ヘスティアは、翌朝になっても帰ってこない眷族を心配していた。
ルインはタケミカヅチのところと一緒にいるはずだから心配はいらない。ベルに限っては普段なら帰っている時間を過ぎている。
ギルドへ向かいベルの捜索依頼を受けてもらう。無事受理されたが時間的にも翌日になる可能性が高いことを伝えられる。それでも、少ない可能性を掴めるのならと冒険者依頼として無理を通した。
「ヘスティア、話を聞いて貰えるだろうか」
無事に受理し終えた時に神友のタケミカヅチが声を掛けてきた。
「俺の眷族からの話だ。中層で危険な状況になり、ルインを殿にして撤退した。ルインはまだ中層に一人でいる。必ず救い出す、それを伝えに来た」
ヘスティアは、ルインへの心配はさほどしていなかった。それは、タケミカヅチのところに任せているからだ。それが前提から違うなら話が変わる。提出した冒険者依頼の変更を行おうとする。
「やあ、ヘスティア。久しぶりだね」
「ヘルメス、どうしてここに?」
「冒険者依頼を見た。困っているんだろう?神友の悩みだ手助けしようと思ってね」
ヘルメスとは現界してから面識もなかったが、背に腹も変えられない。助力を願い、受け入れることにした。その際に、ヘルメス自身もダンジョンに潜ることを聞き、ヘスティアもそれに合わせて潜ることにした。
ヘルメスも流石に誤算だった為、元上級冒険者に助力を願い救出隊を結成することが出来た。
「アスフィと助っ人君に聞くよ。君達なら同じ状況になったらどうする?」
「彼らなら必ず十八階層にむかいます。一度でも冒険を為し得た者なら必ずそうする」
ヘルメスが連れてきたエルフの冒険者は端的に意見を述べる。ヘルメスファミリア団長のアスフィもその意見に異論がない様なので、救出隊の方針は決まった。
最短ルートを使い、十八階層を目指すことに決まった。
ヘスティア達は問題無く進むことが出来ていた。その中で、ヘルメスから依頼を受け参加することになったリュー・リオンは現れるモンスターを倒しながら、周りを見渡していく。依頼されたベルの捜索の為手掛かりがないか見ているが、上層では痕跡はなかった。やはり、予想通り十八階層へ向かった可能性が高い。しかし、同行しているタケミカヅチファミリアの三人はベルと違う人物を捜索している様に感じる。確認するため、声を掛けようとするがヘルメスに止められる。
「ダメだよ、リューちゃん。俺達が受けた冒険者依頼はベル君の捜索。それを彼らの思惑で、疎かにするのは良くない」
リューは、その言葉を受け確認を止める。親友の頼みを無碍にすることはしてはならない。どちらにせよ十八階層へ行けば、彼らも何かしらの手掛かりが掴めるだろう。
リューとアスフィは、十四階層に到着した時に違和感を感じるた。
「あれ?さっきまでひっきりなしでモンスターが出てきたのにここはかなり少ないね」
「おそらく別のパーティがかなりの量のモンスターを倒しているのではないかと。これなら、時間をかけずに降りることができます」
ヘスティアの疑問に、アスフィが端的に答え、油断をしない様に進むスピードを速める。走りながらも、リューは痕跡を探していく。途中、別の通路から剣撃の音が聞こえた。目線を向けるとモンスターが斬られていく。先程話していた冒険者だろう。進行方向とは違う場所だったので、心内でモンスターを引き付けてくれていることへ感謝を告げ、足を進めた。
ベル達は、十八階層への危険な綱渡りを渡り切ることに成功した。目覚めた時、ロキファミリアのテントにいたことは驚いたが、仲間の無事を確認できて一安心する。助けてくれたアイズに先導され団長の元へ案内される。
「この度は、助けて頂いてありがとうございます」
「そこまでかしこまらなくていいよ。こういった状況だ。派閥関係なく助け合っても問題ないだろう?」
ベルは初めて出会うロキファミリアの首脳陣に思わず緊張していた。フィンによりある程度の自由を、約束され安堵の息を吐く。
ロキファミリアからかなり良くして貰いながらリリやヴェルフの治療も進めてもらい、目覚めた時にベルは安堵した。
全員が目覚めたことで、ロキファミリアも歓迎してくれたのか、夜遅くであったが歓迎会を開いてくれた。遠征途中でのミノタウロス戦を見てくれた者が、ベルへの集まり揉みくちゃにされたが、宴として楽しいものだった。
「うわぁーー!」
ベルにとって聞き覚えのある声が聞こえた。周りを思わず振り切り声の元へ向かう。
「神様!?どうしてここに?」
聞こえた声は、やはりヘスティアのものだった。あの時すれ違った冒険者と見覚えのない人達を連れてヘスティアがベルの前に立っていた。
ベルの無事を確認でき、思わず泣きながら抱きついていく。周りの目線から居た堪れなくなり、リリによってヘスティアが離されていく。
「ベル君が無事で良かったよ!ルイン君の姿が見えないけど隠さずに安心させてくれよ」
その言葉にベルは思い出す。何故、窮地になったのかを。思わず見渡すが、ルインの姿は見つからない。
「ヘスティア様、ルイン殿はこの中にはいません。もしかしたら、まだダンジョンに」
ヘスティアの連れていた女性の一人が思い出すように声を上げた。ヘスティアは周りを見渡し、顔色を悪くしていく。
「ヘスティア様、フィンが、団長が呼んでます」
唯一面識のあったアイズが、言葉をかける。ルイン救出の為、少しの可能性があるならとヘスティアは足を進めた。
ルインの存在もあり、原作よりもロキファミリアの団員はヘスティアファミリアに友好的です。
ベルのアイズ親衛隊の方からの当たりは変わりませんが。