真剣で彼に恋しなさい!   作:だいすけ

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う~ん・・・・カオスになってきたような。
とりあえず書いて投稿してみます。
なんとか完結まで!!


第7話「島津寮」

 マルギッテ率いる狩猟部隊との戦闘に勝利した宗吾は有事の際に狩猟部隊との連携方法を確認した後、ことの顛末を学園長へと報告に向かった。

 だが、学園長はこの事を事前にフランクから伝えられているために知っていた。

 それは半ば予想していたことだ。

 一般生徒に気が付かれないように行ったとはいえ、学園長を筆頭に職員にも離れた相手の気配を探知することができる武人がいる。

 その彼らが、一般生徒に危害が及ぶ可能性がある校舎内での戦闘行為に介入しないはずがないのだ。

 ともあれ、学園長への詳しい説明が省かれたために宗吾は予想よりも早く学園を出ることができた。

 校門を出ると、そこには防弾使用の4ドアBMWとマルギッテがいた。

 

「少尉殿? どうされたのですか?」

「貴方を待っていたのです」

「自分を?」

「ええ。貴方は『島津寮』に入寮するのでしょう」

「はい。そのように指示を受けています」

「ならば話は早い。乗りなさい。送っていきます」

「いえ、少尉殿のお手を煩わせる訳にはいきません。場所は把握済みです。自分は歩いていきます」

「遠慮することはないと知りなさい。私もクリスお嬢様と同室で島津寮に入っています」

「そういうことですか。なら、お言葉に甘えて」

 

 マルギッテが後部座席に乗車し、その反対側に宗吾は乗車した。

 BMWの運転手は、マリアンヌであった。

 

「曹長殿、よろしくお願いします」

「わかりました。安全運転で行きますね。―――――隊長、出します」

「お願いします」

 

 車が発進する。

 車の性能も然ることながら運転手の技量が高いために振動はほとんどなく、まるで止まっているかのようである。

 車内にはクラシックが流れ、快適なドライブとなっている。

 

「相良、あなたは自分の身分を隠しているのでしょ? 一般人前で階級で呼ぶと怪しまれると知りなさい。学生という身分では歳こそ違えど同級生です。任務外では私のことは『マルギッテ』と呼びなさい」

「了解しました」

「あっ、私も『マリアンヌ』でお願いします」

 

 二人は軍服を着ることを許されており、優秀な者たちが集う2-Sに所属している。

 

「相良、今朝の決闘は故意に長引かせましたね。目的は『牽制』と見ましたが?」

「肯定です」

 

 マルギッテも知ることであるが宗吾の与えられた任務は、川神に侵入する或いは侵入した『敵』の排除だ。

 宗吾は周りの人間に『軍人』であることを隠しているが実は特に情報操作を行っているわけではないために、一般人ではさすがに無理であるが軍属や裏の世界に生きる者ならば簡単に身分を割り出せる。

 それは『敵』にあえて警戒させるためである。

 『敵』に対してこちらの力を示し、敵に警戒させることにより動きを緩慢にする事やデコイとして動くことにより『本命』が敵を狩るのを容易にするために今朝の決闘を利用したのだ。

 これが宗吾が判断した任務遂行のためのもっとも『効率的』なやり方だった。

 

「本来ならクリスお嬢様を愚弄した行為は許されませんが・・・・クリスお嬢様のためでもありますから特別に許しましょう。ですが、意味なくこのような行為をした場合には・・・・容赦はしないと知りなさい」

 

 マルギッテは宗吾ににらみを利かせ、その鋭すぎる闘気を向ける。

 直接向けられていないにも関わらずにマリアンヌは背筋を凍らせるも、

 

「了解」

 

 宗吾は目を合わせたまま平然として答えた。

 その瞳には偽りもふざけた色も窺えない。

 あるのは、『強さ』と『誠実さ』しか見えない。

 マルギッテは闘気を収めると、ふっと表情を緩めた。

 

 

「許して下さい。スペシャリスト集団『ミスリル』の、しかもその中でも選り抜きの軍人であるSRTに言うセリフではありませんでした」

「いえ、守るべき者のために万全を期す・・・・その考え方は共感できます。俺がマルギッテの立場ならそうするでしょう」

 

 宗吾はミスリルの兵士としての戦いの中で知った。

 『命令』にただ従順なばかりでは何もできないことを。

 軍人として命令は守る。

 だが、命令をこなす中で『決められた行動』だけではなく、その中で出来る『最善の行動』を自らが選択して決めるのだ。

 誰に言われたからではない。

 『自分がそうしたい』からだ。

 

「ふう・・・・お二人ともそういう事は車内では止めて下さい。―――――着きましたよ、お二人とも」

「ありがとうございました」

 

 マルギッテと宗吾が下車した。

 BMWが通り過ぎると、二人を出迎える人間がいた。

 

