日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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霞と日輪の様子

蜜璃が工房に行ってから一日経ち、真菰も日輪刀の調整の為、担当の刀鍛冶の元に向かった。

 

「甘露寺さんの言っていた武器って何だろうな?」

 

「うー?」

禰豆子は「わからない」と言うように唸る。

 

「やっぱり刀かな?埋まっていたりするのかな?宝探しみたいでわくわくするなあ」

 

「ムー!」

 

竈門兄妹は現在、蜜璃に言われた凄い武器を気にしながら山中を歩いていた。

 

「すごくいい所だけど、温泉の匂いが強いなぁ。うーん、体力が万全じゃないのも鼻が利きにくい原因だ、真菰さんは実際温泉の匂いからも俺がきていたことに気づいたみたいだし。鋼鐵塚さんを早く見つけたいけど…ん?あれは、子供…ともう一人は」

炭治郎の視線の先に、二人の子どもが何やら言い合っている姿が映った。

 

「あれ?確か柱の…なんて言ったっけ…そうだ。霞柱・時透無一郎……」

 

 

 

 

 

 

「どっか行けよ!!何があっても鍵は渡さない!使い方も絶対に教えねぇからな!!」

 

炭治郎は、その様子を見て、二人が揉めていることを察した。どうしようかと一瞬迷ったが、仲裁に入ることを決めたその時、

 

 

無一郎が、「火男」と刺繍された羽織を纏う子供に手刀を食らわせた。そして無一郎は容赦なく男の子の胸ぐらを掴んで持ち上げたので、炭治郎は駆け出す。

 

 

「やめろーっ!何してるんだ!!手を離せ!!」

 

「声がとてもうるさい…誰?」

 

「子供相手に何してるんだ…!!手を離…えっ?」

炭治郎は無一郎の手を無理に引き離そうとするが、びくともしなかった。その体格からは信じられない程の力があったのだ。

 

「君が手を離しなよ」

 

「…ッ⁉︎」

すると無一郎は左肘で炭治郎の鳩尾を狙うが、炭治郎は察知し、なんとか片腕で防御を取る。

 

「(あ、危なかった。一瞬でも遅れていたら間違いなくくらっていた)」

 

「へぇー…君、よく止めたね。ん?その箱、変な感じがする。鬼の気配かな…何が入ってるの…それ?」

 

「触るな」

無一郎が禰豆子の入った箱に触れようとしたので、炭治郎は彼の手を全力で払う。

 

「………あ」

無一郎がビリビリしている手を見つめている隙に、炭治郎は男の子を助けていた。

 

「(とられた…)」

 

「はなせよ!」

 

「目が回っているだろう、危ないよ「あっち行け!!」」

助けられた男の子は、震えながら、心配して差し伸べた炭治郎の手を払う。

 

「だ、だっ誰にも鍵は渡さない。拷問されたって絶対に、あれはもう次で壊れる!!」

 

「拷問の訓練受けてるの?大人だってほとんど耐えられないのに君は無理だよ。度を超えて悪い子みたいだね」

無一郎の容赦のない言葉が次々と言い放たれる。まるで全てがどうでもいいと言わんばかりに、無一郎は言刃(ことば)を振りかざす。

 

「柱の時間と君達の時間は全く価値が違う。少し考えればわかるよね?刀鍛冶は戦えない。人の命を救えない武器しか作るしか能がないから、ほら…鍵、自分の立場を弁えて行動しなよ。赤ん坊じゃないんだから」

 

すると、炭治郎は無一郎の手のひらをパァン!と叩いた。

 

「何してるの?」

 

「一夏さんからあなたのことは聞いてはいますけど、こう…何かこう…すごく嫌!!何だろう、配慮かなぁ⁉︎配慮が欠けていて残酷です!!」

炭治郎は手をもぎもぎさせながらなんとか浮かんだ言葉を出す。炭治郎は弁が立つ性分ではない為、無一郎の行動になんと言えばいいかはっきりとはわからなかったのだ。

 

「この程度が残酷?君…「正しいです!!」」

 

「あなたの言っていることは概ね正しいんだろうけど!間違っていないけど!刀鍛冶は重要で大事な仕事です!剣士とは別の凄い技術を持った人達だ!実際刀を打ってもらえなかったら俺達は何もできないですよね!?」

