Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、普通の中学生 時見ソウゴ。彼は全ライダーの力を集め、仲間達と共に新しい年の余韻に浸っていた。
しかし、クライアス社の最終作戦が実行。はぐぐみ市の時が止まってしまった……
そして、『理想郷の王』マスタークライの力を手にしたプレジデント・クライにより、我が魔王はクライアス社の手に墜ちてしまった……」


第64話 2019: 明日をかける最後の決戦!

クライアス社の手によりはぐぐみ市の時が止まってしまい、それによって仮面ライダーとプリキュアしか動ける者がいなくなってしまった。

 

「うっ……ぅぅぅ」

 

「ソウギョ!ソウギョ!」

 

そんな中、ソウゴは何者かが自分の体を揺すり、名前を呼ぶ声が聞こえ目を開けた。

 

「はぐたん……ここは……」

 

起き上がると、傍に寄って来ていたはぐたんと一緒に辺りを見回す。

二人がいた場所は、辺り一面が花で覆われていた。

 

「目が覚めたようだね」

 

突如声の聞こえた方を振り向くと、二人の前にクライが立っていた。

 

「はぐたん!」

 

それに気付いたソウゴは、咄嗟にはぐたんを守るために前へ出る。

 

「危ないから、君はこっちだよ」

 

しかしクライはソウゴに目もくれず、手を上げてこっちに引き寄せるようなモーションを取る。

 

「はぎゅ!」

 

はぐたんの周りにトゲパワワで出来た檻のようなものが作られ、はぐたんを閉じ込めるとクライ自身の方へと引き寄せた。

 

「やめろ!」

 

ソウゴがクライに飛びかかり、はぐたんを取り戻そうとする。しかし、クライは余裕そうな表情のまま躱した。

 

「はぐたんを返せ!」

 

クライに挑もうともう一度、ジクウドライバーを装着する。

 

「とりあえずは、話を聞いて欲しいな」

 

彼の行動を見ていたクライは呆れて溜め息を吐きながら、トゲパワワをソウゴの周りに出現させた。

 

「なっ……」

 

必死に振り払おうとするが、トゲパワワは振り払っても増え続け、ソウゴを取り込もうとする。

 

「うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

そしてついに、クライの生み出したトゲパワワはソウゴを飲み込んでしまった。

 

「ソウギョ!ソウギョーーー!」

 

はぐたんが泣きながらも必死に飲み込まれたソウゴに声をかけて、戻ってきてと願う。

 

「安心して、何もしないよ」

 

それを横目にクライは、はぐたんを見て何もしないと答える。

 

「彼には、未来を見せてあげるんだよ。そして、彼は僕と一緒に永遠の幸せを作る」

 

 

 

トゲパワワに飲み込まれたソウゴは、暗闇の世界の中にいた。

 

(暗い……何もない……)

 

飲み込まれた暗闇の中を、無気力に浮かんでいる。

何者かが身体を掴んで引きずり落とそうとしているかの様な、思わずそう思ってしまう位に深層へと引き込まれていく感覚があった。

 

「はぁッ⁉︎」

 

だが咄嗟に、暗闇から振り払うかのように水面へ浮上し、意識を取り戻す。

 

「はぁ、はぁ……ここは……」

 

額から流れた汗を拭くと、ソウゴがいた場所はどこかの教室だった。

 

「うちの学校の教室じゃない……」

 

辺りを見渡して教室の形が違うと感じたソウゴは、自分が知っている学園の教室でない事をすぐに理解した。

 

「どこなんだろ……ッ⁉︎」

 

教室の中を歩きながら、ここがどこの学校の教室なのかと考えていたその時、一つの机を目にしたが、彼はその光景に思わず自身の目を疑った。

 

「なんだよ……これ……」

 

その机には口では決して言い出せない、悪意に満ちた誹謗中傷の言葉が、見ているだけで目眩がするくらいに書かれていた。更にそこに、1人の女の子が寂しくポツンと立っていた。

その顔を見たソウゴは、彼女が誰なのかもすぐにわかった。

 

「もしかして、はな……」

 

立っていたのは、今までとは雰囲気が全く違うはなだった。

そしてこの机に書かれていた言葉は、全て彼女へ対しての言葉。

 

「どうして……うっ⁉︎」

 

すると、またしてもソウゴの周りの景色が変わる。

 

「はぁっ!」

 

今度はスケート場へと変わった。

そこでは表彰式が行われており、ソウゴは会場の客席の入り口にいた。

 

「うぅぅぅ……」

 

だが熱狂に入っている会場とは対称的に、後ろからは泣いているような声が聞こえ、ソウゴは後ろを振り向いた。

 

「ほまれ……」

 

そこには、ベンチで一人涙しているほまれの姿があった。

 

「輝木ほまれ。あれはもうダメだな」

「ここ何年も賞が取れないんじゃない」

「ジャンプ失敗続きな上に、演技からも印象が来ない」

「これは、もう引退だな」

 

困惑していたソウゴの耳に届いたものだけでも分かる、客席に居るマスコミ達のほまれに対する侮辱のような発言は、ほまれに精神的な苦痛を与えていた。

 

「ッ⁉︎」

 

またしてもソウゴの周囲を取り巻いていた背景が変わり、今度は何処かのライブ会場のようだ。

 

「ここは……えみるちゃん!」

 

そこには、ライブステージで一人で座っているえみるがいた。

 

「……やっぱり、ルールーがいないとダメなのです……」

 

「えっ?」

 

だが彼女はギターを持っていた手を突然離すと、ルールーがいないとダメだと呟く。

 

「私一人では、みんなの心に……何も与えられないのです……」

 

「そんなこ――」

 

そう呟くえみるを見て、ソウゴは“そんな事ないよ”と言おうとするとその時、またしても周りの背景が変わった。

 

