Re.HUGっとジオウ!   作:yu-ki.S

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ウォズ「ごく普通の中学生だった、時見ソウゴ。
彼は全てのライダーの力を全て集め、プリキュアと出会い、王となる事を目指していた。
そして、クライアス社との戦いにも決着を付け、遂にここまでの成長を遂げました。
しかし……今や、令和の世を迎え、今まで集めたライダー達は過去の者達――」

そう言ってウォズが本を閉じると周りの背景が大きく変わり、高台の様な所のその下には多くの人が集まっていた。
そしてウォズは、背後に居る人影へと体を向ける。

「祝え!旧時代の歴史を塗り替え、新時代となる令和の象徴!
その名も仮面ライダーゼロワン!まさに生誕の瞬間である!」

ウォズが祝いの言葉を述べると、彼の背後から一人の仮面ライダーが現れた。
その者はバッタを模した触角が付いた仮面を装着しており、蛍光イエローのアーマーを身に纏っていた。
その新時代を名乗る仮面ライダーの名は……仮面ライダーゼロワン。

『ゼロワン!ゼロワン!ゼロワン!ゼロワン!』

そしてその姿を目撃した者たちは太鼓を叩くかの如く声援を行い、人々はゼロワンの名を高々と叫び続ける。

「うっ〜……うぅぅぅぅ……⁉︎」

――その時、一人の少年が目を覚ました。


特別編5 劇場版 HUGっとジオウ!Over Quartzer!~前編~

「ゔにゅ……あ、夢か……ふわぁ〜…」

 

奇妙な夢から舞い戻ってきた少年――時見ソウゴの目が覚めると、彼はベットから降りて部屋にかけてある制服に手を伸ばし、パジャマを脱ぎ捨てる。

 

あの日…クライアス社との最後の戦いからしばらく経ち。あれから彼らは、各それぞれ元の日常へと戻っていった。

ソウゴはそんな激動の日々を振り返ってみると、案外それはそれで寂しいと感じていた。

正月が過ぎ、冬休みも直ぐに終わった中で、そんなことを思い返しながら制服へと着替えを終えた彼は、階段を降りて一階のリビングへと到着する。

 

「おはよう〜」

 

「おはよう!ソウゴ!」

 

「相変わらず、朝に弱いな」

 

其処には既に、リビングには朝ごはんを用意してくれた叔父の時見順一郎と、自身と此処…クジゴジ堂にて一緒に暮らしている少年と少女――明導ゲイツとツクヨミの姿があった。

 

「ごめん。変な夢を見て……あれ?ウォズは?」

 

「今日は仕事で早く出て行ったよ」

 

それともう一人。ここで暮している同居人であり、家臣――いや、仲間のウォズの姿があるはずなのだが……仕事なのかいつもの彼の姿が此処にはなかった。

 

「それより、変な夢って?」

 

「えっ?あぁ……なんか新しいライダーが始まるって夢」

 

ツクヨミに話しかけられたソウゴは、一先ずウォズの事は置いておき、さっき見た夢について語る始める。

 

「新しいライダー?」

 

「新しいライダーって……また、新しい未来の可能性かしら?」

 

新しいライダーってどういう奴だ?と試行しているゲイツの隣にるツクヨミが口にした、新しい未来の可能性…

それはクライアス社と交わった、最後の戦い。

あの戦いにて、自分達の未来には無限の可能性があると知ったソウゴ達は、新しい未来を作ろうと前に進もうと決意していた。

 

「でも、楽しみだよ。俺達に以外に知らない仮面ライダーに会えるかもしれないって思うと!」

 

夢で見たあの新しいライダーとの出会いに、ソウゴはワクワクが止まらない様子を見せ、ツクヨミは「ソウゴらしいね」と呟いていた。

 

「その新しいライダーに早く会えるといいな」

 

話し合いながらソウゴ達は朝食を食べ済ませると、そのまま学校へ行く支度を整える。

 

「おはよう!ソウゴ!」

 

そんな中クジゴジ堂に現れたのは、ソウゴの幼馴染である薬師寺さあやだった。

 

「さあや!お待たせ!」

 

鞄を持ってソウゴが降りてくると、其処には既にゲイツとツクヨミの姿もあった。

 

「叔父さん!行ってきます!」

 

ソウゴは順一郎に手を振りクジゴジ堂を出ると、四人は学園へと向かって歩き出す。

 

「……ソウゴ君、本当に変わったね」

 

それに対し手を振って応える順一郎は、今のソウゴを見て変わったなと感じていた。

昔まではいつも一人でいる事が多かったソウゴが、今ではさあやだけでなく、多くの友達が彼の周りにいるという事実をかみしめながら。

 

「…兄さん、義姉さん。ソウゴ君はみんなと出会って、嬉しい形に変われたよ」

 

クジゴジ堂の中に戻ると、幼いソウゴと一緒に写っている両親の写真に向けて、順一郎は笑みを浮かべながら呟く。

 

 

一方でソウゴ達が学園の通学路を歩き続けている頃、ソウゴとさあやがかなり近い距離で歩いている様子を、その後ろでゲイツとツクヨミが見ていた。

 

「……ねぇ、さあや。この前の戦いからソウゴとの距離が縮まったと思わない?」

 

「まぁ、ソウゴを元に戻すのに"あれ"までしたからな」

 

この前の戦いで、クライによりソウゴはオーマジオウへと一時的に変身して暴走していた時、彼はプリキュア達の諦めない姿を見せられ、更にゲイツ達の攻撃でオーマジオウの仮面が破壊された。

そしてトドメと言わんばかりに、アンジュによるソウゴへの想いが彼を元の最高最善の魔王へと歩む道に戻したことを思い返していた。

 

「まぁ、ソウゴへの告白だったな……」

 

あの時の事を思い返したゲイツは、それ以来からソウゴとさあやはお互いに一緒にいる時間が増えたなと思った。

 

「ソウゴ!さあや!ゲイツ!ツクヨミ!」

 

「おはようございます!」

 

そんな事を思っているとはな、ことり、ルールーが現れた。

 

「ツクヨミお姉ちゃん!」

 

「ことりちゃん。おはよう!」

 

はなの妹であることりはツクヨミの隣に行くと、少し離れた所からほまれとえみるの姿が垣間見えた。

 

「みんな!」

 

「おはようなのです!」

 

「えみる。おはようございます」

 

「ルールー!今日も頑張るのです!」

 

「はい!」

 

ほまれとえみるもソウゴ達と合流し、これでいつものメンバーが全員が集まった。

 

「これでみんな揃ったね」

 

『うん!』

 

全員揃った所でソウゴ達はいつものようにみんなと話しながら学園へと向かう。その光景をソウゴはずっと見つめながら歩いていた。

 

「ソウゴ君?どうしたの?」

 

「ううん。なんでもない!」

 

「そうだ!みんな!今度デートしよ!」

 

さあやの問いにそう答えていると、はながいつものようにみんなと出かけようと提案する。

当然、みんなの答えは…

 

『賛成ーーー!』

 

これが、みんなと一緒に未来に向かって歩んで行きたい彼の未来。どんな未来が待っているかわからないけど、この時間をみんなと過ごせる未来を歩み続けていた。

 

 

翌日、ソウゴ達はいつものショッピングセンター『HUGMAN』へと赴きみんな商品を見たり、フードコートで食べたりなど楽しみながら一日を過ごしていた。

 

「ふぅ〜」

 

ソウゴが近くの椅子に座り一息吐く。

 

「ソウゴ!」

 

「はな。はぐたん」

 

すると、はなと彼女が抱いているはぐたんがソウゴの隣に座る。

 

「――なんか、信じられないかなって……」

 

「えっ?」

 

「ついにこの前まで、あんなに戦っていたなんて……」

 

「うん。そうだね」

 

二人が初めて仮面ライダーとプリキュアに変身した運命の日からもうすぐ一年となり、そこからみんなとクライアス社と戦い、その戦いの中で敵や味方に関係なくお互いに分かり合う事が出来た。

 

「さって……じゃあ――『えっ⁉︎』?ことりちゃん?」

 

いきなりことりが叫び声を上げ、何事かと思ったソウゴ達はことりの元へ急ぐ。

 

「どうしたの?ことり?」

 

ことりとえみるがテレビの前で驚いた表情で立っていた。

 

「皆さん!これを見て下さい!」

 

「これ……」

 

二人に言われ、そのテレビに映るニュースをソウゴ達も見る。

 

『――ご覧下さい。徳川美術館に展示されている、長篠合戦の屏風絵に不思議なロボットと武者が映し出されました!』

 

そのニュースを見て屏風絵の中に写るロボットの絵に見覚えがあり、ソウゴ達は「あぁ!」と声に出して驚く。そのロボットの片方はクライアス社が使っていたのと同じだが、もう一つのロボットはゲイツの赤いタイムマジーンだった。

 

『さらに武者の横に映る所に『芸津殿』と書かれております』

 

『――えっ?』

 

芸津(ゲイツ)殿』と聞き、ソウゴ達は頭に「⁉︎」を出して驚いているゲイツの方を見る。

 

「…えっ?いや!俺は知らんぞ!」

 

ゲイツは知らないと言うが、この絵にあるのは間違いなくゲイツの変身した姿とタイムマジーンである。

 

「だいだい!その長篠の合戦?何とかって?」

 

「長篠の合戦はね。織田信長と徳川の連合軍が武田軍との戦いを題材にした屏風絵の事だよ」

 

「それっていつの話?」

 

「えっ〜と、1575年」

 

「本当にソウゴって歴史に詳しいね」

 

「私もソウゴさんが、こんな歴史について詳しいなんて驚いた……」

 

すらすらと長篠の合戦を説明したソウゴに、みんなは素直に賞賛した。

 

「……けど、なんでそれにゲイツが?」

 

「過去にその時代に介入したことが?」

 

「いや、行ったことはないはずだ」

 

小首を傾げるほまれの横でルールーが行ったことがあるのかという問いに対し、行った記憶が無いと語るゲイツを信じた場合、その出現した謎の屏風絵は一体何なのだという事実に、一同は頭を悩ませる。

 

「ん?」

 

突如として、ゲイツの腕のライドウォッチホルダーにあるドライブのライドウォッチが光り出した。

 

