ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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33.助っ人依頼

 

 ルインは合流場所に向かう前に、ヘファイストスファミリアに来ていた。オッタルとの訓練で忘れていが、装備を無くしていた。お金も無いので貸してもらうことになるのが、情けなくなる。無理を言っているのを理解しながらヘファイストスに会い、頭を下げる。

 

「お金ならあるじゃない」

 

「えっ?」

 

「ヘスティアから天引きしてる分よ。返済出来ていても内緒にする約束でしょう?だから今までのは私が預かってたのよ」

 

「でも、それはヘスティア様のお金で」

 

「私から見れば借金の相手が変わっただけなの。それでも納得できないなら、戦争遊戯に勝つことがヘスティアのためよ。貴方は素手で勝てるの?」

 

 ヘスティアの為と言われてしまい、ルインはヘファイストスの案に乗るしかなかった。その様子を見て、ヘファイストスは安心する。初めから準備していた小人族用の軽鎧をルインに手渡す。

 

「貴方の専属希望の子が打ったものよ。剣は直接渡したいみたい。……椿!いるんでしょう?」

 

 ヘファイストスの呼び声を受けると、扉が開く。

 

「ルイン、ようやく来たか。手前は待ちくたびれたぞ」

 

 ノックもせずに悪びれた様子もない、一本の剣を持った椿が現れる。手渡された剣を受け取ると、椿に促されて鞘から抜き、何度か素振りをする。初めてとは思えない程に手に馴染む。不思議な感覚に、ルインは剣を眺めてしまう。

 

「本来なら、それよりも上の素材で作るつもりだったのだが、主神殿に止められてな。しかし、予算内で最高の物を打った。お前の力を見せてもらうのが楽しみだ」

 

 オラリオ一の鍛治士からの餞別にいくら感謝しても足りないが、ルインは装備を身につける。自分を助けてくれる人の為にも勝たなければならない。改めて、ルインは決意して、ヘスティア達のもとへ向かって行った。

 

 ヘルメスは、神会を終えた後に情報の精査を行っていた。目星をつけた豊饒の女主人に訪れていた。オラリオ外の派閥の冒険者にヘスティアファミリアの助っ人を頼まなければならないからだ。準備中であることを確認してから店に入る。

 

「忙しいところすまない。リューちゃんと、クロエちゃんはいるかな?」

 

「また、ヘルメス様ニャ。今は忙しいから、後にするニャ」

 

 鬱陶しそうにアーニャは断るが、ヘルメスはミアに代金を払うことを条件に二人を借りることにした。アーニャやルノアから抗議が起こるが、ミアの一声で素直に準備に戻っていった。

 

「それで、私達を呼んだのはどういった理由で?」

 

「どちらかにベル君のファミリアの助っ人を頼みたい」

 

「戦争遊戯の話は聞いていますが、何故私達に?」

 

 ヘルメスは、二人に助っ人の条件を説明する。それを聞いて納得はするが、難色を示す。ヘルメスとしては、予想通りの反応ではあるが、頼みの綱にしようとしていたシルが不在だったのは計算外だった。

 

「悪い話ではないと思ったんだが……。例えば、クロエちゃんが最近興味を持ったあの少年と仲良くなれるチャンスにもなるしね」

 

「はっ、そうニャ!あの完璧な少年との出会いと考えると……。だけど、戦争遊戯は面倒だし……」

 

 クロエは、ぶつぶつと悩み出す。

 

「実は、リューちゃんが即答してくれてもヘスティアのところが了承しない可能性もあるからね。クロエちゃんが良ければお願いしたい」

 

「なぜ、私だと断られると?」

 

 ヘルメスは、リューの質問を受けて内心ほくそ笑む。

 

「それは、リューちゃんは俺の仲間だと思われているからだよ。俺は、ヘスティア達から警戒されていてね」

 

「言っている意味がわかりません」

 

「ベル君を助けに行った時に、十四階層でモンスターを引き付けてくれていた冒険者を覚えているかい?実はね、彼もヘスティアが捜索していたベル君の仲間だったんだ」

 

「なっ、見せてもらった依頼書にはクラネルさんの救出としか書かれていなかったはずです」

 

「俺が修正される前に受けたからね。それに、せっかく辛いことを忘れていたのに、思い出す原因を作ってしまったのも理由の一つかな」

 

 リューは、ルインが店に来た時を思い出す。そして、去り際の言葉も。ベルを優先にして見殺しにした神とその仲間。さらに、それを行ったのにも関わらず傷口を平気にえぐる傲慢なエルフ。

 知らなかったとはいえ、彼らにはそう見えてしまっても仕方がない。だからこそ、自身が一番嫌う行いをさせたヘルメスへ殺気を向ける。

 

「おいおい、そんなに怖い目で睨まないでくれよ。俺も悪いと思っているんだ。だから、もう一度機会を持ってきたんだ」

 

 リューは、その言葉に思わず手が出そうになる。だが、なんとか思い留まることができた。今、しなければならないのは、彼らへの謝罪だ。冷静さを無理矢理取り戻してから、ヘルメスの提案を了承する。

 

 ヘルメスは、思い通りの返事をもらい、ミアの了承を取ってからリューを連れて店を出ていった。

 

「ミャー!決めたニャ!ヘルメス様、助っ人の話引き受けたニャ!……ニャ?」

 

 クロエは周りを見渡すが、ヘルメスとリューの姿はなかった。状況が飲み込めず、アーニャ達に聞くが面倒臭そうに、帰ったことを聞かされる。

 あまりのショックで膝から崩れ落ちるが、サボっていると判断したミアのゲンコツによりそのまま床に伏せてしまった。

 

「アホニャ」

 

「アホだね」

 

 アーニャとルノアはリューが居なくなったため、先程以上の忙しさに追われながら、犠牲になった同僚へ同情した。

 

 




原作と違いシルが不在。本人の意思は関係なくリューの立ち位置が悪い為、クロエにも声を掛けています。
間接的に仲間を見捨てる行いの手伝いをしてしまったリューは、ヘルメスの提案を受け入れる以外の選択肢は残っていません。
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