日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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日柱

竈門兄妹と出会って一年。冨岡さんと俺は、「彼らの件については、時が来るまで他の柱や隊士達には他言無用」とお館様から命じられた。それは例えしのぶ達であっても内密にするという事だ。そしてこの件から一ヶ月後、俺は柱に就任した。

 

他の柱の方々は、俺の実力に関して申し分なかったようで、すんなりと納得してくださったようだ。

当初は新たな柱もおり、規定の九人はいたのだが、お館様の命により十人となった。どうやら前回の柱合会議で決まったらしい。お館様の提案であったことから、他の方々も下手に反対はできず、受け入れたようだ。

 

 

柱の業務は管轄している地域の見回りなど……指令によっては任務に出る事などは変わらない。

俺は、個人の屋敷は頼まず、そのまま蝶屋敷に住んでいる。今の俺の帰る場所は、蝶屋敷だから……。

 

 

 

 

 

「耳飾りの剣士だぜ!お前を殺せばあの方がすぐにでも十二鬼月に──」

 

「待て!あいつは俺の獲物だ!邪魔をするな!」

 

「いや俺の餌だ!お前らは引っ込んで──」

 

 

「………」

 

 

ーー日の呼吸改 炎舞・疾風

 

疾風は、炎舞に水の呼吸の要素を取り入れた技でたる。一夏は真菰や義勇との鍛錬の末、水の呼吸も身につけている。神速の速さで移動して斬り刻む機動力を主体とした型であり、三体の鬼の頸を斬り落とせる。今回、丁度鬼が三体おり、一夏は難なく自身の日輪刀で鬼の頸を斬り落とした

 

 

「い、いつの、間に────────」

 

「無駄な話が多い、隙だらけだ」

 

 日輪刀を納刀する。鬼の長話を聞く義理は無い為、話の途中で首を斬ったのだ。

 

「(この型も違和感ありとはな)」

 

斬った鬼が灰になるのを見届けた後、その場から離れると一夏の周りに鴉が旋回する。

 

「お疲れだな一夏!任務はこれで終わりだ終わり!帰ってゆっくり休むんだな!目元に隈ができてんぞ!休まねぇとあの姉ちゃん達にどやされるぞ?」

 

 

「ああ、わかったよ、“ブイ”(ほんっとうに疲れた。これで五徹目だ。鬼殺隊は人手不足なんだな、非公認組織だけのことはある)」

一夏は自分の鎹鴉に一言告げて、歩き出す。

 

一夏の鎹鴉の名はブイである。喋った際に名前はないと言われ、一夏がブイと名をつけると気に入ったのだ。

 

一夏の目元にはクマができており、傍目にも濃い疲労が窺えた。一夏の階級は一番上の階級の為、遠い場所に足を運ぶこともある為休む暇がなかった。

 

「とりあえず帰ろう。まずは布団の上で寝たい」

 

「おうおう、足元ふらついてんじゃないの?マジで大丈夫かよ?」

 

「心配してくれてありがとうブイ、蝶屋敷まではもってみせるさ」

 

一夏は多少ふらつきながらも帰路につく。

 

 

 

 

人間、誰しも限界というものは存在している。いくら一夏でも、例外ではない。

 

一夏は休息を取ることなく鬼を滅してきた。休息に充てる時間は少なく、蝶屋敷に帰ることも少ない。

 

一夏は移動時間に全て費やし、食事もまともに取らずに鬼を滅してきた。摂れたとしてもおにぎりが数個程度だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(あと少しだ。もう少し……だけ、もってくれ)」

 

一夏はふらつきながらも無事に蝶屋敷の玄関につき扉を開ける。

 

 

「ただいま…」

 

 

「あ、おかえりなさい一夏さん……って!どうしたんですか⁉︎」

偶然近くにいたアオイが出迎えるも、驚いたように駆け寄る。一夏の目元にはクマが出来ており誰がどうみても疲れているのは明白だった。

 

「大丈夫だ。ただ眠いだけ……だ」

 

「い、一夏さん⁉︎」

 

限界は来た。グラリと視界が揺れる。一夏は部屋に辿り着くことなく壁にもたれかかり眠ってしまった。

 

 

 

 

 

「フゥー、今日はとっても楽しかったわ」

 

「姉さんは時間をかけすぎなのよ。もう少し早く選べないの?」

 

「だって久しぶりのしのぶとのお出掛けだもの〜。こう言う時は思いっきり楽しまないと!」

 