「ドライブウォッチが光っているのです!」

 

光り出したドライブウォッチを見て驚くと、急にソウゴ達の見ていたテレビ画面にも異変が起こり出した。

 

―――ウゴ……ソウゴ……ソウゴ。私だ…

 

するとテレビから聞こえる声が、ソウゴの名を呼んでいた。

 

「? この声……」

 

聞き覚えのある声にソウゴはテレビの画面を見続ける。

するとそこから、一人の男性の姿が映し出されようとしていた。

 

『ソウゴ!私だ!ソウゴ!クリム=スタインベルトだ!』

 

「⁉︎ クリム!」

 

姿を見て一瞬誰だと思うも、名を聞いて声の主にようやく気付いたソウゴ達。

この声の正体は仮面ライダードライブの生みの親である科学者、クリム=スタインベルトだった。

 

『よかった。気付いてくれて。久しぶりだね、ソウゴ』

 

「クリム。どうしたの?」

 

『実は……君達に頼みがある』

 

「頼み?」

 

ソウゴとはながテレビに顔を近づいて話を聞いていると、彼の口から頼み事があると言われる。

 

『ああ、ここで話すより私の別荘で聞いてくれ。位置は君達に送る』

 

クリムがそう言うと同時に、ドライブウォッチの光がミライパッドへと移る。

 

「みんな⁉︎ 見て!」

 

さあやの持ったミライパッドを見るとマップに座標が点滅された。

おそらくそこがクリムの屋敷の場所で、さっきの光がその屋敷の位置情報をミライパッドへ転送したのだとわかる。

 

『すまないが、ソウゴ。よろしく頼む』

 

それだけを言い残したクリムはテレビから去り、画面も元に戻った。

 

「……何や?一体何が起こったんや?」

 

「わかんないけど、クリムが危ないのは確かだよ」

 

ハリーは一体何が起こっているのか飲み込めなかったが、何かを焦っている事だけは確認出来た。

 

「先程の会話からして、何やら焦っている確率は86%です」

 

「じゃあ、早く助けに行かないと!」

 

「みんな!行こう!」

 

「「「「「「うん!」」」」」」

 

はなとソウゴの呼びかけで一同はHUGMANを出ると、急いでミライパッドが指し示すクリム=スタインベルトの別荘へと急ぐ。

 

 

同じ頃、ソウゴ達の目指す場所にバイクで向かう者がいた。

 

「待っていろ!クリム!今すぐマッハ向かうぜ!」

 

男性が乗り込む白いバイクはスピードを上げてクリムの名を呟きながらソウゴ達の同じ場所へと急ぐ。

 

 

ソウゴ達は一足早くに、ミライパッドが指し示したクリムの別荘へと到着した。

 

「あっ!ここだよ!」

 

「あれ?別荘なんて無いよ?」

 

さあやが持っているパッドを頼りに来た一同だったが、はなの言う通り到着した場所には屋敷なんてものは建ってなかった。

しかし、かつて何かが建てられていたような跡は見られている。

 

「とにかく、辺りを探すぞ」

 

「そうだね」

 

ゲイツの言葉にほまれが頷くと、ソウゴ達はとりあえず辺りを見回し、何かクリムに繋がるものは無いかと探し回る。

 

「う〜ん」

 

「中々、見つからないのです」

 

辺りを隈なく探すソウゴ達だったが、倒壊した跡しかなくクリムに繋がるものは何も無いように思えた。

 

「はぎゅ!はぎゅ!」

 

「ん?どなんしたはぐたん?」

 

はぐたんが瓦礫の中から何かを察知し、何かあるのかと思ったソウゴ達はその瓦礫を退かす。

 

「これは……」

 

瓦礫の中から扉の形をしたものが見つかり、次に取っ手の部分に目を向ける。

 

「開けるぞ」

 

ゲイツが扉を開けると、そこには地下へ続く階段があった。

 

「地下室ですか?」

 

「地下室に何かあるのですか?」

 

ルールーとえみるは地下室の下に、クリムと繋がりのあるモノがあるのかと睨む。

 

「とりあえず、行ってみよう」

 

全員は地下室へと向かって行き、携帯のライトを照らしながらソウゴ達は地下への階段を降りる。

 

「……何も無いね?」

 

「地下やから何かあると思うで?」

 

地下室が暗いから全て把握出来ないと言うのもあるかもしれないが、ことりの言う通り何もないと思い始める一同。

しかしハリーの言うように、地下室である以上何かがあると言う考えもあった。

 

「ん?」

 

「ソウゴ君?」

 

するとソウゴが何か気付き、さあやもその後を追う。

 

「金庫?」

 

見つけたのは、少し古い型をした金庫だった。

ソウゴが力を入れて金庫の扉を引こうとすると、金庫には鍵はしておらず、何とか開いた。

 

「何かあった?」

 

「……十字架だ」

 

ほまれとゲイツが覗くと、中にあったのはケースの中で大事に保管されている十字架だった。

 

「? なんか……いい匂い」

 

「そういえば……確かに……」

 

金庫に置かれている十字架は一体何なのだと思いながら見ていると、ソウゴとはなが十字架からいい匂いがすると呟き、ソウゴがその十字架を掴もうとする。

 

「その十字架に触るな!」

 

するといきなり触るなと言う声が聞こえ、驚いたソウゴは触るのやめると声の聞こえた方へと振り向く。

そこに居た人は急いで階段を降り、ソウゴ達の前へと現れた。

現れたのは、白いパーカージャケットを羽織った歳上の男性で、何やらソウゴ達を敵視するような目で見ていた。

 

「あの……」

 

「お前らが悪党か!」

 

「えっ?いや、私達は…『まさか、こんな子供が……』違います!」

 

はなが誤解を解こうとするが、男性は此処へ勝手に入ったソウゴ達を完全に敵だと思い込んでいた。

ゲイツとソウゴは前へ出て、その場に緊張感を漂わせる。

 

「何者だ?お前は?」

 

「詩島剛だ」

 

「詩島剛……あっ⁉︎」

 

「お前が……」

 

その名を聞いたゲイツとソウゴは、その名前には聞き覚えがあった。

以前、アナザードライブの時に出会った仮面ライダードライブ・泊進之介の義弟だと聞かされた仲間の名前。

それがこの『詩島剛』という男性だった。

 

「クリムは俺が守る!」

 

「待って!俺達は敵じゃないよ!」

 

ソウゴ達がドライブの仲間である男性である事を思い出すと、剛に敵じゃないと告げる。

 

「何?」

 

敵じゃないと言うと、剛も止まった。

 

「あんた。泊さんの仲間で義弟の人でしょ?」

 

「お前。もしかして、進兄さんの言っていた……」

 

話程度だが、剛もソウゴの事は進之介から聞いていた。

 

「剛。彼らは敵じゃない」

 

そこへ、――ホログラムの立体映像ではあるが――クリム=スタインベルトの体が映し出された。

 

「剛。彼らと一緒に力を合わせて欲しい」

 

「クリム……」

 

剛がクリムに言われ納得すると、ソウゴはクリムに近づく。

 

「クリム。もしかして、前に言ってた?」

 

ソウゴはあの時、『近々、私を狙っているもの達がいる。そのためにまだ、ドライブの力は残しておきたいのだよ』とクリムが言ったことが関係しているかと思っていた。

 

『ああ。奴らが動き出しのかもしれない』

 

「わかった」

 

ソウゴ達がクリムの頼みを引き受けたその後、彼らは一度、地下室を出て地上へと戻る。

 

「悪かったな。さっきは……」

 

「全然大丈夫だよ」

 

「寧ろ、私達の味方がいて嬉しいです」

 

お互いに誤解があったが、何とか解決したのでとりあえずは収まった。

 

「へぇ〜…」

 

『っ⁉︎』

 

すると聞き慣れない声が聞こえ、一同は声の聞こえた方へ振り返る。

 

「先手を打って加勢を呼んだんだ……」

 

そこへ、前髪を七三分けて後ろ髪はウルフヘアに近い、若い男性がソウゴ達の前へ現れた。しかし、口調からして味方には見えなかった。

 

「流石、クリム=スタインベルト……仮面ライダードライブの生みの親」

 

そう呟くと表情がこちらに敵意を向けるかのように悟り、男性はあるものを見せる。

 

『ザモナス!』

 

「ライドウォッチ⁉︎」

 

男性が持っていたのは初めて見るタイプのD'3ライドウォッチ。そのウォッチを既に腰へと巻いているジクウドライバーへと装填し、ロックを解除する。そして背後に現れた左右が赤と青となっている時計には、黄銅色の尖りとヒレのような物が付いていた。

 

「変身!」

 

そのままドライバーを回すと、男性の体が激しい爆炎に包まれる。

 

『ライダータイム!仮面ライダーザモナスー!』

 

そこに現れた姿は、背びれのような頭部と青い装甲の右半身と赤い左半身装甲を持ち、鱗状のアンダースーツという全体的に魚類のようなデザインをしており、胸には革の時計バンド、肩装甲は金色の歯車の意匠となってあり、右肩からは翼のような形状のマントを纏ったライダーとなっていた。

 

「仮面ライダー……」

 

「ツクヨミとハリーは、はぐたんを連れて離れて」

 

「うん」

「わかった」

 

ソウゴに離れる様に言われ、ツクヨミとハリーはソウゴ達から離れる。

ソウゴとゲイツはジクウドライバーを、剛はマッハドライバー炎を腰へと装着し、はな達はプリハートとミライクリスタルを出し構える。

 

『シクナルバイク!ライダー!』

『ジオウ!』

『ゲイツ!』

 

「Let's 変身!」

「「変身!」」

「「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」」

 

一同はそれぞれ変身アイテムをジクウドライバー、マッハドライバー炎、ミライクリスタルに装填し、彼らの姿が変わる。

 

『マッハ!』

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

「輝く未来を、抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

「追跡!撲滅!いずれも〜マッハ!仮面ライダ〜〜…ッ!マッハ!!」

 

いつものようにプリキュアが名乗り上げするのは当然の事だが、仮面ライダーが名乗り上げするという珍しい光景にエールとジオウらは驚く。

 

「行くぜ!」

 

