人が嫌いな人   作:豆ミルク

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続きが書けましたのでお納めください。


答える人

 誠はふたご島に向けて空を飛んでいる。目的は勿論グレンジムへのジム挑戦だ。

 

 以前の挑戦から凡そ一週間。もう少し間隔を開けた方が良かったかもしれないが余り期間を開けすぎても印象が悪い。

 実際はそんなこと欠片も思ってないが、答えが出たからその答えを直ぐに聞いて欲しくて来たとでも言えば可愛げを感じて貰えるかもしれないという打算もある。

 

 他にもやる事はあるのだがこのジム挑戦が一番ゴールが近いからまずはジム挑戦を終わらせることを決めた。

 まだ残り回数が減っていないマサキへの研究協力も数が多すぎるポケモン達とのコミュニケーションも全く情報のないガキの殺害もゴールが遠すぎる。自分にはあれもこれもと並列で物事を処理できる能力はない。それならば直ぐに終わることから一つずつ終わらせるべきだ。

 

 まだバッジを貰っていないジムも残るは三つだけ。

 カツラ、グリーン、ナツメの三人を倒せば済むとなれば、躓かなければ三日で終わる。三日かけてバッジを集めてマチスとの面談で免許皆伝を貰えばひとまず一つ厄介事を処理できる。

 

 ナツメだけは出来れば避けたいところではあるが、どうせポケモンリーグに所属していれば遅かれ早かれ関わることになるだろうからもう諦めた。ただし関わりたくない事実は変わらないのでナツメは最後に回す。

 しかしカツラもグリーンも問題が無い訳ではない。カツラは答えを考えてきたとは言えジム挑戦を受けてくれるか分からない。グリーンも過去にチャンピオンになった経歴があるので単純に強さで負ける恐れがある。

 自分で選んだ事とはいえ、残るべくして残っていた相手ばかりだ。

 

 ふたご島に到着すれば目に入るのは相変わらず何もない島。交通の便も悪いし、何故こんなところにジムを建てたのか未だに分からない。疑問を残しながらも島唯一の立派な建物に向かう。

 

 グレンジムの中も以前来た時のまま。むき出しの岩肌にしょうもないクイズを出してくるジムトレーナー。以前愚痴を言っていた白衣のトレーナーもいて前回と全く同じ問題を出してきた。

 当然間違える筈もなくクイズに正解し、一回の戦闘も行わずにカツラの元に辿り着く。カツラも以前と何も変わらない。むき出しの岩が立ち並ぶ洞窟の中、唯一綺麗に整地された空間で一人ぽつんと立っている。このような何の娯楽もないジムでどうやって暇を潰しているのか気になるところだ。

 

「うおおぉいっ! よくぞ来た挑戦者!」

 

 近づいたところでカツラが大声を上げるがこれはどうなんだろうか。以前の別れ方を考えれば自分を挑戦者と認めているこの発言は間違えているようにしか思えないが、自分が誰か認識できていないのだろうか。

 火を使う際の眩しさ対策かもしれないがこんな場所でサングラスをしているから視力が下がっているのかもしれない。老眼の線も捨てきれないが。

 

「一週間ぶりですね。誠です、カツラさん」

 

「ん? ああ君だったか」

 

 やはり自分の事を認識できていなかったらしい。こんなざまでよくもジムリーダーが務まるものだ。数多くいる挑戦者の顔なんか覚えるまでもないという意思表示だろうか。確かに覚えるに値しない挑戦者はいるだろうがそれにしてもあんまりだろう。

 

「はい。今回は改めて挑戦者としてここに来ました」

 

「待ちなさい。私はまだ君の事を挑戦者と認める訳にはいかない」

 

「それは重々承知しています。ですのでまずは私の答えを聞いてもらいたい」

 

「うむ。では聞かせて貰おう。君にとってポケモンとは何かね?」

 

 ここからが本番だ。この答え次第でジム制覇、ひいてはマチスの弟子の脱却が不可能になる。確か問題はポケモンの事をどう思っているかだった気もするが大差はないだろう。要はポケモンとの関係性を知りたいという話だ。

 

「私と私のポケモンは互いの望みを叶えるために協力して生きる共生関係です」

 

「ほう?」

 

 こんな答えだがこれでも結構考えたのだ。まず前提として嘘はアウト。何となくだがカツラには経験による審美眼が備わっていそうな気がする。もし嘘がバレでもしたら完全に挑戦資格を失う。

 そしてカツラを納得させられるだろう友達、家族、戦友等の選択肢は色々と考えてみたがどれもしっくりこない。かと言ってペット、部下、道具なんて答えを言える筈も無く、実際そう思っている訳でもない。そして自分とポケモンの関係をじっくり考えた結果がこれだ。

