壊れた立花響 作:(:_;)
知っているのはハーメルンで知ったごく一部です。
原作と合っていない部分も多々含まれているとは思いますがご了承ください。
ツヴァイウィングのライブで起こった惨劇から数ヶ月、立花響の精神は限界だった。職を失って荒れ始めた父親、消しても書かれる家への罵詈雑言の落書き、学校での誹謗中傷、近隣からの嫌がらせ…例を挙げればきりが無いストレスを受け続けた彼女はとうとう壊れた。
体育の授業中、どこからか飛んできたテニスボールが彼女の頭に直撃した。その直後、続けとばかりにボールの雨が彼女の全身に降り注ぐと共に、シュプレヒコールばりの「死ね」や「消えろ」、「お前なんか」の大合唱が始まった。監督を務める教員も止めるどころか煽る始末。予備を含めた全てのボールが尽きると共に授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。道具をそのままに彼女を残して誰もいなくった体育館で気絶していたと思われていた彼女は突然、笑い始めた。
運動着のまま廊下を歩き回り、彼女が辿り着いたのは家庭科室。普段は施錠されているが授業後なのか、扉は開放されていた。空き巣のように棚という棚を漁り続け包丁を見つけた瞬間、ただでさえ上がっていた口角が限界まで上がった。
その瞬間、家庭科を担当する教員が戻ってきた。授業でも無いのに勝手に侵入した事を注意しようと迫ってくる彼女は以前から生徒や教員を扇動してきた彼女の憎むべき敵。そう認識した瞬間、響は手にしていた包丁を教員の胸へと突き刺した。普段はヒステリックに叫ぶ教員の声が今回は響へと助けを求めるものへと化した。「やめて」という声は響をただ不快にさせるものでしかなく、両手足と首も床に固定されるかのように滅多刺しされ、その結果家庭科室は鮮血に塗れ、そこには一体の骸と15歳の殺人鬼が生まれたのだった。
響の次の標的はクラスメイト。水をかけられたり画鋲を仕込まれたり、先程までのボール当てなど大きなストレスの要因である彼女らを生かすつもりはさらさら無かった。響は持ち歩ける包丁をありったけ抱えたまま、次の授業予定の教室の扉を開く。先に授業を受けていたクラスメイトは響の血塗れのその姿に演奏を止め、一斉に響とは対角の部屋の隅へと逃げた。音楽室は音漏れなどの都合上出入口は一ヶ所しかなく、その扉も響の手によって施錠されてしまった。背後の窓から逃げようにも地上3階、地上12メートルから飛び降りれば無事では済まされない。尤も、誰かが下敷きになれば助かるかもしれないが。
お互いを押し合いながら自分だけが助かろうとするその光景は彼女たちが「人殺し」と蔑んだ被害者達と同じものだった。何と言おうといざ自分にそれが降りかかれば同じ言動を取る全員を許す訳もなく。
翌日、全国紙の一面にリディアン音楽院の大量殺人事件が大きく掲載され重要参考人兼行方不明である立花響は指名手配された。死者83名を出したこの事件は音楽院の閉校を決定付け、その短い歴史に幕を閉じた。その事実を知った響の親友であった少女は自責に駆られ、遠く離れた青森の地でその短い生涯に終わりを告げた。
彼女が起こしたこの事件はライブの被害者達に対する人々の考えを大きく変える出来事となり、事件の起きた背景から響を無罪と主張する者や偶発とは言えライブを行ったツヴァイウィングにも責任があると言及するコメンテーターがトレンド入りするなど、波乱を巻き起こした。
それから数年後、とある田舎の山奥にて一体の骸が発見された。近くには20本程の血塗れの包丁が入ったカバンと、胸部から謎の破片が見つかったという。
救いなんてものはありません。
続きなんてありません。
さようなら。