マッハが先陣切って謎の仮面ライダー…ザモナスに一人で向かって走って行った。

 

「よし!俺達も!」

 

ジオウ達もマッハの後に続いて仮面ライダーザモナスに向かって走って行く。

 

「はぁ!」

 

ジオウが先制パンチを繰り出す…が、簡単に避けられる。

 

「早い!」

 

「「タァァァ!」」

 

エールがその素早さに驚いていると、アンジュとエトワールが同時にキックを繰り出すが、これも後ろへとバク転して躱す。

 

「ねぇねぇ、そんもんなの?」

 

「「「まだまだ!」」」

 

ザモナスの煽りに乗る様にアムール、マシェリ、アーラの三人が飛び込む。しかし、ザモナスは地面へと伏せると回転しながら足技を繰り出し、三人を寄せ付けないようにする。

 

「ッ⁉︎」

 

「はぁぁ!」

 

今度はゲイツとマッハが応戦するが、ザモナスは二人の攻撃でも余裕で躱す。

ザモナスは自身の身軽い動きでジオウ達を翻弄させると、黄色いライダー文字の複眼で相手を見渡すと、「さって……じゃあ今度はこっちね」と言いながら今度はザモナスが仕掛けてきた。

 

「「うわぁ!」」

 

身軽い動きでゲイツとマッハの頭上に飛びそのまま空中で足技を繰り出し、二人を倒れさせた。

 

「ゲイツ!」

 

「はぁ!」

 

ゲイツが倒れた事で気を取られて隙が生まれたジオウに、ザモナスはボウガンのような武器を持ってエネルギー矢を放った。

 

「うわぁ!」

 

「ソウゴ!」

 

直撃したジオウにアンジュが直ぐに駆け寄ると、ザモナスはジオウが落とした十字架を拾う。

 

「ふぅ〜〜……やっぱりね〜」

 

十字架に目が行っている隙にエールがパンチを繰り出したが、ザモナスは片腕でそれを悠々と掴む。

 

「ッ!……何がやっぱりなの?」

 

「…この時代にも用は無いよ」

 

エールは顔を近づけながらザモナスの呟いた言葉について聞き出すが、ザモナスはエールの質問に答える事なく彼女の拳を振り払う。

 

「マッハ。お前のドライブも消える。ふぅん!」

 

「っ⁉︎ 待て!」

 

マッハが追撃しようとするがザモナスは一瞬にして姿を消してしまった。

 

「ドライブとマッハが消える…」

 

不穏な動きを見せる仮面ライダーザモナスに、ジオウ達は手も足も出なかった。

みんなは変身を解除し、お互いに情報を交換しようとする。

 

「ねぇ、あの十字架って……」

 

剛にザモナスが奪った十字架について聞こうとする。

 

「スタインベルト家に伝わる家宝だ」

 

そこへ、再びクリムのホログラム映像が現れた。

 

「クリム」

 

「……」

 

「どうしたのですか?ルールー?」

 

「先程現れた時より映像にバグが生じています」

 

「えっ?」

 

ルールーの言う通り、先と比べるとホログラムの立体映像に乱れが生じていた。

 

「クリム、どうした?」

 

「私のデータが乱れている……私は既に死んd……肉体……だが、それが系図データごと消えかけている」

 

「系図のデータ?」

 

系図が消えかけていると聞いたソウゴ達は、クリムのスタインベルト家に何か大きな影響が働いてのだと気づく。

 

「16世紀に……」

 

「16世紀がなんだって?」

 

「すまない剛……気付くのが遅すぎた……」

 

16世紀と言い残しクリムのホログラムは途切れてしまった。

 

「ッ⁉︎ お屋敷が!」

 

クリムが消えると同時に、先までの倒壊した屋敷跡が突如として消滅を始めたのだ。

 

「まさか……」

 

クリムに関わるものが消滅するのに気付くと、閉まっている変身用シグナルバイクも消滅の兆候が現れた。

 

「一体何が起きてんだ……」

 

今の剛には一体何が起きようとしているのか全く理解できずにいたが、ソウゴ達は何が起き始めているのか察し始めていた。

 

「クリムって奴の存在した歴史が消えかけている。あの敵は過去に遡り、クリムの祖先を消そうとしている」

 

「えっ?」

 

ゲイツの推測を聞いた剛は一瞬思考が停止しかけるが、その前にほまれとはなが額から汗を垂らして焦りを見せていた。

 

「それってやばいじゃん!」

 

「クリムさんの先祖がいなくなるって事は……」

 

「おそらく、ドライブとマッハの歴史も消える」

 

「あぁ。それが敵の狙いかもしれない」

 

さあやとゲイツの言う通り、クリムの先祖を消すことが敵の思惑だと予想される。

 

「どうすればいいんだよ!未来から来た悪党なら戦った事はあるが、過去に遡る敵じゃあ追跡が出来ねぇ!」

 

これでは打つ手がないと頭を抱える剛に、ソウゴはある可能性を話す。

 

「そうでも無いよ。俺達は時を超えられる」

 

「えっ?過去に行けるのか?」

 

「うん!」

 

ソウゴは笑って答えた。彼らには時を渡る力を持つマシン…タイムマジーンがある。

 

「だったら……頼む!」

 

時を渡ると聞き、剛はソウゴ達に頭を下げる。

 

「クリムを守ってくれ。俺は死んだダチを……」

 

「仮面ライダーチェイサー」

 

「っ!」

 

ツクヨミが呟いた人名を聞き、ソウゴ達は剛の事情――死んだ仲間のロイミュード『チェイス』を甦らせようとしている事を知っていると察した。

 

「あぁ。あいつはクリムがいなかったから、この世にいなかった奴なんだ。だから……」

 

「わかった。俺達に任せて」

 

ソウゴは剛の頼みを引き受け、クリムを守ることを決めた。

剛と一度別れたソウゴ達は一度ビューティーハリーへと戻り、そこでウォズとも合流し出発の準備を始めた。

 

「ツクヨミ、タイムマジーンは?」

 

「大丈夫、行けるわ」

 

扉からツクヨミと、先日の戦いの後に修理を行って問題は無いか確認をしていたトラウムが入って来た。

 

「けど、エネルギーが往復分しかないから気をつけるんだよ」

 

「うん。ありがとう」

 

タイムマジーンの時を超える力は往復分しかないと言われたが、行く分には問題無いようだ。

 

「せやけど、あのザモナスってライダー。なんで、クリムの祖先が狙いなんや?」

 

その中でハリーは何故、クリムの祖先を狙うのかその意図が読めなかった。

もうクライアス社も無いし、タイムジャッカーだって解散している。

それなのに相手は、どう言う意図を持ってライダーの歴史に介入するのか…

 

「でも、放っては置けないよ!」

 

「うん!あのライダーを止めないとクリムさんが!」

 

「私も!詩島剛の助けたい人の力になりたい!」

 

「「「「「うん!」」」」」

 

だがソウゴは相手の考えや企みなぞ関係無いと言い、はなとツクヨミも彼らの助けになりたいと語る。

当然の様に全員は、クリムの祖先の居る16世紀へと向かおうと決意する。

そんな彼らの決意を横目に、ウォズがソウゴの近くに寄って先程テレビで見た事と彼らの話から推測したのは…

 

「今回の敵を追った君達が何らかの形で長篠の合戦に絡んだ。それがあの屏風絵に影響したんだろうね」

 

おそらくこれから向かう場所で、あの屏風絵に影響を及ぼすきっかけになるだろうと話す。

 

「ウォズも来る?」

 

「勿論だよ、我が魔王。私は君の家臣だからね」

 

ウォズも行くことになり、ソウゴ達はタイムマジーンへと向かう。

 

ソウゴの乗るタイムマジーンには、操縦するソウゴにはな、さあや、ほまれ、ツクヨミが乗り込む。

 

「クリムの先祖って外国人じゃないの?」

 

「戦国時代の日本とどう繋がるんだろ?」

 

「でも、行かないと何もわからないよ」

 

「うん。行けばきっと何かわかるはずだよ」

 

「それにもしかしたら、信長に会えるかも〜しれないなんて〜めっちゃ楽しみ!」

 

ツクヨミとほまれ、はなにさあやが会話しながら準備する中、ソウゴは織田信長に会えるとかもしれないと言う期待に胸を躍らせていた。

一方で、ゲイツの乗るタイムマジーンはウォズ、ハリー、はぐたん、えみる、ルールー、ことりが乗り込んでいた。

 

「魔王の異名を持つ信長と我が魔王がお見えとは……」

 

ウォズも信長と会える事に胸を躍らせていた。

 

「信長とは、それ程偉大なのですか?」

 

「えっ?えっと〜……えみるちゃん」

 

「あ、あの、私も……」

 

ルールーの問いに対し、小学生の二人には信長と言われてもあまり説明出来なかった。

 

「まぁ、簡単に言えば天下統一に近かった男だった、って事だ」

 

ゲイツが代わりにざっくりと解説をしながら、タイムマジーンに戦国時代へと時代をセットした。

 

「さぁ、行こう!1575年へ!」

 

二機のタイムマジーンは宙へと浮かぶと、そのまま二機のタイムマジーンはタイムトンネルの中へと入り、1575年へと向かう。

その様子を、未来へと帰る準備をしているトラウム、リストル、ビシンの三人が見上げて見送った。

 

 

 

 

そのままタイムトンネルを潜り終え、1575年へと到着したソウゴ達。タイムマジーンを人が見られないような茂みに隠して、街へと出ていた。

 

「……ねぇ、私達目立ってない?」

 

「…私もそれも思った」

 

そこでふと、ツクヨミは自分たちの姿が今の時代に合っていないことに気付き、ほまれもそう言えばそうだったと呟く。

そこでソウゴ達は怪しまれない様、一先ずこの時代に馴染む服へと着替える事になった。

 

「十分この時代に馴染めている筈さ」

 

着替えを終えた一同が集まると、ソウゴとハリーは街の住人に近い服装、ゲイツは以前コスプレで使った侍の衣装を着ていた。

 

「これ、お祭りとかの踊り子の格好じゃん」

 

「なんか、違うと思うけど……」

 

「ルールー!とても似合ってるのです!」

 