「また……」

 

野乃家のリビングへと移っていた光景には、ことりがノート型パソコンを開いて椅子に座っていた様子が映った。

 

「ことりちゃん……」

 

「なんで……私達ばっかり……」

 

どうしたのかと思ったソウゴは声をかけようとするが、ことりが呟いた一言で声を掛けるべきかを憚れてしまった。

 

「あの時みたいに、みんなで一緒に笑っていられたら………

みんな、永遠に幸せだったかな……」

 

永遠に幸せだったかなと、涙を流しながらことりが写真を見て呟く。

そして、『永遠』と言う単語を聞いたソウゴは、クライが自分に向けて言った言葉が脳裏によぎり、片手で頭を抑える。

 

『皆が永遠の時間、永遠の幸せを過ごす為には明日は必要ない』

『君は、王となり世界を良くしたいと言った……ならば、みんなが永遠なら世界は良くなるのではないかな?』

 

「違う!違う……違う……」

 

自身の脳裏から聞こえるクライの言葉にも翻弄され始め、悲痛な声を漏らしながら、首を横に振り続ける。

 

「ソウゴ君……」

 

「っ‼」

 

顔を上げるとまたしても場所が変わっていた。

 

「クジゴジ堂……」

 

ここは、彼にとって大切な場所であり、帰る場所でもあるクジゴジ堂の中だった。

 

「さあや……」

 

更に、目の前にはさあやが椅子に座っていた。

 

「ねぇ、ソウゴ君は魔王になりたいんだよね……」

 

「それは……」

 

だが何時もと雰囲気の違う彼女に、ソウゴは思わず後ろへたじろく。

 

「じゃあ……なってよ」

 

「ッ⁉︎」

 

そう言われてまたしても意識が戻り、トゲパワワに飲み込まれる前の場所へ戻っていた。

 

「はぁ、はぁ、ハァ………い、今のは……」

 

「それが、彼女達の未来だよ」

 

未だにトゲパワワが泥の様に自身の体へ纏わり付いているのも気にせず、ソウゴはクライの方に視線を向ける。

 

「み、未来……」

 

「どんなに彼女達が戦っても、無意味な意味がわかったかい?」

 

「そ、それは……」

 

彼らがクライアス社と戦って未来を勝ち取ったとしても、その先には辛い未来が待っているのだとクライは語り、その事実に戸惑うソウゴへ「ようやく気付いたか」と問いかける。

 

「そんな……お、俺は……」

 

『助けてよ……ソウゴ……』

 

「ッ!?」

 

その時、ソウゴの目の前にはやつれた表情を浮かべるはなの姿が浮かび、くすんだガラス玉の様な目で見つめていた。

 

『どうして助けてくれないの……?

どうして私の言葉を聞いてくれないの……?

もう嫌だ。もう、生きるの疲れた……』

 

そう言うとはなは椅子を上り、天井から吊るされた縄を手に取り、輪っかに首を掛けようとする――

 

『サヨナラ』

 

「ッ!だ、ダメだよはなッッ!」

 

ソウゴは彼女が何をしようとしているのかを察し、直ぐに止めようとするが、その前に彼女は椅子を蹴り、そのまま首で縄のブランコを漕ぐことになった。

そして次の瞬間、体育座りをしたほまれの姿が映し出された。

しかし今の彼女の姿は、かつての様な華やかな姿ではなく、髪はボサボサに痛み、肌も荒れ果て、目も何処か宙を見ていた。

 

『やっぱり私はダメなんだ……何をやっても、上手くいかない……昔の様に、空も飛べない……

もう、私には()()しか………』

 

そう言う彼女の手には、注射器の様なモノが握られていた。

 

「ほまれ……?なに、それ……」

 

ソウゴは彼女に手を伸ばすが、ほまれは躊躇なく注射針を腕に刺しこむ。すると彼女は狂ったような笑い声を高々と上げる。

 

『アハハハハハはははははははは!!!私飛んでる!飛んでるヨ!これでマタワタシは――』

 

そこで彼女の姿は見えなくなり、今度は大きく成長したえみるの姿が見えた。

だが今の彼女は、何故か白衣を羽織って何かを研究しており、その目は真っ赤に充血していた。

 

『待っててくださいルールー……いま貴女に会いに行きますから…………今すぐ――』

 

すると彼女は突如、膝に置いていたノートパソコンを手に取り、地面に叩きつけた。

既に壊れたパソコンを叩きつけ続け、乱れていた白髪混じりの髪に手を突っ込み、更に乱れさせる。

 

『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッッッ!!!違う、違う違う違う違うッ!!こんなのルールーじゃない!これじゃあ只のルールーのコピーなのです!!なんでなんでなんでなんでなんでなんでゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あッッッ

……助けて……ルールー………』

 

えみるが糸の切れたマリオネットの様に動かなくなると、ソウゴの後ろから、露出の多い服を着ている大人になったことりの姿が現れた。

 

『どうですか、ソウゴさん……? みんな、無意味に未来を見続けたせいで、何もかも壊れてしまいました。私のお姉ちゃんも、首を吊って自殺しました。そのせいで母は塞ぎ込み、父は仕事を辞めて母の介護をしています……

もしソウゴさんがオーマジオウになっていれば、みんなそんな思いをせずにすんだのに……』

 

「そ、そんな………俺は――」

 

『もういいです。貴方の戯言は聞き飽きました。それじゃあ私は、お金を稼ぎに行きます……この子の為にも………』

 

「ッ⁉ ま、待ってよことりちゃん!!」

 

お腹をさすり、虚ろな目をしたことりはソウゴに背を見せて立ち去ろうとネオンの街へ消えていき、ソウゴはそんな彼女を止めようと駆け出す。

すると目の前で一人の男性が倒れこみ、ソウゴは思わずそっちの方に視線をむけてしまう。

 

