日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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戦闘描写かなり難しい。おかしなところがあればご指摘やアドバイスよろしくお願いします。


神気の焔

「日の呼吸・火車」

 

「日の呼吸 拾壱ノ型・幻日虹」

 

幻想的な世界の中で、あれから数時間、いや…時すらわからないくらい二人は打ち合っていた。目視できる程の日の気を纏わせた二人は、苛烈な攻防を繰り広げている。

 

「日の呼吸 参ノ型・烈日紅鏡」

 

「日の呼吸・火車」

 

 

宙を舞い、重力に従って地面へと着地する。鬼にも負けず劣ら…いや、もはや次元の違う戦いが繰り広げられていた。その様は視認するのが難しいほどである。

 

「日の呼吸黒式 弐ノ型・炎陽紅焔」

 

「日の呼吸黒式・日影」

 

二刀流の一夏は、たった三秒弱で三十連撃、そして焔の衝撃波を超高速で飛ばすも、縁壱は日影で無力化する。

 

──日の呼吸 壱ノ型・円舞

 

一夏がその間に加速して繰り出した一撃は簡単に受け止められ、刀の鍔競り合いとなる。

 

──日の呼吸黒式 参ノ型・白日波濤

 

一夏は刀を弾き、右手に持っている日輪刀を逆手に持ち替え、その勢いで下から上へ刀を振るう。

 

──日の呼吸・灼骨陽炎

 

 縁壱は周囲に自身を守る斬撃を放ち、焔の衝撃波と化した一夏の斬撃を受け止めると、甲高い金属音が響き、お互い距離を取る。

 

「………」

 

「………」

 

二人は言葉は発さず、水面の中、縦横無尽に動き、刀の合わさる金属音を響かせる。

 

 

この攻防はもはや……神の領域だった。

 

──日の呼吸改・陽華突・龍王

 

──日の呼吸・輝輝恩光

 

 一夏は、相手の動きを止めることが出来る部位に神速の九連撃を放つが、縁壱は体ごと渦巻くように回転しながら、周囲に炎の斬撃を放ち、凌いでしまった。

 

ガキーン!と金属音が鳴り響く中、縁壱は、背後に着地する一夏へと身体を反転させた。着地とほぼ同時に放たれた剣が互いに迫るが、二人は突きを受け流すと、一瞬姿を消し、再び現すと同時に鍔迫り合いとなる。刀身からは摩擦が起き、火花が弾けた。

 

「(これが…本当の始まりの剣士太刀筋!相手は俺自身であって、縁壱さんでもあるわけか……剣の重みが比べ物にならない!)」

 

「(これ程とは……一夏、君は間違いなく俺と同じ領域にいる…だが、まだ自分の中に眠る力を出し切ってはいないな……)」

 

一夏は、縁壱の剣の重みを悟る。一夏も負けじと左に持っている刀を逆手に持ち変えた。

 

「日の呼吸 参ノ型・烈日紅鏡」

 

「日の呼吸・輝輝恩光」

 

「日の呼吸 拾ノ型・火車」

 

「日の呼吸・幻日虹」

 

縁壱は、迸る日の斬撃を、同じ日の斬撃で受け流す。一夏は技を立て続けに繰り出すも縁壱は残像と化し、攻撃を躱した。

 

──日の呼吸 㭭ノ型・飛輪陽炎

 

──日の呼吸・炎舞

 

──日の呼吸 拾弐ノ型・炎舞

 

 

縁壱が繰り出した炎舞を一夏も同じ技で相殺する。二人は距離を取り、体制を立て直すと、ほぼ同時に相手を錯乱するように左右に動き、刀を振るう。

 

──日の呼吸 参ノ型・烈日紅鏡

 

 

──日の呼吸・烈日紅鏡

 

 一夏が放った左右広範囲の水平斬りの斬撃を、縁壱も同じ技で相殺した。互いに受け止めた刀の甲高い音が道場に響く。刀を弾き、縁壱は刀を構える。

 

──日の呼吸黒式・炎陽紅焔

 

「(……っ⁉︎こ、これは!)」 

 

一夏は目を見開いた。炎陽紅焔は本来日の呼吸の拾参ノ型の簡略版である。しかし、縁壱が繰り出した炎陽紅焔はもはや拾参ノ型・円環そのものだったのだ。流石にまずいと思った一夏は二振りの刀を即座に納刀し、一振りの刀に右手を添える。

 

「日の呼吸改・無想覇斬!」

 

 一夏は周囲に業火を纏い一瞬の居合いで無数の斬撃を放ち、縁壱の攻撃を防ぐ。

 

「(!……これを防ぐか)」

 

流石の縁壱もまさか防がれると思っていなかったのか、少しだけ目を見開き驚く。そして斬撃が止んだ瞬間、

 

──日の呼吸改・円舞一閃

 

 

一夏は鞘に納刀していたもう一振りの刀を逆手で握り、腰に刀を回して加速した。縁壱の刀を落とす為に右腕を狙い、一閃を放つが、縁壱は飛び上がって何とか躱し刀を振るう。一夏はそれに刀を打ち当て相殺させた。

 

縁壱は着地し、持ち前のバネのような体を駆使し、そのまま上るように剣技を繰り出す。

 

