Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生の時見ソウゴは、スウォルツによって導かれるがままライダー達の力を集め、時の王者へと向かっていた。
そんな中、彼らはスウォルツの計画を阻止し、世界の危機を救った。しかし、戦いはまだ終わらない。
これから起こる戦いで、彼は答えを見つけるかもしれない……」


最終章『ハグっとなドリーマーとオーマのロード編』
第63話 2019: ジオウ敗れる⁉︎最凶のライダー、マスタークライ!


ミデンによる事件からしばらく経つと、ソウゴ達は無事に年越しを迎えてそのまま元旦へと進み、時は2019年へと年号が変わった。

そんなある日、はなは夢を見ていた。

 

「―――えっ…?ここは……」

 

ウェディングドレスのような姿で夢の中で立っていた彼女の周りには、色んな額縁を貼られた絵が沢山あった。

 

「力強い瞳……未来を見つめている」

 

その中でも彼女は、一つ上に置かれていた絵を見て、まるで“もう一人の自分自身”を見ているかの様な、他人事じゃない様な感覚に陥ったはなは、その絵に描かれた女性に魅入られるかの様に、その絵画に惹かれていた。

 

「ドラクロワ……『民主を導く自由の女神』だよ」

 

そこへクライまでも現れ、今目の前にある絵の解説を行った。

 

「女神……」

 

民衆を導く自由の女神……

1830年にてフランス画家であるウジェーヌ・ドラクロワが描いたとされる、フランス7月革命をテーマとしたロマン主義の代表作と呼ばれる絵画。

中央でフランス国旗を掲げ、フリギア帽という「自由」の概念を体現した三角帽を被った女性の後ろには、何人もの男性や子供が銃などの武器を手にしており、自由の為に立ち向かったであろう人々の遺体の山を超える彼女の姿は、自分達を束縛する理不尽へ勇敢に立ち向かって行くかの様だった。

 

「改革を求め立ち上がった民を、輝きへと導く凛々しい女神……人が輝く一瞬を切り取った絵画は美しい……

だが、時を重ねる度に、その輝きは消えていく。

変わっていく人の心……自ら導いた女神の真相すら……」

 

どうしてクライアス社の社長がここに居るのだという疑問を抱いているはなを横目に、クライは目の前に飾られている絵について語りながら、消えない傷に手を置くかの様に自分の胸を抑える。

 

「あなたは悲しいの?」

 

その絵について涙を流しながら語るクライを見て、はなはそう尋ねる。

 

「今……君は幸せかい?」

 

「うん」

 

「そうか……ならば、永遠に…」

 

「えっ……」

 

クライがはなにそう告げて彼女の顔をその手で触れた時、そこで彼女の意識は途切れた。

 

 

 

「うぅぅ……夢……」

 

はなが目を覚まし、ベットから起き上がる。

すると、自身の頬に冷たい水の様な物が流れているかのような感触に気付いた。

 

「……涙?」

 

その時、彼女の目には涙が出ていた。

 

 

 

一方その頃、クライアス社の社長室でも……

 

「どうしたの……」

 

「夢を見ていた……」

 

ビシンが涙を流したクライに近寄ると、今の状況を端的に報告する。

 

「トゲパワワに変化が起きてるよ。このままだと時間が動き出す」

 

「そうか……」

 

クライはソファから立ち上がると、机に置かれたジオウライドウォッチⅡにそっくりなウォッチを掴む。

 

「そろそろ、彼にもなってもらおうかな……」

 

ウォッチを見てそう呟くのを見ていたビシンは、彼に気になっていた事を問い掛ける。

 

「一つ質問していい?どうしてリストルから心を奪ったの?それに、なんでスウォルツにだってチャンスをあげるの?」

 

ビシンはクライが何故リストルの心を奪い。そして前回、好き勝手やっておいてソウゴ達に敗れたスウォルツに何故チャンスをあげたのか、不満があった。

 

「それが彼の……命を持つ全てのものにとって一番の幸せからだよ。それに、彼にはまだ仕事があるから残しているだけだよ」

 

「……」

 

クライの説明も受けても尚、彼は納得が行かなかった。

しかし今の彼には、目の前で渇いた涙跡を残した顔に笑みを浮かべる男に追求する勇気も、その権利も無かった。

 

 

 

 

ソウゴはクジゴジ堂の誰もいないリビングにて、置かれているライドウォッチを見つめていた。

 

「オーマジオウ……」

 

ウォッチを見ていたソウゴは、ツクヨミにウォッチを託し、ジオウトリニティの変身を解いてオーマジオウと二人で対談した時にまで記憶を遡り、その時にオーマジオウと交わした会話を思い出す。

 

 

 

『仲間には聞かせたくなかったか』

 

『それに、戦うのは無意味だ。

だって、あんたには俺を倒すつもりがない』

 

『お前は私だからな』

 

『……』

 

それを聞いたソウゴは、以前なら否定したものを、今回は黙って何も返さなかった。

 

『教えてよ。オーマジオウの力って何?世界の時間を止める事?』

 

ソウゴは未来からやって来た仲間から、未来から時を奪ったのがオーマジオウと聞かされていた。

そして本当に時を止める力があるのかと、オーマジオウに問う。

 

『違う』

 

『えっ?』

 

だがオーマジオウの口から時を止める力ではないという返答に、少し驚いた。

 

『オーマジオウの力とは……時空を破壊する力だ』

 

確かにオーマジオウの力は、“全世界の時を止める力”では無かった。だがオーマジオウから返ってきた言葉は、ソウゴが想像していたものとは違っていて、その力は自身の想像を遥かに超えていた。

 

『時空を破壊する力……

じゃあ、なんで未来から時が止まったの⁉︎どうして……』

 

オーマジオウが止めたのではないのなら何で、世界から時が止まったのかを聞く。

しかし、目の前にいる男はその問いには答えなかった。

 

『一つ教えておこう。スウォルツごときに、世界を滅ぼす力などない。お前に時空を破壊させるつもりだ』

 

『でも、俺はあんたにはならない』

 

スウォルツは最初から自分が狙いであるのは知っていた。でも、ソウゴはオーマジオウにはならないと否定する。

 

『どうかな?お前は私だ。楽しみにしているぞ。

お前が、どの時空をどう破壊するか……』

 

そう言うとオーマジオウは以前のように過去に繋がるゲートを作り、ソウゴはそのゲートを潜って元の時代へ送還されたのだった。

 

 

 

そして、親と他の人々の仇であるスウォルツを倒した事で、自分は過去のケリを付けたと感じている。

……しかし、同時にその日からずっと考えていた。

本当に自分は、オーマジオウにならないのかどうかを。

 

(ウォズの本には……俺がオーマジオウになる道筋が書いてあると言ってた。でも……)

 

これまでにも、みんなとその運命を変えて違う道を歩んできた。

だから、オーマジオウにならない。そう彼は信じる。

そう思い聞かせるかのように、今は兎に角、盲信的に信じるしかない。

 

(大丈夫。俺は最善最高の魔王になるんだ。オーマジオウには絶対にならない!)

