一応今回は最初の話より前、出会ったばかりの時の話です。
序ノ章
葛葉紘汰。元ビートライダーズの一員で戦極ドライバーの実験台第一号の男だった。この世界がヘルヘイムの侵略を受けた時、彼は最前線で戦い、最後まで生き残った。
そして彼は、黄金の果実を手にして神に等しい存在となった。しかし彼はこの世界を己のものとせず、どこかの星に旅立った。
彼は自分のためでなく、世界の為に、自分ではない誰かの為に戦った。それに比べ、俺は人類を守るためとかそんなんじゃない。仕事だからやってた。そんな感じだった。
ユグドラシルという会社に入り、黒影トルーパー隊として働き、最後にはユグドラシルに見捨てられた。
そんな出来事あったのが一年前。俺は学生時代の先輩の口利きで346プロのアイドルプロデューサーになった。今はすべての事件の発端である沢芽市に来ていた。ダンスステージではビートライダーズが楽しそうに踊っている。一度ビートライダーズをアイドルにスカウトしたことがあるが、残念ながら断られた。
大舞台で踊るより、「ここ」で踊っていたいらしい。
この街で復興の現場を見ながら考える。ユグドラシルタワーが占拠されてから少しは戦ったがもう意味はないと、人類は滅びるのだと考え、諦めた。本当にそれが正解だったのか、今も迷う。
ビートライダーズの活躍で街は救われた。俺にも何かできたんじゃないのか、そう思う。懐からマツボックリのロックシードを出した。黒影トルーパー隊員の戦極ドライバーとロックシードは全て回収、処分された。俺もそうだったが、こっそりと一つ隠し持っていた。目の前で死んだ隊員のドライバーとロックシードを奪った分だった。
「こうして気楽に生きてていいのかな…俺は」
ずっと後悔ばかりが押し寄せる。目の前で見捨てた命だってある。しばらく考えてから腰を掛けていた椅子から立ち上がり、歩き始めた。その時、少女とぶつかってしまう。
「あ」
「おっと」
少女が倒れそうになったのを支える。
「大丈夫かい?」
「………うん」
少女は少し俺の眼を見てから俺の手に握られていたロックシードをじっと見つめた。
「あ……じ、じゃあ気をつけて歩いてね」
そそくさとその場を離れる。もう流通していないものだしこの街にとっては因縁のあるものでもある。あまり人に見せられるものではなかった。この時、俺はまだ気づいていなかった。この出会いが、俺の全てを変えることになるだなんて思ってもみなかった。
-一年後‐
346プロ。ここは、様々なメディアで活躍するアイドルたちの集まる場所。俺、月寒竜也ももう二年目。今までは先輩プロデューサーのサポートばかりだったが今年からは俺自身でアイドルを育成してみろといわれた。たった二年とちょっとの新人にアイドル育成を任すなんてどうかと思ったが、先輩のアイドルにもきっと大丈夫などと煽てられ結局了承した。
そして、今日はオーディションだ。
ーオーディション会場ー
オーディションは各プロデューサーが行い、プロデューサー自身が採用か否かを判断する。そして採用した娘をそのプロデューサーが担当する。一応上層部にも通すが基本的に現場主義というかそんな感じだった。
「つまりは自分で選んだアイドルは自分が責任持って育てろってことか……」
もうこれでプロデュースをするアイドルは三人目になる。二人で既にあわただしい毎日だ。さらに増やしてやっていけるかどうか不安だった。しかも今回は7~12歳くらいの小学生が対象だ。気難しい年ごろだろうと考えると余計に気が重い。
「これが今日オーディション受ける娘か…」
今日オーディションをうけるのは10人。この中から竜也が選ぶのは一人。
「ん?」
10人のオーディション用紙を見ていたとき一枚、気の引かれる娘を見つけた。10人のアイドル候補者は皆年齢も体格もバラバラなのは当然だがオーディション用の写真は明るそうな感じだが只一人…明るさよりもクールさが目立つ娘がいた。
名前は佐城雪美。10歳の女の子だ。クール系のアイドルももちろん多くいるが彼女の魅力はより強いものに思えた。だがそれ以上に、どこか見たことがあるような気がしていた。
