「敵襲—————!!!」
真夜中の里にカン!カン!カン!と、小型の釣鐘である半鐘の音をあたりに響き渡らせる
「鬼だー!!敵襲ーっ!!各一族の当主を守れ!!柱の刀を持ち出せ!長を逃がせ—————!!」
里は金魚の化け物に襲撃されており、住民は逃げ惑っていた。
「ギャッ!!!」
「鉄悟郎ー!!」
「気をつけろ!この化け物の爪は刃物みたいに鋭いぞ!!」
「一旦建物の中へ逃げろ!」
里の者たちは槍や刀で対抗しているが、化け物との戦力差は明らかだ。
応戦するも力の差は歴然である。
──水の呼吸 肆ノ型・打ち潮
すると刀鍛冶の間に水が舞い降りた。淀みない動きで斬撃を繋げ、化け物を倒していく。
「大丈夫ですか、皆さん!」
「遅れてごめんなさい!みんなすぐに倒しますから!!」
「うおおお!柱がきたぞ!凄エ!!」
「強……」
「あの狐面は…鱗滝殿の!」
「可愛いから忘れていたけど、強いんだよな…あの二人」
里に駆けつけたのは、恋柱の甘露寺蜜璃、甲の鱗滝真菰だった。
「蜜璃さん、ここは任せて長の所へ!」
真菰は一体の化け物壺を滅してから、蜜璃と共に鬼を切り裂いていく、しかし数が多くてキリがないため
「わかったわ!里の皆は真菰ちゃんに任せるわ!」
「任せてください!道を切り開きますので、蜜璃さんは一気に駆けてください!」
「了解!」
──水の呼吸 参ノ型・流流舞い
水流のごとく流れるような斬撃で道は開かれ、蜜璃は一気に駆け出し鉄珍の屋敷へ駆ける。
「ここから先は行かせないし、この人達は指一本も触れさせない。君達から感じるのは邪の匂い……私、人に害なす存在には容赦しないから…!!」
真菰は刀を化け物に向けて言い放ち、里の者からは目視が難しい速さで水の斬撃を浴びせながら化け物壺を斬り刻んでいく。
◇
「お…長…」
一方長の屋敷では鉄珍が巨大な金魚の化け物に体を掴まれ持ち上げられていた。鉄珍は血を吐き、息はあるようだが、このままでは死に至る。
「(里を常駐で警護していた鬼殺隊員があっけなくやられてしまった。里で最も優れた技術を持つ長を死なせるわけにはいかない……しかし、この化け物には攻撃がまるで効かん、異常に動きも速い)
鉄珍の側近は長を助けるべく立ち上がろうと力を入れるが、
「動かない方がいいですよ!多分貴方は内臓が傷ついているから」
動かない様に促す少女が側近の前に現れた。日輪刀を抜刀している蜜璃が音もなく現れたのだ。
「かっ…甘露寺殿…!!(っ!なんだこの刀は、長が…鉄珍様が打ったものか?噂には聞いていたが、なんと奇妙な」
蜜璃の日輪刀は鉄地河原鉄珍自らが打った特殊な日輪刀であり、その薄鋼は布のようにしなやかでありつつも、達人が扱えば決して折れることの無い一刀である。
一夏の過ごした時代で例えると、スポーツで新体操に使われるリボンのような感じになっている
「モォオオオオオオ!」
金魚の化け物は蜜璃に襲いかかるが、蜜璃は日輪刀を構え、側近の視界から消える。
「私、いたずらに人を傷つける奴にはキュンとしないの」
「モ?」
蜜璃は既に金魚の化け物の背後に立っており、技を使わず、金魚の化け物を斬り裂いていた。
「ああっ…」
「鉄珍様!!」
金魚は消滅し、鉄珍を握っていた手が消え、落下し、蜜璃は刀を投げ捨て鉄珍を受け止める。
「大丈夫ですか鉄珍様!!しっかり…!!」
「う……」
「鉄珍様!聞こえますか!!」
「若くて可愛い娘に抱きしめられて何だかんだで幸せ……」
「やだもう!鉄珍様ったら!」
声は掠れていたが、鉄珍は仮面越しにとても幸せそうにしていた。同時に里の住民の避難と金魚の化け物の殲滅を終えた真菰が遅れて到着する。
「(……うん、無事みたいだね。鉄珍さんから幸せそうな匂いがする……)」
真菰は鉄珍と共に鬼に握りしめられていた側近の元に駆け寄る
「大丈夫ですか?私の声、聞こえますか?」
「な、なんとか…大丈夫、です」
「よかった。手当を始めるからじっとしてて…」
「(ああ、天女だ。天女がおる)」
真菰の笑みを見た側近は真菰の笑みに安心し、眠りについた。
「よ…良かった……」
