ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

31 / 42
31.改宗

 

 戦争遊戯への準備を始める。とは言ってもベルもルインも具体的な方法は思いつかなかった。長く見ても一週間で自身を強化することはかなり難しく、無難に思いついたタケミカヅチファミリアでの稽古を依頼するかどうか迷ってしまう。二人で考えるがいい方法が思い浮かばず、それぞれの判断で動くことにした。

 

 ベルは、無理だと分かりながらもロキファミリアに向かっていた。アイズとの面会を求めるが、門番達も他派閥とのいざこざを知っているようで当然断られる。それでも、本人から断られない限り諦める訳にはいかない為、何度も食い下がる。初めは丁寧に接していた門番達もそうなっては力尽くでいくしかなく、平行線を辿っていた。

 

「何をしてるの?」

 

 その様子に見かねたのか幹部であるティオネが声を掛ける。門番から事情を聞いたティオネはベルの胸ぐらを掴み脅すように突き放す。ただ、ベルにだけ聞こえる声で行くべき場所を伝える。ベルは意図を察して頭を下げてからそこに向かうことにした。

 

「団長と……ルインに感謝しなさい」

 

 最後に聞こえた言葉が耳に残ったが、それに応える為にも目的を達成しなければならない。ベルは進むスピードを上げて一秒も無駄にしないように向かっていく。

 

 ルインは、ベルと別れてからも行き先を悩んでいた。一瞬ロキファミリアを思いついたが、派閥の問題に巻き込むことなんて出来なかった。一先ずは、ホームが破壊されたことにより失った装備を手に入れる為にヘファイストスファミリアに向かうしかなかった。持ち金もあまりないので、借金を頼むところから始めなければならないが。

 

 すぐにどこかへ向かったベルと違って未だにどうするか決めていない自分を情けなく思いながら進むしかない。すれ違う人達が、心配して声を掛けてくれたのが、僅かにルインの心を楽にしてくれていた。

 

「ここなら、誰の目もありませんが……。何か用ですか?」

 

 ルインは、ある目線に気付いた。人気のない道を進んでいき、誰もいないことを確認してから声を掛ける。

 

「……最低限は持っているようだ」

 

「えっと、ご存知だと思いますが、あまり時間はなくて」

 

「ついて来い」

 

 ルインの質問に答えるつもりがないのか、男は黙って進み始める。ローブを纏って容姿は全くわからないが、ルインには目処が付いていた。

 必ず、強くなれる。ルインは目の前に現れたクモの糸をただ掴むしかなかった。

 

 ついて行った先は、ダンジョンの八階層の隅にあるルームだった。滅多に人が来ないと思える場所に到着すると、ルインが普段使っているモノに近い剣を投げ渡される。ルインはそれを受け取り、相手の意図を理解して戦闘態勢に移る。

 

「まさか、貴方と手合わせ頂けるとは思いもしませんでした。今の状況ではなければ、自慢して回っていましたが」

 

「御託はいい。全ては女神の御意志によるものだ」

 

 男はローブを脱ぎ去り、大剣を構える。オラリオ最強の【猛者】と戦えることに、体が震える。周りに目線を向けると、同じ様にローブを纏った者が通路を見張っている。邪魔が入る心配がないと判断し、ヘスティアの心配を減らす為にもオッタルの技術を一つでも吸収しなければならない。誰の合図もなく、二人は剣撃を放った。

 

 三日ほど経った頃、ヘスティアは仮病を使い神会を長引かせていた。それを行うのも、リリの救出はファミリアの存続に必要なことだったからだ。ベルやルインの力を借りない以上、タケミカヅチとミアハのところを頼ることになった。思うことがあるのか、ヴェルフも個人的に強力してくれることになりリリの救出作戦についてまとまっていった。

 

 ヘスティアは、その日に行われる神会に向かった。戦争遊戯の内容について固める為だ。盛り上がりを減らさない様に、ロキもそれとなくフォローをしてくれるが、最終的にくじ引きで決めることになる。

 くじを引いたのは、お互いの神友ということでヘルメスが担う。結果は攻城戦。人数的不利のヘスティアが攻め側を行うことになり、ヘルメスの提案で助っ人を一人認めることとなった。ただ、オラリオ外のファミリアに限るが。

 助っ人に関してはヘルメスが手配すると提案がされる。ヘスティアとしては信用することは出来ないが、背に腹もかえられないため頼むことにした。

 

 ヘスティアは神会を後にすると、そのままリリが幽閉されていると思うソーマファミリアの酒蔵を目指していた。

 

「神ヘスティア。同行の許可を願いたい」

 

「いいのかい?君のファミリアに迷惑にならないかい?」

 

「直接手助けが出来ないことが、何よりも悔しい。もし、ファミリアに迷惑がいくようなら力尽くで潰してみせるよ。それぐらいの力はあるつもりだからね」

 

「君がいてくれたら百人力だよ。ルイン君の為に危ない橋を渡らせてごめんよ」

 

 ローブを深く被る小人族を連れてヘスティアは目的地まで進んで行った。目的地に着くとタケミカヅチファミリアとヴェルフが合流する。ヘスティアの連れていた人物に一瞬驚くが、この場にいる意味を察する。

 ヘスティアが、酒蔵に足を踏み入れるとソーマファミリアの陣営が向かってくる。しかし、ヘスティアの連れた小人族により一瞬で鎮圧され、歩みを止めることは出来なかった。横から妨げようとする者達はタケミカヅチファミリアが相手をし、ヘスティアはただ前に進んでいく。

 リリも外の様子に気付き、チャンドラの助けもあり抜け出すことは出来ていたが、小窓からヘスティアへ止めるように願う。

 

「サポーター君、君の力が必要なんだ!ベル君とルイン君の為に力を貸して欲しい!」

 

 ヘスティアの想いを聞いてしまい、何かを考える前にソーマのところへ向かってしまう。争いを止める代わりに渡された神酒を飲み干しても、自分の願いを伝え争いを止めることができた。

 

 ソーマの部屋に辿り着いたヘスティアは、ソーマにリリの改宗を願う。ソーマも思うところがあったのか、それを受け入れるが、団長のザニスが待ったをかけた。しかし、話始める前に小人族の同行者に制圧される。

 

「おっと、君は話すことさえ許さないよ。君のしたことは把握している。それに、僕の友人と同胞を食い物にしたんだ。当然の報いだろう?」

 

 向けられた槍を目にして抵抗することも出来ずに、ザニスは力なく項垂れることしか出来なかった。

 

 ソーマとヘスティアによりリリの改宗は行われた。ヘスティアはソーマへ眷族への対応を軽く叱り付けるが、それ以上は語らなかった。無事にリリを救出できたことで、手助けしてくれた小人族は安堵を溢して去っていった。その後、ヴェルフと命が改宗を願いヘスティアは少し混乱してしまう。ヴェルフはベルを救う為に、命はルインへの借りを返す為に。

 ヘスティアは二人の偽りのない言葉を受けて、それを受け入れた。タケミカヅチと相談して命に関しては一年限定だが、その決意に感謝を抑えることは出来なかった。

 




助っ人の登場でリリの救出もスピード解決です。金も請求される前に制圧していますので、ヘスティアナイフを担保にすることもありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。