ーオーディション開始ー
10人のアイドル候補者が部屋に入り、質問に答え、自分の特技や個性をアピールした。皆活発だったり可愛かったり、クールだったり様々だ。
そして、竜也が気になっていた少女、佐城雪美の番が回って来る。
「…………」
「プロデューサーの月寒竜也です。よろしくお願いします。それじゃあ名前を教えてください」
「…………………」
聴こえなかったのかと思い、もう一度名前を言うように促す。
「……………………………………………」
目を反らされた。名前を言うつもりはないようだ。それがアピールなのだろうか、いったい何がしたいのかよくわからないが竜也は名前を聞くのを諦め、志望動機を聴こうとした。
「では、志望動機を…」
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………雪美」
耳を澄まさないと聞こえないくらい小さな、だが可愛らしい声で名前を言った。名前を聴けた竜也は志望動機を聞いた。
「じゃあ志望動機をお聞かせ願えますか?」
「……………………………………………………………。………………………私………………ここに…………来た……。……………ここは………オーディション……会場?………でも……話すの……………苦手……………。……………人前………あまり……慣れて………ない……。……………ちょっと……緊張……怖い……」
正直、なぜそんな子がアイドルのオーディションを受けたのかと気なるところだ。だが、竜也は雪美という少女に可能性を感じていた。とにかく話を聞くために緊張している雪美をなだめる。
「そんなに緊張しないで?大丈夫だよ」
その言葉を口にしたとき雪美はハッとした表情を浮かべる。そして、嬉しそうに笑った。
「……ありがとう……優しい………………ふふっ。……私……アイドル……なるためじゃ………ない……。……あなたに……会いに……来た……と……思う」
竜也は雪美の表情やしぐさ、言葉などを見て感じた。まだ蕾で未知数なところはあるが直すべきところを教え、進むべき道を示し、経験を重ねていけばきっと大輪の花になると感じた。
「………これからアイドルになりましょう」
竜也はそれだけ伝えた。彼女にそれ以上色々伝えるのは不安を煽るだけだろうと判断したからだ。
「………ほんと……?……………………うれしい…………。貴方の……ため……私……アイドルに……なる……」
雪美のデビューは決まった。それから契約やらなんやらをすませ、数日後に事務所まで案内した。
-事務所-
「今日からレッスンに来た時とか、仕事に行く時とか、ともかく事務所に来た時はこの部屋に来るようにね」
「………うん…………」
「俺がプロデュースしてる他のアイドルも今日はあいさつの為に呼んであるから………今日は顔合わせってことで」
他に竜也がプロデュースしているアイドルがいることを聞き、雪美は少し残念そうな表情を浮かべる。
「…………私だけ………じゃないの?」
「ああ、うちは大きいからね。たくさんのアイドルを並行して育成しないといけないんだ」
「………」
なんとなく納得いかない表情だが、雪美を部屋に入れた。部屋の中には二人の少女が待っていた。
「あ!来ました!」
「ほーその娘がー」
一人は高身長で短髪の少女、もう一人は茶髪で長髪のおっとりした感じの少女。
「はじめまして!乙倉悠貴です!13歳の中学1年生です!」
「はじめましてー。わたくし依田は、芳乃でしてー」
二人が雪美に自己紹介をした。温度差が全く違う二人に突然自己紹介された雪美はどうしていいかわからずに竜也の影に隠れる。
「あ………怖がらせちゃったんでしょうか?」
「怖くないのでしてー?」
「雪美」
竜也は雪美の目線に合うようにしゃがみ込み、微笑んだ。
「大丈夫。二人とも仲間だ。名前を言うだけでいい。挨拶してみよう」
「………………うん」
雪美は小さく頷き、竜也と手を繋いだ。そして、勇気をもって二人の前に出る。