 

取り敢えずソウゴはウォッチを見続け、そう強く思うようにする。

 

「ソウゴ」

 

そこへ、ゲイツ達がやってきた。

 

「何をしている。行くぞ」

 

「うん」

 

今日は元旦。みんなと一緒に正月を過ごそうと計画しており、ソウゴ達は約束の場所へと向かう。

 

 

 

 

――時は2068年。

ソウゴを元の時代へと送り返したオーマジオウは、“とある記憶”を脳裏に浮かべながら、先程自身がゲートを開いた場所をじっと見ていた。

 

「―――やはり、同じ答えが来たか……まぁ、助けてやるとするか」

 

何もかも、全て予想通り。

そんな事を考えながらオーマジオウは空へ向かって手をかざし、自らの力を放出した。

 

 

そして、この時間にいたゲイツとツクヨミは……

 

「まさか、やつに助けられるとはな」

 

「若い頃のオーマジオウが、時を超えてきたって言うの?」

 

2018年から時を超えて来たのかとツクヨミが呟くと、ゲイツは何かを閃く。

 

「そうか……その手があったか。俺たちも過去に飛べば……!」

 

若い頃のオーマジオウが来たことにより、ゲイツとツクヨミが『自分たちも時を超えて過去に行き、オーマジオウの誕生を阻止する』という手段を思いついた。

 

「でも、どうやって……」

 

「クライアス社からタイムマジーンを奪う。その時、トゥモローも助ける!そして、未来を変える!」

 

ゲイツが叫ぶと、先ほどのオーマジオウが発した光が降り注ぎ、ツクヨミのポケットの中で何かが光る。

 

「熱っ!」

 

ツクヨミは自身が助けられた時に、ソウゴによって懐に入れられたウォッチを取り出す。

 

「えっ?これは……」

 

オーマジオウはそのブランクウォッチに何らかの力を宿らせた。それは後に仮面ライダーツクヨミに繋がるとは、この時間軸ではオーマジオウを除き、誰も想像しなかった。

 

 

 

 

そして、時は2019年にまで遡る。

 

「きなこ、あんこ、磯辺餅、お正月は素晴らしいです!」

 

「さとう醤油も素晴らしい!」

 

ルールーとウォズは嬉しそうに餅を食べ続けている。

 

「『超激辛Dead or Aliveソース』もあるからね!」

 

「私も頂戴」

 

さあやとツクヨミは餅にかなり辛そうなソースをかけて食べていた。

 

「「みんなもどう!」」

 

「いや、それはさあやとツクヨミしか……」

 

「「えぇ!美味しいのに!」」

 

二人がはな達に勧めるが、あっさり断られたのだった。

 

「はい!たんぽぽ堂特製の『希望餡』でき上がり」

 

その場には、はなとことりの祖母のたんぽぽも来ており、『希望餡』を用意してくれた。

 

「たんまりあるからね。今年は若い衆が来てくれたから」

 

振り向いた方ではチャラリートとダイガンが餅をついていた。出来た餅は来ている子供達へと渡していく。

 

「ダイガンさん。ありがとう。私も食べる!」

 

「五分と言わずゆっくりと食べるのだぞ」

 

子供達も嬉しいそうに食べていて、みんな嬉しそうにしている。

 

「なんか、いいな!」

 

「はな?」

 

「お正月って最高!でも、さらに楽しいこと一杯だね!」

 

楽しいことは一杯だねとはなが言うと、ゲイツ達もその通りだと言わんばかりに笑顔になって頷く。

 

「節分、バレンタインに雛祭り」

 

「恵方巻き、チョコレート、ひなあられ……とても楽しみです」

 

これから待っているイベントを待ち遠しくして、仕方がないはな達。

 

「私達の未来は楽しい事が一杯!みんなの未来!輝いている!」

 

嬉しそうな表情ではなが叫ぶ。

しばらくして、はなとルールーとことりは野乃家へと戻る。そこには、ツクヨミにウールやダイガン、チャラリート、パップルがいた。

 

「いや〜、私までお邪魔してしまって」

 

「私まで……」

 

更に、トラウムとオーラもここにいた。

 

「お邪魔するなら、帰って下さい」

 

「ルールーちゃん!そんな事言わないで!ジャパニーズおせちは久しぶり〜なんだから〜!」

 

最初ルールーに帰って下さいと言われると、トラウムはショックな顔を浮かべたが、その後は甘えん坊のように彼女を抱きめしめる。

 

「オーラさんは、おせちは食べたことあるんですか?」

 

「……その……ない」

 

オーラは食べたことがないと、恥ずかしそうな表情でことりに応える。

 

「ええ、かずのこは子孫繁栄。昆布巻きはよろこんぶで縁起がいい!」

 

「へぇ〜、色んな意味があるんだ」

 

「へぇ〜…興味深いわね」

 

おせち料理に出されているものには其々意味があると知り、とても興味深く頷く。

 

「どうしよう。お醤油切れちゃったよ」

 

「やだ。夜ご飯お刺身なのよ」

 

「私買ってくるよ。日生君のコンサート引き換えに行くから……」

 

オーラと一緒にトラウムの話を聞いていると、森太郎とすみれの話を耳に入れたはなが一人で出かけようとする。

 

「ウール、あんたも行きなさいよ。ここの居候なんでしょ?」

 

「うっ……わかったよ。僕が……」

 

「私も行くわ」

 

「いいよ。ツクヨミとウールはここにいて」

 

二人も一緒に行くと言うが、はなはお客人であるツクヨミと家の事はいつも手伝ってくれるウールに気を遣わせてあげる。

 

「でしたら、私も行きましょうか?」

 

「いいって。ソウゴにさあやとほまれ、ゲイツとも待ち合わしてるし」

 

待ち合わせもあるから大丈夫と言うと、ルールーに近づく。

 

「トラウムさんとゆっくり過ごして」

 

「ありがとう。はな」

 

はなはそのまま一人で買い物へと出かけると、オーラがウールの側に近寄る。

 

