真剣で彼に恋しなさい!   作:だいすけ

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ご都合主義万歳!!
 
都合により・・・・ASは原作の8mほどではなく、4mほどが標準となりました。


第6話「戦闘」

 

 

 相良宗吾。

 彼の人生は不運と幸運が奇跡のように居合せている。

 彼は2歳のころ、両親とともに出かけた旅行先のアフガニスタンで不運にもテロに巻き込まれる。

 その後、幸運にもあるゲリラ組織に拾われてゲリラ戦士として生きることとなった。

 革命が成功し、ゲリラ組織が解散するとともに宗吾は傭兵として生きることを選択する。

 たぐいまれなる戦士としての才能を開花させわずか12歳にして名が知られる存在となり、国連特別軍隊『ミスリル』からスカウトされる。

 彼が幸運なのは、そのミスリルには生き別れた両親である『相良宗助』と『相良(旧姓千鳥)かなめ』がいたことであろう。

 両親は宗吾を見た瞬間、彼が生き別れた息子であることを確信した。

 何故ならば頬に☓の傷跡がないのを除けば、宗吾は宗助とあまりにも似ていたからだ。

 他人と言うのが不自然なほどに。

 最初こそ信じていなかった宗吾だが宗助との数々の共通点やDNA鑑定、何より無意識にわく親愛感を宗助とかなめに抱いている自分に気が付いた宗吾は彼らを両親だと理解した。

 三人は不器用ながらも親子としての時間を共有し、今では昔から一緒に暮らしていたかのように違和感のない『家族』となっていた。

 宗助の養父である『アンドレイ・カリーニン』と、『イリーナ・カリーニン』夫妻からは実の孫のように思われている。

 宗吾は父親と同じような道を歩んでいるものの父より失うものは少なく、それこそ奇跡的幸運の持ち主といえるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真剣で彼に恋しなさい!

 第6話「戦闘」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決闘終了から早半日の放課後。

 変人奇人・・・・もとい、個性的な生徒が多い川神学園の生徒たちは順応能力が高く、割とどんな人間もあっさりと受け入れるために変わった経歴を持つ宗吾であるが簡単にF組の面々は受け入れていた。

 ホームルームの後、手続き等で梅子に呼ばれていた宗吾は一人帰り支度を済ませて『下宿先』に向かうべく席を立った。

 直後―――――

 

「・・・・!!」

 

 鋭い殺気を感じた。

 宗吾は条件反射的にその場から飛びのいた。

 着弾。

 窓ガラスが砕ける。

 ライフルによる狙撃だ。

 宗吾は壁に身を隠すと、学生服の中に隠していた腰のホルスターから愛用拳銃『グロック17』を構えた。

 グロック17は内部構造がシンプルでパーツコストが安い反面、セーフティ機能がついているのがトリガー部分だけであるために、非常に簡単にロックが外れてしまう。

 そのため未熟な者では暴発させることが多く危険であるが、上記の長所やポリマーフレームであるために総重量が軽く、強化プラスチックにより反動を吸収するために反動が小さい。

 おまけに装弾数が17発と自動拳銃としては多く、弾も入手が簡単な9mmパラべラム弾である。

 宗吾のグロック17にはミスリルが開発した『無殺傷特殊9mm弾』が装填されている。

 

(・・・・8,9・・・・動きに統制がある。素人ではないな)

 

宗吾は教室を包囲するかのように動く気配を察した。

 遮蔽物から外をうかがうと、スナイパーから銃弾が放たれた。

 

(スナイパーは2人。制圧に5人動き残りは待機。ならば・・・・)

 

 宗吾は素早く身を躍らせ、グロック17をスナイパーに向けた。

 その速すぎる挙動に反応できずに慌てたが、すぐに冷静さを取り戻した。

 距離にして400m。

 狙撃銃では射程内であるが、自動拳銃であるグロック17の射程は長くて50m程。

 弾丸が到底届く距離ではない。

 そう思ったのがスナイパーの失敗だった。

 宗吾の持つグロック17は多少改造されているとはいえ、ほとんど純正である。

 弾丸がスナイパーに命中するどころか到達することさえないだろう・・・・射手(宗吾)が普通なら。

 グロック17がわずかに発光した。

 宗吾は一瞬のためらいもなく、『気』を纏う無殺傷特殊9mm弾を放った。

 弾は恐るべき弾速と正確性をもってスナイパーの頭部に命中した。

 スナイパーは派手に宙を舞い、地に背中から落ちた。

 完全に意識が刈り取られた。

 もっとも、これが実弾ならスナイパーは即死である。

 

