日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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上弦の花魁とヒノカミ

天井を破り、なんとかまきを達の安否を確認できた天元と一夏は安心した様に笑みを浮かべていた。しかし、その空間をぶち壊すように、伊之助は大声を上げる。

 

 

「オイィ!!祭りの神テメェ!! ミミズ共が穴から散って逃げたぞ!!」

 

「うるっせぇえな!! 捕まってた奴ら皆助けたんだから、いいだろうが!まずは俺を崇め讃えろ、話しはそれからだ!」

 

「言い合ってる場合じゃないですよ宇髄さん、嘴平も」

 

一夏は冷静に二人の言い合いを止めるが、双方の耳には入っていない様だ。そんな天元を、まきをが急かす。

 

 

「天元様、早く追わないと被害が拡大しますよ」

 

「おっと、そうだな、野郎ども追うぞ!ついて来い!!さっさとしろ!!!」

 

「では、行きますか」

 

 

 天元が自ら作った風穴から地上に飛び上がると、一夏も後を追う。その後を、伊之助,善逸(熟睡中)達が必死に追いかける。

 

 

「どけどけェ!! 宇髄様のお通りだ!! ワハハハハハ、我が道に敵なぁぁぁあし!!」

 

「(そりゃ、誰もいませんからね)」

 

 

誰に聞かせているのか笑いながらもドンドン先へ進む天元に対して、一夏は内心呆れながら突っ込んだ。伊之助達が屋根に上がった頃には、天元と一夏は、遥か彼方にあった。

 

 

「くそ速ェ!!」

 

伊之助は、叫びながら後を追う。対照的に、善逸は寝ている状態なので、静かであった。

 

 

 

 

一方、一夏達から逃げ出した蚯蚓帯が、堕姫の体へ戻る。それを見た炭治郎は、分裂した帯が本体へ戻っている事に気づき、慌てて技を放つ。

 

 けれど、空振りに終わってしまった。

 

 

「(消えっ…)」

消えた堕姫の姿を探していた炭治郎は、屋根の上から聞こえた声に反応して、見上げた。

 

 

「やっぱり柱ね、柱が来てたのね。良かった…あの方に喜んで戴けるわ…」

 

 

 そう言いながら、堕姫の姿がみるみる変化していく。帯鬼の変貌に伴い、喉の奥が痺れるような禍々しい匂いに、炭治郎はたじろいでしまう。

 

 

「(でも、伊之助たちの方に一夏さん達がいるのか?だったら安心だ…)」

 

 

 堕姫の口走った内容から、仲間達の安否を悟った炭治郎は、ホッとするがそれもつかの間……

 

 

「おい、何してるんだお前たち!!人の店の前で揉め事起こすんじゃねぇよ!」

 

 

 外の騒がしさに、店の人や客達が、何人か様子を見に顔を出してきた。

 

 

「(しまった!! 騒ぎで人が…!)」

 

その瞬間、物凄い斬擊が、炭治郎もろとも店の人たちを巻き込む。

 

 

 

「(日の呼吸黒式 肆ノ型・日影!)」

 

 炭治郎は慌てて後ろにいた男性を守りながら斬擊を無力化する。しかし、慌てて技を放った為、男性はかすり傷で済んだものの、炭治郎は肩に斬擊を喰らってしまった。

炭治郎は、一夏との修行により、通常の日の呼吸だけではなく、改の技や黒式の一部も教えてもらっている。流石に一夏の様にはいかず、炭治郎の場合の日影は抜刀した状態で放つのが精一杯で威力も劣る。

 

 

「…お、おい、ガキ…お前」

 

男性は突然の事で混乱し、出血している炭治郎の心配をしていた。

 

全ての斬撃を防ぎきれなかったことに炭治郎は青ざめる。斬擊の威力と範囲が広かったため、斬られた店は崩れ落ち、二階から顔を出していた人の中には、顔の側面を斬られたり、胴体が真っ二つになったりした者も少なくなかった。

 

 