「…………えっ………ゲイツ?…ツク、ヨミ?」

 

其処に居たのは、血みどろになったゲイツであり、彼が大事そうに抱きかかえているのはツクヨミ――()()()()()と見えた。

 

「ちょっと……なんかの冗談でしょゲイツ……?何でそんなにボロボロなの……?何でツクヨミ……体が無いの……?」

 

生首だけとなったツクヨミを見ながら、ソウゴはゲイツにそう問い質すが、ゲイツはそれに血反吐を吐いて返事をした。

 

「ッ!?大丈夫ゲイツ!す、直ぐに――」

 

『待て、ソウゴ……ゴフッ…!……聞いてくれ……』

 

余りの光景に狼狽するソウゴにゲイツは片手で制止すると、残った力を振り絞って言葉を発する。

 

『ソウゴ……お前は、オーマジオウになれ……!『時の王者』に……!』

 

「…………えっ?」

 

ゲイツの口からオーマジオウになれと言われたソウゴは、目の前で死にかけているゲイツが、オーマジオウになるのを阻止する為に自分の居る時代に来たゲイツと早速同一人物とは思えない台詞に唖然とする。

 

『お前ならなれる……最高最善の…魔王に……』

 

「……違うでしょ、ゲイツ………

そこは、『なるな』って言う所だろ……

俺に、オーマジオウになれって、言わないでくれよ……そうじゃないだろ………!

ゲイツ………やめてくれよ、もう、それ以上言わないでくれ……ッ!」

 

『幸せだったぞ、この時代に来て……ソウゴ……お前の仲間に……友になれて……』

 

その言葉を最後に、ゲイツは最期までソウゴがオーマジオウになったとしても尚、最高最善の魔王になれると信じ、息絶えた。

 

「――違う!こんなの、はな達じゃ無い!!

ゲイツは、俺がオーマジオウになる事を望んでいない!

俺の友達は、こんなこと言わない!

みんなは、こんな事やらない!……しないんだ……ッ!」

 

「だから言っただろ?これが現実なんだ」

 

「……違う……こんなの、絶対、何かの間違いだ……」

 

『ソウゴ君……』

 

「ッ!」

 

クライの言葉に頭を抱えながら否定していると、今度はさあやの声が聞こえ、背後を振り返る。

 

「……………………え、あ」

 

だがそこにいた彼女の姿は全身が血で濡れており、手には血がべっとりと付いた包丁、彼女の下には一人の男性――自分自身が、胸から血を吹き出しながら事切れていた。

 

『……ソウゴ君が悪いんだよ……私達から逃げるから、現実から逃げるから、こうなるんだよ………』

 

「……あ、う……」

 

『待っててねソウゴ君……私も、今そっちに行くから』

 

言葉を失い、足を震わせ、只そこに立っているだけしか出来ないソウゴを更に追い詰めるように、さあやは光を宿していない目でそう言って、手に持った包丁を胸に当てる。

 

『ソウゴ君……』

 

そして最期に自身の名前を呟くと、彼女は胸に包丁を突き刺し、目から一滴の涙を出して、その場を更に血で濡らしながら倒れこむ。

その光景にソウゴは膝から崩れ落ち、静かに涙を流した。

 

「……だが一つだけ、そんな未来を迎えられずに済む方法がある」

 

そんな彼の姿を見ていたクライが先程ソウゴが見た未来の幻影と、今も自身の頭の中で蝕む幻覚を見なくて済む方法があると提案する。

 

「僕と一緒に……みんなに永遠の時間を与えるんだよ」

 

そう言うと彼はソウゴに手を差し伸べ、一緒に永遠の時間を与えようと持ちかける。

 

「………俺は……」

 

その時、ソウゴの体に纏わりついていた泥と一緒に身体から紫の粒子……トゲパワワが溢れ出し、彼の腰に装着しているジクウドライバーからは何やら赤黒い電流のようなものが流れ出そうとする。

 

「さぁ、共に――!」

 

「俺は……俺はあああああぁぁぁぁぁぁーーーーッ!」

 

彼が後4つ程歳があり、精神が成熟していたのならば、クライの提案を折っていたかもしれないが、絶望しか感じられぬ光景を見続けたせいで精神的に衰弱していた。

更に彼は元々、某王道少年漫画の主人公の様にバッサリと拒否出来るほど熱血漢でなければ、某クソなろう小説の主人公の様に毒を吐く位に捻くれを拗らせていなかった。

 

よって、ただ単純にみんなの幸せを願う、未熟な“普通の中学生”であるソウゴは苦悩の叫び声を挙げながら、頭を抑える。

 

ソウゴから流れるトゲパワワと共に、ジクウドライバーから強烈な光が放たれた。

 

 

 

 

クライに連れ去られたソウゴとはぐたんを助けるべく、クライアス社本社へ向かおうとする一同だったが、ビシンとリストルがエール達の前へと現れた。

 

「凄いでしょ!社長も考えたよね!今時を止めて仕舞えば、未来もなくなる!アッハッハッハッハッハ!」

 

クライアス社の勝利とビシンは高々と笑う。しかし…

 

「ソウゴ……はぐたん……みんなの未来を……取り戻さないと!」

 

エールが立ち上がって二人を救うと叫び、その事にアンジュ達も頷き、まだ諦めていない顔で前を向いた。

 

「んな、ボロボロの体じゃ……何も出来ない!」

 

ビシンのギアファングフォームのファングクローがエールに向けて放たれた。

 

「うっ⁉︎」

 

間一髪、エトワールがエールの前に出てビシンの攻撃からエールを守った。

 

「またお前か!」

 

「ビシン!」

『バロン!』

 

バロンのライドウォッチを起動したゲイツはソニックアローを召喚、ビシンへと構えエネルギーの矢を放ち、ビシンを放す。

 

