「(よし、三体斬った!あと一体、一度に四体斬らないと…あと一体は…)」
炭治郎は、禰豆子の血鬼術によって炎を纏った紅の日輪刀で、積怒,可楽,空喜の頸を一瞬にして斬り裂いた。そしてもう一体を探していると、頚を斬り、鬼を槍で木に串刺しにし、頭を持っていた玄弥の姿が見えた。
「(斬ってる!!やった…同時か⁉︎同時に斬れていれば…)玄……」
炭治郎は玄弥の名を最後まで呼べなかった。
「ふーーーーーーーっ、ふーーっ!」
振り向いた玄弥の瞳の色は変化しており、鋭い牙が生え、顔にはいくつもの血筋が浮かび、息を荒くし涎を垂らしていた。
「(玄弥か?なんだあの姿は、まるで…)」
「ガアアア!何だこの斬撃は!!再生できぬ!!灼けるように痛い!!」
「落ちつけ見苦しい!遅いが再生自体はできている!」
鬼の方は炭治郎の斬撃に痛みにもがいており、少しずつ再生をさせていた。
「(攻撃は効いてる!!だけど、正規の方法じゃないと……一夏さんのように赫くしないと完全な阻害はできない!玄弥の状態はわからないが、一体斬ってくれたことでわかった)」
分裂した鬼はいくら頚を斬った所で意味はない……疑惑は確信へと変わった。戦いの最中、五体目の鬼の存在に気づいたからだ。可楽の団扇の風のおかげで、温泉の匂いは流され、五体いる事に気づけたのだ。瓦礫の下敷きになった禰豆子を救出し、五体目の鬼を探そうとした時……
「鬼殺隊最強の継子だからって図に乗るなよ……!上弦を倒すのは……俺だ!!!」
「玄弥!うわ…っ」
息荒く涎を垂らしながら、炭治郎の首を突然玄弥が握ってきた。
「上弦の伍を倒したのはお前じゃない「うん、そうだよ!」」
「お前なんかより先に俺が……」
玄弥の握力が強くなるが、炭治郎はなんともないようにしていた。
「玄弥!!涎が出てるぞ、どうしたんだ!!俺の首を絞めてるし」
「柱になるのは俺だ!!!」
「なるほど!わかった!!俺と禰豆子が全力で玄弥を援護する!!三人で頑張ろう!!場所はまだわからないけど、五体目の鬼がいる!探すから時間を稼いでくれ!!」
炭治郎の真っ直ぐな言葉に玄弥は黙ってしまう。荒れていた玄弥も少しずつ落ち着きを取り戻し始める。
「………お前の魂胆はわかってるぞ、そうやって油断させ………」
玄弥の言葉は続かなかった。玄弥を見つめる炭治郎の目は曇り一つ無かった。
竈門炭治郎と言う少年は嘘をつくことができない真面目で馬鹿正直な少年だ。
「危ない!!」
炭治郎は玄弥を突き飛ばす。二人が立っていたところに雷が落ちる。
「五体目を見つけたらすぐに教える!!禰豆子だけは斬らないように気をつけてくれ!俺の妹だから!」
禰豆子は、玄弥のそばに寄って、手を上げ、“よろしく”と挨拶をするような仕草をとった。
「(もう再生したのか!!やっぱり一夏さんのようにはいかない!とにかく急げ!)」
炭治郎は自身が持つ嗅覚で、辺りを探る。可楽の団扇のおかげで、温泉の硫黄の匂いが飛んでいた為、探すのには手間取らなかった。
「(見つけた!!)玄弥ーっ!!北東に真っ直ぐだ!!五体目は低い位置に身を隠している!!向かってくれ、援護する!!」
「(北東!!)」
「禰豆子!!玄弥を助けろ!!鬼に玄弥の邪魔をさせるな!」
炭治郎と禰豆子は、玄弥が本体を探す中、四体の鬼を近づけさせないよう援護を始める。
──日の呼吸改・円舞回天
炭治郎は、積怒の雷撃を、錫杖を持っていた腕ごと斬り裂き、空喜の羽も斬り落とした。
「(あの童……さっきよりさらに速くなった。いや、会った時点であの方からの情報よりも。桁違いの反射、戦いへの適応、瀬戸際での爆発的な成長……!)」
積怒が炭治郎の実力を分析する間も、炭治郎の動きはどんどん速くなっていく。
「ぐあッ!」
禰豆子が三叉槍を扱う哀絶を抱き着くように締め上げる。それと、同時に血鬼術により身体を炎に包む。
「(まずい、可楽!!)」
可楽は団扇で風を起こすが、
──日の呼吸 拾壱ノ型・幻日虹
炭治郎は幻影と化し、地面には風で団扇の跡が出来る。
「(なっ⁉︎消え……)」