「遠い」

 

はた目から見れば一人ごとを言っているようにしか思えない宗吾の言葉。

 その言葉は、制服の襟に隠された小型通信機により離れた位置に待機する『存在』に届けられた。

 

≪了解。スナイパーを制圧します≫

 

 低い男の声が応えた。

 宗吾から離れて800m。

 仲間が倒されて動揺したもう一人のスナイパーは気が付かなかった。

 高速で忍び寄る『存在』に。

 射撃距離。

 その距離でようやく気が付いたスナイパーが、慌てて拳銃を抜き、背後に近寄った『存在』に向けて発砲しようとした。

 

「がっ!!??」

 

 時すでに遅し。

 暴徒制圧用高電圧スタンロッドをまともに食らったスナイパーは、拳銃の引き金を引くことはできなかった。

 

≪制圧完了≫

 

 スナイパーを軽々と倒したのは人間ではない。

 鋼鉄の身体を持つ機動兵器『AS』(アームスレイブ)であった。

 もっとも『彼』は、現行する鈍重なイメージの第2世代型の『サベージ』や『M6ブッシュネル』とは大きく違う。

 真っ白の機体カラー。

 限りなく人間に近くシャープで力強いシルエットが、猛禽類の凶暴さを連想させる。

 その面構えは刀のように鋭く、研ぎ澄まされた緊張感が漂う。

 『機動兵器』というより、『世界一危険な美術品』とでも呼んだ方がしっくりくる。

 『彼』の名は―――――ARX-7『アーバレスト』。

 ミスリルが開発したAI搭載型の『存在しないRD搭載型』第3世代型AS。

 

「アルよくやった」

 

 アーバレストに搭載されているAIは、合成音声で低い男の声を使い『アル』の名称がつけられている。

 

「出力設定を『戦闘』(ミリタリー)から『巡航』(クルーズ)に移行。電磁迷彩システム(ECS)を不可視モードで起動しポイントA-1にて合流」

 

 ホログラム技術の応用で、レーダーや赤外線探知からほぼ完全に逃れられる最先端のステルス装置であるECS。

 アーバレストが搭載し、ミスリルの保有するASやヘリ等が装備しているECSはさらに高性能であり、可視光の波長まで消し去ることができる。

 それは、『透明化』できるということだ。

 ECS不可視モードはエネルギー消費が激しいために、通常使用のECSならともかく戦闘機動状態では不可視モードは使用不可である。

 

≪了解。パーティに間に合うようにできるだけ急ぎます≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「各人、用意はいいな?」

「デルタ(ツー)用意よし」

「デルタ(スリー)同じく」

「デルタ(フォー)同じく」

「デルタ(ファイブ)同じく」

「よし、まもなくに突入する」

 

 迷彩服と特殊ゴーグル、9mmパラべラム弾を40発装填できるUZI(ウージー)を装備した兵士が2年F組の教室前まで来ていた。

 

「デルタ(シックス)こちらデルタリーダー。『ハンティング』へ、これより突入する」

<ハンティング了解。速やかに『目標』を鎮圧して下さい>

「了解」

 

 デルタリーダーは部下に手で『GOサイン』を出した。

 教室の前と後のドアに分かれる。

 デルタリーダーが部下に合図を送ると、部下は頷き、閃光手榴弾を取り出して教室へと放り投げた。

 ホワイトアウト。

 教室中が一瞬にして光の闇に包まれ、キーンと凄まじい耳障りな高音が発せられた。

 それを合図にして、遮光ゴーグルと高性能耳栓により防御処置した兵士たちが一気に教室になだれ込んだ。

 閃光手榴弾により悶えているであろう『目標』を探す。

 だが、どこにも見当たらない。

 

「各員状況を知らせ!!」

 

 焦ったデルタリーダーは思わず叫んだ。

 だが、その声に応える者は―――――

 

「お、お前は!?」

「・・・・・・・」

 

 いなかった。

 デルタリーダーの目の前に『目標』―――――相良宗吾がグロック17を構えていた。

 部下たちは床に倒れていたのだ。

 デルタリーダーは宗吾に照準しようとしたが、動揺して生まれた隙を逃す宗吾ではない。

 グロック17が火を噴き、デルタリーダーに銃弾を叩き込んだ。

 デルタリーダーは短くうめき声をあげると、その場に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋上。

 そこには、軍服を着た二人の女性がいた。

 

「・・・・損害は?」

 

 『少尉』の階級章をつけた赤髪の女性が、『軍曹』の階級章をつけた青髪の女性に聞いた。

 軍曹の女性は、通信用インカムを装着しており、通信兵であった。

 