 自分は自分の目的の為に、一緒にいてくれることを選んだポケモンの力を貸してもらう。その代わりにポケモンの望みを叶える。得られるものの大きさが対等かは分からないが一方的な搾取ではない正当な取引だ。人によってはドライな関係に見えるかもしれないが糾弾する程悪い関係でもない。

 

「私のポケモンは全員私についてきてくれることを選んだポケモンです。私はそのポケモンの望みを叶える。強くなりたいなら強くし、戦う事を望めば戦わせ、遊ぶことを望むなら一緒に遊ぶ。その代わり私は彼らの力を借ります。それが私とポケモンの関係です」

 

「ふむ、意外だな。てっきりもっと聞こえの良い答えが返ってくるかと思っていたが」

 

「これでも色々と考えました。確かに聞こえの良い答えで言えば家族や友人というのもあったでしょう。でも私はポケモンのことをそうは思えません。ポケモンの事は信用していますが家族の様に無条件に信頼して一緒に居ようとは思えない。友人の様に損得を抜きに対等な関係を深めようとは思わない。互いの望みを叶えるという関係性が無ければ私は怖くて仕方がないんですよ」

 

「怖いとはどういうことかね?」

 

「お恥ずかしながら私は自分に自信がありません。だからどうしても不安なんですよ。私はポケモンの力を借りているのにその対価がポケモンと一緒にいるだけで良いのかと。一方的に力を借りるだけの関係をしていたらいつかポケモンが愛想を尽かせて去っていくんじゃないかと。だから私はポケモンの望みを叶えます。そうした対価を払って初めて私とポケモンは対等です。嫌な言い方をするなら契約と言っても構いません。ポケモンは私と一緒にいて力を貸す。その対価として私は可能な限りポケモンの望みを叶える。それが私とポケモンの関係です」

 

「そうか……」

 

「これ以上私に言えることはありません。この答えがカツラさんにとって正しくないものであれば私は挑戦を諦めるしかありませんが如何でしょう?」

 

「うむ……そうだな。その答えに偽りはないか?」

 

「もし嘘を吐くならもっと良い答えを用意しますよ。それこそどんな人から見ても素晴らしい関係に感じられるような答えを。でも人によっては受け入れられないだろうこの残念な関係が私の答えです。私に原因があるのは分かってますがこればっかりは性分でしてどうにも」

 

「そうか……」

 

 こちらの答えを聞いたカツラが黙り込んでしまった。感触としては悪くないと思うのだがどうだろうか。もし駄目だったら改めて対応を考えなければならない……ポケモンの事を知る為の研究ということにしてこのジムに入り浸るのはどうだろうか。内弟子未満客以上の感じでジムに出入りしていれば多少の情は生まれるかもしれない。

 ポケモンを強くする方法を教える事を条件にする手もあるが乗ってくるか分からない。それならまだポケモンがどういう生物かという情報の方が食いつきそうな感じがする。

 

「……いいだろう。誠君、私は君を挑戦者と認めよう」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「礼を言う事はない。私は君とポケモンとの関係を聞いただけだからな」

 

「いえ、それでもです。自分の事を見つめ直すいい切っ掛けでした。きっとこういう事が無ければ自分を見つめ直すこともなかったでしょうからこういう機会を下さった事には感謝しています」

 

「うむ。そういうことなら礼は受け取ろう。しかしバトルでは気を抜かない様にな」

 

「勿論です。今日は前回の様にはいきません」

 

 そう告げてカツラに背を向け、挑戦者の所定位置に向かう。

 少し緊張したがどうにかなったようで何よりだ。緊張して少し、というかかなり余計なことまで話してしまったが、話したのは知られたくない情報であって知られて困る情報ではない。結果良ければ全て良しだ。

 

 バトル用スペースの所定位置に着いて振り返れば、カツラも準備万端とボールを構えている。

 最初の難関は越えて次は第二の関門だ。一度対カツラ戦を経験しているが確認できているのは目くらましから積み技を使う戦い方だけ。積み技を重ねた先の行動は分からないし、他にも引き出しがあるだろう。油断は出来ない。

 

「ルールは以前と同じだ! 全力で掛かってきたまえ!」

 

「ええ、今回は本気で勝ちにいきます」

 

 今回の選出はドザエモン、ユカイ、そしてドククラゲだ。ジムリーダー戦で目算レベル50前後のドククラゲを使う事に不安はあるがやはり一度レベルアップの瞬間を確かめたい。そしてジムリーダー相手に同レベル帯でどの程度通用するか試しておきたい。

 一応タイプ相性は悪くないし、もし何も出来ずに負けたとしても残るレギュラーを全力で使えば勝つ自信もある。炎ポケモンは水ポケモン相手の弱点補完がしにくいというのも良い。