「えみるも可愛いです!」

 

ほまれの黄色いよさこい衣装に疑問を抱いているツクヨミは白く薄い布を垂れ下げている市女笠を被ってピンクの壺装束を身に着けており、えみるとルールーの二人は羽織を纏った旅人――すなわち旅装束姿なっていた。

 

「さあやとことりも、凄くかわいい〜!」

 

「お姉ちゃん。褒めすぎ」

 

「ありがとう」

 

残るはなとさあや、ことりの三人はそれぞれピンク、青、緑といった色の少々高い着物を着ていた。

 

「……」

 

「?…ソウゴどうしたの?」

 

「えっ?いや…人が多いなって……(さあやの着物の姿に目が入ってた……)」

 

さあやの着物の姿を見ていたソウゴは、つい幼い頃に惚れた時に目にしたさあやの姿と重ねていたが、正直に言うのは流石に気恥ずかしいのでそう誤魔化した。

 

「ねぇ、ウォズなんで着替えないの?」

 

「私までコスプレをしたら、見ている人が驚くからね」

 

ハロウィンの時もそうだったが、ウォズは訳の分からない理由を付けては、何故いつもの服装から変える気がないのかとはな達は首をかしげる。

 

「とにかく、手がかりはあの屏風絵だけだ。武田軍か織田軍どちらかに敵が介入してくる筈だ」

 

気を取り直したゲイツは、あのザモナスと名乗ったライダーがどちらかの軍に接触するだろうと話す。

 

「よし。じゃあ、織田軍と武田軍からコンタクトを取るために二手に分かれようか」

 

ソウゴ達は織田軍と武田軍へと分かれて行動を開始する。

二手に分かれたソウゴ達は、武田軍とコンタクトを取ろうと村から離れるが、此処でツクヨミがとある事実を思い出した。

 

「武田軍ってどこにいるの?」

 

「さぁ〜……」

 

何処に行けば武田軍に会えるのかと言うツクヨミの問いに対し、歴史については未だに詳しい説明をなされていないことりが眉間に皺を作る。

 

「そもそも、ここは信長の住む村なので武田軍は村の外なのでは?」

 

「じゃあ、外に行くの?」

 

「いや、その必要ないよ」

 

ルールーの話を聞いて外に行けばいいのかとことりが聞くと、ウォズがわざわざ此処を出る必要はないと言う。

 

「さっきから我々を付けているのもが居てね。はぁ!」

 

ウォズがマフラーを伸ばし、背後の木へ向かって放つ。

するとそこから人影のようなものが見え、そこから一人の人物が降りて来た。

 

「忍者なのです!」

 

えみるの言うように、ウォズのマフラーを避けて現れたのは忍者だった。

 

「はぁ!」

 

忍者が襲い掛かって来るとツクヨミ達は攻撃を避け、ツクヨミがファイズフォンXで応戦する。

 

そこへウォズがマフラーを伸ばし忍者を捕らえた。

 

「南蛮に捕らえられた……お主が信長か!」

 

「武田の忍者君。君の話を聞こうかな?」

 

ウォズがマフラーを引っ張り、更に締め付けて尋問する。

 

「くぅ……信長に……大同している南蛮の娘を葬れば、報酬が貰えると……」

 

忍者がみんなに襲ったわけを話すと、重要な手掛かりになる情報を得た。

 

「信長と外国人の女性が?」

 

一方で、信長軍とコンタクトを取ろうとしたソウゴ達は…

 

「信長軍ってどこにいるの?」

 

「ここは信長の領地だから、いると思うけど……」

 

「でも、それでどうやってクリムの先祖に会うの?」

 

ミライパッドを使い、はな達が信長軍のいる拠点の場所を探そうとしていた。しかしほまれの言う通り、クリムの先祖がどういった人物なのか分からないので探しようが無かった。

しばらくして、別行動をしているツクヨミ達から忍者から得た情報が入る。

 

「外国人の女性!わかった!」

 

ツクヨミから連絡を受けたソウゴ達は信長と外国人の女性がいると知り、信長軍の拠点へ向かう為に村の門を潜る。

 

「タァァァァ!」

 

突如として、頭上から声が聞こえるとソウゴ達はそこを離れる。

何者かが着地すると、ゲイツは腰に掛けていた刀を構える。

 

「武田のものか?ここから先は通さんでござる!」

 

現れた織田軍らしき人物は小刀を構え、ソウゴ達を武田軍の刺客だと疑い始めていた。

 

「ハリー。お前ははぐたんとここから離れろ」

 

「おぉ!」

 

「ゲイチュ〜!フレフレ〜!」

 

ハリーがはぐたんに怪我をさせない為にソウゴ達から離れる。

ソウゴ達が離れようとしたのを見た男性は小刀を構えたまま、懐から何かを何枚か取り出し始める。

 

「はぁ!」

 

『っ⁉︎』

 

いきなり手裏剣を放った事に驚いたソウゴ達は一瞬体が硬直するが、ハリーとはぐたんに投げられた3割の手裏剣が迫っている事に気付くとすぐさま我に返った。

 

「ハリー!はぐたん!」

 

ほまれが飛び込みハリーとはぐたんを躱したが、その影響でハリーが妖精に戻ってしまった。

 

「さあや!」

 

「めっちょく!」

 

「タァァ!」

 

ソウゴはさあやとはなに手裏剣が当たらない様に二人の前に出るが、残った手裏剣はゲイツが刀で撃ち落とし、誰も怪我することは無かった。

 

「敵ながらお見事……ほーれーたーでーごーざーるー!」

 

手裏剣を全て難なくと躱したソウゴ達に、男性は先まで暗い雰囲気から一気に様子が変わった。

 

「ハリー。大丈夫?」

 

「おぉ……はぐたんも無事やで」

 

ほまれが大丈夫かと聞くが、はぐたんはハリーが下敷きとなって無事だった。とりあえずはぐたんをはなが抱っこする。

 

「敵じゃない……敵じゃないよ!」

 

「私達は信長に会いに来たんだ」

 

「ストレートに言う奴があるか」

 

信長に会いたいと語るソウゴとはなに、そう簡単に行かないだろとゲイツは言うが…

 

「この牛蔵が連れて行ってあげるでござる!」

 

『――えっ?』

 

「早う〜!」

 

簡単に会えるわけないと思っていたが、ひょんなことから信長と会えるようになったソウゴ達。

そのまま牛蔵と名乗った男性に案内された一同は、信長の拠点へと到着した。

 

『信長様の〜御成〜!』

 

その時、一人の兵士が信長が来ると発言し、ソウゴ達は信長の座る前に膝をついて構える。

 

「いよいよ。信長に会える――!」

 

「めちゃ!楽しみ!」

 

「二人共。そろそろ」

 

「来たで!」

 

ほまれとハリーが信長らしき人が現れたのを見て、ソウゴとはなの二人は再び黙り膝をつく。

 

「ん?」

 

すると、ソウゴの鼻に信長から何か良い匂いのする香りが漂っている事に気づく。

 

「―――牛蔵の言う連中とは、貴様か?」

 

「は、はい」

 

ソウゴ達の姿を見ながら、そのまま信長は床几に腰をかける。

その姿は、魔王と比喩されても何ら違和感の無い程の器の大きな存在だと、肌から感じとれるモノだった。

 

「……そこの者」

 

信長はソウゴ達を一見すると、ゲイツに向かって指を指す。

 

「腕が立つと聞いた。ここへかけて見ろ」

 

「はぁ……?あっ!はっ!」

 

無礼な口を言ってしまったゲイツは直ぐに訂正し、信長が腰をかけている場所へ座る。

 

「うぉ!」

 

「これがこうで。これがこうじゃ!

……おお。良きかな。良きかな」

 

「……?」

 

信長は自分が纏っていた鎧をゲイツへと装備させる。その光景に、ソウゴは疑問符を浮かべる。

 

「そして、最後に」

 

最後に自分の被っていた兜をゲイツに被らせ、自分の装備を全て装着させた。

 

「いいね〜!いいね〜!どう見ても!信長じゃん〜!」

 

「……えっ?」

 

確かにゲイツの格好はどう見ても信長そのものと言って良いほどだったが、信長の行動や態度にソウゴは違和感を抱き始めていた。

 

「じゃあ!」

 

「…えっ?ちょっと!」

 

「の、信長殿!」

 

逃げるように去っていく信長を見て、牛蔵は信長の後を追いかけ捕まえる。

 

「ちょっと待ってください!」

 

「なんだよ!牛蔵のケチ!」

 

信長はまるでわがままな子供のような態度で、牛蔵の腕を振り解く。

 

「ケチではござらん!」

 

追いかけてその様子を見たソウゴは、驚きのあまり言葉が直ぐに出なかった。

 

「これが、織田信長……全然イメージと違う」

 

聞いている歴史とは違うのに戸惑っていると、はなが信長と一緒にいる女性に気づく。

 

「その人は?」

 

「クララちゃんだよ」

 

「イックベンクララ・スタインベルト」

 

女性の名前の最後にスタインベルトと聞こえ、一同はもしかしたらと思い始める。

 

「スタインベルトって……」

 

「じゃあ、あの人がクリムの先祖で、敵の狙いもあの人なんだ」

 

さあやとほまれがクリムの先祖の名前を呟くと、牛蔵が彼女達の方に振り向きクララ・スタインベルトについて話し始める。

 

「クララ殿はオランダ商人の娘でござる。女子一人で危ないと信長殿が保護したのでござる」

 

「へぇ〜信長!良い人じゃん!しかもなんか良い匂いしてるし〜」

 

「しかし、武田との戦いの近いのに、信長殿はすぐクララ殿と……」

 

「?…あの信長さんは?」

 

ソウゴにそう愚痴を言っていると、さあやは信長を引き留めなくて大丈夫なのかと問う。

 

「えっ?……あぁぁぁぁッ!」

 

説明しているのに気を取られている間に、牛蔵は信長とクララがいなくなっていた事に気付いてシャウトする。

 

「あっ!牛蔵さん!」

 

「あぁぁ!」

 

「何やと!」

 

はながゲイツの背中を指さしながら見ると、そこには『影武者よろしく。どろん!』と描かれた紙が貼られていた。

 

「このままでは織田軍は勝てんぞ!歴史はどうなる…!」

 

「こうなったら……我々だけやるしかないでござる!信長殿!」

 

牛蔵が頭を抱えるゲイツの肩を掴み、彼を信長だと叫ぶ。

 

「―――えっ?」

 

「「「えっ?」」」

 

「……俺?」

 

「「マジ?」」

 

ほまれとハリーが唖然する中、ゲイツが信長の影武者となる羽目になってしまった。

そして元の服へと着替え終えたソウゴ達は、一度ツクヨミ達と合流することになった。

 

『はぁぁぁぁぁぁーーーッ!?』

 

「ゲイツが信長の影武者!」

 

ツクヨミが大声で影武者となったことを叫ぶと、村の人達の目がこっちに向けられた。

 

「ああああーーッ!はっはっはっ〜!」

 

今此処で信長の影武者の件がバレると色々面倒な事になるのは間違いないが為に、ソウゴは苦笑して何とか誤魔化そうと努力する。

 

「何がどうなってそのような事に?」

 

「なんか、成り行きって言うか?

