たくさんのお気に入り登録や評価、さらには感想まで頂いてしまい領域展開しかけた今日この頃でございます。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
日に日に近づく呪術廻戦の放送日にそわそわしていたらいつの間にか書き上げていた一品でございます。
自己満足作品でございますが、少しでも皆様の呪力の足しになっていただければ幸いです。
改めまして沢山の評価、お気に入り、ご感想を送っていただき大変ありがとうございました。
僕は生涯、この日を忘れることはないだろう。
「よう、少年」
無個性故に、かっちゃんにいじめられ友達もできず、それでも諦められない夢。
ヒーローになりたいという夢に燻る日々。
そんな僕の色の無い世界にひびを入れ、僕に前を向かせ、ヒーローになる夢を傍で応援し続けてくれた。
「どんな女がタイプかな?」
そんな、最高の親友に出会えた日を。
俺が二度目の生受けはや数年、特に大きい病気にかかる事無くすくすくと育つことができた。
これもひとえに今の両親が優しく、愛情を注いで育ててくれていたからだろう。本当に感謝の念が尽きない。
まぁ、たまに愛情が行き過ぎてウザく感じることもあるが…
そんなことはさておき、体も大きくなり耳が聞こえるようになるころには自然とこの世界について情報が入ってくるようになる。
とある朝、母上の膝の上で朝のニュース番組を見ていたところ非常に聞きなれない単語が飛び出してきた。
"ヒーロー"とヴィラン"
最初はあぁ、アトラクション施設で人気ヒーローショーの告知かと思いつつそのままテレビを見ていると、個性社会だのヒーローランキングなどの言葉が聞こえてきた。
あれ?ここヒロアカの世界じゃね?
そんな疑惑が吹っ飛んだのは次の日、母上に初めて公園に連れて行って貰ったときだった。
めっちゃ空飛んだり火吹いたりしとる子がいたのだ。
あ、ヒロアカの世界だわ(確信)
となると気になってくることがある。そう、自分の個性だ。
個性の発現は、本来なら4歳までに両親の"個性"のどちらか、あるいは複合的"個性"が発現する。
だが、ごく稀に何の超常現象を持たずして生まれてくる場合もある。その者達は総じて無個性と呼ばれている。
ヒロアカの主人公もその無個性だったはずだ。
幸い自分が生まれてすぐ、足のレントゲンを撮り骨の本数から個性が発動するだろうと医師から太鼓判を押されていたらしい。
個性が発動するのを楽しみにしながら、小さいころから運動をすれば身体能力が上がりやすいという話を聞いたのでハイハイしまくったり、立つ練習をしたりしながら過ごしていった。
そこで迎えた四歳の誕生日。発現しました、えぇ個性がですとも。
それは、
手を叩き、相手と自分の位置を入れ替える個性。
いや、
いやもう、跳んで喜んだね。精神年齢三十路がもうそれはそれは華麗なトリプルアクセルを決めるほど。
不義遊戯とは、ヒロアカと同じ少年ジャンプで連載している呪術廻戦で東堂葵というキャラが使う能力だ。
巷では変態だのちょんまげゴリラだの言われてはいるが、呪術廻戦の主人公虎杖の成長には欠かせない働きを見せ、各上の呪霊を単独で払う力を持ちつつ癖のある性格から繰り出される数々の名言を生み出す最高のキャラクターなのだ。
呪術廻戦の推しはと聞かれれば0.01秒で東堂と答えるぐらいには気に入っている。
さらに今世で俺に名づけられた名は、東堂葵なのである!
東堂葵なのである!
この事実を前に俺は悟ったね、これは東堂葵のロールを行えと神からのお召示しだと。まぁ会ったこと無いんだが。
そこからの行動は早かった。東堂葵に近づくために体を鍛えるための筋トレや瞬間的な判断力を養うための訓練、さらに個性社会になるにつれ廃れて行った武術などを技を身につけるため、習える場所を探したりなどできる限りのことをしていった。
そんなある日、天気がいいのでいつものランニングコースを外れ、隣町までやってきていた。
結構な距離を走っていたので、ちょうど見えてきた公園で休憩でもしようとしたところ中から誰かがすすり泣く声が聞こえた。
その子の頭はもじゃもじゃしており色が緑色。服にはでかでかとオールマイトのプリントがされており、かっちゃんがどうのこうのと言っている。
ヒロアカ主人公、緑谷出久やんけぇ…
おおぅ…思わず話しかけてしもた。
初めて原作キャラに会えた嬉しさと静々と泣いている姿を見たら、いてもたってもいられなかったんやぁ…。
急に現れて好みのタイプを聞いてきた俺にびっくりしている様子だ。俺もこんなことされたら何だこいつってなるし当然の反応だろう。
「あ…あの……君…誰……?」
「俺は東堂葵、隣町に住んでる。たまたまこの公園に寄ったんだが、一人でいるのが見えたから話しかけたんだ。迷惑だったか?」
「う、ううんそんなことないよ。あ、僕の名前は緑谷出久です」
少し緊張しているのかしどろもどろになりながら、自己紹介をしてくる。
こんな不審者に律儀に返してくれるとは、優しい子やなぁ…。
ふと彼の手元に視線を向けると、オールマイトのフィギュアを握りしめている。
「その手に持ってるフィギュア、オールマイトだろ。服にもいるし、好きなのか?オールマイト」