「後でなんか、お礼しなさいよ」

 

「……わかったよ」

 

「オーラさん。ウールのお姉さんみたい」

 

「ちょっと、ことり!こんなうるさい奴が姉さんなんわけ……ッッ!」

 

二人の会話を側から見ながら笑みを浮かべて呟くことりにウールが言いかけると、彼の足をオーラが指で抓る。

 

「あ、ごめん、ついうっかり」

 

ウールは少量の涙を目元に溜めながらオーラを睨みつけると、彼女はからかうかの様に謝って流す。

だが、その時オーラが浮かべた表情は、以前のような不快そうなものではなく、優しい笑顔だった。

 

 

 

外へ出たはなは、さあや達の待ち合わせ場所へ向かっていた。

 

「あっ!ソウゴ!」

 

そこへ、偶然にもソウゴを見かけて声を掛ける。

 

「……あれ?」

 

いつもなら元気よく返してくれる筈だが、どう言うわけか彼は無言のままだった。

 

「ソウゴ!」

 

「えっ?あっ……はな。ごめん……」

 

彼女が彼の目の前に来て、ソウゴはようやくはなに気づいた。

 

「どうしたの?ソウゴらしくないよ?」

 

「……うん。ごめん、このウォッチが気になって…」

 

何か抱え込んでいる様子のソウゴに向けてそう語り掛けると、ソウゴは彼女に手に持っていたブランクウォッチを見せる。

 

「そのウォッチって……はぐたんからの……」

 

「うん」

 

そのウォッチはかつて、トラウムによって未来へ連れて行かれ、その時の去り際にキュアトゥモローから託された物だと思い出す。

 

「まだ、使えないの?」

 

「うん……でも、グランドジオウやジオウミステリーだってあるから、大丈夫だよ!」

 

ソウゴは自身の心の奥底に宿った、僅かな不安を抑え込むかの様に、トゥモローから託されたブランクウォッチを仕舞い込むと、はなと一緒にさあや達の待ち合わせ場所へ一緒に向かう。

 

 

待ち合わせ場所のはぐぐみタワーに到着した二人は、空いているエレベーターに駆け足で乗り込む。

 

「あぁ、すみませ〜ん!」

 

今にも閉じられようとしていたエレベーターの扉を前に一瞬諦めかけるが、既にエレベーターに乗っていた人影がエレベーターの開ボタンを押してくれた事で、無事に二人は乗り込む事ができた。

 

「ハァ、ハァ……ありがとうございま……⁉︎」

 

「やぁ」

 

二人が乗り込んだエレベーターには、なんとクライが乗っていた。

 

「大丈夫。今はプライベートの時間だ」

 

「どうして……」

 

ソウゴが目の前で立っている男を睨みつけるが、クライはそれを無視すると花束を手に持ってはなへと近づいていく。

 

「クラスペディア。花言葉は『永遠の幸福』」

 

「永遠の幸福……」

 

「君への贈り物」

 

クライはその花束をはなへ手渡そうとする。

 

「いらない!」

 

「っ⁉︎」

 

当然、はなはその花束を弾いて受け取るのを拒否する。

 

「時を止めるなんて間違ってる。どうして、みんなを苦しめるの⁉︎」

 

はなは時を止めるのは間違っているとクライに言うと、それには未来の自分が関わっているとソウゴは感じ出した。

 

「君は何か勘違いをしてるんじゃないか?」

 

「えっ?」

 

「僕や未来の彼を、恐怖の魔王か何かだと思っているんだろう」

 

さっきの一言にもしやと思い、ソウゴを振り返ると、彼が少し沈んでいた事に気付く。

 

「違う……ソウゴは……」

 

「未来の時を止めたのは、僕でもオーマジオウではない」

 

「えっ……」

 

(やっぱり……)

 

あの時、ツクヨミにウォッチを渡した後のオーマジオウの会話で、ソウゴはオーマジオウが時を止めていない事を察していた。

 

「時を止めたのは、そこに生きる民衆だ」

 

「民衆って……どういうことなの!」

 

民衆と聞き、流石のソウゴも何故、時を止めたのがその時代にいた人達なのだと問う。

 

「文明の進化。だが、その成長に見合うほど人類は尊い生き物ではない……

人が生み出したトゲパワワが世界に広がり。明日の希望の力・アスパワワは失われていった……

そして、世界の時は止まった」

 

クライはその悲しい瞳を二人に向けて、語り続ける。

 

 

 

こたつで寝転がっているトラウムの下にルールーとツクヨミ、ことりが現れる。

 

「一つ聞きたいことがあります」

 

「うん?」

 

「クライアス社社長。ジョージ・クライ」

 

三人はクライアス社の社長である『ジョージ・クライ』とはどんな人物なのかを、近くにいたトラウムなら何かを知っているのかと尋ねる。

 

「……一言で言うと、何もしない男なんだよ。クライは…」

 

「何もしない?」

 

「どう言うことなんですか?」

 

「彼はただ、我々を見つめている」

 

「見つめている……」

 

トラウムの知る『ジョージ・クライ』は何もしないが、クライアス社の社員達をずっと見つめている男なのだと話す。

 

 

 

エレベーターの中では、クライの未来の話を聞いてソウゴとはなは驚きながらも、口を開く。

 

「でも、ゲイツや未来のプリキュアをあなたは……それにこの前だって、士さんや晴夜君を……」

 

クライアス社は今までずっと、未来のプリキュアとゲイツ、ツクヨミをずっと襲い続け、以前にも協力してくれた門矢士から力を奪い、桐ヶ谷晴夜をも傷つけた。

 

「愚かな人々を救う為にあがく彼女達の苦しみを、取り去ろうしただけだよ」

 

「苦しみ?」

 

「そうだ、苦しみだ。桐ヶ谷晴夜君、明導ゲイツ君、門矢士。彼らは彼女達の為に無意味な事をずっとしていた。

だから、やめさせる為には仕方がなかった」

 

三人の仮面ライダーがしている事は無意味だと言い、やめさせるには自分がした事は仕方がないと語る。

 

「何度救っても人間がたどる未来は……破滅へと続いている。プリキュアと仮面ライダーの戦いは無意味だ」

 

そしてクライは、彼らや彼女達の戦いも無意味だと、今まで繋いできた彼ら彼女らの想いは、全て何の価値もないものだと言い放った。

 

 

 

同時刻、既にゲイツとさあや、ほまれの三人はタワーの中で待っていた。

 

「はな。出ないんだけど」

 

「ソウゴも連絡ないな」

 

