D.C~if~   作:ゆず菜

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皆さんこんにちわ。
ゆず菜です。

今回はD.CIIから約20年後のお話です。
息抜き程度に書いているのと私が描きたかったものとなっております。

よろしくお願いいたします。


白河椿の章
プロローグ


 

 

「椿ちゃんて空気読めないよね〜」

 

「本当にね〜」

 

人の心が聞きたいと願った。

大きな桜の木はそれを叶えてくれた。

 

 

 

「椿って人が変わったよな」

 

「ああ、確かに。人の心が読めるっつうか。」

 

「あそこまで行くと気持ち悪いな」

 

 

人の心の声なんて聞きたくないと願った。

 

 

 

だが、大きな桜の木はそれを叶えてはくれなかった。

 

 

 

 

 

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「椿?早く起きないと学校遅刻しちゃうわよ?」

 

まどろみの中、母の一声で覚醒へと近づく。

まだ起きたくない。

私は今できる限りの抵抗として無言を貫いた。

ただでさえ見たくもない夢を見てしまったのに行きたくもない学校へ行かなければならないのか。

 

「またあなたは……。もう歌恋くん来てるわよ?」

 

桜内歌恋。家がお隣さんで小さい頃からの幼馴染の男の子である。

お隣の桜内さんとは母が学生時代からの親友同士で親密な関係にある。

それが故に毎朝私の家に転がり込んでは起こしに来る。

言ってしまえば極度のお節介焼きなのである。

 

「ちっ、またあいつ勝手にきやがった」

 

覚醒した意識の中、母には聞こえないように小さな声で悪態をついた。

 

「女の子がそんな言葉遣いをしちゃいけません。それに歌恋くんに失礼でしょ?」

 

どうやら聞こえていたようだ。

問答無用で私の布団を引き剥がす母。

こうなってしまったら私は起きて学校へ行かなければならない。

体を起こし母の方に目をやる。

にっこりとした笑顔なのだが少し怒気が混ざっているような顔をしていた。

 

「…………おはよう」

 

「はい、おはよう」

 

これ以上母を怒らせてはならないと無理矢理体を動かし準備を始める。

 

「それじゃ、お母さん下に戻るからね。二度寝はダメだよ?」

 

母が部屋を出たのを確認し制服へと着替える。

今日から風見学園の本校へと上がる私は今までとは違う制服を着ることに気が付き、クローゼットを開ける。

するとコンコンとドアがノックされた音がした。

 

「……何?」

 

「おう、椿。おは……」

 

母だと思って返事をしたはずなのだが部屋に入ってきたのは歌恋。

そして私の格好はパンツとブラジャーだけの姿。

 

「待て椿。話せばわかる」

 

慌てて手のひらで目を隠す歌恋。

隠しているように見えて指の間からチラチラと視線が漏れているのがバレバレである。

 

「はぁ……、別になんもしやしねぇよ。とりあえず部屋から出ろ」

 

漫画とかアニメならこういう状況になった時ビンタとか蹴りを入れるものらしいのだがそんなことはしない。

首も座ってない時から一緒に過ごしてきた野郎だ、もちろんお風呂だって一緒に入ってる。

裸だって見せあっているのだから今更パンツやブラジャーなどで焦る私ではない。

 

「あ、あぁ。悪かった」

 

回れ右をして私の部屋から出ていく歌恋。

何を今更照れてるのか分からないが男とはそういうものなのかと勝手に答えを出し本校の制服へと着替える。

空っぽの学生鞄を引っさげ部屋を出ると廊下の片隅で体育座りをしている歌恋がいた。

 

「おい、行くぞ発情猿」

 

「ちょ、それは酷くないか!?」

 

「るっせぇな」

 

1階へと降りる私の後ろを慌てて着いてくる。

玄関を出ようとすると母に声をかけられた。

 

「朝ごはんいらないの?」

 

「あー、歌恋次第」

 

歌恋の両親、義之おじさんと小恋おばさんは多忙な毎日を送っている。

義之おじさんは枯れない桜の研究をする研究員であり、小恋おばさんは朝6時からでも預かれる保育所に務めている。

なので2人が居ない時は我が家で朝食を取ることがある。

 

「あっ、今日は母さんがいたので大丈夫です!」

 

そう答えると母はリビングに戻りお皿の上に乗った1枚のトーストを差し出してきた。

 

「食べながら学校に行きなさい。さすがにお腹すいちゃうでしょ?」

 

厚意に甘え、トーストを持ちながら靴を履く。

トーストをひと口かじるとほんのりとバターの風味がした。

重い足取りで玄関を出る私に母が挨拶をする。

 

「行ってらっしゃい」

 

「「行ってきます」」

 

歌恋がいると重い足取りも少しだけ軽くなる。

恋愛感情はないのだがやはり腐れ縁。

信頼はしているし、学校でも私のフォローをしてくれる数少ない友人であるからだろう。

 

道路に出るとちょうどゴミ出しをしていたであろう小恋おばさんに遭遇した。

 

「あれ椿ちゃん。おはよう」

 

にっこりとした笑顔がとてもキュートである。

 

「小恋おばさんおはよう。そしていってきます」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

挨拶を交し、学園を目指す。

通学路は満開の桜でびっしり埋まっている。

今は春で桜が咲いているのが普通だが、20年前くらいは一年中咲いていたらしい。

そんな不思議な島の住人である私は至って普通の生活を送っていた。




読んでいただきありがとうございます。

次回からは私が描きたかった物が本文の最後にございます。
よろしくお願いいたします。
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