正しい歴史では、信長が長篠の戦いで勝つ事でしょ。だから、守らなきゃって……」

 

ルールーの疑問に対し、ソウゴはゲイツが影武者となった理由を話すと、ウォズはゲイツの苦労をしているであろう表情を頭中に出しながら笑みを浮かべる。

 

「ゲイツ君らしい生真面目ぶりだね」

 

「さあやさん達は?」

 

えみるの言う通り、こっちへ戻ってきたのはソウゴとはなと、はぐたんの三人だけで、さあやとほまれとハリーがいなかった。

 

「ゲイツと一緒。何かあったらフォロー出来るようにね」

 

はな曰く、三人はゲイツの側に残っているらしく、もしもの事を考えてフォロー出来るようにする様だ。

 

「それで、肝心のクララさんと信長さんは?」

 

「ん……手掛かりは、匂いかな?」

 

『…匂い?』

 

どうやって信長ろクララを探すのだと聞くことりに、ソウゴが匂いが手掛かりだと言うが、はな達はどう言う事なのかわからなかった。

 

 

その頃、逃げ出した信長はクララと一緒に、誰もいない近くの川でおむすびを食べていた。

 

「…信長。大事な戦があるんじゃ?」

 

「戦よりクララちゃんの方が大事だって!」

 

「……ありがとう。信長」

 

信長は戦よりもクララの身の安全が優先していた。

そんな中、信長は隣に居るクララが震えているのを見て寒がっていると思い、何か焚き付けをしようと火を起こし、懐から何か取り出した。

そこへ、匂いを辿りに信長を追って来たソウゴ達が現れた。

 

「⁉︎ あれは!」

 

ウォズは信長を発見すると彼の持つものに目を惹かれ、急いで信長に駆け寄って()()が燃える前に止めると、手に取って翳す。

 

「やはり!蘭奢待(らんじゃたい)!」

 

ウォズは信長が持っていた枯れ木の切れ端を、蘭奢待であると気づく。

 

「らんじゃ?」

 

「何ですか?その蘭奢待って?」

 

「国宝級の芳香だよ。信長が持っていたって聞いたことがあるんだ」

 

「それで香りを追っていたのですね」

 

はなとことりの問いに対し、ソウゴは蘭奢待についての説明を行う。

 

蘭奢待――それは正倉院宝物の代表的な品の一つであり、『天下第一の名香』と謳われるそれは“沈香”という香木のことを指している。ちなみに、別名で黄熟香(おうじゅくこう)とも呼ばれているらしい。

原木は中心部がノミで削られて中空になっているが、これまで“足利義政”や“明治天皇”などがその一部を切り取ったと言い伝えられている。そして、織田信長もまたそれを切り取った一人であるとも言われている。

 

それを聞いたルールーは、匂いが手掛かりだと語った理由を理解した。

 

「その者なら!この信長を邪魔をするか!」

 

「「ヒィ!」」

 

「ごめん」

 

信長の一言にことりとえみるが怯えてしまう。邪魔をしたのかと信長にソウゴが謝る。

 

「だって〜!クララちゃん寒がってるじゃん!」

 

「あれ?」

 

さっきの覇気が無くなったのか、ことりは一気に拍子抜けの気分になった。

 

「焚き付け頂戴!」

 

「えっ?」

 

「もう良いよ!…これでいいや!これよく燃えそう!」

 

「えっ?」

 

焚き付けを近くにいたルールーにねだるが、首を傾げるだけの彼女に苛立ちながら視線を逸らした信長はウォズが巻いているマフラーを掴み、再び火を起こそうとする。

それを見て、ソウゴ達は後ろを向いて話し合う。

 

「ちょっと。あれが信長って人⁉ ソウゴが憧れてた…」

 

「聞いていた姿と違うような……」

 

「とても、我々の知る信長とは違います」

 

「むしろ、私は優しい人だと思うのです!」

 

授業で聞いた先生の話やインターネット等の文献では、信長は自身に敵対する者を数多く殺害し、必要以上の残虐行為を行ったとされ。今では戦国の魔王――『第六天魔王』と言われている信長のイメージ。

しかし、今ここに居る信長は従来言い伝えられている姿と違う事にツクヨミ達も戸惑う。

 

「う〜ん。ちょっとイメージと違うけど、でも面白くない?」

 

この信長の姿もソウゴからしたら、これもまた信長の面白い一面なのだと思っていた。

 

「おぉぉぉぉ!」

 

『あぁぁぁ!?』

 

振り向くと信長がウォズのマフラーを燃やし出し、それに驚いたソウゴ達は急いでマフラーを消化しようと試みた。

 

 

その頃、信長の影武者となったゲイツ達はと言うと……

 

『だぁぁぁぁーーーー!』

 

信長軍と武田軍との合戦が始まり、火花を散らし合わせる。

 

「行くよ〜武田軍のみんな〜!信長と一緒にいる南蛮の女を殺したら好きなもん。なんでも〜買ってあげる〜!」

 

『うぉぉぉぉーーッッ!』

 

武田軍の中にはなんとザモナスの姿があり、ザモナスの指示が武田軍の兵士達の士気を上げる。

そのまま武田軍はザモナスを先頭に、織田軍を盛り返す勢いで押し始める。

 

「あいつは……やむ終えん!」

『ゲイツ!』

 

ザモナスの姿を見たゲイツはやむなくゲイツウォッチを起動させ、ジクウドライバーを装着する。

 

「ちょっと!ゲイツ!」

 

「皆さん!離れてください!」

 

それを見て、兵士達はさあやに言われた通りにゲイツから離れる。

ゲイツはウォッチをドライバーにセットして握り拳でロックを解除しボタンを押し、タイマーが現れると交差した両手で抱え込む。

 

「変身!」

 

叫ぶと同時にドライバーを持ち、腕を広げながら回転させる。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 

仮面ライダーゲイツへと変身し、戦場の中へと入ってザモナスに立ち向かう。

 

「はぁぁ!」

 

「くぅ!」

 

ゲイツが飛び込みザモナスを抑え、ザモナスの攻撃を止めた。

 

「怯むな!進め!」

 

ゲイツはそう言って織田の家紋の旗を挙げる。その影響で織田軍の兵士の士気も上がり、武田軍への反撃を開始する。

 

「惚れ惚れする武将ぶり!これは屏風画になるぞ!」

 

そんな中、ゲイツの戦う姿を見ていた牛蔵が筆で彼の戦う姿を書き留めようとしていた。

 

 

信長を見つけたソウゴ達は、クララが安全にいられる場所を探すために移動していた。

 

「良い天気だね〜」

 

「そうだね」

 

信長とクララが会話をしている近くでソウゴ達は辺りを警戒していたが、今のところ敵が襲ってくるような様子はなかった。

しかし、後ろから彼らをつける黒い影は彼らに悟られないよう後ろから付けていた。

 

「なんか、疲れたね」

 

「信長。静かに……?」

 

「ソウゴ?」

 

急に足を止めたソウゴを見て、はな達はどうしたのだと疑問符を頭に浮かべる。

それと同時に黒い影は丸っぽい物体に付いた紐に火をつけ、ソウゴ達に向けてそれを投げ始めた。

 

『うわぁぁぁぁ!』

 

すると彼らの周りに向けて爆発物のようなものが飛んで来て、ソウゴの前で爆破した。

 

「みんな!」

 

「大丈夫⁉」

 

「は、はい!」

 

「問題無いのです!」

 

爆破によって視界が悪くなったのを見たソウゴとはなは仲間たちに呼びかけ、それにルールー達はしっかりと応じた。

しばらく煙が続いたが、全員に怪我はなかった事を確認したソウゴ達。しかしそんな中、ことりは煙の中に人影があることに気付く。

 

「⁉︎ みんな!」

 

煙が晴れるとソウゴ達の前に、武田軍の忍者が立ちはだかった。

 

「スタインベルト……俺が殺す」

 

そして忍者の群れの中から一人、現代に近い場違いな服装で現れた男性がいた。クララを殺すと言う口調から、ソウゴ達はザモナスの仲間ではないかと疑う。

 

「アンタもクララを狙っているわけか?」

 

「そんなことさせない!」

 

ソウゴとはな達が警戒しながら男性に構える。

 

「ジオウとプリキュアか……俺が潰す!」

『ゾンジス!』

 

男性は二人を睨みつけると、緑色のライドウォッチを起動させた。

 

「変身‼︎」

 

そしてウォッチを腰のドライバーに装填すると、背後に緑の生き物の皮膚の様なモノが全体に装飾された時計エフェクトが現れ、男性は右手親指と人差し指でアルファベットの『J』を作る動作を行い、ドライバーを回す。

 

『ライダータイム!仮面ライダーゾンジスー!』

 

変身を完了するとバッタを思わせる生物的なデザインが特徴した顔と身体、足の葉脈と両肩から突起物が伸び、金色の歯車の意匠が、上半身は非常に長い黒マントで覆われていた。

 

「ぬうぅぅ……ふんッ!」

 

それを見たソウゴ達は戦う構えに入る。

 

「ツクヨミ!はぐたんを!」

 

「ツクヨミは二人を守って!」

 

