その中で彼は、マザーの力を持つジオウ・アーサーフォームへと覚醒し、オーマジオウとの決戦へ。
キュアエールはオーマジオウの力を新たな力へと変え、オールグランドマザースタイルへと進化。
多くの運命を変えたこの戦いも、この本も終わりの時を迎えるようです。
それではこれを見ている読者の皆さん、最後までご閲覧の方をお願いします」
ジオウ・アーサーフォーム、オーマジオウ。二つの魔王の力を持つライダーの激突は、どちらも凄まじき激戦を繰り広げた戦いであった。
その中でジオウは、はくぐみ市のみんなのアスパワワによりオーマフォームへと一瞬の覚醒を果たしたが、決着は引き分けという形で終わった。
「常磐……ソウゴ……?」
そして戦いが終結したその時に判明した、オーマジオウの正体……
それは自分の想像とはかけ離れた姿、常磐ソウゴと名乗る青年だった。
「こいつは、簡単に言えば。お前とは違う世界の仮面ライダージオウ」
「違う世界?それって、前に言っていた。並行世界って所から?」
「まぁ、そういう事だ」
士と晴夜曰く、常磐ソウゴの正体は並行世界からこの世界に訪れた、ソウゴとは違う仮面ライダージオウらしい。
「晴夜。もう大丈夫だから」
ソウゴは晴夜の肩から降りると、常磐ソウゴへと近づく。
「ねぇ……あんたって本当に、俺とは違う仮面ライダージオウなの?」
「うん。俺は君とは違う世界の仮面ライダージオウだよ」
ソウゴの質問に常磐ソウゴは、同じ仮面ライダージオウでも二人は違う存在だと素直に答える。
「じゃあ、なんでこの世界にいるの?それに全て俺の為って?あれは何?」
同じジオウである事を聞いて取り敢えず納得はしたソウゴだったが、先程常磐ソウゴが告げた言葉の意味、あれはどういう事なのかと問いかける。
「言葉通りだよ。君を良き王に導けるようにするために、ね。
それが、未来の君から頼まれたことなんだ」
「えっ?未来の俺?」
未来の自分から頼まれたと聞き驚く。
「そう。未来の君からだ」
常磐ソウゴはその時の事を思い返しながら、彼に未来の時見ソウゴと交わした約束について語り始める……
――時は2068年。
事の発端は、キュアトゥモローやゲイツ達がクライアス社との全面抗争を繰り広げる数ヶ月前の出来事からだった。
「―――ッ⁉︎ ここは……」
その時、一人の青年――常磐ソウゴは、気づくと暗いビルの中に立っていた。
「確か……俺は……」
常磐ソウゴ……彼はオーマジオウへ変身し、世界を救う為に世界を滅ぼうとした。全ての元凶を打破して世界の時間を作り直し、融合した世界を再び元の世界へと戻す為に。
そして、自分も自分がいたい世界へ行き、全てをやり直そうとした。
だがその時、彼はどういうわけか気づいた時には既にこの部屋にいたのだ。
「……来たか」
「?」
常磐ソウゴが振り向くと、そこに椅子に座る初老の男性がいた。
「あんたは?」
「私の名は時見ソウゴ。君とは違う存在の仮面ライダージオウだ」
「ジオウ?」
「常磐ソウゴ、頼みがある。私に力を貸して欲しい」
「……詳しく教えて」
それから未来の時見ソウゴは、常磐ソウゴにこの世界の事情を話した。
この世界に存在する組織・クライアス社は、時間を止めて永遠の世界を作ることを計画しており、それを止めようとこの世界のプリキュアと一人の仮面ライダーの少年が戦っている。
かくいう自分は、社長であるクライに協力するように誘われているわけだが。
「プリキュアに、クライアス社……よくわかんないけど、俺にそのプリキュア達を守れってこと?」
「いや、君には過去の私を導いて欲しい」
「過去のあんたを?」
「あぁ、一番可能性を秘めている頃の私だ……」
未来のソウゴはその頃の自分を思い出しながら、当時の事を赤裸々に語る。
あの頃の自分はいつも前を向いて人の気持ちを知ろうとし、王になる道を決して諦めなかったという事。
同時にその頃の自分は、この世界の全ての理不尽と悪意を受け止めるには、あまりにも幼かったという事も。
「その頃の私がもしジオウになれば、もしかすると……未来を信じる力をずっと持ってると思うのだ。