 本気で来いと言われておいて実験を優先することに負い目はあるがそれはこちらの勝手だ。正直に言えば前回いいようにやられた意趣返しをしたいというのもある。

 

「行け! マグカルゴ!」

 

「出てこいドククラゲ。お前は自由だ」

 

 カツラがマグカルゴを選出したのを見てドククラゲを出す。色を確認したところマグカルゴの色はドククラゲよりほんの僅かに白い程度。ハナダの洞窟の野生ポケモンより少し白い程度なのでレベル50台後半、高くても60には達していないといったところだろう。

 レベルでは劣るが属性相性は断然有利。水が四倍弱点のマグカルゴなら十分に勝機はある。

 

「マグカルゴ! スモッグ!」

 

 カツラが先手を打って指示を出し、マグカルゴの殻から放出された紫色の煙が視界を遮る。前回通じたからと同じ手を打ってくるのは悪手としか言いようがない。ジム挑戦者全員に同じ様な戦法を取っているのかもしれないが舐め過ぎだ。

 

「ドククラゲ! 天井にハイドロポンプ!」

 

「?」

 

 指示の意図が分かっていないだろうカツラを尻目にドククラゲが天井に向けてハイドロポンプを放つ。威力的に少しだけ崩落を心配していたが無事にハイドロポンプは天井の岩に弾かれ周囲に大量の水を撒き散らす。そして水の大半が地面に落ちる頃にはスモッグは晴れ、紫色の水溜まりに佇むマグカルゴの姿が見える。

 

 想定通りだ。そもそもポケモンの技で何かを生成する場合、岩にせよ、水にせよ、炎にせよ実在の物質と大差ない物質が生成される。

 ならばスモッグという名前の技で何が生成されるかと言えば答えは大気汚染物質だ。普通なら火山灰やガス性物質などの成分で構成されるが完全に視界を奪う程の濃さや紫という色の大気汚染物質は聞いたことが無いので詳細な成分は不明。しかし一般的な大気汚染物質と同じ特徴を持った物質であれば雨に溶けて酸性雨になる。

 

 つまり雨さえ降っていればスモッグは機能しない。雨ごいでも良かったが屋内だと意味がないので今回はハイドロポンプで疑似的な雨を再現した。今も天井に残った水は雫となって降っている。雨というには少々弱いが水溶性の粒子を地面に落とすには十分。自分もびしょぬれになるがそこは我慢だ。

 

「突っ込んでからみつく!」

 

「躱してスモッグ!」

 

 触手を器用に動かして接近するドククラゲに対して、見た目にそぐわぬ機敏な動きで飛び跳ねるように離脱するマグマッグ。伸ばされたドククラゲの触手は空を切るが、躱した先でマグカルゴの放出したスモッグは先程より薄く煙の中に姿がぼんやりと見えている。もう見失うことは無い。

 

「相手の足元にれいとうビーム!」

 

「かえんほうしゃで迎撃だ!」

 

 れいとうビームとかえんほうしゃが空中でぶつかり、大量の水蒸気が発生して一瞬視界が白く染まる。収まって尚白い蒸気が周囲を覆っているが粒子の色で判別しているこちらにはギリギリポケモンの姿が見える。

 白い粒子の塊であるレベル100のポケモンを出していたら蒸気に混じって見失っていたかもしれないので結果としてはむしろ色に青さが混じるドククラゲを選出して良かったのかもしれない。

 

「からみつく!」

 

「ふんえん!」

 

 ドククラゲが触手を伸ばし、マグカルゴを捕らえると同時にマグカルゴの殻から赤い火花が混じったような灰色の煙が噴出する。視界の悪いカツラなら反応が遅れるかと思ったが当てが外れた。こちらのからみつくの指示を聞いて接近戦を読んで反応されたというところだろう。

 しかしマグカルゴは捕まえた。もう何をしても無駄だ。

 

「ハイドロポンプをぶち込め!」

 

「耐えるんだ!」

 

 触手で縛り上げているマグカルゴに向けて別の触手から飛び出した水流が襲う。拘束されているが故に直撃を受けても吹き飛ぶことが出来ないマグカルゴにハイドロポンプの衝撃を直に与える。

 そして同時に止め時を見逃さない様に目を凝らす。辺りを漂う蒸気とハイドロポンプの水しぶきの所為で分かりにくいが見えない程ではない。

 

「放水止め! 下がれ!」

 

 五秒ほど水流をぶつけ続けたところでマグカルゴから飛散する粒子量が減って来たため攻撃を止めて下がるよう指示を出す。放されたマグカルゴは地面に落ちてピクリとも動かない。戦闘不能になったと見ていいだろう。

 

 続けてドククラゲの様子を確認する。マグカルゴから飛散した粒子の大半を現在進行形で吸収しているが体の色が変わった感じはしない。レベルが1上がっても気付けない程度しか変化がないのか、今回の戦闘ではレベルが上がらなかったのかは分からない。

