Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生にして時の王者『オーマジオウ』となる運命が待っており、全てのウォッチを集めた時見ソウゴ。
彼らは数々のクライアス社から攻撃を乗り越え、日々強くなっていく。
そして今回、我が魔王にあの力が……おっと。その前に今回語るべきは、我が魔王の幼馴染である薬師寺さあやの挑戦についてでした」


第59話 2018: 母と娘の思いと、交わる二人の想い

ほまれのスケートの大会が終わり、ハリーが新たな力・ギアヘリテージを手に入れてからしばらくして数日後、さあやの出演する映画の撮影が始まった。

しかも今回は、彼女の目標である母・麗奈との共演となっている。

 

「薬師寺さあやさん入られまーす!」

 

「よろしくお願いします!」

 

お姫様の格好をしたさあやが撮影スタジオに入って来る。端の方では既にソウゴ達が来ていた。

 

「映画の撮影って、こんな感じなんだ~」

 

はなはスタジオに入り周囲を見回すと、初めて見た映画の撮影風景に目を輝かせる。そんな彼女の姿を見ながら、ほまれとルールーは手に持ったパンフレットにも目を向ける。

 

「薔薇の騎士と姫の夜明け…」

 

「中世の騎士団長と姫の物語です」

 

「さあやさんのお姫様、とっても楽しみなのです」

 

「しかもお母さんとの親子共演で、話題沸騰だもんね」

 

「うん。テレビでも話題になってた」

 

「あぁ、人気間違いなしと評判だからな」

 

「それだけじゃないよ。今日はさあやにとって目標が叶った瞬間だから」

 

今日このスタジオで『薔薇の騎士と姫の夜明け』と言う映画の撮影があり、ことりとツクヨミ、ゲイツの言う通り、さあやと麗羅の親子共演も話題になってたようだ。

 

「監督!」

 

「遂に麗羅とさあやちゃんの親子共演を撮影する日が来るなんてな」

 

監督を見掛けたさあやが声を掛け、監督が彼女の方へ歩きながら言う。

 

「お母さんと一緒にお仕事する事は、私の夢ですから」

 

「はぎゅ~!おひめさまはぐたんも~!」

 

ハリーが抱き抱えるはぐたんが、自分もお姫様になりたいと駄々をこねる。

 

「おーおー、これだけ元気ならお芝居も頑張れるね」

 

「映画初出演、頑張ろなはぐたーん」

 

そんなはぐたんを真木が持ち上げ、ハリーがメロディタンバリンを鳴らしながらはぐたんに向かって言うと、はぐたんの駄々が収まり、笑顔を浮かべる。

 

「真木先生?どうして?」

 

「赤ちゃんにもしもの事があってはいけないからね」

 

さあやが何故か撮影現場に真木がいた事に疑問を浮かべるが、監督が赤ちゃんにもしもの事があってはいけないからと理由を話す。

 

「それに、アンタの演技見てみたくって」

 

それと真木がさあやの演技を見たいからと言う理由もあった模様。

 

「薬師寺麗羅さん入られます!」

 

騎士の格好をした麗羅が入ると同時に、スタジオの空気が変わる。

 

「お母さん……」

 

「よろしくさあや」

 

さあやと向かい合って立ち、挨拶を送る。

 

「緊張している?」

 

「うん。けど、私全力で―――!」

 

頑張る、とさあやが言おうとしていた途中で、何者かが何らかの装置を起動させ、ノイズの混じった異変を生じさせた。

 

「何や、これは……⁉︎」

 

「この感じ……この前みたいな事がまた……⁉︎」

 

そのままソウゴ達はノイズのような感じの空間に呑み込まれ、意識を失ってしまう。

 

 

 

それからしばらくして…

 

「うぅぅ……」

 

何かに頬が当たりはなが目を開けると、そこは撮影スタジオでは無かった。

そこはゲームや本とかに出てくる、どこかファンタジーな異世界だった。

更に服装も私服では無く、勇者の格好になってた。

 

「何じゃこりゃ⁉︎ めちょっく……!」

 

「この世界、まるで台本の……」

 

はなの傍で倒れてた、撮影時と服装が変わって無いさあやが起き、自分の持つ台本を見て、この話と同じ世界観だと言う。

 

「映画の中に、入っちゃったって事!?」

 

はな達はなんと、『薔薇の騎士と姫の夜明け』の世界へ入り込んでしまったようだ。

 

「何で映画の世界に⁉︎…って言うか、勇者はなちゃんだよ!」

 

「俺は騎士か?」

 

「魔法使いになってるのです!」

 

「吟遊詩人、かな?」

 

「何これ武闘家?」

 

「私はもしかして乗馬?」

 

「私は黒猫のルル。ワクワクもんだニャ~」

 

するとはなとさあやの前にゲイツが騎士の姿で現れ、えみるは魔法使い、ことりは吟遊詩人、ほまれは武闘家、ツクヨミを馬術の出来る乗馬、ルールーはケット・シーとなっていた。

 

「おおっ!ファンタジー!はぐたん、また不思議な事した?」

 

「コラ!何でもはぐたんを疑うな!」

 

武士の格好のハリーがはぐたんのいる木製の乳母車を引きながら叫ぶ。

 

「子連れネズミ!」

 

「ネズミちゃうわ!はぐたんは何もしとらん!」

 

「しとらーん!」

 

「ん?ところでソウゴとウォズは?」

 

「私はここだよ」

 

はながあの二人がどこに居るのかと見渡していると、ウォズが茂みから出てきた。

 

「あれ?ウォズさん変わってないのです」

 

えみるの言う通り、ウォズの服装がいつもの姿と何も変化がなかった。おそらくウォズの役目は、この話を進めるナレーターのような役目らしい。

 

「ところで、ソウゴは何処だ?」

 

「いや、私も今し方気付いて君達を見つけた」

 

ウォズはそう言ってから周りを見ると、ソウゴだけの姿が見えなかった事に気付く。

 

「ソウゴ君……」

 

「……」

 

さあやがソウゴの事を気にし、不安そうな表情を浮かべたその時、ルールーがさあやの方を向いて何かを思い出していた。

 

 

その一方で……

 

「うぅぅ』…あれ?ここは?」

 

目を覚ましたソウゴが起き上がると、どこかの大樹の下にいた。

 

