Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「この本によれば、最善最高の魔王を目指す時見ソウゴ。彼は仲間と共にクライアス社との最後の戦いを始めた。
その中で彼は、マザーの力を持つジオウ・アーサーフォームへと覚醒。しかし、プレジデント・クライはそれでも時間を止めようとする。
そして、我が魔王は自らの決着を付けるため……
いえ、ここから先は私も知らない、新たなるページが開かれます」


第68話 2068: 最強のマザー降臨!最後の対決、魔王VS魔王!

マスタークライとの戦いの中、ソウゴはトゥモローから授かったウォッチを使いマザーの力を受け継いだ姿。ジオウ・アーサーフォームへと覚醒した。

そして彼はエールにオーマジオウドライバーを預け、未来へと繋がるゲートを潜り、オーマジオウと再び対面した。

 

「ねぇ、聞かせて。本当に君は未来の俺なの?」

 

ソウゴはずっと、疑問に思っていた。ここにいるオーマジオウは、本当に未来の自分なのかと……

そしてそれを聞いたオーマジオウたる男は、眉を顰めながら睨みつける。

 

「……何故そう思う?」

 

「なんとなくだけど……あんたと俺は同じようで、同じじゃない……そんな気がする」

 

この違和感は、自分が龍騎ウォッチとブレイドウォッチを手に入れて、海東大樹によって祝電として自分達に顔合わせした時から感じていた。

始めて出会ったときは間違いなく自分だと感じていたが、再度会った時は心の奥で違和感が発生していた。

だけど俺は、この時の違和感を気のせいだと切り捨ていた。

 

しかし、グランドジオウの力を始めて手にしてから会った時、オーマジオウの力がどういうものなのかを問いかけていた時、その時の違和感が何度も襲った。

それ故に、少なくとも初めて顔合わせした時以外のオーマジオウは別人なんじゃないかと、そんな気がしていた。

 

『――オーマジオウは、本当に俺なの?』

 

そう思ったからこそ、俺はかつてトラウムに『オーマジオウが本当に自分なのか』と問いかけた。

そして彼の答えは、『分からない』。

つまり、2068年――此処に居るオーマジオウが必ず自分であるとは限らないという事がわかった。

 

――だけどこの人と俺は、たぶん同じようにライダーの力を集めてきたはず。

民を幸せにする為に、最高最善の魔王になる為に。

それは俺は違わない、全く同じだ。

 

――でも、この人と俺は似てるようで違う。

だからこそ、違和感を感じた。

 

「だから、俺とあんたは違う」

 

「……」

 

御簾の奥で顔を隠している男に、自分とは違うと言い放つ。

すると御簾の中にいる男が立ち上がり、腰に装着している黄金のドライバーを見せつける。

 

「……その答えを知りたければ、私を倒してみろ」

 

「……」

 

ソウゴが左足を少し下げて構えると同時に、御簾から背後の地面に巨大で赤黒く燃え盛る時計が大地を裂きながら出現した。

 

「……変身…」

 

『祝福の刻! 最高!最善!最大!最強王! 逢魔時王(オーマジオウ)! 』

 

掛け声と共にドライバーの両端を押しこむと『ライダー』の文字が溶岩で満たされ射出、無数の赤黒い帯状を包み込んで御簾を破壊すると、爆炎から“それ”は現れた。

最高最善の力を持つ、最強にして無敵と呼べる魔王のライダー・オーマジオウが。

 

『ジクウドライバー!』

 

ソウゴはジクウドライバーを装着し、ジオウウォッチとアーサーセイバーウォッチを取り出して回転させ、スイッチを押す。

 

『ジオウ!アーサーセイバー!』

 

ウォッチをそれぞれ左右の差し込み口に入れ、ドライバーのロックを押して後ろから現れた時計の前で構える。

 

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 

ジオウへと変身を完了すると、背後にマザーが現れてジオウを包み込み、彼を包んでいた光が弾けると共に、その中から新たなるジオウの姿が現れた。

 

『トゥモロータイム!祝福せよ!約束された勝利を求めて!仮面ライダ〜〜ジオウ!ア〜サ〜!』

 

アーマーは白銀で黄金の炎のデザインが施され、アンダースーツは銀色、青いマントとローブを装着したその姿は、未来を守るために未来の守護者(キュアトゥモロー)から託された、マザーの力を受け継しその姿……仮面ライダージオウ・アーサーフォーム。

 

「「……」」

 

両者が変身を完了し、互いに睨み合うかのような牽制し合う。

 

「……オーマジオウ」

 

あの姿が、つい先までみんなを傷つけて、その力に振り回されていたオーマジオウなのだったと思い返すジオウ。

その姿が、時を止めて全てを救済しようとする“独り善がりの理想郷の王”との戦いで手にした、未来を守護する騎士王の姿なのだと感じ取ったオーマジオウ。

それぞれ違った思想を繰り広げる中、その均衡を崩さんとばかりにオーマジオウが口を開く。

 

「それが、お前の選んだ姿か?」

 

オーマジオウがアーサーフォームが選んだ姿だと聞くと、ジオウは首を縦に振る。

 

「私には、その姿に変身したことはない……

お前の言う通り、私とお前とは違うのかもしれない……」

 

その姿には変身したことは無いと語るオーマジオウは、最初にソウゴが言ったように二人は違う人間なのかもしれないと言い出す。

 

「確かに、俺とあんたは違う。

…でも、俺もあんたも仮面ライダーだと言うのは同じだよ」

 

「ふん。そうだな。では……来い!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

お互いに走り出し、二人の繰り出したパンチがぶつかり合うと、その衝撃は周り全てを吹き飛ばし、近くに人がいたら間違いなく怪我では済まない程の威力を誇っていた。

ジオウアーサーとオーマジオウ。

魔王 対 魔王による対決が、始まろうとする。

 

――果たして二人の歩み進んできた王道は、一体どちらが正しかったかは、

それは決して誰にもわからない。

 

 

 

 

その頃、現在の時間では……

 

『ヌウォォォォ!』

 

クライはトゲパワワを大量に体に注ぎ込み、外に現れた巨大なオシマイダーと融合したのだった。

 

「何が起こったの……」

 

「まさか、クライが……」

 

オシマイダーの異変に気付いた晴夜達も見上げるが、何が起こり始めているのかわからなかった。

 