「さぁ」
「………………佐城………………雪美………です」
「よろしくお願いします」
「ともにあいどるとして輝きましょうぞー」
これが始まりだった。彼女たちの、輝かしい未来への第一歩。
しかし、事はそう簡単に進まなかった。人前に立つことを苦手とする女の子をアイドルにすることは思っていたよりずっと難しかった。
ボイスレッスンでは声が通らず、ダンスレッスンでは体力が長く持たなかった。実際はどうかは知らないが、どちらかというと休み時間に本を読んでいるようなイメージだ。あまり活発なわけではないのだろう。
だが、雪美は頑張った。はじめてのレッスンでも頑張っていることはトレーナーから聞いた。苦手なりに頑張っていた。だから問題ないと思っていた。
雪美が事務所に所属してから一週間ほど経った。
「………おはよう………………ございます」
「おお、雪美。おはよう。今日もレッスン頑張ろうな」
「……………………」
「どうした雪美?」
雪美はいつもとは違い、暗い表情を浮かべていた。
「レッスン……………嫌」
「……」
なんとなく予想していた事態だった。雪美は頑張り屋さんだが、まだ小学生だ。単調なレッスンを繰り返し続けるのは嫌なのだろう。
「ごめんな、雪美。いつもレッスンばっかじゃ嫌だよな?もっと頑張ってアイドルらしい仕事取って来るから……」
「……………違う…」
「え?」
竜也はてっきり単調なレッスンばかりでアイドルらしい仕事ができないことに不満を持ったのかと思ったがそうではないらしい。
「じゃあなんで………」
「………………………………」
その理由は話したくないのか、顔を反らして口をつぐんでしまった。
「……じゃあ雪美。今日のレッスン終わったら、一緒に猫カフェにいかないか?この間自分のペットも一緒に入れるところ見付けたんだ」
それを提案すると雪美の表情が「ぱぁぁぁ」と明るくなったのが分かった。雪美はペロという猫を飼っている。ペロと一緒に行ける猫カフェならきっと雪美は喜んでくれると竜也は考えていた。
「………じゃあ、今日のレッスン…………頑張る」
(よかった。やる気になってくれたみたいだ)
このとき雪美がやる気になったのはまた別の理由なのだが、竜也はまだそれを知る由はなかった。
そしてその日のレッスンが終了した後に雪美と竜也は猫カフェに向かった。竜也が車に乗り込むと、雪美は助手席に乗り込んできた。
普段は後ろに乗せるのだが、今は半ばプライベートなので良しとした。
「……………♪」
雪美は移動中随分と楽しそうだった。竜也はそんなに楽しみなのかと少し得意げになっていた。そして猫カフェへと到着し、雪美はペロやカフェの猫と戯れていた。。
(本当に楽しそうだ………これで明日からも頑張ってくれるといいんだけどな………)
今回はこれで良いかもしれないが、所詮はその場凌ぎだ。次にレッスンが嫌だと言われたときにどうするべきか考えていると注文したケーキが運ばれてきた。
「お待たせしました」
「……!…………かわいい」
猫型のチョコレートケーキやショートケーキ。イチゴのタルト。どれも雪美の喜びそうなものばかりだ。
「さ、食べてくれ」
「竜也は………?」
「俺はいいよ。雪美が楽しんでくれれば」
「…………じゃあ」
雪美はケーキをフォークで半分にした。
「半分こ……………」
「……ありがとう」
雪美と一緒にケーキを食べた。雪美の両親は仕事が忙しく、あまり雪美と一緒にいられないらしい。彼女にとって最も身近な家族と言えばペロくらいのものだそうだ。誰かと一緒に食事をする。たったそれだけだが雪美にとっては嬉しいことなのだろう。
「…………ご馳走様」
「……雪美?」
ケーキを食べ終わり、フォークを置いた雪美は少し暗い顔をしていた。
「………………私………アイドル………………できるか……自身…………ない」
「雪美…………」
突然そんなことを言われるとは予想外だった。雪美はアイドルに向いていない部分もあるが素質はある。何より彼女自身がやりたがっているように感じていたからだ。