「ここどこだ?……あれ、服が変わっている?」

 

此処がどこなのかと悩んでいると、自身の服装が変わっていることに気付いた。

ぱっと見たところ、テレビなどでよく見るヨーロッパの中世くらいの一般人の服装に近い様に感じた。

 

「みんな、何処に行ったんだろ?」

 

辺りを見回してもはな達はいなかったが、ソウゴはとりあえずみんなを探すために歩き出した。

 

「一体どこなんだろ?」

 

だが知らない場所である為、土地勘はおろか今居る方向すらわからなかった。

 

「……ルールー……」

 

歩いている最中、ソウゴは昨夜、ルールーに告げた事を思い返す。

 

 

 

『ソウゴ……』

 

『ルールー……伝えたい事があるんだ』

 

ソウゴはルールーに今、覚悟を決めてどうしても伝えたい事をルールーに言う。

 

『ごめん!』

 

するとソウゴはごめんと叫び、ルールーに頭を下げた。

 

『ルールー……俺は……』

 

『……わかっていました』

 

『えっ?』

 

『ソウゴ。貴方には、私以上な人がいる事を」

 

『ルールー……』

 

『私はソウゴの事を片思いでいいので、想うことにします。

だから、ソウゴ。あなたは自分の気持ちを、その人に正直にぶつけて下さい』

 

そう言ってくれたが、ソウゴは今でも気にしていた。

何故なら彼女はソウゴの気持ちを知った時、何処か清々しい表情をしていたが、ソウゴはその顔の裏には哀しみが見えた様に感じたからだ。

それ故。あの時は悪気が無かったとはいえ、ルールーの心を傷つけたのかと―――

 

 

 

「ソウゴーーー!」

 

はなの声が聞こえて振り向くと、はなの他にゲイツ達がいるのが見えた。そのままはな達と合流すると、ソウゴの格好にみんなは少し驚く。

 

「ねぇ、ソウゴ。何その格好?」

 

「どう見ても一般人なのです」

 

「ソウゴさん。だから、王様かと思いました」

 

「ハッハッ〜……」

 

みんなに言われ、苦笑するソウゴ。ソウゴなら王様の姿になるのだと思うのは無理はないのだが、流石に一般人の服装なのは予想外だった。

 

「とりあえず、ここは何処だ?」

 

「ニャるほど……!ほまれの時と同じ、VR空間のようだニャン」

 

ここでルールーが、自分達の今いる場所をVR空間と分析する。

 

「この前ビシンがハリーを閉じ込めたアレ?」

 

「と言う事はクライアス社の仕業か?」

 

「キュアップ・ラパパ!水晶さんによると、これは一大事なのです!」

 

何故か魔法界の呪文を唱えたえみるが水晶を使い、お告げを聞く。

 

「早くここから出ないと大変な事に……!」

 

「監督さん達は来て無いみたいだね」

 

「それにこの場所にいるのは、俺達だけのようだな」

 

「このままじゃ撮影が……」

 

「そうだそうだ!どうすれば良い⁉︎ 魔王⁉︎ ラスボス倒せば良いの!?」

 

はながそう言って剣を抜くと、何故か刀身は『伝説のカチンコ』と書かれたカチンコになってた。

 

「「「伝説のカチンコ⁉︎」」」

 

「あなたが監督のようね」

 

「えっ⁉︎ 私⁉︎」

 

同じくVR空間に送られていた麗羅がはなに向かって言う。

 

「さあ、撮影を始めましょう」

 

「あ、いやちょっと……!」

 

「私は本気である!セットを超えた非日常、最高の映画を撮ろうぞ!」

 

「お母さん、役に入り切ってる……」

 

「ブッ飛んでるけど、アンタのお母さんは本当に女優なんだね」

 

「真木先生も?あ、はい」

 

更に僧侶の格好をした真木が現れ、さあやに向かってそう言う。

 

「ニャーニャーニャーニャー」

 

「何してるのです?」

 

するとえみるは、ルールーが木の枝にぶら下がってニャーニャー言っている姿を見かけ、何をしているのだと問いかける。

 

「私の解析では、このVR空間はみんなの気持ちと連動しているニャン。きっと物語が終われば、ここから出られるニャン」

 

「なるほど……ね」

 

解析を終えたルールーが、このVR空間への脱出方法を教える。

 

「さあ!皆の者行こう!」

 

麗羅が剣を持ち上げたまま、先へ進む。

 

「もう良く分かんないけど―――何でも出来る!監督にでもなれる!」

 

はなも監督として、このVR空間で撮影をする事となった。

 

「よーい、アクション!」

 

そしてはながカチンコを鳴らし、撮影を始める。

 

「赤子よ……怪我は無いか?」

 

「いけてるー!」

 

はぐたんを抱き抱えた麗羅が、目の前にいるさあやにそう尋ねる。

 

「ありがとうございます。ナイト様。わたくしは、あなたの強さに憧れる」

 

「姫……」

 

「広い世界に旅立ち、同じ目線に立った時、この泉のように湧くあなたの強さの源が、わたくしにも分かるのでしょう」

 

続いてさあやは目の前にいる騎士の姿をした麗羅にそう伝えていくと、彼女らの演技を見ていた真木が感心しながら見入っていた。

 

「…演技上手いじゃないか」

 

「他にもドラマとか出てたから」

 

「さあや集中してる」

 

「生で演技するさあやさん、凄く綺麗です」

 

「うん!良いよ良いよ。このまま―――」

 

ほまれとえみるがそう言っているのを横目に、映画監督となったはなもこのまま順調に事が進む事を願う。

しかし、何事もうまく行かないのが、映画と現実の違いである。

 

「わたくしも、新たな道を進んで行きたい。夜明けはもうすぐ―――」

 

「薬師寺さあやーっ!」

 

さあやの台詞の途中で、突如木の棒と鍋の蓋を持った袴姿の一条蘭世が乱入して来た。

 

「ねぎー!」

 

「ネギじゃありません。一条蘭世でございます!」

 

「あの子も来てたんだ」

 

「誰?」

 

「さあやの自称ライバルです」

 

「自称ではありません!」

 

蘭世の事を知らないことりにルールーがさあやの自称ライバルと答えると、自称では無いと蘭世がツッコむ。

 

「あなたは姫、ライバルの私は名も無き平民とはこれいかに!