 

 

「(竈門炭治郎……)」

炭治郎の言葉は周囲に響き渡った。その近くの影に鋼鐵塚の姿があり、炭治郎達を見守っていたが、誰も彼に気づくことはなかった。

 

「剣士と刀鍛冶はお互いを必要としています!戦っているのはどちらも同じです!俺たちはそれぞれの場所で日々戦って…「悪いけど」」

 

「くだらない話に付き合ってる暇はないんだよね」

無一郎はそう言うと、炭治郎が目視できないほどの速さで首に手刀を食らわせた。炭治郎は意識が落ちる前に、鋼鐵塚の姿を見た気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇一方場所は変わって蝶屋敷

 

「猪突猛進!」

 

 

「………」

蝶屋敷の道場内では二人が木刀をぶつけ合っていた。一人は二振りの木刀を持った嘴平伊之助、もう一人は太刀型の木刀を器用に使いこなしている日柱・織斑一夏だった。

 

 

「獣の呼吸 参ノ牙・喰い裂き!」

 

「……」

 

交差した二刀を外側に一夏に向けて左右に振り抜くが、一夏により簡単に受け流される。

 

「クソッ!ぜんっぜん、当たらねぇ!!どうなってやがんだ!?」

 

「炎の呼吸 弐ノ型・昇り炎天」

 

「危ねぇっ⁉︎」

伊之助はなんとか一夏の炎の一振りを回避するが、ギリギリと言ってもいいくらいの様子だった。

 

「なんでテメェがギョロギョロ目ん玉の技使ってんだ⁉︎」

 

「心得があるだけだ。それよりも、呼吸を落ち着かせろ。息があがっているぞ」

 

「わかってるわ、んな事!!」

伊之助は一夏に果敢に攻めるも一太刀も浴びせることができず、避けられ、受け流されるばかりだった。伊之助は攻めあぐねて、焦りを見せ始めた。

 

「(クソ!まるでわからねぇ、こいつが早すぎなのもあるが、見る目が一点すぎて的が絞れねぇ!一夏は俺の何をみていやがる⁉︎)」

伊之助の持つ五感は自然、野生の中で生きてきたからこその殺気に対する反応速度、更には広域探知の技を有している。その戦闘能力は高い次元でバランスが取れているが、柱程ではなかった。

 

 

「肆ノ牙・切細裂き!!」

 

「日の呼吸 肆ノ型・灼骨炎陽」

 

 

素早い六連撃により、前面広範囲に強力な斬撃を放つが、一夏は太陽を描くようにぐるりと振るい、斬撃を相殺する。

 

「クソッタレ!「隙ありだ」…なっ⁉︎」

一夏は伊之助の背後に回っており、首先に刀身を突きつける。

 

「(は、はえー、突きつけられるまで全く気づかなかった。あの一瞬で俺の背後に回ったのか?こいつのいる場所は、異次元だ…)」

伊之助は被り物越しからも冷や汗が止まらなかった。一夏は伊之助の状態を見て敵意がないことを確認して木刀をゆっくり降ろすと、伊之助は距離を取る。

 

 

「うん、だいぶ動きは良くなってきたが、まだまだ呼吸が荒い。持って二十分って所だな」

 

「はぁ、はぁ、うるせぇな、わかってるわ!」

伊之助は距離をとった後、座り込んでしまい、息を荒立て汗を吹き出していた。伊之助は自身の全力を出し切ったが一夏に一太刀も浴びせることができなかった。そんな一夏はと言うと、気になって仕方ないことがあった。

 

「伊之助、お前はなんで俺に鍛錬なんて頼んだんだ?僅かな関係しかないが、お前の性格は理解しているつもりだ。どう言う風の吹き回しだ?」

 

「はぁ、はぁ、目的が、出来たんだよ……」

 

「目的?」

 

「ああ、あのミミズ鬼どもと戦った後、俺がぐっすり寝てる間…夢ん中で、母ちゃんにあった」

 

「伊之助の母親……」

 

