日輪を宿す暁   作:狼ルプス

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嵐の無限打ち込み稽古

「炭治郎、お前は一体何をやったんだ?」

 

「アイダダダダダダ!!い、一夏さん!一夏さん!話を…!」

 

とある一室にて炭治郎は一夏から脳天締め(アイアンクロー)食らっていた

 

「既に善逸から事情は聞いたが、見た時は地獄絵図のような光景だったぞ」

 

「あの!一夏さん!こ、これ以上は!あ"…頭がぁ!!」

 

 

 

 

時は数時間前に遡る

 

 

 

 

恋柱の稽古を終わらせた炭治郎は不死川邸へと向かっていた。

 

 

「えーと、不死川さんの道場 こっちだっけ?」

 

「違ウ!!ソコノ角ヲ右ダ!!鳥頭!!」

 

鳥に鳥頭と言われながらも、気にすることなく前を向く炭治郎は鴉の指示に従いながら進む

 

 

「ああ、あそこを右ね!」

 

 

そんな時だった。

 

──ヌ゙ッ

 

 

突然、炭治郎の視界いっぱいに 人の顔が現れた。

 

あまりの一瞬のことで、人の気配を嗅ぎ取れていなかった炭治郎は、思わず大声を出して飛び上がった。

 

 

「うわあああああ!!」

 

 

その光景はホラーと言ってもおかしくないものだったが、すぐに見知った人物だと言うことに気がづいた。

 

 

「あああああ、善逸!?」

 

 

すると、善逸は炭治郎に飛び付いて乞い始めた。

 

 

「ににににに、逃がしてくれェェェ、炭治郎炭治郎何卒!!」

 

 

そんな今にも目が飛び出しそうな血眼状態の善逸の言葉に、炭治郎は小首を傾げた。

 

「逃げる?一体何から?」

 

今は、鬼の出没も止んでる上に、時刻は昼前。追手の検討がつかず、聞き返す炭治郎の疑問に対し、心に余裕の無い善逸は 震えながら必死に置かれた状況を説明する。

 

 

「ややや、やっとここまで逃げてきたんだ。塀を這ってきたんだ、気配を消してヤモリのように、命にかかわる、殺されるっ!!」

 

「あっ」

 

 

──ガシッ

 

そんな善逸の背後に忍び寄る影と炭治郎の言葉とほぼ同時に、善逸は頭を掴まれた。

 

善逸を追いかけてきた人物の、殺気に近い怒気を含んだ空気が ビリビリと体に伝わり、これには善逸だけでなく炭治郎も目玉が飛び出るほど見開いた。

 

 

 

 

選べェ、訓練に戻るか俺に殺されるか

 

「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

 

 

 汚い高音を発しながら、善逸は精一杯炭治郎に抱きつく。

 

 

「勘弁してェェェ!!」

 

「おちついて」

 

「ギャッ!!ギャモッ!!ギャアアアアンヌ!!!!」

 

 

 汚い高音で悲鳴を上げ続ける善逸に対し、痺れを切らした実弥は、怒号と共に善逸の首の後ろへ手刀を入れた。

 

 

「うるさい!」

 

「げうっ⁉︎」

 

手刀を入れられ、気絶してしまった善逸。そんな彼を支える炭治郎へ、実弥はぶっきらぼうに 声をかけた。

 

 

「運べ」

 

「あ、はいっ」

 

 

 従わなければ どうなるか即座に悟った炭治郎は、返事を返すと善逸を背負った。

 

 

「(ごめんな、善逸。一緒に頑張ろうな)」

 

 

 そして、実弥の少し後ろを歩きながら 炭治郎は挨拶をするために口を開く。

 

 

「ご無沙汰しています。今日から訓練に参加させてもらいます、よろしくお願いします!」

 

 

 そんな炭治郎を、実弥はギロッと睨みつける。

 

 

「調子乗んなよォ、一夏のやろォの継子だからって俺はテメェを認めてねぇからなァ」

 

「全然大丈夫です!俺も貴方を認めてないので!未遂とはいえ、禰豆子刺そうとしたんで!」

 