「デビル……悪魔だわ。まるで」

 

「違うわ。あの人は一人の男よ」

 

「ならば、まだ……」

 

ジェロスが唖然として呟く横でパップルがクライの訂正をし、クライのオシマイダーをトラウムを筆頭にした全員が見上げているとそこへ光が現れ、はぐたんを抱えたエール達が戻ってきた。

 

「プリキュア!」

 

「みんな!」

 

ハリーとツクヨミはみんなに駆け寄る。

 

「あれ?ソウゴは?」

 

「えっ?あれ?」

 

アンジュ達は急いで脱出した為に気づかなかったが、ツクヨミに言われて初めてソウゴがいないことに気づいた。

 

「まさか……士さん!」

 

「……」

 

ディケイドはオーロラカーテンを作ると、晴夜と共にそのカーテンに潜ろうとする。

 

「おい!何処へ行く!」

 

ゲイツが何処へ行くのかと聞こうとするが、既に二人の姿はなかった。

 

「大丈夫だよ」

 

不安そうな表情を浮かべるゲイツ達に、エールがみんなに大丈夫と告げる。

 

「ソウゴは約束を守るよ。絶対に帰ってくる!」

 

「はぎゅ!」

 

エールとはぐたんがソウゴは必ず帰ってくると説明し、ソウゴは自分のやらないといけないことの為に行ったのだと感じていた。

 

 

そのソウゴが戦っている未来の世界では、ジオウ・アーサーフォームとオーマジオウによる、魔王 対 魔王の、究極にも等しい戦いが繰り広げられている。

 

「ハァァァ!」

 

足を踏み込んで地面を砕きながら、ジオウがオーマジオウに金色のエネルギーを纏ったパンチを繰り出す。

 

「ハァ!」

 

オーマジオウはそれを躱し距離を取ると、濃緑色の竜巻を発生させジオウに向けて放つ。

 

「フゥ!」

 

ジオウも対抗する為に黄金の風を作り出し、オーマジオウの竜巻にぶつける。

辺りは『ポォォォォォォォ!』という轟音を響かせ、二つの風による衝突は均衡しており、二つの風はお互いに長く競うと風はたちまち勢いを無くし相殺された。

 

「……」

 

――その時、オーマジオウはジオウが今までとは違い、強くなったと感じていた。

最初の頃、怒りに身を任せてただ諸突猛進に後先を考えず突っ込むだけだった。

二度目は、まだライダーの力を全て集めていないというのに自分の力に過信し、その慢心を抱いたまま愚かにも戦いを挑んだ。

そして三度目、力不足ながらも仲間と力を合わせる事でようやく自身に膝をつかせることは出来たものの、未だに何処か青臭さが残っていた。

 

(…だが、今は違う。

今は、皆との約束を果たす為、明日を取り戻す。

多くの者たちの願いを背負い戦う。

そしてそれを背負うに値する、大きな器を持っている)

 

『ヘイ!ドライブ!』

 

思考に沈んでいたオーマジオウは、ジオウアーサーがライドヘイセイバーを構えていた事に気づく。

 

『デュアルタイムブレーク!』

 

三種類の黄金のタイヤがオーマジオウに向けて放たれる。

 

『ドライブ!』

 

オーマジオウはドライブウォッチを起動させ、同じようにタイヤのエネルギー体を作り放つとジオウが放ったタイヤを撃ち落とす。

 

「なっ⁉︎」

 

しかし、撃ち落とすのに気が向いていたら、ジオウが既にオーマジオウの懐へ入り込んでいた。

 

『ジオウサイキョウ!』

 

サイキョーギレードのジオウのフェイスの文字が“ジオウサイキョウー”へ変わる。

 

『覇王斬り!』

 

「ぬわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

至近距離で『覇王斬り』を放ちオーマジオウを吹き飛ばす。オーマジオウは膝を折って座っているが、持ち堪えていた。

 

「やっぱり、強いな……」

 

互角に戦っているけど、やはりオーマジオウの力はまだまだこんなものではない。ジオウは本能的にそう感じていた。

 

「なるほど……今までとは違うな。

若い日の私が、今の私とここまで戦えるとはな」

 

あの攻撃を至近距離で受けたものの、軽々とオーマジオウは起き上がる。

だが彼もジオウアーサーの力を認め、素直に賞賛する。

 

「お前の力……あのキュアトゥモローから受け継いだものか?」

 

オーマジオウもジオウアーサーの力はマザーによるものだと直ぐに察知し、その力を持っていたのはキュアトゥモローだったと記憶の中から持ってくる。

 

「そうだよ。この力はトゥモロー……はぐたんが、俺に託してくれた力だ」

 

このウォッチから受け取ったマザーの力は今の尚、自分の体を優しく抱きしめて貰っているような温もりを感じている。

その温もりは、スウォルツによって奪われ、今の今まで忘れていた、母親に抱き着いて貰っていた時の記憶を呼び覚まさせていた。

 

「でも、ここまで来れたのは、俺だけの力じゃない」

 

――はな、さあや、ほまれ、えみるちゃん、ルールー、ことりちゃん。なぎさやほのかにプリキュア達。

ゲイツ、ウォズ、ハリー、ツクヨミ 、門矢士、晴夜。

俺に力をくれた戦兎、永夢、タケル、泊さんや仮面ライダー達。

他にも出会ってきた人達。

みんなのおかげで、今自分は此処に立っている。

 

「みんなと一緒に歩む明日の為に!今ここにいるんだ!」

 

そう叫んだジオウは自分の周囲に黄金の風を纏う。

 

「仲間か……なら」

 

「⁉︎」

 

オーマジオウが消えたと思うと、いつの間にか自分の前と立っていた。不意を突かれて体が固まったジオウを視界に入れながらそのままオーマジオウは腕を振り上げ、手刀をジオウへ放つ。

 

「あっ!」

 

その攻撃がジオウの腹部に決まり、吐き気を催しながらも直ぐにオーマジオウから離れる。

 

「うっ、うっ……」

 

腹部を抑えると、ジオウアーサーの治癒効果を発揮させ、受けた攻撃から回復した。

 

「ならば、その仲間の力を見せてみろ」

 

今の力を見せろと言うオーマジオウに、ジオウはその言葉に応えるためにサイキョーギレードを構える。

 

 

 

