日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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映画をまだ見ていない人には多少ネタバレになります。

今話はご都合主義 があります


煉獄家

「悲鳴嶼さんの情報だと、この辺りだと思うが」

一夏は姉妹と別れた後、走り続け、煉獄邸へと向かっていた。目的地が近くなり、速度を落とし現在歩いて煉獄邸を探していた。

 

「あった、ここだな」

 

足を止める。煉獄家の屋敷は悲鳴嶼が一夏に渡した紹介状に住所が掛かれていたので、探すことに特に苦労はしなかった。

 

広大な敷地を持つ高い塀に囲まれた武家屋敷ーーー木造の戸の横に張られた表札には確かに”煉獄”の二文字が掲げられており、此処で間違いないと確信した。

 

「凄いな、本物の武家屋敷なんて初めて見た…是非とも一枚納めたいところだが」

一夏は写真を撮りたい衝動を抑え、早速、戸を少し強めに叩いた。

 

「すみません。岩柱様から紹介を受けた織斑です! 誰かいらっしゃいますか!」

 

 一夏がそう声を張って一分ほど、少しずつこちらへと足音が近づき、止むと同時に閉じられていた戸が開かれた。出迎えてくれたのは、橙色と赤の入り混じった凄まじく独特な髪色を持つ、両目を見開かせた快活そうな少年であった。

 

「うむ! 話は岩柱様から聞いている! 確認だが、君が織斑一夏君か!」

 

「……はい、織斑一夏です」

あまりの大声に若干驚きながらも自己紹介をする一夏、開幕から凄まじい気迫でハキハキと迫ってくる少年に一夏は後ずさりそうになりながらも、差し出された手を握って握手をする。

 

「俺の名は煉獄杏寿郎! 煉獄家の長男だ! 本来ならば家長である父上が出迎えるはずなのだが、 代わりに「静かにせんか杏寿郎!」父上!」

すると杏寿郎の背後には彼と似た男性が現れた。

 

「瑠火が今眠っているんだ。声量を落とせ、わかったな?」

 

「はい!申し訳ありません父上!」

声量は若干落としてはいるが大声には変わりないのを見て、ため息を吐きながら父親は頭を掻き毟り、一夏は苦笑いを浮かべる

 

「あ、あのぉ…」

 

「ん?ああすまんな、出迎えが遅れてしまって。君が悲鳴嶼が言っていた坊主か?」

 

「はい、織斑一夏です」

 

「手紙を見てあらかた事情は察しているが、瑠火の、妻の体調も最近体調もすぐれず寝込む事が多くてな。申し訳ないが、お前さんの指導は出来そうにはない」

 

「病気か…何かですか?」

 

「ああ、外で立ち話するのも悪かろう。入るといい」

 

「は、はい、お邪魔します」

一夏は煉獄邸の中へ案内され、屋敷内へと入る。

 

一夏は客間まで連れられると、杏寿郎がテキパキと茶や菓子を卓上へと並べる様を見守った。そしてようやく落ち着いて杏寿郎は客間から退室する。その後、一夏は槇寿郎との会話を始めた。

 

「それでは改めて、君の要件を聞こう」

 

「はい、あ……その前にこれを」

一夏は布を巻いた刀を槇寿郎の前に置き、布を取ると槇寿郎は驚いたような表情となる。

 

「こ、これは…俺の日輪刀ではないか!君、これを何処で?」

 

「住んでいた川の近くで偶然見つけたんです。状態もかなり良かったので、持ち主が見つかったら返そうと思っていたんです」

 

「よ、よもや…まさか君が俺の日輪刀を拾うとは、鬼を倒せたのも納得だな。以前の任務で鬼を倒したのだが、最後の鬼の一矢でヘマをして日輪刀を川に弾かれてしまってな。川の流れも激しくて回収出来なかったんだ」

 

「そうだったんですか」

 

「幸い、予備の日輪刀もあって仕事には支障なかったのでな。わざわざすまない。礼を言う」

 

「いえ、ちゃんと返せて良かったです。その刀がなかったら…俺は大切な者を守ることはできませんでしたし」

 

