ヘスティアファミリアで頑張ります!   作:プラス九

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38.待機組

 

 翌日、ルインは命とヴェルフでダンジョンに向かっていた。ベルとリリはミアハファミリアから冒険者依頼を受けたようでヘスティアと共にオラリオの外に向かった。

 ルインは以前から聞いていた、ナァーザの新薬開発と思い協力を申し出たが、ナァーザから断られた。おおよその内容を聞いていた為、二日ほど掛かると予想している。その間の収入とレベルアップしたばかりのヴェルフとルインの調整に使うことにした。

 

 命が率先して動いてくれた事により、ルイン達は落ち着いて慣らすことができた。ルインは体が軽く感じることに反して、以前と変わらないことに違和感を少し覚えたが、ヴェルフの興奮している様子に水をさしたくないため黙って調整に集中した。

 

 ある程度の稼ぎと、素材を確保出来たため、切り上げて解散する。ホームの完成までは、前のファミリアに世話になることが決まっていたので、ルインは一人教会の方へ歩いて行った。

 

 翌日もベル達は戻っていなかったので、同じようにダンジョンに行く。今回は慣らしの時間が不要だったので、収入面を意識して挑む。安全を最優先にして行動していたので、危なげなく探索をすることができた。

 

 換金を終えると、軽く食事に向かった。今後は、ベルとリリを含めたファミリアでの探索が増えることになるので、お互いの立ち回りの反省を行なっていた。

 

「それにしても、同じパーティだっただけあって連携が洗練されているな」

 

 初めて組んだルインと命に、ヴェルフは素直に感想を述べる。

 

「いえ、それもヴェルフ殿の盾役があってこそです」

 

 冷静に命が分析しており、ルインもそれに同意する。命もルインも役割は遊撃手であり、以前のパーティで桜花が担当していた役割を、ヴェルフも卒なく出来ていた為、問題なく動くことができた。

 ある程度、今回のパーティの反省を行なってから、ベルとリリが加わった時を想定した話に切り替える。

 

「欲を言えば火力のある後衛か、もう一人盾役がいれば安心なんだが」

 

「それに関しては、ヘスティア様が募集をかけていたのでそれに期待ですね」

 

「……ルイン。俺達は同じパーティで、同じファミリアだ。そろそろ他人行儀な言葉遣いはやめないか?」

 

「それに関しては私も同意です。ルイン殿、同じファミリアになったのですから、ベル殿と同じように接して欲しいものです」

 

「でも、命さんも敬語で……」

 

「私は誰にでもこの口調です。しかし、ルイン殿は違いましょう?」

 

 命とヴェルフの目線に負けてルインは敬語をやめることにする。ただし、年下だからさん付けはやめないと、そこだけは譲らなかったが。

 

「そういえば、ヴェルフさんが来てくれたから、武器や防具の整備と壊れたの時の新しいのも任せられるから安心だね」

 

「いや、悪いがルインの分は俺はダンジョンでの整備ぐらいしか触れない」

 

「え?ベルと専属契約してたらダメなの?」

 

「そうじゃないんだ。改宗を決めた時、椿に釘をさされてな。すまないが、ルインの分は直接椿に言ってくれ」

 

 その後、ヴェルフから椿に頼んだ時に掛かりそうな費用を聞き、青ざめてしまう。今の装備を大切に使うことを決心して、貯金を貯めていくことにした。

 

 引越しの準備があると、命とヴェルフと別れる。明後日には、新ホームの完成予定の為、急いでくれたゴブニュファミリアへのお礼を買いに行くことにした。元々の予算から浮いた分を使えば赤字になることもない。財務管理はリリに変わることになったが、冒険者依頼でいない為、ルインの独断だが無意味な散財ではないから理解してくれるだろう。

 先程、同じ鍛治師であるヴェルフに相談したところ、酒がいいとのことで鍛治師が好きな安めのお酒をたくさん購入することに決めた。

 

 酒屋に行き注文を入れる。完成予定の明後日に、ゴブニュファミリアまで運んでくれることになった。

 

「すみません。運ぶことまで考えてませんでした」

 

「気にすんな。ルインの注文だ。それに、量もしっかり頼んでもらえたからな」

 

 豪快に笑いながら店主は、ルインの背中を叩く。

 

「それにだ!お前のおかげで小遣い稼ぎも出来たしな。……新ホームに移ったら、近所じゃあなくなるが、たまには顔を出してくれよ」

 

 少し湿っぽい空気になるが、店主も柄では無かったらしく、すぐに話題を変える。ルインも、打ち合わせと世間話をしながら、いつも通り簡単な手伝いをしていく。ある程度、片付くとルインは帰宅することにする。

 

「……ルイン。最近、通り魔が出てきているから気を付けろよ。本当に【疾風】の復活ならいいんだが……」

 

 帰ろうとするルインに店主は、人目を気にしながら、小声で伝えた。ルインは、聞き返そうと思ったが、あまり聞かれたくない話題と察して、それ以上は聞かずにそのまま足を進めた。

 

 その日、豊饒の女主人の準備時間にガネーシャファミリア団長シャクティ・ヴァルマは、オラリオで起こっている通り魔事件の重要参考人に会うために、一人で訪れていた。

 

「すまない。リオンと話がしたい」

 

 突然入ってきたシャクティに文句を言おうとしたアーニャも、ただならぬ様子にすぐ様、ミアに判断を委ねる。呼ばれたミアと小声で何か話し、すぐにリューを呼び隅の席に座らせる。盗み聞きを許さないように、ミアの一声で店員達は店の外へ出て行くことになった。

 

「急にすまない。最近起きている通り魔事件について聞きにきた」

 

「通り魔事件ですか?確かに最近よく耳にしますが、なぜ私に?」

 

「それは……。その通り魔の正体が【疾風】という情報が入ってな」

 

 リューは、その言葉に言葉を失う。自分の名を騙り、事件を起こしている輩に怒りを覚えるが、その資格がないことも同時に理解していた。

 

「【疾風】の仕業というのは住民達が勝手に言っていることだが、念のためお前の最近の行動を聞きにきた。初めは評判の悪い冒険者が、何日か起きに殺されたぐらいだが、二週間程前から過激さを増してな。私達が目につけていた冒険者や違法賭博場など、軒並み潰されてしまい、こちらとしても立つ瀬がない」

 

 シャクティは、驚いたリューを見て、事件との関係性がないと判断する。元々、関わっていないことは予想していたが、唯一容疑者にあがってしまった知人を見過ごせず、確認に動いていた。

 

 リューから行動を聞き、店に唯一残っているミアに目線で確認する。確認が取れたのでシャクティは席を立ち、店を出ようとするが、リューは思わず呼び止めてしまう。

 

「何故、【疾風】の名前が挙がったんですか?」

 

「何故か……。五年前のお前の行動は、確かに褒められたものではない。だが、それでも救われた者は少なくなかった。ただ、それだけだ」

 

 シャクティは、それ以上は言葉にしなかったが、悩みすぎている知人が少しでも救われてくれればと願いながらも、先にファミリアへ戻り、容疑を外すことから始めなければと、足を早めた。

 

 




いつも手伝ってくれるルインは、ミアハとナァーザの相談により卵狩りから外されます。日頃から親身になってくれているルインに自分の借金関係に巻き込まないと判断したため。

なので参加していない命とヴェルフとで軽い探索に行っています。
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