 

 そんな実弥に対し、炭治郎もキリッと答え、不死川邸へと向かう。

言いたいことを言え、すっきりした顔のまま進む炭治郎の後ろ姿を見ながら、実弥は苛々を募らせた。

 

 

「いい度胸だ……心置きなく()れそうだァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!」

 

 

「オラオラァ!んなもんかテメェの実力はよォ!!」

 

 

 

不死川さんの訓練は、善逸がああなるのも分かるキツさだった。

 

とにかく不死川さんに斬りかかっていくという、単純な打ち込み稽古だったが、反吐をぶちまけて失神するまでが一区切りで、それまで休憩なしだった。伊黒さんですら もっと休憩くれた。

 

 

善逸は目覚めると、親の仇の如く俺を責めた。余計な攻撃を喰らった気もするけど…

 

 

不死川さんは、特に俺への当たりが強く、一瞬でも気を抜いたら大怪我して治療に逆戻りだ。今までの経験でなんとか動きは見え、攻撃を受け流せる。負けじと反撃もするが…不死川さんには一撃も当てる事が出来ない。

 

一夏さんから、不死川さんとは時折稽古をするくらいの仲と聞いてるだけあって強い。俺は見えてるけど、そこらの隊士なんて何が起こったかわからないまま地に倒れ伏したり、宙へと舞ってしまってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柱稽古を始めて数時間、炭治郎は疲労困憊な表情で厠から出てきた。

 

 

「(初日でこの内容、善逸が逃げたがるのもわかる気がする……でも、これも実際よく考えられてる。長期戦を想定した実戦形式の訓練……当たりが俺にだけ強いのは心当たりはあるけど、頑張ろう!)」

 

今になって善逸の気持ちを理解し前向きに考えながら歩き訓練場へと戻る炭治郎の耳に、話し声が聞こえてきた。

 

 

「待ってくれよ、兄貴」

 

 

「(この声、玄弥の声)」

 

 

 炭治郎は その声に、聞き覚えがあった。クンクンと匂いを嗅ぎながら、声のする方へ向かう炭治郎。その先に、玄弥と実弥が立っていた。

 

 

「話したいことがあるんだ…」

 

 

 懸命に言葉をかけて、繋ぎ止めようとする玄弥。そんな彼に対し、青筋を浮かべ睨む実弥。

 

 

「しつけぇんだよ、俺には弟なんていねェ。いい加減にしねぇとぶち殺すぞォ」

 

「………」

 

 

そんな実弥の辛辣な言葉に、青ざめ言葉を失う玄弥。更に、そんな玄弥を実弥が追い立てる。

 

 

「馴れ馴れしく話かけてんじゃアねぇぞ。それからテメェは見た所、何の才能もねぇから 鬼殺隊辞めろォ。 呼吸も使えないような奴が、剣士を名乗ってんじゃねぇ」

 

「………そんな……」

 

 

 今までの努力を無にする、兄からの悲しい言葉。そんな言葉に、言い返すことが出来ない玄弥。

 

 

「(う、うちの兄妹喧嘩と全然違う)」

 

 

 そんな実弥の言葉に、二人のやり取りを聞いていた炭治郎でさえ、顔を青ざめる。すると、玄弥が無言になったためか、実弥は玄弥に背中を向けた。そのまま立ち去る兄を、なんとか引き止めようと 玄弥が懸命に言葉を紡ぐ。

 

 

「ま…待ってくれよ兄貴、ずっと俺は兄貴に謝りたくて…」

 

「(頑張れ玄弥、玄弥負けるな!)」

 

そんな彼の背中へ、気配を消して見守る炭治郎も懸命に応援する。

 

 

「心底どうでもいいわ、失せろォ」

 

そんな炭治郎の応援も虚しく、実弥はアッサリと切り捨てた。

 

 

ずっと、兄に謝りたいと思っていた玄弥。謝って、もし許してもらえれば、また昔のように笑いかけてくれると思っていた。だからこそ、柱である兄に近づけるように努力してきた。そんな玄弥の気持ちを、ことごとく切り捨てる実弥の背中を見ながら、玄弥は泣きそうな顔で声を漏らした。