「わかった。こっち!」

 

はなとソウゴにそう言われ、はぐたんを抱いたツクヨミは二人を連れて木の陰へと隠れる。

それを見てソウゴ達はドライバーとプリハート、ミライクリスタルを取り出し構える。

 

『ジオウ!』

『ウォズ!』

 

「「変身!」」

「「「「ミライクリスタル!ハートキラッと!はぎゅ〜!」」」」

 

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

『投影!フュ―チャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

「輝く未来を、抱き締めて!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

「キュアマシェリ!」

「キュアアムール!」

「みんな舞い上がれ!希望のプリキュア!キュアアーラ!」

 

こちらも変身を完了し、ゾンジスが率いる忍者軍団に戦いを挑む。

 

「すげぇ!」

 

変身したソウゴ達を見て、信長は感心する。

 

「ふぅ!はぁ!」

「ヤァァァ!」

 

忍者達を抜け、ジオウとエールがゾンジスに立ち向かう。

 

「ヤァ!」

 

「ぐぅ…!うらぁ!」

 

「ソウゴ!ハァァ!」

 

ジオウの攻撃は直ぐに振り払われたが、次にエールが懐に入ってゾンジスに攻撃を繰り出す。

しかし、ゾンジスにはこれといったダメージが入っている様には見えず。それどころかエールの手は僅かに赤く滲んでおり、まるで生身の状態で鉄を殴った様な感触を直に味わっていた。

 

「うっ!」

 

「こいつ、硬い…!」

 

二人の攻撃はゾンジスの強固な守りで防がれ続けた。

ジオウとエールがゾンジスを引きつけている間、ウォズ達は忍者軍団と戦闘を行っていた。

 

「忍には、シノビで行こうじゃないか?」

『シノビ!』

 

シノビミライドウォッチを起動させると、ウォズはドライバーのウォズミライドウォッチと切り替えた。

 

『アクション!投影!フュ―チャータイム!誰じゃ?俺じゃ?忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!』

 

「ハァァ!」

 

フューチャーリングシノビとなったウォズは巧みに忍法を使い、出たり消えたりを繰り返し撹乱する。

 

「忍びの皆さんに!」

 

「私達の歌を届けます!」

 

「あなた達の心を綺麗に響かせる!」

 

忍者達が混乱しているのを好機と見たマシェリとアムールはツインラブギターを構え、アーラはリコーダーステッキを召喚していた。

 

「リコーダーステッキ!ミライクリスタル!」

 

リコーダーステッキを構えたアーラはミライクリスタル・ライムグリーンをセットした。

 

「心のトゲトゲ、吹き飛んでであげる!」 

 

ボタンを押して吹くと、先の方から無数の緑色の小鳥を生み出していく。

 

「プリキュア!バードアタック!」

 

忍者達にリコーダーステッキ向けて放ち、小鳥達が忍者達を包み込む。

 

「「ツインラブギター!ミライクリスタル!」」

 

ツインラブギターにルージュとバイオレットのミライクリスタルをセットする。

 

「アーユーレディ!」

「行くのです!」

 

ツインラブギターを使い、二人が弦を弾き演奏を始める。

 

「「届け!私達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ!」

「ズッキュン撃ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

マシェリとアムールがツインラブギターを持ち替え、赤と紫のハート型エネルギーを放つツインラブ・ロックビートを放つ。

 

『モウ〜ヤメマス〜!』

 

目がハートマークとなり満足した様子を見せると、忍者軍団が全員倒れた。

 

 

その頃、織田軍と武田軍との合戦場では……

 

「「「うわぁぁぁぁぁ!」」」

 

「ハッハッハ……」

 

ザモナスがタイムマージンを呼び出し、クライアス社が使用していたモノ同じ形態のキャッスルドラゴン型のタイムマージンが戦場に割り込んできた。

 

「卑怯だぞ!」

 

ゲイツもタイムマージンでザモナスのタイムマージンに応戦する。

 

「くぅ!」

 

ザモナスに押されるゲイツにさあやとほまれは顔を合わせる。

 

「さあや!」

 

「うん!」

 

「行くで!」

 

苦戦するゲイツにさあやとほまれはプリハートを取り出し、ハリーもジクウドライバーを装着する。

 

『ハリー!』

 

「変身!」

「「ミライクリスタル!ハートキラッと!」」

 

ハリーはウォッチを装填してドライバーを回し。二人はクリスタルをセットすると、二人の体が光に包まれた。

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

『ライダータイム!仮面ライダーハ・リ・ー!』

 

三人も変身を完了し、ゲイツの元へと向かう。

 

「おぉ!これはまた素晴らしい姿でござる!」

 

アンジュとエトワール、ハリーの加勢に、織田軍はさらに盛り上がる。

 

「「ハァァ!」」

 

「ちっ!」

 

アンジュとエトワールのダブルキックがザモナスのタイムマージンのバランスを崩させた。

 

「邪魔を!」

 

ザモナスはアンジュとエトワールに攻撃をしようと試みる。

 

『ジカンチェーン!』

 

だがそれを邪魔するように、タイムマジーンの腕をハリーのジカンチェーンが拘束した。

 

「ゲイツ!」

 

「あぁ!喰らえ!」

 

三人が動きを止めている隙にゲイツのタイムマージンは反撃に転じ、強烈なキックを繰り出してザモナスのタイムマジーンを破壊した。

 

『やったぁぁぁぁぁ!』

 

タイムマジーンを倒したのを見た織田軍は喜びの雄たけびを上げていた。

 

「はぁ!」

 

しかし、ザモナスがタイムマジーンが破壊される直前に脱出していた。

するとそこへ、武田軍の兵士がザモナスに話しかける。

 

「スタインベルトは見つかったか……よし行くぞ!」

 

ザモナスはクララの居場所を知ると、直ぐに合戦の戦場から去る。

 

 

所変わって、ゾンジスと戦っていたジオウとエールは……

 

「ハァァ!」

「タァァァ!」

 

ジオウのジカンギレードとエールのパンチがゾンジスの胴体に当たり、ダメージはそんなに無いものの衝撃自体は殺しきれるモノではなく、ノックバックを受けたゾンジスは僅かにバランスを崩した。

抜群のコンビ―ネーションで彼を追い詰めていた二人は、そのまま畳みかけようとする。

 

「ハァァ!」

 

「「っ⁉︎」」

 

だがそこへザモナスがゾンジスの加勢に現れ、ジオウとエールが不意打ちを受ける。

 

「エール!」

 

「大丈夫!」

 

攻撃を受けた二人は起き上がる。

 

「所詮、お前らは敵じゃないんだよ」

 

その後、ザモナスとゾンジスのコンビネーションに苦戦させられた。

 

「うらぁ!」

 

「「うわぁ!」」

 

ジオウとエールがゾンジスのパンチに吹き飛ばされ倒れる。

 

「じゃあね!」

 

ザモナスのボウガンがジオウとエールに放たれた。

 

「フレフレ!ハート!フェザー!」

 

そこへアンジュが現れ、ハートフェザーで矢を防ぐ。

 

「スタースラッシュ!」

 

「「⁉︎」」

 

アンジュの次にエトワールのスタースラッシュとジカンザックスが飛んできた。それによりザモナスとゾンジスは二人から離れ、それと同時にゲイツが二人に駆け寄ってきた。

 

「ソウゴ!エール!」

 

「お待たせ!」

 

「みんな!」

 

「とりあえず、こいつらをここから追い出そう!」

 

「うん!」

 

「私も忘れないで欲しいな」

 

「俺もやで!」

 

忍者軍団を片付けたウォズ達とハリーが現れると、ジオウ達はウォッチを取り出し起動する。

 

『ジオウ!Ⅱ!』

『ゲイツリバイブ!剛烈!』

『ワクセイ!』

『ギアヘリテージ!』

 

ウォッチをドライバーへと装填し、ドライバーを回すと四人がフォームチェンジする。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ライダー!ジオウ!ジオウ!ジオウ!Ⅱ!』

『ライダータイム!リ・バ・イ・ブ剛烈! 剛烈!』

『水金地火木土天海!宇宙にゃこんなにあるんかい!ワクワク!ワクセイ!ギンガワクセイ!』

『ヘリテージタイム!導け!心に望む未来へ!ハリーギアヘリテージ!』

 

『『フィニッシュタイム!』』

『ファイナリービヨンド ザ タイム!』

 

フォームチェンジが完了すると、ゲイツとウォズ、ハリーはドライバーを回して高く飛び上がった。

 

『一撃タイムバースト!』

『水金地火木土天海エクスプロージョン!』

『ヘリテージタイムフィニッシュ!』

 

三人はライダーキックを繰り出し、ザモナスとゾンジスの動きを止める。

 

「みんな!」

「行くぞ!」

 

エールがみんなに呼び掛けると同時に、ジオウがジカンギレードとサイキョーギレードを手に持つ。

 

『サイキョウフィニッシュタイム!』

 

そして、ジカンギレードのケンモードとサイキョーギレードを合体させ、剣から『ジオウサイキョウ』の文字が浮かび上がる。

 

「今だ!」

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

「アンジュハープ!」

「エトワールフルート!」

 

三人がメロディーソードのボタンを押して演奏し、虹色のエネルギーを作り出す。

 

『キングギリギリスラッシュ!』

 

「オリャャャャャ‼︎」

「「「心のトゲトゲ、飛んで行けー!プリキュア!トリニティ・コンサート!」」」

 

ジオウ達四人が技を放つと同時にゲイツ達三人が其処から離れると、そこへジオウ達の攻撃がザモナスとゾンジスに直撃。

 

「「うわぁぁぁ!」」

 

直撃した時にザモナスとゾンジスは吹き飛ばされ、直ぐに姿が無くなっていった。

 

「ふぅ〜!」

 

「「ソウゴ!」」

 

「えっ?」

 

「少しは被りを気にして欲しいね」

 

どうやらさっきのジオウのサイキョージカンギレードによる攻撃の際、三人共頭にギリギリ当たる直前だったらしく、ゲイツとハリ―、ウォズは苦事を溢していた。

 

「アッハッハ……ごめん」

 

苦笑しながらジオウが謝る。

 

「皆さん!」

 