しかし、私の方が女優としては上!だと分からせて差し上げますわ!はいこれどうぞ」 

 

彼女はそう言うと、さあやに木の棒と鍋の蓋を差し出す。

 

「チェストーっ!」

 

蘭世の振り下ろした木の棒を、さあやが受け取った鍋の蓋で受け止める。

 

「さあやさん!」

 

「よーし良いよーっ!アクション!」

 

リアリティのあるモノが出来ると直感で感じたはながカチンコを鳴らしてからすぐ、二人が激しい乱闘を繰り広げる。

 

「魔王に操られた市民から国を守ります!わたくしの覚悟を見よ!」

 

「フン!お姫様は結局お姫様ですわね!」

 

「そんな事……ありませんわ」

 

「あなた、これで本気ですの?」

 

「……っ!」

 

「隙あり!」

 

蘭世は自身が問い質した事で生じた隙を突いて木の棒を振り下ろし、さあやの持つ木の棒を地面に落とす。

 

「カット!一回止めよう!」

 

「蘭世ちゃんごめん……!もう一回よろしく……!」

 

さあやがそう言って握手しようと手を差し出すが、蘭世はそれを払う。

 

「何ですの今の演技は!他の事に気を取られて、芝居の世界に入り込めていない!

握手は、ライバルとするものでしょ!」

 

彼女はそう告げると、この場を後にした。

すると蘭世と入れ替わる様に、麗羅がさあやの下に近づく。

 

「さあや、芝居に心が感じられない」

 

「……!」

 

「これでは、ただの親子共演として芸能ニュースになるだけよね」

 

「ごめんなさい……」

 

「さあや……」

 

 

それから、撮影は一旦休憩に入り、みんな食事を摂り始める。

 

「私は、上手にお芝居出来てると思ったけどな……厳しいね……」

 

「まぁ、芝居のプロだからな。しょうがない」

 

はながおにぎりを食べながら言うと、ゲイツはプロの世界はそういうもんだと言いながら残りのおにぎりを口の中に放り込む。

 

「ううん、お母さんの言う通り、心を込めないと失礼だもん」

 

「お芝居って、難しいんだね……」

 

「何か引っかかってるの?」

 

ツクヨミは改めてお芝居の厳しさを実感していると、ほまれはいつもよりも演技に覇気を感じることの出来ないさあやに向けて問い、彼女は地面を見ながら口を小さく開く。

 

「いつも不器用で嫌になる……」

 

「さあや……?」

 

「あのね、私―――」

 

さあやが話の続きを言おうとしたその時、地面が揺れた。

 

「にょええええぇぇぇっ!」

 

「藪を突っついていたら、巨大生物出現だニャ……計算通りだし……」

 

巨大生物に追いかけられるえみるとルールーが、こちらに向かって走って来た。

慌ててはな達も逃げるが、こちらも追いかけられてしまう。

 

「何なの~⁉︎」

 

「ほら勇者!行け行け!」

 

「勇者なんでしょお姉ちゃん⁉︎私達を守って!」

 

「いや、ちょっと……!」

 

「ゲイツ君!君は騎士だろ!行きたまえ!」

 

「バカを言うな!あんなのタイムマジーンでないと勝てるわけないだろ!」

 

ほまれとことりが勇者のはなに、ウォズが騎士のゲイツに向かって背後にいる巨大生物を征伐しろと依頼するが、今の自分たちでは勝てないと言って逃げ続ける。

それに、さあやは服装の関係もあって足が遅く、踏み潰されるのも時間の問題だった。

 

「さあや!」

 

そしてついに踏み潰されそうになったさあやを、ソウゴが庇おうとその時…

 

「姫ぇーーー!お守り致す!」

 

「ダイガンさん!」

 

横からソウゴとは違う服装の村人の衣装のダイガンが走りながら現れ、さあやにそう告げる。

 

「私が来たからには、五分で―――!」

 

だがあっけなく潰される。しかしそのおかげで巨大生物はそのまま通り過ぎて行った。

 

「三秒で終わりました。新記録だニャン」

 

「部長ォォォーっ!?」

 

「大丈夫!?」

 

急いで建物の中へソウゴ達が連れていくと、さあやと真木がダイガンの手当てを行う。

 

「ほれ、これで良し」

 

「医師よ、かたじけない……」

 

手当てを終え、全身に包帯を巻いたダイガンが真木に感謝の言葉を送る。

 

「ゲームだったら、回復魔法でバーンと治せるんだけどね」

 

「そう言うおまけは無いみたいですね」

 

「しかし、五分で心は癒された。あの時と同じだ」

 

「……?」

 

「あの時って……?」

 

ダイガンの言うあの時とは、丁度オーマの日の時の事。

自身がオシマイダーを作りみんなの前へと現れた時、ドクター・トラウムに背後から攻撃を受けた際に、さあやがダイガンを治療したのだ。

 

「君は私に、新しい夢をくれた。ありがとう」

 

ダイガンからお礼を言ってもらうと、彼はそのまま建物内から出ていく。

 

 

「さあや、お母さんと共演するの迷ってるのかな?」

 

「それは無いんじゃ?」

 

「この日が来るのをずっと頑張っていたと言っていたはずだ」

 

その頃、建物の外では。近くではなとほまれとゲイツが会話をしており、さあやが自身の母親と共演するのを迷っているのかと思いそう呟くが、ほまれとゲイツはそれは無いと回答する。

 

「うん。お母さんと共演するのが夢って言うのは、さあやの本当の気持ちだと思うんだ」

 

「夢かー……ほまれさん、ワールドジュニアで優勝するって夢を叶えて、どんな気分ですか?」

 

「一つ夢を叶えたら、また新しい夢が始まる。もっともっと、新しい世界が見たい。そんな感じ」

 

はながマイクを向けるようにして左手をほまれの口元に近づけて尋ねると、ほまれが答える。

 

「じゃあ、ゲイツさんはどうですか?何か目標は?」

 

今度はゲイツの口元にマイクを向けた。

 

「俺は……未来の救世主なる。そこで、未来の人達の力になりたいんだ。今のソウゴのようにな。それが、俺の夢だ」

 

「救世主か……ゲイツ!ほまれ!頑張って!私達の未来は無限大。だもんね」

 

「「あぁ!」」

 

