~拝啓、出席番号17番様~   作:不動 大師

1 / 4
プロローグ、第一節

高校二年生の一月、世界中を震撼させる出来事が起こった。中国武漢市を中心に、新型コロナウイルス肺炎が世界中でパンデミックが宣言される程、流行してしまったのだ。日本は諸外国よりは感染者は少なく済んだが、お笑い界のレジェンドである志村けん氏を始めとする各界の著名人が何人も命を落としてしまったのである。私の通っていた学校は他と比べ少し特殊で、三月に修学旅行を行う学校であった。私たちが行く予定だったのは台湾でだったが、緊急事態宣言に伴う渡航禁止で中止になってしまったのだ。先生方は、何とかしようと国内だ、日帰りだと何度も画し、講じていたようだったが、可能不可能は誰でも判別できた。修学旅行は無くなり、学校は休校になった。休校期間は二月末から六月の初旬まで続いた。弊校では、分散登校を皮切りに徐々に再開していった。分散登校が始まろうとしている頃、私はそれまでは平気だったのに急に人恋しくなってしまった。早く学校が再開してほしい、早くみんなに会いたい。私はその時、なぜかは分からなかったが他の誰よりも先に17番の顔が脳裏に浮かんだのだ。

 

 

今日は私のクラスメイトの話をしよう。二年生に進級したばかりの四月、私は自らが所属していた部活の先輩に思いを寄せていた。この先輩への思いは数か月後に、実ることなく終わるのだが今日は置いておこう。彼女の存在を認識したのはその頃だった。二年生になって初めての席替え終わり、隣の席になった人から爛漫な声をかけられた。「あっ!11番君じゃん。また、隣の席だね。」その瞬間、私は自分が今対面している相手が誰で、どんな人なのか全く分からなかった。いや、微塵も興味が湧かなかったのだ。先に言った通り、私には片思いではあったが、思い人がいたのだ。自分で言うには小っ恥ずかしいが、私はこと恋愛においては誠実に相手に恋着してしまうたちなのだ。だから私の眼には彼女は全く持って映っていなかっただろう。彼女の名前は、【17番さん】と言うらしい。私は先輩に恋した事を後悔した事は無い。だが、もし恋していなかったら、私はもっと早くから17番に恋をしていただろう。それもあってか私たちの第二学年は特にこれと言ったことも無いまま過ぎ去っていこうとしていたのである。そんな日々を送っていた冬、世界中が震撼する事件が起きた。そう、前述した新型コロナウイルス肺炎のパンデミックである。その事件は、良くも悪くも私たちの関係性を変えたのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。