 なのでドククラゲにはこのまま頑張ってもらう。今のところ喰らっているのは効果いまひとつのふんえん一発だけ。マグカルゴを掴んだことでやけどもあるかもしれないがまだいける筈だ。

 

「戻れマグカルゴ! ギャロップ、出なさい!」

 

 ドククラゲを観察している間にカツラはマグカルゴをボールに戻し、ギャロップを出す。ギャロップの色的にレベルはマグカルゴと大差ないか僅かに上。高めに見積もってレベル60に達しているかどうかというところだろう。

 

 動きが素早いポケモンを相手にするのには苦手意識があるが、状況は悪くない。そこまで広くない洞窟の中で、地面は先程撒いた水で水溜まりだらけ、おまけに徐々に晴れてきたとはいっても未だに蒸気で視界は悪い。加速力がどの程度か分からないが最高速で動き続けることはできないだろう環境だ。

 ただギャロップがくるなら捕まえて動きを封じるやり方をマグカルゴ相手に使ったのは勿体なかったかもしれない。

 

「ドククラゲ! 足元にれいとうビーム!」

 

「躱せ! こうどくいどうだ!」

 

 ドククラゲがギャロップの足元にれいとうビームを放つが、ギャロップは素早い動きで光線を回避する。今のところ目で追える速度だが速度を上げられると厄介だ。

 しかしギャロップの様に速度が脚力に依存している生き物は踏ん張ることが出来る足場を奪うだけで速度を奪う事が出来る。なら地面に多数存在する水溜まりにれいとうビームを撃ち込んでところどころに氷の張った速度を上げにくいフィールドを作ってやればいい。

 いっそ最高速を出したところを氷で滑って、頭でも打って戦闘不能になってくれれば楽だが流石にそこまで阿保な負け方はしないだろう。

 

「そのままれいとうビーム維持! 薙ぎ払え!」

 

「ジャンプして回避!」

 

 地面を薙ぎ払うれいとうビームをギャロップは軽々と躱す。正確な高さは分からないが五、六メートルはあるだろう天井間近まで飛んだ。結構な重量がありそうなあの体でそこまで飛べる脚力は流石ポケモンとしか言えない。

 しかしこれで足元に広がっている水溜まりに氷が張り、水が薄いところにも霜が降った。ついでに身動きが取れない空中に飛んでくれたのも好都合だ。

 

 ただ気がかりなのは、水ポケモンが炎ポケモン相手に効果いまひとつの氷タイプの技を使ったことに違和感を感じているだろうに反応がない事だ。

 未来予測が苦手なだけならいいが、分かっていて放置しているなら何らかの対策があるだろう。炎で氷を溶かすくらいなら問題無いがこちらの思い付いていない起死回生の一発があると困る。

 

「撃ち落とせ! バブルこうせん!」

 

「天井を蹴ってとっしん!」

 

 ギャロップが後ろ足で天井を蹴り、バブルこうせんを突っ切ってドククラゲを弾き飛ばす。万が一にも外れないように拡散して軌道の読みにくいバブルこうせんを選択したのが裏目に出てしまった。こんなことならハイドロポンプを選択するべきだったと悔やむが既に遅い。

 

「手を休めるな! ふみつけだ!」

 

 吹き飛ばされたドククラゲに追撃を与えようとギャロップが迫る。ドククラゲの体からはまだ粒子が出ているので戦闘不能ではないが、もう一撃耐えられるかは微妙なところ。しかしここから距離を取る作戦は思いつかない。適当に攻撃しても当たるか分からない。仕方なくギャロップの一撃に耐える事に賭ける。

 

「ドククラゲ! からみつく!」

 

 耐える事が出来れば拘束で身動きの取れないところに攻撃、もし耐えられなければドククラゲはここで退場だ。次のポケモンでギャロップを倒す。

 

 倒れたまま触手を伸ばすドククラゲにギャロップの両前足が振り下ろされる。ズグンと鈍い音がして大量の粒子が拡散するが触手はギャロップの足に絡みついている。耐えたか分からないがこの機は逃せない。

 

「ハイドロポンプだ!」

 

 ドククラゲの触手の一本が動きギャロップに向けられる。内心で賭けに勝った事を喜ぶがすぐにその喜びは霧散した。動いた触手が水を出すことなく地に落ちたからだ。残念ながらギャロップの攻撃には耐えられなかったらしい。本当に残念だ。

 

「ふぅー……」

 

 一度息を吐く。ドククラゲは負けたが勝負自体はまだ中盤。ドククラゲで三縦が出来るなど最初から思っていない。むしろ弱点属性を突いた事を考慮しても、相手よりレベルが低いポケモンでジムリーダーのポケモンを倒せたなら大金星と言ってもいいだろう。レベルアップの瞬間を見れなかったのは残念だがそこは仕方がない。

