ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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18.十八階層

 

「状況は理解した。申し訳ないが、ファミリアを動かすことはできない」

 

 ヘスティアは、ルインの友人ならきっと力になってくれると願っていたが、現実は非情だった。

 

「現在、こちらのファミリアも負傷者が多くてね。上に立つ者として無理をさせることができない。数日待ってくれたら直ぐにゴライアスを討伐し捜索の援助も約束する」

 

「それだと、間に合わないじゃないか」

 

「……神ヘスティア、ルインの恩恵はまだ消えていない。それは間違いないかな?」

 

「そうだよ!だからこそ早く助けに行かないと」

 

「中層は、Lv.1の冒険者が一人で立ち回れる程、甘い場所ではない。まだ生きているなら、他のパーティに拾われて地上に送られた可能性の方が高い。楽観的に思うかもしれないけど中層とはそういうところなんだ」

 

 重々しく告げるフィンの様子から、ヘスティアはフィンも耐えていることを察する。選べない選択を与えていることを理解した。

 

「すぐに動けない代わりではないけど、ここでの滞在は僕達に任せてくれて欲しい」

 

 ヘスティアは、提案を受け取り礼を述べてテントを出る。

 

「ヘスティア様!どうでしたか?協力していただけるのですか?」

 

「わわわっ!落ち着いてくれよ、命君」

 

 ヘスティアが出てきた瞬間、命が肩を掴み問い詰める。ヘスティアはなんとか落ち着かせ、フィンとの話を説明するが、タケミカヅチファミリアの面々は納得できていなかった。

 

「無理して怪我でもしたら、地上でルイン君に会った時に心配させてしまうよ。今は可能性の高い方を信じよう!」

 

 本当は、今からでもダンジョンに向かいたかったが、命達に無理をさせたくなく、自分にも言い聞かせる様に話す。ルインの生存は恩恵を通じてわかっている。なら、周りに心配かけない様にいつも通り振る舞うしかできない。まずは、ベルにも説明して落ち着かせなければと、借り与えられたテントを目指して歩き出した。

 

「本当ですか、神様!?ルインは無事なんですね!?」

 

「そうだよ!ロキファミリアの団長が言ったんだ。ベテラン冒険者が断言したんだ。間違いないね!」

 

 今にも飛び出しそうだったベルをリリやヴェルフが押さえていたが、ヘスティアの言葉で脱力していく。リリも安堵して、ベルと共に喜びを分かち合っている。

 

「しかし、ベルのとこのもう一人が噂の【鍛冶師殺し】だったとは」

 

「ルインってそんな呼ばれ方してるの?」

 

「ああ、椿のやつ、うちの団長のお気に入りなんだが、どんな鈍でも一端の剣の様に使えてしまうらしい。そんな奴に会ってしまえば大体の鍛冶師が勘違いするだろ?だから鍛冶師殺し。そうか、意外と身近にいるもんだな」

 

「そうなんだ。そんな呼ばれ方してるなら僕みたいに専属契約は難しいよね」

 

「いや、別に悪い意味でもないんだ。剣の整備や扱いも丁寧で、驕らない鍛冶師からしたら、ぜひ出逢いたい人物なんだ。だが、椿が既に唾を付けているからな。ランクアップでもしたらすぐに決まるんじゃないか」

 

 ベルは、唯一の同じ眷族が褒められていることが嬉しかった。ヘスティアも少し鼻が高くなる。知っていたなら会いたかったとボヤくヴェルフに無事に戻った時に紹介することを約束して、回復に専念するため休むことにした。

 

 翌日は、ヘルメスに唆されたベルが女性陣の水浴びに突入するなど事件は起きていたが、ベートが解毒薬を持ってくることができ、明日に帰還できることとなった。帰還予定日当日、ベル達の合流を待っているが、なかなか姿を現さない。朝食の時に何も聞いていないため不思議に思っていると、ヘルメスが一人近づいてきた。

 

「やあ、ロキファミリアの諸君。折角、同行の許可を貰っていたけど、ベル君達に急用が入ってね。俺達のことは気にせず、先に戻ってくれないかな?何、ゴライアスを倒してくれたら問題なく戻ることが出来るから、心配いらない。いやぁ、本当に申し訳ない」

 

 胡散臭い笑顔で謝るヘルメスに、フィンは何か思惑を疑うが、目の前の神は容易に悟らせることはないだろう。神を二人ダンジョンに残すことに少し不安を覚えるが、団員達のことを考えると了承するしかなかった。

 

「総員、準備は出来ているか!?ゴライアスを撃破でき次第、これより地上へ帰還する!」

 

 フィンは、団員達の前に立ち号令をかける。団員達もそれに応え、今回の遠征の終わりを感じていた。

 

「フィン、後は帰還するだけだが、親指を気にしているなら何かあるのか?」

 

「ああ、神ヘスティアと話をしていた時から少し疼いているんだ。今回の遠征は予定外が多すぎるみたいだ」

 

 周りに要らぬ心配をかけない様にリヴェリアはフィンに尋ねるが、明確な回答はない。その後、十七階層に上がるが、問題なく撃破する。油断を決して許さず一つずつ階層を上がっていった。

 

 十四階層に到着し、周りを警戒しながら慎重に進んでいく。道中死んでいるモンスターが多く、不思議に思いながらも警戒を解かなかった。一匹のオークが前方にいることを確認した時に、指示を出そうとしたが、声を出す前に灰となった。

 

「ああ、疼いていた理由がわかったよ。神ヘスティアになんて詫びよう。これは、何があっても自分が許せない」




ヘスティア誘拐イベントは行われています。タケミカヅチファミリアはヘスティアのために残ります。
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