「どうしたんだ?急に……」
「悠貴………明るくて……元気……芳乃……大人しい…だけど………心が…………強い」
「………」
二日ほど前、悠貴たちと仲良くなれるように一緒にレッスンをさせたが、どうやらそれがまずかったらしい。アイドルになろうという女の子たちは大体明るかったりクールだったり芯が強かったり、何かしら長所がある。そんな彼女たちと自分を比べてしまったんだろう。
「大丈夫。雪美もちゃんとしたアイドルになれるよ」
この時、竜也はそれしか言えなかった。彼女を励ませる良い言葉が見つからなかった。
そして、ケーキと猫を堪能し、店を出たときだった。普段なら大人しく、暴れることもないペロが急に雪美の腕の中から飛び出した。
「!」
「ペロ………?」
そのままペロは裏路地に入っていってしまった。
「ペロ!」
「雪美!」
雪美はペロを追いかけ、それを竜也が追いかける。街中を抜け野原を通り、最終的にペロはとある廃工場に辿り着いた。
「ペロ…………!」
「なんだってんだ一体…………」
二人が追いついたのを確認したかのように、ペロは工場の中に入っていった。
「ペロ……!入っちゃダメ………!」
ペロの後を追いかけようとした時だった。工場の中から、何かが飛び出してきた。
「!?」
「あれは………っ!」
現れたのは、インベスだった。巨大な角を持った蒼いインベス。シカインベスだ。
「まずい………!雪美!逃げるぞ!」
「でも…………ペロが………っ!」
「ん………くぁぁぁぁ!」
竜也は雪美の手を引き、物陰に隠れた。
(たかが猫一匹の為に命を張るのは割に合わない…)
竜也は鞄の中に手を入れた。そこには、戦極ドライバーとマツボックリロックシードは入っている。その気になれば戦える。
しかしこれは戦うために取っておいたわけではない。またヘルヘイムの侵略があったときの為に取っておいたものだ。しかも相手は上級インベス。マツボックリで勝てるかどうかわからない。
(だけど…………………でも、ここでペロを失ったら………雪美が……一人になっちまう…)
竜也は戦極ドライバーを取り出し、それを見つめた。
(……………俺にできるのか……誰かの為に戦うことが…………変われるのか……っ!)
その時、背後の壁がシカインベスの体当たりで粉砕され、二人はふっ飛ばされた。
「きゃぁぁ!」
「うおぁ!!」
「グルォォォォォォ!!」
ふっ飛ばされた拍子に鞄の中からロックシードが転がり、遠くに行ってしまった。
「…………っ!うぁぁぁぁぁぁ!!!」
取りに行けばその間に後ろから串刺しにされるだろうと考え、竜也はベルトを持ったままインベスに体当たりした。しかしすぐに反撃を食らい、ふっ飛ばされる。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
「……竜也…………っ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
竜也は再びインベスに体当たりをかます。そして腰のあたりにしがみつくようにホールドして必死に踏ん張った。
「あぁぁぁぁぁ!!」
「グォォォォ!!」
「…………っ雪美!」
その状況下で竜也は叫んだ。
「っ!」
「確かに今の君は人と話すのが苦手で、アイドルに向かないかもしれない!だけど!どんな人間だろうと!どんな過去を背負っていようと、人は新しい道を見付けて進むことができるんだ!だから諦めないでほしい、人は変わることができる!変身だ!雪美!もし変われなかったなら!それでもいい!!!雪美が雪美のままでアイドルとして輝けるように!俺が頑張るから!!!」
「グルァァァァァァァ!!!!」
必死に押さえつけていたが、とうとう竜也は引きはがされて投げ飛ばされた。だが、投げ飛ばされて地面を転がっている途中に鞄から転がったマツボックリロックシードを掴んで立ち上がった。
「俺も……変わるから……」
(自分のためじゃなく…………誰かの為に戦える俺に…)
竜也はドライバーを腰に巻き、ロックシードを起動させた。