 

 

「そんな…俺…鬼を喰ってまで…戦ってきたんだぜ…」

 

 

ポロっと出た玄弥の一言。鬼を喰ってまで戦ってきた、その言葉に、これには実弥も表情を変えた。そのまま足を止めると、玄弥の方を振り返った。

 

 

「何だとォ?今、何つった? テメェ・・・・・・」

 

次第に広がる怒りと言う名の威圧感。

 

「鬼をォ?喰っただとォ?」

 

「(っ⁉︎まずい!あの匂い、本気だ!!)」

 

その瞬間。実弥が風を揺らす前に動いた。それをまずいと感じた炭治郎も同時に動き出した

 

 

「(消え…?)」

 

「玄弥!」

 

 

実弥の動きに気付いた炭治郎が、急いで飛び出した。次に玄弥が目にした景色は、自分の目へ向かってくる指。

 

その指が実弥の指だと理解するよりも先に、炭治郎によって体勢が崩された。そんな玄弥の目を狙った実弥の指は、玄弥の頬を横切った。

何とか玄弥は無傷ですみ、そのままの勢いで障子を破りながら 炭治郎達は外へと転がり出た。

 

 

 

「うわあああああ!!」

 

ドゴオッとその音には、誰よりも音に敏感な善逸が飛び上がって驚いた。

 

 

「戻ってきた、戻ってきた!! 血も涙もない男が!伏せろ、失神したふりだ!!」

 

 

 慌てて他の隊士達と共に失神したふりをする善逸。けれども、いつもと様子が違うことに気づいた善逸は、恐る恐る顔をあげた。

 

 すると、目の前に居たのは実弥ではなく 炭治郎と玄弥だった。

 

 

「あれっ? 炭治郎か?」

 

 

 一瞬、ほっとしたのも束の間。実弥のいない所で、炭治郎達が障子を蹴破って出てきたと言う目の前の状況に、善逸の方が顔を青ざめた。

 

 

「(えええーーー!?殺されるぞ炭治郎、何してんだ 建物ぶっ壊して…)」

 

 

 すると、すかさず炭治郎が声をあげた。

 

 

「やめてください!」

 

 

 玄弥を庇うように仕草の炭治郎。そんな彼へ一歩ずつミシ、ミシと床の軋む音だけが、妙に響く。

 

 

「!?」

 

その中に善逸しか聞き取れない混じる異様な音。

 

 

「(何だこの捻じ曲がった禍々しい音は…)」

 

 

 その音の正体を、善逸はすぐに理解した。吹き飛んだ障子の所から出てきた顔に、善逸は更に顔を青ざめた。

 

 

「(うわあああああ!!おっさんが暴れてんのね!!稽古場じゃない所でもボコられるのかよ!!)」

 

 

 青ざめる善逸。そんな異様な空気の中、炭治郎が声をあげた。

 

 

「どういうつもりですか!!玄弥を殺す気か⁉︎」

 

「殺しゃしねぇよォ。殺すのは簡単だが、隊律違反だしよォ」

 

そう言いながら、縁側からトンッと実弥が降りてきた。

 

 

「再起不能にすんだよォ。ただしなァ、今すぐ鬼殺隊を辞めるなら許してやる」

 

 

 玄弥の話を聞こうとしない一方的な態度。これには、さすがの炭治郎も怒鳴り始める。

 

 

「ふざけんな!!あなたにそこまでする権利ないだろ!!辞めるのを強要するな!」

 

 

 完全に怒りの沸点を越えた炭治郎は、実弥を睨み付けながら言葉を続ける。

 

 

「さっき、弟なんかいないって言っただろうが!!玄弥が何を選択したって口出しするな!才が有ろうが無かろうが、命を懸けて鬼と戦うと決めてんだ、兄貴じゃないと言うんなら、絶対に俺は玄弥の邪魔をさせない!!玄弥がいなきゃ、上弦には勝てなかった!!再起不能なんかに させるもんか!!」

 

 