「…そうか、強いのだな…君は」

 

「俺は家族を守っただけです」

しばらく無言の状態が続いたが、槇寿郎は口を開く

 

「悲鳴嶼からは、手紙で君の使っている呼吸については把握しているつもりだ。まさか始まりの呼吸を使える者に出会えるとは思わなかった」

 

「日の呼吸を知っているんですか!?」

 

「ああ、書で見ただけで詳しい内容は分からん。ただ、日の呼吸の使い手は、額に痣があると記されている」

 

「…痣」

 

「しかしこれが事実かは分からん。君の場合、痣があるみたいだが…それだけではない気もするのでな」

 

槇寿郎の言葉に一夏は無意識に額へ触れる。縁壱の記憶で、一夏は痣について少し知っている為、槇寿郎は詳しい内容をおそらく知らないと判断した。

 

「槇寿郎さん、この事は内密にお願いしてもいいでしょうか?」

 

「あ、ああ、もしや…痣について何か知っているのか?」

 

「はい、あまりいい事ではありませんが…お話します」

 

一夏は槇寿郎に痣の説明をすると、槇寿郎はどんんどん顔を青くする

 

 

 

 

「じゅ、寿命の前借り…二五で発現者は必ず死ぬだと…、で、では…君は…」

 

「俺の場合、生まれ付きなのでなんとも言えないです。発現の方法は俺でも分からないです」

一夏の場合、痣は生まれ付きな為、自身はどうなるか分からなかった。しかし他の人物が痣を発現させた場合は二五で死に至ってしまうと縁壱の記憶で分かっていた。

 

 

「そうか、痣について謎が解けた。この内容は御館様ならご存知かもしれないが… あまり無闇に話していい内容ではない。この話は内密にしておこう」

 

「はい、わかりました」

 

「君の話が聞けて良かった。それから一夏君、君はこれからどうするつもりだ?」

 

「知識はあらかたあるので…独自で鍛えるつもりです」

 

「行くあてはあるのかい?流石に衣食住がなければキツかろう、君が良ければたが、ここで住み込みで鍛えるつもりはないか?」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、だが条件もある。一つは…屋敷の家事をやってもらう事、二つは、瑠火の看病、俺も忙しい身、稽古をつけながら杏寿郎がやってはくれてはいるが、流石に千寿郎は幼く、家のことに手が回らなくてな」

 

「家事ならお安い御用です。こう見えて家事全般は出来るので」

 

「まことか!その年で家事が得意とは…大した者だ。しかし、今更だが…その見た目で十一とは、とてもではないが見えん」

 

「はは、よく言われます」

 

「…………なんか、すまない」

 

一夏は十一歳だが現在162はあり、大人びた見た目をしている。その為、街に出た際は女性からの視線が集まり一夏は困っているのだ。

 

すると廊下からドタドタっと音を立てながら近づいてくる者あり。そして勢いよく襖の戸を開き、一夏は肩をビクッとさせる。

 

 

「父上!母上がお目覚めになりました!」

 

「杏寿郎、襖はゆっくり開けろと……わかった。すぐに行く」

 

「あの、俺も一緒にいいですか?挨拶をしておきたいのですが」

 

「…わかった。ついてくるといい」

一夏は槇寿郎と杏寿郎と共に、瑠火の部屋へと向かう。

 

 

 

 

「母上!父上とお客を連れて参りました!」

 

「瑠火、体調はどうだ?」

 

「ええ、今は落ち着いています。心配はありません貴方、そちらの方は…」

 

 

「………」

一夏は瑠火を見ると茫然とする。透き通る世界で見ずとも、顔色は優れず上半身を起こすのがやっとの状態、そして綺麗な黒髪と赤い瞳、凛としたその姿、そして何より聞き覚えのある声に、一夏は、

 

 

「……千冬、姉」

 

「?一夏君、どうしたのだ?」

 

「あっ、す、すみません。えっと、お邪魔しています。織斑一夏です」

 

 

「先程杏寿郎が話していたお客ですね。煉獄槇寿郎の妻、煉獄瑠火です。ごめんなさいね。見苦しい姿で挨拶になちゃって……」

 