その瞬間、可楽の顔が二つに裂かれ、団扇を持つ腕が斬り落とされる。
「日の呼吸 拾ノ型・火車!」
炭治郎が円を描き、日の斬撃を浴びせたのだ。
「ガッ!(は、早い!全く動きが見えん!)」
「このガキィ!!」
「玄弥!!右側だ、前に移動している!探してくれ!!」
可楽は斬られながら炭治郎に蹴りを入れるが、容易く避けられる。追撃を躱した炭治郎は玄弥に本体の位置を知らせた。
「(探してんだよずっと!!また何かの術か!?何処だ!?長引けば長引くほどこっちが消耗しちまう……!)」
「西だ!もっと右!!近くにいる、低い!」
「(何処だ、どっ……)」
その瞬間、玄弥は本体……であろう鬼を見つける。だが、その鬼はあまりにも小さかったのだ。
「ヒィィィ!!!」
「(ちっさ!!!!小さすぎだろ!?本体こいつか!?こいつがか⁉︎)」
玄弥が鉛玉を放ち、刀を振るう。そのどれもが半天狗を捉えられない。
「(今まで鬼殺隊の人間がやられてきた構図が見えたぜ……ふざけんな、小賢しい!!憤懣やる方ねぇ!!)」
文句に近い怒りを覚えながら、玄弥が刀を再び振るう。その刀はとうとう頚を捉えた。
「ギャッ!」
「(よし行ける!勝っ……)」
するとパキン!と音が鳴り響く。損傷したのは半天狗の頚ではなく、玄弥の日輪刀であった。
「(きっ…斬れねえ!!馬鹿なっ!!こんな…指一本分位の太さの頸だぞ!?)」
玄弥は銃の引き金を引くが、砂煙が晴れたそこには、何も変わった様子のない半天狗がいた。
「ヒィィ」
「(効かねえ!!)」
すると後ろから玄弥の首に錫杖を向け、積怒がやってくる。
「(しまった、もたつき過ぎた。避けられねえ、やられる、首は再生出来ねえ………)」
玄弥は絶望する。そこで思い浮かべたのは、一人の人物……風柱・不死川実弥の姿だった。
「(兄貴……俺は柱になって兄貴に認められたかった。そして、あの時のことを謝りたかった……)」
玄弥は過去のことを思い出す、兄妹家族と暮らし、兄と家族を守ろうと約束したことを……
『これからは俺たちでお袋と弟たちを守るんだ、いいな?』
『………兄ちゃん、これからは、じゃなくて…これからも、だろ?』
『……ははっ、そうだったな』
そして約束をした最中、母親が鬼になり、自分と実弥以外殺されたことを、その母親を実弥が殺したことを、その実弥を“人殺し”と罵ってしまったことを……。
「(ごめん兄ちゃん、謝れないまま俺は死ぬ。兄ちゃんに笑いかけてもらったあの時の都合のいい走馬灯を見て。俺、才能なかったよ…呼吸も使えない、柱にはなれない。柱にならないと会えないのに、頑張ったけど無理だったよ)」
『テメェみたいな愚図、俺の弟じゃねぇよ。さっさと鬼殺隊なんて辞めちまえ。』
「(なんでだよ!!俺は兄ちゃんの弟なのに!)」
積怒の杖が玄弥の首を掠める。しかし、玄弥の命を絡め取るには至らなかった。
「玄弥————っ!!諦めるな!!もう一度頚を斬るんだ!!諦めるな!!次は斬れる!!俺が守るから!!頚を斬る事だけを考えろ!!」
追いついた炭治郎が、積怒の腕を斬り裂いたからだ。
「柱になるんじゃないのか!!不死川玄弥!!」
しかし、その後ろから槍を持った分裂体の鬼、哀絶が追いついてくる。
「(しまった、後ろ……!!)」
──激涙刺突
「(まずい!これじゃあ間に合わない!)」
炭治郎は黒式を使い防御をしようにも、呼吸が間に合わず、放たれる無数の突きその全てが炭治郎に襲いかかる。
「(喰らった……もろに……あれっ…?)」
いつまで経っても痛みは来ず、自身を確認すると、炭治郎は一切の傷を負っていなかった。
「行け……」
「っ⁉︎玄弥!!」
無数の刺突から身体を張って炭治郎を守った玄弥、その身は穴だらけであった。
「俺じゃ斬れない。お前が斬れ、今回だけはお前に譲る。」
炭治郎がすぐさま本体の元へ駆け出すと、穴だらけだった玄弥の身体は少しずつ塞がりはじめる。そして、玄弥は銃を放ち、足止めを始めた。
「(いた!!小さい……!!)」