現代では、巨大なオシマイダーへと変貌したクライを征伐しようとゲイツ達が動き出そうとしていた。

 

「ツクヨミ!俺にドライバーを!」

 

「わ、わかった……」

 

ツクヨミは自分のジクウドライバーをゲイツへと渡す。

 

『ジクウドライバー!』

 

ゲイツはそのドライバーを腰へと装着し、ゲイツウォッチとゲイツマジェスティウォッチを起動させる。

 

『ゲイツ!ゲイツマジェスティ!』

 

「変身!」

 

ウォッチを装填してロックを解除すると、ドライバーを回す。

 

『マジェスティタイム!仮ー面ーラーイダーー!Ah~!ゲイツ!マジェーースーティー!』

 

「行くぞ!ウォズ!」

 

「あぁ!」

 

ゲイツとウォズは暴走するクライを止める為に向かう。

 

『⁉︎』

 

クライは二人が接近するのに気付くと、トゲパワワのエネルギーからあるものを作り出す。

そこから目玉が大量に生えている孔雀を模した翼を付けたエクストリーマー・飛行形態、剣の様な胴体と龍の様な腕を持つ超ゲムデウス、赤い蛇の様な体と肩に泊まっている謎の生命体が特徴的な姿で黒く巨大な腕を回すエボルト・究極態の三体が現れた。

 

「何⁉︎ うわぁ!」

 

「ゲイツ君!がぁ!」

 

気が遠くなるくらいの量のトゲパワワを使って作られた為か、はたまたオシマイクラッシャーとオーマジオウとの連戦で疲労が溜まった影響か、突如現れた三体の前に流石のゲイツとウォズも、手も足も出ない様子だった。

 

それを見たエールは、ソウゴから託されたオーマジオウドライバーを掴む。

 

「……」

 

このドライバーを使い、みんなの未来の明日を掴めるかもしれない。

でも、もしソウゴが暴走したようなことになれば…

 

「ッ…!」

 

エールがオーマジオウドライバーを持っている手を震えさせていると、アンジュ、エトワール、マシェリ、アムール、アーラが彼女と共にオーマジオウドライバーを掴む。

 

「みんな」

 

「大丈夫!私達がいる!」

 

「みんなと一緒なら行ける!」

 

「私達に不可能はないのです!」

 

「私達はエールと共に、どこまでも輝けます!」

 

「何故なら、私達はプリキュアだから!」

 

「……うん!なんでも出来る!なんでもなれる!フレフレ!フレフレ!私!」

 

エールから先までの震えが消えた。

だが同時に、オーマジオウドライバーは強く光り出し、その光がエール達を包む。

 

 

 

「うぅぅ……ここは?」

 

それは、真っ暗で何もない世界だった。

そこからプリキュア達に語りかける声が聞こえた。

 

「覚悟はあるの?」

 

「えっ?」

 

エールが振り向くと、ソウゴがジオウアーサーへ変身した時のようにそこだけ光があり、人の顔を隠していた。

そこには女性のような声が聞こえていたが、更にもう一人男のような声が聞こえてきた。

 

「オーマジオウの力を手にする事は、力を得る代わりに何かを捨てるという事と同じだ」

 

「貴女達に、それ相当の覚悟はあるの?」

 

二人組の男女から、この世の全ての時空を制する力を秘めたオーマジオウの力を手にする為に、何かを捨てる覚悟は出来ているのかと問われたエール達だったが……

 

「私達は、何も捨てないよ!みんなでなら、何処までもいける気がするから!」

 

エールは迷わず答えてみんなの顔を見回すと、みんなもエールの答えに一寸の時間差も無く頷く。

 

「私達はプリキュア!何でも出来る!何でもなれる!

だから、何も捨てなくても私達の未来は耀ける!

勿論、あなた達も一緒に!」

 

エールは二人に手を差し伸べると、その二人は一瞬の驚いた様な表情を浮かべた様に感じたが、直ぐに湧き出てきた笑いを堪えながら自分達の顔を見据えてきた。

 

「ふふっ……そうか。だったら信じて、輝く未来を」

 

「決して忘れるな、その思いを!」

 

エール達の答えに期待感を感じた二人はエール達に向けて手をかざし、オーマジオウドライバーはさらなる光を輝かせる。

 

「……決して、私達のようにならないで」

 

最後に女性がプリキュア達――特にエールへ向けて忠告事を伝えると、二人の声はそこで途切れた。

 

 

 

「……えっ?あれ?」

 

エール達が気付くと、元の場所へ戻っていた。

 

「先の二人は?」

 

「どこなのですか?」

 

エトワールとマシェリは辺り見回すが、二人の姿はなかった。

 

「あっ⁉︎ ドライバーが……」

 

エールが手元を見ると、先まで持っていたオーマジオウドライバーを無くなっていた。

だが代わりに、その手には黄金のミライクリスタルが握られていた。

 

「新しいクリスタル?」

 

「ですが、ミライクリスタルは全て集めたはず?」

 

「でも、このクリスタル……」

 

アーラとアムールはどうしてミライクリスタルがあるのか疑問に思っている横で、アンジュがエールの手元を見ていると、この黄金のクリスタルは、何処かオーマジオウドライバーの色に似ている事に気付く。

 

そのクリスタルの名は、『ミライクリスタル・オーマハート』。

 

黒と金のカラーリングに時計の歯車を模した彫刻が施されたそれは、自身の力が解放される時を待ちわびているかの如く、黄金の宝石の中心にあるハートが赤く輝いていた。

 

「―――行くよ!」

 

『うん!』

 

エールはミライパッドにミライクリスタル・オーマハートを翳す。

 

「「「「「ミライクリスタル!オーマハート!」」」」」

 

ミライパッドにミライクリスタル・オーマハートを装填すると、そこから放つ黄金の強烈な光がエール達六人を包む。

 

「みんな!」

 

ツクヨミがその光に近づこうとすると、そこに一人の人間の姿が現れ、はぐたんを抱いて現れた。

その姿は、黄金カラーを取り入れたかの様なコスチュームとボンネット状のヘッドトレスとリボンが付いたヴェールは白の混じった金色を纏い。髪型はピンクにそれぞれ水色・黄色・パープル・金髪のメッシュが入っており、右手首にプリキュア・ミライブレスレットを装着しているのは変わらないが、背中にオーマジオウの様な時計の針型のマントが付いてあり、先端あたりにはピンクのハートの刺繍があった。