……しかしそれを導く時、試練を与える存在が必要だ」
「それが俺?」
「ああ。君に私の影武者になってもらいたい」
未来の時見ソウゴの計画。それは、一番可能性を秘めている時代にいる自分を仮面ライダーへなるように導き、見守り。時に試練や覚悟を試すための存在が必要だった。
「でも、見守るのなら、俺じゃなくてもあんたが……」
わざわざ別の世界からこっちへ呼び出す必要はないと思った常盤ソウゴは、どうして態々自分を呼び出したのだと聞き出しながら、時見ソウゴ本人じゃ駄目なのかと暗に聞き出す。
「……私ではダメだ」
「ダメ?」
本人ではダメな理由……
それは、自分では可能性のある若き自分に、“ある姿”へとなれるきっかけを作れないから。
そして……
「ゴホォ!ゴホォ!」
「⁉︎」
未来の時見ソウゴが咳き込むと、口を抑えた手から血反吐が漏れ出したのが見え、彼が喀血しているのに気づいた。
「……ご覧の通り、私の体は既にボロボロだ。これも時空を何度も作り直した影響だ」
彼はオーマジオウの力で、自分が望む未来を作るために何度も時間をやり直した。
しかし、何度も何度もやっても自分が望む未来は訪れなかった。そして、その影響により体は勿論の事、精神は既にボロボロで限界だった。
「私では導けない……だから、一番可能性のある私に全てを託したい!そして、明日という時の流れを良いものにしたい!」
衰弱している体にムチを打って椅子から起き上がり、常磐ソウゴの服を掴んで必死に頼み込む。
「わかった。協力するよ」
常磐ソウゴは彼の手を優しく握ると、時見ソウゴの計画に協力する事を了承した。
「それになんか、俺も見てみたくなった。違う未来を作る可能性を持つ若い時のあんたに」
こうして、常磐ソウゴはこの時代の時見ソウゴの影武者と演じた。その為に彼は自分が未来の時見ソウゴだと思わせる為、ずっと未来の彼になりすましていた。
そうして、今の現状へと至る――
「俺が、可能性……」
「けど君は、俺達の想像を遥かに超えた未来を歩んでいた」
その中でも驚かされたのは、自分も知らない未知の覚悟へと進化した事だった。
独自の進化を遂げたミステリーフォーム、
ミラクルライトによって誕生したハーモニクスフォーム、
そして……この世界の明日を願う力により誕生したアーサーフォーム。
「それに君ならきっと、オーマフォームだって完成できるはずだよ」
「オーマフォーム?」
オーマフォームとは?と思ったソウゴに、士がそのフォームについての説明を常盤ソウゴの代わりに語る。
「オーマジオウの力を受け継いだ姿。さっきお前は一瞬だけだが、そのフォームになっていた」
「えっ?」
あのものすごい力がそのオーマフォームだと聞き、まさかオーマジオウの力に振り回されていた自分がそんな巨大な力を使用していたとは、流石に気づかなかった。
「この時代の君が言ってた通り、本当に君には無限の可能性がある」
常磐ソウゴは別世界の自分の肩に手を置いて言うと、ソウゴはさっきから気になっていた事を口にする。
「……ねぇ、なんで違う世界のあんたが協力してしたの?」
そう問いかけられた常磐ソウゴは、無言のまま腰に巻いているオーマジオウドライバーを外した。
「……見てみたかった……オーマジオウの未来じゃない、新しい未来を歩むジオウの姿を」
オーマジオウドライバーを見て、これになる結末を変えられる未来があるなら、その可能性を持つジオウを見てみたいと思い。この時代の彼に協力した事を語る。
「これからあなたはどうするんですか?」
ソウゴに正体を明かし、彼の力も認めた今、これからどうするのかと晴夜は尋ねた。
「俺は元の世界に戻るよ。そこでもう一度、仲間と目指す。
最高最善の未来を作れる魔王になるために」
「そうか。なら、俺達も戻るか?」
士はオーロラオーロラカーテンを作り出し、ソウゴへ帰る様に促した。
「もう一人の俺」
すると常磐ソウゴは何かを投げ渡し、ソウゴはそれをキャッチする。
「ジクウドライバー……」
それは、常磐ソウゴが持つジクウドライバーだった。
「君に託したいんだ。新しい未来を作れる君ならきっと……」
