ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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13.リリルカ・アーデ

 次の日に、ルインとヘスティアはベルに呼び止められた。

 

「神様、ルイン、会って欲しい人がいます」

 

 ヘスティアは悲鳴を上げ、言葉を遮るようにベルの肩を大きく揺らす。ルインは何となく察して、ヘスティアをベルから引き離す。

 

「ル、ルイン、ありがとう。神様、僕の仲間を紹介したいんです」

 

「な、仲間?そ、そうだよね!それなら早く言ってくれれば良いのに」

 

 ホームでは手狭だったので待ち合わせ場所をカフェのテラス席に決め、ベルは迎えに、ルインはヘスティアと共に先に向かうことになった。

 テーブルに着き、少しするとベルが少女を連れてやって来る。ヘスティアはその姿を見て、一気に機嫌が悪くなっていく。

 

「そうだ!飲み物を買って来ますね。ベル、悪いけど手伝って」

 

 ルインは、慌ててベルを引き連れて飲み物を買いに行くことにした。

 買い終わり、恐る恐るテーブルに戻っていくと険悪な空気は変わりなかった。

 

「ボクは、悪いけど君のことが嫌いだ。ベル君に付き纏って欲しくない」

 

 初めにヘスティアが話始めてから、話は進んでいった。リリの覚悟を聞き、ヘスティアは許す。ヘスティアはどうやらベルから事情を聞いていたらしく、ルインは二人の話から何があったのか知ることができた。と言っても、説明しようとしたベルに、違うパーティだからいう必要はないと断っていたのはルインだが。

 最終的にベルの腕に抱きついて取り合いをしている二人を見て、微笑んでしまう。

 

「ルインはどうかな?僕とリリがパーティを組むこと」

 

「パーティを組むのはベルだから、ベルが決めたなら何もいうことないよ」

 

「まだ、一緒に組んでくれないの?」

 

「足を引っ張るからね。リリルカさんのように同じ種族でも経験が違うから役に立てないよ」

 

「ルイン様、リリの事は呼び捨てで」

 

「同族の年上を呼び捨てなんて出来ないよ。サポーターと冒険者の関係なんて分からないし」

 

「ルイン、リリが小人族って知っていたの?それに年上って?」

 

「ベル様は気にしないでください。なぜ、リリが小人族とわかったのですか?お会いした時は犬人の姿でしたが」

 

「うーん。同族だからとしか言えないかな。例えばベルからしたら、ヒューマンの子どもと小人族の大人は見分けがつきにくいと思うけど、僕達にそんな事はないんだよ。いくら、変装してても見間違いはしないさ」

 

 ベルはその説明に納得し、リリは今まで小人族のサポーターについたことがなかった為、その事に気付けていなかったので驚く。しかし、リリの魔法は姿そのものを変える為、本来は気付けるはずがない。ルインは、リリの体の動かし方も含めて小人族と気付けていたので、心配は必要ないのだが。

 その後は、リリの今後について相談がされた。それが終えると、ベルはギルドへ、ヘスティアはバイトへ向かって行った。

 

「そう言えばリリルカさん。もう大丈夫そうだから、これ返すね」

 

 二人残され、リリも帰ろうとしたところにルインから袋が渡された。一度会っただけ、その時に物の貸し借りなどなかったと、不思議に思いながら袋を受け取り、中身を確認する。

 

「なっ」

 

 袋の中身は、あの時奪われたものだった。

 

「何を盗られたのかわからなかったから全部じゃないと思うけど、無いよりは良いかなと思って」

 

「これをどこで手に入れたんですか?」

 

「ダンジョンでたまたま自慢していた人に出会ったから、返して貰ったんだよ」

 

 ありえない。

 

 リリは、カヌゥ達が事情を話されたとしても返さないと断定出来る。なら、奪うしかないが、前回ダンジョンで見たルインの動きから勝てるはずがない。ベルのように驚異的な成長をしていても、Lv.1とはいえベテラン冒険者を複数相手して無事なはずがない。

 

「ちなみに何階層で出会ったのですか?」

 

「五階層だよ。初めてソロで五階層まで行けたんだけど、運が良かったのかな」

 

 リリの中では、ルインもベルと同様に人の良い分類に入っている。人を騙したりする事は苦手だと思う。自分の見たイメージと、聞いている話との違いに、気味が悪くなる。すぐに離れなければと頭の中で警音が鳴り響き、取り返してくれたお礼を述べ、逃げるように帰る事にした。

 

 その日の夜、バベルの塔の最上階にてとある美の女神が、眷族を一人側に控えさせ、優雅にお茶を飲んでいた。

 

「オッタル、あの子がまた強くなったわ。魔法を一つ手に入れただけで、ここまで輝きを強くしてくれるなんて。でも、少し魂に淀みがあるの。何かわかるかしら」

 

「はっ、おそらく因縁かと。以前お聞きしたその者とミノタウロスの因縁……。それが棘となり淀みを作っているのでしょう」

 

 美の女神にしか見えていない少年の姿。しかし、冒険者の高みに至ったオッタルには彼女の懸念していることの理由や解決方法が理解できていた。

 

「オッタル、今度のあの子への働きかけは、貴方に任せるわ」

 

「どういった風の吹き回しで?」

 

「だって、あの子について貴方の方が理解しているもの。……嫉妬してしまうぐらい」

 

「かしこまりました。……それで、もう一人の方はいかがしましょうか?」

 

「もう一人?ああ、あの子はもういいわ」

 

「よろしいので?」

 

「輝きは変わらず綺麗よ、今のところは。だけど、あれはそう、染みが出来てしまったの。よく見なければわからないぐらいの染み。だけど、確かに濃くなっている。ヘスティアは信頼しているから、あの子で無理なら……いえ、この話は終わり。邪魔なようなら消してしまっていいわ」

 

「かしこまりました。全ては女神の御心のままに」

 

 オッタルは一礼し、部屋から退出する。全ては女神の願いを叶えるために。




ヘスティアはベル大好きは変わりません。ルインは目に入れても痛くない弟ポジです。

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