 炭治郎の言葉に、ぴきぴきと青筋を立てていた実弥もまた、ギロッと炭治郎を睨み付けた。

 

 

「そうかよォ。一夏の継子だから多めに見ていたが、決めたぜぇ、まずテメェから再起不能だ」

 

 

 ジリジリと詰め寄る実弥。少しとはいえ、実弥の稽古を受けていた炭治郎は、その動きを見逃さないよう 目を見張った。

 

 

「(来るぞ…来る…)」

 

 

 その瞬間。音もなく実弥が間合いを詰めてきた。そのまま、炭治郎の鳩尾を狙って拳を振り上げる。

 

 

ドスッと鈍い音が鳴り、瞬く間に拳が鳩尾へと入ったように見えたが

 

「嘘だろ!!?」

 

 

 けれど、周りの反応に対し、違う反応を見せたのは実弥の方だった。

 

 

「(コイツ!!)」

 

 

その拳を炭治郎が余裕で受け止めていた。これには実弥も思わず目を見開く。

 

 

「(止めやがった!!今のは一夏の奴と相手にするときの動きだぞォ⁉︎)」

 

 

そんな実弥へ、今度は炭治郎が反撃する。

 

 

「ふんがァ!」

 

「!!」

 

 

そのままの炭治郎は実弥の腕を掴み綺麗に持ち上げ実弥を地面へと叩きつけた

 

これには善逸も目玉が飛び出す勢いで驚いた。

 

 

「(背負い投げ〜〜!!マジか⁉︎一本入れたァァァ!!)」

 

 

しかし、即座に体勢を立て直した実弥によって、炭治郎の体は宙へと投げ飛ばされた。

 

 

投げ飛ばされた炭治郎は、すぐ体勢を整えながら着地し、善逸の方を見ながら叫んだ。

 

 

「善逸ーーーーっ!!!玄弥を逃がしてくれ、頼む!!」

 

 

 炭治郎からのド直球の指名に、善逸は真っ青になりながら心の中で文句を言いまくった。

 

「(ちょっ…バッ、バカお前…バカ!!名前呼ぶなバカ!!もっと上手いこと合図出来るだろう!!)」

 

 

 そんな善逸の心などお構い無しに、実弥の炭治郎への猛追は止むことはない。その事に、いち早く気づいた玄弥が思わ叫んだ。

 

 

「炭治郎!!」

 

 

「っ⁉︎」 

 

ーー日の呼吸・幻日虹

 

 

善逸へ合図するのに一瞬隙を見せた炭治郎へ、実弥がしゃがんだ体勢から蹴りを入れる。

 

玄弥が叫んだこともあり、炭治郎は回避技を行い、そのまま距離をとる

 

 

「(なんで速さだ!!もし食らっていたら目を切られてた!!)」

 

 

先程の実弥の蹴りは顔面を狙い、しかも完全に目を潰すつもりで放ってきた。

炭治郎は一夏から日の呼吸だけではなく、戦いの際武器を失った時の対策もしていた。そんな炭治郎に対し、完全に切れた実弥は 怒りの矛先が完全に玄弥から炭治郎へと切り替わった。

 

 

「いい度胸ォしてるぜテメェはァ。死にてェようだから、お望み通りに殺してやるよォ」

 

 

「待ってくれ兄貴、炭治郎は関係ない!」

 

そんな実弥を止めようと、玄弥が必死に叫ぶその時だった。

 

「うわっ」

 

急に腕を引かれた玄弥は、思わず声をあげた。そのまま、玄弥の腕を引きながら その場を離れる善逸に対し、玄弥は抗議する。

 

 

「誰だお前、離せよ!!」

 

「揉めてる人間は 蹴散らすといいんだ、距離を取る!!」

 

 

 そうは言っても、相手は血も涙もないと善逸が言うほど容赦しない実弥。弟にすら牙を向こうとした兄を持つ玄弥に対して、青ざめた顔のまま、善逸は同情の声をかけた。

 

 

「アレお前の兄貴かよ!?完全に異常者じゃん、お気の毒に……」

 

 

しかし、玄弥にその言葉は逆効果でしかなかった。

 

 