──日の呼吸・円舞

 

縁壱が斬り上げで放つ日の斬撃を、一夏は後方に移動して紙一重で躱す。それからも、お互いが譲らない攻防を延々と繰り広げていた。

 

 

 

「………」

 

「………」

 

互いに透き通る世界を極めている二人にとっては何をするか手にとるようにわかる。

 

 

 

 

 

 

 

しかしそんな二人は……笑みを浮かべていた。

 

 

「(こんなに全力で剣を振るうのは初めてだ。こんなにも気持ちが高揚するのは、杏寿郎の時以来だな)」

 

「(ここまで高揚する気持ちは……初めてだ。これが、剣で語るということなのか……)」

 

二人は今まで自分の全力をぶつけたことがなかった。縁壱は自分と対等に並べる実力者はおらず、無惨を逃し他の柱達からは自刃を要求され、鬼殺隊を追放された。

 

一夏も炎柱との打ち合いを除くと、自分の全てを出し切った事はなかった。そして一夏は今、もう現実では存在しない相手とは言え、本当の意味で初めて対等な実力を持つ相手と戦っていることに気持ちが高揚していた。

 

 

「日の呼吸改・円舞回天!」

 

「日の呼吸・斜陽転身」

 

一夏の円舞回天を縁壱は躱しながら宙で身体の天地を入れ替えた。それと同時に、水平に刀を振るい、相手の攻撃を躱しながらの鋭い一薙ぎを放ったが、一夏はそれを防ぐ。

 

──日の呼吸 弐ノ型・碧羅の天

 

一夏は防ぐのと同時に、そのまま腰を回す要領で空に二つの円を描く。縁壱がその威力に一旦距離を取った時、一夏は追撃を行う。

 

 

──日の呼吸 伍ノ型・陽華突

 

一夏は一振りの刀で縁壱に突きを放つが、縁壱は二振りの刀身で正面から受け止めた。そして縁壱は一夏の突きにより後方へ押し出されるも、何ともなかったように一夏を見据える。

 

 

「一夏……もう、わかっているはずだ。君自身の中に眠る力の事を…」

 

「はい」

 

「覚悟を決め、迷いのない今のお主ならば、解放出来るはずだ。己の中に眠る力を……今、ここで見せてみよ!」

 

「………」

 

 

一夏は目を瞑る。

 

 

 

「(……俺の中には恐れがある)」

 

一夏は恐れを抱いていた。最終選別を乗り越え、数百年成し遂げられなかった上弦の弐を単騎で討伐し、鬼殺隊になった自分を、心ない一部の隊士達から気味悪がられ、まるで人間ではないかのような視線を向けられたこともあった。当時階級・癸だった隊士が上弦の鬼を一人で討伐とはあり得ないことだったからだ。

 

「(縁壱さんは俺と違って、自身に恐れなんて…全くない……)」

 

 

—— 君は、何処か迷いを抱いていないか?

 

槇寿郎の言葉がよぎる。そして一夏は自身の意識をさらに奥深く集中する。

 

「(俺は、今まで気づかないふりをしていたのかもしれない)」

 

一夏は今まで剣士としてではなく、己自身の力を恐れていた。

 

「(だが俺は、この力を否定する事はできない。自分が自分自身でなくなるのを……恐れていたんだ)」

 

 

『一夏は一夏だもの』

 

一夏の脳裏にしのぶの言葉がよぎる。これは過去にしのぶに贈られた言葉だ。その言葉で、一夏は救われた。

 

 

「(……俺は、一人じゃない。いかなる時も、自分を失う事はない…… どんな姿の俺も…俺なのだから)」

 

一夏から何かが溢れ出始める。

 

「日の呼吸 “無”ノ型━━」

 

一夏は目を開き、腕を眼前に寄せ、

 

 

 

「神気合一!」

 

誰からも視認できるほどの焔の闘気が溢れ出る。

 

「………これ程とは!」

縁壱は一夏から放たれる焔の闘気に驚きを隠せなかった。まさか一夏がそこまでの力を秘めているとは思ってもいなかったからだ。一夏は一振りの刀を縁壱に向ける。

 

 

 

「本当の戦いはここからです。俺は、あなたを超えてみせる。織斑一夏として、一人の剣士として!」

 

 

 

 

 

「………ふっ、ならば俺も、全力を出すとしようぞ…!」

 

一瞬笑みを浮かべ、呼吸を整えた縁壱から発せられたのは圧倒的な威圧感であった。一夏はそれを感じ取り、透き通る世界で心臓を見ると、心拍の回数も早くなり縁壱の首元から頰にかけて炎のような痣が発現した。

 

 

「仕切り直しとしよう。ここから先は、言葉は不要」

 

 

「ええ……お互い全てを出し切る。それだけです」

 

二振りの刀を両名とも構え、張り詰めた空気が雷のように肌を刺激する。

 

 

 

「いざ………」

 

 

「尋常に………」

 

 

 

 

 

「「勝負…………ッッ!!!」」

 




一夏と縁壱の戦いは一旦ここまでにし、次回からは柱稽古に突入します。

因みに見分けやすくする為、縁壱の日の呼吸は一夏の様に日の呼吸〜ノ型ではなく、日の呼吸・円舞、型番なしでやっています。

産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか

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