「う、うん!大好き!どんなに困ってる人でも笑顔で助けちゃう、最高にカッコいいヒーローなんだ!」
オールマイトの話題を出すと緑谷は、パァアと笑顔になり嬉しそうに語る。
やっぱりこの頃から生粋のオールマイトファンとしての成長をしているらしい。
「他に好きなヒーローとかいないのか?オールマイト以外に」
「一番はオールマイトだけど、好きなヒーローはいっぱいいるよ!えっとね…あのね……」
どのヒーローを言おうか悩んでいるのか、わたわたしながら考えている。
その顔にはまだ目が赤く涙の後はあるが、涙は完全に引き悲しみの感情は完全に消えているようだ。
うんうん、やはり小さい子には笑顔でいてもらうのが一番。
そうだ、望んだ答えは返ってこないだろうが、東堂のロールをすると決めたのだからあの問いの答えを聞かねばならない。
「なぁ、緑谷。ちょっといいか?」
「えっとその…え?…ど、どうしたの?」
「お前、どんな女が
緑谷は目をぱちくりとさせこちらを見ている。目でかいな。
「え?、僕の好きな女性(ヒーロー)のタイプ?うーん…僕が好きな女性は……(確か昨日動画で見たかっこいいって思った女性ヒーローは…)」
何か含みを感じたがまあいいだろう。しかし残念だ。
虎杖と同じジャンプの主人公である緑谷の成長を隣で促したり、背中を合わせ戦ったりしたかったが、あの回答に行きつく可能性は0。
しかし、そうだと分かっていても聞かねばなるまい。それが俺の目指す東堂という男なのだから。
「えっと…あれ?なんて名前だったけ?」
さらば、緑谷。親友になれなくても雄英で出会ったら高みへ目指し存分にぶつかり合おう。
「うーんと…背が大きくて……お尻が大きい…」
「!?!!!???!?」
瞬間、東堂の脳内に溢れ出した存在しない記憶
「地元じゃ負け知らず………か」
「?」
「どうやら俺たちは、親友のようだな」
「今さっき名前聞いたばっかだよ!?大丈夫?!涙と鼻水すごい出てる!」
「ああすまない、ついたくさん出してしまった」
「ついでそんなに出るの?!」
東堂君は、いっぱい出ていた涙と鼻水を服で拭いている。あんなに体から水分が出てくるということは彼の個性は水が関係してくるのかな?
「あのさ…東堂君の個性って水を作る個性なの?」
「ん?いや、俺の個性は水を出さんが」
え、じゃあこの水の量はいったい…
そんなことを思いながら考えてしまう。東堂君の個性はどんな個性なのだろう。すごい個性なのだろうか、無個性の僕と違ってきっとすごいヒーローなれちゃうような個性なのだろうかと。
「ふぅ…それにしても
その一言で肩がびくっと波立つ。すると見る見るうちにまた目に涙がたまり、溢れそうになる。
「僕……無個性なんだ………だから僕、ヒーローになれないんだ、皆もそういうから………」
涙をグッと堪えて溢した言葉。
自分で溢した現実に耐えきれなくなり涙が溢れる。口を閉じ嗚咽を噛み殺す。そのまま下を向いてしまいそうになる。
「なぁ
そんな僕の目を、東堂君は真っ直ぐで真剣な眼差しで此方を見ている。
その雰囲気と目力で少し圧倒される。
「お前は、皆から言われたからほいほいと夢を諦めるような男なのか?その胸に込められている夢は簡単に投げ捨てられるものなのか?」
「と、東堂君にはわからないよ!個性を持っている君に!ぼくの気持ちなんて!」
東堂君の言葉にカッとなって怒鳴ってしまう。何も知らないくせに!勝手なことを言うなと心が叫ぶ。
目からはさらに涙が溢れ、睨みつけるようにして東堂君の顔を見る。
だけど東堂君は、そんなことどこ吹く風と流し言葉を発する。
「たしかに、ヒーローというものは過酷な環境や戦闘に身を置くことを常に要求される。それ故、その環境に耐え、打破する力、つまり個性が重要なファクターになるだろう」
「そうだよ!だから僕には!」
東堂君の言った事を肯定し、言葉を続けようとする僕を無視し、こちらの目を見てさらに言葉を続ける。
「だがな、俺が聞きたいのはな緑谷。
お前がヒーローに成れる成れないかの話ではないんだ。お前が将来、どうなりたいかを聞いているんだ」
「!?」
「ヒーローになれば人々の死や、己の死に直面することがあるだろう!だがそれでも、オマエは何を夢に見た」
「ぼ…僕は……」
元々あった涙を押しのけるように、さらに涙が溢れだす。
「僕はっ……!」
上手く喋れない。僕の顔は、きっと酷い顔になってるだろう。
それでも、ここで言わなければ一生後悔してしまう。そんな気がした。
「どんなに…っ…困ってる人でもっ…」
人々を救うあの背中に憧れた
「恐れ知らずの笑顔でっ!」
その笑顔に憧れた
「たすけ…ちゃう……」
そんな最高のヒーローに
「…いい夢だな。だが俺はお前にヒーローになれるとは言ってはやれん‼︎」
「へぇぁ?!」
「しかし、俺はお前の夢を全力で応援し、全力で支えよう。
その言葉を聞いて蹲ってしまう。
先程流していた涙とは違う涙が溢れ出す。
悔しく、悲しい涙じゃない。
暖かく心地のいい、そんな涙。
東堂君は蹲る僕の肩に手置いて口を開く。
「共に夢を追おう、そして成ろう。
最高のヒーローに。」
言い忘れてたけど
これは僕と僕の親友が、最高のヒーローになるまでの
物語だ。