きっと彼なら誰にも想像が出来ない未来を作れる。そんな気がする。だから彼に自分の全てを託したい。
そう思った常磐ソウゴは期待の念を込めながら、ソウゴ達から離れる。
「もう一人の俺!」
するとソウゴは常磐ソウゴを呼び止める。
「俺!絶対になるよ!みんなを導けられるような、最高最善の未来を作れる王に!あんたも最高最善の未来を作って!」
「うん」
ソウゴは大きく手を振り上げて、士が作り出した灰色のオーロラカーテンを潜り抜ける。
彼が先に入った後、士と晴夜もしばらくしてからカーテンを潜る。
「頑張って、もう一人の俺……」
そう呟き、常磐ソウゴはもう一人の同じ存在かもしれない時見ソウゴを見送った。
「もう俺達が導かなくても、歩んで行けるよね」
振り返るとそこに御簾が再び現れ、そこから杖を携えた一人の男性が現れた。
「あぁ、これで新しい未来を歩ませる事が出来る」
少し衰弱している様子を見せてはいるが、この人が未来の時見ソウゴである。
「やはり、あの時の私とプリキュアが共に歩み成長すれば、行ける気がしていた」
プリキュアと共に成長……それが、未来のソウゴが組み立てた本当の計画でもあった。
王の道は孤独の恐れもある。だから、プリキュアと出会うようにさせたのも、彼が自分とは違う道を歩めるようにしたかったという、そんな願いがあった。
「じゃあ、俺はこれで……」
すると、常磐ソウゴの体が粒子のように光り出した。
「もう一人の俺が可能性のある道を歩んだ。
だから俺も、仲間と一緒に可能性のある未来を歩むように頑張るよ。だから……」
―――あんたもまだ未来の可能性を信じて、前に進んで。
そう言い残し手を振ると、常磐ソウゴは自分のいるべき世界へと戻って行った。
「……」
常磐ソウゴを見送った未来の時見ソウゴは、ビルドからクウガまで居る18人の仮面ライダーの像に囲まれていた、自分の変身するポーズの像を見つめる。
「若き日の私よ。お前が手にした明日の中で決して良い未来とは限らないが、これからも自分の意思と友を……愛すべき者を守り通せ……」
過去の自分へのメッセージの意味を込めて語りながら、彼は過去の自分へエールを送った。
その頃現代では。クライのオシマイダーは消滅し、クライアス社もただのビルへ戻った。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
そんな中。エールは一人、クライアス社の中に入ってビルの中を走っていた。
「あっ!」
そこへ、エールは一人の男性を見つけて近づく。
「……ぼくの負けだ。君達の勝ちだ」
そこにいたのはオシマイダーから元に戻ったクライだった。
クライは綻び始めたマスタークライウォッチを持ち、エールに自分の負けと告げる。
「夢を見ていたのは、僕の方だったのかもしれないな」
自分がやろうとしていたのは、夢を見ていたのと同じだったのかもしれないと呟くと、エールはそんなクライの隣に背中越しに座り込む。
「一緒に行こう」
「どこへ?」
「未来へ」
「無理だよ。僕は未来を信じていない」
「ウソ」
クライが立ち上がりどこかへ行こうとすると、エールは彼の手を握る。そして彼女は、クライを優しく抱きしめた。
「本当に未来を信じていないなら。どうしていつも私に『またね』って言うの?」
もしかしたら、エールはとっくに気づいていたのかもしれない。
クライには、本当は未来を信じようとする心があったのかもしれない事を。
「ハハ……ハハハハ……」
クライは涙を流す顔を隠しながら笑う。
するとクライはエールから離れ、それと同時にマスタークライウォッチも、まるで穢れた魂が浄化し、天国へ飛び立っていくかのように消滅したのだった。
「……またね。僕も、もう一度」
花びらが巻き散る中、クライは光の中へと消えていった。
エールはただ一人、そんなクライの姿を静かに見送った。
彼の居た所には、たった一つのジクウドライバーだけが残されていた。
そのままクライアス社のビルは崩壊し、そこからジクウドライバーを手に持ったエールが現れた。
「みんな!」