「赤ん坊の時の記憶を思い出した。母ちゃんは俺を逃すために、川に落とした。殺した奴を鮮明に思い出したんだよ!鉄のなんかを持った上弦の鬼だった。母ちゃんを殺した鬼を食い千切るまではどこまでも強くなってやる」

 

「(ん?鉄の何かを持った鬼…そして上弦、鉄のなにかは扇のことか?……………あいつかぁ…)」

一夏は思い出したくない奴を思い出してしまった。カナエを死の淵に追い詰めた元上弦の弐……四年前、一夏が倒した上弦の鬼だった

童磨は歪んだ性格をしていて、一夏がこの世ではじめて怒りを抱いた相手だった。既に伊之助の仇相手を倒していることに気づいた一夏は気不味そうにしながら伊之助に真実を伝えようとするが

 

「一夏!もう一回相手しやがれ!」

 

「え?伊之助、少し話を…「猪突猛進!!」……聞いてくれ!」

伊之助は一夏の話を聞かず、再び木刀を一夏に向けて振るう。一夏は今の伊之助に何を言っても、無駄だと判断し、伊之助と再び打ち合った。

 

 

その後、打ち終わった後、伊之助に母親を殺した鬼を既に倒していることを話すと、伊之助は急に静かになり、いきなり一夏に木刀を振るってきた。その動きは今までの伊之助とは思えない動きで一夏を攻めていた。

 

その時の伊之助の動きは、柱に近い動きだったことを付け加えておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と言うことがあったんですよ」

 

「そうか(大変だったんだな)」

義勇と外食に来た時に、一夏は稽古内容のことを話した。因みに二人が食べているのは鮭大根だ。

 

「大変と言うよりも、最近他の柱方とも暇さえあれば打ち合っていますよ。毎日のようにやられると疲れも溜まります」

 

「お前は(鬼殺隊最強の剣士だ)俺とは違う」

 

「俺だって人の子ですよ?昼間くらいゆっくりする時間も欲しいですよ…………あの、口周りについてるご飯粒をどうにかした方が」

 

最近、しのぶと杏寿郎、義勇を除いた柱は時間がある限り稽古をする日が頻繁に増えて来た。蜜璃や小芭内、悲鳴嶼は約束をした上で稽古をしているが、毎日のように申し込む人物もいた。

 

何しろ杏寿郎が一夏に勝ち、同じ透き通る世界に至ったことを聞くと、言わずとも不死川は一夏と打ち合いになり、木刀を弾かれると拳と拳の戦いになってしまう。その時、一夏は“日の呼吸無手の型”で対応した。

 

一夏は最近ゆっくりする暇が少なくなっているのだ。その様子を心配した姉妹は稽古は一回勝負と限定した。

 

「今日も正直、天さんと小芭内さんも来たんですけど、カナ姉としのぶは天さんを追い返したんですよ。小芭内さんとは元々約束していてして仕方なかったんですけど、天さんは、蝶屋敷を出禁になっているので…」

 

「……(宇髄は)何をしたんだ?」

 

「あの姉妹を怒らせた……と言えば理解出来ますか?」

 

「………」

口数の少ない義勇は更に無口となり、顔を無表情ながらも真っ青にしていく。義勇も怪我をした際、我慢していたところをカナエにバレてしまい、無理やり治療をしてもらい説教を食らったことがあるのだ。

 

 

「ところで冨岡さん、真菰を最近見かけないんですが、心当たりはありませんか?」

 

「真菰なら、刀鍛冶の里に行っている」

 

「…刀鍛冶の里、今、炭治郎も行っているですよ、何しろ刀が届かないみたいで。俺も刀の依頼をしているんですけど、二ヶ月半も来る気配もなくて」

 

「そうか…(お前は太刀を)依頼していたな」

 

「はい、今はどうなっているかわかりませんが、俺は待つつもりです。鋼鐵塚さんならきっと、すごい刀を打ってくれるって」

 

一夏は鋼鐵塚を信じて待ち続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、炭治郎が里に滞在して……七日が経過した日

 

 

「俺に任せろって言っているだろうが!!」

 

「うわあああ!大人のすることじゃない!!」

 

ムキムキなひょっとこの面をつけた刀鍛冶が、古い刀を振り回し、大人気ない行動をしていた。

 

 

産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか

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