 悲鳴と恐怖、混乱が混じる喚声の中、炭治郎は冷静に、後ろにいた男性へ避難する様促し、どこかへ行こうとする堕姫を慌てて呼び止めた。

 

 

「待て、許さ…ないぞ、こんなことをしておいて……!」

 

「何、まだ何か言ってるの?もういいわよ不細工…醜い人間に生きてる価値なんて無いんだから…みんなで仲良く死に腐れろ」

 

その非道な言葉を聞いた炭治郎の目に、怒りで血が滲んだ。

 

 

『あの、一夏さん…聞いてもいいですか?』

 

『ん、どうした炭治郎?』

炭治郎は一夏と修行をしていた時のことを思い出す。

 

『その、すみません……一夏さんの額の痣は…生まれつきか何かですか?』

炭治郎は一夏の額の痣が気になり、質問をしたのだ。一夏の痣の形は、周りから見ると異様な形をしており、炭治郎はただ純粋に気になり聞いたのだ。

『この痣か?ああ、生まれつきだ。それがどうかしたか?』

 

『その、俺の父も、薄くですが生まれつき痣がありました。一夏さんのは陽炎のような形をしているんですね』

 

『妙な形をしているからな。気持ち悪いか?』

 

『いえ、全くそうは思いません!一夏さんの痣は綺麗な形をしています!俺の額の傷跡と少し似ていて、何故か愛着が湧きます』

 

『ははっ、そうか。……炭治郎、お前、杏寿郎の父君には会ったことはあるか?』

 

『煉獄さんの父親ですか?弟の千寿郎君とは煉獄さんの病室に行った時に会ったことはありますが、その人とは会ったことはないです』

 

 

『そうか。何度かお見舞いに来られたことがあったんだかな。俺は修行時代…その方の屋敷でお世話になってたんだ。名前は煉獄槇寿郎……前の炎柱だった人だ。煉獄家は日の呼吸の詳細を知っていて、書の内容には、日の呼吸の使い手に選ばれた者は、額に陽炎の様な痣がある…と』

 

『痣…ですか?』

 

『ああ、継承者が長年いなかったから本当かはわからない。あくまで可能性の話だ。それと炭治郎、ヒノカミ神楽と水の呼吸との併用はどうだ?』

 

『はい!一夏さんの助言のおかげだいぶ連発して技を出せる様になりました。呼吸の併用だけでここまで違うとは思いませんでした』

 

『そうか、よし…そろそろ次の段階に入っても大丈夫そうだな』

一夏は、その当時の炭治郎の急成長を見て次の段階に入ろうとしていた。

 

『えっ、本当ですか!』

 

『ああ、これから本格的に日の呼吸を教える。俺が編み出した“日の呼吸黒式”って言う技もな』

 

『黒式?』

炭治郎がよく分かっていない様に首を傾げたので、一夏は簡単に説明する。

 

『日の呼吸の技の幅を増やしたにすぎないが、これらも使いこなせれば戦いの幅も広がるはずだ。ただ、中には負担もかかる技もあるから、気を抜くと身体を壊すぞ?少しキツくなるが…覚悟は出来てるな?』

 

『はい!頑張ります!』

 

『いい返事だ』

 

 

その後、一夏は初めに日の呼吸の改の技を教えた。最初に会得できたのは円舞回天だった。黒式は一夏より劣るがそれなりに形にはできた。

 

 

 

「(俺のこの傷は、生まれつきのものじゃない。これは元々、弟が火鉢を倒した時、庇って出来た火傷…更に最終選別で負傷して、今の形になった痣。俺の父は、生まれつき額に薄く痣があったけど、俺は違う。俺はきっと、選ばれた使い手ではない。でも、それでも…選ばれた者でなくても、力が足りずとも、人にはどうしても、退けない時がある。人の心を持たない者が、この世にはいるから……理不尽に命を奪い、反省もせず、悔やむこともない……その横暴を、俺は絶対に許さない!)」

 

炭治郎は柄に力を入れる。炭治郎が気付かぬうちに、自身の日輪刀に変化が起き始めていた。炭治郎は日輪刀を納刀し、自分を無視して天元達の方へ行こうとする堕姫の足を掴んだ。