「「「「「エール!」」」」」
エールが地面に降り立つとアンジュ達が彼女の下へと訪れるが、さらに目の前に灰色のカーテンが出現すると、そこから士と晴夜の二人が先に出てきた。
「みんな!」
「「「「「ソウゴ(さん・時見先輩)!」」」」」
最後にソウゴが現れると、みんなは駆け足でソウゴとエールに駆け寄る。
「ソウゴ!エール!」
アンジュがソウゴを抱きしめ、エールを見る。
「さあや。苦しいよ」
ソウゴはそう言うが、しばらくアンジュはソウゴに抱きついたままだった。
「この野郎〜!心配させやがって〜!」
次にゲイツがソウゴの頭を掴み、嬉し涙を流した。そして、次にエールを抱いてはぐたんに顔を向ける。
「お帰り!ソウゴ!」
「おきゃ〜り!ソウギョ〜!」
「ただいま!」
別れる前に行ったハイタッチを再び三人でやると、ソウゴは笑顔でみんなを見て答える。
「そして……みんな。ありがとう!」
ここには帰る場所がある。そう思わせてくれるみんながいる。このかけがえのない時間を共に過ごせる、仲間がいる。
それが、ソウゴにとって何よりも好きな場所。
そして、彼らは温かい光が周りを照らし出した事に気付き、海岸に顔を向ける。
それはまるで、新しい未来が確立した事を知ろしめし、今この瞬間を祝福しているかのように光り輝く、美しい朝日だった。
「新しい明日……」
「俺達にとって新しい一日のスタートだ」
朝日がはぐくみ市に登るこの瞬間を、ソウゴ達は最後まで眺め続けた。
――そうしてみんなは、今日と言う一日を過ごす。
えみるとルールーは、パップル達が急遽用意してくれた『ツインラブ』の特別ライブを始めていた。
「「ダイスキがあふれる〜♪ミライを描こう〜♪大切な夢と一緒に〜♫」」
えみるとルールーの歌声が、聞いているみんなに元気を与えている。
「「愛おしい想いを音に乗せ刻む〜♪かき鳴らせいつだって〜♪シンギング〜トゥギャーザー!」」
そのまま二人の緊急ライブは盛り上がりを見せ、みんなを喜ばせていると、ルールーがえみるに語りかけてきた。
「えみる!」
「何ですか?」
「私達は、どんなに離れても『ツインラブ』です!」
「ルールー……はいなのです!」
二人の別れ時は近いかもしれない。
けれど、二人の心はどんなに離れていてもずっと一緒。
だって彼女達はどこだってツインラブ、愛に溢れたコンビだから。
「「慈しむココロは〜♪透明な温度で誰にでも優しく宿る〜♪途切れてしまっても〜♪また始めればいい〜♪奏でよう〜♪何度でも〜♪愛〜アイラビュ〜♪」」
二人の歌はそのまま奏で続けられ、アスパワワが溢れ出し続けるライブを続けた。
別の場所では、ハリーがビューティーハリーで一人。レジの前で座りながら周りを見回す。
「色々あったな……」
クライアス社も無くなり、マザーの力もソウゴが受け継いで守られた。後はゲイツ達と一緒に未来へと戻るだけ。しかし……
「……」
心の中で、まだここにいたいのかと思う気持ちがあった。けど、自身には約束がある。
未来でトゥモローを、はぐたんを守ると言う約束が。
「どっちなんやろな?俺の気持ちは……」
ハリーは目を瞑り、自分の気持ちを考え込む。
「ハリー」
「えっ?」
目を開くとそこは、意識の世界……なのかどうかはわからないが、そこに立っていたのははぐたん……いや、キュアトゥモローだった。
「トゥモロー、聞いてくれ。俺は……」
この世界でライダー力を手に入れた。だから、未来に帰ってもお前をいつでも守れることが出来る。そして、トゥモローを―――
彼がそう言い掛けると……
「ハリー。それは本気なの?」
「えっ?」
言わなくてもハリーの気持ちは伝わっていたのか、トゥモローは彼の言葉を遮り、彼自身の本音を聞き出そうとする。
「あなたが私を想うのは、私があなたを助けたから。
その恩返しの為に、今まで私を守ってくれた」
ハリーは自身の身を顧みず、ずっとトゥモローを守り続けていた。
だがそれは、彼女が自分を助けてくれた恩返しである。
だからこそ、今度は自分の気持ちに正直になって欲しいと話す。
「ハリー。今度はハリーの望む未来に進んで」