「俺の兄貴を侮辱すんなぁ!!」

 

「アベシ⁉︎俺、味方なのに!!」

 

 

玄弥に殴られ吹き飛ぶ善逸。

 

 

「うわっ⁉︎ぜ、善逸⁉︎どうしたんだいったい…」

 

「お、織斑さん⁉︎」 

 

玄弥は殴り飛ばされピクピクしながら倒れている善逸の側に、丁度曲がり角から風呂敷を手に持ち、びっくりした様子の日柱の一夏が姿を現した。

 

「玄弥、これいったいどう言う事だ?なんで君がここにいる?悲鳴嶼さんからも実弥さんとの接触は許されていないはずだろ?」

 

「そ、その……」

 

「い、一夏さん、そ、それより、し、不死、川邸に…行ってください…」

 

「実弥さんの所に?いったいなにがあった…」

 

殴られた善逸は一夏になんとか事情を説明し、内容を聞いた一夏はため息を吐き、不死川邸へと向かう。

 

 

 

 

二人の殴り合いは熾烈を繰り広げていた。

 

そんな二人を皮切りに、この乱闘の中へ他の隊士達も立ち向かっていった。あるものは今までの鬱憤が溜まった腹いせに。また、別のものは乱闘を必死に止めようと奮闘するも、まるでゴミのように簡単に吹き飛ばされてしまう。そして互いに一撃一撃を喰らわせており、実弥の口元には切り傷ができ、軽く出血していた。

 

その光景は地獄絵図だった。

 

 

「ぺっ、まだまだ動けるだろォ、死に損ない?」

 

「当たり前だ!!」

 

血の混じった唾を吐く実弥と顔が腫れている炭治郎は同時に駆け出す2人両者は雌雄を決するべく互いの一撃を打ち出した。

 

「日の呼吸無手の型・陽華突!」

 

 

「風の呼吸無手の型… 塵旋風・削ぎィ!!」

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ」 

 

 

 

2人の間に突如姿を表した一夏

 

「一夏!?テメェ退きやがれェ!!」

 

「い、一夏さ…」

 

 

一夏は動じることなく対処する。勢いよく突っ込んできた2人の右手首を掴み取り、二人の勢いを殺すことなく両者を逆方向へと投げ飛ばした。

 

実弥と炭治郎は一夏に投げ飛ばされ、実弥は近くにあった庭の池に、炭治郎に至っては木造の塀に頭から突っ込んでしまい頭のみが外に貫通してしまった。

 

 

「ぷはぁ!テメェ…何のつもりだ一夏ァ?」

 

池から上がってきた実弥は一夏に圧を向けるが、一夏は動じる事なく炭治郎の方へ向かい、頭を塀から引っ張り出す。

 

「い、一夏さん…ど、どうしてここに」

 

「うん、頭に異常はなさそうだな。俺はカナ姉から届け物を頼まれてここにきただけだ…そしたらこの状況…」

 

一夏は透き通る世界で炭治郎の脳に異常はないとわかるとすぐに辺りを見渡す。周囲には泡を吹いて白目を向け倒れている隊士達で溢れかえっていた。

 

 

「実弥さん、一室お借りしてもよろしいですか?」

 

「待てや、テメェ勝手に「よろしいですね?」……」

 

実弥は一夏の表情に言葉が詰まった。一夏の表情は笑っているようで凄い圧が向けられていた。

 

「あ、あの、一夏さっ⁉︎」

 

一夏は炭治郎の頭を鷲掴みにすると、その頭がなってはいけないほどの音が鳴り始める。

 

「イダダダダダダッ⁉︎い、一夏さん!な、なんでぇ⁉︎」

 

「お前はこっちだ。実弥さんも後で御小言は覚悟しておいてください…流石にこれは無視はできませんからね」

 

そのあと頭を鷲掴みにされた炭治郎は屋敷の中へ連れ込まれ、屋敷内からは悲鳴や何かが軋む音が響き渡った。

産屋敷夫妻とにちかとひなき、珠世を含め生存させるかさせないか

  • させる
  • 原作通り
  • 作者に任せる

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