 

ーー日の呼吸黒式 参ノ型・白日波濤(はくじつはとう)

 

下から上への居合斬りで斬り上げる。同時に強力な焔の衝撃波を飛ばして攻撃する。そのまま、堕姫の頸に刃が迫るが、あと少しの所で、堕姫は足を犠牲にし、その場から飛び退いた。

 

 

「失われた命は回帰しない、二度と戻らない」

 

堕姫は、眉間にシワを寄せながら、傷を負った首と、千切れた足を素早く再生しようとするが中々うまくいかず動揺していた。

 

 

「な、何?首と足の再生がし辛い……お前、何をした⁉︎」

 

 

その光景を見ていた炭治郎は、問い詰める。炭治郎の日輪刀はほんの少し赫く染まっていた。

 

 

「生身の者は、鬼のようにはいかない、なぜ奪う?」

 

「……っ⁉︎」

 

「なぜ踏みつけにする?」

 

 

炭治郎に詰め寄られる堕姫は、妙な感覚に襲われていた。そして問い詰められている間になんとか足を再生させる。

 

 

「(この言葉、どこかで聞いた…)」

 

 

堕姫の脳裏に映る、額に痣のある耳飾りの侍の姿。

 

 

『何が楽しい、何が面白い?命をなんだと思っているんだ』

 

 

「(誰? 知らない…)」

 

その姿が、目の前の炭治郎と重なる。

 

 

「『どうしてわからない?どうして忘れる?』」

 

 

「(これはアタシじゃない、アタシの記憶じゃない・・・細胞だ、無惨様の、細胞の記憶、いや…それだけじゃない、童磨と猗窩座の記憶も…)」

 

堕姫は無惨の血を介して見た童磨の記憶を見ており、一夏の姿形は知っていた。介して見ていただけのはずが、その姿は誰か…継国縁壱の姿と重なった。無惨はその剣士にだけは厳重に警戒する様に言い渡したほどだった。実際自身より格上だった童磨はその剣士に手足も出ず負け、猗窩座も何も出来ず敗退した。

 

 

「人間だっただろう、おまえも。痛みや苦しみにもがいて、涙を流していたはずだ」

 

 

堕姫は、炭治郎と脳裏に映る侍の言葉をかき消すように、地面を殴りつけた。

 

 

「ごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ五月蝿いわね!昔のことなんか覚えちゃいないわ!アタシは今、鬼なんだから関係ないわよ!鬼は老いない!食うために金も必要ない!病気にならない!死なない!何も失わない…!そして、美しく強い鬼は、何をしてもいいいのよ……!!」

 

「…わかった、もういい」

 

 

 話にならないことを悟った炭治郎は、物凄い勢いで、堕姫の間合いへ走り出す。

 

 

 ーー血鬼術・八重帯斬り

 

 

 堕姫はすぐさま帯を格子状に展開し、炭治郎の上空から広範囲を覆う。

 

 

 炭治郎は、いわば、投げ網漁で捕らえられる寸前の魚同然だ。そんな一方的な状況に、堕姫はニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「(さぁ、止まれないでしょ、馬鹿だから。逃げ場のない交叉の一撃…花街を支配するために分裂していた私の体、一つに戻ったら、その速度は今迄の比じゃないのよ。血鬼術でもない攻撃で手一杯だったアンタじゃもう無理・・・お終いね、さよなら。その(ナマクラ)ごと斬ってあげる…アタシは柱の方に行くから)」

 

しかし、堕姫の思惑は叶わない。今の炭治郎は異常だった

 

 

 ーーヒノカミ神楽・灼骨陽炎

 

 

 ヒノカミ神楽で斬られた帯が、バラバラと散っていく。これには、さすがの堕姫も目を見開いた。

 

 

「(痛い!! 何、この痛み!?斬擊を受けた所、灼けるように痛い!!上手く再生できない!!コイツの傷も深いはずなのに、こんな激しい動きをしたら、そこから体が裂けるわよ、普通?!そもそも、なんで私の帯が斬られるの?硬度もあがってるのよ!?指先が震える…これは私? 無惨様?)」