「食べ過ぎて寝ちゃったのかな?」

 

「はなの場所ならミライパッドで調べてみろ」

 

ゲイツの言葉で、はながプリハートを持っているならばミライパッドで位置情報が分かる事を思い出し、さあやは直ぐにミライパッドではなの居場所を調べる。

 

「「「…えっ?」」」

 

だがパッドに映っていたはなの現在位置を見て、三人は驚く。

 

 

クライは一通り語り終えると、ソウゴとはなにある問いを聞き出す。

 

「今、君達は幸せなんだね」

 

「……」

 

「僕は皆を救いたい。無論、彼もその思いは同じだよ。破滅に向かう前に」

 

「そんな事は……破滅なんて……」

 

「人類が生まれ生命を持つ事。それは哀しみ、悪いことなんだ」

 

「⁉︎」

 

その時、ソウゴは彼の言う事を聞いて、“言われてみれば、確かにそうだ”と、一瞬でも同意しかけてしまった。

そのせいか、彼にはクライの言葉にどう言い返せばいいのかわからなかった。

 

「違う!」

 

「はな」

 

それに対して、はなは違うと強く叫ぶ。

 

「人の心にはいっぱい希望がある!アスパワワは無限に生まれるの!」

 

「でも、君は人間が悪い心を持ってないと言い切れる?」

 

はなはクライの一言に、転校する前のシャインヒル学園でのあの辛い日々の記憶。

本当ならもう、ずっと思い出したくもない、辛い過去を思い出してしまう。

だけど……

 

「行けない……私はプリキュアだもん!みんなの笑顔を守る!」

 

「はな!」

 

そう彼女が叫ぶとエレベーターの扉が開き、気づいたゲイツ達三人はすぐに駆けつける。

 

「凄い……はなのアスパワワ」

 

ソウゴの目に映った、強い光を放つそれは、彼女の持つプリハートの力で出したはなのアスパワワだった。

それを見ていたクライは、はなとソウゴから離れる。

 

「貴様は、クライ!お前……今日こそ!」

 

ゲイツがクライを見て殴りかかる。しかし彼は、ゲイツのパンチを避けた。

 

「またね」

 

「待て!」

 

ゲイツが追いかけようとするが、クライの姿はなかった。

 

「くそ!逃げられたか……」

 

逃げられたのを見てゲイツが舌打ちをして悔しがる。

 

「はな……ごめん、俺……」

 

するとソウゴが、はなは逞しくクライに反抗していたのに、自身は彼に何も言い返せなかったことを謝る。

 

「ううん。気にしてないよ」

 

(何も言い返せなかった……)

 

(ソウゴが……)

 

普段のソウゴなら間違っている発言なら、絶対にはなと同じで直ぐに自分が正しい思ったことを言うはず。

だからこそ、彼女ばかりにクライの対応を任せてしまった事を謝罪するソウゴを見たさあやとゲイツは、信じられない様な顔で彼を見つめていた。

 

 

 

――時は再び2068年。

そこには、そんなソウゴの姿を見ながら溜息を漏らす存在…未来の時見ソウゴが存在していた。

 

「……調子悪そうだね、彼。仇であるスウォルツを倒したってのに」

 

「………若かりし日の私は今、恐怖しているのだよ。

悪意という名の現実を経験したことで、自身が信じている未来が、全く違うものになる事をな。だからクライなんかの言葉に同意しかけた」

 

「……なんだか似てるね、やっぱりこうして見ると」

 

椅子に座って苛立った様子を見せる未来のソウゴに、青年はある人物に似ていると呟く。

 

「……似ているだと?誰にだ」

 

「野乃はなだよ。彼女もまた、現実という名の悪意に触れ、その心に深い傷を負ってしまった」

 

「……彼女は、不思議な子だ。

最初はなんて弱く、脆く、妄信的な小娘なんだと、そう思っていた」

 

「だけど違った。彼女は人の悪意に触れて尚、人への優しさを信じ。例え心を折られても、そのたびに立ち上がり、強くなった。

―――だからこそ、未来の彼女は神になる資格を得ることが出来た」

 

「……彼女は、本当に愚かだった。人の本質は悪意で構成されていることを、理解できていなかった。

故に彼女は、人であることを捨てる事を選んだ。実の娘を置いて行ってまで…な。

だがしかし、現実は彼女の予想に反する行動を取り続けた。

そして遂には、人類は滅亡への道へと赴き。クライの奴も狂気に取り憑かれることになった―――」

 

「…スウォルツの問題が解決したからもう大丈夫だと思っていたけれど、もう一悶着ありそうだね、この調子だと……」

 

「……もし仮に、若かりし日の私がアイツの誘惑に負ける様な腑抜けになっていた時は。その時は()()、時空を破壊すれば良いだけだ……」

 

そんな一種の“諦めの境地”とも取れる未来の時見ソウゴの呟きに、青年は複雑そうな表情と心情で彼を見つめていた。

 

 

 

 

それからしばらくし、みんなでビューティーハリーへと集まり、はなを休ませる為にソファに座らせていた。

 

「お姉ちゃん大丈夫だった!?」

 

「はな先輩怖かったでしょう」

 

「何か攻撃されたのですか?」

 

「ううん。けど、あんな悲しい目をする人もいるんだって……」

 

はなはクライの目を見て、あんなに悲しい目をする人もいるんだなと言う。

 

(そういえば、晴夜も……)

 

『プレジデント・クライには……とても悲しい思いが伝わったんだ。戦ってみてその深さをより感じたんだ』

 

そういえばと、クライと戦った事がある晴夜が、クライの事をそう感じたと言っていた事をソウゴは思い出した。

 

「げんぎないの〜?」

 

「ううん。元気あるある!」

 

はなが自身を心配するはぐたんを抱っこしてあげる。

 

「はぐたんといる時の暖かさ、友達もいる時の幸せ……私はそう言うものを守りたいの」

 

はなが見つめて言うと、みんなも笑って応える。

 

「それは、私達が大人になっても変わらないものでしょ?」

 

「そうやな……」

 

「うん。変わらないよ」

 

彼女の言う事にハリーとツクヨミが同意すると、ほまれが何かを閃いた。

 

「ねぇ!みんなでお泊りしよ!」

 

「お泊り⁉︎ すごく素敵なのです!」

 

「はぐたんも一緒〜!」

 

「よし!みんな家族に連絡だ!」

 

みんながビューティーハリーでお泊まりをしようと、家族に連絡を取ろうとする。

 

 

 

 