はなが二人の目標やこれからどうするかを聞いていると、建物の中にいるさあやが真木先生に質問する。

 

「真木先生」

 

「ん?」

 

「先生はずっと、産婦人科のお医者さんになるのが夢だったんですか?」

 

さあやが真木に、産婦人科の医者になるのが夢だったのか尋ねる。

 

「ううん。最初は親と同じ外科を目指してたんだよ」

 

「えっ?」

 

「そうなんですか?」

 

だがその次に発せられた真木の言葉に、さあやの隣に座っていたソウゴも驚きながら耳を傾ける。

 

「研修医の時、内科、外科、色んな所を回って経験を積む内に、出会っちゃったんだよね」

 

「先生は強いですね。そうやってハッキリ道を決めたら、後悔する事は……」

 

「あるよ」

 

「えっ?」

 

「人生そんなものだよ。どんな道を選んでも、後悔はする。

だからさ、その時その時、心に正直に生きようって私は思ってる」

 

「……フレフレ、私……!」

 

それを聞いたさあやは、真木の言葉を心の奥まで受けてから自分の気持ちを固め、自分にエールを送った。

 

 

そして休憩を終え、撮影が再開された。さあやとはぐたんを抱き抱えた麗羅が向かい合って立つ。

 

「良い顔、してますわね」

 

「それじゃ、行こうか!アクション!」

 

はながカチンコを鳴らし、先程と同じシーンの撮影を再開する。

 

「赤子よ。怪我はないか?」

 

「だいじょうぶよ〜」

 

「ありがとうございます、騎士様。広い世界に旅立ち同じ目線に立った時、わたくしも新たな道を進んでいきたい!夜明けはもうすぐ!」

 

気持ちを改めて決めたさあやの演技は、先程の演技よりも見違える程上手くなっていた。

 

(やっぱり、凄いよ。さあや!)

 

「カット!オッケー!」

 

そして遂に、はなからOKが出た。

 

「今のすごく良かった!心震えた……!」 

 

「何か吹っ切れたみたいだね」

 

「最初から、この芝居をやれってんですわ……!」

 

「良い芝居だったわ。この調子で頑張りなさい」

 

ウォズがさあやの心に迷いが消えた事を察し、蘭世が「フン!」としながらそう呟いていると、さあやは麗羅が自身の演技を褒めている様子を見据えながら、ある決意を固める。

 

「私……お母さんに話さなきゃいけない事があるの」

 

「…?」

 

「私、この撮影が終わったら女優を辞める」

 

するとさあやは麗羅に、この撮影が終わったら女優を辞める事を告げた。

 

「何で⁉︎ 何で⁉︎」

 

「蘭世ちゃん……」

 

これを聞いた蘭世がさあやに詰め寄る。

 

「どう言う事なんですの⁉︎」

 

「これはその……」

 

「答えて下さいませ!」

 

蘭世が何故辞めるのかを聞こうとしたとき、その様子を見ている者がいた。

 

「どれだけ愛しても、人は思う通りに動かぬジレンマよ……」

 

森の中でやり取りを見ていたリストルがそう呟きながら、彼女達のやり取りを傍観していた。どうやら今回の騒動は、リストルが起こしたものらしい。

 

「何故女優を辞めるなんて言いますの⁉︎」

 

「さあや……!」

 

はながさあやの元へ駆け寄ろうとするが、ほまれに肩を掴まれて止められる。

 

「結局あなたにとって、お芝居の世界はお遊びでしたのね!」

 

「遊びじゃない!だからずっと……迷ってた」

 

「女優を辞めて……何を目指しますの?」

 

「お医者さん。それと……」

 

さあやは女優では無く、医者と言う新たな夢を見つけていた。そしてソウゴの方を見ると、蘭世もさあやが向くソウゴの方を見る。

 

「両方出来ませんの……?」

 

「私は器用じゃないから、きっと両方中途半端になってしまう」

 

目に涙を溜めた蘭世が両方出来ないか尋ねるが、さあやは両方だときっと中途半端になると答える。

 

「そんな気持ちで、蘭世ちゃんの前に立てないよ」

 

「嫌になりますわ……本当に……」

 

溜息を吐きながら蘭世がそう言うと、さあやの前に手を伸ばす。

 

「あなたが自分の夢を叶え、お医者さんになった頃―――私は日本―――いや、世界を代表する女優になっていると思うけど、せいぜい悔しがりなさい!」

 

蘭世が言ってる間にさあやが握手する。

 

「確かに、悔しいって思うだろうな……。

けど……だからこそ、未来で蘭世ちゃんの前に立った時、なりたい自分になったって言えるように頑張る!」

 

その決意がさあやの衣装を変え、お姫様から真木と同じ僧侶の格好にさせた。

 

「真木先生と同じ格好だ……!」

 

「さあやのなりたい自分……」

 

「さあやの人生は、さあやの物」

 

「お母さん……」

 

新たなる決意を固めたさあやの下に、麗羅がそう語りながら彼女に近づく。

 

「好きにしたら良いわ。ただ、撮影は真剣にやり切りなさい」

 

「はい!」

 

彼女はさあやにそう告げ、この場を後にする。

……だが麗羅は崖の辺りで足を止めると、自身のスマホに映る幼い頃のさあやの画像を見つめる。

 

「さあやは自分の夢を見つけた。それは……嬉しい事」

 

「流石は名女優。心を隠すのが上手い。

けれど私の前では、全てをさらけ出して良いのです」

 

背後に突如現れたリストルがそう告げると、麗羅からトゲパワワが溢れ出した。

 

「発注!猛オシマイダー!」

 

トゲパワワを作りジカンロッドを振り回して魔法陣を作りだすと、そのまま麗羅を猛オシマイダーに変貌させた。

そのまま、猛オシマイダーは飛び立っていた。

 

「オシマイダ〜!」

 

「猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーがソウゴ達の目の前に着地すると、さあやが抱き抱えていたはぐたんを素早く奪って跳び去る。

 

「はぐたん!」

 

「みんな!」

 

ソウゴ達はジクウドライバーを装着するとウォッチを取り出し、はな達はプリハートとミライクリスタルを取り出した。

 

『ジオウ!グランドジオウ!』

『ゲイツ!ゲイツマジェスティ!』

『ギンガ!』

『ハリー!ギアヘリテージ!』

「「「変身‼︎」」」

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」」」

 

