なんかVtuberやれってさ   作:バールクス官房長官

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だいぶ間が空いてしまい申し訳ございません。
今かなり仕事が忙しく、書く時間が確保できませんでした。
これからも当分は投稿頻度が下がることになりますが、ご理解頂けましたら幸いです。


第七話 初の大仕事のはじまり

きらぼしは、配信だけの企業ではない。映像事業も行なっている。元々きらぼし、他社のダイヤライブの数人と個人勢で結成された「バーチャル演劇部」の劇を2社合同の映像プロジェクトにして、作品を数多く制作している。中でも元演劇部メンバーの演技は高く評価されており、見た本職の俳優は口を揃えて上手いと言う。また、シナリオもクオリティが高い。噂によると、きらぼし社員2人が脚本の考案と執筆をそれぞれ担当しているらしい。が、それが誰かはわかっていない。

 

「作るっていうより出るなんですけどね。ま、役者も作り手みたいなもんだし間違ってねぇか」

 

その新作に、演技経験ゼロの俺が参加することになった。

正直不安しかない。

他の皆も同じ気持ちのようで、

 

「私…大丈夫かな…」

「私元々声優だったけど、あれぐらいの芝居できる自信はないわ…」

 

と口々に語っている。あと谷村さんよ、あなたは声優だったのか。

 

「そんなにすごいの?」

「お前見たこと無いの?素人のモンではない」

「まぁ、そんなに気負わなくても大丈夫ですよ。それなりでもどうにかなりますから」

「博臣のそれなりと僕らのそれなりは違うの。簡単に言うな、部長」

「おめーも部員だろうがよ。なんなら高校からやってるじゃねぇか」

 

話によると、2人は国内最大のコンクールで毎年最優秀賞に輝く名門校・隆星高校の演劇部OBだとのこと。浅城さんに至っては、所謂「黄金世代」を率いた部長らしい。バーチャルの方の演劇部でも部長を務めている。橋本さんも部員だったとか。

 

「あと、実は僕らみんなの知り合いに、脚本担当がいるんだよね。ほんとは文芸部の子なんだけど」

「え、だれ?」

「皆さんが見た事ある奴です」

 

皆で誰だ?誰だ?と考えていると、

 

「失礼します」

 

沢田さんが入ってきた。

 

「おっ、噂をすればなんとやら」

 

噂?いやまさか。

 

「はい、これ直したやつ。10ページ2行目から12ページの最後まで、あと、37ページの前半も修正したから」

「…うん、OK。これでいこう」

 

渡された台本を読み、浅城さんがゴーサインを出す。ってことは…。

 

「みゆきちゃんだったの⁉︎」

「そうだよー。ちなみに考案は博臣」

「…あぁ、言ったんだ」

「別に困りはしないだろ?」

「まぁね」

 

なんということでしょう。天下の隆星黄金世代、それも中心メンバーが3人ここにいたなんて。そりゃ質の高い話になるわ。でも、なんで分担してるんだろ?

 

「どうして、別々なんですか?」

「私、自分で話を考えられないんです。思いつけたら幾らでもやれるんですが…」

「だからいつも、話は私が考えてるんですよ。昔から」

「そうそう。あ、後もう一つ話あるんだけど」

「何?」

「いつも制作側でキャスト決めてるじゃない?今回、逆オファーした人がいてね。何の役やらせる?」

「誰よ?そいつ」

「狗堂むくろ」

「え!?マジ!!!???」

「うるせぇよ知事」

 

狗堂むくろとは、映像事業で手を組む競合他社・ダイヤライブの女性メンバー。元が役者志望で、学生時代は演劇部だった。橋本さんが彼女の大ファン。

 

「あんた見たら卒倒するんじゃない?憧れの隆星の黄金部長だし」

「その前にこいつが倒れるな」

「そうね。一緒のシーン減らす?」

「そうしよ」

「と゛お゛し゛て゛た゛よ゛ぉ゛!゛?゛」

「黙れって藤原○也」

 

