら右手を上げる。

 

「変…身」

 

右手でジクウドライバーを回転させる。

 

『ライダータイム!仮面ライダークライ!』

 

黒と白のカラーで背中に金色の懐中時計が付いたアーマーが装着され、マスクには赤で『ライダー』と刻まれたインジケーションフレアイがセットされ、仮面ライダークライの姿へと変身すると、三人の仮面ライダーが構える。

 

 

 

 

その少し前、結果を聞いて涙目になったはなが腕を広げ、ほまれの名を呼ぶ。

 

「ほまれ……!」

 

限界を迎えたほまれが声を上げながら泣き、はな達の元へ向かい、はなに抱きつく。

はながほまれを抱き締めると、更に声を上げて泣いた。

そんなほまれをはなだけで無く、ウォズ以外のメンバーも涙を流して見ていた。

 

「……よし。星を掴む為に、私は……飛ぶ」

 

「うん!」

 

泣き止んだほまれがそう告げると、はなは微笑んで返事した。

だがその時、会場からものすごい震度が響いた。

 

「な、何⁉︎」

 

何事かと思いながら、はな達は急いで会場へ入る。

すると、スケートリンク場には普通のサイズであり得ないくらい大型の仮面ライダーが立っていた。

 

「何あの大きさ……」

 

「あれも仮面ライダー何ですか?」

 

「この本によればあれは、仮面ライダーアーク。あれもダークライダーの一人だ。かつて仮面ライダーキバが倒したはずだが、おそらくスウォルツの仕業……」

 

ウォズがスウォルツの仕業と思われる事を説明すると、現れた仮面ライダーアークは周りで暴れ出してリンクを破壊する。

 

「みんな!」

 

はなの掛け声でウォズとハリーはビヨンドライバーを取り出して腰へ装着すると、はな達はプリハートにミライクリスタルを取り出して構える。

 

『ギンガ!』

『ハリー!ギアジェット!』

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」」」

 

『投影!ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー!』

『ジェットタイム!導け!切り開く世界!ハリー!ギア!ジェット〜!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

七人が変身を完了し、エール達がアークへ飛び込んでいき、同時にパンチを繰り出しアークを会場の外へ放り出す。

 

「現れたか……」

 

「待ってたよ」

 

外には既にアナザーディケイド、ビシン・ギアファングフォームがいた。

 

 

 

 

クライアス社の社長室では、ジオウとゲイツがクライに戦いを挑んでいた。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウはクライにパンチを繰り出し続けるが、そのパンチは難なく防がれる。

 

『バロン!』

「はぁぁ!」

 

ジオウが横へ避けるとバナスピアを持ったゲイツがクライに放ち、バナスピアーが直撃したクライは二人から離れた。

 

『鎧武!』

「いざ、二刀流ってね!」

 

鎧武のレリーフを触って無双セイバーと橙々丸を持ち、そのままクライに追い討ちをかけた。そして、今度はドライブのレリーフを触る。

 

『ドライブ!』

「はぁ!」

 

「ぐうぉぉ!」

 

ドライブの武器・トレーラー砲を召喚すると、そこから放たれた光弾によりクライが吹き飛ばされた。

 

「クライ。降参して」

 

「今の俺とソウゴの力ならお前を倒せる。今すぐ、みんなを元に戻してクライアス社を解散しろ!」

 

ジオウとゲイツはクライに降参するように促す。

 

「フッ……君達はわかっていないよ。自分達がいかに無意味な事をしているんだとね」

 

だが起き上がったクライは降参する様子のない口調で語り出す。

 

「どうしても、まだやるの……」

 

「……時見ソウゴ。君こそ、なぜオーマジオウの道を選ばない」

 

するとクライは目の前で構えるジオウに、何故オーマジオウにならないのだと問う。

 

「それは……」

 

彼の問い掛けに対し、ジオウは掌を見るとあの時、さあやと交わした約束を思い出す。

 

『みんなで一緒に目指そう。オーマジオウじゃない。新しい未来を』

『新しい……未来……』

 

さあやがソウゴを手を握って、新しい未来を目指そうと言ってくれた。

それを信じて、自分は今ここにいる。

 

「俺達は、新しい未来を作る!それは、オーマジオウ未来じゃない!俺達が目指す!最高最善の未来を!」

 

「ああ!未来には可能性がある!それは諦めなければ!何でもできる!何でなれるんだ!」

 