「お前もしつこいんだよ!負け犬!」

 

今度はゲイツを標的とし、ゲイツとビシンの戦闘が開始された。

ゲイツはソニックアローを放ちながらビシンを狙うが、ビシンはファングクローを盾とし接近、ゲイツに攻撃を繰り出す。

 

「くぅ!」

 

ゲイツはビシンの攻撃を避けるが、ギアファングの力だけで無く、今までにない程に本気を出しているビシンの力が傷を多く刻み、ゲイツを苦戦させていた。

 

「ゲイツ!うわぁ!」

 

「お姉ちゃん!」

 

ツクヨミはゲイツに気を取られてしまい、エネルギー弾を不意打ちを受けてしまった。放ったのはリストルだった。

 

「お前達の前向きな心は危険だ!」

 

「「させません!」」

 

リストルがこちらへ攻めてきたマシェリとアムールがツインラブギターで応戦する。

しかしリストルはジカンロッドを回し、ツインラブギターから放たれたエネルギー弾を跳ね返す。

 

『フィニッシュタイム!タイムインパクト!』

「せぁぁぁぁぁ!」

 

ジカンロッドによって放たれたタイムインパクトにより、マシェリとアムールを吹き飛ばした。

 

「はぁぁ!」

 

今度は、アンジュがリストルに挑む。しかし、リストルに繰り出した攻撃はことごとく受け流される。

 

「ヤァァァ!」

 

今度はツクヨミが光の刃でアンジュに加勢すると、リストルはジカンロッドで応戦、両者は鍔迫り合いとなる。

 

「マシェリ!アムール!」

 

倒れた二人をアーラが介抱し、起き上がるのを手伝う。

 

「リストルの戦闘力が上がっています」

 

「今までは、手加減していたという事ですか?」

 

「しかし、あの二人をなんとかしなければ……」

 

ウォズが攻略の糸口を模索していたその時、突如として赤黒い光の柱が発生した。

 

「リストル!」

 

その光を発生させていたのはリストルだった。

 

「俺はもう考えない。全ての苦しみから解放された存在……発注!猛オシマイダー!」

 

彼はジカンロッドを振り回してトゲパワワから生成された魔法陣を作り、その中から猛オシマイダーを呼び出した。

そして、さらに小さいな魔法陣のようなものを大量に作り出し、そこから小型ではあるが大量のオシマイダーを生み出した。

 

「なんて数……」

 

「行け!猛オシマイダー!」

 

『猛!オシマイダー!』

 

リストルの命により大量のオシマイダーは一斉に襲い掛かってきた。

 

「フレ!フレ!ハート・フェザー!」

 

アンジュがハートフェザーを発動させ、そのバリアによりオシマイダー達の進行を食い止めようする。

 

「…⁉︎」

 

しかし、大量の数のオシマイダーの押し寄せにハートフェザーは破壊されてしまった。

 

「俺はもう悩まない。明日の希望など……いらない」

 

最初に生み出したオシマイダーの肩に乗ってそう呟く彼は、この戦いはクライアス社の勝利で終わったのだと確信した。

 

「おしまいじゃないわ!」

 

だがその時、いきなり発生した突風がオシマイダー達を上空へと吹き飛ばし、エール達全員のピンチを救った。

 

「まだまだこれから!フゥ〜!」

 

「パップルさん!」

 

彼女らの前に現れたのは、パップル、チャラリート、ダイガンの三人だった。

 

「助太刀いたすって奴です」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言うのは、私達の方だ。君達プリキュアが、私達に再び夢をくれた。私が出れば五分で終わる!」

 

「……一度失敗した人間に、何が出来る」

 

リストルはたった三人。しかも、会社に利益を残せなかった役立たずの裏切者達に何が出来るのだと思うかのような口ぶりで、オシマイダー達に襲わせる。

 

「二人ともお仕事の時間よ!」

 

パップルが扇子を地面に向けて、地表からエネルギーを放出し、オシマイダー達を吹き飛ばすとチャラリートとダイガンは分かれてオシマイダーに応戦する。

 

「どおりゃゃ!」

 

ダイガンがオシマイダー達を投げ飛ばす。だがそこへ、更に数を増やして攻めてきた。

 

「はぁぁ!」

 

そこへウォズが参戦し、ギンガファイナリーの重力操作でオシマイダーの動きを止めた。

 

「五分で終わらせるのではなかったのかい?」

 

「うるさい!まだ五分経ってないぞ!」

 

「ふん。では五分では終わるよう、私が手を貸そう」

 

ウォズはダイガンのサポートしながら、オシマイダーを倒して行く。

その近くでパップルの元へビシンが現れ、彼女にファングクローを喰らわせようとする。

 

「させるか!」

 

生身ではパップルが危険と察知したゲイツが腕で防ぎ、彼女を救う。

 

「ビシンは、俺に任せろ!お前らはオシマイダーを!」

 

「そうね。流石にライダーにはライダーよね。お願いするわ」

 

「お前……」

 

『アクセル!』

 

エッジブレードを召喚したゲイツはそれを手に持ってビシンに攻撃し、彼を自分から離す。

さらに上空では、エトワールが出現させた星型のエネルギー体にツクヨミと共に乗り込んで、飛んでいるオシマイダーに向かって飛来する。

 

「ツクヨミ!」

 

「はぁ〜…はぁぁ!」

 

エトワールが乗っていた星とツクヨミが乗っていた星。その二つがツクヨミの手に収まると、さらに大きな星となって放たれた。それにより多くのオシマイダーが消滅して行く。

取りこぼしはアンジュが放った光のロープにより拘束され、地上へ落とされる。

 

「「「ふっ!」」」

 