炭治郎の刀は半天狗の頚を捉え、刃を喰い込ませる。
「(よし!!いける!!このまま……)」
「ギャアアアア!!!」
半天狗は鼓膜を貫くような悲鳴を上げる。炭治郎は刀を握る手に力を込めた。
「(なんで声だ!!でも、いける⁉︎このまま斬れ……)」
その時だった。炭治郎の後ろに何かが現れる。
「(何だ!?俺の後ろに何かがいる!!この匂い、喜怒哀楽のどれとも違う匂い!何が来た⁉︎とにかく頚を!斬ってしまえばきっと……!!)」
しかし炭治郎の日輪刀はこれ以上半天狗の頚を斬る事はなかった。炭治郎の刃は赤から黒色に戻り、禰豆子の血の効力が途切れてしまったのだ。
「炭治郎、避けろ!!」
玄弥は銃を構えるも、そこから何も出来ない。ここで撃ったら炭治郎にも当たるため、引き金を引く事ができなかったのだ。
「(まずい、攻撃がくる…!!)」
ドン!と鼓のような音が鳴ったと思った瞬間、
地から木の龍が炭治郎に襲いかかる。
「禰豆子……!」
飲み込まる寸前で、間一髪、禰豆子が脚を犠牲にしながらも炭治郎を救出する。遊郭の時のように、上弦に匹敵する再生速度ですぐさま脚は生え変わったが、落ちるように着地してしまった。
「禰豆子!大丈夫か!?」
「フゥ、フゥ……」
禰豆子は息を吐いて整えているが、血を使いすぎて疲労が見える様子だった。
「弱き者を痛ぶる鬼畜」
「はっ!」
「不快、不愉快、極まれり、極悪人共めが」
「(六体目…!! もういい加減にしてくれ!!)」
突如現れた鬼が炭治郎の方へ振り向く。そこには子供のような背丈の鬼がいた
「(どうなってやがんだ⁉︎アイツ、さっきまで怒りの鬼だった。炭治郎が頚を斬りかけた途端、両手を掲げたら喜と楽の鬼が引き寄せられ、槍を持った奴も吸収しやがった!!)」
喜怒哀楽、全ての鬼が一つとなり新たな鬼が誕生した。
そしてドン!と鼓を鳴らすと半天狗が木に囲まれる。
炭治郎は本体に向かって踏み込もうとする。
「待て!!」
炭治郎が半天狗にそう怒鳴ると、喜怒哀楽が合体した鬼…憎珀天が睨み付ける。それは息が詰まる威圧感だった。
「(なんて威圧感だ、このまま本体に向かっていたら、確実にやられていた!)」
炭治郎は、一夏との鍛錬で、ある程度の殺気や威圧への耐性を身につけている。それ故に、なんとか踏みとどまる事ができたのだ。
「何ぞ?貴様、儂のすることに不満でもあるのか?のう、悪人共めら」
半天狗はこれまでに何度も窮地に追い込まれ、そしてその度に、己の感情を血鬼術で具現化、分裂させ鬼殺隊に勝ってきた。
追い込まれれば追い込まれるほど、強くなる鬼なのである。
「ど……どうして、俺達が悪人なんだ?」
「弱き者を痛ぶるからよ。先程貴様らは手の平に乗るような小さく弱き者を斬ろうとした。なんという極悪非道。これはもう鬼畜の所業だ」
「小さく弱き者?誰が……誰がだ、ふざけるな、お前たちのこの匂い、血の匂い!!喰った人間の数は百や二百じゃないだろう!!」
憎珀天の言い草に、炭治郎は激しい怒りを露わにする。そして柄に信じられないくらいの力が入り、炭治郎の痣の形が変化し、日輪刀が黒から赫く染まっていく。
「(っ⁉︎なんだ、炭治郎の刀が……赫く…織斑さんと同じ)」
玄弥はなんとか憎珀天の威圧から鼓動を落ち着かせた。そして、先程とは違い赫く染まった炭治郎の日輪刀に驚く。その日輪刀はまるで、太陽を連想させるようなものだった。
「悪鬼め……!お前の首は……俺が斬る!!」
半天狗との戦いはさらに、激しさが増そうとしていた。
産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか
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させる
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原作通り
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作者に任せる