「…ゲイツ。それ、はなの言葉だよね」

 

「間違ってるか?」

 

ゲイツがはなの言葉を真似して言ったので、ジオウは仮面の下で微笑した。

 

「……わかった。なら、見せて欲しいね、その未来を」

 

クライがそう言った次の瞬間、ジオウとゲイツの前に灰色のカーテンが現れた。

 

「「⁉︎」」

 

オーロラカーテンがジオウとゲイツを包みこむと、そのまま二人は姿を消した。

 

「これでいいのかい?」

 

そこに現れたのは、仮面ライダーディエンドの海東大樹だった。

 

「ああ。十分だよ」

 

「まぁ、お宝くれたお礼をしてあげないと」

 

海東が前回、過川飛流から奪ったアナザージオウⅡウォッチを見せる。

 

「手伝ってあげたお礼に聞かせてくれない?いつまで、スウォルツ達で彼らを遊ばさせるの?」

 

「……さぁ。何のことかな?」

 

海東大樹のいつまでスウォルツでソウゴ達を泳がせるのだと言う質問に答えず、クライはそのまま社長室から出ていった。

 

「……何を考えるんだろ、あの社長〜」

 

海東はアナザージオウⅡウォッチを持ちながら、クライが何かを狙っているのだと睨む。

 

 

 

 

ジオウとゲイツが海東大樹によって未来に送り込まれ、まだクライと戦っていた頃、エール達は会場の外で戦っていた。

 

「ヤァァァ!」

 

エールがアークにパンチを繰り出したが、アークは巨大な手でエールを振り払った。

 

「お姉ちゃん!

 

そのままアークは、エールにパンチを繰り出す。それを見たアーラはプリハートのハート部分をタッチして手を画面にかざす。

 

「フレフレ!ハート!ウィンド!」

 

プリハートから緑の風の形作り、自分の周りに広げアークに向けて放った。

その影響でアークのパンチが逸れると、その隙に左右からマシェリとアムールがアークに向かって跳び反撃に出る。

 

「「うあああっ!」」

 

しかしアークは闇雲に腕を回し、マシェリとアムールはそれに対応出来ず、アークの腕に吹き飛ばされた。

 

「スタースラッシュ!」

 

マシェリとアムールに気を取られたアークにスタースラッシュを放ち、アークをマシェリとアムールから離した。

 

「二人共大丈夫?」

 

「はい」

 

「助かりました」

 

今度はエトワールがアークに一人立ち向かっていく。

その頃、ウォズがアナザーディケイドを抑えており、ハリーはビシンと戦闘を行なっていた。

 

「はぁ!」

 

ハリーはジェットで飛びながら何度もパンチやキックを繰り出し続けるが、ビシンのファングクローに攻撃を阻まれ続ける。

 

「はぁ、はぁ……」

 

「どうしたのハリ〜?その程度なの!」

『フィニッシュタイム!』

 

ドライバーを回しハリーが腰を低く構える。すると、ビシンもドライバーを回す。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ハリーはローラで地面へ滑り加速すると、ジェットが火を吹き宙へと飛び上がりビシンに突撃する。

 

『ジェットタイムフィニッシュ!』

『ファングタイムデストロイ!』

 

ハリーがジェットの加速の勢いを利用し、ライダーパンチを放つとビシンもクローに貯めたエネルギーを解放し、二人の技は衝突した。

 

「あぁぁぁぁぁーー‼︎」

 

だが結果、ビシンがハリーのライダーパンチを圧倒した。

やはり、ギアファングのビシンの方がパワーでハリーを上回っていた。

 

「あっ⁉︎ ハリー!」

 

エトワールがハリーが膝をついているのを見て、気を取られてしまったその隙を見たアークは彼女を捕まえた。

 

「くぅぅ……」

 

「エトワール!」

 

掴まれたエトワールを見て助けに行こうと、ハリーがジェットに火をつけてアークに向かう。

 

「離せや!うわぁ」

 

その時、背後からビシンが現れ、ハリーを攻撃した。

 

「ハリー」

 

「いい加減にしろよ。ハリーはお前のことなんか……」

 

「知ってるよ!もう伝えたから!」

 

「アッハッハ!あれだけ教えてやったのにバカなヤツ!」

 

エトワールが自分の想いを伝えたと言うと、少し驚くとビシンはエトワールを馬鹿にするように高々と笑った。それを見たエール達は、腕を上げてミライブレスを召喚した。

 