ハリーの本当の想いに気づいていたのか、彼女は優しく微笑んだ。
「トゥモロー!」
気がつくとトゥモローはおらず、元のビューティーハリーへと戻っていた。
(俺の本当の気持ち……)
「ハリー」
そこへビューティーハリーに訪れたほまれが、ハリーに話し掛けた。
「ほまれ」
「あのさ、ハリー……ここ、残してくれない?」
「えっ?」
「ここハリーが帰ると無くなっちゃうだよね。
だから、ここだけは残して欲しいの。
みんなとの思い出の場所だし、お店だったら私が……みんなとでやるから……」
「…その必要はないで」
ここを残したい理由を語っていると、ハリーは必要無いと言い出す。
「お前に伝えたいことがあるんや」
伝えたいことがあると言われ、ほまれが少し困惑する。
「……俺……未来に帰らへん!」
「えっ?」
するとハリーの口から未来に帰らないと言う言葉が出て、更に彼女の困惑と驚きは深まった。
「帰らないって……なんで!ハリハリ地区のみんなはいいの!? キュアトゥモローを守るじゃなかったの!」
ハリーには未来で多くの家族が待っている。それに、キュアトゥモローであるはぐたんを守らなければならない。それにハリーはトゥモローの事が……
彼女がその事を伝えていると…
「……もう、俺が守らなくても、トゥモローもハリハリ地区のみんな未来に進んで行ける。
だから、俺も今度は自分の道を進むんや」
「ハリー……」
「それに、ソウゴを見守り続ける未来人の奴が近くいた方がええやろ。それと……」
ハリーは途中まで言いかけると、ほまれの頭に手を置く。
「今度は、お前の応援を見守らせてくれや」
今度はハリーがほまれを応援し、見守りたいと話す。
するとほまれの目に涙が溜まり、ハリーの体にしがみつく。
「ネズミのくせに……」
「はぁ〜、何回言わせるんや!俺はハリハム・ハリーや!」
何度このやり取りをやるんやとハリーは思うがしかし、ほまれはハリーがここに残ると聞いて嬉しく感じていた。
ツクヨミとことりは、はぐくみ市の公園で桐ヶ谷晴夜がツクヨミに用があると話しかける。
「これ」
「えっ?」
晴夜は手紙のようなものをツクヨミに渡すと、ことりは誰が書いた手紙なのかと思った。
「何ですか?この手紙は?」
「これはね。ツクヨミの世界の君の家にあった、君の両親の手紙なんだ」
「えっ⁉︎」
これは晴夜が、士に繋げて貰ったツクヨミの世界で見つけたものらしい。
見つけたのはクリスマスの時、スウォルツが行った世界の融合の最中であった。
「その手紙は、君があの世界で消息を経った時に書かれたものらしい。内容を読むどうかは君が選ぶだ」
「……ううん。今はいいわ」
「いいの?ツクヨミお姉ちゃんのパパとママからだよ」
「うん。読むのは、私がなりたい未来を見つけてからにする。それまでは……」
「そうか」
ツクヨミは自分のなりたい未来を見つけた時にこの手紙を読むと言うと、晴夜はそれを受け入れた。
「それで、スウォルツ……兄はどうなるの?」
「さあな、ただ、スウォルツの罪はかなり重いからな……」
あの後、スウォルツは海東大樹によってある場所に連れられた。
そこは、時間の犯罪者を取り締まる場所……『時間警察』と呼ばれる、時間の中に存在する組織にスウォルツは拘束されているらしい。
「海東さんから連絡が来たけど、スウォルツは時空の混乱に介入もし、そこで多くの人の命を弄んだ。
そう簡単に出してもらえないよ」
「そう」
「ツクヨミお姉ちゃん!大丈夫だよ!
いつか、お兄さんとだってちゃんとお話して、お互いに兄弟としてやっていけるよ!それに、お姉ちゃんには私がいる!でしょ!」
「ことりちゃん。うん!そうね!」
スウォルツの罪は、妹である彼女にとっても罪なのかもしれない。
けれど、彼女には世界の壁を超えて繋がった友達がいる。それが彼女の心の支えだった。
一方で、クジゴジ堂にてウォズが、ライドウォッチの台座に置かれた平成ライダー達のウォッチを見つめていた。
「……」
「ウォズ?何をしている?」
そこへゲイツが現れると、物思いに耽っている様子を見せるウォズに話しかける。