 

「もしかして……はな?」

 

「ツクヨミ、はぐたんをお願い」

 

「えっ?」

 

ツクヨミにはぐたんを預けるとエールはオシマイダーを見据え、背中のマントを揺らし上空へ高く飛び立つ。

 

「あれが、オーマジオウの力なの?」

 

ツクヨミが立ち去っていくエールを見つめる一方で、既に戦っているゲイツとウォズ、さらに加勢に入ったハリーが一体ずつ相手をしているが、あまりの敵の強さに三人は押されていた。

 

「くぅ!」

 

エボルトに圧倒されるゲイツに、エボルトの攻撃が迫って来ていた。

 

〈ガシッ!〉

 

だがゲイツの前にオーマジオウの力によって現れたエールがエボルトの腕を掴み、ゲイツを守った。

 

「…エールか?」

 

ゲイツがエールかと聞くと、彼女は笑顔で頷きながらメロディソードを出現させる。

 

「ヤァァァ!」

 

エールのメロディソードから放たれた一撃が、回避させる暇を与えぬままエボルトを一瞬にして浄化させた。

 

「エール……お前……」

 

その光景を目にしたゲイツは、この力は正しくオーマジオウの力と同じだとすぐに察知した。

 

「タァァァァ!」

 

ゲイツに微笑みかけたエールは一瞬にして、ウォズとハリーが相手をしていたエクストリーマー・飛行形態と超ゲムデウスの前へ現れた。

 

「エール君!」

 

「あ……」

 

突然現れたエールにウォズとハリーは驚いていると、彼女は二体の怪人にツインラブギターを向ける。

 

「行くよ!」

 

ツインラブギターの弦を弾き、それから奏でられるアスパワワに満ちた音色が二体の怪人を優しく包まれると、怪人達はオシマイダーへと戻って幸せそうに浄化された。

 

「エール……どなんしたんや?その姿……」

 

「まさか……エール君」

 

「キュアエール!オールグランドマザー!」

 

エールは二人に振り向くと、自らを『キュアエール・オールグランドマザー』と名乗る新たなる姿を見せ付ける。

それを見たウォズはいつものスイッチが入り、直ぐ様本を掲げながら声を高々と上げる。

 

「祝え!全プリキュアの想いと大魔王の力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす究極の時の女神!その名もキュアエール・オールグランドマザースタイル!夢と希望に満ちた未来へ辿り着いた瞬間である!」

 

「ウォズさん。ありがとう♪」

 

ウォズによる、いつもの祝いの言葉を述べてくれてありがとうとお礼を言うと、エールはクライに元へ向かう。

 

すると何かが近づいてきたことに気付いたクライは、足元から更に大量のトゲパワワを発生させる。

そこから白い体に蝙蝠と鳥の翼と昆虫の腹という複数の生物が合わさった姿をもつ怪物、蛇の頭部と背骨の様な黄銅色の胴体を持つ怪物、ワインレッドの大きな角を三本持つ黒い四足動物の様な怪物――ギガンデスヘブン、ギガンデスハデス、ギガンデスヘル。

その三種の巨大怪物が複数体現れた。

 

『『『ウォォォォォオオオオ!!』』』

 

その怪物達は目の前で飛んでいる小娘を睨みつけると、獣の如く咆哮をあげて攻撃を仕掛ける。

 

「っ!」

 

それを見たエールは、ギガンデスヘブンの尾から放たれたエネルギー状の針とギガンデスハデスの口から放たれた火炎弾を避けるために低空飛行を行う。

そこへ待ってましたと言わんばかりに、二体のギガンデスヘルがエールの左右に現れて彼女を圧殺、或いはその角で刺し殺そうと突撃してくる。

 

「ハァ!」

 

だがエールは自身の周りにバリアを張って二体の怪物の攻撃を軽々と受け止め、アスパワワの波動を放って一瞬で浄化させる。

だが背後から更なる数のギガンデスヘルが突進してくると、エールは高く飛びあがり、下にいるギガンデスヘルと周りで自身を凝視するギガンデスヘブン・ハデスを視界に入れた。

 

「――フッ!」

 

彼女に向けてギガンデス達からエネルギー針、火炎弾が放たれるが、エールは慌てることなく手を「パンッ!」と叩いて合掌のポーズを取ると、手首の飾り装飾がポンポンに変わった。

 

「フレ!フレ!ハート・フォーユ~!」

 

それと同時に彼女の前に巨大なハートの塊が浮かぶと、エールは両手でポンポンを振ると更にハートは肥大化し、彼女が右腕を天高く伸ばすとそのハートはエールの頭上に移動。

そしてハートの塊が光ったと思った瞬間、そのハートを中心に無数のピンクの光線が放たれ。奴らの放った攻撃はいとも簡単に打ち消され、広範囲にいたギガンデス達を一体の取りこぼしを出さぬまま浄化させた。

 

『明日など要らぬ!未来など!』

 

一方、暴走するクライは巨大な手を広げ、町を飲み込もうとする。

 

「はぁ!」

 

しかし其処へギガンデス達を一体残らず浄化させたエールが現れ、クライの手の動きをアスパワワで防ぐ。

 

『何故守る!自分を身を傷つけまでぇぇぇーーーー!』

 

クライは咆哮の叫びを辺りに撒き散らしながら、エールの放つアスパワワのバリアを破壊しようとする。

 

「ぐぅぅ!」

 

たが、エールは負けじと力を込め続ける。

 

『何故戦う!何故戦う!プリキュァァァァア!』

 

「赤ちゃんはみんなで育てるの!一人じゃ未来は育めない!」

「心にトゲパワワに満ちる時もある!もう頑張れない時もある!けど……」

 

「そんな時は……」

 

「いつだって……」

 

「私達が……」

 

「そばに……」

 

「います!」

 

そこへ、エールと融合したアンジュ達の幻影が現れ、エールの支えとなる。

 

『私達のアスパワワは輝いている!みんなの未来に!』

 

六人の体からアスパワワはより輝き、より周りを強く輝かせ、より大きくなる。

対するオシマイダーはそのアスパワワに攻撃を繰り出し、エール達はそれを防ぎ続ける。

 

「「「フレフレ!フレフレ!プリキュア!」」」

 