「まったく……姉さんったら」

 

「ただいまぁ〜って、あら?どうしたのアオイ、それに壁にもたれかかっているのって…」

 

「っ!一夏!?」

 

 

「しぃーっ!静かにしてください二人とも!一夏さん、眠っているんです」

 

姉妹はアオイに言われ静かに一夏の方へ近づくと、彼は寝息をたてながら眠っていた。

 

「クマが出来てるみたいだけど、もしかして徹夜で任務を?」

 

「一夏の事よ、絶対にそれしかないわね。全く、無茶するんだから」

 

「あら、それはしのぶも人のことは言えないわよ?朝から夜まで時間がある限り毒の研究に没頭してて、『気がついたら夜が明けてました〜』なんてこと当たり前なんだし」

 

「むぅ…」

しのぶはカナエの指摘に何も言えなかった。

 

「とりあえず一夏を部屋まで運びましょ。今の一夏なら滅多なことがないと起きないでしょうしね。しのぶ、そっちを抱えてくれる?」

 

「わかったわ」

姉妹は一夏の両肩を抱え、部屋まで運ぶ。カナエの見立て通り、一夏は起きる気配もなく眠り続けていた。

 

 

 

 

 

「ふぅ、とりあえずこんな所かしら?」

 

「そうね、とりあえず私は買ったものをまとめて置くわね」

 

姉妹は一夏の羽織を脱がせた後、布団に寝かせ、毛布をかけてから、静かに退室した。

 

 

 

 

「………」

しのぶは自室に戻ると、何故か一夏の羽織を洗濯に出さなかった……畳んだ赤羽織を手に持ったまま、立ち止まったからだ。

 

 

「(一夏が着てる羽織)」

しのぶは、それをじっと見つめる。一夏の赤羽織は三年も着込んでおり一夏のお気に入りの服の一つだ。一時期は白を着ていたこともあったが、一夏曰く、白もいいが、赤の方が落ち着くとのことだった

 

 

「………」

それを見て、彼女はふと思う。これ、着てみたら駄目だろうか、と。

 

「(いや、何を考えているのよ!人のものを勝手に着るなんていけない!感情の抑制をできないのは未熟者!)」

 

しのぶは自分を律する。だがしかし、一夏の羽織を見て、数分の間葛藤し……

 

 

 

 

 

 

「……す、少しくらいならいいかしら」

 

あっさりと誘惑に負けた。

 

「やっぱり、大きいわね……」

 

しのぶと一夏の身長差は歴然であり、大きいのは仕方のないことだった。

 

しかし何処か恋人のものを着ていて少しだけ気分が舞い上がっている自分がいることも感じていた。

 

「(しばらく洗ってないからきっと汗で汚れているわよね。しっかり洗ってあげないと)」

 

―――スン

 

 

「(―――っ!?な、な、な、何をやっているの私は!?)

思わず袖の匂いを嗅いでしまった。

 

いや、決してやましい気持ちがある訳じゃない。ただ、臭くないかを確かめただけだ。そう。ただそれだけの事だ。

汗で臭くなっていないか。ただそれだけの事である。

 

 

「(一夏の……匂い)」

 

―――くん

 

「ん………」

袖を鼻に押し当てて、匂いを嗅ぐ。しのぶが感じたのは微かな男の香りだった。

 

 

「あらあら、うふふ♪」

 

「………」

しのぶは突然耳に飛び込んできた声と共にギギギと音を立てながら振り向くと、カナエが扉から顔を覗かせていた。例えるなら、カナエの笑みは、子どもの“独りあそび”を見守る母親のような生暖かい笑みだった。

 

 

「まさかしのぶにそんな癖があったなんてお姉さん知らなかったわ〜」

 

「ね、姉……さん」

 

「ごめんね邪魔しちゃって、ゆっくり堪能してねぇ〜」

そういうとカナエはゆっくりと扉を閉める。しのぶはしばらく呆然とするが、徐々に顔を真っ赤にし、

 

 

「*#@¥$€%÷ッ〜〜!!」

 

声にならない声を蝶屋敷に響き渡らせた。

 

 

 

しばらくの間、しのぶは「いっそ殺して」とつぶやいており、アオイ達は何があったのか問い出そうにもしのぶは「…殺して」としか言わず、カナエに聞いても「あなた達にはまだ早いわよ♪」とはぐらかされ、アオイやカナヲ、三人娘達は“大人の闇”を少し感じた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…んっ。」