「……いや、今まで私はこの本の通りに我が魔王を導いた筈が、私の想像とは違う未来を向かっていると思ってね」
「そうだな。だが、未来と言うものはわからない。
いくら俺達が先の未来を知っていても、その通りに未来は進まない」
家臣であるウォズはもちろんのこと、最初は敵対していたゲイツも、ソウゴはずっとオーマジオウになると思っていたし、未来はその通りに進むものだと思っていた。
だがこの時代に来て、そうじゃなかった事を思い知らされた。
同時に未来とは一つじゃない、たくさんの可能性があるんだと知った。
「俺達も未来を信じれば、きっと輝けるものになる」
いつか未来へと帰る時。この時代での日々を忘れない限り、未来だって輝けるとゲイツは信じていた。
「それを俺はソウゴ達と出会って知った。お前もそうだろ?」
同じ時間を共に過ごし、戦ってきたウォズにならわかるだろうと、ゲイツは目の前で笑みを浮かべている男に問う。
「………そうだね。実に未来とは難しいものだね。
それでいて面白い」
窓の外を眺めながら、色んなことを思い出しながらウォズは呟く。
一方で、ソウゴとはな、はぐたんが、野乃家でお互いにアーサーセイバーライドウォッチとミライクリスタル・オーマハートを見せ合っていた。
「これが、オーマジオウの力で誕生したミライクリスタル」
オーマハートを見て、オーマジオウドライバーからこのミライクリスタルへと変化したと聞きながら、ソウゴはクリスタルを見つめる。
「それで、未来のオーマジオウとは決着は着いたの?」
「あぁ……実はね」
もう一人のジオウである常磐ソウゴが、あの時代におけるオーマジオウの正体である事は、晴夜と士に黙っておくようにと言われたので、存在は隠すことにした。
とりあえず、未来の自分が今の俺に新しい未来を作るため、自分を試していたのだと説明する。
「じゃあ、未来のソウゴがクライアス社にいたのは全部、今のソウゴに自分とは違う道を歩ませる為だったんだね」
「うん」
未来の俺もきっと、オーマジオウじゃない未来を、誰かと一緒に歩んでいける未来を作りかったはず。
だからこそ彼は、この時空が誕生するまでずっと、諦めずに何度も時空を作り直して来たのだと思う。
「でも、俺が今違う未来を歩めるきっかけ作ったのは、はなとはぐたんだよ」
「えっ?」
「はぎゅ〜?」
全ては二人が初めて、仮面ライダージオウとキュアエールに変身した事をきっかけに生まれた。
時見ソウゴ、野乃はな、はぐたん。この三人の出会いが、きっと絶望の歯車に囚われた未来から解放され、運命を変えてくれたきっかけだったかもしれない。
それから大きな変化が生まれ、自分の周りには多くの人との繋がりが生まれた。
「ありがとう。はな!はぐたん!」
「ソウゴ……うん!私もありがとう!」
「はぎゅ〜♪」
お互い、嬉しそうに笑い合う三人。
きっとこの出会いがあったから、みんなの未来が望む道へ歩める原点となったのかもしれない。少なくとも、ソウゴはそう感じていた。
しばらくしてソウゴは野乃家を出ると、もう一人会う約束の相手がいた事を頭に浮かべ、足をとある場所へ向けて動かす。
――そこは、はぐくみ市にある湖。
そこには一人の女の子がいた。
「さあや」
「ソウゴ君」
待っていた相手は、自身の幼馴染である少女、薬寺院さあやだった。
「……さあや。なんで、また君付けしてるの?」
「あの……ソウゴ君……その……」
あの時、トゲパワワの過剰摂取によって暴走していたソウゴを止めるためとはいえ、みんなの見てる前で彼にキスをした事を思い出し、我に返ったさあやは恥ずかしさの余りソウゴと顔を合わせづらくなっていた。
その影響で呼び捨てで呼んでいたモノが、君付けに戻ってしまった。
「さあや。ありがとう♪」
「えっ?」
あの時、クライに幻惑を見せられ、それを信じてオーマジオウへと変身し、暴走から自分を元に戻してくれたのは、さあやのおかげだった。ソウゴはその事を伝えると……
「それで、あの返事だけど…」
「⁉︎」
あの時のさあやから受け取った返事を答えると言い出し、それを聞いたさあやの顔が真っ赤となって何を言われるのかと落ち着かない様子を見せる。