「狙撃班、制圧班・・・・ともに応答なし。全滅と考えられます。何者ですかあの少年は? MOMOYOのような武力に優れた者たちが数多く住む土地とはわかっていましたが・・・・彼は異常です」

「わかっている。スナイパーを狙撃した射撃の腕、目潰しの閃光手榴弾への適切な対処・・・・武力ならわかりますがあれはそうではなく『戦闘技能』が高いのです。相当な訓練と実戦を積んでいますね」

「同意見です。さすがは中将閣下がクリスお嬢様の護衛を依頼した少年ですね。彼の実力は本物ですこれ以上『試す』必要はないと考えますが?」

「そうですね。―――――ということです銃を下してもらえますか、相良宗吾」

「!?」

 

 通信兵は驚愕した。

 自分たちの背後にある給水タンクが設置されている壁から、グロック17を照準している宗吾が現れたからだ。

 

「い、いつの間に!? どうやってここに? 入口は屋上のドアだけのはずなのに!?」

 

 通信兵を無視し、少尉の女性に宗吾は油断なくグロック17を照準しつつ問う。

 正体もわからない人間の言葉に従うほど宗吾は愚かではない。

 

「お前たちはドイツ軍人か?」

「そうです。我々はフランク・フリードリヒ中将旗下『狩猟部隊』です。私はマルギッテ・エーベルバッハ少尉」

「私はマリアンヌ・カーネス曹長です」

「証拠は」

「こちらを」

 

 二人は足元にICチップ入りのカードを置くと、数歩後ろに下がった。

 宗吾はそれを手に取り、懐から取り出したスマートフォンに当てた。

 ICチップから情報を読み取り、二人の身分が画面に表示される。

 ―――――マルギッテ・エーベルバッハ少尉。21歳。ドイツ軍所属。

 ―――――マリアンヌ・カーネス曹長。20歳。ドイツ軍所属。

 その他に顔写真、血液型、身体情報等が表示された。

 それらを確認した宗吾は、グロック17を納めた。

 直立不動となり、宗吾は二人に敬礼した。

 

「失礼しました、少尉殿、曹長殿。自分は国連軍所属、相良宗吾軍曹です」

「楽にしなさい。―――――無礼を働いたのはこちらが先です。クリスお嬢様のためとはいえ少々やりすぎました」

 

 マルギッテはフランクの許可をもらい宗吾の実力を量ろうとした。

 有事の際、大事なクリスを守る者が弱くては話にはならない。

 フランクからの推薦であるからして実力は申し分ないのはわかっていた。

 感情は納得できなかった。

 普段のマルギッテならフランクのことを尊敬し、信頼していることを除いても、軍人として上官命令には即座に肯定しただろう。

 しかし、彼女はフランクばりにクリスを溺愛しているために行動が過剰になってしまう嫌いがある。

 宗吾の実力を見たいというのも、クリスのためだという事がわかっているフランクはマルギッテの提案を許可したのだ。

 

「マリアンヌ。他のチームに連絡して人員を回収しなさい。その後は―――――」

 

 マルギッテがマリアンヌに指示を出すと「了解しました」と返事を返し、宗吾にペコリと頭を下げると早足に校舎へと入っていった。

 

「戦闘により生じた破損の修繕はこちらが責任を持って行います。あなたは気にする必要はないと知りなさい」

「了解です」

「それにしても・・・・どのようにしてここに?」

≪それは私がお答えします≫

 

 宗吾の背後に控えていたアルが言った。

 

「!?」

 

 さすがのマルギッテも、気配もなく声がしたことに驚きを隠せなかった。

 アルはアーバレストのECS不可視モードを解除すると、深々と礼をする。

 その所作はまるで精練された執事のようだ。

 

≪初めまして少尉殿。自分はミスリル所属AS―――――ARX-7『アーバレスト』のAI『アル』です≫

「アル! 何をやっている! 俺たちには秘匿義務があ―――――」

≪心配ご無用ですサガラ軍曹≫

「なに? どういうことだ?」

≪先ほどミスリルより秘匿回線により通信がありました。大雑把に説明すると、『不測事態』に陥った場合にはマルギッテ・エーベルバッハ少尉と協力して事態収拾に努めよとのことです≫

「・・・・わかった。ファイルを回せ」

 

 言いたいことは多々あるが宗吾は飲み込み、マルギッテと対話する。

 

「まもなくドイツ軍から少尉殿に命令が下ると思いますが先に自分からご説明させてもらいます。これから―――――」

 

  

 

 

 

 

 

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