 

「すまんドククラゲ、戻れ」

 

 戦闘不能になったドククラゲをボールに戻し、次の手を考える。次に使うのはユカイだ。炎相手に弱点を突けるドザエモンは最後の砦。それこそ後が無いというくらい追い詰められてから出さないと変に慢心してやられかねない。油断しなければ済む話なのだがどうも慢心というのは完全には消せないものだ。

 

「行けユカイ、お前は自由だ」

 

「ギャロップ! ほのおのうず!」

 

 こちらがポケモンを出した途端、待ってましたと言わんばかりに炎技が飛んでくる。ユカイの実力ならほのおのうずに取り込まれても力尽くで突破することは出来るが喰らわないに越したことはない。そもそも力尽くで突破出来るから躱さなくてもいいという考えが僅かでも出た事自体が慢心している証拠だ。今一度油断を捨てて、いつも通り確実に相手を詰ませていかなければならない。

 

 そして威力の低い技と思っていたがほのおのうずが結構熱い。それなりの距離があるのに熱風がこっちまで飛んできている。ドザエモンなら兎も角、ユカイの場合は可能な限り避けた方が無難だろう。

 

「躱してあやしいひかり!」

 

「目を閉じろギャロップ」

 

 ほのおのうずを躱したユカイが額の宝石を光らせるが、ギャロップは目を閉じることで回避する。目を閉じた程度で無効化できるのかと思わないでもないが、光を通じて相手を狂わせる技だから仕方がないのだろう。運用法として考えてはいなかったが、戦闘中に目を瞑らせて隙を作ることが出来るならダブルバトルでも活躍できそうな使い勝手の良い技だ。

 

 ただ欠点もある。自分の体がポケモンだからか、人にも効くのかは不明だが先程の光を見た時に僅かだが頭の中がぼんやりする感覚があった。指向性はあるのかもしれないがあまり何度も見ていると自分でも分からない内に混乱に巻き込まれそうだ。

 

「近づいていけ! 目を開いたらあやしいひかりを撃て!」

 

「下がれ、壁を使え」

 

 ユカイが距離を詰めればギャロップはその分下がる。ギャロップの背後に壁が迫ればその壁や天井を利用して飛び回る所為で中々距離が詰まらない。合間にあやしいひかりを使っているので相手に攻勢に移るタイミングを渡すことなく一方的に攻めてはいるがこのままでは延々追いかけっこが続いてしまう。

 

 普段ならそれでもいいがあやしいひかりを何度か直視したからか頭がぼんやりする。適当なところで技を撃とうと思っていたが回避されて攻勢を渡すくらいならと確実に相手の手を止められるあやしいひかりを使ってしまった。

 出来るだけ見ない様にしようとは思っていたが戦闘から目を離すことも出来ず、何度か目を避け損ねた結果だ。上手く頭が働かないどころか少し頭痛も感じる。このまま追いかけっこを続けたらポケモンより先に自分がダウンしかねない。

 

「戻れ! ユカイ! ドザエモン! お前は自由だ!」

 

 見切りをつけてユカイをボールに戻し、ドザエモンに交代する。交代のタイミングで攻撃が飛んでくるかと思ったが、ギャロップはカツラの所まで下がって傷薬を吹きかけられている。戦闘中に傷薬なんかどう使えばいいかと思っていたがこういうタイミングで使うらしい。

 

「いけ! ドザエモン! 捕まえろ!」

 

「ふふふ、熱くなってるな。下がれギャロップ」

 

 ドザエモンが距離を詰めるがギャロップはユカイを相手にしていた時と同様に距離を取る。

 ユカイよりも鈍重なドザエモンを出せば相手の方から攻めてくるかと思ったが、どうやら自分から攻めるつもりはないらしい。何を狙っているか知らないが攻撃もせずに逃げ回ってるだけでは勝てない事を教えてやる。

 

「逃がすな! 追え!」

 

「壁を上手く使うんだ。翻弄しろ」

 

 相も変わらずドザエモンから距離を取ろうとするギャロップが壁に後ろ足を掛け天井に向けて飛ぶ。ここまで上手い事翻弄されておいてなんだがレパートリーが少なすぎる。ポケモンを変えたことで今のやり方が通用しなくなるという発想はないのだろうか。

 

「ストーンエッジ! 天井ぶち抜く気でいけ!」

 

「! 壁を蹴って下がるんだ」

 

 ドザエモンが地面を踏みしめれば壁を蹴ったギャロップの目の前に岩の壁が出現する。そのまま大人しくぶつかっておけばいいものを前足で出現した壁を蹴って躱された。しかしこれでギャロップは壁と岩の壁に挟まれた状態。自慢の脚を使うスペースはない。

 