ソウゴ達はドライバーを操作し、アーマーを身体に纏って仮面ライダーへと変身。はな達六人が揃ってプリハートにミライクリスタルをセットし、六人はいつもの手順を取り姿を変える。

 

『グランドタイム!祝え!仮面ライダー!グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!』

『マジェスティタイム!仮ー面ーラーイダーー!Ah~!ゲイツ!マジェーースーティー!』

『投影!ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー!』

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!ヘリテージタイム!導け!心に望む未来へ!ハリーギアヘリテージ!』

「輝く未来を〜抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

全員が変身を完了すると、はぐたんを連れ去ったオシマイダーを追いかけ始める。

 

「さあや……」

 

「しゃあやちがう!はぐたんよ!」

 

猛オシマイダーがはぐたんをさあやと勘違いしてそう言い、はぐたんが違うと告げる。

 

「そのままあなたの中に閉じ込めてしまいなさい」

 

リストルがそう告げてからすぐ、はぐたんを自身の中に閉じ込めた。

その直前にエール達が駆け付け、これを目撃する。

そこへ、仮面ライダーリストル・クラレットフォームへと変身したリストルが現れた。

 

「これで不思議な赤ん坊はクライアス社の物。社長もお喜びになる」

 

「リストル!お前それでエエんか⁉︎」

 

「…誰だ貴様は?」

 

「……ッ!」

 

ハリーがそう告げるが、今のリストルはクライによって記憶操作されてた為、ハリーの記憶が無かった。

 

「誰だか知らんが、うるさいぞ!」

 

ジカンロッドを振り上げ攻撃すると、ハリーはジカンチェーンセイバーで応戦する。

 

「リストルは俺が相手する!お前らははぐたんを頼む!」

 

「わかった!」

 

「そうはいかん」

 

ジオウ達がはぐたんを追いかけようとするが、さらにスウォルツまでもが現れた。

 

『ディケイド…!』

 

スウォルツはアナザーライドウォッチを取り出し、起動させたウォッチをそのまま自らの体内に埋め込んだ。

アナザーディケイドへと変身し、背後から灰色のカーテンが現れると、そこから二つの影が見え始める。

一人は紅の鎧を纏い、仮面ライダーキバと姿が似ている先代キバ…仮面ライダーダークキバ。

そしてもう一人、黒い龍騎…仮面ライダーリュウガが、ジオウ達の前に現れた。

 

「行け!」

 

アナザーディケイドの命令でダークライダー達がジオウ達に襲いかかる。

 

「奴らを抑える!お前らはオシマイダーを!」

 

ゲイツはダークキバに応戦し、ウォズはリュウガに応戦に入る。そして、残るジオウはアナザーディケイドを見つめる。

 

「スウォルツ……」

 

「決着付けるか?時見ソウゴ」

 

アナザーディケイドがジオウに迫って来るのを見て、ジオウはアギトのレリーフを触る。

 

『アギト!』

 

アギトの武器・フレイムセイバーを召喚するとそれを手にとり、グランドジオウとアナザーディケイドの戦いの火蓋が切られた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

まず初めにジオウはフレイムセイバーを持ち、そのままアナザーディケイドへと突っ込んでいく。だがジオウが振り上げたフレイムセイバーを、アナザーディケイドは腕でそれを受け止める。

 

「はぁぁ!」

 

ジオウはフレイムセイバーが受け止められると、すぐに反撃に出る為に攻撃に移る。しかし、アナザーディケイドに有効的な一撃が与えられなかった。

 

「くぅ!」

『ウィザード!ビルド!』

 

フレイムセイバーを投げ捨て、ウィザードとビルドのレリーフを触ると、『2012』『2017』という年号と共に黄金のゲートが現れる。

 

『チョイネ!スペシャルサイコー!』

『フルフルマッチブレイク!』

 

そこから現れたウィザード・ウォータードラゴン、ビルド・タンクタンクフォームがアナザーディケイドに攻撃し、続いてウィザードの尻尾による攻撃が決まり、ビルドのフルボトルバスターの一撃がアナザーディケイドを吹き飛ばす。

 

「これで……」

 

ジオウ達三人が集結し、アナザーディケイドを見るとアナザーディケイドは軽々と起き上がった。

 

「その程度で、俺がやれると思ったのか?」

 

アナザーディケイドは対して効いている様子はなかった。

 

「さて……」

 

またしても、灰色のカーテンを呼び出すと、そこから現れたのは複眼やアーマーの色がレモンイエローで、頭部にヘッドホンを思わせるパーツが装着されたライダー、仮面ライダーデューク。

胸部にコブラの意匠があり、マント・ブーツを纏い、ビルドの敵だったブラッドスタークと何処か似たような印象を見せるライダー、仮面ライダーブラッドが現れた。

その二体は一気にジオウが召喚した、ウィザードとビルドをソニックアローとブラッドの光弾により消滅させられた。

 

「くぅ!」

 

アナザーディケイドに形成逆転となり、召喚された二体のダークライダーの相手をさせられ、ジオウのが不利な状況にだった。

 

「プリキュアミライブレス!」

 

一方で、エールがプリキュアミライブレスを具現化させて光線を飛ばし、猛オシマイダーが両手を広げて防ぐ。

 

「はぐたーん!」

 

隙を突いて跳びかかるも反撃を受け、吹き飛ぶもすぐさま体勢を整えて着地する。

しかし、次の攻撃でアンジュ以外が猛オシマイダーの攻撃で吹き飛ばされる。

残ったアンジュが猛オシマイダーの目を見ると、そこには産まれて間もない自分と麗羅の姿が映ってたのを見えた。

 

「お母さん……!」

 

「えっ?」

 

「エール、エトワール、私の背中を押して。お母さんと話して来る!」

 

「オッケー!」

 

「フレフレ!さあや!」

 

アンジュはエールとエトワールに背中を押して欲しいと頼み、二人がこれを聞き入れる。

エールとエトワールがアンジュの手首を掴み、アンジュを猛オシマイダーに向けて投げ飛ばす。

 

「ふん!」

 

だがその時、アナザーディケイドが猛オシマイダーの前に現れ、時間停止を発動させてアンジュの動きを止めた。

 

「ふっ!」

 