「勇気を出して行動した人を」

 

「バカにする権利なんて」

 

「「「誰にもない!」」」

 

「強がるなよ!お前はもう明日なんていらないと思ってるんだろ?」

 

「エトワール……」

 

それを聞いたハリーは、さっきの自分はエトワールの…いや、ほまれの告白に応えてやれなかったのではないかと思い、後悔をし始めた。

 

「私は、自分の大好きな人の幸せを輝く未来を願っている……だから、時間を止めたいなんてイケてないこと思わない!」

 

だがエトワールがそう言うと彼女のミライブレスが光り出し、アークの手から脱出した。

 

「だから、ハリー!あんたの掴みたい未来に飛んで!」

 

エトワールが言うと倒れたハリーが力を振り絞って起き上がる。

 

「俺が掴みたい未来は……みんながなりたい夢を全力で守ることや!」

 

その時、ハリーのドライバーのギアジェットウォッチが、エトワールのミライブレスの光に共鳴するかのように光りだしたのだった。

 

「何だよこれ……」

 

「ウォッチとミライブレスが……」

 

「お互いに共鳴している」

 

共鳴し合う二つに、エトワールのミライブレスから一線の光がギアジェットウォッチに注いでいく。

 

「なんや、ウォッチの色が……」

 

ミライブレスの光が注がれギアジェットウォッチの色が変わっていく。そして、ウォッチから強烈な光が放たれた。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

眩い光が放たれハリーが目を開けると、ハリーの手にはいつものギアジェットと違う、青から白となった歯車型のウェイクベゼルで、真ん中のレジェンダリーフェイスを囲む円のフレームが黄色へと変わった。

 

「新しいウォッチ⁉︎」

 

「何だと⁉︎」

 

突如起こった謎の現象に、エール達だけでなく、アナザーディケイドまでもが驚く。

 

「ハリー!」

 

「ようわからんが、使ってみるか⁉︎」

 

新たなギアジェットウォッチの白い歯車のギアを一回転で回す。すると、真ん中に記されているライダーの顔が白へ変わり、ハリーは迷わずスイッチを押す。

 

『ギアヘリテージ!』

 

そうウォッチはギアヘリテージと音声を発声し、ハリーはそのウォッチを左のスロットに装填、ドライバーのロックを解除して、ドライバーを回す。

すると、ハリーの体のライダースーツがひび割れ出し、そこから違う姿が現れると、ドライバーが音声が流れた。

 

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!

ヘリテージタイム!導け!心に望む未来へ!ハリーギアヘリテージ!

 

ギアジェットに装着されていた両足のローラーが無くなり、新たに肩へ装備された三日月型の歯車と頭部の『ライダー』と刻まれたインジケーションバタフライも黄色になり、その上には黄色いV字の触角が取り付けれていた。

 

「ギアジェットが変わった⁉︎」

 

「ハリィ〜!かわった〜!かわった〜!」

 

「これは……祝え!運命を超え!心に望む世界を導き出す奇跡のライダー!その名も仮面ライダーハリー・ギアヘリテージ!まさに未来を使み取った瞬間である!」

 

ウォズはハリーの新たなフォーム…いや、ギアジェットが進化した姿。仮面ライダーハリー・ギアヘリテージフォームの誕生を祝った。

 

「ギアヘリテージ……」

 

「ハリーさんの新しい姿……」

 

「イケてんじゃん。ハリー!」

 

「嘘だ……嘘だ……うそだぁぁぁぁ!」

 

ハリーの新たな姿を見たビシンは叫び声を上げながら、彼に向かって突撃した。

しかしハリーは一瞬にビシンの背後へ回り、ビシンにキックを喰らわせた。

 

「何という速さ……」

 

「先までとは違うのです!」

 

「中々だな。ハリー」

 

アナザーディケイドがキックを喰らって悶えるビシンと変わるようにハリーの前に現れた。

 

「ハリー!」

 

「下がってろ」

 

エトワール達を自身とアナザーディケイドから遠ざけると、ハリーは自身の手から新たなる武器が出現した。

 

『ジカンチェーンブレード!』

 

持ち手の部位にジカンチェーンが装着された大剣型の武器をその手で掴むと、そのチェーンが自動でハリーの腕に巻き付かれ、その剣を持ったハリーが構える。

 

「せやぁぁぁ!」

 

ハリーがジカンチェーンブレードを振り続け、アナザーディケイドに攻撃を続けるが、アナザーディケイドはそれを躱し続ける。

 