「フレフレ〜!ぷいきゅあ〜!」

 

ゲイツ達はエール達を必死に応援する。

 

「どんなに小さな声だって!」

 

「集まればエールになる!」

 

「みんなの思いが合わせれば……」

 

「未来は……」

 

「きっと!」

 

「変わる!」

 

『はぁぁぁぁぁぁーーー!』

 

アンジュ、エトワール、マシェリ、アムール、アーラ、エール。彼女達の放ったアスパワワの光は、オシマイダーを押し返した。

 

「「「フレフレ!フレフレ!プリキュア!」」」

「「「フレフレ!フレフレ!プリキュア!」」」

「「「フレフレ!フレフレ!プリキュア!」」」

 

そして、その姿を見てはぐくみ市にいる人々はアスパワワを輝かせプリキュア達を応援する。人々が流れるアスパワワは集まり、一つの巨大なアスパワワを作り出す。

 

「みんなの応援が――」

 

「集まっている――」

 

「みんなの応援が集まり――」

 

「巨大なアスパワワを生み出す――」

 

「ふれふれ〜!」

 

ハリー、ツクヨミ、ゲイツ、ウォズが空を見上げていると、その集まったアスパワワの中には、オーマグランドマザースタイルから元に戻ったエール達六人がいた。

 

「みんな!ありがとう!ありがとうっ!

みんなの心にはプリキュアがいる!

みんな!みんな!プリキュアなんだ!

フレフレ!フレフレ!みんな!」

 

エールは光のポンポンを作ってそこからアスパワワを発生させると、アスパワワははぐくみ市を包み込んだ。

 

―――その時、不思議な事が起こった。

 

彼女達が放ったアスパワワによって、はぐくみ市にいる人々の姿がプリキュアとなったのだ。

はなの両親も、クラスメイトの純菜と亜希に、キュアアンフィニへと再び変身したアンリ。プリキュアとなったえみるの兄の正人。

さらに砂浜にいるクライアス社のメンバーも、プリキュアへと姿を変える。

 

『フレフレ!フレフレ!みんなーー!フレフレ!フレフレ!私!』

 

ゲイツ、ウォズ、ハリー、ツクヨミ、リストル、ビシン以外のはぐくみ市にいる人々が、みんなプリキュアへと変身した。

 

それは、正しく奇跡。

終わらぬ希望。

尽きぬ夢物語。

彼女達がいる限り、自分達はなんでもできる。

未来へ向けて歩み続ける限り、自分達はなんでもなれる。

この世界に愛と平和がある限り、みんなはずっと未来を抱きしめていられる。

 

そんな人々の想いが、夢を見る事の出来なくなった者、希望を抱けなくなった者、愛を知らない者、友を必要としない者、運命の奴隷で居続けた者。

そんな人達をも含めた、世界中全ての人々が不幸の鎖を解き放ち、新たなる姿へと進化させる。

 

「みんな行くよ!」

 

「「「「「「メモリアルクロック!マザーハート!」」」」」」

 

ミライパッドが緑のハートが加わったメモリアルキュアクロックに変化し、エール達とはぐたんからそれぞれのパーソナルカラーのハートが飛び出す。

 

「「「「「「ミライパッド!オープン!」」」」」」

 

右腕を真上のメモリアルキュアクロックにかざすと同時に、画面のハートの型にはまる。

扉が開くと同時に中から無数のハート型エネルギーが降り注ぎ、エール達がマザーハートスタイルに変身し、右手首にプリキュアミライブレスが着けられる。

 

「「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」」

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィー・アー!」

 

「プリー、キュアー!」

 

「明日に!」

 

「エールを!」

 

マザーを召喚してメモリアルキュアクロックを囲む形で手を翳し、エネルギーを集める。

 

『ゴー、ファイ!みんなでトゥモロー!』

 

はぐくみ市にいる全員が放った“みんなでトゥモロー”は、巨大になったクライのオシマイダーを包み込む。

そして、その光はオシマイダーの体内の中にある、一つのゲートへ送り込まれた。

 

 

 

 

ジオウ・アーサーフォームとオーマジオウは地上から上空へと場所を移し、そこで戦闘を激しく加速させる。

 

「ヤァァァ!」

 

「ハァァァ!」

 

ジオウのサイキョージカンギレードとオーマジオウのエネルギーを纏われた手刀がぶつかり合い、互いに譲らない。

 

「「くぅ……うぅぅ……ハァ!」」

 

鍔迫り合いとなった二人はお互いに振り払い両者は距離を取る。

 

「ッ!!」

 

「⁉︎」

 

突如、ジオウの前でオーマジオウは姿を消した。

 

「どこ?――うわぁ!」

 

いきなり攻撃を受けたジオウは『クロックブレードA』を輝かせて未来予知を行おうとするが、オーマジオウはジオウアーサーの未来予知を超えるスピードで、ジオウに攻撃を決め続ける。

 

「くぅ!」

 

ジオウは無防備にオーマジオウの攻撃を受け続けるも、オーマジオウがカブトの“クロックアップ”の要領で高速移動していると察する。

 

「まだ……まだ!」

 

するとジオウは、自分の周りに風を作り出してオーマジオウの攻撃の盾とした。

そして同時に、その風はオーマジオウの位置を捉えた。

 

「⁉︎」

 

「そこだ!」

『アーサーセイバー!』

 

ジオウはオーマジオウの攻撃を受ける前に、直ぐ様アーサーセイバーウォッチを装填させてサイキョージカンギレードを天へと掲げると、サイキョージカンギレードの剣に黄金の輝きを放たせる。

 

「ハァァァァァァァ!」

『フューチャー!ギリギリスラッシュ!』

 

ジオウの繰り出されたサイキョージカンギレードがオーマジオウに直撃した。

 

「ヌウォォォォ!」

 

オーマジオウは自らの周りにシールドを作りジオウの技を耐え、ジオウの技の効力が終わるとオーマジオウはシールドを解く。

 

「やるではないか、若き日の私よ」

 

「あんたもだよ」

 

そのまま、二人はお互いに一度地上へと降りる。

 

「はぁ、はぁ……」

 

ジオウは息を乱し始め、体力は限界に近づいていた。

 

「はぁ……ここまで出来るまで成長していたのは、正直に驚いた」

 

対するオーマジオウは息こそ少し乱れているが、余力を残して未だに余裕がある様にも見えた。

 