全身を一回転させてカカト落としを叩き込むと、すぐさま時を動かす。

 

「きゃああああっ!」

 

アンジュが勢いよく落下し、地面に叩き付けられた。

 

「アンジュ!」

 

「⁉︎」

 

「そうは行かん」

 

「スウォルツ……!」

 

エールがアナザーディケイドを睨み付けると、アンジュが立ち上がり、アナザーディケイドを真剣な眼差しで見つめる。

 

「そこをどいて!私はお母さんに、話さなきゃいけない事があるの!」

 

アナザーディケイドにアンジュは攻撃し、退かせようとする。

しかしアナザーディケイドは軽々と避け、カウンターパンチでアンジュを吹き飛ばす。

 

「どうしたキュアアンジュ?終わりか?」

 

「やめろ!」

 

ジオウがダークライダーを振り切るとアンジュの前へと現れ、アナザーディケイドの攻撃から腕を構えてアンジュを守る。

 

「さあや!早く!」

 

「うん!」

 

ジオウがアナザーディケイドを抑えているその隙に、アンジュが猛オシマイダーへ飛び込む。

 

「させるか!」

 

「ぐわぁぁ!」

 

ジオウが盾となった事で、アンジュをオシマイダーの下に行かせることに成功した。しかし、グランドジオウの変身解除となりソウゴの姿へと戻る。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「自ら盾になるとは、王とは思えん行動だな」

 

「人を庇うのに、王がどうこうなんて関係ない!」

 

アナザーディケイドが肩で息をしているソウゴを見ながらそう嘲笑うと、ソウゴは必死に立ち上がろうとする。

 

「俺は……俺は、誰かが救おうとしているなら、一緒になって必死に救う!それが俺の信じる王の道だから!」

 

ソウゴが自分の思いを叫んだその時、懐から光を見せた。

そこから取り出すと、そのウォッチはジオウミステリーフレアのブランクウォッチだった。

 

「えっ?」

 

ブランクウォッチはそのまま姿を変え、再びライドウォッチへとなろうした。

 

「これ⁉︎」

 

そのまま、ジオウミステリーウォッチへと戻り再びウォッチに力が戻った。

 

「……ウォッチが…俺の思いに!」

 

ソウゴはジオウミステリーフレアウォッチを構える。

 

『ジオウ!ジオウミステリー!』

 

ジオウとジオウミステリーのウォッチを両側のスロットへ差し込み、ソウゴはドライバーのロックを解除し、ドライバーを回す。

 

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

ジオウへ戻ると、前の方から後ろに羽があり、その手に二本剣を持ったアーマーが現れ、そのままジオウの体に纏われる。

 

『アーマータイム!歴史の全てを知る王〜!仮面ライダージオウミステリ〜〜!フ・レ・ア〜!』

 

その姿は間違いなく、幾度なくソウゴの思いに応え続けた未知のフォーム…ジオウミステリーフレアフォームだった。

 

「なんだそれは……」

 

ジオウミステリーフレアフォームを見て、流石のアナザーディケイドも少し動揺が見えた。

 

「行くぞ!スウォルツ!」

 

「……っ⁉︎」

 

並ならぬ覇気を感じたアナザーディケイドは、ジオウに向けて光弾を放つ。

 

「ふっ‼︎」

 

その時、放たれた光弾はジオウに当たる直前に消えた。

 

「何⁉︎」

 

此れこそが、ジオウミステリーフレアの能力。攻撃を未来へ飛ばすことで、アナザーディケイドの攻撃を未来へ飛ばした。そしてジオウの腕に装着されたフレアドラゴンバスターが、アナザーディケイドに直撃した。

 

「ぬうぉぉ!」

 

予想以上の威力に驚愕しながらアナザーディケイドは吹き飛ばされる。そして、ジオウは背中の翼を広げ宙へと浮かぶ。

 

「はぁ〜…はぁぁ!」

 

そして、デューク、ブラッドを上空からフレアドラゴンバスターを光のエネルギー波を放って二体にぶつけ、彼らを消滅させる。

 

 

その頃、アンジュが猛オシマイダーの中に入ると、いつの間にか変身が解けてたさあやが猛オシマイダーの中を見回す。

そこには自分の様々な記録が一帯にあり、その中心で麗羅がはぐたんを見守るようにして見ていた。

周囲の記憶を見たさあやは、思わず目に涙を溜める。

 

「お母さん……」

 

「さあや……さあや……」

 

麗羅は目の前のはぐたんを勘違いしたまま、さあやの名を呼ぶ。

 

「初めて抱き締めた時の小ささ……この子の為なら何でも出来ると思ってた。愛おしい娘の巣立ち……

なのに、どうして私、応援出来ないの……?」

 

そう呟いて涙を流し、はぐたんを抱き締める。

矢張り、麗羅はさあやの夢を言葉では応援していたが、心の中では寂しく思っていたらしい。

 

「さあやが……お母さんが憧れだと言ってくれた事、嬉しかった……」

 

「どしたの?いたいいたい?」

 

「お母さん……!」

 

「さあ……や……?」

 

はぐたんは自身を抱きしめている女性を慰めていると、さあやが麗羅に駆け寄り、目の前で止まってから彼女の目から零れ落ちた涙を拭う。

 

「私の今までの夢は、お母さんが見ている世界を見てみたい。だった。その世界に触れる事が出来たから、新しい夢が見つかりました。

私はお医者さんになって、みんなを癒したい。笑顔にしたい。

お母さんが、お芝居で大勢の人を幸せにしているように」

 

さあやは、目の前で泣いている母親に向かって、自身が医者になりたいと思った原点(オリジン)を語る。

 

「大きく……なったわね……」

 

そして、麗羅は目の前に居る本物の娘の思いを聞き、薄っすらと目を開きながらも彼女を強く見据えながら笑みを浮かべる。

 

「それとね、もう一つあるの」

 

「……?」

 

「私の……大事な人の、支えになりたいの」

 

さあやはその人の事を頭で思い浮かべる。

 

「その子は、いつもみんなの為に頑張って、小さな子の命だって助ける為に必死になって、危険を顧みない。

その人は強くて優しく、みんなから信頼されている人。

そんな彼を、一生守りたい……

ずっと支えて、一緒に生きたい」

 

その事を話すと、麗羅はその人が誰なのかわかったような気がした。

 