クライアス社では、恐るべき最終計画が発動されようとしていた。

 

「時は満ちた!僕と君!どちらが選ぶ未来に辿り着けるか!審判は今!稟議承認!」

 

クライはその書類にサインをし、トゲパワワによって作られた自分の分身とも言えるトゲパワワで出来た怪物に飛ばす。

 

 

 

 

その翌日。みんなが目を覚まし、はなとソウゴが先にビューティーハリーから出る。

 

「これがお日様が出る前の空なんだ〜」

 

まだ日が昇る前の空を見てはながそう呟くと、階段の下にある雪だるまを見て足を止める。

 

「はな?…クラスペディアの花……もしかして、クライ……」

 

ソウゴが下を見るとはなは雪だるまの腕となっているクラスペディアの花を見て、昨日のクライを思い出した。

 

「永遠の幸福……どうしていつも……」

 

はなはこれまでのクライとの会話で、よく彼は『永遠の幸福』と言っていた事を思い浮かべる。

 

 

 

 

そして、今にもクライアス社の作戦が始まろうとしていた。

 

「共に終わらぬ明日を!」

 

「「「クライアス社に栄光!」」」

 

 

 

 

ソウゴ達ははぐぐみタワーで行われている、ラヴェニール学園の新春コンサートを見にやって来た。

会場には、多くの人が演奏を見にやって来ていた。

 

「素敵なハーモニーですね!」

 

「はい!」

 

「あ、あれ見て!」

 

ツクヨミが言うと、みんな窓の方を振り向く。

海の上から、新たなる歴史が始まるかの如く、世界を照らしながら太陽が現れようとしているのが見えた。

 

「朝日が登る」

 

「眩しいね」

 

「まさに、新春に素晴らしい朝日だね」

 

「あぁ!」

 

「街が色づいている!」

 

「うん!なんか、いつもの何倍も街が綺麗!」

 

街に朝日が照らされ、最高の1日を迎えられると、みんなが等しくそう思った。

その時。上空から黒い雲が現れ、朝日の光を掻き消そうとすると、そこから海岸に向けて巨大なビルが現れた。

 

「何あれ……いや、まさか……」

 

「クライアス社の……」

 

「ビル……」

 

ゲイツとツクヨミにルールー、ウォズの目に映ったそのビルは、忘れたくても忘れられない、因縁のある建物だった。

 

その中に、トゲパワワを身体から放出しているクライがいた。

 

「新たな苦しみはここで終わる……もう何も生まない永遠の幸せの始まりだ……」

 

『ヌウォォォォーーー!』

 

クライの分身から大きな雄叫びがクライアス社のビルの時計にトゲパワワを集まる。そこから放たれた光がはくぐみ市に放たれた。

人々は逃げ惑う人も入れば、何も気づかない人もいる…

 

そして、そのまま時間は止まった。

 

動けるのは、ソウゴ達仮面ライダーとプリキュアのみとなった。

 

「幸せの時を二人で生きよう」

 

時が止まった景色を眺めながら、クライは二人の男女が写っている写真を見てそう呟く。

 

 

一方で、時間が止まったのを見てソウゴ達ははぐぐみタワーから降り、急いで海岸へ向かう。

 

「みんな止まっている!」

 

「時間が……みんなの未来が!」

 

「これじゃ、未来と……」

 

「うん。全く同じ……あの辛い未来と同じ!」

 

海岸へと向かっていたソウゴ達はその間、周りを見渡していたが、矢張りどこもかしこも人の動きがない事を確認したさあやとほまれ。それらの光景を皆と一緒に見ていたゲイツとツクヨミも、自分達が居た2068年の惨劇と同じだと確認した。

 

「お兄様……お母様……お父様」

 

「パパ……ママ……」

 

「叔父さん……」

 

ソウゴ達は家族が居るであろう場所を振り返らず、ビルが現れた海岸へ到着した。

 

「なっ⁉︎」

 

海岸へと到着し、ビルを見たソウゴ達は驚愕した。

 

「何を焦っている?」

 

「クライ⁉︎」

 

そこに、光の円盤に乗るクライが現れたからだ。

 

「もう時は止まった君達がどう足掻こうと未来はこない」

 

警戒するソウゴ達へ向けて、クライは未来はこないと全員に告げる。

 

「まだ……俺達の時は止まっていない!」

 

ソウゴ、ゲイツ、ウォズ、ツクヨミ、ハリーの五人はジクウドライバーを取り出す。

 

「うん!まだ終わっていない!」

 

はな、さあや、ほまれ、えみる、ルールー、ことりがプリハートを取り出し、プリハートから光の粒子が流れる。

 

「アスパワワ〜!」

 

「俺達の瞳は、まだ消えないで!」

 

全員が変身アイテムを持ち構えると、クライは溜息を吐く。

 

「確かに君達を説得する必要があるね」

 

クライが本のページを開くと、そこに描かれている猛オシマイダーが次々と海の中から現れた。

 

「猛オシマイダーが――」

 

「いっぱいなのです!」

 

「行こう!これで最後にする!」

 

「みんな!」

 

ソウゴ達はジクウドライバー、ビヨンドライバーを。はな達はプリハートを取り出し、ソウゴ達はドライバーを装着した。

 

『ジオウ!グランドジオウ!』

『ゲイツ!ゲイツマジェスティ!』

『ギンガ!』

『ハリー!ギアヘリテージ!』

『ツクヨミ!』

 

「「「変身‼︎」」」

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」」」」

 

ソウゴ達はドライバーを操作し、仮面ライダーへと変身し。はな達は揃ってプリハートにミライクリスタルをセットし、いつもの手順を取り姿を変える。

 

『グランドタイム!祝え!仮面ライダー!グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!』

『マジェスティタイム!仮ー面ーラーイダーー!Ah~!ゲイツ!マジェーースーティー!』

『投影!ファイナリータイム! ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー! ウォズギンガファイナリー!ファイナリー!』

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!ヘリテージタイム!導け!心に望む未来へ!ハリーギアヘリテージ!』

『ライダータイム!仮面ライダーツクーヨミ♪ツ・ク・ヨ・ミ! 』

「輝く未来を、抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

全員が変身を完了し、名乗り上げを済ませると、猛オシマイダーへ向かっていく。

 

『カイザ!ギャレン!』

「行くぞ!」

 

ゲイツがカイザブレイガン、醒銃ギャレンラウザーを出現させ、マシェリとアムールと共に応戦する。

 

「はぁぁ!」

 