「ゲイツ!無事だったのね!」

 

ツクヨミ達が信長を連れて合流し、全員が変身を解除する。

 

「信長!戻るぞ!」

 

「はぁ?」

 

「お前がいなければ、織田軍は勝てん!」

 

本来の歴史にする為にゲイツは信長に軍に戻るように言うが、ソウゴはゲイツの肩を叩いて制止させる。

 

「ゲイツ。信長にしたいようにさせたらいいと思う」

 

『えっ?』

 

「でも、それじゃあ歴史が変わっちゃう!」

 

ここで信長の好きにさせたら、後の歴史に影響を及ぼすのではないかとほまれ達は心配するが、ソウゴはそんな心配を一切していなかった。

 

「そうかな?俺達の知っている歴史って、現在の俺達が勝手にイメージしたものじゃない?」

 

「何が言いたいんだ?我が魔王?」

 

後世に伝えられてきた歴史は、後の時代の者達が勝手に想像した姿なのかもしれない。

要するにそう語るソウゴに、ウォズはよく理解出来なかった。

 

「例えば、ゲイツやツクヨミ、ハリーにルールーは、俺がオーマジオウになると疑わなかった。

……でも、今はどうなの?」

 

「「「「……」」」」

 

それを聞いた四人は、確かに自分達は信長やオーマジオウの過去やその人物像を、残虐で非道な道を辿ってきた、残酷で同情のしようのない人物だと思っていた。

そして全て歴史も、その諸説通りに進むものだとも思っていた。

しかし、実際に会ってみた信長は御覧の通り、外人の女性に現を抜かしており、とても魔王と呼ばれるような人物には見えなかった。

 

――そもそも、戦国時代において武将による人殺しは当時からすれば、生きる為には当たり前の行動。

もしかしたら信長よりも残酷な武将が居たかもしれないし、もしこの信長が後になって残酷な行動をしたとすれば、彼はこの時代を生きる為に仕方なくやってただけかもしれない。

 

そして、確かにソウゴは一度オーマジオウになったが、クライとの戦いの中で新たな進化を遂げた。

それ故に、今のソウゴには歴史通りに事を進めることが正しい事だと、そんな事は思えなかった。

 

「ゲイツ達にとっては未来でも、俺にとっては今なんだ!信長にだって!」

 

ソウゴは信長にも、今の時間を自分の望むように進むべきだと語る。

 

「信長も歴史じゃなくて、今も生きてる!」

 

さあやが言うとウォズが急に表情を暗くし、自分の持つ『逢魔降臨暦』の本を見つめる。

 

「ねぇ!信長。あんたが今したい事はなに?」

 

ソウゴは信長に、今は何をしたいのかと問う。

 

「クララちゃんを……送り届けたいんだ」

 

「わかった!行こう!」

 

信長の願いを受け入れたソウゴ達は、一緒にクララを送り届けることに協力する。

信長の意思を受け入れた一同がクララの行きたい場所へと連れて行くと、着いたのは山に近い所にある一軒家だった。

 

「ピエトロ!」

 

「えっ?」

 

そこから現れた神父姿をした外人の男性に、クララは走り出して抱きつく。

 

「マジ!あれ誰?」

 

信長はその外人に誰だと尋ねると、彼の名はピエトロ。彼はクララが愛している男性のようだ。

 

「私は神に仕える身。だが、君への身を断ち切れず神の罰を得た」

 

ピエトロは首にかけてある十字架を見せると、よく見てみると横の方が壊れていた。

 

「私の十字架は壊れた。神は大怒りだ!それでこんな辺境な地で修行していたのだが……」

 

十字架が壊れた事をきっかけに此処で修行をしていると話し、クララを愛した事で神の怒りを受けたのだと語っていた。

 

「ええい!面倒くさい奴!」

 

ピエトロの身の上話を黙って聞いていた信長は長話に痺れを切らし、彼から奪い取った壊れた十字架に蘭奢待を差し込んだ。

 

「おっ!蘭奢待!」

 

「…って、あれクリムさんの所にあった十字架だよね!」

 

ウォズが勿体ないと言わんとばかりに声を漏らすと、ソウゴ達はピエトロにかけてある十字架にクリムの金庫のものと同じだと気づく。

 

「奇跡だ!」

 

「奇跡ね!」

 

十字架が直ったのを見て、奇跡だと二人は喜びながら叫ぶ。

 

「つまりさ。お前の神はお前じゃなくて、俺とクララちゃんを引き合わせたかったじゃないの!だから、クララちゃんは……」

 

「神は許したのだ!クララ!」

 

「ピエトロ!」

 

「聞けよぉぉぉぉーーーっ!!」

 

頭を掻きながら信長は二人に色々話していたが、彼の言葉など今の二人には聞こえはしなかった。

 

「ありがとう。信長!お礼に私の家から鉄砲を送ります。3000丁程」

 

ピエトロとの恋が叶った感謝に、クララは信長軍に鉄砲を送ると話した。

――もしかすると、これが"鉄砲伝来"の時かもしれない。

 

 

その後、クララのおかげで織田軍に鉄砲が運ばれた。

 

「これ、歴史に立ち合ってないかな?」

 

「私もそんな気がしてきたのです」

 

今、日本の歴史の一部に立ち合ってないかなと話し合っていたことりとえみるは、鉄砲を見て喜んでいる牛蔵を横目に惚けていた。

 

「鉄砲3000丁が手に入れば勝ったも同然!」

 

「戦そっちのけでクララに世話焼いていたのはこの為か!」

 

「そうとは思えませんが?」

 

そこまで考えていたのかと信長に感心していたゲイツだったが、ルールーはそこまでは考えてないだろと突っ込みを入れていた。

そして肝心の信長はクララにアプローチをかけるが、やはり彼女はピエトロが一番のようだ。

そんな泣き崩れる信長の姿は、やはり歴史上で言い伝えられてきた人物像とは全然違う。

 

「ねぇ、信長って本当に魔王だった将軍だったの?」

 

「うん。なんか……」

 

「でも、いいんじゃない〜?信長面白いじゃん!」

 

思い描いていた信長の姿のギャップに頭を悩ませるほまれとさあやだったが、ソウゴはこんな信長でもいいんじゃないかと笑って言う。

 

「面白いで片付けるとは、流石は我が魔王」

 

「魔王でござるか?それは使えるでござる!」

 

ウォズが魔王と口にすると、牛蔵が何かに書き留める。

 

「何ですか?それは?」

 

「なんか、俺の伝記を作ってるんだってさ!」

 

さあやの問いに信長曰く、牛蔵が書いていたのは、後の世に書き残す自身の伝記だった。

 

「信長公は、勇ましく!恐ろしく!――そう、魔王でござる!後の歴史にそう伝えるでござる!」

 

牛蔵は信長に自分の理想図を言うが、当の本人はクララに振られた心の痛みの方が大きかったのか、彼の話をほとんど聞き流していた。

しかしそれを聞いたソウゴ達は、信長が魔王だったと言うのは後に構成されたものだと気づいた。

 

「私達の知ってた歴史って全て創作物だったの?」

 

「後世から見た歴史など、真実とは限らんかもしれないな……」

 

「なんでもいいじゃん!信長が信長の思うように生きられば!」

 

「まあでも、これで一件落着だね!」

 

信長の人物像は本来の歴史とは違ったが、優しい人だと知り、クリムの先祖であるクララを守り抜いた。

大丈夫だと思ったソウゴ達はタイムマジーンへと戻る。

 

「じゃあね!信長!」

 

二台のタイムマジーンはタイムトンネルに入り元の時代へと向かう。

それを見ていたクララ、ピエトロ、信長ソウゴ達が乗るタイムマジーンに手を振る。

信長はラブラブのクララを見て彼女の思いを諦めよう振り向くと、目の前に落ちてあるものに気づく。

 

「牛蔵……?」

 

それは『信長様。途中に御免。ドロン』と書かれた置き手紙と信長の伝記を記した物を残した、牛蔵の私物だった。

 

 

 

 

そして現代へと戻ったソウゴ達は、一度クジゴジ堂へと帰った。

 

「ただいま!……あれ?」

 

クジゴジ堂へ入ると、叔父の順一郎が椅子とテーブルで身を守って縮こまっていた。

 

「どうしたんですか?」

 

「そ、ソウゴ君達にお客さん。一応、お茶出しといたから!」

 

「えっ?誰?」

 

はなが順一郎にどうしたのだと聞くと自分達にお客が来ていると言われ、一体誰が来ているのだと考えていたソウゴ達だったが、順一郎はその答えを直ぐに返した。

 

「ゆ、幽霊の人!」

 

『幽霊っ!』

 

幽霊と聞いたゲイツとほまれは動揺し出し、さあやとツクヨミは興味津々の表情を浮かべる。

取り合えず、幽霊の正体を確かめるためにソウゴ達はリビングへと向かう。

 

「クリム!」

 

「剛さんも!」

 

そこには、お茶を飲んでいる詩島剛と、立体映像ではあるがクリム・スタインベルトがいた。

どうやら過去でクララを救った事で、クリムも無事に元に戻ったようだ。

 

「礼を言う、歴史は守られた。君達のおかげだ」

 

クリムが礼を言うと、剛と一緒に立ち上がる。

 

「ソウゴ。君に約束の物を渡そう」

 

そう言って二人は、懐から赤と黒のアイテムと白と黒のアイテムを取り出した。

 

「それ……」

 

「ライドウォッチ」

 

以前、アナザードライブの時に進ノ介から貰う予定だったが、クリムの頼みで預かる事が出来なかった物。

そして今、クリムと剛はドライブウォッチとマッハウォッチ、二つのウォッチをソウゴへと渡した。

 

「お前達が持っていてくれ。きっと、進兄さんも同じことをしたはずだ」

 

そのままソウゴは二人のウォッチを掴む。

 

「……ありがとう」

 

ウォッチをくれた事にお礼を言うと、ソウゴはライドウォッチを保管するダイザーへと向かう。

 

「フッ……」

 

ドライブウォッチを見てウォズが笑みを浮かべると、ソウゴ達の前から離れてクジゴジ堂から去っていく。

 

「ウォズさん?」

 