『マツボックリ!』
「変身!」
上空にクラックが生成され、マツボックリアームズが出現する。マツボックリロックシードを戦極ドライバーにセットし、カッティングブレードを稼働させた。
『マツボックリアームズ!一撃!イン・ザ・シャドウ!!』
マツボックリアームズが頭部に装着されるのと同時に黒地のアンダースーツが竜也に装着される。そしてアームズが展開され、竜也はアーマードライダー黒影トルーパーマツボックリアームズに変身した。
「はぁぁぁぁ!!」
達也は返信と同時に出現したマツボックリアームズのアームズウェポン「影松」を構え、再度突進してきた鹿インベスを切り裂いた。
「グォォォォ!」
「うらぁぁぁぁぁぁ!!」
さらに一撃食らわせるが、シカインベスはそれをものともせずに突っ込んできた。
「うわぁぁぁぁ!!」
立派な角を使った頭突きを食らい、竜也は工場の壁に叩きつけられた。
「くっそ………イテェ………」
フラフラと立ち上がると、そこにもう一度シカインベスが突っ込んできた。防御姿勢を取ってなかった竜也はさらにふっ飛ばされる。
「のやろぉ!」
今度は素早く立ち上がり、自ら攻撃を仕掛けに言った。影松の反対側、石突と呼ばれる部分でシカインベスの膝を突き、素早く持ち替えて胴体を三回斬りつけた。三撃目でシカインベスは仰け反り、後ろに下がっていった。
「確かにブランクはあるけどなぁ………こっちはあのバケモンみてぇな主任相手に戦ってたんだ!ちょっとはやってやるよ!うぉぉぉぉぉ!!」
気合いを入れなおした竜也の攻撃で形成は一気に逆転した。シカインベスに反撃の隙を与えず一気に攻撃を与えまくる。
「クラスCのロックシードだろうがやってやるよぉぉ!!」
『マツボックリスパーキング!!』
影松を抱き抱えるように縦構えにし、高速回転しながら飛び上がる。そしてそのままインベスに突貫していった。一発でシカインベスを貫通し、シカインベスは爆裂霧散した。
「はぁ…………はぁ………はぁ………」
竜也はロックシードを閉じ、変身を解除した。
「竜也………?」
「怖い思いさせて……悪かったな」
雪美は首を横に振り、竜也に抱き着く。
「これ………このことは、俺達だけの秘密だ。秘密にしてくれるか?」
「…………うん」
雪美は小さく頷いた。
「さぁ…………ペロを連れて帰ろう」
竜也は雪美の手を引き、工場の中へペロを探しに行った。
二人が去った後、そこに一人のアーマードライダーが現れ、工場に入っていく二人を見ていたことに竜也は気づかなかった。
-工場内-
工場に入り、いくつかの部屋を見て回っていく中で二人は妙な部屋を見付けた。何かを研究していたような跡と、壁に飾られた木をモチーフにしたような奇妙なマーク。
「これは………」
近くにあった金属製のものを見ると、どことなく戦極ドライバーに似ている気がした。さらに、引き出しを開けるとロックシードまで入っていた。しかしそのロックシードは破壊され、使い物にならなくなっている。
「ここは………なんなんだ?」
するとそこに、ペロがやってきた。
「ペロ………!」
「おお。なんでお前こんなところに…………」
雪美がペロを抱きかかえ、ペロの声に耳を傾けた。嘘か真か、彼女はペロと話ができるのだそう。
「カフェの子に………………ここから………嫌な感じがするって………………聞いたから…………って」
「………確かにいい気配はしないな…」
竜也はこの時、深入りしないほうがいいと考え、すぐに雪美とその工場を出た。
そして、その帰り道。
「…………竜也」
「どうした?」
「…………私……アイドルとして…………………変われるように……………………輝けるように……………頑張る」
「………ああ!」
「だから………一緒に……………いて?」
「ああ。ずっと一緒だ」
二人は手を繋ぎ、夕暮れの道を歩いて帰った。
続く
もっといろいろ書きたかったのですが、書きにくいところを増やして手が止まるのを避けたかったので少々省きました。次回以降の大まかな展開は決まっていますが細かくは決めていません。