「お母さん……産んでくれてありがとう……」

 

最後にさあやはその場でしゃがみ、麗羅を抱き締めてそう言った。

さあやと麗羅が涙を流した直後、三人を中心にして光が広がった。

 

 

「みんな!」

 

「だいじょうぶだよ!」

 

はぐたんを抱き抱えたアンジュが戻ってきた。

 

「アンジュ⁉︎」

 

「お待たせ。ソウゴ君」

 

ジオウはアンジュとはぐたんが無事に戻ってきた事が嬉しく思いながら、安堵する。

 

「キュアアンジュ……貴様……」

 

「あんたの相手は俺だ!」

 

はぐたんを抱いたアンジュを見て、アナザーディケイドが襲いかかろうとしたその時、ジオウがアナザーディケイドに応戦する。

 

 

一方のゲイツとウォズは、アナザーディケイドが呼んだダークライダーと決着を付けようとする。

 

『ADVENT!』

 

リュウガが契約モンスター『ドラグブラッカー』を召喚し、ウォズに黒い炎を攻撃する。

ウォズはその攻撃を転びながら避けながら躱し、ドライバーからギンガミライドウォッチを外すと、ウォッチのダイヤルを回す。

 

『ワクセイ!』

 

ギンガミライドウォッチの顔が変わり、再びウォッチをドライバーに装填すると、レバーを引く。

 

『水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!ワクワク!ワクセイ!ギンガワクセイ!』

 

ギンガファイナリーのままウォズの複眼が青色へと変わり、ワクセイフォームへと変わったウォズは、そのままレバーを引く。

 

『ファイナリービヨンド ザ タイム!』

 

ドラグブラッカーの頭上から小宇宙のようなものを出現させ、そこからエネルギー球がいくつも生成されていく。

 

『水金地火木土天海エクスプロージョン!』

 

そのままエネルギー球が雨のように降り注ぎ、ドラグブラッカーを地面へ倒れる。

 

『イクサ!ナイト!』

 

一方のゲイツはイクサの武器・イクサカリバーとナイトのモンスター、ダークウイングを出現させた。

イクサカリバーでダークキバに剣撃を繰り出し、次々と決め吹き飛ばすと、ダークウイングの音波により動きを封じた。

 

「行くぞウォズ!」

 

「ああ!」

 

『フィニッシュタイム!』

『ファイナリービヨンド ザ タイム!』

 

二人がドライバーを操作し高く飛び上がる。

 

『エル・サルバトーレタイムバースト!』

『超ギンガエクスプロージョン!』

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

二人は同時にライダーキックを放ち、ダークキバ、リュウガを倒すことに成功した。

 

 

「行くよ!」

 

「「「「「メモリアルクロック!マザーハート!」」」」」

 

ミライパッドが緑のハートの加わったメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」」

 

右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がマザーハートスタイルに変身し、右手首にプリキュアミライブレスが着けられる。

 

「「「「「 HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィー・アー!」

 

「プリー、キュアー!」

 

「明日に!」

 

「エールを!」

 

マザーを召喚してメモリアルキュアクロックを囲む形で手を翳し、エネルギーを集める。

 

「「「「「ゴー、ファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

手を掲げ、マザーの力を解放して光線を放つ“みんなでトゥモロー”を放つ。命中したオシマイダーがハートに包み込まれ、浄化された。

 

(フレ、フレ、さあや……)

 

みんなでトゥモローが命中した猛オシマイダーがハートに包み込まれ、浄化されて麗羅に戻った。

 

「新たな夢の前にも、困難は広がると言うのに……」

 

ハリーと戦闘を続けてたリストルが距離を取りそう呟くと、瞬間移動して姿を消す。

 

「リストル……!」

 

ハリーはその時、リストルは何故こんなにも変わってしまたんだと思い悩む。

 

 

『フィニッシュタイム!』

 

アナザーディケイドと戦っていたジオウミステリーは二つのウォッチを押し、ドライバーを回して必殺技を放とうとしていた。

 

『ジオウミステリ〜〜タイムブレーク!』

 

「おりゃァァァァァァ!!」

 

ジオウはミステリアスウィングを広げると、脚に特殊エネルギー『エピタフレア』を凝縮させ、翼から炎を噴射させながらアナザーディケイドに向かってキックを放つ。

それを見たアナザーディケイドは咄嗟にオーロラカーテンを使ってガードを行うが、ジオウの攻撃は予想以上に凄まじく、オーロラカーテン越しでもその威力は変わらないまま衝撃波として伝わって来た。

 

「チッ!ぬうぉ!」

 

「スウォルツ!もうあんた達の負けだ」

 

ジオウは膝をついたアナザーディケイドに、もう負けだと言うと……

 

「フッフッ……時見ソウゴ、お前は後悔する。ここで俺を倒さなかった事をな」

 

「えっ?」

 

「そして、ライダーの歴史は俺が壊す!その時のお前の姿を楽しみにしてるよ。アッハッハッハッハッハ〜!」

 

大笑いをしてアナザーディケイドは撤退して行く。それを見てジオウはウォッチを外した。

 

「あれ?ブランクにならない?」

 

だがジオウミステリーフレアウォッチは、一度使えばまたブランクに戻るはずが、元のブランクウォッチに戻る様子はなかった。

 

「ライダーが壊れる……?」

 

そしてソウゴは、スウォルツの言った最後の言葉が気になって仕方なかった。

 

 

そして翌日、改めて撮影が開始された。

 

「広い世界に旅立ち、同じ目線に立った時―――」

 

「これからも、あなたの前には困難が待ち受けるでしょう」

 

「台本と違う……?」 

 

「いい。そのままカメラ回せ」

 

麗羅が台本に無い台詞を言うが、監督はそのままカメラを回すよう告げる。

 

「けれど、今の気持ちを忘れないで。夢を、明日を、まっすぐ見る瞳があなたの強さなのです。」

 

「はい。わたくしは、新たな道を進んで行きます。夜明けは今……!」

 

「カット!良い芝居だった!麗羅もさあやちゃんも!」

 

監督がそう告げると、二人は微笑みを浮かべたのだった。

 

 

撮影が終わると、麗羅に撮影場の裏の方へと呼ばれたソウゴが、どうして此処に呼ばれたのかと疑問に思いながらやって来た。

 

「何ですか?話って?」

 