急にいなくなったウォズに気づいたえみるは少し不審に思ったが、ソウゴはそのまま最後のウォッチをダイザーへとセットする。

 

「遂に揃ったね」

 

「これで全部だね」

 

「ライドウォッチ!」

 

「うん!」

 

いままで起きた数々の苦難を、みんなと乗り越えた上でここまで集まったことに喜びを共有しながら、ソウゴは遂に全てのライドウォッチが揃った事に歓喜する。

すると、其々のウォッチが互いに反応するかのように全て光り出した。

 

『――えっ?』

 

突如、急に辺りが暗くなったことにソウゴ達は驚くも、直ぐにまた明るくなったことに安堵しつつ、どうして急に周りが暗くなったのかを考えようとした。

その時、はなとさあやはこの部屋で起こった違和感に真っ先に気付いた。

 

「クリムさん!」

 

「いない!」

 

「剛さんも!」

 

「どうしたんですか⁉︎」

 

明るくなったらクリムが消えており、彼のホログラムが居た場所の隣では剛が項垂れており、ことりとルールーが彼を介抱する。

 

「一体何が……?」

 

「大丈夫ですか?」

 

ゲイツが状況の把握をしつつ、ツクヨミが二人と一緒に剛の介保を行おうとすると、さあやが再び何かが消えた事に気付き、その顔を再び焦りを含んだ表情で染めた。

 

「ソウゴ君、ウォッチが⁉︎」

 

「えっ?ない!」

 

「何だと⁉︎」

 

どうやら消えたのはクリムだけでなく、ウォッチまでもが消えていた模様。

ソウゴとゲイツらは直ぐに辺りを探すが、ウォッチはダイザーごと全て消えていた。

すると、剛の口から空気が漏れたのを耳に入れたソウゴ達は安堵しつつ、起き上がった彼の顔を見る。

 

「―――ここは、何処だ?お前ら誰だ?」

 

だが、ソウゴ達の顔を見た剛から初対面にするような対応を施され、先までの記憶が無くなっていた事にはな達は目を大きくして驚いた。

しかし、彼の姿を見たソウゴはある言葉を思い出す。

 

『君がウォッチを受け継ぐと言う事は、彼らの記憶を受け継ぐと言う事だ』

 

それは、ウォズがソウゴがライドウォッチを使おうとした時に告げた言葉だった。

 

その頃ウォズは……

 

「ウォッチが遂に全て揃った!平成を駆け抜けたライダーの力は時見ソウゴが全て奪った!」

 

ライドウォッチのダイザーの前でウォズが語ると、その周囲からものすごい地響きが鳴り出す。

その衝撃は、クジゴジ堂にいるソウゴ達まで響いた。

 

「うわぁ!」

 

「地震!」

 

「いや、それにしては震度が――」

 

はなが転びそうになった妹を押さえている横でほまれは地震かと思ったが、ゲイツの言う様に揺れているというより、何が地中から出て来るような音が聞こえた。

 

「…ッ!」

 

「ソウゴ!」

 

「待って!」

 

何かを察したのか、急にクジゴジ堂から出て行くソウゴをはな達は追いかける。

 

「っ!」

 

ソウゴ達が外に出ると、はくぐみ市の山岳辺りから何かが現れたのが見え、多くの人達が集まっていた事にも気付いた。

 

「何だあれは?」

 

「行こう」

 

ゲイツがさっきまで無かった光景に目を疑っていると、ソウゴ達はそこへ急いで走って向かう。

しばらくしてから現場に到着すると、そこには古墳のような形をした遺跡のような建築物が出現していた。

 

「ウォズ……」

 

そこには、ウォズが一人立っていた。

 

「祝え!」

 

ウォズが叫ぶと周りから炎を吹き上げ、そこから旗を持って掲げるカッシーンの姿があった。

 

「過去と未来をしろしめす時の王者。時見ソウゴが真の大魔王となった瞬間である!」

 

ウォズが時見ソウゴだと叫ぶと、はくぐみ市の住民は一斉にソウゴに注目する。

 

「えっ?」

 

「いざ!時見ソウゴ!玉座へ!」

 

ウォズの背後には玉座の椅子、その隣には全てのウォッチがダイザーに収められている状態で置かれていた。

 

〈ドン!ドン!ドン!ドーン!ドン!ドン!ドーン!〉

 

『ソウゴ!ソウゴ!ソウゴ!ソウゴ!』

 

太鼓の音に合わせて住民がソウゴの名を叫ぶ。

それにつられてソウゴ達はウォズが用意した玉座へと向かう。

 

「玉座なんて……考えた事なかった」

 

「ずっと、王様になりたいと言っていたのはお前だろ」

 

「ソウゴ!遂に夢が叶ったね!」

 

「さあや……うん!」

 

小さい頃から王様になるのが夢で、今日まで王様になると言い続けたソウゴの夢が遂に叶った。

そして、最低最悪の魔王になる事を危惧しつつも王様になる夢自体は認めていたゲイツも、それを小さい頃からずっと見守っていたさあやも、自分の事であるかの様に喜んだ。

 

「よ〜し!何か行ける気がする!」

 

ソウゴはみんなに大きく手を振りながら玉座へと向かい、そのまま玉座のある階段を登り終える。

 

「よし……えっ?」

 

ソウゴ達が玉座へと着くと、一同はその光景に自身の目を疑った。

 

「誰?」

 

「何……?」

 

虎の毛皮のカバーが敷かれた玉座には既に一人の男性が座っており、その男の周りにはウォズのような服装をした集団がいた。

 

「あっ!あそこを見て下さい!」

 

「何で、あいつらもいるんや!」

 

更にえみるとハリーの視界には、ザモナスとゾンジスに変身した二人の姿もあった。

 

「……いい面構えになったな。とても影武者とは思えないぞ」

 

「はい。我が魔王」

 

「…ウォズ?」

 

「影武者って?」

 

「王の前だ!跪け!」

 

はながウォズにどういう事か聞こうとするが、その前に赤い衣服で身を包んでいる男と一緒にいた男性が近づくと、いきなりソウゴの頭を掴んで強引に跪かせようとする。

 

「ちょっと!」

 

「何をする!」

 

「わけわかんない!」

 

「何ですか⁉︎」

 

止めようとするゲイツ達の前へ、同じ仲間の一人がソウゴを玉座の前から放り投げる。

 

「うわぁぁぁ!」

 

放り投げられたソウゴが地面に転がり倒れると、アーサーセイバーウォッチとミステリーフリーズウォッチが懐から零れ落ちる。

 

「うっ!」

 

ソウゴは咄嗟にアーサーセイバーウォッチを掴むと、残るウォッチを掴もうとする。しかし…

 

「これは返してもらう。元は俺のものだからな」

 

玉座へ座っていた男性に、ミステリーフリーズウォッチを取られてしまった。

 

「くぅ……返せ」

 

ミステリーウォッチを返せと手を伸ばすると、男性はソウゴの肩に足を乗せる。

 

「あんたは……誰だ……」

 

「時見SOUGOだ!」

 

「えっ?」

 

「時見、SOUGO……?」

 

なんと、男性は自ら『時見SOUGO』だと名乗り、時見ソウゴと同じ名前にソウゴ達だけでなく、その場に居合わせた住民も驚く。

 

「これまで替え玉をよく務めてくれて、ご苦労だったな!」

 

『ッ⁉︎』

 

"替え玉"とソウゴへ告げられた言葉で全員がさらに困惑する中、そこにいるウォズだけが平然としていた。

 

「うらぁ!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

『ソウゴ(さん・時見先輩)!』

 

蹴り飛ばされたソウゴはそのまま転がる。

しかしその時、彼の脳裏にある記憶が映し出された。

 

 

――それは、スウォルツによって送られた未来の世界にて、ダイマジーンが街を破壊する光景。そこには、まだ5歳のソウゴの姿があった。

逃げ惑う人々の中に、玉座へ座っていた時見SOUGOがいた。

 

『っ⁉︎』

 

『はぁ!』

 

そこへダイマジーンに襲われそうになったソウゴを、SOUGOが念力の様なモノを放ってダイマジーンから守った。

その光景を見たあの男――スウォルツがソウゴの目の前に現れた。

 

『少年よ。お前は生まれながらの王』

 

しかし、そう告げた彼すらも知らなかった。今の力は、この子の力じゃないという事実に…

 

 

「――はぁ、はぁ……そうだ……あれは……」

 

「思い出したようだな」

 

「ハァー…ハァー…ッ!」

 

「俺達が2000年代生まれの子供から、お前を選んだ」

 

まるで利用する為に選ばれたのだと、意識が朦朧とする中で告げれられた真実に、ソウゴはただ黙って聞くことしか出来なかった。

 

「俺達はクォーツァー!歴史の管理者だ…」

 

「はぁ……あっ……」

 

意識を失う直前、全て利用されていた自分の存在も、自身が望んだ夢も、彼等に全部都合良く利用されていたのだという事実に絶望、唖然、混乱し。それらの感情に揉みくちゃにされながら、目の前を真っ黒に染めた。

 

 

 

「これが、平成ライダーの歴史の最後の1ページです。

時見SOUGOは全ての平成ライダーの力を集め……王として永遠に世界に君臨し続けたのでした。

めでたし……めでたし」

 


次回

 

特別編5 劇場版 HUGっとジオウ!Over Quartzer!~後編~

 

 




おまけ

さぁ〜て!次回の『Re.HUGっとジオウ!』は〜?

吉良ココア「私の名前は吉良――えっ、尺が無くなるから自己紹介は無し?・・・すまない。
それはそうと、終盤に主人公が平成アンチ軍団に捕まってしまったわけだが・・・彼はこれからどうするのだろうか・・・・・うん、今日はもう寝よう!今夜もぐっすりとニコニコ眠れると良いなぁ・・・

さて次回は――

『新たなる世代に対抗するは平成ではない・・・この令和だッッ!!』
『馬鹿と天才、平成と令和は紙一重』
『P.A.R.T.Y~ユニバース・フェスティバル~』

――の三本だ」

次回もまた見てね☆ぴかぴかピカリン!ジャンケンポン♪

ピース「はい!私の勝ち!なんで負けたのか、次回のお話までに考えて来てね♪」

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