「おや? マルギッテが連れてきたのはもしかして・・・・」

「本日から島津寮でお世話になる相良宗吾です。粗品ですが、こちらを」

 

 宗吾が手渡しのは最高級A5ランク松坂牛であった。

 

「これは!?」

「ご家族で食べてください。松坂牛というらしいのですが・・・・」

「気を使わなくてもいいのよ?」

「いえ、これからお世話になる身としては当然です。『お美しい』マダム」

「ははははは、お美しいなんて言い過ぎよ! 困ったことがあったらなんでも遠慮なく言っとくれ、自分の家だと思って気軽に過ごしていいからね」

「はい」

 

 あからさまなプレゼントとお世辞にも島津寮の寮長、島津麗子は機嫌がよくなっていた。

 麗子に案内されるままに二人は進む。

 その中で宗吾はマルギッテだけに聞こえるように話した。

 

(「アドバイス感謝します、マルギッテ。おかげで寮長の機嫌を損ねずに済みました」)

(「気にする必要はないと知りなさい。あなたに協力するように命ぜられているのですから、当然のことをしたままです」)

(「いえ、日常生活までフォローをすることは命令にはなかったはずです。―――――ありがとうございます」)

(「・・・・っ!?」)

 

 マルギッテの顔が見る見る赤くなった。

 無表情だった宗吾が浮かべた『にっこり』とした笑顔。

 その破壊力は抜群だ。

 宗吾の容姿は『美少年』と言って差し支えないが、普段の一切油断のない雰囲気や鋭い目つきがそれを完全に打ち消している。

 だが彼の上官にして、もっとも信頼する戦友から受けた『訓練』がここで生きる。

 

―――――宗吾、お前は基がいいんだ。自然と笑えるようになれば今度の任務の達成も楽になるぜ。

―――――そうなのか?

―――――ああ。普段のむっつりからのギャップはでかい。ギャップってのは女の子たちのハートを『狙い撃つ』には有効な手なのさ。

―――――モテモテ! モテモテ!!

―――――・・・・そんな事に興味はない。だが、任務達成に必要ならばやろう。

―――――そうこなくっちゃな!

 

 丸っこい機械とのコンビで神業的射撃を楽々こなす男は、宗吾を鍛え上げた。

 自然な『美少年スマイル』ができるように。

 宗吾は厳しい訓練の末にそれを身に着けたが狙ってできる訳ではない。

 だからこそ、自然で邪気のまったくない笑みはかなりの女性のハートを鷲掴みにできるのだ。

 初めは冗談のつもりでやっていた戦友も、宗吾の完璧さに驚いた。

 宗吾の勤勉さと任務に対する誠実さが見事に作用した結果だ。

 

(「どうしたのですか、マルギッテ? 顔がまっかですよ。まさか・・・・病ですか? それなら―――――」)

(「っ!? 気にする必要はないと知りなさい! 私は・・・・健康です! 反論は許しません相良軍曹!」)

(「失礼しました」)

 

 階級で呼ぶなどよほど気に障ったのだろうと、宗吾は判断してそれ以上話すのは止めた。

 一方、マルギッテの心情は別の意味で穏やかではなかった。

 しかし、神ならざる人であり、負の感情には敏感であるが、正の感情には疎い宗吾にはわかるはずがなかった。

 そうこうする内に、三人は島津寮に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真剣で彼に恋しなさい!

 

 第7話「島津寮」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮内のテーブルには麗子が呼んでいたために、寮内に住む人間が一堂に会していた。

 一階に住む男子たち―――――

 直江大和。

 風間翔一。

 源忠勝。

 二階に住む女子たち―――――

 クリスティアーネ・フリードリヒ。

 黛由紀江。

 椎名京。

 及び九鬼財閥が開発した自立型ロボット―――――

 クッキー。

 そこに麗子と宗吾、マルギッテが加わり、9人がリビングで歓迎会を兼ねて焼肉をしていた。

 

「急に決まったことだけど学園長たってのお願いでここにいる相良宗吾くんが今日から寮に入ることになったよ。皆、仲良くしてあげてね」

「よろしく頼む」

 

 宗吾が頭を下げた。

 

「こっちこそよろしく頼むぜ! 男衆問題なし!―――――でいいよな?」

 

 翔一の発言に大和と忠勝は頷いた。

 

「麗子さんも上機嫌だし、なんたって学園長も言ってるしな。あーやっぱり松坂牛ってうめ~ぇ」

 

(麗子さんだけでなく学園長までが頼んでいるんだ。こちらが騒いでも結果は変わらないだろうしね。それに・・・・)

(相良・・・・あいつは何者だ? 親父ができれば味方してやれって言っているが・・・・)

 

 大和と忠勝はそれぞれ思うところがあるようだ。

 

「ところで・・・・マルさんはどうして相良と一緒に帰ってきたんだ?」

 