「このぉ!」

 

更に背中のジェットで加速し、そのまま特攻で剣を振るう。

しかし、アナザーディケイドはオーロラのカーテンを作り、ハリーの攻撃を流した。

 

「くぅ!」

 

「アッハッハッハッハ!無駄だったようだな!やはり、ディケイドの力を持つ俺の方が上のようだな」

 

アナザーディケイドがハリーの攻撃は無駄だったと、高々と笑いあげていると…

 

「ハハハ――ぐうぉ⁉︎ な、何⁉︎ どこから?」

 

アナザーディケイドは突然、見えない所からいきなり攻撃を受けた。しかし攻撃は、それだけで終わらなかった。

 

「ぬうぉぉぉぉぉ!」

 

次々とアナザーディケイドに目に見えないような攻撃が次々と決まる。

 

「えっ?何がどうなってるの?」

 

「一体何が?」

 

エールはおろか、アムールにすら何がどうなっているのかわからず、ここに居る誰もが困惑していた。

 

「あぁぁ……ッ!ハリー……貴様!!何をしたッ!?」

 

「この剣や」

 

ハリーはアナザーディケイドにジカンチェーンブレードを見せる。

 

「この剣はな、俺が切った空気から斬撃を飛ばすんや!」

 

「何だと⁉︎」

 

「つまりは、俺は同じ場所からもう一度お前を攻撃してんや!」

 

時間鎖光剣・ジカンチェーンブレード…

それは、一度攻撃で空を切った所に斬撃を残し、自分の意思のタイミングで斬撃を飛ばせる力を持っていた。

アナザーディケイドは攻撃を別の空間に逃すことが出来ても、見えない攻撃からでは対処が出来ないようだ。

 

「凄い……」

 

「お前のおかげだで、エトワール」

 

この力が生まれたのはエトワールのおかげだと、ハリーがエトワールの方を向いて言う。

 

「スウォルツ。俺が切った斬撃はまだあるで」

 

「っ⁉︎」

 

その言葉通り、アナザーディケイド に向けて見えない斬撃が飛んできた。

 

「ぐうぉぉぉぉ!」

 

対処が出来ず斬撃を受け続けたアナザーディケイドは変身解除となり、スウォルツの姿へ戻った。

 

「くぅ……この俺が……」

 

「やるねハリー君。では、私も」

 

ウォズはドライバーからギンガミライドウォッチを外す。そして、ウォッチのダイヤルを回す。

 

『ワクセイ!』

 

ギンガミライドウォッチの顔が変わり、再びウォッチをドライバーに装填し、レバーを引く。

 

『水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!ワクワク!ワクセイ!ギンガワクセイ!』

 

ギンガファイナリーのままウォズの複眼が青色の『ワクセイ』へと変わった、ギンガワクセイフォームへと変わると、そのままウォズはレバーを引く。

 

『ファイナリービヨンド ザ タイム!』

 

仮面ライダーアークの頭上から小宇宙のようなものを出現させ、そこからエネルギー球がいくつも生成されていく。

 

『水金地火木土天海エクスプロージョン!』

 

そのまま、エネルギー球が雨のように降り注ぐ。

 

「巨大なその体は俊敏に動くことは不可能だ」

 

エネルギー球を撃ち続けられ、攻撃が止むと仮面ライダーアークはボロボロで膝を折る。

 

「終わりにしよう」

『タイヨウ!』

 

ギンガミライドウォッチの顔が変わり、再びウォッチをドライバーに装填したままレバーを引く。

 

『灼熱バーニング!激熱ファイティング!ヘイヨー!タイヨウ!ギンガタイヨウ!』

 

ギンガタイヨウフォームへと変わると、さらにレバーを引く。

 

『ファイナリービヨンド ザ タイム!バーニングサンエクスプロージョン!』

 

「はぁ〜…はぁぁぁぁぁ!」

 

ウォズの手から巨大な太陽のエネルギー体が放たれ、そのまま仮面ライダーアークに直撃。太陽に飲まれるとアークは消滅し、その場に姿はなくなり、塵すら残らなかった。

 

「くぅ……」

 

「ビシン!後はお前だけや!」

 

ハリーがビシンの前へと立つ。

 

「いいよ、ハリー。決着付けようか!」

 

ビシンはファングクローを構え、ハリーに一騎討ちを申し出る。

 

「わかったで……」

 