 

瑠火さんの顔は青白く、誰がどう見ても体調が優れないのだろうと分かる。

 

 

「き、気にしないでください。それに体に障るといけません。俺のことは気にせず今はお休みください」

 

 

瑠火に薬を飲ませた後、一夏達は部屋から退室する

 

 

 

 

「槇寿郎さん、瑠火さんの症状は…いつ頃からですか?」

 

 瑠火が病を患っていることは透き通る世界で分かっていた。一夏の場合は透き通る世界で見ると病気持ちの人間は色でわかる。

 

 

「そうだな…半年前からだ。医者からは薬を飲めば治ると言っていたが」

 

「……大変申し上げにくいんですが、瑠火さんは、おそらく一週間も持ちません」

 

「…ッ⁉︎ど、どう言う意味だ!」

 

「何故わかるかはおいおい説明します。瑠火さんの飲んでいる薬は、それに対応できていない薬です。おそらく、瑠火さんの病気は…治すことの難しい病気かもしれないんです」

 

槇寿郎さんの目から光が消える。

 

 

「…そ、そんな……一体どうすればいいのだ……瑠火、瑠火」

 

不安、焦燥、それらが槇寿郎さんを満たしている。

 

「(どうする、今の時代じゃ、俺の時代では治せる病気でも、治せない。どうする、どうすれば…)」

 

一夏は思考を巡らす。日本中をかけ巡れば治せる医者はいるかもしれないが、探すにはそれなりの時間も必要になる。

 

♪〜♪〜♪〜

 

 

「「ッ!?」」

突如と誰かの歌声が流れ槇寿郎は動揺し、一夏は声の正体を取り出す。一夏は懐からスマホを取り出すと、

 

 

「な、なんだ?何故に着信音が…」

一着の録画付きのメールがあった。

 

「な、なんでメッセージが…」

 

「い、一夏君…それは一体」

槇寿郎は謎の物体に警戒するが、一夏は申し訳なさそうに対応する。

 

「すみません、説明は後でします。」

一夏はメッセージを開き、動画を再生させる。

 

『ヤッホーいっくん!驚いてると思うけど、このメッセージはいっくんのスマホを改造する際、起動するように仕込んでいたシステムなのだ!』

 

「あの人は……」

一夏は片手で頭を抱えながら動画を見つめる。

 

『起動源は、いっくんが何かしら病気になった時、あるいはちーちゃんが体調を崩していた時のためかな。そんないっくんにすっごいお薬が拡張領域にあるのだ!!』

 

すると光の粒子が集まり、物体となり一夏は片手で掴む。ケースを開くといくつか何かの液体入りの注射と飲み薬があった

 

『その薬と注射はある程度の病気を治せる特効薬なのだ!!流石にガンみたいに摘出しないといけないものは無理だけど…とりあえずとてもすっごい薬なのだ!効果は検証済みだから安心してね〜』

 

「(検証済み……まさか、あの事件の犯人って!)」

一夏は未来で、病気を患っている患者が前触れなく治る事件がニュースで多発していた。一夏はこの事を大して気にはしていなかったが、束の作った特効薬、束が医学にも手を出していたのは知っていたが、検証済みの言葉で確信に繋がった

 

「(あの人なら作りかねないしやりかねない!何をやっているんだあの人は!)槇寿郎さん、少し失礼します」

 

「あ、ああ」

一夏は青筋をいくつか浮かべながら息を吸う。

 

「あんの天災科学者ーーっ!!」

 

一夏は夕焼けの空に、今いない兎科学者に、一夏は今世初めて腹の底から叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へくしゅ!」

 

「束様、どうかなさいましたか?」

 

「大丈夫だよクーちゃん。ん〜、誰かの私のこと噂してるのかな?それよりも、いっくんの捜索の続きをしないと」

 

一方現代では、束がキーボードを高速に打ちながら、今、この世界にいない、一夏を懸命に探していた。

中の人の繋がりで、一夏に使わせるとしたらどっち?

  • 神気合一
  • 冥我神気合一
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