 

 

 この時の炭治郎は、ヒノカミ神楽に水の呼吸を併用しておらず、純粋な日の呼吸を使っていた。容赦なく追撃する炭治郎により、先ほどとは一転、圧される側に立った堕姫は焦りの色が見え始める。

 

ーーヒノカミ神楽・陽華突・龍王

 

炭治郎は堕姫に火を纏った神速の斬撃を九つ堕姫に叩き込む。堕姫はあまりの速さに回避が遅れ幾つかの深い斬り傷を負う。

 

「(速い⁉︎コイツ、確実にさっきより更に速くなってる…おかしい、おかしい!!痛みを感じないの?人間なの!?それに…あいつの刀が…赫く)」

 

 

ーーヒノカミ神楽・円舞

 

     碧羅の天

 

     烈日紅鏡

 

     灼骨炎陽

 

 

 

炭治郎はどんどん技を繋げていく。堕姫は帯を使い炭治郎の攻撃を防ぐことしかできず、次第に追い詰められていく。

 

「(ふざけんじゃないよ!私が、こんな不細工に手も足も出ない⁉︎それに、あいつの姿が…柱の耳飾りの剣士と重なって……!)」

 

そして、日輪刀の色が黒から少しずつ赫くなり、そして、ついに炭治郎の刃が、堕姫の頸にかかった。けれど、一筋縄ではいかなかった。

 

 

「アンタなんかに、アタシの頸が、斬れるわけないでしょ…!!」

 

ぐにゃっ、と堕姫の頸が、帯のようにうねり、炭治郎の刃を通さない。

しかし、炭治郎は冷静に分析する。

 

「(柔らかいんだ、柔らかすぎて斬れない。しなって、斬擊を緩やかにされた)」

 

 

 その隙をついて、堕姫が攻撃に転じた為、炭治郎は素早く後ろへ間合いを取る。

 

 

「(逃がさないわよ、醜い糞餓鬼!!)」

 

 

 更に増えた堕姫の帯が、炭治郎を襲う。

 

 

「(帯が増えた、十三本。避けるとまた、被害が広がるかもしれない。でも、なんだろう、凄く遅いな…)」

 

 

ーー日の呼吸黒式 弐ノ型・炎陽紅焔

 

 

 

高速の連撃を繰り出し、激しくぶつかる金属音ーーー頸に刃が届いただけでなく、自身の攻撃速度に追い付く炭治郎へ、堕姫は苛々と焦りを更に募らせる。

 

 

「斬らせないから、今度は!!さっきアタシの頸に触れたのは偶然よ!!」

 

 

そして、怒り任せの攻撃を、炭治郎は冷静に受け流す。そして、受け流された帯が、一ヶ所へと集められた。

 

 

「!?」

 

 

 怒りに身を任せていた分、堕姫の反応が遅れた。

 

 

「(鎬で受け流された帯が一ヶ所に…)」

 

 

 こうして一ヶ所へ集めた帯の上から、炭治郎が刀を杭のように突き立てた。

 

 

「それで止めたつもり!?弾き飛ばしてやる!!」

 

 

堕姫が帯を引っ張る。けれど、帯を炭治郎の刀から引き抜けず、しなっていた帯がピンと張った。

 

 

「(帯を張ってしならせずに斬るつもりか。まばたきする間に、帯は伸ばせるのよ。そんな一瞬でこれだけの距離を、どうにできるわけ…)」

 

 

「ヒノカミ神楽・円舞一閃」

 

 

そんな堕姫の思惑をよそに炭治郎は高速の剣を振るう、まばたきする間もない程に。

 

 

 

 

 

「(えっ? 斬られた?…速)」

 

 

 墜姫の反応を上回る速度は、堕姫の思考が追い付く間を与えない。そのまま炭治郎は、再び堕姫の頸へと刃を振るう。

 

 

「(単純なことだ、しなるよりも尚、速く刃を振り抜いて斬ればいい。今度はいける、斬れる)」

 