ハリーもジカンチェーンブレードを構える。 

そのまま、両者は構えてタイミングを図るために様子を見で牽制し合う。

 

(ハリー……)

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

両者動き出し、勝負が開始した。ビシンはクローでハリーへ攻撃を続け、対するハリーはジカンチェーンブレードで応戦、ビシンの攻撃を受け流し続ける。

 

「せやぁぁぁ!」

 

ビシンが咄嗟にハリーの初撃を躱した。しかし、残った斬撃が放たれビシンに直撃した。

 

「くぅ!」

 

「ビシン!」

 

『フィニッシュタイム!』

 

ドライバーのウォッチのスイッチを押し、ハリーはドライバーのロックを解除する。

 

『ヘリテージタイムフィニッシュ!』

 

ジェットから火が吹きそのままビシンへと突撃し、ライダーパンチの構えに入る。

 

(だめだ!間に合わない!)

 

技を出そうにもハリーが早く、ビシンは技を繰り出せなかった為、クローを盾としてビシンは構える。

 

「ビシン!」

 

ハリーはそのままビシンのクローにライダーパンチを放ち、その勢いでクローを砕くとビシンの顔面を殴り、そのまま勢いよく吹き飛ばした。

 

「ぐぅぅ⁉︎ うわぁぁぁぁ‼︎」

 

そのまま吹っ飛ばされ転がったビシンが変身解除となって倒れると、ハリーは着地した。

 

「はぁ、はぁ……そんな……」

 

「ビシン」

 

ハリーがビシンに迫ろうとする。

その時、『ピタッ!』っとビシンとスウォルツ以外の時間が静止した。

 

「早く逃げなさい」

 

時間を止めたのはオーラだった。

 

「……行くぞ。ここままでだ」

 

「まだ……まだ、ハリーと……うっ⁉︎」

 

ビシンがまだハリーと戦おうとする。しかし、スウォルツがビシンの腹部を殴り気絶させる。

 

「……スウォルツ……お前……」

 

「貴様の意見は求めん!」

 

スウォルツはビシンを担いでその場から去ろうとする。

 

「ハリー。今回は負けておく。だが、次にやる時はこれが勝つ」

 

スウォルツはそのまま不適に笑い、カーテンを出現させてビシンとオーラ共に去って行く。

 

「うわぁ⁉︎ あれ?」

 

「逃げた様だね」

 

動けるようになって辺りを見ると、既に奴らの姿はなかった。

 

「ハリー!」

 

エール達がハリーに詰め寄る。

 

「それ!めちょっくかっこいいね!」

 

「その剣の攻撃、とても凄かったです!」

 

「切ったところからさらに攻撃が出来るとは凄いです!」

 

ハリーの新フォーム、ギアヘリテージにみんな称賛した。

すると皆の前に灰色のカーテンが現れると、そこからソウゴとゲイツが現れた。

 

「ソウゴ君!」

 

「二人共どこに行ってたんですか?」

 

「すまなかった」

 

「俺達、クライアス社の罠にハマって、クライと戦ってたんだ」

 

「えっ?」

 

ジオウがクライと戦っていた言うと、エールは脳裏からプレジデント・クライの事を思い出して、あの時貰ったハンカチの事が気になっていた。

 

「ハリー?その姿……」

 

その頃、ジオウはハリーのギアヘリテージフォームに気づいた。

 

「名付けて、ギアヘリテージフォームや」

 

「ギアヘリテージ…」

 

その後、ソウゴとゲイツはハリーからギアヘリテージライドウォッチについて、そのウォッチはミライブレスから分け与えられた力より進化したウォッチで、プリキュアのみんなの力から出来たものであると教えてもらった。

 

 

 

それからしばらくして、会場が落ち着くと大会が再開された。

順調に進み、いよいよほまれの出番へとなった。

 

「ほまれ!頑張れ!」

「フレフレ!ほまれ!」

 

客席からソウゴ達がほまれの応援する。

そして、ほまれはスケートリンクの中心へと立ち、ほまれの演技が開始した。

ほまれの演技はいつにもなくキレが良く、見る人の心に火をつけた。

 

(不思議……凄く集中出来る。

バラバラになってた心が、一つになったみたいに。

ずっと思ってた、片思い……叶わない恋に意味はあるのかなって。でも……!)