マシェリとアムールのツインラブギターとアーラのリコーダーステッキを使った攻撃により、巨大なハートマークが作られ、海沿いに並んでいるオシマイダーを浄化させた。

 

「ヤァァァ!」

 

エールはチャラリートの背後を襲おうとしたオシマイダーを吹き飛ばし、彼を援護していた。

 

「サンキュー!ちゃんはなのフレフレとソウゴッチが俺に言ってくれた言葉は、オレちゃんの心に残ってる…!」

 

かつてオシマイダーへと変貌させられたその時、二人にかけてもらった言葉を今も胸に刻みながら、エールに向かって先程援護してもらったのも加えてお礼の言葉を叫ぶ。

 

「それにオレちゃんには、25人の登録者がついてるんだからなー!」

 

チャラリートはエールと共にオシマイダーへと突撃していく。

 

「何度も膝をついて立ち上がるわ!大人だって、なんでもなれるんだから!」

 

「…ふっ」

 

そんな彼らの姿を見ていたゲイツは、嘗ては未来を止めようとしていたこいつらもエール達の言葉で前を向く力を手にし、あの時ソウゴが言っていたように人は変われるのだと言う言葉が、嘘偽りのない事実なのだと感じていた。

 

「だっさ!いい年した大人が何か夢見てんだよー!」

 

ビシンが再び挑もうと向かってくるのをゲイツが見て構えると、いきなり二人の間に何かが轟音と共に落ちてきた。

 

「あれれ〜、知らないの〜?大人も夢を見るんだよ」

 

「ドクタートラウム……」

 

仮面の下で眉間に皺を作っているビシンの前に現れたのは、ドクタートラウムが用意した戦闘ロボットであった。

 

「呼ばれてないけどジャジャジャジャーン!みんなのドクタートラウム登場!あと、来ているのは私だけじゃないよ!」

 

更に、トラウムのロボットの背後から二台のタイムマジーンが現れた。

 

「あれって……」

 

「ソウゴとゲイツのタイムマジーン!誰が操縦しているの?」

 

現れた二台のタイムマジーンが戦闘モードへと変わり、オシマイダーへと向かっていく様子を見ていたツクヨミは、いったい誰が操作しているのだと疑問視していると…

 

「はぁ〜い!無事?ツクヨミ!アーラ!」

 

「オーラ!」

 

ゲイツのタイムマジーンから聞こえた声を聞き、タイムマジーンを操縦しているのがオーラである事に気付いた。そして、ソウゴのタイムマジーンを操縦しているのは……

 

「これで!昨日の手伝いはチャラだね!」

 

「ウール!」

 

声を聞いたアーラは、ウールがソウゴのタイムマジーンを操縦していた事に驚いていた。

二人はタイムマジーンで次々とオシマイダーを倒し、みんなを有利な状況へと導こうと挑む。

 

「タイムジャッカーチーム……お前らも……」

 

ビシンが不機嫌そうに呟くと、トラウムの乗るロボットから通信が入った。

 

「やめて下さい。恥ずかしい」

 

案の定、先程の口上にアムールは不満があったようで、やめてほしいと父に向かって通信をした。

 

「あ〜ん!ルールーちゃん!ここは褒めて褒めて〜!」

 

あの口上からしてアムールに褒めて貰いたかったようで、トラウムは彼女に褒めて欲しいとややおふざけ気味に志願してきた。

 

「ドクター……」

 

「……久しぶりだね。ビシン」

 

「ふざけるなァァーーーッ!」

 

ビシンはオシマイダーの方に乗り込むと、オシマイダーでトラウムのロボットに攻撃し、腕を動かして受け止める。

 

「なんで、今更あんたが明日を夢見るんだよ!」

 

「愛に気づいたからだ」

 

そう語るトラウムが乗るロボットのコクピットには、今と比べると若く見える彼自身と金髪の少女――今は亡き娘との写真、その隣にこの間ルールーと撮った写真が貼られていた。

 

「そんなもの幻想だ!」

 

「そうだ。だからこそ、信じなければ愛は見えない!」

 

「愛……」

 

トラウムが愛と叫んだその時、リストルは自分の胸に手を当てた。

 

「一度、闇を知った人間が愛……意味わかんないんだよ!」

 

ビシンが猛オシマイダーがトラウムの乗るロボットを破壊しようとするがしかし、トラウムはオシマイダーを抱きしめ自爆させた。

トラウムは自爆の瞬間に何とか脱出し、危機を察したアムールが彼を助けた。

 

「くっ……!」

 

我に返ったリストルは胸から手を離すと、ジカンロッドからエネルギーの弾をウールとオーラの乗るタイムマジーンに目掛けて放った。

 

「「うわぁぁぁぁ!?」」

 

直撃してタイムマジーンを打ち落とされてしまった二人は、不時着する為に地上へと降りる。

 

「ウール!」

 

「オーラ!」

 

二人が不時着したタイムマジーンに駆け寄る。

 

「みんな!」

 

一度全員が1ヶ所に固まって集まる。

 

「彼らの戦闘力はあなた達を遥かに上回っています」

 

「素晴らしい分析だルールー」

 

「けど、だからこそ立ち向かうのだ」

 

アムールは言外に“此処は危険だから早く逃げてください”と警告するが、トラウム達は今の自分たちがクライアス社はおろか、エール達より力が劣っているのを知りながらも、ここにいるプリキュア、仮面ライダーと共に立ち向かう覚悟を決めていた。

 

「最後になるかもしれないからこれだけは言っておこう。ダイガン……お前には本当に申し訳なかった」

 

これから起こる最悪の展開を想像したトラウムはダイガンに、オーマの日に背後から攻撃した事を謝罪した。

 

「あぁ……あれは流石に堪えたぞ」

 

それに対してダイガンはかなり痛かったと文句を言うが、逆に文句を言うだけで済んでいるあたり、彼はあの時の事を気にしている様子は無かった。

 