「やっぱり強いね……あんた」

 

「お前もだ。しかし……それでも、お前は私に勝てない」

 

「っ⁉︎……」

 

互角に戦っているように見えてもオーマジオウは、ジオウは勝てないと宣告する。

すると、またしてもオーマジオウは一瞬にして消え、今度はジオウの前へと現れて手刀を放つ。ジオウも即座に対応するためサイキョージカンギレードで応戦。

 

「うっ⁉︎」

 

「何故、おまえは私に勝てないか、わかるか?」

 

押され始めたジオウは、オーマジオウに自身が勝てない理由を告げる。

 

「それは……何かを捨てる事だ」

 

「捨てる……?」

 

「そうだ。王になる力を手にする為には、何かを捨て必要がある」

 

そう、この世界には、ただ何かを得るだけという現象は、この世では一切起きない。

買い物をするにあたって、何かを買うにはお金が必要だし。遠くに行く時には、車に使われるガソリンにしたって歩く時に消費されるカロリーにしたって、どんな手段を使おうが必ずその分のエネルギーを消費する。いい事をすれば、後々その分いい事が起きるし。悪い事をすれば、その分大きなしっぺ返しを食らう。

 

――等価交換、この世界で全ての生物に課せられる質量保存の法則。

何かを得るためには、何かそれ相当の対価を支払う。

それが出来なければ、それを得る容量を増やす為に何かを捨てる必要がある。

 

オーマジオウはそれと同じ様に、ジオウへ向けて何かを捨てる必要があると話す。

それがオーマジオウにあり、ジオウにはない要素である事も。

 

「私は王となる為に、多くのものを捨てた。友を……時間を……」

 

オーマジオウはジオウにそう語ると、その時の事を振り返る―――

 

 

『オーマジオウになれ……時の王者に……』

『みんなのいない世界で、俺一人王様になったって仕方ない……』

 

 

――が、直ぐにジオウへ集中する。

 

「余計な物を捨ててこそ!力は手にする事が出来るんだ!」

 

そのまま、オーマジオウはジオウのサイキョージカンギレードを吹き飛ばし、黄金の光玉を作りジオウへと放った。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

吹き飛ばされたジオウはそのまま地面を転がり倒れる。

 

「くぅ……あぁぁぁ……」

 

何とか耐えたジオウは、再び起き上がろうと試みる。

そして何とか起き上がれたが、体は目に見えて限界を向かえフラフラだった。

 

「お前も何かを捨てない限り、私には絶対に勝てない」

 

オーマジオウは手から先ほどよりも大きな黄金の光玉のエネルギーを作り出し、ジオウへと放つ。

 

「ッ……」

 

そのエネルギーは勢いを増し、ジオウへと向かってくる。

 

「捨てる……」

 

確かにオーマジオウの言う通り、彼も何かを捨てなければならないのと思い始める。

 

(みんな……)

 

その時、彼の頭には、みんなの事が浮かぶ。

はな、さあや、ゲイツ、ほまれ、ツクヨミ、ウォズ、ハリー、えみるちゃん、ルールー、ことりちゃん。

そして、この力を託してくれたはぐたん。

 

「(みんなと一緒に、約束した明日に行く……未来の明日を取り戻し、はぐたんを守る……)

――俺は、捨てない!捨てられない!」

 

みんなとの約束。はぐたんを守る抜くと約束。

ジオウは捨てられない思いを叫び、周囲に再び黄金の風をより強く発生させ、オーマジオウの光玉を相殺した。

 

「何⁉︎」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

オーマジオウの光玉を相殺したジオウに驚くが、ジオウはそのまま突っ込んでいきオーマジオウの顔面を殴った。

 

「くぅ……はぁ!」

 

オーマジオウは反撃の為に同じような光玉のエネルギーを数発放った。

 

「やぁぁぁぁぁぁ!」

 

ジオウの両腕に黄金の風が纏われ、オーマジオウのエネルギーの光玉にパンチを繰り出し全て相殺させる。

 

「何だ、これは⁉︎」

 

先までとはまるで違うジオウの力にオーマジオウは驚かされ、そのままジオウはオーマジオウの前へと到達する。

 

「ヤァ!タァァ!」

 

ジオウは右足のキックで右腕を蹴り、最後に左足でオーマジオウの腹部を蹴り飛ばした。

 

「ぐぅぅ……」

 

流石のオーマジオウも、今の攻撃は体に相当のダメージが響いていた。

 

「はぁ、はぁ……ッ、捨てない…!

みんなとの約束!俺の夢も!人の想いも!友達を!

絶対に、俺は捨てない!」

 

オーマジオウの言う、力を手に入れる為には何かを捨てなければならないという持論に対し、ジオウは捨てないと宣言する。

 

「何かを得る為には、何かを捨てないといけない。

それは、正しい事かもしれない!でも、俺は捨てない!」

 

「…それでは、王になれんぞ」

 

「そんな王様になるくらいなら……俺は……王様にはならない!」

 

「っ!」

 

何かを捨てなければ王になれないと言うオーマジオウの忠告をジオウは振り払い。

それどころか、何かを捨てないと王の慣れないと言うのならば、そもそも王にはならないと叫ぶ。

 

「フッ……そうか」

 

声が溢れるとオーマジオウは起き上がろうとする。その時…

 

「ッ!」

 

ジオウの頭上から出現したアスパワワの巨大な光が、ジオウに直撃。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

その中でジオウはアスパワワに呑み込まれると、姿を変え始めた。

 

「ッ⁉︎ な、何……」

 

そこ現れたのは、フェイスはオレンジがかった金色となって、額にはジオウライドウォッチが設置。背部にはオーマジオウ同様に大時計『アポカリプス・オブ・キングダム』がマントのように付けられ、肩部には時計バンド『メリディアンサッシュ』が一周するように配置、黒のインナースーツに金色のアーマーとなっていた。

それはまさに、オーマジオウそのものを継承した姿。

名付けるならば、『仮面ライダージオウ・オーマフォーム』。

 

「その姿は……」

 

ジオウは何も捨てず、何も失わずにオーマフォーム――オーマジオウの力すらも受け継いだのだと感じたオーマジオウは、内心で彼の姿を見ながら関心する。

 