薙刀を持った側近も、長が無事なのを確認すると、気絶した。
◇
「(…何だ?何だろうこれは、この匂いは……)」
意識が朦朧としている中、ふわっとした匂いを感じとり、
「ちょこまかと逃げるなァァ!!」
「………っ!」
炭治郎は声にパッと意識を回復させ、禰豆子は炭治郎を抱え、積怒の雷の攻撃を躱していた。
「ぐはっ……(そうだ、俺は団扇の鬼の攻撃を受けて気を失った…!!禰豆子が先に意識を取り戻したんだ)」
ここまで竈門兄妹は頚を斬られると分裂して若返る分身体を生み出す血鬼術に苦戦していた。
不死川玄弥も戦闘の場に入ったが、舌に喜怒哀楽の文字が刻まれた四体の鬼…空を自在に飛び音波攻撃を放つ空喜,錫杖から電撃を繰り出す積怒,三叉槍の使い手の哀絶,八つ手の葉の団扇で突風を起こす可楽を生み出してしまった。
玄弥は自身が持つ特異体質を駆使しながらも猛追するも、鬼は倒せずにいた。
炭治郎は意識を完全に覚醒させ、状況を整理するも、積怒の雷をくらい倒れ込み、空を飛ぶ鬼、空喜が迫りくる中、炭治郎は攻撃を回避し禰豆子を抱え廊下へ逃げ込み姿をくらますが、
「可楽!!この建物を吹き飛ばしてしまえ」
「カカッ!言われなくてもそのつもりじゃ!」
可楽が団扇を建物に向けて振るうと、建物は強風に煽られ、どんどん崩れ始める。
「(考えろ!!考えるんだ!!敵に大打撃を与える方法、すぐに回復させない攻撃)」
──この状態の日輪刀は、お前ら鬼の再生能力を阻害する力がある──
「(っ!今のは…)」
脳裏に、無限列車の任務で、一夏が言っていた事がよぎった。その時、禰豆子が炭治郎の日輪刀の刀身を掴むと、建物は完全に崩壊した。
「カカカッ、随分見晴らしが良くなったのう」
「これでちょこまかと隠れる場所はない」
建物は瓦礫と化し、炭治郎は無事だったが、禰豆子は瓦礫の下敷きになっていた
「禰豆子、大丈夫だ!見捨てたりはしない!刀から手を離すんだ!!瓦礫をどかすから、禰豆子やめろ!指が切れる!!」
炭治郎の目には禰豆子の手から血が滲み出ており、刀を強く握って離さなかった
すると、炭治郎の日輪刀は禰豆子の燃える血により紅色の炎を纏う。
「(禰豆子の燃える血で刀が燃え…っ⁉︎この色は…一夏さんと同じ⁉︎赫くなってる!いや、これは赤色…禰豆子の爆ぜる血を纏って……これは、爆血刀!!)」
──赤くなるんですねぇ
「(っ⁉︎誰だ?)」
──お侍さまの刀、戦う時だけ赤くなるねぇ。どうしてなの?不思議ねぇ。普段は黒曜石のような漆黒なのね。とっても綺麗ですねぇ
「(禰豆子?いや違う。これは遺伝した記憶だ。お侍さまというのは、あの耳飾りの剣士のことか?あの剣士の刀も、一夏さんや俺と同じ黒刀だ。俺の刀も赤くなった。色が変わった)」
炭治郎は遺伝した記憶を見るが、すぐに炭治郎は一夏と蝶屋敷での事を思い出す。
時は無限列車の任務から数ヶ月後の事、炭治郎は一夏に稽古をつけてもらう都合から、任務がある際も、蝶屋敷を拠点としていた。
『ふぅ(一夏さんとの稽古はかなり手応えがある。カナヲや柱のみんなが強いのも納得だ。けど、腕をあげたからと言って慢心はいけない、油断が命取りになる!)』
炭治郎は休憩している中、廊下を歩きながら一夏との稽古の内容を復習しながら改善点を挙げていく。
『た、炭治郎…』
『あっ、カナヲ!任務帰りか?』
『う、うん、炭治郎は、兄さんと稽古?』
『うん、そんな所かな。やっぱり一夏さんは凄いよ。最初なんて動きすら見えなかったし、カナヲが強い理由も今ならわかるよ』
炭治郎は稽古をしながら一夏と任務で同行する機会なども増え、炭治郎は一夏の太刀筋を見て技術を学ぼうにも、一夏の剣は美麗の剣撃だった。まるで日の神が舞うように鬼を斬る姿に炭治郎は到底敵わない領域に一夏はいた。
『(炭治郎がいるって、カナエ姉さんの鴉から連絡がきたけど…大丈夫かな?汗臭くないかな?炭治郎、嗅覚が優れてるから…臭わない…よね…?)』
カナヲは任務帰りで内心かなり身だしなみを気にしていた。家族以外興味を示さなかったカナヲは、あの一件で炭治郎を気にするようになっていた。