ギャレンラウザーを走りながら放ち続け、近づいた所にカイザブレイガンで攻撃し、猛オシマイダーを倒していく。

 

「マシェリ!アムール!」

 

「「はい!」」

 

残りはツインラブギターで光線を放ち、三人の周りのオシマイダーを浄化させる。

近くでは、エトワールとアーラが猛オシマイダーを引き付ける。

 

「スタースラッシュ!」

 

「ウィングシャワー!」

 

猛オシマイダーを一箇所へと集めるとそこへウォズが現れ、二人は離れる。

 

「二人共!後は任せたまえ!」

 

ウォズはドライバーからギンガミライドウォッチを外す。そして、ウォッチのダイヤルを回す。

 

『ワクセイ!』

 

ギンガミライドウォッチの顔が変わると再びウォッチをドライバーに装填し、レバーを引く。

 

『ファイナリータイム!水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!ワクワク!ワクセイ!ギンガワクセイ!』

 

ギンガファイナリーのままウォズの複眼が青色へと変わった、ギンガワクセイフォームへと変わった。そのままウォズはレバーを引く。

 

『ファイナリービヨンド ザ タイム!』

 

猛オシマイダー達の頭上から小宇宙のようなものを出現させ、そこからエネルギー球がいくつも生成されていく。

 

『水金地火木土天海エクスプロージョン!』

 

そのまま、エネルギー球が雨を降り注ぎ、猛オシマイダーに直撃させる。

ハリーとツクヨミは…

 

「デァァァァァ!」

 

空中で、ジカンチェーンブレードで攻撃を繰り出し、ツクヨミとはぐたんに猛オシマイダーを近づけさせないように奮闘する。

 

「ハリー!」

 

ツクヨミが手を広げ、ハリーに襲いかかる猛オシマイダーの時を止める。

彼女ははぐたんを抱いている為に激しくは動けないので、ハリーをサポートしていた。

 

「モウ〜オシマイダ〜!」

 

こちらへ向かってくる猛オシマイダーの軍団がツクヨミとはぐたんの前へ現れた。

 

「はぐたん!ツクヨミ!」

 

アンジュが前に出てバリアを展開し、これを防ぐ。

 

「はぐたん!ちょっといい?」

 

ツクヨミがはぐたんを一同地面に座らせる。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ドライバーを回したツクヨミの右足に光が集まり、オシマイダーへ向けて必殺技が放たれようとしていた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

『タイムジャック!』

 

月のエフェクトと共にツクヨミのキックが猛オシマイダーへと向かって放たれ、オシマイダーを一掃すると、そのままはぐたんを再び抱っこする。

 

「……」

 

「トゲパワワがどんなに増えても、アスパワワは消えない!」

 

エールがそう叫んだその時、ハリーから預かって持っていたミライパッドが光り出した事にツクヨミは気付いた。

 

「ミライパッドが……」

 

「私達は負けない!みんなの未来を取り戻す!」

 

「「「「「「メモリアルクロック!マザーハート!」」」」」」

 

ミライパッドがメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」」

 

右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がマザーハートスタイルに変身し、右手首にプリキュアミライブレスが着けられる。

 

「「「「「 HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

「オール・フォー・ワン!」

「ウィー・アー!」

「プリー、キュアー!」

「明日に!」

「エールを!」

 

エール達はマザーを召喚してメモリアルキュアクロックを囲む形で手を翳し、エネルギーを集める。

 

「「「「「「ゴー、ファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」」

 

手を掲げ、マザーの力を解放して放たれる光線“みんなでトゥモロー”を放つ。命中したオシマイダーはハートに包み込まれ、浄化される。

 

「やはり、簡単にはいかないか……」

 

猛オシマイダーだけでは止められないとわかっていたのか、クライは円盤から降りるとジオウの前へと着地する。

 

「クライ……」

 

「まず君には、現実を見せないといけないな」

 

クライがジオウの前へと降りると、ジクウドライバーを装着する。

 

「見せてあげるよ。永遠の世界を作るライダーの力を……」

 

『クライ!』

 

そう言って彼は、ジオウライドウォッチⅡと形が似ている、金と銀の装飾がなされた、黒と紫のウォッチを取り出して起動スイッチを押した。

 

「ジオウⅡのウォッチと同じ……」

 

『マスタ〜クライ!』

 

二つのウォッチへと分解したクライは、そのウォッチを両側のスロットへ装填する。

そしてドライバーのロックを解除すると、地中から巨大な紫の忌々しい見た目の、ギリシャ時計を連想させる時計台が大量のトゲパワワを放出させながら出現した。

 

「変…身」

 

ドライバーから流れる不気味なパイプオルガンをBGMにしながら、クライは掛け声と共にドライバーを回転させると、時計盤から『ライダー』の文字がトゲパワワで形作られて射出。同時に無数の赤黒い帯状のエフェクトがクライを包み、彼の姿を変える。

 

『パーフェクトタイム!仮面ライダー!ライダー!マスタ〜!ク・ラ・イ〜!』

 

強烈な爆風によって帯状エフェクトが弾け飛んだ事でようやく見えたその姿は、まるでオーマジオウの様な姿で、アーマーがオーマジオウの如く黒と金で統一されたものとなっているが、アンダースーツのカラーは灰色がかった白。

右肩のショルダーには紫がかった黒のマントを羽織っており、金の装飾が成された白っぽいローブが腰から膝の少し下辺りまで垂れ下がり、顔にある『ライダー』の形をした複眼は赤黒い紫となっていて。更にオーマジオウの仮面にあったクロノグラフ『パラレルラトラパンテ』の代わりに、王冠のように伸びる5本のブレードアンテナ『カイザーブレードクラウン』が装着されていた。

 

「これは……新しいクライ」

 

オーマジオウの様に神々しく、それでいてオーマジオウよりも禍々しいオーラを放つ姿へと変身したクライを見てジオウが驚いていると、クライは仮面の下で不敵な笑みを浮かべた。

 

「これぞ、永遠を求める仮面ライダー……マスタークライ」

 

「マスタークライ……」

 

『パーフェクトジカンセイバー!』

 

ドライバーからジカンセイバーショットとは違う、サイキョーギレードと似た武器『パーフェクトジカンセイバー』が出現した。

 

ジオウはサイキョーギレードを構えるとお互いに睨み合い、踏み込むのを待つ。

 

「「ッ!!」」

 

遂にお互いに地を踏み込むと、サイキョーギレードとパーフェクトジカンセイバーが激突し、パープルピンクの雷光と赤黒い雷光が衝撃波と共に周囲へと放たれた。

 