 

「フレ!フレ!ほまれーっ!」

 

ハリーが中央に星の付いた応援旗を広げて振り、声を上げてほまれを応援する。

それは、昨晩ハリーが徹夜して作ってたのは、この応援旗だった。

 

(きっとあった。ドキドキした気持ちも、胸がキューっとなって、流した涙も……今、私の心で輝いてる!フレ!フレ!私!)

 

彼女はそう心の中で呟いてからジャンプをし、遂に四回転ジャンプを決めた。

 

「四回転ジャンプ決まった!」

 

「やった!」

 

(……ありがとう!)

 

心の迷いが無くなったほまれの滑りは、会場を魅了させて歓声で湧かせた。

 

「ブラボーなのです!」

 

「カッコいいです!」

 

「素敵ですほまれさん!」

 

「すごい演技だったぞ!ほまれ!」

 

「「「ほまれー!輝いてるー!」」」

 

「ほまれ、すっごくカッコいい!」

 

「今まで見た滑りの中で、今が一番輝いてるよ!」

 

(ありがとう……みんな。ありがとう……ハリー)

 

ほまれの演技は会場の人達から盛大な拍手が響き渡る。

それは間違いなく今日一番に輝いており、まるで星々が広がり、光を広がるかのような演技だった。

 

 

大会終了後ほまれは、はな達に優勝メダルを見せる。

 

「おめでとうほまれ」

 

「うん」

 

はな達が拍手を送り、アンリが祝福の言葉を送ってから、ほまれを抱き締める。

 

『おめでとう!』

 

今度ははな達が抱き締め、祝福の言葉を送る。

 

「最高の滑りだったよ」

 

「ありがとう。みんな」

 

最高の滑りだったとみんなほまれを称賛する。

 

「良かったね……!良かったねほまれ……!」

 

「はな……」

 

「おめでとー!ほまえー!」

 

「おめでとう」

 

観客席に座るハリーの足の上で、はぐたんが祝福の言葉を送り、ハリーも送る。

 

「さあや。頑張って」

 

「⁉︎」

 

ほまれに小声で言われるとさあやが顔を赤くする。

その時、チラッとソウゴの方へと目がいく。

 

「では、私から一つほまれ君に祝いの言葉をプレゼントとしよう」

 

ウォズがほまれの優勝で祝わさせて欲しいと言い、ウォズが声を上げる。

 

「祝え!幾たびの苦難を乗り越え!今スケート界に星々の様に輝いたスケーター!その名も輝木ほまれ!まさに輝く流星のような演技だった!」

 

「ウォズ……中々イケてる祝いだね」

 

「光栄だね。ほまれ君」

 

ほまれはウォズにお礼を言うと、今度はハリーに近づく。

 

「ほまれ……あのな、俺……」

 

ハリーが何かを言おうとしたその時…

 

〈チュッ!〉

 

『⁉︎』

 

なんと、ほまれがハリーの頬にキスをしたのだ。

 

「これくらいなら許してくれる……」

 

「ほまれ……」

 

対するハリーは驚きのあまり、顔を赤くした。

 

「ありがとう。今日頑張れたのはハリーのおかげだよ」

 

ほまれは笑ってハリーにお礼を言った。

 

「こっちこそ、ええもん見せてもらったで」

 

ハリーも笑顔でいい演技だったと言う。

 

(ほまれ……あいつの気持ちに整理がついて答えが出たら、必ず……)

 

そんなほまれの顔を見ながら、想いのケジメの答えが出たらと、何かを心の中でハリーは呟く。

 

 

その日の夜、ソウゴがルールーを告白した場所へと呼んだ。

  

「ソウゴ……」

 

「ルールー……伝えたい事があるんだ」

 

ルールーに今、覚悟を決めて、どうしても伝えたい事を、今の自分の答えを話すために…

 

 

 

 

 

「かくして、輝木ほまれは自分の夢と進み、ハリー君への想いをぶつける事もできた。さらに仮面ライダーハリーもギアヘリテージへと進化した。

この本のページも、いよいよあと僅かです」

 


次回!Re。HUGっとジオウ!

 

第59話 2018: 母と娘の思いと、交わる二人の想い

 

 




おまけ

さあや「私、薬師寺さあや!
なんだかんだあってお母さんと共演する事になったんだけど、その一方でソウゴ君がルールーに告白の返事をするみたいなの!……私、どうすればいいの⁉︎」

HUGっとジオウ!第59話!『()るか、()られるか、選ぶのはどっち!?』

次回も、ハグって行くジオ〜!

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