「かいりき! 押し込んで潰せ!」

 

「いかん! とっしんで壁を壊せ!」

 

 かいりきで押し込むことでストーンエッジで生み出した岩の根元が崩れ、天井まで伸びる壁はそのままギャロップを圧殺する武器となる。カツラも回避は困難と見て岩を破壊するように指示を出すが、迫っている岩はレベル100のポケモンの技で生まれたもの。レベル60程度のポケモンの、しかもタイプ相性の悪いノーマル技で破壊できる程軟ではない。

 壁に立ち向かったギャロップは抵抗むなしく迫りくる岩に弾き飛ばされ無防備な状態のまま壁との間に挟まれる。

 

「岩持ったまま下がれ!」

 

「ギャロップ!」

 

 ドザエモンが岩を持ったまま下がってみれば、ギャロップは足をぷるぷると震わせながらも立ち上がろうとしている。

 岩で挟み込んだだけなので戦闘不能になるかは分からなかったがなんとか耐えたらしい。まだ戦うというならもう一、二回岩で挟んでもいいがやりすぎも怖いのでカツラに確認を取る。

 

「カツラさん! まだ戦わせるならもう一発挟みますがどうですか!」

 

「戻れギャロップ!」

 

 こちらの質問に返事を返す前にカツラはギャロップをボールに戻す。

 追撃可能な状況で敢えて見逃したのだから戦闘不能扱いだとは思うがルール的にはまだ交代と言えないこともない。カツラがそんな不義理な事をするとも思えないが一応確認だけはしておかなければならない。

 

「無駄に傷つけたくないのであそこで止めましたけどギャロップは戦闘不能扱いでいいですか?」

 

「ああ、勿論だ。気を使わせて悪かった」

 

 カツラからは予想通りの答えが返ってくる。

 これで交代だと言い張る様ならこれから出てくるポケモンは完全に粒子が出なくなるまでぐちゃぐちゃにしなければならなかった。素直に負けを認めてくれるならこちらとしてもありがたい。

 

 そしてあやしいひかりの効果が未だに消えていないのが辛い。今のところ行動に異常は出てないが頭痛が酷くなってきているし、頭の中がぼんやりする症状も残っている。そして僅かではあるが吐き気もしてきた。もしこのまま症状が治らないならバトルの後に時間を貰って一度ボールに入るか、なんでもなおしを使ってみた方がいいかもしれない。

 

「ギャロップの事には感謝するが勝負は別だ! ここからが本番だぞ挑戦者よ!」

 

 カツラが勝手に盛り上がってヒートアップしているが微妙に頭に入ってこない。マジで頭が痛い。戦闘をしている間は気にせずに済んだが、中途半端に戦闘を止めたせいで意識がそちらに向いてしまった。もうさっさと終わらせて回復したい。

 

「出番だブーバーン!」

 

 カツラの出した最後の一体はブーバーン。どんな手段を使ってくるかは分からないがギャロップの様に素早い動きで翻弄するような戦い方には向いていない。力勝負ならタイプ的にもレベル的にも負ける要素はない。

 

「ロックブラスト! とにかく数を撃て!」

 

「躱してほのおのうず」

 

 足を止めてロックブラストを放つドザエモンに向けてブーバーンの両手から炎が放たれる。放たれた炎はドザエモンを左右から包み炎の竜巻を作り上げ、その姿を隠す。竜巻からは岩が断続的に放たれブーバーンを襲っているが尽く躱されている。

 ほのおのうずに巻き込まれて継続的なダメージは受けるかもしれないがタイプ的に効果はいまひとつ、おまけにダメージの大きい技でもない。むしろ相手が余計な手出しをしない分プラスと見てもいい。

 

 このまま戦っても相手に決定打が無い以上負けることは無いが、今回は駄目だ。ほのおのうずの熱さを感じる余裕もないくらいに頭痛が酷くなってきている。あまり時間を掛けることは出来そうにない。

 

「ふふふ、熱くなってきたな! 誠君!」

 

 カツラが何か言っているがもうそんなことはどうでもいい。とにかく早く倒す。

 

「どうした? 顔色が悪いが熱にでも当てられたかな?」

 

 心配するようなセリフとは裏腹に挑発するような態度でカツラから声が掛かる。何か言葉を返した方が良いのだろうが、頭が働かず上手く言葉が選べない。

 

「慣れてないときついだろう?」

 

「ストーンエッジ! かいりきで潰せ!」

 

「おっと、いわくだきだブーバーン」

 

 ストーンエッジで作った壁を倒して圧し潰そうとしたが、ブーバーンが拳で岩を砕いたことであっさり阻止される。

 加速度的に頭痛が酷くなってきて、本気で中断を申し込みたくなるほどに調子が悪い。頭が痛くて考えることが出来ない。吐き気だけでなく耳鳴りもしてきた。

 