「消えろ!」

 

ビシンは自身の手から作られた赤黒いエネルギー玉をエール達に向けて放つが、トラウムは腕に装着された機械を前に出してバリアを作り受け止めようとする。

 

「だが、同じ志を持つあなたを、私は受け入れる」

 

ダイガンも共に前に出てトラウムと受け止めようとする。しかし、一緒なのはダイガンだけではない。

 

「私も今まで沢山、酷いことを時間をめちゃくちゃしてきた」

 

「タイムジャッカーとして、罪はこれから償っていく!」

 

「そうだ。生きてさえいれば!」

 

「何度だって、やり直せる!」

 

「っ⁉︎」

 

それはクライアス社――いや、元クライアス社の社員達だった彼らがエネルギー弾を必死に受け止めようと、今まで自分達が犯して来た罪を償う為、自身の欲の為に時を止めようとしていた自分達を変えてくれたエール達を守ろうと全力で受け止めようとした彼らは、ビシンの放ったエネルギーを相殺させた。

 

「ウール!オーラさん!」

 

アーラが膝をついたトラウム達に駆け寄り、ウールとオーラに駆け寄る。

 

「だ、大丈夫……こんなの、僕達やってきたことに比べたら……」

 

アーラに支えられながらウールが起き上がると、オーラが顔を下に向けながら口を開く。

 

「ウール……最後かもしれないから、一度だけ言うわ……ごめん」

 

あの時、追い詰められていたとはいえ、自身の保身の為に……自分達を捨てたスウォルツに仕返しをする為に、嘗ての力を取り戻そうとウールに手をかけてしまった事を謝る。

 

「もういいよ……」

 

しかしウールはあの時同時に、力を失って改めて知った。

本当の力は、人を支配する為にあるんじゃない。

確かに人が生きる上で力は必要かもしれないが、他者をねじ伏せるだけの力は、本当の力とは言わない。

本当の力というのは、自分が『本当に守りたい物』を守る為に使われる、ちっぽけな“手段”のひとつに過ぎないのだと、その事をエール達から教わった。

 

「強がるな」

 

「結局!弱い奴が群れたって、弱いままなんだ!」

 

リストルとビシンは二人同時にトラウム達に飛びかかり、パンチを繰り出す。

 

〈ドォン!〉

 

「ッ⁉︎」

 

「ハリー!」

 

するとなんと、ハリーが仮面ライダーから自ら変身解除し、生身でビシンとリストルの二人の攻撃を受け止めたのだ。

 

「ハリー……どうして……」

 

「あっ……」

 

「なんや、お前ら……こんな気合の入っていない拳……きかんで!」

 

ハリーが叫ぶと彼の覇気に押された二人は離れ、ハリーは人間の姿からネズミの妖精の姿になる。

 

「⁉︎」

 

「危ないのです!」

 

「ハ、ハリー……」

 

エール達が心配しているのを他所に、ハリーは首に繋がれたチェーンに触り、同時にハリーライドウォッチを見つめる。

 

「約束……守れんですまん」

 

「っ⁉︎ ハリー……お前」

 

『ハリー!』

 

彼はジクウドライバーも装着しないまま、ハリーライドウォッチを起動し、首に繋がれたチェーンを解くと、ハリーの体が変貌を始めた。

 

「ぬうぉぉぉぉぉ!」

 

「ハリーさん……これ」

 

「どうして……」

 

ハリーの姿は今までライドウォッチとチェーンにより封印されていたはずの、トゲパワワにより変貌した暴走した姿へと変身した。

 

「理解不能……何故」

 

「止めないと……」

 

アンジュ達が止めようとするが、エトワールが腕を出してアンジュを止める。

 

「ビシン……リストル……もうやめようや……」

 

ハリーは暴走する力を抑えながら、リストルとビシンにやめようと伝える。

 

「俺の体はもう元に戻らへん。

…けど、俺は自分を受け入れて未来へ行く……

リストル。もう自分を責めるのはやめよう」

 

リストルにもう自分を責めなくていいと、ハリーは懸命に告げる。

 

「やめろ……もう考えたくない……お前の言葉は聞きたくないッ!」

 

リストルはハリーからの言葉を拒絶し、ハリーの下へと飛び込み、彼の腹部に向けてパンチを放つ。

 

「俺は……俺は、もう心など……」

 

苦悩の呟きを吐き出すリストルを見たハリーは、受けた部位に痛みながらもリストルを抱きしめた。

 

「あんたは俺らの兄貴やろ!仲間が、家族が、心無くして苦しんでる時に……ほっとけるか!」

 

「仲間……」

 

仲間……

その言葉からリストルは、次々と脳に過ぎる、ハリー達と一緒に暮らしたハリハリ地区での生活を振り返る。

そして、リストルは自らウォッチを外し変身解除した。

 

「一緒なら、やり直せる。俺達の未来を作ろう!」

 

「うっうっ……うわぁぁぁぁ」

 

変身解除したリストルの目から涙が溢れ、枯れた泉から再び水が湧き出すかの如く涙を流し始める。

それを見てハリーも自らブランクにしたウォッチを取って自身の力を再びウォッチに戻して元の姿へ戻ると、チャラリートにキャッチされる。

 

「先のあんた……カッコ良かったんじゃないの!」

 

「カッコええのはいつものことや……」

 

ゲイツ達がハリーを見てホッとした様子を見せる。しかし…

 

「そんなの全然……納得出来ないんだよーーー!」

 

ビシンが自らジクウドライバーを外し変身解除すると、リストルと同じように赤黒いエネルギーを纏う。そこから、強烈な突風が吹き荒れる。

 

「一体何が……」

 

どうなっているのだとマシェリが呟きかけると、そこからオシマイダーとなったビシンが現れた。

 

「リストルのウソつき……ずっと一緒にいてくれるって言ったじゃないか!」

 

ビシンは裏切ったリストルを手で強く掴み、そう叫びながら暴れ始める。

 

「未来なんか!大嫌いだ!ゴホッ!ゴホッ!」

 

「ビシン!」

 

「やめろ!」

 

だが身体に負担がかかっているのか、咳込み出したビシンを見てハリーとゲイツがやめるように言うが、暴走している彼はそんな一言では止まらない。

 

「ハリー!負け犬!見ろよ!これが僕達が辿り着いた未来だ……未来を夢見るなんて間違ってたんだ!認めろよ!今なら許してやる!」

 

ビシンが暴走しながらも心の内から叫ぶが、ハリーは何も言わずじっとビシンを見つめる。

 

「何だよ……何なんだよ。その目は!