「俺は、さあやの事が好きだよ」
ソウゴはさあやに返事を返し、その答えにさあやは驚いた。
「それに、さあやが俺の初恋の人だったんだ」
「私が⁉︎」
「うん。覚えてないかな?神社で青い晴着を着てた事……」
「……あっ⁉︎」
神社で青い晴着を着ていたと聞き、顔を傾けながら思い出そうと記憶を探っていると、その時の記憶が見つかった瞬間に思い出した。
当時、母が着物を出してくれた時、試しに自分に着せてくれた。それをソウゴに見てもらおうと彼がいる神社へと向かったけど、ソウゴは現れず着物を見てもらえなかった事を。
「ごめん。あの時、気づいてあげられなくて」
あの時、ハッキリと顔を見ていれば後で気付いたかも知れないが、結局両者の間にすれ違いが起きてしまい、後ろ姿だけで気づいてあげられなかったってのもあるかもしれない。
しかし、あれがさあやだと知ったのはグランドジオウへと初めて変身したあの時代――2013年だった。
「それで、わかったんだ。俺は、さあやの事をずっと好きだったんだって」
「………ソウゴ……」
その言葉を聞けるとは思わなかった為に、さあやの目からは涙が溢れ出そうだった。
「だから…これからも、俺のそばにいてくれないかな?」
ソウゴは右腕を上げて、歓喜のあまり震えるさあやに手を差し出す。
「うん!私もソウゴと一緒にいたい!」
さあやは両手でソウゴの手を握り、ソウゴは残った左手で彼女の涙を拭く。
「じゃあ、改めてよろしくさあや!」
「こちらこそ、よろしく……ソウゴ」
そのまま二人はしばらく、お互いの手を初々しく握り続ける。
それからしばらくして、ソウゴとさあやは二人でビューティーハリーへとやってきた。
「みんな!あれ?」
すると、ソウゴの目にはなとツクヨミ、ことり達の姿が映った。
「あ!ソウゴ!さあや!」
「これで全員揃ったわね」
「二人共遅いです!」
「みんな、なんで?」
ビューティーハリーには、既にソウゴとさあや以外のみんなが集まっていた。
「みんな。どうして?」
どうして此処に皆んなが居るのだと聞くと、近くにいたルールーとえみるがその理由を話し始める。
「なんだか、みんなの顔が見たくて」
「ここに来れば、みんながいるからです!」
「ここは、私達とって最高の場所だから」
「俺達にとっての帰る場所でもある。だろ!」
続いてほまれとゲイツがそう話すと、ソウゴは笑みを浮かべながらみんなの顔を見渡す。
「……うん!」
そう――ここは、みんなと過ごしてきたかけがえのない場所。ここに来れば、みんなに会える。
だって、それが何よりも好きな時間だから。
「みんな!」
そう思うとソウゴは腕を出すと、他のメンバーも円となって腕を出しては、お互いに手を重ね合わせる。
「このメンバーで共にいられるのは、あと僅かかもしれない」
ウォズは“これから起こるであろう未来”を思い浮かべ、彼らと過ごせる時間があと僅かしか無い事を胸に刻む。
「でも、私達の思いは」
「離れていても」
「ずっと一緒や!」
それでもことりやツクヨミ、ハリー達には、皆と過ごした思い出がある。
「どんな未来があっても」
「例えそれが困難でも」
「自分達の未来を信じる!」
だからこそ、えみるやルールー、ほまれ達はどんな困難があったとしても、これからの未来を信じることが出来る。
「それに私達なら」
「どんな未来でも乗り越えられる!」
何故ならさあやとゲイツ達には、共に困難を共にした友が、仲間達がいるから。
「何でもなれる!なんでもできる!」
「輝く俺達の未来を信じて!」
最後にはなとソウゴ達を筆頭に、皆んながそれぞれの顔を見合わせながら、はぐたんと共に手を上へ目掛けて掲げる。
『フレフレ!フレフレ!俺(私)!フレフレ!フレフレ!オーーー!』
「フレフレ!フレフレ!みんぃな〜!」
――このメンバーが別れ、それぞれの道を歩むのはそんなに遠くの未来では無い。
けれど、時空と世界の壁を越えて繋がった彼らの絆は、例え離れていてもずっと一緒なのだと、彼らは信じていた。
終わり
次回予告!