「もう一度だ!」

 

「無駄だ! いわくだき!」

 

 続けてもう一度岩の壁を倒すが同じ様にいわくだきで破壊される。

 

「もう一回!」

 

「いわくだき!」

 

 再度岩を倒しても結果は同じ。ブーバーンにダメージは与えられない。

 

「もう一回だ!」

 

「何度やっても無駄だ!」

 

 カツラの言葉通り、何度岩を倒してもブーバーンに破壊される。確かにダメージを与える事を目的とすれば全く意味のない行為だが、生憎と目的は別。ブーバーンのいわくだきでは倒れてくる壁に体より少し大きい穴を開ける程度の破壊しかできない。四度に亘って倒した岩の壁の残骸はブーバーンを取り囲むように残っており、その高さは既に胴の位置にまで達している。

 

「(最善を言えば、もう一、二回同じ事をしたいところだが、これ以上やると相手も何らかのアクションを起こすだろう。自分の体調を考えてもここが限度。勝負に出る)捕まえろ! 飛んだらいわおとしで撃ち落とせ!」

 

「焦っても良い結果は出ないぞ! 飛べ!」

 

 ブーバーンは移動しようと飛び跳ねるがその高さは二メートル程度。ギャロップの様に天井や壁を利用して飛び回る事の出来る位置ではない。指示に従ったドザエモンが足を止めて飛んだブーバーンにいわおとしを放つ。

 

「ブーバーン! 噴射!」

 

 飛び上がったブーバーンが両腕をあらぬ方向に向けたかと思えば、両腕から炎が噴射し、その勢いで射線から外れる。平素ならそんな手がと感心したかもしれないが今は余裕がない。

 

「(ここで決めないと本格的にまずい)絶対逃がすな! ここで決めろ!」

 

「指示はきちんと出したまえよ。いわくだき!」

 

 策もなく真っ直ぐに突っ込むドザエモンにブーバーンのいわくだきが直撃する。ハードロックの特性の効果も合わさってかドザエモンは弱点属性の攻撃を受けてもビクともせず、捕獲しようと腕を振るう。しかしブーバーンはいわくだきを喰らわせた手から炎を噴射することで距離を取り、捕獲は失敗に終わる。

 

「ストーンエッジで囲え!」

 

「飛べブーバーン!」

 

 ストーンエッジで壁を作り、逃げ場を制限するも炎を噴射して頭上を飛び越えられる。一撃で大ダメージを与えられるような決め手がない以上、ヒットアンドアウェイの戦法を取るのは当然だが、このタイミングだと不快感しか沸かない。

 

「(ちょこまか逃げ回りやがって)飛んだら全力でいわおとし! 地面に降りたら全力でストーンエッジ! ステージ諸共ぶっ飛ばせ!」

 

「む! 避けるんだ!」

 

 ドザエモンはブーバーンが宙に浮けばいわおとし、地面に足が着けばその瞬間にストーンエッジとブーバーンの位置に合わせて技を乱発する。ブーバーンもそれに対応し、地上に空中にと器用に動きを切り替えながら攻撃を躱していく。

 

 しかしながら全力と指示を出したことでドザエモンの放つ技の規模は遥かに大きくなり、いわおとしならステージの半分程の範囲に岩を降らせ、ストーンエッジならステージを三分の一に該当する質量の岩を生み出す技となっている。

 どれだけ上手く立ち回ろうと逃げ場は直ぐになくなり、既にステージの半分以上がストーンエッジで生み出された岩の壁に埋め尽くされた状況。いわくだきでなら壁を破壊することが出来るかもしれないがその隙にストーンエッジが確実にブーバーンを捉える。もはや逃げ場はない。

 

「くっ! きあいパンチ!」

 

「(くっそ頭がいてぇ、体に力も入らん、何なんだマジで)捕まえろ!」

 

 逃げ場を失って攻撃に転じたブーバーンのきあいパンチがドザエモンの腹を打つ。しかしレベル差のあるドザエモンは攻撃を物ともせずブーバーンの頭を掴む。

 

「叩きつけろ!」

 

「きあいパンチだ!」

 

 カツラが捕まって身動きの取れないブーバーンにきあいパンチの指示を出すが、ドザエモンは一足早くブーバーンの体を持ち上げ地面に叩きつける。

 

「(ぶっ殺す)ぶっ潰せ! がんせ! おぇ! ぶふ、うぇほ、ごほっえほっ、うぇぐぇぇ!」

 

 折角のチャンスに声を上げたところで吐き気がピークに達した。吐き気だけが実際にものは出てきていないが指示が出せなくなる。何とか指示を出そうにも咳と吐き気が止められない。

 

「誠君!」

 

「うぇえぇええ! がん……えほっぐ、はぁ、がんせきほうぇえ! ぐっおぼぇぇぇ!」

 