「はぁぁ!」

 

「……」

 

互いの武器は何度もぶつかり、火花を散らし合った。

 

「ッ⁉︎」

 

だがしかし、パーフェクトジカンセイバーによる予想以上の威力にジオウが一度離れ、サイキョーギレードを捨てるとブレイドのレリーフに触る。

 

『ブレイド!』

 

ブレイド・キングフォームの武器であるキングラウザーを召喚し、それを手に持ち再びクライへと向かっていく。

 

「……」

 

クライはそれを見て、パーフェクトジカンセイバーに付けられた『ライダー』と刻まれているクライの仮面の部位を一度外し、再び装填した。

 

『ライダースラッシュ!』

 

「⁉︎」

 

クライは自身の持つパーフェクトジカンセイバーの刀身に紫色のトゲパワワを纏わせると、こちらに向かってくるジオウへと放った。

 

「うっ!」

 

ジオウはキングラウザーで耐えるも、あまりにも強大なトゲパワワの前にこの剣では長く耐えられない。そう判断するとキングラウザーを手から離し、間一髪の所でクライの攻撃を躱した。

 

「だったら!」

『ビルド!』

 

クライの横からタンクタンクフォームのビルドが現れると、フルボトルバスターを持ちクライに向けて放った。

 

「……」

 

だがクライはパーフェクトジカンセイバーを盾とし光弾を防ぐ。

 

『ゴースト!エグゼイド!』

 

さらに、ジオウはゴースト・オレ魂とエグゼイド・マイティアクションゲーマーが現れ、クライへ向けて二人同時にライダーキックを放つ。

 

「ふっ……」

 

それを冷静に見たクライがトゲパワワを使い、周囲の岩を浮かせエグゼイドとゴーストのライダーキックを二人にぶつけて失敗に終わらせる。

 

「くっ!」

『ドライブ!カブト!』

 

今度は、ドライブ・タイプフォーミュラ、カブト・ハイパーフォームを召喚し、フォーミュラとハイパークロックアップの超スピードでクライへと向かっていく。

対して、クライはパーフェクトジカンセイバーのフェイスを側面のスイッチ操作で変えると、フェイスの文字が『パーフェクトセイバー』と変わる。

 

『パーフェクトスラッシュ!』

 

ジオウの方だけを見据えたまま、時計の文字盤を模した忌々しい紫色の斬撃を飛ばし、横から突撃して来たドライブを吹き飛ばした。

 

『ライダーキック!』

 

その一方で、クライの斬撃を紙一重で躱したカブトはハイパーゼクターのゼクターホーンを押し倒し、カブトゼクターのスイッチとゼクターホーンを操作して『ハイパーライダーキック』を放った。

あと数センチでキックが当たると思ったその刹那、落ち着いた様子で歩み続けるクライが指を鳴らした。

 

――その瞬間、カブトも、ジオウも、離れた所で猛オシマイダーと戦っていたエール達、ゲイツ達も。マスタークライを除いて、時が止まった世界でも動けていた者達ですら、その時間を止められてしまった。

 

「ふぅ……」

 

今も尚クライはジオウを見据えたまま、カブトにパーフェクトジカンセイバーの斬撃を与えると、再び指を鳴らして時を動かした。

ジオウ達の体に再び時の動きが戻った瞬間、“時を止められた”という事実にすら気付いていないジオウの目にはカブトが突然爆発したように見えていた。

 

「そんな…!ライダー達の力が、全く歯が立たない!?」

 

ジオウは召喚したライダーによる攻撃を放ち続けたが、グランドジオウ以上の力を持つであろうクライの前には彼らの力は通用すらしなかった。

 

「これが無意味、という言葉の意味だよ。時見ソウゴ」

 

『ジカンセイバーショット!』

 

クライはジオウの方へ静かに歩みながらジカンセイバーショットを出現させ、パーフェクトジカンセイバーをサイキョーギレードと同じように合体させる。

 

「だったら!」

 

ジオウもジカンギレードとサイキョーギレードを合体し、サイキョージカンギレードへと合体させる。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

 

ジオウがキングギリギリスラッシュを放とうと構える。

 

『パーフェクトギリギリセイバースラッシュ!』

 

クライも合体したパーフェクトジカンセイバーショットから技を放とうとすると、その剣からは忌々しい白と黒の竜巻を纏いながら、『パーフェクトセイバー』という文字を浮かべた長大なトゲパワワの刃を構える。

 

「オリャャャャ!」

 

二人が同時に放ち、お互いに再びぶつかり合う。

 

「くぅ……うぅぅぅ」

「……」

 

ぶつかり合う、お互いに放ち合った凄まじきエネルギー。

しかし、現状ではクライの方がジオウを押している。

 

「どうして……」

 

ジオウがジリジリと技に押されて下がっていく。

 

「これが、僕と君との違いだよ……」

 

「そんな事……」

 

ジオウは負けじと力を入れ、押し返そうとする。

 

「俺達は、未来を救う!明日を作るために……」

 

「本当に君の望みかい?」

 

「えっ?」

 

それがジオウの―――ソウゴの望みなのかと言われ、ジオウは黙り込む。

 

「君は、王となり世界を良くしたいと言った……

ならば、みんなが永遠なら世界は良くなるのではないかな?」

 

「それは……」

 

もし此処で、ソウゴがクライの言葉をバッサリと切り捨てたのならば、もう少し粘ることが出来たかもしれない。

 

例え味方でも自分に牙をむこうものならば反撃するどころか躊躇なくぶっ放す等の容赦のなさも備え、勝利という結果を得る為ならば無情な手段をとって過程を顧みない。

そんな一面を持つソウゴではあるが、世界を良くしたいと願い、民を愛するが故に、本当の意味で“超えてはいけない壁”を越えることは無かった。

 

しかし彼は、目の前の男の甘い誘惑に揺らいでしまった事で、一瞬でも“超えてはいけない壁”を超えそうになってしまった。

 

そして、ジオウがクライの一言に心が揺れてしまった事で、その隙を突かれてクライの攻撃でジオウの技が完全に搔き消えそうになる。

 

「ならば……共に来ないか?」

 

「えっ?」

 

そのまま、ぶつかり合うお互いの技はクライの攻撃が飲み込んだところで相殺されて、激しい爆風が放たれた。

 

「くぅ!」

 

その爆風により、サイキョージカンギレードを落としてしまった。そして…

 

『パーフェクトフィニッシュタイム!』

 

爆風の中からクライが現れ、ジオウの前へとキックの姿勢を決めたまま迫り来る。

 