『それに、カナヲからかなり頑張ってる匂いがする。俺も負けてられないな!俺、訓練場に行くから…また後で!』
炭治郎は笑顔でそう言うと道場に向かって行った。
『(頑張ってる匂いって何だろう?でも……炭治郎も頑張ってるんだ。でも、何だろう…この感じ……)』
カナヲはなんとも言えない感情が渦巻くが、彼女自身その正体に気づくことは……まだ先の事である。
道場で個人訓練を済ませた炭治郎は涼むため、風にあたろうと縁側に足を運ぶと一人の先客がいた。
それは自身の師である日柱・織斑一夏だった。彼は刀の手入れをしており、柄を強く握ると、漆黒の色から燃え上がるように紅く変化する。その刀身はまるで太陽を連想させるようなものだった。
『炭治郎、どうしたんだ?』
『あっ、すみません!一夏さんの日輪刀は、普段は漆黒色なのに、赫く変化するんですね…』
炭治郎は一夏の隣に座ると、赫く染まった日輪刀を見つめながら呟く。
『まぁ、俺みたいに簡単にできる状態じゃないが…この状態の日輪刀…赫刀とでも言おう。赫刀で鬼に傷を入れると…鬼の再生能力を阻害出来る』
『再生能力の阻害⁉︎』
炭治郎が驚くのも無理はなかった。鬼の恐ろしさは再生能力だ。上弦の鬼であると瞬きする間に再生させるが、その力すら阻害出来るとなると仕方のない事だ。
『赫刀で解明できた一つだが……今は、この状態にどう至るか探っている状態だ』
『そ、そうなんですか?』
『ああ、赫刀の発現方法がわかれば、杏寿郎達も上弦の鬼と優位に戦えるかもしれないからな』
一夏は手を止めず刀の手入れをして、満足すると刀を鞘に納刀する。
『さて、炭治郎、最近はどうだ?』
『は、はい!正直自分でも驚くくらい手応えを感じています。無限列車の後から確実に強くなっているのは嫌でも自覚できます』
『そうか、黒式の方はどうだ?』
『はい、壱と弐は掴めては来ましたが、他はまだいまいちです』
『そうか』
『その、一夏さんは…どうしてそんなに強いんですか?』
炭治郎は一夏に問うと、一夏は少し考え込みながら口を開く。
『俺はそんな大層な存在じゃない。俺だって人の子、怪我をしたら痛いものは痛いし、死ぬ時は死ぬ存在だ。俺は一人でここまで強くなったわけじゃない。しのぶやカナ姉、蝶屋敷の皆んなや仲間がいたから…俺は強くなれた。心もな』
『一夏さん……』
『俺は、覚悟を超えた先にある…希望を信じてる』
『覚悟を超えた先の…希望』
炭治郎から見た一夏の横顔は、とても穏やかな表情をしていた。
◇
「(覚悟を超えた先の希望、俺の刀は…禰豆子の血の力で赤くなった。強くなったと思っても鬼はまたさらに強くなる。生身の体は傷を負いボロボロになる。でも、その度に誰かが助けて繋いでくれる。俺は…答えたい!俺に力を貸してくれるみんなの想いは一つだけ、鬼を倒すこと、人の命を守ること。俺は…それに応えたい!!)」
炭治郎は仲間の想いを胸に、呼吸を整え、紅色に燃え盛る日輪刀を構える。
「小細工をした所で儂には勝てぬ、斬られたとて痛くも痒くもないわ」
空喜は炭治郎に高速接近するが、積怒は炭治郎の燃え盛る爆血刀を見つめる。
「(燃える刃…赫刀、これは、無惨様の記憶…いや、それだけではない、童磨や猗窩座、堕姫と妓夫太郎の記憶も……、童磨と伍兄妹を葬り、無惨様と猗窩座を追い詰め、その頚を斬りかけた剣士と、耳飾りの柱と…姿が重なる)」
「“日の呼吸” 陸ノ型」
炭治郎は踏み込み、神速で駆け出し日の龍を象るように戦場を駆け巡りながら刀を振る。
「日暈の龍 頭舞い」
炎を纏った紅の刃は、三体の分裂体の鬼の頚を一瞬にして斬り裂いた。
産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか
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させる
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原作通り
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作者に任せる