 マルギッテを実の姉のように慕い、『マルさん』の愛称で呼ぶクリスは、宗吾とマルギッテが知り合いとは思えなかった。

 宗吾は2年F組、マルギッテは2年S組。

 F組とS組は仲がいいとは言えず、F組の転校初日の宗吾と、S組の男子以外と会話を交わしているイメージがないマルギッテと個人的付き合いがあるとは考えられない。

 

「ミス・フリードリヒ、その疑問は俺が答えよう」

 

 宗吾が箸を置き、発言した。

 

「朝、君たちに教えたプロフィールは所々に誤りがある」

「と、言うと?」

 

 大和が興味深そうに聞いた。

 

「紛争地帯で育ったというのは嘘ではない。だが、俺は本来は学生ではなく国連軍の属する『軍人』だ」

「「「「・・・・」」」」

 

 大和たちは多少驚きはしたが、奇人変人が集う川神で育つ彼らにはさほど衝撃的なことではなかった。

 そもそも、マルギッテという軍人がいるからして軍人だからとそう騒いだりはしなかった。

 

「ふ~ん、やっぱり銃とか持ってんの?」

 

 翔一が言う。

 

「肯定だ」

「おっ、ちょっと見せてくれよ」

「ああ」

 

 そう言うと、宗吾は懐のホルスターから愛銃ではなく予備銃コルト・ガバメントを抜いた。

 翔一に渡す前に、目にも止まらぬ早業で弾倉を排除した。

 

「すげーな、はえー! まるで映画だな」

 

 翔一は宗吾の動きに感心し、手渡された銃をまじまじと見たり、触っていた。

 

「これくれよ」

「無理だ」

 

 そう言うと、宗吾は翔一からガバメントを奪った。

 

「話を戻すが、俺はとある『任務』を遂行するために身分を隠して入学させてもらった」

「そうなんだ。でも、わざわざ身分を隠していたのにばらしていいの?」

「ああ。最悪ばれる結果となってもさして任務に支障はない。だが、ばれないことがベストだ。できれば俺のことは話さないでくれ」

 

 共同生活をする者たちに身分を隠し通すことは厳しい。

 だからこそ、話がややこしくなる前に寮員には事情を説明しておくことになった。

 

「了解。ばらされたくないことをべらべら喋る人はここにはいないよ」

 

 大和の言葉に皆が頷く。

 

「感謝する。その変わりに・・・・君たちがいかな暗殺者・テロ組織に狙われようが、俺の駆使できる兵器・技能で殲滅することを約束しよう」

「う、うん。ありがとう」

 

 無表情ではあるが心なしか自信に満ちた表情に見えた。

 食事は和やかに進み、テーブルから焼肉に使った皿やコップが片づけられた。

 麗子は片づけが済むと、寮から自宅に帰った。

 その後、残った8人で食後の一杯を楽しんでいた。

 

「それにしても軍人さんが二人かぁ~、何かありそうでワクワクだな。敵部隊が強襲して来るって展開が期待できるんじゃないのか?」

「それはない。たとえ、ASが強襲しようともここには入らせない」

「ASって4mぐらいのロボットだよな?」

「肯定だ」

「さすがに無理じゃないか? モモ先輩、川神百代なら倒せそうだけど」

「ふむ、例の『武神』か。可否はともかく・・・・ASの相手はASがセオリーだ」

「操縦できるのか?」

「肯定だ」

「すげ~! ASって航空機を操縦するより難しいんだよな」

 

 翔一の言葉を聞いたクリスは、関心していた。

 

「そうなのか? マルさんもASを操縦できるんだよな?」

「はい。ですが、相良ほどの腕はありませんが」

「そうなのか?」

「はい。正直、AS戦では彼が圧倒的に優位ですね。それに白兵戦でも高い技量を有しています。戦われたお嬢様ならお分かりでしょうが」

「うん。強いな相良は。これから勝てるように鍛錬を怠ることはできないな!」

「素晴らしい向上心です」

 

 二人のやり取りはさて置き、由紀江は気になることを聞いた。

 

「そういえば相良さん、一つ聞いてもいいですか? どうしてクリスさんを『ミス・フリードリヒ』と呼ぶんですか?」

「うむ。数年前のことだが、ミス・フリードリヒの父であるフランクさんと同じ部隊に俺は属していた」

 

 その言葉に全員が驚いた。

 

「その時の指揮官がフランク・フリードリヒ中佐であり俺は部下の一人だった。その時受けた恩は数多くある。ミス・フリードリヒがフランク中将殿のご息女であることがわかったが、ミス・フリードリヒだけに敬語を使うのはさすがに勘ぐられると判断した。よって呼称だけは、という事だ」

「なるほど。そういう事情がおありなんですね」

「相良、自分は気にしないから気軽に『クリス』と呼んでくれ。ミス・フリードリヒなんて同じクラスメイトとしてよそよそし過ぎるじゃないか」

「了解だ、クリス」

 

 こうして、相良宗吾の島津寮の初日は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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