『ユートピアタイムエンド!』

「ふぅ!」

 

クライの強力なトゲパワワを纏ったライダーキックが直撃。ジオウは無防備な装甲にその攻撃を受けてしまった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

クライの攻撃を受けてグランドジオウから強制変身解除となり、ソウゴが倒れる。

 

「あ……あぁっ『…!」

 

攻撃を受け気を失ってしまった装甲を、クライはトゲパワワで浮かせこちらへ連れて来る。

 

「時見ソウゴ、共に目指そう。永遠の未来を……

その為の最強の力を、君にあげよう」

 

「ソウゴ君!」

「ソウゴ!」

 

アンジュとアムールがソウゴを連れ戻そうとクライに飛び込む。

 

『ヌウォォォォーー!』

 

だがそこに、クライそっくりのオシマイダーが妨害する。

 

「「キャーーーー!」」

 

「アンジュ!アムール!」

 

ゲイツが背後へと回り、吹き飛ばされた二人を受け取める。

 

「君もだよ」

 

クライはオシマイダーを操作すると、今度はツクヨミとハリーへと襲いかかり、光線を放つ。

 

「はぐたん!」

 

ハリーが庇おうとするが、二人ははぐたんを守るために倒れてしまう。

 

「「ウッ……ッ、ウゥ……」」

 

ツクヨミとハリーが立ち上がれないのを確認したクライは、そのままソウゴと同じようにはぐたんをトゲパワワでこっちへ連れ寄せて行く。

 

「しまった!」

 

「はぐたーん!ソウゴ!」

 

クライは二人を連れて、オシマイダーの中へと逃げていった。エールは二人を追おうとするが、弾き返されてしまう。

 

「エール」

 

倒れたツクヨミが起き上がりエールに駆け寄り、彼女を起き上がらせる。

 

「はぐたんを……ソウゴを……助けなきゃ……」

 

「ソウゴ君……」

 

「お姉ちゃん、みんな!行こう!」

 

エールとアンジュはソウゴとはぐたんが連れ去られた場所へ顔を向け、アーラが今すぐにでも二人を助けに行こうと声を掛ける。

 

「うん!」

 

「待ってろ!ソウゴ!トゥモロー!」

 

みんなが皆んな、二人を助けようと突入を試みる。しかし…

 

「ここは決して通さない」

 

「今日で終わらせてあげるよ」

 

上空からリストルとビシンが現れ、全員を妨害しようと仮面ライダーとなって現れた。

 

 

 

果たしてこの戦いで未来はどちらへ傾くのか――

――そして、ソウゴはどうなったのか。

今ここに、クライアス社との最後の決戦が始まる。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第64話 2019: 明日を掴む、最後の決戦!

 

 




おまけ

最初は、ほんの好奇心からだった。
クライアスの指示で捕獲してやった、私の目の前で幽閉されている少女が、未来を育む女神・マザーの力を宿した少女が何故、勝てもしない勝負に挑み続けたのか、私はそれを聞いてみたかった。

「お前は何故、私と戦う。どんな理由を抱けば、奴らに刃向かうという結論に至るのだ」

「・・・この世界を、少しでも良くしたいから……」

答えは案の定、青臭いものだった。
この世界は、そんな単純な綺麗事が通る程、優しくは無いのに、彼女はその綺麗事を信じ続けている。
矢張り期待外れだった、そんな事を思いながらこの場を離れようとすると、彼女が私に語りかけてきた。

「貴方はどうだったの?」

そんな彼女の言葉に、()は思わず足を止めてしまった。

「・・・私はどうだったのか、だと?どういう事だ小娘」

「だって貴方からはいつも、何かをずっと後悔している感じがするから・・・」

「・・・訳がわからん。何をどう思えばそう感じる。何を根拠に言っている。そもそも私は、何に後悔しているというのだ」

「・・・根拠なんて無いの……ただ、なんかそんな気がしたから・・・」

「・・・」

―――なんか、いける気がする!

「私達が出会って来た人達の中には、自分が選んだ行動に絶望して、その事でずっと後悔している人がいたの。私は貴方と戦って、貴方も彼と同じ気持ちを抱いている様に感じた。貴方が何に後悔しているかまでは分からないけど、もし未来に希望を抱けないなら、私が貴方を助ける!だから―――」

「もういい、黙れ」

「ッ……⁉︎」

お前に何が分かる。大切な人達を失くし、“あの惨劇”を食い止めることもできず、残った民達は先人が必死に創り上げた夢と希望に縋り、異端の者と手を取り合うこともせずに差別し続け、誤解と悪意から生まれた憤怒と身の丈に合わぬ欲望に溺れ、次第に自滅していった。
そんな運命を()()()見てきた私の気持ちが。()()()()()を見て希望を抱いたがために運命に抗い、結局何も変わらず、それどころか悪化の一路を辿り続けた“時見ソウゴ”の気持ちが、本当の絶望も知らない小娘に分かってたまるか。

「仮に私が何かに後悔しているとして、それを貴様はどうにか出来るのか?叶えも出来ない希望を抱かせ、それが実現出来なくなったと知った時、お前はどうやって責任を取るつもりだ。それに助けるだと?お前の仲間を殺した私をか?そんな仲間の仇でもある敵を助けるなどと、ふざけるのも大概にしろ」

私は覇気と殺気を纏わせ、目の前にいる小娘を睨みつけながらそう言うと、背を向けて去ろうとする。だが彼女は、私の覇気と殺気で体を震わせながらも、私の顔をずっと見つめていた。

「・・・じゃあ、せめて教えて。オーマジオウの力って、なんなの?」

唇を震わせ、揺るぎない瞳でそう尋ねる彼女に、私は只々呆れるしかなかった。
それを知ったところで何になる、この偽りだらけの歴史の中で真実を知ったところで、あの小娘にどうにか出来る訳がない。
実際、“別時空の彼女”は、それが原因で死んだ。
人が運命に囚われている限り、この大宇宙の星々が運行するように、法則の如くすでに決定されている限り、人は運命の奴隷であり続ける。
それ故に、何もかもが無意味。無意味ではあるが・・・

「・・・創造は破壊からしか生まれない。 とだけ言っておこう……」

この程度なら、教えてやろう。
だがしかし、オーマジオウの力の本質をほんの少し知ったところで出来ることなど、彼女には何一つ無い。

何故なら、人の痛みが分からなくなった王は、未来に希望など抱くことが無いのだから。
そんな心情を抱きながら、私は私がいるべき場所に戻っていった。

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