 口から出てくる胃液を吐きながらも指示を出せば、ブーバーンの頭を地面に押し付けたままのドザエモンの掌から特大の岩が射出され、ブーバーンの上半身を圧し潰す。

 涙ではっきり見えないが岩の隙間から僅かながら粒子が出ているように見える。戦闘不能か分からない以上、念を入れてとどめを刺さなければならない。

 

「ぐぅ、こっ……はぁはぁ、そのまま、はぁアームハン「そこまでだ! 誠君! 私の負けだ!」……止め! えほっ」

 

 カツラが降参を宣言したので攻撃を止める。今は一刻も早くここを離れて回復しなければならない。最悪ポケモンセンターでの治療を視野に入れなければならないがそうなるとマサキのところに行くか、場所を伝えてマサキを呼び出してボールに入っておくか。どちらにせよボールに入るならマサキに連絡をしなければならない。

 

「(喉熱い、頭痛い、体だるい、なんかもうやべえ)ドザエモン! うぐぇ、ごほっごほっ、いわくだきでその岩砕け!」

 

 ドザエモンが指示通りに岩を砕くのを見て、膝を折る。立っているのも辛い。こんな事になるならもう二度とあやしいひかりは使えない。跪いた姿勢のまま呼吸を整えているとカツラが駆け寄ってくる。また日を改めるように言ってジムを出なければならない。

 

「はぁ、はっ、はっ、すいません」

 

「すまない誠君! 今空調を入れる! 少しの辛抱だ!」

 

「はぁ、おぼっ! うぇっほ、はぁ、はぁ」

 

「横になるんだ! 鼻で息を吸って口で吐いて!」

 

「あぇ?」

 

「話は後だ! 少し待ってなさい!」

 

「はぁ、はぁ、げほっ」

 

 カツラが走り去っていったのを見て、指示通りに横になって深呼吸を繰り返す。息を吸う度に頭痛が増し、口から息を吐く度に吐き気がする。仰向けよりもうつ伏せの方が楽と思い、蹲って深呼吸をする。最後の食事がいつだったか思い出せないが、胃液だけは幾らでも出てくる。口から流れ出る胃液を眺めていると足音が聞こえてきた。音のする方を見ればカツラが駆け寄ってきている。

 

「空調を入れてきた。しばらくすれば落ち着くはずだ」

 

「はい……ふぅー、すぅー、ふぅー」

 

「すまない。私の計算ミスだ。ここまでの症状が出るとは」

 

「ごほっごほっ、ぺっ……はぁ。この症状の原因を知ってるんですか?」

 

「酸欠だ。このジム内で炎タイプの技を使うと酸素が……ああ、炎と言うのは空気中の酸素というものを燃やすんだ。それが無くなると人の体に不調が出るんだが」

 

「それは知ってます。ん゛んっ! ぷっ……ふぅ、でも息苦しくなかったんで……」

 

「人が息苦しくなるのは空気中の二酸化炭素が増えた時だ。このジムは有毒ガスや二酸化炭素が充満しないように空気の排出環境は万全に整えているから息苦しさは感じない様になっているんだ」

 

「……成程……」

 

「すまなかった。いつもジム挑戦用のポケモンを使っていたから火力を見誤ってしまった。本来なら気分が悪くなる程度で済むはずだったんだが……」

 

「いえ、ちょっと待っててください。回復したら話をしましょう」

 

「ああ……そうだ、辛いかもしれないが場所を移そう。大したところじゃないがゆっくり休んでくれ」

 

「ええ、はぁ……もう少しここで休ませてください。動けるようになったら動きます」

 

「そうか。本当に悪かった」

 

「原因も分かったんで大丈夫です……多分」

 

 カツラとの会話をしている間に多少は調子が回復してきた。まだ吐き気も頭痛も残っているが先程に比べれば遥かにマシ、思考も大分戻って来た。

 

(酸欠も酷いと何らかの障害が残ると聞いたことがあるが今の所は大丈夫……まだ体に力が入らないのが怖いな。どのくらいで酸欠の症状が治るのか分からないけど三十分くらいか? 体に障害とか残ったらどうしよう。ポケモンセンターの回復で治るか? 次にマサキのところに行ったら一応ポケモンセンターに連れて行って貰うか。というか先にカツラとの話だけど全然カツラの様子見てなかった。何話すか……とりあえずジム挑戦のこのやり方についてから話すか。他のジムに比べて色々危険過ぎる。いつか事故が起きるぞ)




バトル内容については何となく書き慣れてきたけど表現が難しい。
レベル100のポケモンの技の効果範囲とかどっかに纏めてないもんだろうか。

主人公以外の視点について

  • 付けた方が分かりやすい
  • 要らないからさっさと話進めて

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