「ソウゴ君。君に聞きたい事があるの」

 

麗羅はソウゴに聞きたいことがあると問う。

 

「あなたは、さあやをどう思っているの?」

 

「えっ?」

 

いきなり彼女の事をどう思っているのかと聞かれたソウゴは、少し驚く。

 

「それは……」

 

そう聞かれた時、ソウゴの頭の中からは、いくつもの言葉が溢れてきた―――

クラスメイト……違う。

友達、幼馴染……そうじゃない。

仲間、プリキュア……どれでもない。

俺は……さあやを――

 

「俺は……さあやに……

俺の……王妃になって欲しいです」

 

王妃にしたい。それはつまり、さあやに対して好意を持っていた事の証明。

 

「それは、さあやでないとだめなの?」

 

「さあやじゃないとダメなんだ……

さあやは……俺が諦めた夢を思い出させてくれて、もう一度、自分の叶えたい夢に向かって歩き出せてくれた。だから……」

 

ソウゴは真剣な眼差しで、さあやでないといけないと主張する。

 

「君は、さあやを守れるの……?」

 

「……守ります。俺は王様にだから!好きな子は絶対に守る!」

 

「……ソウゴ君の気持ちは本物のようね」

 

「麗羅さん……もしかして」

 

自分の覚悟が本物かどうか試していたのだとソウゴは察すると、麗羅は笑みを浮かべながら口を開く。

 

「さあやの事、お願いね。ソウゴ君」

 

「うん」

 

 

そして同じ頃、さあやがルールーに声を掛けられていた。

 

「さあや、あなたに聞きたいことがあります」

 

「何?」

 

「あなたはソウゴが好きなのですか?」

 

「ッッ⁉︎」

 

さあやは突然、ソウゴが好きと聞かれ一気に赤面した。

 

「私は先日、ソウゴに好きと告白しました」

 

「………えっ?」

 

だが次の言葉に、さあやは赤かった顔を蒼白にしてルールーを見つめる。

 

「ですが、私よりもソウゴには大事な人がいるんです。それは、あなたなのかもしれません」

 

しかしソウゴが自分の事を大事だとルールーに言われ、さあやは更に驚いた。

 

「さあや、あなたにとってソウゴとは何ですか?」

 

「私にとってのソウゴ君……」

 

…私にとってソウゴ君とは―――

幼馴染……仮面ライダー……魔王……王様……

否、全て違う。私にとってのソウゴ君は――

 

「私は……ソウゴ君の事が……好き。誰よりも好き……」

 

「幼馴染だからですか?」

 

「ううん。私がソウゴ君が好きなのは幼馴染……だから、王様だからじゃない。

彼はいつも優しくて、みんなを守る為にいつも必死だった……」

 

彼はいつも、人を助ける為なら自分が危険を顧みない行動に、オーマジオウの未来を変えようと必死に前に進んでいる。

 

「だから、そんなソウゴ君を一生支えたい!」

 

さあやはソウゴを支えたいと強く叫ぶ。その想いにルールーは目を閉じた。

 

「さあやのソウゴへ対する思いは、本物のようですね」

 

「ルールー……」

 

 

それからしばらくして、ソウゴとさあやがはな達に合流して、ソウゴ達は撮影所を後にする。

その間、ソウゴとさあやが妙に目を逸らしていた。

 

「どうした?何を落ち着かないでいる」

 

「えっ?いや別に?」

 

「しかし〜麗羅さん、カッコええお母さんやったな」

 

ソウゴがゲイツにそう誤魔化していると、ハリーはさあやのお母さんをカッコいいと褒めていた。

 

「ありがとう。みんな!」

 

「麗羅さんの言葉、嬉しかったね!」

 

「フレフレさあや。私も頑張―――」

 

「いかん!クリスマスセールの会議に、五分遅れてしまう~!」

 

ほまれが言ってた途中でダイガンが遮るようにしてそう言い、慌ててこの場から走り去った。

 

「そっか、もうすぐクリスマスか」

 

「クリスマスか……」

 

「サンタさん、今年も来てくれるかな?」

 

「サンタさんとは何ですニャン?」

 

「えっと、サンタさんと言うのは……」

 

「良い子にしてた子供にプレゼントを届ける人、だよね?」

 

ルールーとえみる、ツクヨミがサンタの事を話していた、その時…

 

「は~ぎゅ~!」 

 

はぐたんが突然全身を赤く光らせ、空を指差して叫ぶ。

すると空から、何かが降って来た。

 

『ええええぇぇぇっ⁉︎』

 

落ちて来たのはなんと、サンタクロースだった。

 

「サンタさん⁉︎」

 

「本物の⁉︎」

 

「みんなでクリスマス!イエイ!」

 

サンタクロースが降って来た事に驚くはな達を尻目に、はぐたんがそう言ってウインクした。

 

「サンタさん!私、今年かなり良い子にしてたので、プレゼントを―――!」

 

「ぶぇーっくし!」

 

はなが早速サンタ近付いてプレゼントをせがむと、サンタが声を上げてくしゃみを出した。

 

「だ、大丈夫でっか?」

 

「すまぬ……」

 

「ひょっとして、風邪引いてるんですか?」 

 

ツクヨミが今のサンタの様子を見て、風邪をひいているのかと聞く。

 

「あぁ……このままでは、クリスマスが中止に……」

 

「中止……⁉︎」

 

「めちょっく……!」

 

「マジで……?」

 

 

 

「かくして、我が魔王とさあや君が互いを意識し合った矢先、はぐたんによって連れ出されたサンタから、クリスマスが中止になるかもしれないと聞いた我が魔王達は、只々驚くしか出来なかったそうな。

……しかし、私はそれよりもスウォルツの言っていた事の方が心配でなりません」

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第60話 2018: クリスマスの危機とスウォルツの計画⁉ 消えるウォッチ

 

 




おまけ

カッシーン「それにしても、何故若かりし日の我が魔王は王様でなくて一般市民の格好だったのでしょうか?」

オーマおじさん「…………………その理由が知りたかったら、原作ジオウの劇場版『Over Quartzer』を見ることをオススメする………うん……」

カッシーン(・・・・此処まで気分の落ち込んだ我が魔王は初めてだ……)

この時、とある平成アンチおじさんの姿を思い浮かべていたそうです。

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