クライアス社との戦いが終わり、ソウゴ達はいつもの平和な日常へと戻る。
しかし、同時にゲイツ達の別れも近くなる。ドクター・トラウムらは未来へ帰る準備をしていた。そんなある日……
はな「ここが?」
ソウゴ「クリムの別荘?」
クリム・スタインベルトからの緊急の連絡を受けて、ソウゴ達はクリムの別荘へとやってきた。
「やぁ、ここが仮面ライダードライブの生みの親の場所か?」
「させるか!Let's 変身!」
仮面ライダーマッハと共にジクウドライバーによって変身した謎のライダーを応戦。
そして、仮面ライダードライブの消滅を止めるべく最後のタイムスリップへと向かう。
ソウゴ「さぁ、行こう!1575年!」
最後のタイムスリップの先で、戦国の魔王と呼ばれた織田信長と出会う。そこで待つ戦いが、仮面ライダードライブの歴史を守る。
しかし……
「俺達はクォーツァー!歴史の管理者だ!」
現代へと戻ると、そこにはクォーツァーと名乗る敵がソウゴの前へ現れる。
そして、そこにはウォズの姿があった。
真の最後の戦いは、今ここで始まる。
ゲイツ「結局お前は敵だったか」
ハリー「やるしかないんなやな」
『ゲイツ!ゲイツリバイブ疾風!』
『ハリー!ギアヘリテージ!』
ゲ・ハ「「変身!」」
『ワクセイ!』
ウォズ「変身!」
ゲイツ、ハリーはウォズの勝負が始まる。
そして、ソウゴ達は……
ソウゴ「俺がみんなからライダーの力を奪った……」
今までの戦いも継承も全てはクォーツァーの筋書き通りと聞かされたソウゴ……
それでも――
「俺が平成という道を、きれいに舗装し直してやろうってこと」
ソウゴ「……そんな事はさせない!」
『バールクス!』
「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダー・バールクース!』
『ジオウ!アーサーセイバー!』
ソウゴ「変身!」
ソウゴはジオウ・アーサーフォームへと変身し、エール達と共にクォーツァーと戦う決意を決める。
ウォズ「祝え!時見ソウゴが真の魔王として誕生した瞬間を!」
そして、魔王の力とマザーの力が一つになり、新たな一ページが開かれた。
特別編5 劇場版 HUGっとジオウ!Over Quartzer!
「――これが、私がお伝えできる。この本に描かれたラストページです」
おまけ
オーマセイバージオウ!
遂に完結の刻…!!
ジオウアーサー「くらえマスタークライ!超必殺フューチャーギリギリスラッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
マスタークライ「来いジオウ!実はトゲパワワが無いとパワーアップも兵の補給も出来ないぞグァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!」
ジオウアーサー「うォォォオオオオ!!ジオウサイキョウゥゥゥゥゥゥオオオオ!!」
マスタークライ「クッ!……だがこのままでは終わらんぞ!私の残った力で、別時空の強敵を呼んでやる!!」〈バッ!〉
無惨様「膝末いて頭を垂れろ」
1000%「私の強さは規格外だ…」
ザマス「人間は滅ぶべし……!」
マスタークライ「フハハハハハハハ!ジオウゥゥゥォォォオオオオ!!このままお前を葬り、今度こそ世界の時を止めるッ!理想郷の王はこの私ッッ!!以前変わり―――」
オールグランドマザーエール「みんなでトゥモロー!!」
クライ&ザ・小物供『グアァァァァァァアアアアアア!!!!!ヤメサセテモライマァァァァァァァァァス!!!?』
ジオウアーサー「よっしゃァァァ!!クライとその他大勢を倒したぞ!」
オールグランドマザーエール「やった……ッ!これで世界は平和に……」
バールクス「ドライブのライドウォッチを手にしたなジオウ……俺はこの時を待っていた……」
ジオウ「ッ!?(あ…あの玉座に座っているのは誰だ…!そして俺は、いつの間にドライブウォッチを手にしていた!?)」
エール(感じる……あの人から漂う……ゲロ以下の邪悪な匂いが……ッ!?まさかあの人が、オーマの日に世界を滅ぼそうとした、真の魔王…ッッ!!)
バールクス「ククク……本能的に感じるようだな、俺の強さを……
それもその筈。俺にはミデンやマスタークライの様に平成ライダーの力を“相殺する程の力”では無く、平成ライダー『そのもの』の力を無効化する能力を持っているのだからなぁ…!
ついでに俺は、此処から更にもう一段階パワーアップできる力を持っている…これで俺は、お前の究極フォームであるオーマフォームを破ることが出来るのだ……
それはそうと、お前らの平成って醜くないか?」
ジオウ「何だって…!」
バールクス「それと良いことを教えてやる……オーマジオウは自分に刃向かう未来の人々を虐殺していると思っているようだが、実際は肩から掛けた時計バンド『メリディアンサッシュ』の効果で異空間に送っているだけだから、奴に頼めば普通に呼び戻せるぞ……よかったなぁ、ククク……!」
エール「そうだったのね……」
ジオウ「フッ……上等だ……
俺もひとつ言っておく事がある。俺にはオーマフォームをも超える、更に究極の力を持っている!」
エール「正直、オーマフォームでしか貴方を倒せないと思っていたけど、別にそんなことは無かったぜ!」
バールクス「……そうか」
ジオウ・エール「「うぉぉぉぉオオオオ!!瞬瞬必生ィィィィィィ!!」」
バールクス「来いジオウ!キュアエール!」
ソウゴの勇気とはなの愛、そして二人の友情が世界を救うと信じて……!
ウォズ「ご愛読、ありがとうございました!」
完