「オーマジオウ……俺は…俺達は……未来を掴む!」

『キングフィニッシュタイム!』

 

ウォッチのスイッチを押し、ドライバーを回すとジオウは高く飛び上がる。

 

「よかろう!これが最後だ!」

『終焉の刻!』

 

オーマジオウもドライバーの左右を押して必殺技を起動させると、後に続いて高く飛び上がる。

その時、二人の背中の大時計『アポカリプス・オブ・キングダム』が大きく広がり、二人はライダーキックの態勢へ入ると、右足に力が蓄えられた。

 

『キングタイムブレーク!』

『逢魔時王必殺撃!』

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」」

 

ジオウ・オーマフォームとオーマジオウ。

二人の放つライダーキックが、この戦いの決着を付ける最後の一撃。

 

「「ぐぅぅぅぅぅ……ッ」」

 

二人のライダーキックは互角。

その影響は、周りのものを簡単に吹き飛ばす程の威力を生み出し。二人はライダーキックを放ち続けながら互いに譲らない攻防を繰り広げた。

 

「――最後に一つ聞こう!

何故!貴様は明日の来ない、永遠の世界を否定した!」

 

あの時ジオウは、クライと一度は同じ道を歩もうとした。

それを、何故途中から否定したのだと、オーマジオウは問い掛ける。

 

「俺は……みんなと一緒に未来を……歩きたい!」

 

クライに見せられた未来の幻影。あれを見た時、未来なんて来ない方がいいと思った。

でも、未来の運命はまだ決まっていない。

 

「時計の針は戻す事も、止める事も、先に動かす事だって出来る!でも……人の時間は止まらない!」

 

「ッ!」

 

「人は生きていく中で、色々と迷ったり、苦しかったりする時だってある!」

 

そうだ、これまでに会ってきた人達は、みんなそうだ。

ライダーやプリキュアはみんな、悩んだり苦しかったりしても、恐れず前に進んでいた。

 

「それでも、前に進んでいくんだ!

そうすれば!俺達の未来は輝くんだッ!」

 

オーマフォームによるライダーキックが、オーマジオウのキックを跳ね除ける力を上昇させる。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!」

 

「ッ⁉︎ こ、これは……」

 

そして遂に、ジオウのライダーキックがオーマジオウのライダーキックに打ち勝ち、そのままオーマジオウにオーマフォームによるライダーキックが直撃しようとした。

 

「……あっ!」

 

しかし、直撃する直前にジオウ・オーマフォームから元のソウゴの姿に戻ってしまう。

結局ライダーキックは失敗に終わり、互いに地面へと降り立つ。

 

「はぁ、はぁ……あぁ……」

 

力を使いすぎた影響なのかもう限界のソウゴは倒れそうになり、遂に後ろへと倒れる。

その時、誰かがソウゴを支えた。

 

「あっ……門矢……士」

 

ソウゴを支えたのは士だった。その後ろから晴夜も現れた。

 

「……おい。肩を貸してやれ」

 

自分の身長とでは合わないからか、士は晴夜にソウゴを担げという。

 

「はい。ソウゴ、大丈夫か?」

 

晴夜はソウゴを肩を自分の肩へと乗せる。

 

「あり、がとう……」

 

晴夜がソウゴの様子を見るに、かなり限界の様子だった。

それもその筈、あれだけの力をほんのわずかとはいえ、使ったら体への負担は大きかったはず。

 

「クライアス社の社長なら安心しろ。キュアエール達とはくぐみ市全員が止めた。お前の託した力でな」

 

「そうか、よかった……」

 

はななら、オーマジオウの力を使いこなせたんだと確信していた。だから、クライを絶対に止められると信じていた。

 

「………クライは、終わったか……」

 

クライが敗れたのかとオーマジオウは頭上の方に顔を見上げる。

 

「お前もそろそろ、芝居をやめたらどうだ?」

 

突然、士がオーマジオウに芝居をやめたらと突然言い出す。

 

「えっ?芝居?」

 

「ソウゴ、実は……」

 

「こいつをずっと試していたんだろ」

 

「……」

 

「ねぇ、何なの芝居とか?試していたって?」

 

何がどうなっているのかソウゴには話が付いていけず、頭が混乱しそうだった。

 

「全てはお前が……君が良き王になる為だ」

 

「えっ?」

 

すると、オーマジオウの声が先までと違った、いきなり声が若返ったのように感じた。

そのまま、オーマジオウは自ら変身解除する。

 

「嘘……これがオーマジオウの正体……」

 

その姿を見てソウゴは驚愕――いや、想像していた姿と大きく違っていたことに驚く。

 

「やはり、お前だったか常磐ソウゴ」

 

「常磐……ソウゴ?」

 

「そうだよ。時見ソウゴ……いや、もう一人の俺」

 

オーマジオウの正体は、茶髪で半袖シャツを着た、ソウゴよりいくつか年上の青年……

彼の名前は『常磐ソウゴ』。

此処ではない、全く別の世界(仮面ライダージオウの世界)で最高最善の魔王を目指した、もう一人の仮面ライダージオウだった。

 


次回!Re.HUGっとジオウ!

 

最終回 2019: 目指すは最高最善の未来!

 

 




おまけ

よくわからない夢を見た私は、なんやかんやで50回目の時空破壊を決意した。
だが新たなる時空を創造した後、何故か2062年に巻き戻っていた。
確か2018年にまで巻き戻そうと思ってのだが…と考えていると、身体の中から違和感を感じ、同時に喉辺りから熱いものがこみ上げてくるのを感じた。

「ごふぁッ⁉︎」

そして察した、私の身体はボドボドになっていた。というか口から血反吐が出た、辛い。
これまで何度も何度も時空の破壊と創造を繰り返しすぎた結果なのか、それとも何度にも渡る友人や家族、愛する者の喪失によって鬱になった影響なのか、或いは両方か。最早私に時空の破壊創造を繰り返す力は残っていないのだと悟った。出来たとしても、今の私では片手で数えられる程度しか出来無い。