 

パチリと一夏は目を覚ます。視線だけを周りに向け確認する。周りは明るく日が昇っている。

 

「ここは、俺の部屋か?」

 

 

 

ゆっくりと一夏は起き上がる。辺りは明るく、日の位置からして午前中なのは確かだ。

 

「(今は何時だ?俺はどのくらい眠っていたんだ…?)」

 

すると右手に何か温かい感覚があった。一夏は右手に視線を向ける。

 

「しのぶ……」

 

しのぶが俺の手を握って眠っていた。この様子だと、ずっと看病してくれていたのだろう。

 

「…心配、かけさせてしまったな」

 

一夏は気まずそうにしのぶの頬を撫ぜる。

 

「…水でも飲むか。」

 

傍にある水差しを取り、湯呑みに水を注ぐ。水を久々に飲んだ気がする。一体自分はどれ程鬼を斬っていたのだろうか。

 

一夏は水を一気に飲み干す。飲んだ水は果実水であった。かつて一夏が未来の知識を利用して、果実水を作った時、蝶屋敷で実用化されたものである。

 

水を飲み終えた一夏はしのぶの体を揺する。

 

「しのぶ…しのぶ…起きてくれ。」

 

二度揺すると、しのぶは目をゴシゴシと擦りながら、寝ぼけ眼で一夏の顔をぼうっと眺めてる。

 

「こんなところで寝ていたら、風邪を引く」

 

「………一夏?」

 

「ああ、俺だよ。おはよう…しのぶ」

 

暫く見つめあっていると、しのぶはガバッと立ち上がる

 

「一夏!目が覚めたのね!」

 

「―…ああ。問題ない。心配かけさせてごめん」

 

「二日も眠ってたのよ!倒れるまで休みを取らないなんて、柱だからってまた無茶して!」

 

「すまない、任務が立て続けにあって、休む暇がなかった。」

 

「休む暇がなかったって…宿とかに泊まらなかったの?」

 

「移動時間を考えると探す暇すらもなくてな。だから、いち早く鬼を倒して戻るつもりが、どうやらどの鬼も俺に執着してる様子だった。」

 

「どう言う意味?」

 

「対象の鬼が、俺の事を“耳飾りの剣士”と言っているのは知ってるだろ?そして俺を殺す事で『あのお方から更に血を貰える』と言っていた。おそらく俺をおびき寄せるために、他の鬼達が活発に動き始めてると思うんだ」

 

一夏の言葉にしのぶは心当たりはあった。最近、鬼の行動が活発になってるのはなんとなく感じてはいた。

彼女自身が鬼と遭遇した際、『ちっ、ハズレだ』とぼやいていた。あれは一夏のことを狙っていたとしのぶは気づく

 

「もしかして、一夏が無傷で上弦の鬼を倒したから?」

 

「え?」

 

「おそらく一夏は鬼舞辻にすら目を付けられるようなことをした。今の一夏は鬼からも狙われるくらいに警戒されてると見てもいいわ。私、これから御館様のところに行ってこの事を伝えに行ってくる。それと後でアオイを来させるから大人しくしてて」

そう言ってしのぶは部屋から退室し、産屋敷へと向かっていった。

 

 

「行ってしまった。とりあえずアオイを待っておくか」

 

 

その後、アオイからの診察を受け異常がないと確認すると、カナエや三人娘達やカナヲも来て会話に花を咲かせた。

 

 




一夏のプロフィール肆

織斑一夏 17歳

使用呼吸 日の呼吸 

見た目 額に陽炎の痣があり、髪型は閃の軌跡のリィン・シュバルツァーと同じ 

スペック 縁壱同等 透き通る世界の透視、刀も赫刀化可能 
現時点での炎(壱から参)、月(壱ノ型のみ)、花(伍と陸)、水(参から陸)が使えるが、使用するは少ない

趣味  写真を撮ること 鍛練 音楽を聴く 

特技 家事全般

好きな物 蝶屋敷の皆んな しのぶの作る料理 仲間

お気に入り しのぶと撮ったツーショットと、蝶屋敷のみんなで撮った写真 カナエとしのぶからプレゼントされた耳飾り 槇寿郎の日輪刀

中の人の繋がりで、一夏に使わせるとしたらどっち?

  • 神気合一
  • 冥我神気合一
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