……うわぁぁぁぁ!裏切者!命ごいでもしてみろよ!」

 

何も言い返さずハリーの目に威圧されたビシンは我を忘れてリストルを握りつぶそうとし、自身の手の中で苦痛の表情を浮かべる彼に命乞いをしろと叫ぶ。

 

「…そんな事はしない」

 

しかし、リストルはビシンに命乞いはしないと答える。

 

「なんでだよ!」

 

「俺は、お前達を愛しているからだ!」

 

「嘘だ……嘘だ」

 

「不甲斐ない兄貴ですまなかった……お前の寂しさに、俺は寄り添う事が出来なかった。

ビシン……俺はお前の心を受け止める」

 

「ウウゥ……ウゥ……」

 

その謝罪と言葉を聞いて、今まで彼の中で溜まりに溜まっていた不安・孤独・哀しみ、それらを抑える為に作っていた心のダムが遂に決壊したのか、リストルを離して泣き崩れるビシンに、エトワールが優しく寄り添う。

 

「お前なんか……嫌いなんだよ!」

 

「私は、あんたのこと嫌いじゃないよ」

 

「泣くなビシン……いや、泣いていい……」

 

拒絶の言葉を投げ掛けられながらも、嫌いじゃないと語るエトワールと、今まで彼の寂しさを癒してやれなかった事を後悔しながらも、もう我慢しなくて良いと言って寄り添うリストルにより、ビシンは涙をしばらく流し続けた。

 

「……プリキュア」

 

「うん」

 

そんなビシンの姿を見て静かに、それでいて言葉には現れることのないハリーの願い……『ビシンの心を助けて欲しい』と言う願いを感じたエールは、その願いを優しく受け入れた。

 

「「「「「「メモリアルクロック!マザーハート!」」」」」」

 

ミライパッドがメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」」

 

右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がマザーハートスタイルに変身し、右手首にプリキュアミライブレスが着けられる。

 

「「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

「オール・フォー・ワン!」

「ウィー・アー!」

「プリー、キュアー!」

「明日に!」

「エールを!」

 

マザーを召喚してメモリアルキュアクロックを囲む形で手を翳し、エネルギーを集める。

 

「「「「「ゴー、ファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

手を掲げ、マザーの力を解放して光線を放つ“みんなでトゥモロー”を放つ。命中したオシマイダーとなったビシンはハートに包み込まれ、浄化されると、ビシンの姿へと戻った。

それを静かに見届けたリストルが、海岸のクライアス社の本社を見つめる。

 

「未来が何があるかわからない。距離が離れる時もあるかもしれない……」

 

「だが……俺達の心はいつも一緒や」

 

ハリーの言葉にエール達も頷く。

 

「離れても心は一つ」

 

「はい。私もです」

 

この先、一緒に居られない時だってあるし、いつ何時も助け合えるとも限らない、ひょっとしたら永遠に会う機会がなくなってしまう事もあるかもしれない。それでも、心はいつも一緒だと、きっとそれはソウゴとはぐたんも同じなのだと、皆は頭ではなく心で理解した。

 

「諸君、そろそろ……」

 

クライアス社ビルに向かおうとウォズが言いかけると、またしても大量のオシマイダーが現れた。

 

「また、オシマイダー!」

 

「しつこい!」

 

「っ⁉︎…待って!なんか、オシマイダー達が集まってるよ!」

 

ツクヨミとゲイツはそれを見て構えるが、アーラの言う通りオシマイダー達はそれぞれ集まり、何かに変化しようとしていた。

 

「あれは……」

 

オシマイダーがその姿から怪人の姿へと変貌していくと、ン・ガミオ・ゼダ、バッファローロード タウルス・バリスタ、オルタナティブ、ドラゴンオルフェノク、アークオルフェノク、パラドキサアンデット、フォーティーン、牛鬼(魔化魍)、カッシスワーム、デスイマジン、バッドファンガイア、スーパーアポロガイスト、アルティメットD、テラードーパント、ガラ・怪物態、サジタリアス・ノヴァ、ワイズマン(ファントム)、グレムリン(ファントム)、フリーズロイミュード・超進化態、ZZZメガヘクスと、歴戦のライダー達が倒してきた怪人達へと姿を変えた。

 

「なんや!一体!」

 

「社長だ……おそらく、マスタークライの力だ」

 

リストルはジョージ・クライがマスタークライの力により、オシマイダーをライダー怪人の姿と似せて変貌させたのだと推測すると、変貌したオシマイダー達は一斉にゲイツ達へ襲いかかる。

 

「くぅ!これは……」

 

「姿だけじゃなく、力も同じと言う事か……」

 

直ぐに前へ出て怪人達の攻撃を押さえたゲイツとウォズは、怪人達の力は本物と比較にならないほどに同じだという事実に気付き、警戒を強める。

 

「リストル!ビシン!」

 

『ハリー!ギアヘリテージ!』

『クラレット!』

『ギアファング!』

 