ーーヒノカミ神楽……

 

 

そんな炭治郎の脳裏に、妹の竈門花子の姿が映る。

 

 

『お兄ちゃん、息をして、お願い!!』

 

 

 泣きそうな顔で、懇願する妹の姿に、炭治郎は今まで息をしていなかったことに気づかされた。

 

「ゴホッ!!」

 

 

 息をした途端、今まで羽でも生えたかのように軽かった体に、全ての重みと、痛みと、苦しみが返ってくる。

 

 

「ゲホッ!ゲホッ、ゲホッ・・・グッ、ゴホッ、ガハッ…!」

 

 

 人間には、二つの限界がある。『体力の限界』を迎えると、人は苦しくて動けなくなる。目から血を流すほどの強い怒りで、苦しみや痛みを忘れていたとしても、次に来るのは『命の限界』。

 

当然ながら、これを超えると人は死ぬ。炭治郎は今、その一線を超えかけた。

 

 この限界値を一秒でも伸ばし、鬼と渡り合うために人は、幾星霜幾星霜、血反吐を吐くような努力をしているのだ。

 

 怒りという感情だけで勝てるならば、もうこの世に鬼は存在していないだろう。

 

 

 そんな炭治郎を、堕姫が見下す。

 

 

「惨めよね、人間っていうのは本当に。どれだけ必死でも、所詮はこの程度だもの。気の毒になってくる…」

 

 

 圧で分かる。炭治郎の本能が、危険だと警告する。

 

 だけど、無理やり動かした反動と純粋な日の呼吸を使っていたことから、呼吸すらままならない。

 

 

「(咳が止まらない、苦しい…息が…。とっくに俺は体力の限界を超えていたんだ…それにさっきの俺は水を併用していなかった。まずい、目の前が真っ暗だ、自分の心臓の音しか聞こえない…)」

 

 

「そうよね、傷も簡単には治らないし、そうなるわよね」

 

 

「(構えろ、刀を…)」

 

堕姫は、ゆっくりと炭治郎に帯を伸ばす。

 

「お返しに、アンタも頸を斬ってやるわよ…」

 

その直後、物凄い爆音と共に、堕姫の顔が吹き飛んだ。

 

 

「ゲホッ!ゲホッゴホッ」

 

 

 動けない炭治郎を庇うように立つ。

 

 

「ヴーーーーーーーッ!」

 

 

 そこには、うなり声をあげ、堕姫を睨む禰豆子の姿があった。怒りに、拳をギュッと握り、髪がぶわっと広がる。

 

 

「ヴーーーーッ!ヴーーーーッ」

 

 

 そんな禰豆子の脳裏に浮かび上がるのは、家族が次々と殺されていったあの最悪の日の出来事……

 

 

 記憶が揺さぶられ、禰豆子は血眼になる。堕姫は上弦……つまり、無惨の血の濃度が、今まで禰豆子が遭遇したどの鬼よりも高かった。

 

 

「よくもやったわね、アンタ…!!そう、アンタ…アンタなのね…あの方が言っていたのは、アンタなのね!」

 

 

 そう言って、堕姫は禰豆子を睨み付ける。

 

人間には限界があるが、では、鬼なら、禰豆子は……

 

 その激しい怒りが無限に体を突き動かす、敵の肉体がこの世から消えて無くなるまで。

 

禰豆子と対峙していた堕姫もまた無惨とのやり取りを思い返していた。

 

 

『堕姫、私の支配から逃れた鬼がいる、珠世と同じように…見つけて始末してくれ、お前にしか頼めない。麻の葉紋様の着物に、市松柄の帯の娘だ…』

 

 

 堕姫は構える。

 

 

「ええ勿論、なぶり殺して差し上げます、お望みのままに…!!」

 

 

 咳で苦しんでいた炭治郎が、意識を飛ばした直後、禰豆子の怒りが頂点に達し、堕姫へと突進する。

 

 

 

鬼殺隊の鬼と、十二鬼月がぶつかる

産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか

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