『ソウゴォ〜!トキィ〜ミソ〜ウゴォォ〜〜!!』

口から鉄の味がしているのを感じた私はどうしたものかと悩んでいると、天に浮かぶ雲の隙間から、佐藤●朗似で顔のでかい男が無駄に神々しい光と共に出現した。

「えっ・・・誰だ貴様は・・・」

『あ〜うん、初めまして。わたくし、あの、その、仏という者で、ございまっす』

「・・・パンチパーマのおっさんにしか見えないんだが」

『パンチパーマ!パパパパ、パンチパーマァァァ!えっ、パンチパーマのおっさん?おっさん!?初めてだよおっさんって言われたの!……あっ、初めてじゃなかったわ。何回か言われたわ、他の人に。ああ、そうだ、パンチパーマだ。初めて言われたの。パンチパーマ、パパパパンチ、パパパパパーマ!パンチパーマン!』

「何故そこで藤●・F・不二雄?」

『別にいいだろう掛け声なんて!・・・ああ、そうだ、思い出した。わたし、貴方にお告げを告げに来たんだった』

「自分の使命を忘れるなよ仏(仮)」

『仮じゃね〜〜し〜〜〜!モノホンの仏やぞ!神やぞ!仏やぞ!…あっ、仏って二回言っちゃったってほっとけ!ほっとけ!!仏だけに!』

・・・胡散臭いことこの上なしだな。

『あっ、あっ、あっ、信じてないねその顔。信じてないのね!メレブにも信じて貰ったこと無いのに!』

「誰だよメレブ。ていうか、結局そいつにも信用されてないじゃないか。
というかそもそも要件があるならさっさと言えよ!時間は有限だから!
……いや、私が言うのもなんだけど!」

『あぁ、じゃあ要件を言うね、要件。
・・・え〜とね、あのね、今の君ね、かなり力が弱って来ているの。
どのくらいかと言うとね、君は何度か時空を破壊して創造しているのだけれどね、最初は神ですら破壊創造の対象だったのがね、ある日を境に神が時空破壊創造を認識する様になったのよね。具体的にはそれが20回くらい続いているわけよ』

「・・・」

つまり、30回目あたりで既に私の心も身体も随分参ってしまっていた、と言うことだな。

『……まあぶっちゃけ、神サイドとしてはね、世界のひとつやふたつ無くなってもね、別に痛手は無いのだけれどね、何度も時空破壊創造を繰り返した世界をほっておくとね、他の時空の歪みがね、なんかヤバいことになるわけよ。どっかの世界の蠅が異常発生するとか、またどっかの世界のマグロが絶滅寸前になるとか』

「…ヤバいのかヤバく無いのか解りづらいなそれだと」

『まあ、わたしもよくわからないんだけどね。…あぁ、それでね、これ以上放置したら時空の歪みがもっとヤバくなるし、君の体も限界だろ?だからもう、いっそのことオリジナルの『仮面ライダージオウの世界』からオーマジオウを連れてくればいいじゃない!と言う事になったのよ』

どうしてそうなった。

『ああ、「そんなことしたら余計に時空が歪むんじゃ無いか?」と言う疑問があるみたいだけど〜?その辺はこっちで上手く調整しておくから。それに実際に連れてくるのは、あくまでね、『オリジナルと同じ歴史を辿った、無数にある平行世界のひとつ』だから。
わかりやすく例えるとね、かっぱ巻きの真ん中のキュウリの部分が“原作世界”だとして、その周りを巻いている海苔が、その時空をガードしている結界的な奴なのよ。そして、更に、海苔とキュウリの間にね、詰まっている酢飯が、原作世界の“平行世界”ってわけよ』

分かりずらいのか分かりやすいのかよく分からんなオイ。

『だからね、ハーメルンとかpixivとかでね、『ハイスクールD×D』とか『インフィニットストラトス』とか色んな作品に、色んなオリ主達が転生したり転移したりして好き勝手やってもね、原作に影響がないのはそういう設定があるからなのよね』

「設定とか言うなよ」

『まあ、時空の破壊創造をやってのけちゃう君にとっては、家のお風呂掃除と同じくらいの難易度だから、ね。それじゃあ頼んだよ☆』

「丸投げかよ・・・いや、それ以前に今の私にそれが出来るかどうか・・・」

確かに前までの私なら容易く出来ただろうが、身体や心と共にボロボロになってしまった今の私では、時空の移動がどの程度出来るかどうか・・・

『フッフッフッフ!そう言うと思って、お前に、特別にいい物を授けよう!はいじゃあ、いくぞ〜・・・ててててーーーい!!

「・・・・えっ?なに今の『ててててーい!』ってやつ、そもそも良いものってーーーん?なんかこっちにふってきたぁァァァああああああああっっっっっっぶね!!?なんかこっちに隕石みたいなのが降って来たぞ!?今の私生身だぞ!?今の状況で当たったら無事では済まんぞ仏ェ!?」

『あ〜〜〜〜うん、めんごめんご。それじゃあ取ってみ?そのアイテム」

全く悪びれてないなこの神。しかし取ってみろと言われたのを無視したら今度は何してくるかわからないので、私は渋々目の前のクレーターの中心にある物体を手に取った。
・・・これは、ライドウォッチか?なんだか金と白で構成されているように見えるが……

『全く、感謝しろよな?元々わたし達はね、勇者でも無い、それどころか魔王である君にはね、手を貸すつもりなんて無かったんだからね?それを()()()のお願いでね、今の君に必要な、別世界に渡るのに必要なエネルギーを与えたんだからね?』

「・・・あの子?…おい、あの子って誰だ。教え――」

『大切に使えよな?いくら今君がいる時空の自分には影響は無いとはいえ、あの子が自分の()()()()()()を代償に構成して造られた力だからね?』

「・・・・」

『・・・本当にね、めっちゃ良い子なのよ、あの子。まあ、今現在進行系でも良い子なんだけどね。それじゃあさらばだトキミソウゴよ!はっはっはっはっ!』

・・・結局なんだったんだあいつ。
それはそうと、このウォッチは一体なんなんだ?表面には何にも描かれていないが、何というか、すごく温かい光が手に伝わってくるようで・・・
―――嗚呼、そうか。どこか見覚えのあるオーラだと思ったら、君だったのか……

「・・・死んで時空が作り直されても尚、こんな私を守ろうとしてくれているのか・・・トゥモロー………」



「その後、我が魔王は別世界のオーマジオウを連れてきた後、離れの屋敷で隠居していたが、どういうわけか常盤ソウゴによって御簾ごと拉致られて過去の自分と野乃はな達と対面する事になる。
――しかしその話はまた、別の物語でしたね・・・」

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