そういえば。

 

「みんなはどんな役だったの?」

 

ちなみに、今回の話はヤクザ・半グレ・悪徳刑事の全面抗争だ。組の金と薬に手をつけた半グレを追うヤクザと、そいつとつるむ悪徳刑事が潰しあうというもの。今までの青春や感動系とは違う、新ジャンルを開拓するようだ。

 

「私は三倉。半グレの女」

「私は…永元。組長の娘だった。そういう詩音さんは?」

「染崎っていう婦警さん!先輩は?」

「千道。ヤクザのゲス若頭」

「僕は内海。半グレの殺し屋」

「私は悪徳刑事の郷上ですね」

 

おぉ、浅城さんメインキャラ。

 

「言動とかは皆さんの普段をイメージしたものにしてます。いつも通りの声でやって下さい」

 

作品はVtuberの特性上、声で演じるアニメ形式だ。

 

「そうだ。どうせだしここでちょっと練習したら?初めても何人かいるし指導しなさいよ」

「そうだな、ちょいとやるか。じゃあとりあえず…どこのでもいいので自分の台詞読んでみてください」

 

そこから練習が始まった。流石は元部長というだけのことはあり、浅城さんの教え方は的確だった。

 

「うん、飯塚さんはこれで大丈夫ですね。次、品村さん行ってみましょうか」

「あ、はい!えっと…」

 

うっわ緊張がすごい。落ち着け、落ち着け俺…キャラのイメージに合う言い方で読むんだ。千道は軽薄で、周りを見下したような感じだから…。

 

「うるせぇよ馬ァ鹿!そこらの馬鹿共が100死のうが1兆死のうが知ったこっちゃねぇだろうが!」

 

少し笑いながら…こんな感じかな…。さて、批評は?

 

「……」

 

あ、あれ?なんで黙ってるのかな?

 

「…こりゃ驚いた。初めてでしたっけ?」

「はい」

「すっげ…。俺言うことないわ」

「え?なんもないんですか?ここダメだった、とか」

「いや、なんもないです。むっちゃ上手いですよ」

「いやいや嘘でしょ素人ですよ?」

「本当に凄かったよ」

「うん!先輩すっごく上手かった!」

「凄いね品村くん」

「本当に凄いわね…浅城が手放しで褒めるの初めて聞いたかも」

 

そんなに凄いのか。まさかこんな才能があったとは。

 

「ちなみに、博臣さんはどうなの?」

「んじゃ、一丁やってみせますか」

 

台本をパラパラとめくり、台詞を探す。丁度良いのが見つかったようで、

 

「では…あ゛ぁ゛ったく!どいつもこいつもほんっと面倒くせぇなオイ‼︎………こんなもんですかね」

 

瞬間、その場にいた全員が黙った。元々低かった声に怒気が加わり、凄まじい威圧となって襲いかかってくる。

 

「…久々に怒鳴り声聞いたけど、恐ろしいねやっぱ…」

「これが…演劇部…」

「すっごいね…」

「…少しは加減考えなさいよ。飯塚さん怯えちゃったじゃない」

 

そう言う沢田さんも、手が少し震えている。

やはり演劇部長…実力は比べ物にならない。

 

「…何も最初から私やら元部員やら並みで、とは言いません。皆さんこれまででも上手い方なので、後は自信さえ持てれば大丈夫ですよ。部長のお墨付きです」

 

まぁ一番はやりたいようにやることですよ、と付け加える。

 

「ねぇ、またみんなで練習しない?」

「いいわね、やりましょう」

「うん」

「僕もいいよ」

「なら私も」

 

重圧が重くのしかかってくるし、プレッシャーもハンパない。

でも、それ以上に楽しみでもある。

俺も負けないくらい頑張らないとな、なんて思いながら皆と練習の日程やら段取りやらを考えるのだった。




浅城の設定ばかり増えている気がする…。
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