なんかVtuberやれってさ   作:バールクス官房長官

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そろそろ前書きのネタが無くなってきて困ってます。
皆よく毎回書けるなぁ…。


第五話 #橋本起きろ

浅城さん、谷村さんと会った翌週の事。俺は詩音と共に会社に向かっている。

というのも、3期生皆に話があるらしい。

あと詩音の様子がおかしい。こいつずっとニコニコしてるんだよ。

 

「やけに機嫌いいな。どうしたよ?」

「だって先輩が誘ってくれたんだもん!一緒に行かない?ってさ」

 

それだけでこんなんなるもんなのか?

 

「そりゃ何よりだけど、そろそろ離れてくれないか?周りの目が辛い」

「えー?いいじゃん!ね?ね?」

「ね、じゃない」

 

なにせこいつは顔が良いのだ。すれ違う野郎共がこぞって振り返り二度見するくらいには美少女で、それ故手を繋がれている俺を見る目が皆殺気に溢れている。

 

「なにするんだろうね、今日」

「さぁな。そっちは何か聞いてないか?」

「ううん。なんにも」

 

そうこうしている内に、会社に着いた。入口に浅城さんと沢田さんがいる。どうやら待っていたようだ。

 

「どうも品村さん。おっ、古崎さんもご一緒でしたか」

「お疲れ様っす。昨日ぶりですね」

「二人とも昨日会ってたんだ。仲良いの?」

「まぁな」

 

俺達はあれから何度か会うようになっていた。お互いクセ強めの相手に振り回されているという共通点があり、度々ご飯を食べに行っている。

 

「へぇ〜…そうなんだぁ…」

「どうしたんだよお前は」

 

さっきから浅城さんを睨み、俺の腕に抱きつきながら威嚇じみたことをしている。

今日のこいつはどうしたんだ?あとあんまりくっつかないでくれ。恥ずかしいんだ。谷村さんの話の後、幾分かは受け止めると決めたが、それでも上限というものはある。

 

「だってぇ…」

「俺に飼い主を取られるとでも思ったんでしょ」

「いや犬じゃないんだから…」

「ほんと、古崎さんは先輩が好きなんですねぇ」

「うん!大好き!」

「またそういうことを…。で?今日は何するんです?皆呼んで」

「それは後で話します。お二人とも、そこの小会議室で待っててください。あと3人連れてきますから」

「了解っす」「はーい!」

 

揃って返事して、部屋で待つ。少しすると、

 

「久しぶりー!詩音ちゃーん!」

「あーっ!ももちゃん!」

 

谷村さんが来た。

 

「あら、品村くんもお久しぶり。元気にしてた?」

「ええ。…ももちゃんて呼ばれてんですね」

「し、失礼します…」

 

少し間を置いて、別の人が入ってくる。こっちは初めて見るな。

 

「奈々ちゃーん!やっほー!」

「ひぇぇっ…」

「こら、大声だしちゃダメじゃない。怖がってるでしょ」

「あ、そうだった!ごめーん!」

「ううん。いい…いいよ。ところで、そこの人は誰?」

「詩音ちゃんの先輩」

「どうも、先輩です」

「ひっ…!あ、あの……どうも…」

「あぁ、この子はね、かなり人見知りで最初はこの調子だから。じきに良くなると思うわ」

 

そうか。ならあんまり怯えさせるような事はしちゃだめだな。詩音みたいな大声とか。

 

「あれ…?享さんは?」

「そういえばいないわね。まさか…」

 

また知らない人の話だ。その人も同期の人だろうか?

 

「失礼します。谷村さん、飯塚さん、橋本見てませんか?」

 

橋本?さっきのとおるさんか?名前知事じゃん。

 

「…やっぱりこうなるのね…。私は見てないわ」

「私も見てないよ」

「外に出たとか?」

「いや、それはないです。沢田に入口見張らせてるんで。何かあったら連絡来ます」

 

だから入口に沢田さんいたんだ。

 

「となると…」

「…寝てるな、アイツ」

「仮眠室ね」

「行こう」

 

皆で仮眠室に向かう。誰でも使える場所だし、いてもおかしくはない。おかしくないけど…。いるの?こんなとこ。

 

「いたね」

 

いた。

 

「はぁ…起きろ。おい知事起きろ。都構想はもう負けたんだ」

「なんで都構想…?」

 

てか知事て。さっきの俺と言ってる事一緒じゃん。

 

「んん…?なにぃ…?」

「なにぃ?じゃねぇわ。何寝とんねんコラ」

「だって、待ってる間に眠くなってさぁ」

「だったらコーヒー飲めや。ブラックな。目が覚めるぞ」

「飲めないの知ってるでしょ」

「何のことだか」

「んで?そこの子は?見たことないけど」

「先輩」

「そっか、君が。僕は橋本享。Vtuberとしてだと、板倉颯人。知事じゃないよ。よろしくね」

 

板倉颯人。ここに集まっている5人と同じ、きらぼし3期生。10人中最低でも9人はイケボと答えるような良い声で、女性人気がかなり高め。台詞枠とかASMRをやれば、大多数が限界化する。加えて歌も上手い。ただ、これだけ女性ウケする要素が多いにも関わらず、視聴者の比率は男性の方が高め。それもそのはず、彼が好むのは、アニメやゲームだ。しかも、ロボアニメやカードゲームなど、少年心をくすぐるものばかり。まさに男女共に人気、というわけだ。

にしても、さっきから何か引っかかるんだよな…。どこか違和感があるというか…あっ。

 

「橋本さんと浅城さん、仲良いんですか?タメ口ですけど」

 

そうだ。浅城さんがタメ口なんだ。この人は基本誰にでも敬語で接している。特に仲のいい相手でなければ、崩すことはない。

 

「そうだよ。仲良いよ僕らは」

「ええ。なんたって高校からの付き合いですからね」

 

そうなんだ。

 

「我々、元々Vオタクでしてね。よく二人で話してたんですよ」

「あったねぇそういうの。あっ、あれ覚えてる?自分の推しが一番だー、って互いに譲らなくてさ、リアルファイト始めたの」

「あった!あれ楽しかったなァ!」

「楽しいんだ…」

「武闘派出てるわよ」

「おっと」

「ただね、僕ら最初からこの仕事じゃなかったんだ。別の事してた」

 

そうだったの?橋本さんはともかく、浅城さんは元々こっちで働いてると思ってた。

 

「久しぶりに二人で会った時、V関連の仕事したかったなぁって話したら、博臣がじゃあやろうぜ!って」

「それで、社員と配信者になったと」

「じゃあ浅城くんのお陰なのね」

「うん。今でも感謝してるよ。きっかけくれて…」

「何さいきなり」

「あ、照れてる」

「照れてねぇです」

 

そうやってワイワイ盛り上がる3期生一同。皆の仲が良い、あったかい人達なんだな、と心からそう思った。

 

「ただ、あいつには一つ、どうしようもねぇ難点がありまして…」

「え?」

「ま、この話はまた今度。では、皆さんを集めた理由を…っておい」

 

浅城さんの向いた方をみると、橋本さんがまた寝ていた。

 

「…さっきの難点、こういうとこです。すぐ寝るんですよ…」

「はは…」

 

やっぱここは、いい人でも、一筋縄じゃいかない人達だらけだな…。




今回特に触れられなかったもう一人の初めましての人と、何故3期生が集められたのかは、次回詳しく書きます。
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