ハリー達三人はウォッチから鳴り出した音声と共に、それをジクウドライバーのスロットに装填し、二人の周囲にはアーマーのようなものが浮かび上がると、それを見てドライバーを回す。

 

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リー!ヘリテージタイム!導け!心に望む未来へ!ハリーギアヘリテージ!』

『ライダータイム!仮面ライダーリストル!クラレットタイム!唯我独尊!絶対の力を!リストル・・・クラレット!」

『ライダータイム!仮面ライダービ・シ・ン!ファングタイム!導け!完全なる力を我が手に!ビシン!ギアファング〜!』

 

ハリー、リストル、ビシンは再びライダーへと変身し、ゲイツ達と共に怪人と融合していないオシマイダーへ応戦する。

 

「ヤァァァ!」

 

「スタースラッシュ!」

 

エール達はオシマイダーと怪人達へ攻撃を繰り出して浄化しながら倒していくが、その数は一向に減る事が無かった。

 

「っ⁉︎」

 

何かを察したゲイツが振り向くと、マシェリとアーラの背後に怪人達が襲いかかろうとしているのを目撃した。

 

「マシェリ!アーラ!」

 

ゲイツが急いで走ってマシェリとアーラの元へ向かうと――

 

「あぁぁ⁉︎」

 

二人の盾となる為、背中で受け止めた。

 

「「ゲイツさん!」」

 

「うっ……」

『ガタック!』

 

ゲイツは直ぐにガタックの武器・ガタックダブルカリバーを召喚するとブーメランとして放ち、怪人を吹き飛ばした。

 

「ゲイツさん!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「あぁ……」

 

心配する二人に大丈夫だと答え、ゲイツが起き上がろうと力を入れる。

その時ゲイツは、自分の体から一瞬であるが、何か激痛のような感覚が走った。

 

「ゲイツ!」

 

バランスを崩したエトワールが寄り添う。

 

「どうかした?」

 

「いや、なんでもない!そんな事よりも早くソウゴとトゥモローを助けに行くぞ!」

 

「ゲイツ……うん!」

 

ゲイツは自身の体に起こった違和感はみんなに黙っておき、大丈夫な素振りを見せる。

 

(なんだ……今のは……)

 

痛みは消えたが、ゲイツの体には違和感が未だに残っていた。

しかし、このまま振り回されながら戦っているのでは、いつまで経ってもクライアス社に連れ去られたソウゴとはぐたんを助けに行けない。

 

「猛オシマイダーは俺達がなんとかする!」

 

「私も残る!みんなは早く!」

 

「ソウゴとはぐたんを助けるんや!」

 

「早くあの人の元へ」

 

ツクヨミとハリー、リストル達がオシマイダーや怪人達をなんとかすると言うが、肝心のクライアス社への移動方法はというと…

 

「でも、クライアス社は海の向こうなのです」

 

「タイムマジーンも巨大ロボも壊れてしまいましたし」

 

「はう!そこまで冷たい目が出来るんだね〜!ル〜ル〜ちゃんかちゃんか〜り〜♪」

 

「親子漫才やってる場合じゃないでしょ!」

 

「どうすれば……」

 

エトワールがトラウムに突っ込みながらも、アンジュ達は向こうまで行く手段がなく頭を悩ませる。

 

「No.Don't.fell!悩んでいる時間はないわよ!」

 

「攻撃なんて、関係ねえ〜!」

 

「お急ぎ下さい!」

 

そこへ、水上バイクに乗ってジェロス、タクミ、ジンジンが現れた。

そのままエール達は後ろに乗り、ゲイツ、ウォズ、アンジュ達はボートを取り付け引っ張って貰う。

 

「あんたが言っていた未来。きちんと見せてよ!」

 

ジェロスにそう言われたエールは首を縦に振る。

 

「うん。ソウゴとはぐたんを……私達の未来を取り戻す!」

 

『うん!』

 

「……」

 

「ゲイツ君……」

 

ウォズはゲイツから感じる違和感に一抹の不安を感じながらも、エール達はクライのいるクライアス社の向かう。

必ず、ソウゴとはぐたんを救出し、未来を取り戻す為に。

――遂に、クライとの決戦が始まる。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

第65話 2019: 二人の友情アーマータイム!

 

 




おまけ

「随分とまあ、寂しい場所だな・・・」

門矢士がタイムジャッカーの居るクライアス社に接触するのは知っていたが、まさかあっちに行く前に此処に来るとは予想外だった。

「ディケイドか・・・私に何の様だ」

「なぁに。ちょいと、この世界の“オーマジオウ”とやらを見ておきたいと思ってな……」

随分と意味深な言い方をするが、今はスルーしておこう。

「・・・・何を企んでいる?」

「大した事はしないさ。ただ、あの世界と同じ行動をしなくちゃいけないのが一番怠いけどな」

・・・成る程、どうやらコイツは“あの時空”と()()()()()同じ展開にして、“仮面ライダージオウの未来”を変えようとしているのか。
いくら“ジオウの世界”の平行世界と言えども、平行世界であるが故に、オリジナルの世界とはかけ離れた物語に干渉するわけだから、最低限“あっちの世界”に似せておきたいという事か。

「それと、過去のジオウと言えども相手はまだ中坊だからな。少しは手加減してやれ」

「フン……」

まあ良い。どうせ門矢士がこの世界に来るのは分かっていたんだ、“あの人”の為にも、来たるべき日が来るまでは警戒はしておいて―――

「あ、そうそう。最後に一つ・・・お前は本当に“時見ソウゴ”なのか?」

・・・最後の最後に、随分と痛い所を突いてくるな“この人”。本当に勘のいい人だ。

「…………私はオーマジオウ、それ以上でもそれ以下でも無い」

その会話を最後に、門矢士はこの場を去っていった。

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